一部屋だけテレビが映らない不具合の原因と対処法

2022年07月11日

「テレビは一家に一台」「お茶の間で一家そろってテレビを見る」「チャンネル争い」……
このような言葉を聞いたことがある方は、おそらく昭和の生まれ、いまではそれなりの年齢になっておられる方だと思われます。

日本においてテレビ放送が始まったのは、1953年(昭和28年)2月1日のことです。その後、1960年代、昭和35年から45年頃にかけては、ほぼ一家に一台といえるほど白黒テレビの普及率が高まり、またカラーテレビも普及しはじめます。
1970年代にはカラーテレビも一般化しますが、まだこの頃はテレビといえば高級品で、一家に一台が普通でした。そのため家族がテレビを設置しているお茶の間に集まって、テレビを見ながらの一家団欒。また家族同士、同じ時間帯で見たいテレビ番組が重なった場合にはチャンネル争いが起こるといった話もよく聞かれました。

その後、1980年代頃には、テレビの小型化、低価格化によって、テレビは一家に一台から一人一台の時代になってゆきます。さらにはテレビ番組を録画できるビデオデッキの普及、ファミリーコンピューターをはじめテレビゲームのブームなど、時代につれてテレビの役割はさまざまに変化してゆきます。

そして21世紀、令和の現在。
地上波のテレビ放送が、従来の地上波アナログ放送から、2011年(平成23年)7月24日に地上波デジタル放送(地デジ)へと完全に切り替って以降、より鮮明なハイビジョン放送やデータ放送なども実現しています。
またBS、CSなど衛星放送の普及や、ブルーレイ、HDDなどによる録画再生環境の変化。さらに4K8Kとハイビジョンを越える超高画質の登場など、テレビをめぐる環境は現在でも進化を続けています。しかしその一方、インターネットの普及による動画配信サイトの人気などによって、いまや地上波テレビ放送の役割はすっかり薄れているともいわれます。

そんな現在でも、液晶で薄型となったテレビの機器そのものは、テレビ放送の視聴だけでなく、ゲーム機やブルーレイ、HDDレコーダーなどのモニター、またインターネットの動画サイトにも対応するなど、さまざまな機能が付与されることによって、現在でも一人に一台といっていいほど普及しております。

そしてご自宅にテレビアンテナ設置さえすれば、基本的にいつまでも無料であり、スイッチひとつでさまざまな番組が見られる地上波のテレビ放送は、やはり現代でももっとも身近な娯楽であり、ニュースなどの情報源でもあるといえます。
ただこのように便利なテレビ放送も、アンテナ機器などの故障によって、急に視聴できなくなることもございます。

もし戸建て住宅において、設置されているアンテナ本体に大きなトラブルが発生した場合には、ご自宅にあるすべてのテレビに電波が届かなくなり、どのテレビもまったく視聴できなくなります。
しかしご自宅にあるテレビのうち、特定の部屋にある一台だけで、アンテナで受信しているテレビ放送が見られなくなった場合は、アンテナ関係の不調を含む、さまざまな原因が考えられます。

ここでは2022年(令和4年)における最新のテレビ放送の環境を前提に、ご自宅のテレビの中で、一台だけアンテナから受信するテレビ放送が映らなくなった場合について、その原因と対策を解説してゆきます。

テレビ画面にエラーコード[E201,E202,E203]
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【戸建て住宅において複数のテレビでテレビ放送を視聴できる仕組み】
ごく基本的なことですが、ケーブルテレビ(CATV)や光回線を利用した光テレビをご視聴されている場合を除いて、基本的に戸建て住宅に設置されているテレビは、それが何台であっても、テレビアンテナが受信したテレビ電波を、アンテナからのケーブルによって各テレビなどのアンテナ端子(電波受信用のケーブル差込口)に送り込み、内蔵のチューナーによって電波をテレビ信号に変換することで、テレビ画面に番組が映される仕組みになっています。
地上波デジタル放送であれば、屋根の上に設置することが多い魚の骨に似た八木式アンテナ、薄型で壁面に設置できるデザインアンテナ、円筒状で高所に設置できて風雨などに強いユニコーンアンテナなどの地デジアンテナ、BS、CSなどの衛星放送であれば、衛星放送用のパラボラアンテナであるBS/CSアンテナをご自宅に設置し、それらのアンテナで受信した地デジ、衛星放送などのテレビ電波を、アンテナから延びるケーブルで各テレビに届けて、地デジ、衛星放送のテレビ番組を視聴することになります。

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通常、ご自宅に設置されているテレビアンテナから、屋内にある複数のテレビ機器などへテレビ電波を届ける仕組みは、主に以下のような構成になっています。

1:テレビアンテナ
・ご自宅に届いている地デジ、衛星放送などのテレビ電波を受信するアンテナです。
2:アンテナブースター
・ご自宅に届いているテレビ電波が弱い場合や、ご自宅内にテレビが複数台ある場合などに、屋内のすべてのテレビでテレビ番組が視聴できるよう、テレビ電波を必要な強度まで増幅する装置です。周辺のテレビ電波が強力な現場などでは設置が必要ないケースもございますが、現在ではほとんどのご家庭で実質的に設置が必須といえる機器です。
3:分配機
・ブースターを通して強めた地デジ電波を、ケーブルを通して住宅内でテレビがある複数の部屋に枝分かれさせ、等分に分配する装置です。この分配器を設置することで、住宅内でも複数のテレビでテレビ放送を視聴することが可能になります。ただし分配器によって電波を数等分することで、個々のケーブルに流れる電波はそれだけ弱くなります。そのため、屋内にある個々のテレビで、テレビ番組の視聴に十分なテレビ電波の強度を確保するため、アンテナブースターの設置は事実上、必須となっています。
4:ケーブル
・分配器によって分配されたテレビ電波を、各部屋のテレビなどの機器まで届けるケーブルです。なおテレビアンテナやブースター、分配器の間も、ケーブルによって接続されています。
5:チューナー
・テレビやレコーダーなどの機器に内蔵されている、テレビ電波の信号をテレビ放送に変換し、視聴できるようにする装置です。テレビにレコーダーなどの機器を接続している場合は、まずレコーダーのアンテナ端子によってテレビ電波を受信し、さらにレコーダーについているアンテナ出力端子に短いケーブルを装着し、テレビのアンテナ入力端子に接続することになります。

BS/CSなどの衛星放送用アンテナも、基本の構成は同じ形になります。その他の機器として、NHK、広域民放と地方局用で別々の地デジアンテナを設置している場合や、地デジアンテナとBS/CSアンテナなど二台以上のアンテナを設置している場合は、それぞれの電波を一本のケーブルにまとめる混合器と、テレビなどでその電波を受信する際に、それぞれの電波を分離する分波器の設置も必要となります。

このような構成であるため、戸建て住宅内でのテレビは、基本的にアンテナ端子のない、つまり分配器からのケーブルが届いていない部屋では視聴できません。ただ他の部屋のアンテナ端子に小型の分配器をつなぎ、アンテナ端子のない部屋までケーブルを伸ばして、テレビに接続すれば、テレビ放送が視聴できるようになります。

【住宅内のテレビで一台だけテレビ放送が映らない原因とは?】
このようにご自宅でテレビアンテナによってテレビ番組をご視聴になる場合は、一台のテレビアンテナが受信したテレビ電波を、自宅内にある各テレビに分配することで、視聴できる仕組みになっています。そのため、テレビ電波を受信する大本であるアンテナにトラブルが生じた場合は、通常、住宅内にあるすべてのテレビが映らないことになります。
住宅内に、同じテレビアンテナからテレビ電波を受信しているテレビが複数台あって、その一台だけ、急にテレビ放送が映らなくなった場合は、原因として主に「テレビ本体の不調」「アンテナ関係の不調」「それ以外の機器、設備などの不調」の三通りが考えられます。

【テレビ本体が原因で映らない場合】
住宅内に複数あるテレビのうち、特定の部屋の一台だけテレビ放送が映らず、他のテレビは正常に映る場合は、そのテレビ本体に何か問題が生じている可能性が高くなります。ここでは、テレビ本体の原因でテレビ放送が映らない場合、考えられる原因をご説明します。

・リモコンの電波が届いていない。
テレビ番組が映らない場合は、まずテレビ本体の主電源が切れていないかを確認してください。テレビの主電源が切れていると、当然ながらリモコンの電源ボタンを押してもテレビは反応しません。テレビの電源を入れると、主にテレビの前面、画面の下にある電源ランプが点灯します。
そしてテレビ本体の電源を入れなおして、電源ランプがついている状態でリモコンを操作してもテレビが映らなければ、リモコンの故障や電池切れの可能性があります。リモコンの電池を新しいものに交換する、またご自宅に電池の電力測定器がある場合は、電池の電力が十分であるかを確認してください。
電力が十分な電池を入れたリモコンを使ってもテレビが反応しない場合は、リモコン本体の故障という可能性があります、テレビのリモコンは長年使っていると、ボタン部分の劣化、特にボタン部分に使われているゴム部品が、空気中の水分と反応して分解し、ベタベタした状態になる「加水分解」という現象で反応が悪くなることがございます。

・リモコンの操作ミス。
リモコンで誤ったボタンに触れてしまうなどして、自宅では視聴できないチャンネルを選んでいる可能性がございます。例えば衛星放送用のアンテナが設置されていないご家庭で「BS」「CS」など衛星放送用のボタンを押してしまう。また「ビデオ」「HDMI」など機器に接続する外部入力で、機器が接続されていない端子を選んでいる可能性なども考えられます。
テレビの「画面表示」などのボタンを押して画面を確認し、ボタン操作で「地デジ」や「テレビ放送」など、ご覧になりたいテレビ放送のチャンネルや入力を選びなおしてください。

・B-CASカードが認識されていない。
テレビ側面には「B-CASカード」という赤、または青色のカードが挿入されています。B-CASカードとは、デジタル放送受信機、つまりテレビやレコーダーなど、地デジ、衛星放送などのチューナーが内蔵されている機器に同梱されているICカードです。「BS・110度CS・地上デジタル対応受信機」には赤色の「BS・CS・地上共用カード」が、「地上派デジタル専用受信機」には青色の「地上デジタル専用カード」が同梱されています。
B-CASカードとは、地上デジタル放送、BSデジタル放送、110度CSデジタル放送で視聴できる各番組の著作権保護や有料放送、自動表示メッセージ、データ放送などの双方向サービスのために利用されています。そのためテレビなどの機器にB-CASカードが挿入されていない場合、テレビ放送を視聴することができません。
このB-CASカードが挿入されていない、また挿入されていてもテレビなどの機器側で認識できない場合には、テレビ画面に「E100」「E101」「E102」などのエラーコードが表示されるため、そちらを確認して挿入しなおします。一度、B-CASカードを外してICチップ部の汚れを拭うなどして、カードの方向や向きを確認して、しっかりと挿入しなおしてもエラーコードが消えず、テレビが映らない場合にはB-CASカードそのものか、機器側のカード読み取り部が故障している可能性が考えられます。
B-CASカードの何度か挿入しなおしてもテレビ放送が映らない場合は、他の部屋にあるきちんと映るテレビなどのB-CASカードと入れ替えた上で、それぞれのテレビが映るかどうかを確認して、機器とB-CASカードのどちらに原因があるのか確認してください。
他部屋のB-CASカードを使ってテレビ放送が映るようになれば、B-CASカードの不調と考えられるため、B-CASカード再発行の手続きが必要となります。B-CASカードを入れ替えてもテレビ放送が映らない場合は、テレビなど機器本体の故障が考えられます。

・映らないチャンネルを選択している。
テレビの画面にエラーコード「E103」「E200」「E203」「E204」「E205」のどれかが表示された場合は、BS​、CS放送などで未契約のチャンネル、または放送局が放送休止中のチャンネルを選択していると考えられます。地デジなど無料放送のチャンネルに変更することで映るようになります。またBS、CSなど月額契約の有料放送では、チャンネルの契約が終了していることも考えられます。その場合はチャンネルの再契約が必要となります。

チャンネル設定がリセットされている。
ご自宅を引っ越しされた、また停電などが発生した後は、テレビ本体など機器の設定がリセットされており、新たにテレビ本体でチャンネルを設定しなおさなければならないケースがございます。テレビなどの機器で地上派デジタル放送を視聴するためには、まずお住いの居住地域ごとの放送局情報を取得する必要があるためです。
テレビなど機器本体の「メニュー」「基本設定」などの本体設定から「チャンネル設定」や「スキャン」などの操作を実行してください。この設定方法は、テレビなど機器のメーカーによって異なりますので、本体に内蔵されているガイダンスの表示や、付属するマニュアル(取扱説明書)、またはメーカーのホームページなどをご確認ください。

・プラグやケーブル接続に問題がある。
テレビなど機器の裏側に接続されている、アンテナのケーブル接続に問題がないかを確認します。テレビにはアンテナや各機器など、複数のケーブルが挿入されており、それらのケーブルに抜けがある、差し込みが甘い、また間違った差し込み口に挿入されているなどの場合、テレビ放送が映りません。掃除などの際に抜けている可能性もございます。またテレビなども長年、使用しているとケーブルの接続にゆるみも出てきます。
アンテナのケーブルにゆるみや抜けなどがないかを確認して、一本ずつ奥までしっかりと差し込みなおします。またケーブルの接続部にほこりがたまっていると接触不良の原因にもなるので、こまめな掃除も大切です。一度外してプラグの先端や本体側の接続部を掃除用のクロスなどで拭ってください。
またテレビが映る部屋のケーブルを、映らないテレビなどに接続します。この際は必ず同型のケーブルか確かめてから接続してください。差し替えてテレビが映るようになれば、映らない部屋のケーブルが断線していると考えられます。また断線ではなくてもケーブル端子は曲がりやすく折れやすいため、異常が見て取れる場合はケーブルの買い替えが必要となります。

・テレビが故障している。
正常に映るテレビを映らないテレビがある部屋に持ち込んで、室内のアンテナケーブルに接続します。持ち込んだテレビが問題なく映った場合は、問題はテレビ本体にあると判断できます。上記すべての事柄を確認して問題が認められない場合は、テレビ本体が故障している可能性が考えられます。テレビの寿命は10年前後が一般的です。修理か買い替えを検討しましょう。

テレビ画面の映りが悪くなる原因とその対策

【テレビ以外に原因がある場合】
テレビ本体に問題が見られない場合は、アンテナ関係が周辺の機器、設備などの問題だと考えられます。主な原因には以下のものが考えられますが、テレビ本体に問題がない場合は原因の判断が難しくなるので、基本的には専門の業者や電気屋さんなどに点検、修理を依頼することをおすすめします。

・レコーダーなどテレビに接続している機器に問題がある。
ブルーレイ、HDDレコーダーなどの録画再生機器をテレビに接続している場合は、その部屋のアンテナケーブルをレコーダーのアンテナ端子に接続し、レコーダーのアンテナ出力端子から短いケーブルでテレビのアンテナ端子に接続する。あるいはその逆になります。
テレビをレコーダーなどに接続している場合、テレビ本体のチューナーによってテレビ放送が視聴できる他に、テレビの外部出力をレコーダーに接続している端子に合わせることで、レコーダーのチューナーが受信するテレビ放送を見ることもできます。
ただ、アンテナからのケーブルには問題がなくとも、レコーダーからテレビにつながっている(またはその逆)ケーブルに問題がある。またレコーダー側でB-CASカードの差し込みなど上記の問題が生じている場合は、テレビまたはレコーダーどちらか一方での、チューナーによるテレビ放送が視聴できなくなることがございます。
その場合は、テレビとレコーダーとの接続状態、機器の状態などを確認して、テレビの外部入力を切り替え、テレビ本体、レコーダー、それぞれのチューナーでテレビ放送が視聴できるかを確かめてください。

・コンセントに問題がある。
ごく基本的なことですが、テレビの電源コードがコンセントから抜けていれば、テレビは映りません。あまりに当たり前すぎる話と思われるかもしれませんが、基本的なことほど、かえって盲点となるケースもございます。
またコンセントに何らかのトラブルが生じて電気が流れていない場合も、当然、テレビは映らなくなります。該当するコンセントを他の電気製品と接続してきちんと使用できるかを確認し、コンセントに問題がないか確かめてください。
他の電気製品が使用できなければコンセントの配線に漏電などが発生している可能性があり、出火など大きな事故のリスクも生じるため、早急に専門の業者へと修理を依頼してください。

【アンテナ機器の問題の場合】
ここまでのポイントを確認して、テレビ本体や周辺の機器、設備などに問題がない場合は、アンテナやそれに関連する部分の問題だと推測できます。アンテナ関係のトラブルでは、以下のケースが考えられます。

(分配器の問題)
前述のように分配器とはアンテナが受信し、ブースターが必要に応じて増幅したテレビ電波を、ケーブルを通じて住宅内の各部屋に分配することで、一台のアンテナ、ひとつのアンテナ端子から、複数のテレビでテレビ放送を視聴できるようにするユニットです。受信した電波は分配器によって等分に分けられ分配されるため、住宅内でアンテナケーブルに接続しているテレビの台数が多いほど、個々のテレビに流れる電波は少なくなります。ここでは分波器に原因がある場合についてご説明します。

アンテナの分配器は、基本的に生活空間ではなく、見えにくいところに設置されます。設置場所は住居によってさまざまですが、主に、

・ユニットバスの天井点検口の中。
・クローゼットの点検口の中。
・クローゼットや戸棚内の情報分電盤内部。
・屋根裏、天井裏。
・壁プレート(コンセントカバー)の中。
・柱の中。
・軒下。
・外壁のテレビボックスの中。
・屋根のアンテナ付近。

などに設置されます。この中でもユニットバスの天井点検口内に設置されたものは、湿気や熱気により劣化しやすく、また屋外にあるものはケーブルがむき出しになっているため、風雨の影響で劣化し、損傷を起こす可能性があります。
分配器はハーモニカほどの大きさで、薄くて見つけにくいものになります。リフォームや増改築などにより壁のコンセントカバー内部などに押し込められていることもあるため、分配器がどこにあるかわからない場合は、アンテナ工事の専門業者などに確認を依頼しましょう。
以下、分配器のトラブルとして考えられる例になります。

・分配器のケーブルが劣化している
分配器から各部屋にテレビ電波を届けるケーブルが劣化していると、テレビに電波が届きにくくなり、テレビ放送が映らなくなる原因になります。分配器に接続されているケーブルに抜けがないかを確認して、少しでも抜けやゆるみが見られれば、接続しなおしてテレビ放送が映るかどうかを確認してください。

・「分波器」を使用せずに地デジ放送、またはBS、CS放送を視聴しようとしている。
分波器とは、分配器と名前は似ていますが、まったく異なるものです。先ほども少し書きましたが、ご自宅に地デジ、BS/CSなど、二台以上のテレビアンテナが設置されている場合、アンテナの配線をシンプルにして、工事費用や故障のリスクを軽減するため、複数のアンテナの電波を混合器というユニットにより、一本のケーブルにまとめて住宅内の各テレビまで伝達します。
ただ地デジとBS、CS放送の場合、混合器でテレビ電波を一本のケーブルにまとめたままテレビなどに接続すると、どちらか一方、電波が強い方の放送しか視聴することができなくなります。そこでテレビの前で分波器を使用し、それぞれの電波に分けて、テレビ側の専用の端子に接続することで、地デジ、BS、CSのどちらの放送も視聴できるようにします。

・合わない種類の分配器を使用し、BS放送を見ようとしている
テレビでBS、CSなどの衛星放送を視聴するためには、衛星放送専用のアンテナが必要となり、そのアンテナに電気を供給する必要がございます。衛星放送を受信するためには、テレビ側からアンテナ側に電気を流す(通電する)タイプの分配器が必要です。
該当する分配器のうち、ひとつは一端子通電型(一端子電流通過型)です。一端子通電型は複数ある端子のうち、ひとつの端子から通電できるものです。このタイプの分配器は信号レベルも安定して、比較的、安価です。ただ住宅内でも複数台あるテレビのうち、衛星放送が視聴できるのは、特定の端子につないだ一台のテレビのみになります。
もうひとつは全端子通電型(全端子電流通過型)です。全端子通電型はすべての端子から通電しており、住宅内にあるすべてのテレビで衛星放送が視聴できるようになります。
ご自宅内の一台のテレビなどでしか衛星放送を視聴しない場合は問題ございませんが、複数のテレビで衛星放送を視聴したい場合は、全端子通電型の分配器を設置しなければ映りません。ご自宅のテレビで、一台を除いて衛星放送だけが映らない場合は、全端子通電型のものに分配器を交換する必要がございます。

・分配器自体の劣化。
分配器本体の故障によって、一部屋のテレビのみが映らなくなることは珍しい現象であり、専門のアンテナ工事業者でも判断が難しいものになります。ご自宅で分配器が確認できる場合は、映らない部屋の端子を映る部屋の端子へと差し替え、その部屋でテレビ放送が映るかどうかを確認してください。分配器の寿命は10年前後です、差し替えても映らない場合は、新しい分配器への交換をご検討ください。

(テレビ電波が弱い)
アンテナが受信しているテレビ電波が弱いなどの要因で、電波がテレビなどの機器まで届いていない場合は、テレビ画面にエラーコード「E201」「E202」が表示されます。この場合は、テレビの「設定メニュー」などから「アンテナレベル」を確認することで、そのテレビに届いている電波の受信状況を確認できます。個々のテレビで受信できるテレビ電波が弱くなる要因としては、以下のものが考えられます。

・天候が悪い。
悪天候の場合は、周辺一帯のテレビ電波状態が悪化して、テレビなどの機器に届くアンテナレベルも低下して、テレビ放送が映らなくなることがあります。この現象は特にBS、CSの衛星放送で顕著となります。天気が回復した後も、テレビ放送が映らないようであればアンテナ本体の不調を疑います。

・アンテナとの距離に問題がある。
アンテナ本体と、テレビなどの機器が遠く離れていると、その間でテレビ電波が減衰してしまい、テレビ放送が映らなくなることがございます。これは地デジでテレビ電波が弱い、中電界地域から弱電界地域によく見られる現象で、アンテナからもっとも遠い部屋のテレビが映らなくなることが多くなります。このような状態は、アンテナブースターの設置により解決できます。
ブースターは「電波増幅器」ともいい、前述のように弱いテレビ電波を増幅するための機器です。分配器は複数のテレビ機器に、テレビ電波を均等に分配するため、端子の数が多いほどひとつの端子に流れるテレビ電波は弱くなり、各テレビにおいてテレビ放送が映りにくくなります。さらにつないでいるケーブルが長いほど、ケーブル内を通るテレビ電波は弱まって(減衰)ゆき、特定の一台のテレビだけ映らないといった現象が起こることがございます。
ブースターを設置することにより電波強度の不足を補強して、安定してテレビ放送を視聴できる状態にできます。テレビ設定のアンテナレベルを確認しながら、ブースターのつまみを操作することで、テレビ電波の強度を調整して、テレビ放送を最適な状態にできます。ただしテレビ電波は強すぎてもテレビ放送は映りにくくなるため、ブースターに自動調節機能がついていない場合は注意が必要となります。

・テレビにレコーダーなどの機器を接続している。
前述のように、テレビにレコーダーなどの機器を接続していると、テレビ放送の映りが悪くなることがあります。アンテナケーブルとテレビとの間にレコーダーを介することで、距離が遠くなってテレビ電波の減衰により映りが悪くなることが考えられます。
この場合も、ブースターの設置や、機器の接続方法を変えるなどの対策で、状況を改善できます。

(アンテナ本体の問題)
通常、ご自宅に設置しているテレビアンテナにトラブルが生じた場合は、ご自宅に設置されているすべてのテレビが映らなくなることが大半になります。ただアンテナトラブルにさまざまな条件が重なることで、特定のテレビのみが映らなくなるケースもございます。

・アンテナが正確な方向を向いていない。
テレビアンテナの向きに問題がある、傾くなどすると、アンテナが受信できるテレビ電波は著しく弱まり、屋内のテレビなどでテレビ放送が映りにくくなります。この場合には、住宅内にあるすべてのテレビの、テレビ放送の映りが悪くなり、さらにアンテナからもっとも遠い部屋のテレビがテレビ電波の減衰により、まったく映らなくなることもございます。
テレビアンテナの異常は外から見て確認できます。地デジアンテナが、地デジ電波を送信する電波塔とは反対の方向を向いている、近所のアンテナとは違う方向を向いているなどの状態であれば、アンテナのずれが原因であると考えられます。またBS、CSなど衛星放送のアンテナは、人工衛星が位置する主に東経110度の方向へと向けます。
これまでは正常な方向を向いていたアンテナの向きも、アンテナ本体の老朽化や、台風や大雪、地震などの自然災害によってずれることがございます。アンテナが室内やベランダなど、安全に調整できる場所に設置されている場合には、ご自宅で調整することも可能です。
ただテレビアンテナは、わずか数ミリの角度の違いにより、映りの良しあしが大きく変わってくるため、慎重に動かす必要がございます。アンテナはすべての部屋のテレビの映りに関係するため、調整しながら全部屋のテレビがきれいに映るかを確認します。すべてのテレビのアンテナレベルが改善されたら、アンテナをしっかりと固定します。
ご自宅での調整が難しい、また屋根の上など、調整に危険が伴う位置にアンテナが設置されている場合は、決してご自身で調整しようとなさらず、アンテナ工事の専門業者にご依頼ください。専門業者はアンテナ、テレビ電波に関する知識や専門技術をもち、電波測定器など専用の機器も用意しているため、確実な改善が望めます。

・アンテナが劣化している。
主に屋外に設置されるテレビアンテナや、屋外型のブースター、それらを接続するアンテナケーブルなどは、長年、風雨や雪などの自然環境にさらされ続けるため、劣化を避けることは難しくなります。アンテナなど機器の劣化により受信できるテレビ電波が弱まると、アンテナの向きがずれた場合と同じような事態が起こる可能性がございます。
一般的なテレビアンテナの寿命は10年から15年といわれています。アンテナ設置から長い年月が過ぎて老朽化が進んでいる場合は、アンテナ工事業者に依頼して交換を検討しましょう。
なお近年では、壁面に設置できるデザインアンテナや、ポール状のユニコーンアンテナ。またその他のアンテナでも壁面やベランダ内外、屋根裏空間に設置するなどで、自然環境の影響を抑え、経年劣化やアンテナトラブルのリスクを軽減する機種、工法もございます。

【まとめ】
テレビアンテナによってテレビ放送をご覧になっているご自宅で、特定の部屋のテレビだけが映らなくなった場合、その原因はテレビ本体や、その周辺の機器、設備などの問題であることが大半になります。
ただ場合によっては、アンテナ本体や、分配器、ブースターなどアンテナに関連する機器の問題であるケースもございます。

ここでご紹介したのは、特定のテレビのみが映らなくなった場合にご自宅で可能な、ごく簡易的な対策です。
原因がアンテナ本体や機材の問題とみられ、ご自宅での対策に危険が伴う、また正確な原因や機器の位置、対策の手順がわかりにくく難しい場合は、当あさひアンテナをはじめとする、アンテナ工事の専門業者にお任せください。

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アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 20,000円(税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。