地デジ用UHFテレビアンテナのレベルが下がる原因と対処法とは? VHFアンテナとの違い、受信感度が高まる工事の方法を解説

2023年10月01日

あさひアンテナ アンテナ工事 無料相談
ご自宅に地上デジタル放送用の地デジアンテナ、さらに衛星放送用のBS/CSアンテナを設置することをお考えの方にとって、やはり第一に気になるのは、安定した受信性能ではないでしょうか?
近年では地デジアンテナにも、設置した際の家の見た目を整える外観性、また雨風などに強い対候性の高さで寿命が長くなることを重視した、デザインアンテナ、ユニコーンアンテナなどの機種も登場しております。
また設置位置などの工夫で、外観性、対候性を高める工法もいくつもございます。

ただ基本的に、ご家庭に設置されるテレビアンテナ、特に地デジアンテナは、住宅の屋根の上にマスト(支柱、ポール)で立てるなど、できるだけ高所に設置することで、周辺の障害物などに影響されにくくなる。さらにアンテナ角度の調整が行いやすくなるといった点から、受信性能が高くなる傾向がございます。

対して、外観性や対候性を高める方法では、アンテナ本体を目立たず、風雨なども受けにくくするために、設置位置がやや低くなることも多く、高い位置への設置に比べて、受信性能ではやや弱まりがちという傾向もございます。
いわば、テレビアンテナの受信性能と、外観性や対候性は、トレードオフ、二律背反の関係にあるとも申せます。

地デジアンテナ、BS/CSアンテナとも、テレビ電波を受信して、テレビ放送を視聴するための製品である以上、まずは安定したテレビ電波の受信を確保した上で、外観性や対候性も優れたアンテナ設置を選びたいというのが、多くの方のお考えではないでしょうか?

そこで当コラムでは、主に地デジアンテナについて、そのテレビ放送の仕組みや、アンテナの性能や設置位置の特徴などから、地デジ電波の受信レベルが下がってしまう要因と。受信レベルの低下を避ける方法。また受信レベルの低下が起こりにくい、高性能な地デジアンテナ機種などについて解説いたします。
同様に、BS/CSアンテナについても、安定した受信を実現する方法を、簡単にご説明いたしますので、地デジ放送、衛星放送、双方の画面の乱れなどのお悩みについて、参考になることと存じます。

なお、戸建て住宅への地デジ、衛星放送のテレビアンテナ設置に関して、受信感度に大きな影響を与える、住宅内のテレビアンテナ設置位置の特徴については、以下のコラム記事でも一覧で詳しくご説明しております。

・戸建て住宅のテレビアンテナ取り付け工事で、アンテナを設置できる場所とは? その費用からメリット・デメリットまで徹底解説!

目次

地デジ放送(地上デジタル放送)とは何か?

2023年(令和5年)の現在、もっとも身近で一般的なテレビ放送と言えば、どなたも真っ先に「地デジ放送(地上デジタル放送)」を思い浮かべられることでしょう。
ご自宅をはじめ、さまざまな場所にあるテレビ機器で、無料でいつでもNHK、広域民放などのテレビ放送を視聴できる他、近年では対応機器もやや少なくなりましたが、携帯端末などのワンセグ機器で、通常のフルセグ放送と同じ内容の、ワンセグ放送を視聴することもできます。
この地デジ放送が、スタートしてからまだ20年程度と、比較的、新しいテレビ放送であることも、ある程度の年齢層の方であればご存じのことでしょう。

日本のテレビ放送は、1953年(昭和28年)2月1日にNHKの本放送からスタートし、半世紀以上の後、2011年(平成23年)7月24日の正午に完全停波(完全終了)した、現在で言うアナログテレビ放送(アナログ放送)が、日本で最初にはじまり、もっとも広まったテレビ放送の形式になります。
対して現在の地デジ放送は、2003年(平成15年)12月1日、午前11時に、アナログ放送と並行する形で、放送がスタートしました。

両者が並行して放送されていた時代、アナログ放送と現在の地デジ放送では、テレビ局やチャンネル、放送の内容にまったく違いはございませんでした。
それぞれの放送で視聴できたチャンネルは、全国各地で視聴できるNHKと広域民放。そして東京都の東京MXや兵庫県のサンテレビジョンなど、日本国内でも三大都市圏にあたる都府県の一部でそれぞれ別々に存在し、その都府県内を放送エリアとする独立放送局の地方チャンネルでした。

地デジ放送とアナログテレビ放送の違いは、その放送の形式にあります。その名称通り、アナログ放送に対して、地デジ放送は「デジタル放送」にあたります。
アナログ放送では、テレビ番組の映像信号を、そのまま電波の強弱に変換して、テレビ電波として送信していました。対して地デジ放送(デジタル放送)では、映像信号をまず「0」「1」のデジタル信号へと変換し、この信号をさらに電波の波長に変換して送信します。

つまり地デジ放送は、アナログ放送と、放送の内容的な違いはほとんどなく、放送の形式だけを転換して、アナログ放送から放送の内容や視聴世帯を引き継いだものであるため、現在でも普及率が高いのです。
なお地デジ放送や、かつてのアナログ放送は、災害時などに緊急情報を送信する役割も持つ「基幹放送」になるため、日本国内であれば不特定多数の誰であっても、アンテナなどの受信設備や、ワンセグ・フルセグ受信機器などを使うことにより、原則的に無料(NHK受信料を除く)で受信、視聴できます。

ちなみにアナログ放送から地デジ放送へと転換された理由は、世界的なアナログ技術からデジタル技術への転換の趨勢。そして携帯電話が急激に普及したことにより、それまでテレビ電波として多くの周波数帯を使用しても問題のなかったテレビ放送で、携帯電話用などに、使用する周波数帯を大幅に圧縮する必要が出たことです。

映像信号のデジタル化では、アナログ放送に比べて、情報から無駄な部分を大幅にカットできるのです。そのため地デジ放送では、アナログ放送の時代に比べて、使用する電波の周波数帯を大きく圧縮しながらも、テレビ電波で送信できる情報量はアナログ放送の約4.5倍という、情報の大容量化を実現しています。
この情報の大容量化により、地デジ放送では、アナログ放送時代の、主にブラウン管式テレビによる画質、およびその画質によるテレビ放送「標準画質(SD画質)」「標準放送(SD放送)」に対し、映像のハイビジョン(HD)化や、それにともなうテレビ本体の液晶画面、薄型化や大画面化を実現しています。
ちなみにSD画質とは、現在の画素数に換算すれば約640×480ピクセル、31万画素で、現在の映像メディアでいえばDVDの画質に相当します。
他にも地デジ放送では、音質も2.0chステレオの高音質化や副音声機能。マルチ編成。番組表や字幕放送、データ放送、双方向サービス、ワンセグ放送など、さまざまな機能が追加されました。
なお、地デジ放送の詳細や、アナログ放送時代からの歴史などについては、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。

・現在の地上波テレビ放送で地上デジタル放送が開始されたのはいつ? デジタル放送とか何か、その仕組みや特徴も全解説!

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地デジ放送の仕組みと電波はどのようなものか?

地上デジタル放送、かつてのアナログ放送とも、別名として「地上波放送(地上波テレビ放送)」と呼ばれます。
これはどちらの放送も、日本国内の各地に設置された電波塔から、地上の空間を走るテレビ電波を送信する方式のテレビ放送であることに由来します。この地上波放送という呼び名は、主に衛星放送と対比したものになります。

現在の地デジ放送の電波塔は、主に「送信所(親局、基幹局)」と「中継局(サテライト局)」の二種類に分けられます。

送信所は、東京都墨田区押上に位置する日本一の電波塔、東京スカイツリーなど、日本国内の地デジ放送のエリア区分、各広域圏に設置され、広域圏内でも複数の都府県などをまたがる広いエリアに地デジ電波を送信する、大型の電波塔です。
ただ送信所だけでは、広域圏内でも遠く離れたエリアや、山地などの地形によって電波が遮られるエリアなどに、地デジ電波が届かなくなります。
そのため送信所の周辺で、電波がやや弱まる、届きにくくなるエリアの近辺に、サテライト(衛星)のようにいくつも中継局を設置するのです。

中継局では、送信所や他の中継局から届く地デジ電波を受信し、中継所内で増幅した上で、あらためて中継局の周辺一帯に地デジ電波を送信しております。
つまり中継局は、広域圏の要所に設置され、送信所から送信された地デジ電波をリレー形式で送信して回ることで、各広域圏でも、送信所から直接の電波が届きにくい地域を含め、隅々まで地デジ電波を送信しているのです。

このような形式により日本国内では、一部地域を除いて、人が居住している大半のエリアに地デジ電波が届き、地デジ放送を視聴することができるのです。
現在の地デジ放送では、放送用の電波に、UHF波(極超短波)と呼ばれる電波のうち、470MHz(メガヘルツ)から710MHzまでの周波数帯を使用しています。その波長の長さは、およそ40センチから60センチ程度です。

それに対して、アナログ放送では、日本全国で放送されるNHK、広域民放には、UHF波よりやや周波数帯の低いVHF波(超短波)のうち、90MHzから108MHzの「ローバンド」。および170MHzから222MHzの「ハイバンド」の周波数帯が使用されていました。
また独立放送局の地方チャンネルでは、地デジ放送と同じUHF波のうち、470MHzから770MHzまでの周波数帯が使われていました。

そのため現在、地デジアンテナとして使用されるアンテナは、どれもUHF波のうち470MHzから770MHzまでの周波数帯を受信することに特化した「UHFアンテナ」になります。
同じように、アナログ放送時代のテレビアンテナは、日本国内のほぼすべての地域で使用されたのが、VHF波を受信するための「VHFアンテナ」。そして地方チャンネルを受信できる地域では、UHF波を受信するための「UHFアンテナ」も設置されました。

地デジ放送のスタートから、約7年半にわたって、アナログ放送と並行されて放送され続けたのも、一般世帯などが、アナログ放送時代のVHFアンテナから地デジ用UHFアンテナへの交換や、テレビ本体を地デジ対応のものへと交換するための移行期間でした。

なおアナログ放送時代に地方チャンネル用のUHFアンテナを設置していた住宅では、周波数帯もほぼ重なることから、当時のUHFアンテナを、地デジアンテナに流用することも可能でした。そのため2023年現在でも、アナログ放送時代のUHFアンテナを地デジアンテナとして使用されている世帯も多く見られます。
アナログ放送時代のVHFアンテナ、UHFアンテナは、どちらも「八木式アンテナ」にあたり、多くの場合、屋根の上などに立てられた一本のマストの、先端よりやや下部に、横に渡された中央の支柱から、左右対称の骨組みが伸びる形で、やや大型のVHFアンテナが設置され、マストの先端には、矢印型の骨組みに、短い横棒がいくつもついた、魚の骨に似たやや小型のUHFアンテナが設置されている形になります。

ただ、このように古いUHFアンテナは、2023年現在では数十年レベルの大変な老朽化が予想され、サビなどによる突然の故障、アンテナの倒壊、落下などのリスクも考えられます。
さらに、アナログ時代のUHFアンテナでは、現在の地デジアンテナに比べ、地デジ電波としては使用されない710MHzから770MHzの電波も受信してしまいます。
そしてUHFアンテナが、この周波数帯に当たる携帯電話、スマートフォンなどの電波を受信してしまい、ブースター(増幅器)がそれを増幅することで、電波障害が発生する「700MHz電波障害」の危険性も考えられます。

そのため、現在でも地デジアンテナとして、アナログ放送時代のUHFアンテナを使用しているご家庭では、早急に最新型の地デジアンテナへ交換されることがおすすめです。
ちなみに、アナログ放送時代のVHFアンテナは、現在ではFM放送のラジオ受信用に流用できる以外、特に用途はございません。またこちらのアンテナも現在では、やはりかなりの老朽化が考えられるため、早急な撤去をおすすめいたします。

なお当あさひアンテナでは、弊社にて新規でアンテナ設置をご依頼になるお客様には、長さ1.8メートルまでの既設アンテナであれば、税込み5,000円で、古いアンテナの撤去と、その処分を、一括してお引き受けいたしております。
地デジ電波の性質、および地デジ用UHFアンテナと、アナログ放送時代のVHF、UHFアンテナの違い。またアナログ放送時代のテレビアンテナを使用、設置していることで考えられるトラブルについての詳細は、以下の各コラム記事での解説をご確認ください。
・地上デジタル放送の「地デジ電波」基礎知識
・VHFアンテナとは? UHFアンテナとは? 基礎知識とアナログテレビアンテナの問題点
・UHFアンテナとは地デジテレビアンテナのこと? VHFアンテナとの違いや設置方法、古いアンテナや端子の交換方法も解説!
・古いテレビアンテナやアンテナ端子は交換するべき? 交換が必要な条件や方法を解説!
・「700MHz電波障害」とは何か?
・「アンテナが倒れた場合の対処法!火災保険で無料修理」
・屋根の上でテレビアンテナが倒れたときのアンテナ修理工事(前編・原因と対処)
・屋根の上でテレビアンテナが倒れたときのアンテナ修理工事(後編・修理と対策)
・アンテナが倒れたときの対策
・地デジや衛星放送のテレビアンテナが折れた、倒れたといったトラブルが起こる原因と早急な修理を行うための工事方法を徹底解説!

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地デジ電波(UHF波)の特性とは?

そもそも地デジ電波(UHF波)をはじめとする、電波とは一体何なのでしょうか?
電波とは「電磁波」の一種になります。電磁波とは、空間において、磁界(磁力の影響を受ける空間)と電界(電気の影響を受ける空間)の相互の影響から、光の速さで波長を描きながら空間を伝わる電気的なエネルギー波のことです。

電磁波や電波の「周波数」とは、単位時間(1秒間)に、電磁波(電波)が描く波長の数を示す単位です。この周波数が高い(波長の数が多い)ほど、波長の幅は短くなります。
そして電波とは、電磁波のうち、周波数帯が比較的、低いもののことです。

日本の電波法など、一般的な基準では、電磁波の中でも、周波数が3THz(1秒間に3兆回の波長を描く)以下のものが電波と定義されます。
なお周波数帯が3THz以上の電磁波は、周波数の低い順から、赤外線、可視光線、紫外線などの光、そしてⅩ線などの放射線になります。

これら電磁波や電波は、波と粒子の性質を兼ね備えております。そのため波の性質として、各方向へと広がる散乱や、方向が歪む屈折、ものにぶつかった際の反射、障害物にぶつかった際に、向こう側へと回り込む回折。また同じ空間に別々の電磁波(電波)が伝わった際に、互いに影響を与える干渉などの現象が発生します。また電波(電磁波)は、微視的には粒子として、その個数を数えることも可能です。

そして電磁波の中でも周波数帯の低いものである電波は、中でも周波数が低いものになると、波長の長さは数十キロや数十メートルになるため、その性質は音に近くなります。
逆に電波の周波数帯が高くなり、電磁波(光)との境界に近づくと、波長の長さは数センチからミリ単位以下になり、その性質は光に近くなります。

地デジ電波は前述のように、UHF波のうち、470MHzから710MHzまでの周波数帯で、比較的、周波数帯の高い電波になります。ちなみに1MHzは100万Hzの単位です。
ただ地デジ電波は、約40センチから60センチ程度と、一定の波長の長さを備えているため、地デジ電波には音に近い性質もございます。

地デジ電波の性質でも、主に、各戸建て住宅などの地デジアンテナ設置現場における、電波の受信レベルに関する性質については、以下で項目的に解説してまいります。
その他の地デジ電波の性質や、地デジ電波の品質を判断する単位については、以下の各コラムでも詳しくご説明しております。これらの要素も、安定した地デジ受信のために関係してくる部分がございますので、よろしければご確認ください。
・地デジ電波の強さと品質を示す「dB」「MER」「BER」とは何か?
・地デジの「水平偏波」「垂直偏波」の違いとは?
・地デジアンテナを設置する高さの設定で重要となるハイトパターンとは? 地デジ電波を受信するために適切なアンテナの高さとは?

地デジ電波の性質:送信元から離れるほど電波レベルが低下する。

上記のように電波とは、空間を伝わる電気的なエネルギーであるため、長距離の空間を移動するほど、そのエネルギーは減衰(弱まる)して、やがては消滅します。
地デジ電波に限らず、電波の強度は主に「㏈(デシベル)」の単位で示されますが、電波塔から送信された地デジ電波は、電波塔を中心にした円のように広がり、電波塔から離れるほど㏈のレベルが弱まっていきます。

そのため、地デジ放送では送信所の周辺、距離や地形などの影響などから、地デジ電波レベルが弱まるエリアに中継局を置くことで、電波をあらためて増幅して送信しています。
そして送信所から送信所に地デジ電波をリレーしてゆくことで、日本国内のほとんどのエリアで広域圏ごとに、住宅などが存在する大半のエリアに地デジ電波を送信しているのです。

ただこのような形式では、地デジ電波が受信できるエリアでも、主に電波塔からの距離によって、受信できる地デジ電波の強弱が生じます。
この電波塔から送信された地デジ電波が届くエリアで、受信できるおおよその電波レベル(㏈)を基準に、エリアを色分けしたものが「電界地域」と呼ばれるものです。この電界地域については、のちの項で詳しく解説いたします。

アナログ放送の時代は、電波塔から離れるほど電波レベルが弱まり、ノイズが混じりやすくなる。またビルなどの建物に反射したテレビ電波が、テレビアンテナで何重にも受信されることにより、画面のちらつきや歪み、また画面が何重にも重なって見えるゴーストなどのテレビ画面の乱れが生じました。

しかし地デジ放送では、映像信号のデジタル化により、地デジ電波にノイズが混入して、「0」と「1」のデジタル信号に狂いが生じても、一定のレベルであれば受信時にデータを修復できます。そのため、地デジ電波が一定以上の強度と品質を保てる現場であれば、電波塔からの距離に関係なく、どこでも同品質のクリアな映像、音声を視聴できるのです。

ただ映像信号の乱れが一定レベルを越えてしまうと、データの修復が困難になり、ブロックノイズなど画面の乱れが生じます。そして信号が大きく乱れる、また受信できる電波レベルが極端に低くなると、ブラックアウトした画面に「E202 信号が受信できません」などのエラーコードとメッセージが表示され、地デジ放送がまったく映らなくなります。

地デジ電波の性質:高層ビルなどの障害物に遮られやすい。

電波塔から送信された地デジ電波のレベルを低下させるのは、電波塔からの距離だけではございません。電波塔から近距離であっても、電波を遮ってしまう大きな障害物があると、その向こう側に電波は届きにくくなります。

前述のように、地デジ電波は一定の波長の幅を持つため、ある程度の障害物は乗り越える能力はございますが、アナログ放送時代のVHF波に比べると、波長の幅が短くなっていることもあり、その力にも限界はございます。
たとえば広い範囲に広がる山地や山脈などでは、電波塔から送信される地デジ電波も、せき止められるようにして遮断されてしまいます。そのため山間部に市街地などがあるエリアでは、山間部の要所に細かく中継局が設置されているケースが多くなります。

ただ山中に当たるエリアの多くは、民家が少ないこともあり、山頂付近に中継局が設置されているなどの場合を除いて、地デジ電波が受信できないエリアが多くなります。

また山地などの大きなものでなくとも、鉄筋コンクリート製の高層ビル、高層マンションなど、電波を反射する金属(鉄筋)や、吸収するコンクリートなどの素材を主体にした高層建築がある場合も、地デジ電波が遮られやすくなります。

地デジ電波には拡散、回折する性質もあるため、電波塔から見て高層ビルの反対側でも、地デジ電波は十分に届きますが、ただ電波塔から見てビルの陰に当たる直近や中心部に近い部分には電波が届きにくくなり、電波塔から近いエリアであっても、地デジ放送が視聴困難なレベルにまで、地デジ電波レベルが低下することがございます。

同様に、短い間隔で戸建て住宅が立ち並ぶ住宅密集地などでは、電波塔に近く、屋根の上であれば十分な強度の地デジ電波が受信できる現場であっても、隣家との間隔が狭い壁面には地デジ電波が届きにくくなり、主に壁面へと取り付けられるデザインアンテナなどの利用が難しくなるケースがございます。

そのため、地デジアンテナの設置に当たっては、まずは周辺環境をご確認になった上で、障害物の影響を受けず地デジ電波が受信しやすい場所を選ぶ必要がございます。

また地デジアンテナを設置した時点では、周辺に障害物などが存在せず、安定した地デジ電波が受信可能でも、その後、電波塔の方向に高層建築などが建てられるなどして、ご自宅の地デジアンテナによる地デジ受信が難しくなるケースもございます。

このような場合には、民法709条「原因者負担の原則」に基づき、お住まいの自治体の担当部署などを通して、その建物のオーナーや建築責任者に、費用は相手方の負担で、安定した地デジ放送の視聴が可能になるよう、対処を求めることができます。

なお、地デジ放送などテレビ放送の電波障害で、テレビ画面が乱れる場合の原因やその対処法については、以下のコラム記事で詳しく解説しております。
・一時的にテレビ画面が乱れる場合の原因と対策・徹底解説!
・電波障害? テレビが映らない原因はアンテナトラブル? 確認と対処法
・地デジやBS/CSアンテナで受信感度が落ち突然テレビが映らなくなる原因、受信レベルを上げ映るよう解決する対処法の工事は?
・地デジ、衛星放送で起こりえる電波障害の種類とその対処法
・地デジ・BS/CS放送のテレビ画面が乱れる原因とその対策

地デジ電波の性質:気候や天候などで強度が左右される。

地デジ電波は空間を伝わるものであるため、地デジ電波レベルは、そのときの気候や天候などにも影響されます。たとえば一年を通した気候や気温の変化では、地デジ電波のレベルも、おおよそ6㏈程度の変動が生じます。

これは、まず冬場などで気温が下がり、空気が収縮することで、地デジ電波が遠くまで届きやすくなるためです。ただその一方で、ノイズとなる無関係の電波も届きやすくなるという難点も生じます。
逆に春から夏にかけて気温が上がると、空気が膨張するため、電波が届く距離が短くなり、電波塔から離れたエリアで、特に電波レベルが弱まってまいります。

また電波には水分に吸収されやすい性質があるため、降雨などの悪天候では、各地で受信できる地デジ電波レベルが大きく低下します。
ご自宅で地デジアンテナを設置された際、設置した時点では、地デジ放送は問題なく映っていたのに、悪天候や特定の季節のみ、地デジ放送の画面が乱れる、映らなくなるといった症状の場合は、アンテナ取付工事を行った時点では好天で気候もよく、地デジ電波レベルが良好な状態であり、なおかつ設置時点の地デジ受信レベルが、必要最小限に近い水準だったことが考えられます。

そのため、悪天候や季節の変化などによって、現場に届く地デジ電波レベルが低下してしまうと、アンテナの受信レベルが必要な水準を下回ってしまうため、地デジ放送の画面に問題が生じてくるのです。
このような問題は、特にアンテナ設置時の受信レベルの確認が確かでないDIYでの地デジアンテナ設置。また家電量販店、ホームセンターの下請け業者によるアンテナ設置工事などで、気候や天候による電波レベルの変動についての想定が甘い場合に起こりがちとなります。

そのため、特に電波塔からの距離が遠いなどで、地デジ電波の受信環境がやや弱く、この項で記した周辺の高層建築などの障害物、また気候や天候などで受信レベルが悪化しやすい現場では、地デジアンテナ取り付け工事の際の、綿密な電波調査が必要となります。

当あさひアンテナでは、アンテナ設置に伴う地デジなどテレビ電波の電波調査、およびアンテナ工事のお見積もりを、現地への出張料、また工事の本契約にいたらなかった場合のキャンセル料など各種費用を含め、完全無料で実施いたします。
また電波調査に当たっては、お住まいの各部屋、各場所で電波の方向やレベル、品質など、綿密な調査を行い、気候や天候などの影響を想定しても、安定した地デジ受信が可能なことを大前提に、お客様のご要望にもっとも近い地デジアンテナ工事をご提案いたします。

アンテナ工事を行う各業者の種類や違い、また専門業者による電波調査、見積については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・地デジ放送、衛星放送(BS/CS)テレビアンテナ工事の現場で必要な「電波調査」の方法とは?

・地デジや衛星放送のテレビアンテナ工事費用がいくらかわかる「見積もり」とは? 業者、会社ごとの設置費用の相場や選び方を解説

・アンテナ工事会社のおすすめの選び方!業者別の特徴や費用相場を比較&解説

・業種別・アンテナ設置工事の標準価格と対応できる工事

・アンテナ工事の料金はいくら? 業者ごとの相場、必要な工事の選び方

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安定した地デジ放送の視聴に必要な電波レベルは?

戸建て住宅などの地デジアンテナで受信した地デジ電波は、ケーブル配線部と、その間の機器を経て、各部屋にあるアンテナコンセントから、アンテナケーブルで室内のテレビ、レコーダーなど受信機器のチューナー端子と接続することで、受信機器まで届きます。

この際、個々のテレビなど受信機器のチューナーに届いた時点の地デジ電波レベルは、34㏈以上から89㏈以下の範囲であれば、地デジ放送は問題なく映ります。
ただ上記のように、地デジ電波レベルは気候や天候などでも変動するため、通常は、機器のチューナーに届く段階での電波レベルは47㏈から81㏈の範囲。最低でも40㏈以上になるよう調整されます。

この際、電波レベルを調整(増幅)するために使用される機器が、電波を電気的に増幅する「ブースター(増幅器)」という機器になります。
ブースターには、主にアンテナの近くに設置され、増幅性能が高い屋外用ブースター。増幅性能はやや低いものの、設置が簡単な屋内用ブースター。そしてそれらの補足のために使用される、小型のラインブースター(前置ブースター)がございます。

ブースターは主に、地デジ電波塔から遠い、障害物が多いなどの原因から、地デジ電波の受信レベルが低くなる現場(中電界地域から弱電界地域)で使用されますが、屋内に設置されるテレビなど受信機器の台数が多い場合も、台数分の電波レベルを確保する必要があるため、現在では地デジ電波レベルが強いエリア(強電界地域)でも、三台以上のテレビを設置する戸建て住宅では、設置が必須となります。

また地デジアンテナからブースターを経由した一本のアンテナケーブル(同軸ケーブル)と、送信されるテレビ電波を、複数の部屋にあるアンテナコンセントへ分配する際には、入力端子にケーブルを接続し、タコ足のような出力端子から複数のケーブルへと電波を分配する「分配器」という機器が設置されます。
この分配器には、電波レベルを等分に分配する性質がございます。例えば200㏈のテレビ電波を4分配した場合、分配先の個々の電波レベルは理論上、50㏈になります。

他にも、ケーブル配線部で送信されるテレビ電波は、ケーブルを伝わる際や、機器の接続部を通る際に、多少の減衰が生じます。特に配線部が長くなるほど減衰量が大きくなるため、その点も考慮して、テレビなど受信機器に届く電波レベルを判断する必要がございます。

他にも、逆にテレビなどに届く電波レベルが90㏈以上の場合も、テレビ画面が乱れる、映らないなどのトラブルの要因になりますので、この場合は、やや受信性能の低い地デジアンテナを選ぶ。配線部に電波を適度に減衰させる「アッテネーター」という機器の設置、またアッテネーター機能を持つテレビ、レコーダーではその機能をオンにするなどの対処がございます。

現場の地デジ電波レベルや地デジアンテナに問題はなくとも、これら配線部の機器の設定や、電波の減衰量などの計算が甘い場合。また配線部やその機器にトラブルが生じている場合にも、テレビなどの受信機器まで十分なレベルの地デジ電波が届かなくなり、地デジ画面が乱れる、映らないなどのトラブルが生じてまいります。

もしご自宅のテレビまで、十分なレベルの地デジ電波が届かず、画面が乱れるなどの症状で、正確な原因が特定できない場合は、まずは当あさひアンテナのフリーダイヤル、メールフォーム、LINEなどまでご相談ください。
弊社の担当者がお電話口などで、トラブルの症状から原因を推察し、ご自宅で可能な対象方法をご案内いたします。もちろんご自宅での対処が難しいトラブルの場合は、現場に出張しての修理にもご対応いたします。

なおお電話などによるご相談と、対処方法のご案内でトラブルが解消した場合には、料金は頂戴いたしませんので、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
なおこれらアンテナ配線部や設置される機器については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・テレビアンテナの「ブースター」は必ず必要なのか? 【地デジ設置・あさひアンテナ】
・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・前編(基礎知識編)
・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)
・地デジ用テレビアンテナの受信レベルが低くなる原因とは? ブースターによる対処法など受信レベルを改善する工事の方法を解説!
・テレビ放送の映りが悪い際にアンテナブースターの交換は必要?
・ご自宅のすべてのテレビに電波を送る「分配器」とは? その種類と選び方を徹底解説!
・アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い
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・テレビアンテナの分配器の設置・接続、交換方法と注意点
・テレビアンテナの電波を各部屋に分岐する方法は? 分配器と分波器の違い・接続方法や選び方
・地デジ用と衛星放送用、両方のテレビアンテナ設置で工事コスト軽減のため必要な機器、混合器、分波器とは何なのか?
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・戸建住宅におけるテレビアンテナ配線を徹底解説!
・戸建て住宅のテレビアンテナ工事に必要な配線と分波器の役割とは? 地デジ、BS/CS放送に適した機器の選び方も解説!

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地デジの「電界地域」について

地デジの電界地域とは、上記した通り、主に日本各地の電波塔から見た距離、また電波を遮る山地など大きな地形の影響により、日本の各エリアで異なる地デジ電波の受信レベルごとに、日本各地のエリアを区分けしたものです。
ただこの電界地域には、法律や学問的な統一された定義は存在せず、テレビ放送、テレビアンテナなどに関係する各団体、企業などが、エリアごとの地デジ電波の受信レベルを説明する際に、めいめいで使用している基準になります。
そのため、使われる場所によってやや定義が異なるケースもございますが、多くの場合は、以下のような基準で分類されます。

「強電界地域」とは、受信できる地デジ電波レベルが80㏈以上になるエリアを指します。
具体的には、地デジ電波塔を視認できる範囲で、電波を遮る山地や高層建築などの障害物もほとんど存在しないエリアが該当します。
そのためこの強電界地域であれば、さまざまな地デジアンテナ機種、設置方法を選ぶことができます。現場の条件が整っていれば、小型の室内アンテナ、屋外屋内兼用アンテナの使用や、地デジアンテナの屋内設置なども可能となります。
ただ地デジ電波は、テレビなど受信機器に届いた段階での電波レベルが90㏈以上と強すぎる場合も、テレビ画面の乱れ、映らないなどトラブルの原因になるため、強電界地域であまり高性能すぎる地デジアンテナは適さない場合もございます。

「中電界地域」は、受信できる地デジ電波レベルが80㏈から60㏈の範疇になるエリアで、おおむね電波塔から見て、強電界地域の周辺にあたります。
このエリアでも、安定して一定レベルの地デジ電波を受信できるため、使用できる地デジアンテナの機種や設置場所について、ある程度は自由に選ぶことができます。
ただ中電界地域では、やや電波レベルが低くなることから、集権の建築物や、天候、気候などの影響を受けた電波レベルの低下が生じやすくなるため、注意が必要です。

「弱電界地域」は、受信できる地デジ電波レベルが60㏈以下になるエリアです。主に電波塔から見て中電界地域のさらに周辺や、また地形などの影響により地デジ電波が届きにくくなるエリアにあたります。
弱電界地域では、受信できる地デジ電波レベルが、視聴に必要最小限に近いレベルになるため、基本的には受信性能の高い地デジアンテナを、障害物に影響されにくい、住宅の屋根の上など、高い位置に設置する必要がございます。
また弱電界地域でも、特に受信できる地デジ電波レベルが50㏈から40㏈以下になり、通常の地デジアンテナ設置では、安定した地デジ受信が難しくなるエリアを、微弱電界地域と呼ぶことがございます。
このようなエリアは基本的に、その地デジ電波を送信する電波塔の受信範囲外にあたります。そのためこのようなエリアでの地デジ電波受信には、通常の地デジアンテナの4倍程度の受信性能を持つ、高性能型の地デジアンテナが必要になってまいります。

また前述の通り、電波塔からの地デジ電波が届きにくい山地や山間部、高地部。また電波塔から遠く離れた離島部などで、地デジ電波がまったく受信できないエリアも、日本国内には一部に存在します。
このようなエリアは地デジの「難視聴地域」と呼ばれ、地デジ放送などの視聴方法としては、ケーブルテレビ(CATV)の利用。また地域で大型の共同受信用アンテナを設置し、各世帯に地デジ電波を配分する形になります。

上記は一般的な電界地域の分類ですが、前述のように、電界地域が使用される場所によっては、電界地域の基準となる㏈数が異なる。または強電界地域と中電界地域に二分される場合などもございますので、電界地域をご判断される際には、まずその基準をご確認になる必要もございます。

また電界地域は、基本的に地デジ電波塔からの距離と、山地などの大きな地形から割り出した地デジ受信レベルになります。そのため、市街地にある高層ビルやマンションなど細かな建築物。天候による地デジ電波レベルの変動は考慮しておりません。
したがって、各電界地域内でも、気候や天候による電波レベルの変動、さらに高層建築物の付近などでは、受信できる電波レベルが各電界地域の基準を極端に下回ることなどもございますので、ご注意ください。

総じて電界地域とは、広範囲で受信できるおおよその地デジ電波レベルと、そのエリアに適した地デジアンテナ機種や設置位置などを判断する目安にすぎません。各現場で受信できる正確な電波レベルは、やはりプロの専門業者による電波調査が必要です。

なお日本国内における、全国各地の送信所、中継局など地デジ電波塔の位置と、その電波塔から送信される地デジ電波の電界地域を確認するには、インターネット上の「A-PAB 一般社団法人放送サービス高度化推進協会」公式サイト内の「地デジ放送エリアのめやす」を利用することで、地図上で確かめることができます。
また電界地域に関しては、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
・徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方は?
・地デジ強電界地域の調べ方とは? 強電界地域用テレビアンテナ機種の選び方、適したアンテナ取り付け工事の進め方も徹底解説
・中電界地域と強電界、弱電界地域の電波レベルの違いとは? 該当する地域の調べ方、適した地デジテレビアンテナの選び方も解説
・地デジの弱電界地域に最適なテレビアンテナの種類と取り付け工事の選び方とは? 強・中・弱の電界地域の調べ方も徹底解説

地デジ用UHFアンテナの基本的な性能とは?

現在、戸建て住宅の屋外に設置される主な地デジアンテナ機種は「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」の三種類になります。
それぞれの機種は受信性能や特徴、特性が異なり、主に各電界地域や現場の受信環境ごとに、適した機種、モデルが採用されます。
以下の項では、地デジアンテナの受信性能に関係する要素や、各アンテナ機種の特徴について解説してまいります。

地デジアンテナの素子数と動作利得とは?

地デジアンテナの受信性能を判断する主な目安は「素子数(相当)」と「動作利得(利得、ゲイン)」になります。

素子(エレメント)とは、地デジ電波を受信するパーツであり、後述する八木式アンテナでは、本体にいくつもついた短い横棒部分に当たります。八木式アンテナではこの素子の数がそのまま受信性能を表し、8素子、14素子、20素子などと表記されます。
ただデザインアンテナ、ユニコーンアンテナでは外見から素子の数を確認できないため、その受信性能を素子数に換算した、20素子相当などの素子数相当で表記されます。
アンテナモデルごとの素子数は、強電界地域は8素子以下から14素子。中電界地域は14素子から20素子。弱電界地域では20素子以上や高性能モデルなど、各電界地域に合わせた受信性能の目安として使用されます。

この素子数は、単純に電波を受信するパーツの多さで決まる受信性能ですが、動作利得(利得)、またはゲイン(gain)は、同じく地デジアンテナモデルごとの受信性能を示す指針ながら、やや複雑になります。
現在の主な地デジアンテナに比べて、単純な構造のアンテナは、その形状にも影響を受けますが、アンテナのほぼ全方向に同じ受信性能を発揮します。
対して実際の地デジアンテナ機種は、その設計により、本来なら全方向に向けられるアンテナの受信性能を一方向に集中することで、その分、受信性能を高めているのです、これが後述する「指向性」にあたります。

そして動作利得とは、地デジアンテナで受信可能な電波レベルに対して、アンテナが出力できる電波レベルの効率を示す数値になります。また実際の地デジアンテナ本体が受信性能を発揮する正面側の受信感度を示す数値でもあります。
動作利得の数値は「㏈」で表されますが、この数値は、そのアンテナの受信性能と、基準となる指向性がないアンテナ(全方向に同じ受信性能を発揮する理論上のアンテナ、もしくはもっともシンプルな構造のアンテナ)との出力レベルの差異を、常用対数で表した数値になります。

動作利得も受信性能を示す数値であるため、素子数(相当)の多いアンテナほど高くなります。各電界地域で使用されるアンテナモデルの動作利得は、強電界地域では5dB以下。中電界地域では5㏈から10dB程度。弱電界地域では7㏈から14dBの数値が必要となります。
なお動作利得が各電界地域に合わせた数値より高いアンテナを使用すると、正常な受信の妨げとなるノイズも拾いやすくなるためご注意ください。

素子数はアンテナ本体の大まかな受信性能を示しますが、同じ素子数(相当)の地デジアンテナでも、指向性や受信できるチャンネル数などより、受信性能は変動します。
そして同素子数(相当)の地デジアンテナでも、指向性や受信できるチャンネル帯などによる、正確な受信性能の差を判断するには、動作利得の数値が参考になります。

この素子数や動作利得についての詳細は、以下の各コラム記事が参考になります。
・地デジアンテナや無線通信用アンテナの性能を示す利得、動作利得とは何か? 素子数との違いなど地デジアンテナ基礎知識も解説
・テレビアンテナの性能を決める「素子」とは何か? 地デジアンテナ工事で重要な「素子数」を徹底解説!
・地デジ用テレビアンテナ工事にて設置する電界地域に最適な受信性能は「何素子数」タイプか? アンテナ機器の選び方を徹底解説!
・地デジ放送用テレビアンテナ、UHFアンテナ機種による素子数の違いとは? 高性能モデルや現場ごとに必要な素子数の機種を解説

あさひアンテナ 工事 職人

地デジアンテナの指向性と半値幅とは?

地デジアンテナにおける「指向性」とは、上の項でも少しご説明いたしましたが、アンテナ本体でも特定の方向、すなわち本体の正面側、一定の角度の範囲でのみ、受信性能が高まる性質をいいます。
したがって地デジアンテナを設置する際には、アンテナが指向性を発揮する正面側を、現場に地デジ電波を届ける電波塔の方向(場合によっては、地デジ電波が高層ビルなどに反射した反射波の方向)へと、正確に向ける必要がございます。

現在の地デジアンテナ機種は、機種によって多少の差はあるものの、大半が高い指向性を持っております。そのため、電波が届く方向から、アンテナの正面側の角度がずれるほど受信感度が低くなり、アンテナの真横や後方などでは、ほとんど受信性能がなくなります。

この指向性には、アンテナ本体の正面側以外から届く、ノイズとなる余計な電波をカットする役割もございます。
上記の通り、指向性とは、本来は全方向に発揮されるはずの受信性能を、一方向に集中させたものであるため、指向性が鋭い(受信性能が高まる角度が狭い)機種ほど、受信性能が高くなる性質がございます。

そのため指向性の高い地デジアンテナは、正確な角度調整を行って設置することで、高い受信性能を発揮する半面、自然環境などの影響で、設置角度がズレてしまうと、受信感度が大きく低下してしまいます。
実際にこのアンテナ角度のズレは、機種によっては、アンテナの受信感度が低下するトラブルの、大きな要因のひとつとなるため、注意が必要といえます。

アンテナモデルごとの指向性の鋭さを確認する数値は「半値幅」になります。半値幅とは地デジアンテナの受信性能が最大となる真正面の方向を基準に、アンテナ角度を左右へとずらしてゆき、受信性能が最大レベルの半分となる角度を示す数値です。
この半値幅がやや広いモデルであれば、同じ素子数(相当)のモデルでも動作利得はやや低くなりますが、その分、アンテナ角度のズレなどには、ある程度の耐性があるといえます。

また屋外に設置される地デジアンテナ機種の中には、太い柱のような形状の先端がドーム状になった「無指向性アンテナ」と呼ばれる機種もございます。
この機種は先端のドーム部分でのみ、全方向からの地デジ電波を、同じ受信性能で受信できるものになります。
そのためアンテナの細かい角度調整が不要で、方向が大きく異なる複数の地デジ電波塔からの電波も、この一基で受信できるメリットがございます。半面、無関係なノイズの電波も受信しやすいデメリットもあるため、他の電波に比べて地デジ電波レベルが強くなる、強電界地域向けのモデルとなります。

地デジアンテナの指向性については、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
・地デジのテレビアンテナで受信できる方向は指向性で決まる? アプリでアンテナの方向調整に最適な角度を調べる方法も徹底解説!

地デジアンテナで受信できるチャンネル帯とは?

地デジ放送の電波は、前述の通り、UHF波の470MHzから710MHzまでの周波数帯になります。
そしてこの周波数帯を、6MHzずつ分割して、13chから52chまでの40チャンネル(ch)に分けており、各広域圏で存在するテレビ局に分配しております。
しかし実際に、日本各地で視聴できる地デジ放送のチャンネル数は、多い地域でも多くとも10チャンネル程度であり、残りの周波数帯、30チャンネル前後は、予備のチャンネルとして実際には使用されておりません。

この地デジ電波の各チャンネルは、実際のチャンネル番号はやや前後する場合もありますが、周波数帯が低い順から、13chから36chが「ローチャンネル」。31chから44chが「ミドルチャンネル」。45chから62chは「ハイチャンネル」と分類されております。

そして日本国内の地デジ放送では、一部地域を除くほとんどのエリアで、実際のチャンネル番号のうち、半分以上を占める、ローチャンネル帯のチャンネルが各テレビ局に割り当てられており、それ以外のミドル、ハイのチャンネル帯が使われることは少ないのが実情です。
そのため、UHFアンテナの地デジアンテナ本体も、多くのモデルは、13chから62chまですべてのチャンネルを受信できるオールチャンネルアンテナになります。

ただ一部機種には、モデルごとに、13chから36chまでの受信に特化した「ローチャンネル用アンテナ」。同じく13chから44chまでに特化した「ロー・ミドルチャンネル用アンテナ」。45chから62chに特化した「ハイチャンネル用アンテナ」など、受信できるチャンネル数を絞ったモデルも存在します。なおこれらチャンネル帯別の地デジアンテナも、モデルことに、受信できるチャンネル番号の範囲はやや異なる場合がございます。

このような、受信できるチャンネル帯を限定したUHFアンテナは、対応しないチャンネル帯が受信できない半面、オールチャンネルアンテナに比べると、受信感度が高くなる性質がございます。
例えば同じ20素子の八木式アンテナでも、ローチャンネル用アンテナであれば、オールチャンネルアンテナに比べて3㏈から4dB程度、動作利得が高くなるのです。

そのため日本国内でも、地デジ放送にローチャンネル帯しか使用されていないエリアでは、オールチャンネルアンテナではなく、ローチャンネル用のアンテナを設置することにより、より受信感度を向上させることができます。

なお日本国内の各エリアで、視聴できる放送局ごとに割り当てられている実際のチャンネル数(13chから62ch)を確かめる方法としては、日本三大アンテナメーカーのひとつ「マスプロ電工」社の一覧サイト、またその他のインターネットサイトなどで確認できます。

地デジ用UHFアンテナ「八木式アンテナ」とは?

八木式アンテナ(八木アンテナ、八木・宇田アンテナ)とは、大正時代の1920年代、東北帝国大学(現・東北大学)工学部教授、宇田新太郎博士と八木秀次博士の共同研究によって開発された、現在では100年近い歴史を持つ古典的なアンテナ機種です。
そのため、アナログ放送の時代から、八木式アンテナはVHF、UHFのテレビアンテナとして利用され続けております。

現在の地デジアンテナ(UHFアンテナ)としての八木式アンテナは、前述のように矢印型の骨組みに、短い横棒の素子がいくつもついた、魚の骨のような形になります。
アンテナの正面側(先端)は、矢印の先(魚の頭)にあたる「反射器(リフレクター)」とは反対側の先端「導波器(ディレクター)」側に当たり、こちらを電波塔などの方向に向けて設置します。

八木式アンテナの基本的な設置場所は、主に住宅の屋根の上で、屋根馬と呼ばれる固定具に立てられたマストの先端になります。
また屋根の破風板や屋根上の壁になる部分に、サイドベースという、水平にアームを突き出す形の器具を固定して、やはりマストを立てて設置するなど、基本的には屋根の上と同等の高い位置に設置されます。
他にもやや設置位置は低くなるものの、住宅の壁面やベランダの手すり部などにサイドベースを設置する。ベランダ内部への設置。また専用の機種を軒先から吊り下げるなどの設置方法もございます。

八木式アンテナの第一のメリットは、受信性能の幅が広く、幅広い電界地域で使用できる他、同素子数相当の他機種と比較しても、総合的に受信感度が高くなる点です。
八木式アンテナの素子数別モデルは、通常型では8素子、14素子、20素子になり、各電界地域に対応しております。

さらに八木式アンテナの高性能モデルには、Ⅹ字型の固定具の上下などに、複数の素子パーツを並べた「高性能素子」を使用する「パラスタックアンテナ」もございます。
パラスタックアンテナは、同素子数の通常型八木式アンテナに比べて、約4倍程度の受信性能を発揮する上、27素子、30素子などの多素子モデルも存在し、微弱電界地域など、地デジ電波レベルが非常に低い現場でも使用できます。
他にも、パラスタックアンテナであれば5素子前後のモデルでも、通常型の14素子モデルとほぼ同様の受信性能を発揮するため、アンテナ本体の小型化にも利用されます。

この素子数の他にも、八木式アンテナは、基本的に高い位置へと設置されるため、地デジ電波を遮る周辺の障害物などに影響されにくい。素子が露出して受信感度が高まる「素子アンテナ」である。指向性が鋭い。オールチャンネルアンテナ以外に、ローチャンネル用アンテナなど、チャンネル帯を限定したアンテナモデルが存在する唯一の機種である、などの点から、総合的に受信性能が高くなります。

したがって八木式アンテナは、地デジアンテナ各機種の中で、もっとも受信性能が高くなるモデルとなります。

もうひとつの八木式アンテナのメリットは、設計がシンプルで、現在では製造や設置の技術も確立された古典的機種であるため、本体価格や設置工事費が、地デジアンテナ機種ではもっとも低価格という点です。
他にも、同じマストにBS/CSアンテナを設置できて、双方の角度調整が行いやすいなどのメリットもございます。

一方で、これらの要素は、八木式アンテナのデメリットにつながる部分もございます。
八木式アンテナの主なデメリットは、その形状と設置位置から、住宅の屋根の上では目立ってしまい、家の見た目や景観を乱しやすい点です。
そのため、近年のデザイン性が高い住宅では、八木式アンテナを敬遠されるお客様も多くなっております。他にも、景観地域などでは景観条例の奇声により使用できないことがある。。アンテナの一部が隣家の敷地にはみ出す越境問題が起こる場合もある。太陽光パネルを設置している住宅では、パネルに影を落として発電に悪影響を与えることもある、などのデメリットも考えられます。

さらにやはり形状や設置位置から、雨風や雪、海沿いの潮風による塩害。鳥が留まりやすい形状による鳥害など、自然環境に影響されやすく、トラブルや経年劣化、耐用年数の低下などの原因となる点が、八木式アンテナの大きなデメリットとして挙げられます。
特に八木式アンテナは、指向性の鋭さが受信性能を高める半面、わずかな角度のズレが受信性能の低下につながってまいります。

屋外に設置された八木式アンテナの寿命は約10年程度とされております。ただ自然環境が穏やかな現場ではより長い寿命になることもある反面、環境が厳しい現場では10年以下で寿命を迎える場合もございます。特に寿命が近づいた八木式アンテナでは、角度のズレなどのトラブルが生じやすくなるため注意が必要です。

なお自然環境に対しては、近年の八木式アンテナは設計や素材の改良による軽量化、耐水性、防サビ性が向上している他、豪雪地帯や海沿いなどの自然環境に合わせた設計の工夫を施した、雪害用、塩害用モデルも存在します。
八木式アンテナでも現場の環境に合わせて、このようなモデルを採用することで、寿命の長期化やトラブルの軽減が期待できます。

ちなみに、ある国産大手アンテナメーカーを例に、八木式アンテナ各モデルの動作利得、半値幅の例をご紹介すると、以下の通りになります。

(オールチャンネルアンテナ)
・8素子:動作利得5.0から9.9㏈/半値幅42度から63度。
・14素子:動作利得8.0㏈から12.5㏈/半値幅34度から57度。
・20素子:動作利得8.5㏈から13.8㏈/半値幅28度から52度。

(ローチャンネル用アンテナ)
・20素子:動作利得は10.1㏈から13.5㏈/半値幅は28度から47度。

(パラスタックアンテナ)
・5素子:動作利得7.2㏈から10.5㏈/半値幅35度から56度。
・14素子:動作利得10.6㏈から13.5㏈/半値幅26度から43度。
・20素子:動作利得11.3㏈から14.5㏈/半値幅18度から35度。
・27素子:動作利得10.6㏈から16.4㏈/半値幅15度から40度。
・30素子:動作利得13.2㏈から16.1㏈/半値幅18度から29度。

通常モデルに比べて、ローチャンネル用やパラスタックアンテナは動作利得の数値が高く、高性能モデルほど半値幅が狭くなることがおわかりいただけると存じます。

総じて八木式アンテナは、本体の基本的な性能の面では、安定した受信性能を期待できる半面、自然環境の影響による受信トラブルが生じやすい機種になります。
八木式アンテナへの自然環境の影響や外観性については、壁面やベランダ内外など、設置位置を工夫することで解決できる場合もございますが、その場合、設置位置が低くなるため、受信性能がやや低くなるケースもございますので、ご注意ください。

なお当あさひアンテナでは、八木式アンテナの設置、および、その他の機材を使用しない一本のケーブルによる配線を行う基本設置工事では、日本三大アンテナメーカーの一社、DXアンテナ製の高品質20素子アンテナ「UA20」と設置具、同軸ケーブル、本体の防水処理などをセットにして、税込み15,000円からでご案内しております。

また上記モデルの他にも各素子数モデルやパラスタックアンテナ、ローチャンネルなど各チャンネル帯の対応モデル、また軽量で強風やサビに強いステンレスモデル、塩害用モデル、雪害用モデルなど、さまざまな自然環境に対応するモデルをご用意しており、現場の条件やお客様のご要望に合わせて、ご対応いたします。

八木式アンテナ本体や設置方法などについての詳細は、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?

・高利得、高性能な地デジ用パラスタックアンテナ徹底解説

・地デジ「八木式アンテナ」に適した住宅の条件とは? アンテナ設置工事の特徴や種類を徹底解説!

・屋外用地デジアンテナは八木式アンテナが最強? 人気のデザインアンテナ、ユニコーンアンテナと特徴比較&おすすめの選び方紹介

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地デジ用UHFアンテナ「デザインアンテナ」とは?

デザインアンテナとは、アナログ放送から地デジ放送への転換期であった、2009年(平成21年)頃に普及しはじめた、地デジアンテナの第二世代にあたる機種です。
デザインアンテナの外観は、長方形で薄型のケースにアンテナ本体部を収めた、シンプルでスタイリッシュなものです。その大きさは、メーカーごとのモデルや受信性能などでも異なりますが、縦幅はおよそ60センチ前後、横幅は20センチ強から25センチ前後。厚さは設置具も含めて十数センチのモデルが多くなります。また同モデルでも4色前後のカラーバリエーションが豊富である点も特長です。

その形状やカラーバリエーションは、住宅の壁面への設置を前提にしたものになります。したがってデザインアンテナの主な設置場所は、住宅の壁面やベランダの手すり部に、専用の固定具を設置して、アンテナ本体を取り付けるという方法になります。
他にも背面でマストに固定できるモデルもあるため、壁面やベランダの他、屋根の上に立てられたマストに設置されることもございます。
またコンパクトモデルを中心に、縦置きスタンドが付属するモデルも存在するため、強電界地域などでは、室内の窓際に据え置きされることや、住宅の建材などの条件が整っていれば、住宅の屋根裏、天井裏空間への取り付けも可能となります。

デザインアンテナの受信性能は、主に「20素子相当」「26素子相当」となり、受信性能が高いほど本体サイズは大きくなります。
他にも受信性能は3素子相当で強電界地域専用のモデルながら、縦幅36センチ程度、横幅15センチ程度で、付属のスタンドにより室内設置も可能なマスプロ電工製「U2SWLC3/U2SWLC3B(スカイウォーリーミニ)」。また14素子相当でやや小型となり、同じく室内設置も可能な日本アンテナ社製「UDF85/UDF85B」などのモデルもございます。

他にも、デザインアンテナの各種モデルには、通常モデルの他、受信した地デジ電波を増幅するブースター内蔵型が多くなります。
このようなデザインアンテナは、形状や設置位置などから、平面アンテナの他、壁面アンテナ、薄型アンテナ、フラットアンテナ、ケースアンテナ、ボックスアンテナなどの別名もございます。
またデザインアンテナの名称は、広義には後述のユニコーンアンテナや、マストの先に固定される、横長で楔状の横型アンテナ。また独自のデザインを持つ屋外屋内兼用アンテナなど、デザイン、形状に工夫のある地デジアンテナの総称としても使われます。

平面アンテナとしてのデザインアンテナは、主に八木式アンテナがもつデメリットをカバーする役目を持つ地デジアンテナ機種になります。

すなわちその第一のメリットは、形状や設置場所、そして住宅の色合いと調和する本体色の豊富さから、住宅の壁面などに設置しても、名称通り住宅のデザインの一環のように見えて、家の外観や景観などを乱さない点になります。
それに伴い、景観地域でも設置に問題がない。越境問題も起こりにくい。太陽光パネルにも影響しないというメリットも出てきます。

デザインアンテナの、もう一つの大きなメリットが、壁面などに貼り付けるような設置で、風雨や雪、鳥などの自然環境にも影響されにくく、経年劣化が抑えられて角度のずれなどのトラブルが生じにくく、耐用年数(寿命)が延びる点です。
屋外の一般的な位置にデザインアンテナを設置した場合の耐用年数は、15年から20年程度と比較的、長寿命になります。

一方で、八木式アンテナの弱点をカバーすべく開発されたデザインアンテナは、逆に八木式アンテナのメリットには及ばない面もございます。
デザインアンテナの第一のデメリットは、八木式アンテナなど他の地デジアンテナ機種に比べると、受信感度が低くなりやすい点になります。

これは主に、設置の位置が壁面など、屋根の上より低い位置であるため、設置現場の周辺に電波を遮る高層建築物などがあると、影響を受けやすいことが原因になります。
他にも、素子部分が露出していない。指向性がやや広い。オールチャンネルアンテナしか存在しないといった特性もあるため、同素子数(相当)の地デジアンテナでも、デザインアンテナの受信感度はやや低めになる傾向がございます。

これらの要因から、デザインアンテナは基本的に、強電界地域から中電界地域向けの地デジアンテナ機種になります。弱電界地域でも比較的、受信環境が良い現場では、26素子相当、ブースター内蔵型などであれば設置できるケースもございますが、実際には設置が難しいケースも多くなります。

また強電界地域から中電界地域でも、高層建築の近隣、また隣家との間隔が狭い住宅密集地などでは、特に壁面などの位置に地デジ電波が届きにくく、デザインアンテナを設置しても十分なレベルの地デジ電波が受信できないため、設置できないケースが多くなりますので、どうかご注意ください。

他にも、デザインアンテナには、八木式アンテナに比べるとアンテナ本体価格や設置費用がやや割高になる。また壁面設置の場合は、壁にビス穴を開ける必要があるなどのデメリットがございます。

ちなみにデザインアンテナの動作利得、半値幅は、ある有名メーカーのモデルでは、以下の通りになります。

・20素子相当:動作利得7.8㏈から9.8㏈(標準値)、7.5㏈から9.7㏈(規格値)/半値幅75度から86度。
・26素子相当:動作利得8.4㏈から10.2㏈(標準準値・規格値)/半値幅71度から82度。

八木式アンテナに比べると半値幅が広く、角度調整が行いやすい分、動作利得がやや低いことがおわかりになると存じます。なおブースター内蔵モデルの動作利得は、20素子相当で25㏈から33㏈、26素子相当で26㏈から34㏈になります。半値幅に通常モデルとの違いはございません。
総じてデザインアンテナは、外観性や対候性に優れる半面、受信性能はやや低くなり。設置できる現場が限られてくるほか、周辺環境や気候、天候などにも影響されやすい地デジアンテナ機種になりますので、注意が必要と言えます。

なお当あさひアンテナでは、デザインアンテナの基本設置工事では、DXアンテナ製の20素子相当高品質モデル「UAH201」。または前述のコンパクトモデル「U2SWLC3(スカイウォーリーミニ)」をご用意し、各カラーのアンテナ本体と基本の設置具。白黒2色の同軸ケーブルなどをセットに、税込み20,000円からの工事費用でご案内しております。

またデザインアンテナの屋根裏空間、天井裏空間への設置についても、現場の条件で可能であれば、追加料金なしの基本工事費用でご対応いたします。

他にも、26素子相当やブースター内蔵のモデルもご用意しておりますので、やや電波環境の悪い現場でも、可能な限りデザインアンテナの設置にご対応いたします。

その他、デザインアンテナの特徴やメリット、デメリットなどについては、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
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デザインアンテナ ご新築でのアンテナ工事

地デジ用UHFアンテナ「ユニコーンアンテナ」とは?

ユニコーンアンテナとは、2017年(平成29年)に、マスプロ電工が開発した同社独自の地デジアンテナモデル「U2CN」のことです。商品名は、ギリシャ神話に描かれる、一本の角が生えた馬の姿をした、架空の一角獣「ユニコーン」に由来しており、その名称はマスプロ電工の登録商標にもなっております。
第三世代の地デジアンテナ機種で、2023年現在の最新機種でもあるユニコーンアンテナは、長さは約67センチ、直径は約14センチの、ほぼ円筒形のアンテナで、マストの先に立てて固定される機種になります。

カラーバリエーションは、反射が少ない落ち着いた色合いの「ウォームホワイト(WW)」「ブロンズブラック(BB)」の二色で、マストとの接続部をカバーで隠せるため、非常にシンプルでスタイリッシュな外観となります。

その主な設置場所は、八木式アンテナと同じく屋根の上に固定されたマストの先。住宅の破風板(屋根の張り出し部)や壁面の高所などに設置されたサイドベースなど、基本的に屋根の上、または同等の高い位置に設置されます。

ユニコーンアンテナは、第三世代の地デジアンテナとして、八木式アンテナ、デザインアンテナのメリットを兼ね備えるアンテナ機種になります。

具体的なメリットは、その独自の形状から、高い位置に設置しても、住宅の外観や景観にほとんど影響を与えない。そして雨や風、雪などを受け流せる形状により、経年劣化が進みにくく、トラブルも生じにくく、耐用年数(寿命)が長くなることです。
それに伴い、景観地域への設置にも問題がない。越境問題や太陽光パネルへの悪影響もおりにくいなど、デザインアンテナに共通するメリットを備えます。

受信性能に関しては、ユニコーンアンテナ本体は20素子相当のみになりますが、八木式アンテナと同じく高所に設置されることから、地デジ電波を遮る周囲の障害物に影響されにくく、受信感度が高まるという点が大きなメリットです。さらにマスト部にBS/CSアンテナをまとめて設置することも可能です。

ただユニコーンアンテナには、20素子相当のオールチャンネルアンテナしか存在しない。素子が露出していない。デザインアンテナより指向性が広いなどの点から、同じ20素子の八木式アンテナや、それ以上のモデルには受信性能が及ばないというデメリットもございます。
そのためユニコーンアンテナも、基本的には強電界地域から中電界地域向けの機種となり、弱電界地域では設置できない場合もございます。

ただ、強電界地域から中電界地域の場合、高層建築物の付近や住宅密集地などの環境から、デザインアンテナの設置が難しい現場でも、ユニコーンアンテナであれば、設置位置を高くできるため、設置に問題がないケースが多くなります。

他にも現在の最新機種であるため、地デジアンテナでは本体価格や設置費用がもっとも高価になる。また純和風建築など住宅の様式によっては、ユニコーンアンテナのデザインが似合わず外観性を崩すこともある、などの点もデメリットと申せます。

なおユニコーンアンテナの動作利得は。5.5㏈から6.2㏈、半値幅は83度から93度になります。高所に設置できることで受信性能が高まる他、半値幅も広いため、角度のズレによるトラブルが生じにくい面もございますが、一方で動作利得は素子数相当のわりに、やや低いと言えます。

総じてユニコーンアンテナは、デザインアンテナとほぼ同様のメリットを持ちながら、高所への設置により、デザインアンテナが使用できない現場でも設置できるケースが多い。さらに受信感度も高くなる地デジアンテナ機種と言えます。
設置費用がやや高価になるのは難点ですが、テレビアンテナを長期にわたって使用するマイホームであれば、受信性能と外観性、対候性を兼ね備える、コストパフォーマンスの高い地デジアンテナが、ユニコーンアンテナです。

当あさひアンテナでは現在、ユニコーンアンテナ本体と設置具、ケーブルなど基本の部材費を含めた基本設置工事を、業界最安に挑むキャンペーン価格でご案内しております。詳しくは弊社フリーダイヤルやメールフォーム、LINEまで、お気軽にお問い合わせください。

その他、ユニコーンアンテナの特徴や、デザインアンテナとの比較などについては、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!

・台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?

・デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説

アンテナ設置

衛星放送の仕組みと使用される電波とは?

衛星放送とは、地上波放送である地デジ放送とは、放送の形式がまったく異なる、その名の通り人工衛星を利用するテレビ放送になります。

具体的には、地上から約36,000キロ上空、赤道軌道上を地球の自転に同期して周回し、地上からは空の一点に静止しているように見える「静止衛星」を利用しています。
この静止衛星に、地球上にある衛星放送の送信局から、テレビ電波を送信(アップリンク)し、受け止めた静止衛星にて電波を増幅したのち、地球上の広範囲へ放送電波を送り返す(ダウンリンク)のが、衛星放送の仕組みです。

衛星放送の特性は、一基の静止衛星から、日本国の全域など広範囲へと、大容量の放送電波を送信できる、非常に効率的な放送である点です。
さらに地上の山地などの地形、高層建築物といった障害物。また地上の災害などにもほとんど影響を受けず、安定して放送を行うことが可能な点もメリットと言えます。

なお日本の衛星放送は、「Broadcast Satellite(放送衛星)」を使用し、NHK、広域民放の基幹放送などの無料チャンネルと、月額契約制の有料チャンネルがあるBS放送
そして「Communication Satellite(通信衛星)」を使用し、CS放送事業者と契約を結ぶことで視聴でき、多チャンネルの大半が有料チャンネルで、契約者が好みのチャンネルと個別に契約することで視聴できるCS放送の2種類になります。

なおBS放送、CS放送とも、主な放送サービスは、東経110度に位置する放送衛星、通信衛星を使用して行っております。ただCS放送には、別途に東経124度/128度の通信衛星を使用したサービスも存在します。

そしてこの衛星放送では、静止衛星から地上までの長距離まで電波を送信する必要があるため、地デジ放送のUHF波よりも周波数帯が高い、マイクロ波の一種、SHF波でも、12GHz前後の周波数帯の電波を使用しております。
ちなみに1GHzは10億Hzに該当し、衛星放送の電波は「12GHz帯」とも呼ばれます。

周波数帯が高い12GHz帯の電波は、波長の幅が25ミリ前後と非常に短いもので、性質が光に近く、直進性が高くなるため、衛星放送の電波に適しております。

衛星放送では、静止衛星から送信される12GHz帯の電波により、日本全域をスポットライトで照らすような形で、電波を送信しております。そのため、エリアによって多少の電波レベルの差は生じるものの、地デジ放送の電界地域のような大きな差は生じず、基本的に日本国内の全域で安定した電波レベルを受信可能になります。

一方で、この12GHz帯の電波には、UHF帯とは異なる独自の性質もあり、その点が、衛星放送の受信トラブルにつながることもございます。これらの点については、後の項でご説明いたします。

なお衛星放送の電波については、以下のコラム記事でも詳しく解説しております。
・衛星放送(BS放送・CS放送)の「テレビ電波」基礎知識

衛星放送用のBS/CSアンテナとは?

戸建て住宅などに設置される衛星放送用のテレビアンテナは、一部の特殊なモデルを除いて、基本的にパラボラアンテナの一種類のみになります。

現在の主要な衛星放送用のアンテナは、一基でBS放送、110度CS放送の双方を受信できる、BS/110度CSアンテナになります。双方とも静止衛星が東経110度に位置するため、一基のパラボアアンテナで双方を受信可能なのです。
なお、なおCS放送でも東経124度、128度の通信衛星を使用する放送サービス(スカパー!プレミアムサービス)の受信には、対応する専用アンテナが必要となります。

衛星放送用のパラボラアンテナは、主に大きな皿のような「反射器(放物面反射器)」または「ディッシュ(dish:皿)」と、その背面から延びるアームで、ディッシュの中央部に固定された「コンバーター(変換器)」から成り立つアンテナです。

衛星放送では、静止衛星から送信される12GHz帯の電波を、東経110度の方向へと正確に向けたBS/CSアンテナのディッシュ部で受け止め、反射させてコンバーターの一次放射器へと集めます。ただ12GHz帯の電波は周波数が非常に高いため、受信したアンテナからそのままケーブルで送信すると、減衰量が非常に大きくなります。

そこでコンバーターにより、まず12GHz帯から、ケーブルでの送信に適したMHz帯の電波に変換するのです。なおコンバーターには電源が必要になるため、アンテナ配線部のブースター、またはテレビなどのチューナー端子からの給電が必要となります。

このようにBS/CSアンテナはどれも構造が同じパラボラアンテナであるため、メーカーやモデルは違っても、受信性能に大きな差は生じません。

BS/110度CSアンテナの主なバリエーションには、ディッシュ部の直径サイズになります。ディッシュ部が大きいほど、受け止められる12GHz帯の電波の量が大きくなるため、受信性能が高くなるのです。
戸建て住宅用のBS/CSアンテナは、ディッシュ部の有効直径が45センチの45型です。
12GHz帯のように周波数帯が高い電波はエネルギーを集中させやすいため、パラボラアンテナの側も小型化が可能となり、一般家庭向けでは45型でも十分な受信性能を持ちます。

他にもマンションなど集合住宅用の共同受信アンテナとして、建物の規模に応じた50型、60型、75型、90型、120型などの大型モデルが存在します。

他にも、屋外に設置されるBS/CSアンテナの本体色は、太陽光に影響を受けにくい白色系が中心ですが、現在では同じく太陽光に強い塗料を用いた、ブラックなどのカラーバリエーション。またディッシュ部のパンチングホール仕様や、各接合部の強化により、耐風性を格段に向上させた高耐風モデルなども存在します。

なお、当あさひアンテナでは、BS/CSアンテナの通常モデルに、DXアンテナ製の最新モデル45型2K4K8K対応型「BC45AS」をご用意し、地デジアンテナとセットの設置では、アンテナ本体や基本的な設置具、ケーブルなどをセットにして、税込み15,000円からの基本設置費用でご案内しております。

他にも、各ディッシュサイズや黒のカラーバリエーション、高耐風モデルなどのBS/CSアンテナをご用意しておりますので、マンションなど集合住宅をはじめ、住宅の外観性や対候性など、設置位置を含めてさまざまなご要望のBS/CSアンテナ設置にご対応できます。

なお、BS/CSアンテナにも、受信する12GHz帯の電波やアンテナ本体の特性から、設置にはさまざまなポイント、注意点がございます。その点も、以下の項で解説してまいります。
またBS/CSアンテナについては、以下のコラム記事でも詳しい解説がございます。
・BS/CSアンテナ(衛星放送用アンテナ)の基礎知識
・BS/CSアンテナの設置方法と工事費用の目安
・衛星放送用バラボラアンテナ・BS/CSアンテナの種類と選び方とは? 地デジテレビアンテナとの違い、家屋への設置工事を解説
・衛星放送用BS/CSアンテナの種類と性能とは? 地デジテレビアンテナとの違い、設置工事の方法から機種の選び方まで解説!
・BS/CSアンテナには電源が必要? テレビから衛星放送用アンテナに電源設定を行う方法

E202エラーの解消法 アンテナ工事

衛星放送の受信トラブルで考えられる原因とは?

以下の項では、衛星放送の受信において、受信できる電波レベルが下がり、正常に視聴できなくなった場合、主に受信環境、およびBS/CSアンテナ設置に問題があるケースについて、考えられる原因と、その対策を解説してまいります。

原因1:BS/CSアンテナが東経110度を正確に向いていない。

上記のように、衛星放送では、東経110度に位置する静止衛星から、光のように直進して送られる12GHz帯の電波を受信するため、BS放送、110度CS放送の場合は、BS/CSアンテナのディッシュ部を、東経110度の方向へと正確に向ける必要がございます。

この角度にミリ単位のわずかな狂いでも生じてしまうと、ディッシュの内側、放物面に反射した12GHz帯の電波が、コンバーターに集中する焦点がずれてしまうため、12GHz帯の電波の受信レベルが大きく低下してしまうのです。

日本から見て東経110度は、南西から南南西の方角となります。ただ衛星の角度は同じでも、日本は南北に長い地形であるため、地域によってその方角は微妙に異なります。
この各地における東経110度に合わせて、BS/CSアンテナのディッシュ部を、仰角(上下の角度)、方位角(左右の角度)とも正確に向ける必要があるのです。

そのためBS/CSアンテナの設置では、まず日本国内のエリアに合わせた、正確な東経110度の方向を確認して、その角度に合わせて正確にBS/CSアンテナを設置することになります。つまりBS/CSアンテナは、地デジアンテナ以上に指向性が鋭いアンテナといえます。

BS/CSアンテナの角度調整は、当あさひアンテナなど、アンテナ工事の専門業者にお任せになれば、大きな問題はございません。
ただ一般の方がBS/CSアンテナをDIY設置される場合には、日本各地における東経110度を確認する方法として、日本三大アンテナメーカーのひとつである大手メーカー、日本アンテナ社が提供するスマートフォンアプリ「BSコンパス」など、スマートフォンアプリをご利用される方法がもっとも簡単です。

「BSコンパス」では、アプリ上にお住まいのエリアを設定することで、スマホの画面に東経110度を示すコンパスが表示されるため、スマホをあてがってBS/CSアンテナの角度設定を行うことで、仰角、方位角とも、簡単に調整できるようになります。

他にもインターネットには、日本各地の東経110度にあたる角度の一覧表が掲載されているサイトが存在します。またBS/CSアンテナの製品には、角度調整部に、日本地域の東経110度の方向が表示されているものもございます。
これらを利用することでも、BS/CSアンテナの角度調整は手軽に行えます。

ただBS/CSアンテナは、ただ各地域ごとの東経110度に合わせればいいだけでなく、各現場にて、12GHz帯の電波の受信感度が最大になるよう、微調整の必要もございます。
さらに、正確な角度調整でBS/CSアンテナを設置した後も、風雨などの影響により、アンテナ角度がズレてしまうこともございますので、この点にもご注意ください。

特にパラボラアンテナであるBS/CSアンテナは、ディッシュ部が風雨を受けやすい構造のため、設置の際には、多少の雨風などには影響されない、しっかりした固定が必要です。
そのため、基本的には、高い施工技術を持つアンテナ設置のプロ、アンテナ工事の専門業者にご依頼になることがおすすめです。他にも、高耐風モデルのBS/CSアンテナを使用することで、風雨などの影響に対して、非常に有効な予防策となります。

当あさひアンテナでは、前述の「BC45AS」とは別に、45型2K4K8K対応モデルながら、各接合部の強化やパンチングホール仕様のディッシュにより、受信可能風速50m/s、耐破壊風速70m/sと、業界最強レベルの耐風性能を誇る高耐風モデルのBS/CSアンテナ、DXアンテナ社製「BC453SG」もご用意しており、通常モデルと同様の基本設置工事を、特別価格でお引き受けしております。

この「BC453SG」や、BS/CSアンテナの指向性については、以下のコラムで詳しくご紹介しております。
・台風対策に最適! 究極の高耐風BS110度CSアンテナ「BC453SG」(DXアンテナ)
・BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!

原因2:東経110度の方向に障害物が存在する。

前述の通り、衛星方法の12GHz帯の電波は、非常に周波数帯が高く、波長の長さは25ミリ程度と短くなります。
したがってその性質は、地デジ電波に比べてより光に近く、静止衛星から各現場に設置されたBS/CSアンテナまで直進的に届くため、静止衛星からBS/CSアンテナにいたる直線状に、わずかな障害物でもあると、光が遮られて影を落とすように、電波が遮られてしまいます。

具体的な障害物の例としては、山地や建物などはもちろん、電柱や電線、樹木やその枝葉、また洗濯物などのわずかなものでも、BS/CSアンテナを向けた東経110度の方向に存在すると、衛星放送の受信不良が発生するのです。

またこのような性質から、12GHz帯の電波は、住宅の壁や屋根などを透過することもないため、シンプルな透明の一枚板である窓ガラスの窓際などを除き、BS/CSアンテナを屋内に設置することも、基本的にはできません。

なおBS/CSアンテナを向ける東経110度の方向に、建物などの障害物が存在する場合、アンテナの位置を起点に計った障害物の高さに比べ、アンテナと障害物との距離が1.5倍以上であれば、受信に対して特に問題は生じません。

例えばBS/CSアンテナを向ける方向に、アンテナより5メートル高い障害物がある場合、アンテナと障害物の間が7.5メートル以上も離れていれば、受信に悪影響はないことになります。
ご参考まで、BS/CSアンテナを室内の窓際に設置する方法については、以下の各コラム記事で詳しく解説しております。
・BS放送、CS放送を視聴する衛星放送用テレビアンテナを室内に設置する方法とその条件、おすすめの設置用製品とは?
・室内に衛星放送用のBS/CSアンテナを設置してBS放送、CS放送のテレビ番組を観る方法、5大チェックポイント解説!
・BS/CSアンテナ(衛星放送用)を室内に設置する方法

原因3:悪天候による12GHz帯の電波の乱れ。

ここまででもご説明した通り、電波は水分に弱く、地デジ電波も悪天候で電波状態が悪化する、積雪などの水分で減衰するなどの問題が生じます。そして衛星放送用の12GHz帯の電波は、その波長の長さが25ミリと短くなります。

そのため、多少の降雨や降雪では、大きな影響を受けることはないものの、雨や雪の粒が25ミリに近くなる、激しい降雨、豪雪では、空中で12GHz帯の電波が電波が雨や雪に吸収され、乱反射も発生することにより、電波状態が極端に悪化して、BS/CSアンテナの側で十分な受信ができなくなってまいります。この現象を「降雨減衰」「降雪減衰」と呼びます。

降雨減衰や降雪減衰への対策は、基本的に、天候の回復を待つのみになります。ただ、前述した戸建て住宅向けの45型BS/CSアンテナではなく、50型、60型、75型など、やや大型で受信性能が高いBS/CSアンテナを使用することで、降雨減衰、降雪減衰を抑えることも可能です。

ただこのようにサイズが大きいアンテナは、戸建て住宅への設置が難しく、また風雨に影響を受けやすくなる面もございますので、注意が必要となります。
降雨減衰、降雪減衰については、以下のコラムでも詳しくご説明しております。
・雨や雪が降るとBS、CSの衛星放送が映らなくなる原因と衛星放送用テレビアンテナを調整して映るようにする対処方法とは?

原因4:一部エリアにおける12GHz帯の電波の減衰。

前述のように、衛星放送では、東経110度の宇宙空間に位置する静止衛星から、日本全域をスポットライトで照らすようにして12GHz帯の電波を送信しております。
そのため地デジ放送と異なり、上記した悪天候や障害物の影響を除けば、日本国内の全域で、安定して衛星放送を受信できるのが特徴です。

ただ衛星放送の電波も、日本国内の中心部に比べて、スポットライトの端に近いエリアに当たる、日本国内の北部や南端部、離島部などでは、静止衛星からの距離が長くなるため、距離による減衰が生じ、衛星放送の電波レベルがやや弱まります。

このようなエリアで衛星放送を安定して受信するためには、降雨減衰、降雪減衰への対策と同じく、戸建て住宅でも50型、60型などやや大型のBS/CSアンテナが必要となってまいりますので、ご注意ください。

原因5:BS/CSアンテナや機器が「新4K8K衛星放送」に対応していない。

2018年(平成30年)には、従来の衛星放送であるBS放送、CS放送に、それぞれ複数の4K、8Kチャンネルが追加される形で、衛星放送の4K8K放送「新4K8K衛星放送」がスタートしております。
そしてこの新4K8K衛星放送では、多くのチャンネルで、従来の2K衛星放送に使われていた12GHz帯の電波「右旋円偏波」とは異なる「左旋円偏波」が使われております。

右旋円偏波とは、静止衛星から右回りの螺旋を描いて送信される電波ですが、この右旋の電波はすでに多くの衛星放送チャンネルが使用しており、新しく追加される4K8Kのチャンネルに割り当てられる周波数帯が不足したのです。

そこで右旋円偏波でも使用できる周波数帯には、基幹的な放送であるBS放送のNHK、広域民放の4Kチャンネルを割り当て、それ以外の4K8Kチャンネルには、左回りの螺旋を描く左旋円偏波を導入し、その周波数帯を割り当てたのです。

またこの右旋円偏波、左旋円偏波とも、BS/CSアンテナで受信した後、コンバーターでMHz帯の電波に変換されます。この際、右旋円偏波は1032MHzから2072MHzの周波数帯へ、左旋円偏波は、やや周波数帯が高い2224MHzから3224MHzへと変換されます。

このような条件から、現在の衛星放送で、新4K8K衛星放送のチャンネルを視聴するためには、4K、8Kテレビだけでなく、BS/CSアンテナも、右旋と左旋、双方の電波を受信できる2K4K8K対応の機種が必要となります。

さらにBS/CSアンテナからテレビまでをつなぐ同軸ケーブルやブースター、分配器などの機器も、左旋の電波が変換された周波数帯に対応できる、4K8K(3442MHz)対応型である必要がございます。

2018年以降、現在のBS/CSアンテナは、ほとんどすべて2K4K8K対応型モデルとなっており、BS/CSアンテナの配線工事に使用される機器も、基本的に4K8K放送の受信を前提とした機器が使用されます。
ただ2018年以前に設置された2K対応型のBS/CSアンテナ(現在は生産終了)や配線部の場合、左旋円偏波を受信、送信できないケースがございます。

このように設置時期が古いBS/CSアンテナの設備で、すべての新4K8K衛星放送のチャンネルをご視聴いただくためには、アンテナ本体をはじめ、配線部やその機器などを、左旋円偏波や3442MHzの周波数帯に対応できる製品へと交換する必要がございますので、特にご自宅のBS/CSアンテナの設置時期が古い場合は、ご注意ください。

なお新4K8K衛星放送のご視聴に必要なアンテナや機器については、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・新4K8K衛星放送とは? 4K、8Kテレビの購入後に必要なアンテナ工事と費用の相場、おすすめ業者の選び方まで徹底解説!
・「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
・「新4K8K衛星放送」のご視聴に必要な機器・完全チェック!
・超高画質!4K・8K放送の魅力と工事について
・2K放送と4K、8K放送の違い

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地デジ放送、アンテナの受信レベルについて・まとめ

地デジ放送、衛星放送の受信にあたって、電波塔や静止衛星から届く電波の状態。または地デジ、衛星放送のアンテナ設置や、使用する機種が原因で生じうる電波レベルの低下について、考えられる主な原因は以上の通りです。

ただ、地デジ放送や衛星放送が正しく映らないという症状については、これらの要因の他にも、アンテナ配線部や機器のトラブルや調整不足、例えばブースターの増幅量不足など。またアンテナコンセントからテレビ機器などの接続の問題。テレビやレコーダーなど本体の不調など、さまざまな要因が考えられます。

またそれまで正常に受信できる環境であっても、室内の模様替えによるアンテナ配線の変更や、テレビ、レコーダーの増設などで、必要となるテレビ電波レベルが不足し、トラブルが発生するといったケースも考えられます。

これら、さまざまな要因によるテレビ映像の乱れについては、以下の各コラム記事で詳しくご説明しております。
・衛星放送用BS/CSアンテナの受信レベルが急に低くなりテレビ放送が映らない原因とその対処方法、アンテナレベル確認を解説!
・地デジ、衛星放送のテレビアンテナ故障例、テレビ放送が映らなくなった場合に考えられる原因とその対処法は? 必要な工事を解説
・BS放送、CS放送の衛星放送が映らないアンテナトラブルの原因とその対処法について、ご自宅でも可能な方法をFAQで徹底解説
・一部屋だけテレビが映らない不具合の原因と対処法
・地域別・アンテナ修理事例を徹底解説!
・地デジ放送は映るのにBS/CS衛星放送が映らない場合の対処法
・BS/CS衛星放送は映るのに地デジ放送が映らない場合の対処法
・衛星放送用BS/CSアンテナの受信レベルが急に低くなりテレビ放送が映らない原因とその対処方法、アンテナレベル確認を解説!
・地デジ、衛星放送のテレビアンテナ故障例、テレビ放送が映らなくなった場合に考えられる原因とその対処法は? 必要な工事を解説
・テレビアンテナ修理の依頼前に簡単に自分で調整できること
・テレビ本体の不具合・故障とその原因、症状別の対処法と修理費用

また上記のような事態に至った場合には、ほとんどの場合、テレビ画面に「エラーコード」が表示されます。このエラーコードも、トラブルの原因を特定するための重要な手掛かりになり得ます。
各エラーコードが示す意味については、以下の各コラム記事をご確認ください。
・アンテナ受信トラブルでテレビ画面に「E201」などエラーコードが表示されて映らない問題の原因と解決する対処の方法とは?

もしご自宅において、地デジ放送、衛星放送の画面が乱れる、映らないなどのトラブルに見舞われ、その原因や対象法がわからない場合には、当あさひアンテナのフリーダイヤル、またはメールフォームやLINEまでお気軽にご相談ください。

専門知識と経験の豊富な弊社の担当者が、ご自宅の環境や条件などから、想定できる原因と、その対処法をご説明いたします。そしてお電話などでご説明した対処法によって、トラブルが解決した場合には、料金はいただきません。

もしお電話などでのご対応でトラブルが解消されず、アンテナの修理や調整、ひいては設置位置の移動や交換などの、大掛かりな対応が必要と思われる場合には、お客様からご依頼を頂ければ、すぐに弊社スタッフが現場へと駆け付け、適切な工事と、業界最安に挑む工事料金で、早急に問題を解決いたします。

ご自宅でもし地デジ放送、衛星放送の受信トラブルが起こった際には、まずは当あさひアンテナまで、ご相談をお寄せいただければ幸いです。

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あさひアンテナ 工事 職人

アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 20,000円(税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。