中電界地域と強電界、弱電界地域の電波レベルの違いとは? 該当する地域の調べ方、適した地デジテレビアンテナの選び方も解説

2023年03月11日

地デジ放送の中電界地域とは何か? 強電界地域、弱電界地域との違いや、中電界地域に該当するエリアの調べ方、中電界地域における地デジ受信レベルの程度。中電界地域にて高い受信感度を発揮する地デジテレビアンテナ機種と、設置工事の方法。またBS/CSアンテナとセットの取り付け工事は可能か、などの点を解説します。

 

現在の地デジ放送(地上波デジタル放送)は、日本国内であれば地デジアンテナを設置するだけで、NHK受信料を除けば基本的に無料で全チャンネルを視聴できる、もっとも一般的なテレビ放送です。そのため戸建て住宅などのテレビアンテナ工事では、まず地デジアンテナの機種、設置位置などを選択してアンテナ取り付けを行い、必要に応じてその近くに衛星放送用のBS/CSアンテナを追加設置するという形になります。

皆様も地デジ放送の仕組みが、日本各地に設置された地デジの電波塔から電波を発信し、住宅などの建物に設置した地デジアンテナで受信するものだということはご存じでしょう。したがって電波塔からの距離や、地形その他の条件により、日本国内でも受信できる地デジ電波が強いエリア、弱いエリアがございます。

この受信できる電波レベルによって、日本国内の地域を分類したものが「電界地域」であり、一般的には「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」の三種類に分類されます。そしてそれぞれの電界地域ごとに、設置に適した地デジアンテナ機種やモデル、そして取り付けの工法などがございます。

 

当コラムでは、この三種類の電界地域のうち、ほぼ中間の電波レベルとなる「中電界地域」について解説いたします。

地デジ電波や電界地域の概要から、中電界地域で受信できる電波の強度やその特性。地域内での地デジアンテナ設置に適した性能のアンテナ機種やモデル。また設置する位置などの工法。そして中電界地域に該当するエリアの確認方法などについて、2023年(令和5年)度の最新情報を元にご説明してまいります。

なお強電界地域および弱電界地域における、同様の解説については、当コラムの姉妹記事である、以下の各コラム記事にてご説明しております。

地デジ強電界地域の調べ方とは? 強電界地域用テレビアンテナ機種の選び方、適したアンテナ取り付け工事の進め方も徹底解説

地デジの弱電界地域に最適なテレビアンテナの種類と取り付け工事の選び方とは? 強・中・弱の電界地域の調べ方も徹底解説

 

地デジ放送の基礎知識と強・中・弱の「電界地域」について

地上波デジタル放送(地デジ)とは、東京スカイツリーをはじめ、日本国内の主要地域に存在し、複数の都道府県など広範囲に地デジ電波を送信する送信所や、その送信所を補足すべく、やはり要所に設置された中継局など、数多くの電波塔から、周辺のエリアに地デジ電波を送信するテレビ放送です。電波を送信する地点が地上の電波塔であることから「地上波放送」と呼ばれます。

地デジ放送は、日本の基幹テレビ放送であり、地形や地理的な条件から地デジ電波が届きにくいごく一部のエリアを除けば、日本国内のほぼ全域において、地デジアンテナを設置することで、無料(NHK受信料を除く)で視聴できます。

現在の地デジ放送は、2003年(平成15年)12月1日に、従来の地上波放送であったアナログ放送と並行して放送をスタートしました。

その後の移行期間を経て、2011年(平成23年)7月24日、アナログ放送の完全停波(終了)によって、国内でただひとつの地上波テレビ放送となったものです。

地デジ放送の特徴は、放送信号を「0」と「1」のデジタル信号に変換して送信する点にあります。

アナログ放送時代には、映像信号をそのまま電波の強弱に変換して送信しておりました。そして使用される電波は、日本国内のほぼ全域で放送されるNHK、広域民放では、周波数30MHz(メガヘルツ)から300MHzのVHF(超短波)。一部の都府県で個々に存在する独立中継局による、その都府県内を放送エリアとする地方チャンネルでは、300MHzから3GHz(ギガヘルツ)のUHF(極超短波)でした。

しかし地デジ放送では、デジタル化により使用する周波数帯を、UHF帯でも470MHzから710MHzまでに大きく削減しつつ、同時に大容量の情報を送信することを可能としました。

そのためテレビ映像自体がフルハイビジョン(2K、FHD)化した他、音質も向上。さらに一放送局が同時刻に異なる番組を放送できるマルチ編成や、データ放送、番組表や双方向サービスなど、アナログ時代には存在しなかった多彩な機能を実現しております。

一方、テレビなどの受信機器では、デジタル信号を映像に変換する必要があるため、テレビをつけた、またチャンネルを変えた瞬間に、映像が映し出されるまで1秒程度かかるようになっております。

また地デジ放送の電波は、その波長も長さ40センチから60センチ程度と、アナログ放送の時代より短くなったため、地デジアンテナも従来よりも小型化が実現しております。アナログ放送時代から使用される古典的機種「八木式アンテナ」も小型、軽量化している他、新しく外観性、対候性が高まった「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」などのニューモデルも登場しております。

 

強・中・弱の「電界地域」とは何か?

前述のように地デジ電波は、日本各地に存在する送信所、中継局などの電波塔から電波を送信することで、国内のほぼ全域に電波を送信しております。しかし電波は発信元から距離が離れるほど、電波強度(電波レベル)が低下いたします。また地デジ電波のUHF波は、アナログ放送時代のVHF波に比べて波長が短くなったため、高層建築物や山地などの障害物にぶつかった場合、その向こう側に回り込む力が弱くなっております。したがって高さのある障害物の向こう側では、受信できる電波レベルが低くなります。

このような影響により、日本国内でも受信できる地デジ電波の強度は、地域ごとに異なってまいります。そして冒頭でも申し挙げた通り、日本国内のエリアを、受信できる地デジ電波のレベルによって区分したものが、強、中、弱の「電界地域」になります。

ただこの電界地域は、テレビ放送やアンテナメーカー、アンテナ工事業者などの間で慣習的に使われている基準であり、法律上や学術的な定義ではございません。そのため使用する団体や企業などにより、その基準は異なることもございます。

ただ一般的には、電波の強度を示す「㏈(デシベル)」の単位を基準として、その地域で受信できる電波レベルが、

「強電界地域」は80㏈以上。

「中電界地域」は80㏈から60㏈。

「弱電界地域」は60㏈以下。

とされています。したがって中電界地域とは、日本国内でも受信できる地デジ電波は強すぎないもの、受信には大きな支障のないエリアだといえます。

ただ前述のように、この基準はアンテナメーカーなどによっても異なるケースがございます。例えば一部のメーカーなどは強電界地域を75㏈以上。弱電界地域を55㏈以下と定義することもある他、中電界地域を設定せず、60㏈以上を強電界地域、それ以下を弱電界地域とすることもございます。

また日本国内でも山地や山間部、離島部など、電波塔からの距離が遠い、地デジ電波が遮断されるなどの要因で、地デジ電波がほとんど受信できない「難視聴地域」も存在します。このようなエリアでは、主にケーブルテレビ(CATV)などを利用して、テレビ放送を視聴しております。

ただ注意すべきは、この電界地域は、電波塔からの距離や地形などを基準とした、大まかな目安に過ぎないという点です。

また特定のエリアの地デジ電波レベルは、常に一定ではございません。電波は水に吸収されやすく、雨や雪など際には、通常より地デジ電波レベルが低下してまいります。さらに一年を通して気候の変動などから、6㏈前後の電波レベルの変動が生じます。

そして基本的には強電界地域や中電界地域にあたるエリアでも、高層建築物や地形の影響により、ごく一部の範囲で地デジ電波レベルが、弱電界地域と同レベルに低下するケースもあるためご注意ください。

これら地デジ電波、および各電界地域の詳細については、以下の各コラム記事でにて解説しております。

地上デジタル放送の「地デジ電波」基礎知識

地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは

 

地デジ電波「中電界地域」の特性とは?

ここでは当コラムのテーマとして、80㏈以下、60㏈以上という一般的な基準における、中電界地域の特性を解説してまいります。

中電界地域とは、文字通り、地デジ電波レベルが極端に強くはないものの、地デジ放送の受信には十分な電波レベルを確保できるエリアと言えます。そのため前述の通り、中電界地域の区分を使用せず、60㏈以上を強電界地域とするケースもございます。

位置的には、電波塔の周辺エリアである強電界地域を取り囲む形で、山地などの地形に電波が遮断されないエリアが該当するといえます。おおまかな目安としては、強電界地域が主に電波塔を視認できるエリアだと言われているため、電波塔が見えるほどの近さではないものの、比較的、近距離にあたるエリアと考えれば近いでしょう。

なお地デジアンテナが受信した地デジ電波は、ケーブルやブースターなどを通じて、各テレビなど受信機器のチューナーに届いた時点での電波レベルが34㏈以上、89㏈以下であれば、安定した視聴が実現できます。

ただ実際的には、気候や天候などによる電波レベルの変動を踏まえて、通常は46㏈以上、81㏈以下、最低でも40㏈以上の電波レベルをチューナーに届けることが必要とされております。また逆にチューナーへと届く地デジ電波レベルが90㏈以上と強すぎる場合も、映像の乱れなど、受信トラブルの要因となってまいります。

中電界地域は、地デジ電波が極端に高くはないものの、受信に問題が出るほど低くもない、バランスの取れたエリアと言えます。ただ実際には中電界地域内でも、地デジ電波レベルが80㏈近くと強電界地域なみの地域から、60㏈ギリギリで弱電界地域に近い地域まで幅があるため、現場ごとの実際の電波レベルに合わせた的確な地デジアンテナ機種や、設置位置の選択が必要となってまいります。

 

強電界地域で使用できる地デジアンテナ機種は?

ここでは中電界地域に適した地デジアンテナ機種について解説いたします。基本的に中電界地域では、屋外に設置する主な地デジアンテナ機種はどれも使用可能になります。ただエリア内でも、現場ごとの電波状態や周辺環境によっては、一部機種が使用できないこと、設置できる位置が限られることなどもございますので、注意が必要となります。

 

八木式アンテナ

八木式アンテナは矢印のような骨組みに、短い横棒で地デジ電波を受信する部分である「素子(エレメント)」を複数、露出する形でとりつけた構造の「素子アンテナ」と呼ばれるタイプの地デジアンテナです。

八木式アンテナには8素子、14素子、20素子など素子数の異なる複数のモデルが存在し、素子数が多いほど受信性能が高まります。また素子アンテナは、同素子数(相当)でもそれ以外のアンテナよりやや受信感度が高まるという特徴もございます。

さらに設置位置は主に、屋根の上に設置したマスト(支柱、ポール)の先になるため、周辺の障害物などにも影響を受けにくく、地デジアンテナ機種では、もっとも受信性能が高い機種になります。

中電界地域では主に、14素子から20素子の八木式アンテナが使用されます。特に20素子の地デジアンテナは、弱電界地域でも比較的、電波レベルの良好な地域から、配線などの調整により強電界地域でも使用できるため、地デジアンテナの機種を問わず、標準モデルとして幅広く利用されております。

また「パラスタックアンテナ」と呼ばれる八木式アンテナの高性能モデルも存在します。これはⅩ字型の器具に複数の素子を取り付けた、高性能型の素子を使用した八木式アンテナです。Ⅹ字型の部品を1素子として、27素子、20素子などの他素子モデルも存在します。

中電界地域でパラスタックアンテナが必要になるケースは少なくなりますが、中には5素子程度のモデルもあり、受信性能では通常モデルの14素子、20素子と大きな差がないため、小型の八木式アンテナを求める現場で利用されるケースもございます。

八木式アンテナのメリットは、その受信性能の高さに加え、古くから存在する機種であるため、本体価格や設置費用がもっとも低価格になるという点がございます。またBS/CSアンテナを設置する場合は、同じマストに取り付けるシンプルな施工も可能です。

半面、デメリットとしては、その形状と屋根の上に設置されることから、住宅の外観や景観を乱しやすく、景観地域などでは条例により設置が制限されることもある。風雨や降雪など気候に影響されやすく、経年劣化も進行しやすいため耐用年数が短くなり、老朽化によりトラブルが生じやすくなる。アンテナの一部が隣家の敷地に入り込む「越境問題」が生じることもある、などの点が挙げられます。

八木式アンテナおよび、素子など地デジアンテナの受信性能、またアンテナ設置時に発生しやすい問題などの詳細は、以下の各コラム記事で解説しております。

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デザインアンテナ

デザインアンテナは、薄型で主に長方形のボックスにアンテナ本体部を収めて、住宅の壁面やベランダなどに設置できる、2009年(平成21年)頃に普及しはじめた第二世代の地デジアンテナです。

設置位置に合わせることのできるカラーバリエーションも豊富で、住宅の外観性や景観を乱さず、景観地域でも使用できる。また風雨などにも影響されにくいため、経年劣化やトラブルの発生を抑えられ、寿命が長くなる。ベランダなど設置位置によってはメンテナンスや修理を行いやすい。また屋根の上の太陽光パネルに影響を与えない。越境問題もまず起こらないなどメリットが豊富で、2023年現在では人気ナンバーワンの地デジアンテナです。

ただ受信性能については、素子を見て確認できないモデルのため、性能を素子数に換算した「素子数相当」で、主に20素子相当、26素子相当の二種類になります。その他には強電界地域向けのコンパクトモデルが存在します。また同素子数相当のモデルでも、素子が露出した八木式アンテナに比べるとやや受信性能が低く、基本的に強電界地域から中電界地域用の機種となります。

中電界地域においては、20素子相当のモデルであれば多くの現場で使用可能ですが、電波レベルが60㏈近くなど比較的、弱いエリアでは26素子相当のモデルが必要となることもございます。

またデザインアンテナは壁面やベランダへの設置が基本となるため、設置できるのは住宅でも電波塔の方向を向いた壁面側など、地デジ電波が届く方向に限られます。また設置位置が住宅でもやや低い位置になるため、高層建築物の近隣や住宅密集地などでは地デジ電波が遮断されてしまい、壁面へのデザインアンテナ設置では十分な地デジ電波が受信できず、設置不可となることもございます。

他にもアンテナの本体価格や設置費用は、八木式アンテナに比べてやや高額となる。壁面への設置では、設置具を固定するため壁にビス穴を開ける必要があるなどの点もデメリットといえます。

デザインアンテナの詳細は、以下のコラム記事でも解説しております。

地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!

この最小デザインアンテナがすごい!スカイウォーリーミニ(マスプロ電工)

 

ユニコーンアンテナ

ユニコーンアンテナとは、2017年(平成29年)、日本三大アンテナメーカーのひとつである「マスプロ電工」社が発売した、地デジアンテナの第三世代にして、2023年現在での最新鋭モデルです。

マストの先にほぼ円筒形のアンテナ本体が設置されたスタイリッシュなモデルで、カラーバリエーションも落ち着いた白と黒が存在します。設置位置は八木式アンテナと同じく屋根の上に立てる他、また屋根の張り出し部である破風板、壁面の高い位置になります。

受信性能は20素子相当モデルのみであり、やはり構造上、同素子数の八木式アンテナに比べると受信感度はやや低い、強電界地域から中電界地域用の機種となります。

ただ高所に設置できるため、高層建築や住宅密集地などの周辺環境にも影響されにくく、中電界地域であれば壁面へのデザインアンテナ設置が難しい現場を含め、大半のエリアで使用可能となります。

また住宅の外見や景観を崩さず景観地域でも使いやすい。形状的に風雨を受け流せるため経年劣化が進みにくく、トラブルの発生リスクも低く寿命が長くなる。また太陽光パネルに影響しにくい。マストにBS/CSアンテナを設置できる。越境問題も発生しにくいなど、八木式アンテナとデザインアンテナのメリットを兼ね備えた機種になります。

ただ受信性能は八木式アンテナの20素子以上モデルには及ばず、中電界地域でも周辺の環境や電波塔からの距離により、電波レベルが低めのエリアでは、やや受信性能が不足することもございます。また最新機種であるため、地デジアンテナの中では本体価格や設置費用がもっとも高額になる点もデメリットと言えます。

ユニコーンアンテナの詳細は、以下の各コラム記事でもご説明しております。

地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!

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中電界地域の地デジアンテナに「ブースター」は必要か?

今日の戸建て住宅における地デジアンテナ工事には、必ずと言っていいほど、アンテナが受信した電波を増幅する「ブースター(増幅器)」という装置が設置されます。80㏈から60㏈と比較的、電波状態のよい中電界地域でも、基本的には必要な機器です。

現在の戸建て住宅には、複数の部屋にアンテナコンセントが設置されるため「分配器」という機器を用いて、アンテナからのケーブル(電波)を複数のケーブルに分配することになります。この分配の際に、電波レベルは分配数で割られる形になって、個々の分配先へと均等に分配されます。

つまり地デジアンテナで80㏈の電波を受信できても、4分配されれば個々の分配先では20㏈になり、テレビでの地デジ視聴には電波レベルが不足します。実際にはそれに加え、電波が分配器や接続端子を通る際に、多少の減衰(弱まり)が生じます。

そのため、ブースターを用いて地デジ電波を200㏈近くに増幅して、個々の分配先で50㏈程度のレベルを確保するといったことが必要となるのです。テレビを三台以上、設置する住宅では、電界地域に関係なく、ブースターの設置は必須と言えます。

なおブースターや分配器については、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。

テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・前編(基礎知識編)

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中電界地域で使用できる地デジアンテナの設置方法は?

地デジアンテナは、アンテナ本体の性能だけではなく、設置する位置によっても受信感度が大きく変化します。また設置位置は住宅の外観性や対候性にも大きな影響を与える要素となります。

中電界地域は、受信感度自体は安定しやすい地域といえますが、強電界地域ほどの強い電波レベルはないため、アンテナの設置位置に関する自由度はやや低くなってまいります。以下、中電界地域で住宅に地デジアンテナを設置できる各位置とその特徴、メリット、デメリット。また設置位置に適した地デジアンテナ機種などについてご説明してまいります。

 

屋根の上、破風板などの高所

地デジアンテナに限らず、現在でもテレビアンテナは、主に屋根の上などの高所に設置されます。これは周辺の障害物などの影響を避け、地デジ電波の受信が安定する以外にも、360度の全方向へとアンテナの角度調整を行いやすくなるためです。

地デジアンテナには各モデルごとに多少の差はあるものの「指向性(特定の方向でのみ受信性能が高まる性質)」が高く、電波塔など地デジ電波が届く方向に正面を向ける必要がございます。またBS/CSアンテナはより指向性が鋭く、電波を送信する人工衛星が位置する東経110度などの方向へと正確に向けなければならず、ミリ単位の狂いでも受信性能が大きく低下いたします。

屋根の上での設置であれば、中電界地域であれば地デジの受信感度はおおむね安定する上、地デジ、BS/CSアンテナを一本のマストにまとめて設置できて配線などもまとめやすい。またそれぞれのアンテナ角度も360度への調整が行いやすいというメリットがございます。

屋根の上にアンテナを設置する工法は、現在でも地デジアンテナを設置する方法は、屋根の面の部分が合わさる頂点となる「棟」の部分に、四脚で中央に固定したマストを支える器具「屋根馬」を置き、マストにアンテナを設置。そして四方から屋根馬やマストを支線(ステンレスワイヤーなど)で固定する形が主流になります。

段違い屋根、片流れ屋根など屋根の形状で屋根馬の使用が難しい場合は、屋根の張り出し部にあたる「破風板」に、壁面と平行にマストを立てる「サイドベース」という器具を取り付けることで、屋根の上と近い高さにアンテナを設置できます。

屋根の上や破風板に設置される地デジアンテナ機種は、八木式アンテナ、ユニコーンアンテナが適しています。デザインアンテナも設置できますが、その場合は外観性や対候性などのメリットがやや失われる面もございます。

またこれらの位置に設置するデメリットは、風雨などの影響を受けやすく、アンテナの経年劣化が進んでトラブルが発生しやすくなる。特に屋根の上への積雪の多い地域ではアンテナへの負担が大きくなる。また特に八木式アンテナでは住宅の外観や景観を乱しやすいなど、特有のデメリットが発生しやすくなるなどの点です。

 

壁面、ベランダの内外など

デザインアンテナは、主に住宅の壁面やベランダの手すりなどに、専用の器具を固定して設置することになります。また前述した再度ベースの使用により八木式アンテナ、ユニコーンアンテナを壁面に設置することも可能です。

他にも軒下設置用の八木式アンテナを使用する。ベランダにアンテナ設置用ポールを立てる。ベランダの手すり内部に八木式アンテナなどを設置する。軒下から八木式アンテナを吊り下げるなどの方法もございます。

これらの設置方法のメリットは、主に風雨などを避けやすくなり、経年劣化やトラブルを抑えられる。アンテナが外部から目立たず、住宅のデザインや景観を乱しにくいといった点になります。

一方、このような設置位置は、住宅の位置面の壁側にアンテナを設置することになるため、前述のように地デジや衛星放送の電波が届く側の壁を選ぶ必要があり、アンテナの設置位置が限られるという面もございます。

さらに設置できる高さもやや低くなるため、特に中電界地域では、住宅密集地、高層建築の近くなど、電波状態が悪くなりやすい現場では、十分な受信感度を得られず設置できないケースや、26素子モデルのデザインアンテナが必要となるケースも出てまいります。

またベランダの手すりや内部への設置を除く、壁面へのアンテナ設置では、固定具を取り付けるため、やはり壁にビス穴を開ける必要が出てまいります。

 

中電界地域では地デジアンテナを屋内に設置できる?

強電界地域では、地デジアンテナを屋内に設置することができるケースも多くなります。

具体的な方法は、室内アンテナ、または5素子程度の室外室内兼用アンテナを室内の窓際などに設置する。もしくは通常のデザインアンテナを、屋根裏、天井裏などの空間に設置するという方法になります。

屋根裏、天井裏へのデザインアンテナ設置は、壁や屋根の素材、断熱材などが電波を通しやすく、屋根の上に太陽光パネルや冬場の積雪がない。デザインアンテナを設置できる空間や作業者の出入り可能な出入り口がある、といった条件が揃っていれば、強電界地域であれば可能となります。

ただこれら室内設置の方法は、強電界地域ほど電波レベルが強くない中電界地域ではやや難しくなります。

まず室内アンテナについてですが、通常の室内アンテナは受信性能が非常に低く、強電界地域でも受信性能が安定しないケースがあり、基本的に簡易的な地デジアンテナとなります、そのため中電界地域ではさらに使用できない可能性が高まります。室内室外兼用型も基本的には強電界地域用のため、受信で煮る地デジ電波レベルが80㏈近いエリア以外では、安定した受信が難しくなります、

デザインアンテナの屋根裏設置も、一帯の電波レベルが80㏈近いエリアで、建材などの条件の他、ややサイズの大きい26素子相当のデザインアンテナを設置できる条件が整った現場であれば、設置できる可能性も出てまいります。ただやはり確実とは申せません。

総じて中電界地域でも条件に恵まれた現場であれば、屋内への地デジアンテナ設置ができる可能性も出てまいります。しかしその場合は、設置前に現場で受信できる電波レベルなどを綿密に調べて、屋内でも安定した受信が可能かを確認することが重要と言えます。

これら室内へのアンテナ設置については、以下の各コラム記事でも詳細をご説明しております。

徹底解説!屋根裏や天井裏にテレビアンテナは設置できる?

面倒な工事も不要!2,000円で地デジ放送を楽しめる「室内アンテナ」について!

室内アンテナの機種選びと設置の方法

 

中電界地域に該当するエリアを確認する方法は?

中電界地域は、強電界地域ほどではございませんが、おおむね各種の地デジアンテナ機種を設置でき、安定した地デジ受信を実現できるエリアと言えます。ただお住まいのエリアが中電界地域、またその他の電界地域のどれに該当するかは、正確な判定には専門家の技術や知識、機材が必要となるため、個人で確認することは難しいといえます。

個人で、ご自宅一帯のおおよその地デジ電波レベルを確認する、もっとも手軽な方法には「ご近所の住宅に設置されている地デジアンテナを確認する」「ワンセグ放送を受信する」の二通りがございます。

地デジアンテナは、強電界地域であれば小型モデルを含む八木式アンテナの他、デザインアンテナやユニコーンアンテナも多く見られる。逆に弱電界地域では、ほとんどが高所に設置される八木式アンテナとなり、大型の高性能モデルも多くなるといった傾向がございます。

ただこれはあくまで傾向にすぎず、個々の住宅の住人の判断にも左右される他、特に強電界地域と弱電界地域の間に当たる中電界地域では、使用される地デジアンテナ機種が強電界地域に近く、その境界の判別は難しくなります。

ワンセグ放送は、地デジ放送と同じ電波塔から、各チャンネルに割り当てられた周波数帯の13セグメント(区分)のうち、1セグメントを使って送信される放送です。つまり送信される電波塔、電波の種類とも同じであるため、ワンセグの受信レベルと地デジ放送の受信レベルはほぼ比例するといえます。

そのためご自宅にワンセグを受信できる機器があれば、住宅内の屋根の付近やベランダ、また各部屋など、さまざまな場所でワンセグを受信し、その受信レベルにより、地デジ電波の受信レベルも判断することができます。

この方法では住宅内でも各場所の受信レベルを確認することが可能ですが、ワンセグ放送は、地デジ電波より弱い電波レベルでも受信できる特徴がございます。そのため地デジ電波の受信レベルに関しては、あくまで目安と考える必要がございます。

他にも、ご近所でテレビアンテナを販売する家電量販店やホームセンターのスタッフ、また個人経営の電器店などでは、近隣エリアの地デジ電波状況に詳しいことが多く、このような店舗に問い合わせる方法もございます。ただ家電店などのスタッフは、アンテナ本体の知識がメインになるため、周辺の電界地域などについては簡単な知識しかないこともございます。そのため、基本的には参考意見としてお考えになるとよろしいでしょう。

 

個人でお調べになる場合、もっともわかりやすい方法は、インターネットにて「A=PAB 一般社団法人放送サービス高度化推進協会」公式サイトにアクセスし「地デジ放送エリアの目安」ページでご確認される方法になります。

このページでは、都道府県や市町村、住所、また電波塔の名称を入力することで、その一帯と存在する電波塔の位置を、地図上で確認することができます。さらに各電波塔が送信する電波(放送内容)を選択することで、地図上にその電波が60㏈以上で届くエリア(強電界地域から中電界地域)が、色付きで表示されます。したがって色付きの表示範囲でも、電波塔の周辺、強電界地域を除く周辺の地域が中電界地域と考えることができます。

ただこのサイトも、確認できる範囲は大まかな目安でしかありません。色付きで表示される範囲内でも、建築物や地形などの影響により、部分的に地デジ電波のレベルが低くなるエリアまで調べることはできませんので注意が必要です。

ご自宅で、各場所に置いて実際に受信できる地デジ電波レベル、また電波の方向を正確に調べるには、アンテナ工事業者に電波調査を依頼することが、もっとも確かな方法になります、

専門業者であれば「レベルチェッカー(電波測定器)」と呼ばれる機器を用いて、専門知識に基づき、各場所における正確な電波レベルや電波の方向だけでなく、ノイズの原因となる無関係な電波の割合など、地デジ電波の質までも正確に割り出し、現場に最適となる地デジアンテナモデルや設置位置を割り出すことができます。

レベルチェッカーは個人でも購入できますが、価格がやや高価で、使用頻度を考えるとコストパフォーマンスが悪い上に、電波の質などを判断するには専門知識も必要となるため、個人で電波レベルを判断するには適さない方法といえます。

アンテナ業者の中には電波調査を無料で行う業者も存在しますが、基本的には見積もりなども合わせて、アンテナ工事を行うことを前提とした事前調査となります。そのため業者にご依頼される際は、電波調査後に工事をキャンセルできるか。その場合、出張料やキャンセル料などの費用は発生しないかなどの点を、あらかじめ確認されることをおすすめいたします。

 

まとめ

中電界地域は、地デジ電波状態がおおむね安定しており、通常の地デジアンテナ設置では受信に大きな問題が出ることのない地域です。

ただ同じ中電界地域内でも、電波塔との距離などによって、電波レベルが強電界地域、弱電界地域それぞれに近いエリアに分かれ、適した地デジアンテナモデルや設置位置などが異なってまいりますので、地デジアンテナ設置工事の際には、まず現地の正確な電波調査が重要になるといえます。

なお冒頭でもご説明した通り、強電界地域および弱電界地域でのアンテナ設置工事、その他の情報に関しましては、以下の姉妹記事でご説明しております。

地デジ強電界地域の調べ方とは? 強電界地域用テレビアンテナ機種の選び方、適したアンテナ取り付け工事の進め方も徹底解説

地デジの弱電界地域に最適なテレビアンテナの種類と取り付け工事の選び方とは? 強・中・弱の電界地域の調べ方も徹底解説

当あさひアンテナでは、中電界地域での地デジアンテナ設置をはじめ、各種アンテナ工事にご対応いたします。

地デジアンテナ本体が、国産大手メーカーの最新高性能機種をご用意し、アンテナ本体に設置具、ケーブルなどの基本部材、防水加工などをセットにした基本工事費用でご提供いたしております。地デジアンテナでは八木式アンテナ、デザインアンテナの基本モデルをはじめ、ユニコーンアンテナやパラスタックアンテナなどの高性能アンテナ、コンパクト型のアンテナなど、さまざまな機種をご用意しており、BS/CSアンテナとのセット設置も行っております。

 

現場の電波調査やお見積もりも、出張料、キャンセル料なども不要の完全無料でご対応いたします。そして電波調査の結果に基づき、現場の条件が許す限り、お客様のご要望に応じたテレビアンテナ設置を、業界最安に挑戦する価格でご提案いたします。

八木式アンテナの基本工事価格、およびBS/CSアンテナ追加設置は15,000円(税込み)から。デザインアンテナは20,000円(税込み)でご対応している他、アンテナ工事後には、業界最長クラスである「10年保証」もご用意しております。

各種アンテナ工事のご相談は、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)かメールフォームLINEアカウントまで、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

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アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 20,000円(税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。