テレビアンテナの電波を各部屋に分岐する方法は? 分配器と分波器の違い・接続方法や選び方

2023年04月11日

戸建て住宅などでテレビアンテナからのケーブルを端子に接続し、複数の部屋に分岐する分配器について、その種類や使用する上での注意点。名称の似た分波器、分岐器などの違いについてご説明いたします。

 

昭和の昔、ブラウン管式のテレビと言えば、一家に一台と言われる高級家電製品でした。そのため当時は、家族で同じ時間帯に観たいテレビ番組を争う「チャンネル争い」と呼ばれる言葉はよく知られておりました。

ただ昭和も年代が下がるにつれ、テレビの低価格化により、一家に一台から、家族一人に一台と言われるようになり、さらには当時の録画機器であるビデオデッキの普及もあって、チャンネル争いも自然に消滅してゆきました。

さらに平成期にいたると、衛星放送の普及によるテレビ番組のコンテンツ増加。地上波放送の地デジ(地上デジタル放送)化。さらにビデオデッキからDVDレコーダーへの転換や、往年のテレビ番組のDVD化なども多くなり、懐かしのテレビ番組を気軽に視聴できる環境も整ってゆきました。

そして令和の現在では、DVDからブルーレイへの転換。全局録画も可能な大容量HDDレコーダーの普及。さらにはインターネット、スマートフォンの動画配信サービス、見逃し配信サービスなどもすっかり定着しており、テレビ番組は放送時間にリアルタイムで観るもの、という感覚すらすっかり薄れております。

 

そのような現在、テレビもブラウン管から液晶テレビへの転換を経て、地デジ対応のフルハイビジョン。そして4K、8Kの高精細化へと進化しております。テレビ本体も、かつてのテレビ放送の受信機だけでなく、BDレコーダーやパソコン、ゲーム機のモニター。また直接、インターネットに接続してのネット閲覧や、動画配信サイトの視聴など、多彩な機能を持つようになっております。

ただ現在でも、テレビと言えばやはり地デジ、衛星放送の視聴する用途がメインになっております。テレビ放送を視聴する方法も、今日ではケーブルテレビ(CATV)、光テレビなども登場しているものの、主流はテレビアンテナの設置になります。

 

戸建て住宅などに設置される地デジ、BS/CSのテレビアンテナは、いったん取り付け工事を行えば、想定外の災害やトラブルなどがない限り、十年以上にわたって安定してテレビ放送を受信し続けることができます。またNHKの受信料やBS放送、CS放送の有料チャンネルを除けば、月額視聴料などが不要で、永続的に無料でテレビ放送を視聴できるのも大きなメリットです。

 

ただ、戸建て住宅などの各部屋に複数台のテレビを設置することが普通となった現代では、テレビアンテナから屋内の各室へとテレビ電波を送信する配線が必須となります。そこで当コラムでは、テレビアンテナからの配線を複数の部屋と分岐する方法、特に現在の主流である「分配器」を使った電波の分配方法。また分配器を使用する方法やその種類。使用上の注意点などについてご説明してまいります。

 

テレビアンテナから電波を送る配線を、複数の部屋へ分岐する仕組みとは?

現在の戸建て住宅などでは、主に以下のような機器を用いたテレビアンテナ配線を行うことで、基本的にはそれぞれ一基ずつ設置される地デジ、BS/CSの各アンテナから、複数の部屋にあるアンテナコンセント、およびテレビ、レコーダーなど受信機器へとテレビ電波を送信しております。

 

テレビアンテナ本体

一般的な戸建て住宅にアンテナ設置工事を行う場合、まずは日本各地に設置された電波塔から電波を送信する地デジ放送を受信するための、地デジアンテナを設置いたします。現在では主な地デジアンテナとして「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」の三機種がございます。

そして宇宙空間の人工衛星(静止衛星)から日本全体に電波を送信する衛星放送もご視聴になる場合には、大型の皿のようなディッシュ部を持つパラボラアンテナである「BS/CSアンテナ」も設置することになります。

したがって通常、戸建て住宅に設置されるテレビアンテナは、地デジアンテナ一基か、BS/CSアンテナを加えた二基になります。

ただ地デジ放送のチャンネルには、日本全国で受信できるNHK、広域民放とは別に、一部の都府県にて個別に存在する、東京都の東京MX、千葉県の千葉テレビ(チバテレ)など、その都府県内を放送エリアとする独立放送局の地方チャンネルもございます。

地方チャンネルも地デジ放送であるため、基本的にはNHK、広域民放と同じ地デジアンテナでの受信が可能です。ただNHK、広域民放と地方チャンネルでは、電波を送信する電波塔が異なる場合もあり、現場によってはその方向が大きく離れていることもございます。

そのような現場では、指向性を持つ地デジアンテナでは、アンテナの方向をNHK、広域民放の電波に合わせると、地方チャンネルが受信できなくなります。その場合、地方チャンネル受信のためには、別個に地方チャンネル専用の地デジアンテナを設置することになります。

つまり戸建て住宅に設置されるテレビアンテナは、最大で三基ということになりますが、各アンテナで受信したテレビ電波を送信するアンテナケーブルは、個々のアンテナから別々に一本ずつ伸びることになります。

地デジ、衛星放送の基礎知識、および各種アンテナモデルについては、以下のコラム記事をご確認ください。

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混合器

上記のように、地デジ、BS/CSなど二基以上のテレビアンテナを設置している住宅では、電波を送信するアンテナケーブルも別個に二本以上となります。それをそのまま各部屋に配線すると、ケーブルの長さやその他、必要な機器の数もかさんでしまい、工事のコストが高くなってしまいます。また配線も複雑化するため、トラブルのリスクも高くなります。

そこで二基以上のアンテナを設置する場合には、それぞれのアンテナから延びるケーブルに「混合器」という機器を接続し、各アンテナのケーブルから送られるテレビ電波を、一本のケーブルにまとめて各部屋へと送信するのです。これにより住宅内の配線をシンプル化し、コストやトラブルのリスクを抑えることができます。

なお混合器で地デジと衛星放送の電波を一本のケーブルにまとめた場合には、テレビなど受信機器側の直前で、再度、それぞれの電波を二本のケーブルに分離する「分波器」を設置して、地デジ、BS/CSのチューナーへと接続します。

この混合機の設置費用は、アンテナ工事業者に依頼した場合、業者や使用する機材によっても変わりますが、機材の価格を含めて15,000円から30,000円程度となります。ただ地デジアンテナ一基しか設置しない場合はもちろん、後述するブースターが混合器の機能を兼ねている場合は、混合器の設置は不要となります。

混合器、また分波器については、以下のコラム記事にも解説がございます。

地デジ用と衛星放送用、両方のテレビアンテナ設置で工事コスト軽減のため必要な機器、混合器、分波器とは何なのか?

 

ブースター

ブースター(アンテナブースター)とは、アンテナが受信したテレビ電波を、必要なレベルの強度である㏈(デシベル)数にまで増幅する増幅器のことです。基本的には受信できる地デジ電波レベルがやや低い「中電界地域(80㏈から60㏈)」「弱電界地域(60㏈以下)」で使用される機器ですが、テレビを複数台、設置する現在の住宅では、重要な役割を果たす機器になります。

地デジ電波は、テレビなど受信機器に届いた時点の電波レベルが「34㏈以上、89㏈以下」であれば正常に視聴できますが、この範囲を超えると画面の乱れが生じてまいります。また地デジ電波は、一年を通した気候の変化や悪天候などでも電波レベルが変動するため、通常はテレビになどに届く時点で「46㏈以上、81㏈以下」が最適とされ、最低でも「40㏈以上」が必要となっております。

しかし後述する分配器によって、アンテナからの電波を三台のテレビへと分配する場合、アンテナが「100㏈」の地デジ電波を受信していても、分配によって、個々の分配先の電波レベルは約三分の一の「33㏈」程度となり、電波レベルが不足してしまいます。

そのためブースターを用いて、アンテナが受信したテレビ電波を、各住宅に設置されるテレビ、レコーダーなどの台数に合わせた電波レベルへと増幅する必要があるのです。基本的に現在では、受信できる電波レベルが強い「強電界地域(80㏈以上)」でも、三台以上のテレビ機器を設置する場合にはブースターが必要となるため、事実上、設置がほぼ必須の機器と言えます。

ブースターには主にアンテナの真下やケーブルをひき込んだ屋根裏空間などに設置する、電波の増幅性能が高い「屋外用」と、屋内に設置され受信性能はやや低いものの価格が安く、風雨などを受けないため寿命が長くなる「屋内用」があり、増幅が必要となる電波レベルに合わせた機種が使用されます。またアンテナ工事の際には、屋外用が設置されることが多くなります。

また対応できる電波の種類では、地デジ電波(UHF波)のみに対応する「UHFブースター」と、地デジ、衛星放送、または4K8K放送にも対応でき、混合器の性能も持つ「UHF・BSCS混合ブースター」があり、アンテナ工事業者に依頼した場合の、本体価格込み設置費用は、UHFブースターで20,000円から30,000円強、UHF/BSCS混合ブースターが25,000円から35,000円強です。

各電界地域およびブースターの詳細は、以下の各コラム記事でもご紹介しております。

地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは

徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方とは?

テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・前編(基礎知識編)

テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)

テレビ放送の映りが悪い際にアンテナブースターの交換は必要?

 

分配器

テレビアンテナから混合器や混合ブースターなどを経由して、一本にまとめられたケーブルを、住宅内の各部屋へと分岐させ、送信する装置が「分配器」です。

分配器は、基本的にアンテナ側から送られるケーブルを接続する一個の入力端子と、各部屋へと電波を送信するケーブルを接続する複数の出力端子をもつ機器になります。分配数については、2分配から8分配まで、7分配を除く6種類があり、個々の住宅で必要な分配数によって使い分けられます。一般的には、住宅に必要な分配数に予備の1出力端子を加算したものが使用されます。

また近年の分配器は、ほとんどが地デジ、BS/CS放送に対応できるものになりますが、2018年(平成30年)にスタートした衛星放送の4K8K放送「新4K8K衛星放送」では、従来の衛星放送より高周波数帯の電波が使用されているため、4K8K放送の電波を分配するには、4K8K(3442MHz)対応の分配器が必要となります。

分配器の設置位置は、主にブースターの先に当たる屋根裏空間の壁や柱などに固定する。または住宅内に設置された、電話回線やインターネット回線などを集積するマルチメディアボックス(情報分電盤、弱電盤)などに置かれます。

分配器の特性として注意すべき点は「入力された電波を、分配数に合わせて等分に分配する」という点です。つまり4分配器に入力された電波の強度が200㏈であった場合、4つに分配された個々の出力端子から出力される電波レベルは、それぞれ50㏈×4端子になるということです。ただ実際には、各端子や分配器本体を通過する際に、わずかな電波の減衰が生じるため、個々の分配先では50㏈をやや下回ることになります。

分配器の価格は、分配数をはじめ、メーカーや性能などによっても変わってきますが、一定の品質を持ち、アンテナ配線工事に使用される国内大手メーカー製のモデルでは、

・2分配器:4,000円程度。

・3分配器:5,000円程度。

・4分配器:6,000円程度。

・5分配器:7,000円程度。

・6分配器:8,000円程度。

・8分配器:16,000円程度。

程度になります。したがってアンテナ工事の際の分配器の設置工事費も、使用する分配器の分配数によって変動してまいります、具体的な価格としては、分配器の本体価格を含め5,000円から30,000円強となります。

なお分配器については、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。

ご自宅のすべてのテレビに電波を送る「分配器」とは? その種類と選び方を徹底解説!

テレビアンテナの分配器の設置・接続、交換方法と注意点

 

戸建て住宅でテレビ電波を各部屋に分岐させる方法とは?

上記のように、現在の戸建て住宅などにおけるテレビアンテナの配線としては、まず一基、または二基以上のアンテナからのケーブルを混合器、ブースターなどで一本のケーブルにまとめ、その先で分配器に接続して複数のケーブルへと分岐させ、各部屋のアンテナコンセントへと接続するという方法になります。

ただ、現在では使用される例は少ないものの、分配器を使用しないテレビ電波の分配方法もございます。

以下、それぞれの電波の分配方法と、その特徴について解説いたします。

 

スター配線方式

前述した分配器を用いる分配方式で、分配器を中心にケーブルが星の輝きのように伸びることからそう呼ばれます。

スター配線のメリットは、ケーブルの長さによる減衰量の差は生じるものの、各部屋まで、ほぼ均等なレベルの電波を配分できる点です。そのため、例えばひとつの部屋のみテレビの映りが悪くなるなどのトラブルも生じにくく、また配線構造がわかりやすいため、メンテナンスも簡単となります。このようなメリットから、現在ではアンテナケーブルの配分は、スター配線方式が主流となっております。

一方、スター配線のデメリットには、分配器本体や、各部屋へと電波を送る長さのアンテナケーブルが必要となるため、工事の手間や機材費などのコストがやや高くなる点がございます。

 

送り配線方式

送り配線方式とは、分配器などの機器を使わず、テレビアンテナから延びる一本のアンテナケーブルを、各部屋のアンテナコンセントへと順番に接続していく方法です。

まずアンテナから一番近い部屋のアンテナコンセントに、ケーブルを直接、接続して、必要なレベルの電波を届けた後、コンセントから次の部屋のコンセントへとケーブルを接続し、残りの電波を送る。それを末端の部屋まで繰り返す配線方法です。すなわちアンテナから末端の部屋まで一本のケーブルを通し、順番にテレビ電波を送っていくため、送り配線と呼ばれるのです。

この送り配線のメリットは、分配器を使用せず、一筋のケーブルを各部屋に通しておくだけなので、ケーブルの長さもさほど必要ではなく、機材コストや工事の手間かかからず、工事費用を安く抑えられるという点です。

一方、途中の各部屋にテレビ電波を供給することに加え、テレビ電波は、アンテナコンセントなど機器の経由や、長いケーブルを送信されることでも減衰が生じるため、ケーブルの先に行くほど電波レベルが低下する点です。そのため配線の大本で、ブースターを設置して十分なレベルに電波を増幅する必要がございますが、その場合、アンテナに近い部屋では電波レベルが強すぎでテレビ画面が乱れるといった事態も起こり得ます。

他にも、送り配線の一か所でトラブルが生じた場合には、その先の配線にテレビ電波が届かなくなり、それ以降のすべての部屋でテレビ番組を視聴できなくなるといった問題も起こり得ます。

現在では、戸建て住宅内に設置されるアンテナコンセントの数が多くなったこと。さらに地デジ電波より周波数帯が高く、長いケーブルを送信されることでより減衰が生じやすいBS/CS放送、新4K8K衛星放送の普及もあって、そのような現場では送り配線は不向きとなり、採用されることが少なくなっております。

ただ現在でも、地デジアンテナのみを設置する住宅や、屋内に設置されるアンテナコンセントの数が少ない場合などは、コストを抑えるため、送り配線方式が利用されるケースもございます。

 

分配器の主な使い方と種類とは?

分配器の基本的な用途は、前述のように、アンテナ配線で住宅内の各部屋へと、電波を分配することです。

ただ他にも、アンテナコンセントが設置されている部屋の先で、テレビとレコーダーなど複数の受信機器にテレビ電波を送信したい。またアンテナコンセントのない部屋にケーブルを通してテレビを設置したい場合などには、アンテナコンセントの先に、2分配器などの分配器を設置して、再度、電波を分配することもございます。

以下では、分配数や対応できるテレビ電波の種類とは別に、用途別に使用される分配器の種類と、その特徴について解説いたします。

 

1端子通電型/全端子通電型

これは、主にアンテナ配線部に設置される分配器で重要となる性能の違いです。その違いは、分配器の出力端子側から、入力端子側へと通電(電気を送る)ことができる出力端子が1端子のみか、すべての出力端子で通電できるかの違いです。「1端子/全端子電流通過型」とも呼ばれます。

この機種の違いは、BS/CSアンテナを設置する場合に、アンテナ側へと給電する方法によって使い分けられます。

衛星放送では、人工衛星(静止衛星)から送信される、波長の長さが25ミリ程度で、直進性の強い非常に高周波数帯の電波を、BS/CSアンテナで受信しています。ただここまで高周波数帯の電波は、そのままケーブルで送信すると、減衰量が非常に大きくなります。

そこでBS/CSアンテナでも、アームの先に設置されて、ディッシュに反射した電波を集める一次放射器と一体化した「コンバーター(変換器)」によって、衛星放送の高周波数帯を、ケーブルで送信するのに適した周波数帯へと変換した上で、ケーブルへと送信されるのです。

このコンバーターは周波数帯を変換する電子機器であるため、作動のためには電源が必要となります。コンバーターの電源は、アンテナの配線を通じて、同じく電波を増幅するために電源が必要なブースター部。または各部屋に設置された、テレビ、レコーダーなど受信機器の、チューナー入力端子から、アンテナケーブルを逆流する形で供給されます。

そしてテレビやレコーダーからBS/CSアンテナのコンバーターへと給電する場合に重要となるのが、分配器が「1端子通電型」か「全端子通電型」かの違いになります。

1端子通電型の分配器は、住宅内にある、特定の一台のテレビ、レコーダーなどから、BS/CSアンテナ側へと常に給電し続ける場合に使用されます。一方、全端子通電型の分配器は、住宅内にある個々のテレビ、レコーダーなどから、電源を入れた際にのみBS/CSアンテナへと給電する場合に使用されます。

この違いは、BS/CSアンテナへの給電方式が、時代につれて変化したことによるものです。やや古いタイプのBS/CSアンテナでは、テレビなど受信機器からコンバーターに給電する場合、機器側の主電源がオンであれば常時、給電され続ける「常時給電」タイプが主流でした。

この場合は、住宅内にある一台のテレビなどから、BS/CSアンテナへの電源設定を「オン」にすることで、1端子通電型の分配器を通じてBS/CSアンテナ側に給電し続ける形式になり、他のテレビ、レコーダーなどでも衛星放送を視聴することが可能でした。

しかし近年ではBS/CSアンテナも節電のため、個々のテレビ、レコーダーなどで視聴や録画のため衛星放送を受信するときのみ、BS/CSアンテナ側に通電するタイプが主流となっております。

この場合は、テレビやレコーダー側の「電源設定」を、機器側で判断して必要なときのみアンテナに給電する「オート」に設定することで、個々の受信機器から必要な場合のみ、全端子通電型の分配器を通してBS/CSアンテナ側に給電することになります。

つまり個々のテレビなど受信機器から、オート設定で必要な際のみ、BS/CSアンテナに給電する形式をとっている場合、設置されているのが1端子通電型の分配器では、通電する出力端子に接続されたテレビなどの機器が電源をオンにしていない限り、BS/CSアンテナのコンバーターが作動せず、他のテレビ、レコーダーなどでは衛星放送を受信できないことになってしまいます。

したがって現在のBS/CSアンテナで、個々の受信機器からのオート給電の形式をとっている場合は、設置する分配器も「全端子通電型」である必要がございます。

ただ価格で比べると、同じ分配数でも全端子通電型より1端子通電型のほうが低価格となり、それ以外の性能については大きな違いもございません。そのためBS/CSアンテナを設置しない場合や、ブースターから給電する場合。また常時給電を行う、一部屋のテレビのみで衛星放送を視聴する場合などは、1端子通電型の分配器を使用することもございます。

 

ケーブル一体型

これはアンテナ配線部ではなく、各部屋のアンテナコンセントから、二台の機器へと電波を分配したい場合に使用する、主に2分配型の分配器です。その名の通り、分配器と入出力ケーブルが一体化した機器になります、

このタイプの特徴は、ケーブルの入出力端子で生じる電波の減衰が起こらないという点です。そのため、配線部の分配器により、電波レベルが等分に分配されて低下しているアンテナコンセントからの電波レベルを、無駄にすることなく機器へと送ることができます。

ただこのような分配器も、電波を等分に分配することには違いないため、例えばアンテナコンセントから出力される電波レベルが70㏈の場合、コンセントの先で2分配してしまうと、それぞれの分配先のレベルは35㏈になり、テレビ側で地デジ放送を受信できるのに必要なレベルを下回ってしまうため、ご注意ください。

またケーブル一体型分配器は、文字通り、アンテナコンセントとテレビなどの機器をつなぐケーブルの役割をも果たします。そのため、コンセントとテレビなど機器を、十分に接続できる長さの機器を選ぶ必要がございます。ただケーブルが過度に長い場合も、電波が減衰する原因となるため、短すぎず長すぎず、適度な長さの機種をお選びください。

 

ブースター内蔵型

室内のアンテナコンセントから複数の機器へと電波を分配する際、分配器を通して個々の分配先で電波レベルが不足する場合には、ブースター内蔵型の分配器を使用する方法もございます。これはその名の通り、分配器と室内用ブースターが一体化した機器であり、室内側で電波を分配した場合に生じる、電波レベルの不足を補うことができます。

ただブースター内蔵型の分配器は、ブースターの性能も備える分だけ価格が高価になります。さらにブースターで電波を増幅する際には、電波に混じるノイズをも増幅してしまうため、使用することでテレビ画面が乱れることもございます。その点はご注意ください。

 

分配器を使用する上での注意点とは?

ここでは、アンテナ配線部に分配器を設置する、または室内で複数の機器に電波を分けるため、分配器を使用する場合についての注意点をご説明してまいります。

 

分配器の寿命は「約10年」が目安

アンテナ配線に設置された分配器は、日々、テレビ電波を通して各部屋に分配する他、受信機器側からBS/CSアンテナへと給電する場合には、アンテナ側へと通電する役割も果たします。したがってその内部回路は、使用され続けることで徐々に消耗してゆきます。

一般的に、分配器の耐用年数は「10年程度」とされております。ただ10年以上、使用しても特に問題が生じないこともございますが、いずれにせよ分配器の設置から10年以上で、アンテナ配線のメンテナンスを行う際には、交換も視野に入れられた方がよろしいでしょう。

他にも、実際に分配器のトラブルが生じた場合をはじめ、BS/CSアンテナを2K対応から2K4K8K対応のものへ交換された場合には、分配器やブースター、場合によってはケーブルも4K8K放送の電波に対応できるものへと交換する必要が生じます。

さらにご自宅にアンテナコンセントを増設した場合も、増設分に対応できる分配数の分配器へと交換する必要が出てまいります。

 

過度の「カスケード接続」は避ける

「カスケード接続」とは「多段接続」ともいい、主にLAN接続などで、接続を中継するハブ同士を直接、接続する、いわゆる「タコ足配線」に近い配線の接続方法です。「カスケード(cascade)」とは「(水が階段状に落ちる)小さな滝」の意味で、そのような滝に似た形で、情報信号が流れるハブ同士を接続することから、そう呼ばれます。

アンテナ配線におけるカスケード配線とは、分配器で分配されたケーブルの先に、また別の分配器を節即し、その先にもまた分配器を……といった接続形式になるでしょうか。

ただ前述の通り、テレビアンテナの分配器の場合、元の電波レベルは、分配数によって割られる形で等分に分配されます、つまりアンテナとブースターからは240㏈の電波が送られていても、それを3分配すると分配先では80㏈になります、さらにその先で2分配すると40㏈になり、それをまた分配すると、分配やケーブルによる減衰もあって、電波レベルが著しく低下してしまいます。

したがって、アンテナ配線の先のアンテナコンセントに分配器を接続する場合には、前述したケーブル一体型、ブースター内蔵型を一台のみなど、必要最小限にとどめることが必要といえます。

また一か所のアンテナコンセントから、テレビ、レコーダーなど複数の機器に接続する場合には、まずアンテナコンセントからのケーブルを、レコーダーのアンテナ入力端子に接続した後、レコーダーのアンテナ出力端子から、短いケーブルでテレビの入力端子に接続するなど、送り配線の方式で、各機器にテレビ電波を供給することも可能です。このような方法も活用するとよろしいでしょう。

 

特に新4K8K衛星放送を受信する場合には、使用しない出力端子に「ダミー抵抗器」を設置する

アンテナ配線に設置される分配器は、実際の分配数に予備の1出力端子を加えたものを使用することは、すでに説明いたしました。ただ実際に分配器を設置するにあたっては、この予備の出力端子に「ダミー抵抗器(終端抵抗器)」と呼ばれる、いわば出力端子の栓を接続しておく必要がございます。

これは、使用しない出力端子を露出したままにしておくと、端子からの電波漏れ、または外部からの電波の混入が起こるためです。電波の混入ではテレビ画面が乱れる。電波漏れではご自宅のスマートフォン、無線LANなどに電波障害を引き起こすことも考えられます。

特に新4K8K衛星放送の電波は周波数帯が高いため、スマートフォン、無線LANなどの電波と競合しやすく、これらの機器に電波障害を引き起こす可能性が高くなります。そのため、特に新4K8K衛星放送をご視聴になる場合には、予備の出力端子にダミー抵抗器を取り付けることが重要となります、何卒ご注意ください。

 

分配器に名前が似た「分波器」「分岐器」の違いとは?

ご自宅でマルチメディアボックスの中などにある分配器を交換する、または各部屋にて、アンテナコンセントの先に分配器を設置することは、比較的、簡単な作業となります。

ただ注意点としては、実店舗やインターネットショップで必要な分配器を購入される際に、ご自宅で受信するテレビ放送(地デジ、BS/CS、新4K8K衛星放送)に対応する機種や、必要な分配数のものを選ぶという点の他に、名称や形状の似た「分波器」「分岐器」と間違えて購入しないよう、注意が必要であるという点が挙げられます。

以下、分配器と、分波器、分岐器の違いについてご説明してまいります。

 

分波器とは何か?

「分波器」とは、混合器の項で少し説明いたしましたが、混合器、または混合ブースターで地デジ、BS/CSアンテナの電波を一本のケーブルにまとめた場合に、テレビなど機器の前で再度、それぞれの電波を二本のケーブルへと分離し、地デジ、BS/CSのチューナー端子へと接続するための装置です。

この分波器を使用せず、そのままチューナー端子へと接続すると、地デジとBS/CSのどちらか一方、電波レベルの強い側しか受信できないことになります。この分波器も「新4K8K衛星放送」をご覧になる場合には、4K8K(3224MHz)対応の機種を選ぶ必要がございます。

分波器の外見は、二分配型の分配器、またはケーブル一体型のものとそっくりであり、名前も紛らわしくなっておりますが、分波器を分配器として使用することはできません。ご購入の際には、どうかご注意ください、

 

分岐器とは何か?

アンテナ工事における「分岐器」とは、テレビアンテナやブースターから送られてきたテレビ電波を、複数の出力端子から出力するという、分配器とほぼ同様の機能を持つ機器です。ただ分岐器が分配器と大きく異なるのは、分波器のように電波レベルを等分に分配するのではないという点になります。

分岐器には、電波の入力端子(IN)が1個と、メインの出力端子(OUT)が1個。そして分岐端子、枝分かれ(BL)と呼ばれる1個から4個の出力端子が設置されています。

例えば2個のBLをもつ分岐器のINに500㏈の電波が入力された場合、個々のBLから出力される電波レベルは50㏈など、そのうちの一部のみになります。残りの400㏈の電波は、そのままOUTより出力されます。分岐器にはBL端子の数によって、1分岐器、2分岐器、4分岐器の機種が存在しますが、一般の戸建て住宅でのアンテナ配線に使われることは。まずございません。

分岐器は、大型マンション、ビルなど、一棟に多数の部屋がある大型の建物で、屋上に大型の共用テレビアンテナを設置する場合に使用されます。このような建物のアンテナ配線では、まず屋上のアンテナから一階までに太い同軸ケーブルを通して、そのケーブルから各階へとケーブルを伸ばし、そのケーブルから各居室へとテレビ電波を送信する形になります。

そしてこのように長いケーブルを用いることで、先に行くほど電波の減衰が生じることや、各階、各室に十分なレベルのテレビ電波が届くよう、電波を配分しなければならないという問題が生じます。

そこで、各階にて必要となる電波レベルを計算して、すべての階層と室内に必要なテレビ電波が届くよう、中心の同軸ケーブルから、各階へと必要なレベルの電波のみを分岐させるために、分岐器が必要となるのです。

この分岐器も、外見は分配器とほぼ同じであり、用途も似ているため、分配器をご購入の際には取り違えないようご注意ください。

 

なお、分配器と分波器、分岐器の違いについては、以下のコラム記事にも詳しい説明がございます。

アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い

 

まとめ

ご家庭のアンテナ配線に設置されている分配器については、設置位置にもよりますが、ご家庭で交換することも可能です。また必要に応じて、アンテナコンセントに分配器を接続することも可能です。

ただ分配器の選択に当たっては、ご自宅で受信しているテレビ電波の種類に適合させることはもちろん、アンテナの受信レベルやブースターの増幅レベル合わせた分配数の選択。また分岐器、分波器と間違えないよう注意も必要です。

 

もしご自宅において、本体の老朽化をはじめ、アンテナコンセントの増設や4K8K対応BS/CSアンテナの設置など、分配器の交換を伴う工事をお求めの際には、まずは当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)、またはメールフォームLINEアカウントまで、お気軽にご相談ください。

各種アンテナの増設や新規設置などから、分配器のみの交換まで、必要なアンテナ工事に合わせた最適な工事を、高品質な施工技術と、業界最安に挑む低価格でご案内いたします。

 

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  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 20,000円(税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。