テレビ放送電波の感度が低くなる原因は? 地デジアンテナの受信レベルを上げるための地デジ電波の基礎知識と工事の対処法を解説
21世紀の到来から、すでに20年以上が過ぎた2023年(令和5年)の現在でも、一般のご家庭で、地上デジタル放送(地デジ放送)や衛星放送のさまざまなチャンネルでテレビ放送をお楽しみいただく方法といえば、ご自宅に地デジやBS/CSのテレビアンテナを設置する、昔ながらの方法が主流です。
地デジアンテナを設置すれば、日本国内の広域エリアによって放送内容はやや異なるものの、NHKと広域民放のチャンネル。そして国内でも三大都市圏に含まれる主要な都府県では、各都府県の地方チャンネルが、NHK視聴料を除けば基本的に無料で視聴できます。
衛星放送用のBS/CSアンテナも設置するだけで、BS放送におけるNHKや各広域民放、その他の無料チャンネルが視聴できることはもちろん、BS放送やCS放送の各有料チャンネルと月額契約を行うことで、さまざまなジャンルに特化した番組を放送する、数々の専門チャンネルを楽しむこともできます。
近年では新4K8K衛星放送もスタートし、ご自宅に4K、8Kテレビと、4K8K放送に対応できるBS/CSアンテナ及び配線部の機器を用意することで、これまでの地デジ、BS放送のフルハイビジョンよりも、格段に向上した画質、音質のテレビ放送をお楽しみいただけます。
このような地デジ放送、衛星放送のテレビ放送が、電波塔や人工衛星などから送信される電波にテレビ放送の情報を乗せ、その電波を、戸建て住宅などに設置された地デジ、BS/CSなどのテレビアンテナで受信する仕組みであることは、いまや一般常識といえます。
そのテレビアンテナから、アンテナケーブル(同軸ケーブル)による配線で、住宅内のテレビなど受信機器のチューナーまでテレビ電波を送信する。そのチューナー内で電波に乗せられたテレビの映像信号を、映像と音声に変換することでテレビ放送が視聴できるという仕組みについても、よくご理解されている方も多いことでしょう。
さらに21世紀、令和の現在では、携帯電話やスマートフォン。インターネットの無線LAN、Wi-Fiなども完全に定着し、いまや「電波」とは、私たちの日常に欠かせないものであるといえます。
そしてテレビアンテナは、基本的にいったん設置すれば、少なくとも10年程度は、安定したテレビ電波の受信が可能になることが多くなります。場合によっては、設置から20年以上にわたって、特に修理やメンテナンスなどを行わなくとも、安定してテレビ放送を視聴できているお住まいも多くなります。
ただ一方で、台風などで激しい風雨が多い、積雪が多い、また沿岸部で潮風を受けるなど、自然環境が厳しいエリアであれば、アンテナの経年劣化などが進みやすくなり、場合によっては設置から10年未満で、設置時からのアンテナ角度のずれ、また部分的な故障などにより、テレビ電波が正常に受信できなくなるケースもございます。
さらに電波にもさまざまな種類や性質があり、特に地デジ放送の電波は、送信される電波塔からの距離をはじめ、アンテナを設置する現場の周辺環境。また天候や気候などの影響を受けやすく、設置された地デジアンテナには大きな問題がなくとも、なんらかの要因で急に受信レベル(受信感度)が低下して、地デジ放送の画面の乱れ、放送が映らないといったトラブルが生じることもございます。
このような地デジ電波受信のトラブルを避けて、安定した地デジ電波の受信、地デジ放送の視聴を実現するためには、まず地デジアンテナを設置する現場における地デジ電波の受信状態をしっかりと確認する必要がございます。
さらに地デジ電波そのものの性質をよく理解して、地デジ電波レベルや受信感度が低下する要因を想定し、受信にやや支障が出た場合でも安定した地デジ受信が可能となる、地デジアンテナ機種や設置位置の選定を行う必要がございます。
また衛星放送では、人工衛星(静止衛星)から日本国内の全域に電波を送信しているため、基本的に使用されるBS/CSアンテナはパラボラアンテナの一種類となり、日本国内であれば大きな受信レベルの変化が生じることは少なくなります。
ただ、それでもアンテナ周辺の障害物や天候などに影響を受けることもあり、安定した衛星放送の受信のためには、やはり衛星放送の電波の性質を理解し、アンテナ設置の位置や角度調整、その他の注意が必要となります。
そこで当コラムでは、地デジ放送、衛星放送のテレビ放送でもっとも重要な役割を果たす「テレビ電波」というものが何であるかを中心にご説明してまいります。
基本的には地デジ電波を中心に、そもそも電波とは何であり、どのような性質をもつのか。また電波の中でも、特に地デジ電波の種類とその特性。そして各ご家庭に設置された地デジ用のテレビアンテナで、安定した受信を実現するための注意点と、受信レベルが下がった場合、ご自分でもできる簡単な対処法、問題の改善法についても解説いたします。
さらに、BS放送、CS放送など衛星放送の電波についても、その性質と受信を安定させる方法。受信レベルが下がる要因と、その場合に対処などをご説明いたします。
なお、戸建て住宅で地デジ、衛星放送のテレビアンテナを設置できる主な位置と、それぞれの受信感度については、以下のコラム記事でも詳細にご説明しております。
・戸建て住宅のテレビアンテナ取り付け工事で、アンテナを設置できる場所とは? その費用からメリット・デメリットまで徹底解説!
地デジ放送・衛星放送の「電波」とは何か?
前書きでも述べた通り、テレビ、ラジオ放送はもちろん、携帯電話やスマートフォン、Wi-Fiなどが普及している現代社会では、「電波」というものの存在をご存じない方はいらっしゃらないでしょう。
そして一般の方にとっての、電波というもののイメージは、電波塔などから送り出されて空間を走る、さまざまな情報を乗せることができる、目に見えない波のようなエネルギーで、波の形による「周波数」で種類が変わる、といった感じではないでしょうか?
ここでは、地デジ放送などのテレビ電波についてご説明する前提として、まず電波というものの基礎知識について解説いたします。
そもそも「電波」とは「電磁波」の一種です。そして「電磁波」とは、電力が働く空間「電界(電場)」と、磁力が働く空間「磁界(磁場)」が、互いに影響し合うことで、空間を光と同じ速さで伝わる波(波動)、いわば電気的なエネルギー波のことです。
また電波や電磁波にはつきものの「周波数」とは、電磁波(電波)の波長が、単位時間(1秒間)に繰り返す波の数を示す数値です。
電波の定義とは「電磁波のうち比較的、周波数が低いもの」になります。電波や電磁波における周波数は「Hz(ヘルツ)」の単位で表記され、1秒間に1回の波を描く電波であれば、その周波数は「1Hz」になります。
ちなみに電波で主に使われるHz(周波数帯)の単位としては、1,000Hzを表すkHz(キロヘルツ)。100万Hzを表すMHz(メガヘルツ)。10億Hzを表すGHz(ギガヘルツ)。1兆Hzを表すTHz(テラヘルツ)があります。
これらメガ、ギガ、テラといった単位は、現在ではパソコンやスマートフォンのメモリ容量や、通信量などの単位としてもよく使われるため、一般的にもよく知られています。
ちなみにパソコンやスマホなどにおける、ギガなどの単位の基準(周波数におけるヘルツ)は、コンピューターが扱う情報量の最小単位である「バイト(byte)」になります。
そして電波の定義は、使用される国や地域、分野などによって変化は出ますが、日本の電波法を含め、一般的には3THz以下の電磁波が電波と定義されます。
周波数帯が3THzを越える電磁波は、周波数帯の順に赤外線、可視光線、紫外線などの光となり、それ以上の周波数帯ではⅩ線、ガンマ線などの放射線となります。
電波や電磁波は、一定の周期で波長を描きながら空間を進みます。そして長い波長を描くほど時間がかかるため、電波や電磁波では、一定時間に繰り返される波の回数が多い(周波数が高い)ほど、波長の長さ(波の幅)は短くなってまいります。
また電波は周波数帯によって性質が異なるため、周波数の高低によってその種類が分類されます。日本の電波法では、電波の種類を以下のように定義しております。
・超長波(VLF):周波数帯3kHzから30kHz。波長の長さ100キロから10キロ。
・長波(LF):周波数帯30kHzから300kHz。波長の長さ10キロから1キロ。
・中波(MF):周波数帯300kHzから3MHz。波長の長さ1キロから100メートル。
・短波(HF):周波数帯3MHzから30MHz。波長の長さ100メートルから10メートル。
・超短波(VHF):周波数帯30MHzから300MHzで、波長の長さ10メートルから1メートル。
・極超短波(UHF):周波数帯300MHzから3GHz。波長の長さ1メートルから10センチ。
・マイクロ波(SHF):周波数帯3GHzから30GHz。波長の長さ10センチから1センチ。
より細かい分類では、周波数帯がもっとも高いマイクロ波でも、30GHzから300GHz。波長の長さでは1ミリから10ミリとミリ単位になる電波を「ミリ波(EHF)」。そして電波の周波数帯の上限に近い3THzから300GHz。波長の長さは0.1ミリから1ミリ、ミリ単位以下のものを「サブミリ波(デシミリメートル波)」と呼ぶ場合もございます。
他にも、1THzから3THzまで、周波数の単位がTHzになる電波を「テラヘルツ波」と呼ぶこともございます。
電波や電磁波は波と粒子の性質を併せ持っており、空間の影響による散乱や屈折。ものに当たった場合の反射や回折(向こう側への回り込み)。複数の波が交じり合うことで新しい波長となる干渉など、波長(波)としての性質をもちます。一方で、微視的には「粒子」としてその個数を数えることもできます。
そして電磁波の中でも、光より周波数帯が低いものに当たる電波は、その周波数帯の中でも、周波数が低いものは、空気の振動であり、同じく波長による周波数をもつ「音」の性質に近く、周波数帯が高くなるほど「光」の性質に近くなります。
具体的には、電波でも周波数帯が低いものは、波長が数十キロから数十メートル単位と長くなるため、波長が音のように広がりやすくなります。
そのため高層ビルなどの障害物にぶつかったときも、その向こう側へと回折しやすく、遠くに届きやすい。また電波を反射しやすい金属。吸収しやすいコンクリートなどの素材でない、一般の戸建て住宅などの壁であれば、多少の電波レベルの弱まり(減衰)は生じるものの、壁を通り抜けて屋内に届くという性質があります。
ちょうど大きな音であれば、音源から見てビルの陰や屋内で当たる場所でも、ある程度は小さくなるものの、聞こえることに似ています。
逆に周波数帯が高い電波は、光のようにまっすぐ進む直進性が強くなる反面、障害物にぶつかると反射する割合が高くなり、その向こう側へと回り込みにくくなります。
つまり、ちょうど光が当たる方向にものがあると、光が遮られて影ができるように、障害物に遮断されやすいという性質がございます。
その一方で、電波を用いて送ることができる情報量は、波長の数で決まるため、周波数帯が低い、つまり波長の少ない電波で送信できる情報量は少なく、電波の周波数帯が高く、波長が多くなるほど送信できる情報量は多くなります。
日本のテレビ放送では、時代や放送形式の種類によって違いはございますが、比較的、周波数帯の高い電波が使用されております。詳しくは以下の項でご説明してまいります。
地デジ放送の仕組みと地デジ電波(UHF波)について
現在の日本でもっとも一般的なテレビ放送が、地上デジタル放送(地デジ放送)です。ただ2023年現在、二十代以上の方であれば、この地デジ放送が比較的、近年にスタートしたテレビ放送であることをご存じではないでしょうか?
日本におけるテレビ放送の歴史は、1953年(昭和28年)2月1日に放送がスタートした、NHKの本放送からはじまります。
当時のテレビ放送は、テレビの映像や音声の信号を、そのまま電波の強弱に変換して電波塔から送信し、各家庭に設置されたテレビアンテナで受信、テレビ受像機機(いわゆるテレビ本体)のブラウン管に映像が映し出され、音声も流れるというものでした。
このような、映像信号を電波の強弱に変換して放送する形式のテレビ放送は、現在では「アナログテレビ放送(アナログ放送)」と呼ばれます。
このアナログ放送は、スタートからほぼ半世紀にわたって放送され続け、テレビ放送のカラー化や音声のステレオ化。また衛星放送の登場などを経た後も、日本国内では主要なテレビ放送であり続けました。
そして現在の地デジ放送は、かつてのアナログ放送からの放送形式の転換を目的に、20世紀初頭にスタートしたテレビ放送になります。
そのためアナログ放送、現在の地デジ放送とも、試聴できるチャンネルに変わりはなく、各地域でやや放送内容に差はあるものの、日本の全国各地で視聴できるNHK、広域民放。および東京都の東京MXなど、一部都府県で別個に存在する独立放送局による、その都府県内と周辺エリアで視聴できる地方チャンネルになります。
また地デジ放送、アナログ放送とも、災害などの緊急時には、日本全国に緊急情報を送信する「基幹放送」にあたるため、日本国内であれば不特定多数の誰もが、放送の受信機器や機材を用意することで、無料で視聴(NHK受信料を除く)できるテレビ放送になります。
放送の形式も、地デジ放送、アナログ放送とも、日本国内の各地に設置された電波塔からテレビ電波を送信することで、日本国内をカバーする方式であったため、主に衛星放送との対比として、どちらも「地上波放送(地上波テレビ放送)」とも呼ばれます。
それまでのアナログ放送からデジタル放送への転換が進められた理由は、1990年代からの、大きな社会の変化によるものです。
具体的には、まず当時、テレビ放送に限らず、さまざまな分野にて、従来のアナログ技術から、デジタル技術への転換が世界的に進んでいたこと。そして携帯電話の普及などにより、それまでアナログテレビ放送が多くの周波数帯を使用しても問題のなかった電波に急激な需要が高まり、テレビ放送に用いていた周波数帯を削減する必要が出たことです。
地上アナログ放送の時代にテレビ電波として使用されていた周波数帯は、NHK、広域民放では、VHF(超短波)のうち、90MHzから108MHzのローバンド。および170MHzから222MHzのハイバンド。そして独立放送局の地方チャンネルでは、UHF(極超短波)のうち、470MHzから770MHzになります。
一方、地デジ放送では、地上デジタル放送の名称通り、アナログ放送時代のアナログ形式に対して、デジタルの形式で映像信号を電波に乗せて送信しております。
デジタル放送では、テレビの映像信号をいったん「0」「1」のデジタル信号に変換してから、その信号を電波の波長へと変換し、送信するため、アナログ放送に比べて映像信号から無駄な情報を大きく削減できるのです。
そのためアナログ放送の時代より、使用する電波の周波数帯を大きく縮小しながら。情報量では約4.5倍と、格段に大容量の情報を送信できるようになったのです。
現在の地デジ放送では、NHK、広域民放、地方チャンネルとすべてのチャンネルで、UHF波(極超短波)のうち、470MHzから710MHzまでの周波数帯を使用しております。
そのためテレビアンテナについて、現在の地デジ受信用アンテナは、すべてUHF波を受信するための「UHFアンテナ」になります。
一方、アナログ放送時代のテレビアンテナは、日本全国で放送されるNHK、広域民放の受信用である「VHFアンテナ」と、地方チャンネルが受信できる地域で使用された、地デジアンテナと同じ「UHFアンテナ」の二種類になります。
そのため、アナログ放送の時代、地方チャンネル用に使用されたUHFアンテナを、今日の地デジアンテナとして使用することも可能となり、現在でも当時のUHFアンテナを地デジアンテナに流用している現場も多く見られます。
ただアナログ放送時代のUHFアンテナは、現在では設置から短くとも20年以上から、長い場合は数十年の歳月が過ぎていることも予想されます。
したがって老朽化による故障やアンテナの倒壊などのリスクも考えられる他、現在の地デジ放送では使用しない710MHzから770MHzの周波数帯の電波も受信してしまいます。
そのためエリアによっては、現在ではスマートフォンなどの電波として使用されるこの周波数帯の電波を、アナログ放送時代のUHFアンテナが受信してしまうことで「700MHz帯電波障害」という受信障害が発生するリスクもございます。
したがって、現在でもアナログ放送時代のUHFアンテナを使用しているご自宅では早急に、地デジ電波の周波数帯に最適化した地デジ用のUHFアンテナへと交換されることをおすすめいたします。
いずれにせよ現在の地デジ放送では、アナログ放送時代に主なテレビ電波として使用されたVHF波を使用しなくなり、UHF波で使用される周波数帯も微妙に狭くなっていることを、ご理解いただけると存じます。
日本における地デジ放送は、2003年(平成15年)12月1日、午前11時より、従来のアナログ放送を継続したまま、東京、大阪、名古屋の主要な都市圏でスタートし、徐々にその放送エリアを広めてゆきました。
地デジ放送とアナログ放送を並行して放送していたのは、地デジ放送用の電波塔などの整備、新設などをはじめ、一般世帯などでも地デジ受信のためには、従来のアナログ放送用アンテナやテレビ機器、チューナーなどを、地デジ放送対応のものに交換する必要があったため、その移行期間としてアナログ放送を継続していたのです。
その後、2011年(平成23年)7月24日正午に、東日本大震災で被災した一部地域への特例措置を除き、日本国内でアナログ放送が完全停波(終了)し、日本の地上波テレビ放送は、地デジ放送へと統一されました。
アナログ放送から現在の地デジ放送に転換されたことで、テレビ放送の形も大きく変わりました。
アナログ放送時代は、テレビ放送といえば、主にブラウン管式のテレビで、テレビ局(電波塔)から送信されるテレビ放送の番組を、ただ一方的に視聴するだけのものでした。その画質も、現在の画面解像度に換算して、約640×480ピクセル、およそ31万画素でした。
現在では、このレベルの画質や放送は、ほぼDVDの画質に相当し「標準画質(SD画質)」「標準放送(SD放送)」と呼ばれます。
対して地デジ放送では、電波で送信できる情報量が大容量化したことにより、テレビ映像のハイビジョン(HD)化。そして音声もCD並みの高音質化や、2.0chステレオによる二か国語放送や副音声。5.1chサラウンドなどを実現しています。
他にもSD放送であれば、同じ放送局から同時間帯に最大3番組を放送できるマルチ編成。リモコンでテレビ番組の放送予定や内容を確認できる番組表や字幕放送。またさまざまな情報を確認できるデータ放送。リモコンの4色ボタンで、テレビ番組のクイズやアンケートなどに参加できる双方向サービス。通常の地デジテレビ放送(フルセグ)だけでなく、いわゆるガラケー時代の携帯電話など、携帯機器による小型の液晶画面でテレビ放送を視聴できるワンセグ放送など、さまざまな機能が追加されております。
現在では日常の一部と言える、このような地デジ放送の機能は、アナログ放送時代の常識で考えれば、まるでSF映画の世界といっても過言ではございませんでした。
なお地デジ放送をはじめ、アナログ放送時代からのテレビ放送の歴史や、地デジ電波の性質、地デジとアナログ放送で使用されるテレビアンテナなどについては、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・現在の地上波テレビ放送で地上デジタル放送が開始されたのはいつ? デジタル放送とか何か、その仕組みや特徴も全解説!
・UHFアンテナとは地デジテレビアンテナのこと? VHFアンテナとの違いや設置方法、古いアンテナや端子の交換方法も解説!
・VHFアンテナとは? UHFアンテナとは? 基礎知識とアナログテレビアンテナの問題点
地デジ放送の「電界地域」とは何か?
上記の通り、現在の地デジ放送、かつてのアナログ放送とも、日本国内に設置された数多くの電波塔からテレビ電波を送信する、地上波テレビ放送です。
現在の地デジ放送では、主に送信所(親局、基幹局)および、中継局(サテライト局)という二種類の電波塔が各エリアに設置され、地デジ電波を送信しております。
送信所とは、東京都墨田区押上に位置し、東京都内をはじめ、千葉県、埼玉県、神奈川県の多くの地域から、群馬県、栃木県、茨城県の一部にまで地デジ電波を送信する東京スカイツリーをはじめ、日本国内でも広域の地デジ放送エリアとして区切られた広域圏ごとに設置され、複数の都府県にまたがる広範囲へ地デジ電波を送信する、大型の電波塔のことです。
しかしこの送信所だけでは、その周辺でも、送信所からの距離や地形などに影響を受けて、十分な電波レベル(電波強度)の地デジ電波が届かないエリアも出てまいります。
そのため送信所を取り巻く形で、中継局と呼ばれる、送信所よりやや規模の小さな電波塔が、必要な位置に数多く設置されています。この中継局では、送信所や他の中継局が発信する地デジ電波を受信した後、その中継局内で電波を増幅し、あらためて周辺エリアへと地デジ電波を送信しています。
これら地デジ電波塔が、日本国内の全域でも、必要となる位置で適切に設置されているため、日本国内でも地形などの問題で電波が届きにくいごく一部のエリアを除く主要なエリアで、地デジアンテナの設置、もしくはワンセグ、フルセグ受信機器を使用することにより、地デジ電波を受信し、地デジ放送を視聴できるのです。
ただ電波は空間を伝わるエネルギーの波長であるため、地デジ電波に限らず、発信元(地デジ電波であれば電波塔)から距離が離れるほど、減衰(電波レベルの弱まり)が生じてまいります。これは光や音が音源や光源から離れるほど弱まるのと同じといえます。
また地デジ電波であるUHF波は、電波の中では、比較的、周波数帯の高いものになりますが、その波長の長さは40センチから60センチ程度と、ある程度の幅もあるため、高層ビルなどの建築物にぶつかった場合も、その向こう側に回折する力や、一般的な戸建て住宅の壁や屋根であれば、通り抜けて屋内に達する力もございます。
ただアナログ放送時代の主なテレビ電波であるVHF波は、周波数がやや低いことから、その波長の長さは約1.4メートルから3.3メートル程度でした。
したがって地デジ電波のUHF波は、アナログ放送の頃のVHF波に比べると、性質がやや光に近く、障害物に弱くなっております。地デジ放送では、電波塔から送信される際の地デジ電波の出力(電波レベル)を高めることで、障害物に対する弱さへの対策としておりますが、電波塔から距離が離れ、地デジ電波のレベルが弱まると、障害物に対する弱さもより顕著になってまいります。
日本国内では、前述の通り、要所に送信所、中継局の地デジ電波塔を設置することで、日本国内でも人が居住するほとんどのエリアに地デジ電波を送信しております。
ただ、上記のような電波の性質から、地デジ受信が可能なエリアでも、電波塔からの距離や地形、建築物など電波を遮る障害物の影響により、エリアごとに受信できる地デジ電波のレベルは異なってまいります。
地デジ電波の電波レベルは、主に電波強度などを示す「㏈(デシベル)」の単位を基準に判断されますが、この受信できるおおよその地デジ電波レベル(㏈)ごとに、日本国内でエリアを区分けしたものを「電界地域」と呼びます。
この電界地域は、学問的、法律的などの正式な定義ではなく、テレビ放送やアンテナ機器の世界で、受信レベルを分類するため、それぞれの団体や企業などが便宜的に使用する基準になるため、使われる場所によって定義が異なる場合もございます。
また実際に受信できる地デジ電波レベルも常に一定ではなく、その時の気候や天候によって変動するほか、個々の現場など、非常に狭い範囲で周辺環境によって影響を受けることもございます。
そのため電界地域とは、あくまで広いエリアでの受信レベルを判断するための、大まかな目安にすぎませんが、一般的には「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域(微弱電界地域)」の三種類(四種類)に区分されることが多くなります。
以下、各電界地域の一般的な基準と特徴について解説してまいります。
「強電界地域」は、受信できる地デジ電波レベルが80㏈以上のエリアを指します。
一般的には、その一帯に地デジ電波を送信する地デジの電波塔を見渡すことができ、電波を遮断する山地や高層建築などの障害物もほとんど存在しないエリアになります。
強電界地域であれば、ほとんどの現場で十分な地デジ電波が受信できるため、使用できる地デジアンテナモデルや設置場所とも、選択肢の幅が非常に広くなります。
具体的には、現場の受信環境や、設置するテレビの台数などでも条件は異なりますが、受信性能では、8素子から14素子、20素子(相当)のモデルが適しております。
また実際の受信性能は4素子相当前後になる、屋外屋内兼用モデルなど簡易型のアンテナ。一台のテレビなど受信機器と接続できるのみで、受信性能は非常に低い室内アンテナを使用できるケースも多くなります。
実際の機種としては、屋根の上などの高所に設置される八木式アンテナ、ユニコーンアンテナ、横型アンテナなどが使用できる他、壁面やベランダに設置されるデザインアンテナも、住宅密集地など周辺環境に問題がない限り、ほとんどの場合は設置可能です。
またその他の地デジアンテナモデルを壁面に設置することや、建材などの条件が許せば、通常型のデザインアンテナを屋根裏空間、天井裏空間などに設置することも可能です。
なおアンテナの配線部でも、アンテナ本体の近くに設置され、テレビ電波レベルを増幅することで、受信レベルの不足を補完する「ブースター(増幅器)」に関しては、強電界地域でも、住宅に3台以上のテレビなど受信機器を設置する場合には必要となります。
ただ地デジアンテナで受信できる電波レベルが強く、設置されるテレビ台数が少ない場合は、ブースターの設置が必要なくなるケースもございます。
一方で地デジ電波は、テレビなど受信機器に届く電波レベルが90㏈以上でも、地デジのテレビ画面が乱れる、映らないなどの問題が生じるため、強電界地域で受信できる地デジ電波レベルが強すぎる場合も、電波レベルの調整が必要となります。
具体的には、住宅で必要な電波レベルに合わせて、8素子や14素子など、受信性能がやや低いアンテナ機種を使用する。また配線部で地デジ電波を適切なレベルに減衰させる機器「アッテネーター」を設置するか、アッテネーター機能が内蔵されているテレビなど受信機器の場合は、機能をオンにするなどの対処がございます。
「中電界地域」は、受信できる地デジ電波レベルが80㏈から60㏈の範疇になるエリアで、おおむね強電界地域の周辺にあたります。
このエリアでも一定の強さの地デジ電波を受信できるため、使用できる地デジアンテナの機種や設置の位置については、素子数は14素子から20素子(相当)のモデルで、強電界地域ほどではないものの、ある程度は自由に選ぶことができます。
ただ中電界地域になると、地デジ電波を遮ってしまう現場周辺の地形や建築物などにも影響されやすくなってくるため、使用できる地デジアンテナ機種や設置位置に制限が出る場合もあるため注意が必要です。
「弱電界地域」は、中電界地域のさらに周辺エリアや、地形などの影響で電波塔からの地デジ電波が届きにくくなるエリアです。地デジ電波レベルの数値的には、受信できる地デジ電波レベルが60㏈以下になる地域にあたります。
このエリアでは、電波塔からの距離の遠さなどから、そもそもアンテナで受信できる地デジ電波レベルが弱く、周辺の建築物などの電波を遮る障害物にも影響されやすくなるため、基本的には受信性能の高い地デジアンテナを、障害物に影響されにくい、できるだけ高所に設置する必要がございます。
具体的には、八木式アンテナでも20素子相当から、高性能アンテナであるパラスタックアンテナが必要になります。デザインアンテナも、受信できる地デジ電波レベルが弱電界地域の上限に近いようなエリアであれば、26素子相当、ブースター内蔵型のモデルを、できるだけ高位置に設置することで、使用できるケースもございます。
また弱電界地域でも、特に受信できる地デジ電波が50㏈から40㏈以下と、そのままでは安定した地デジ放送の視聴が難しくなるエリアを、微弱電界地域と呼ぶことがございます。
このエリアは、基本的に該当する地デジ電波を送信する電波塔の受信範囲外とされております。微弱電界地域で安定した地デジ電波を受信するためには、パラスタックアンテナでも、27素子、30素子などの高性能モデルが必要となってまいります。
またこれらのエリア以外にも、前述の通り、電波塔からの地デジ電波が届きにくい山地や山間部、離島部など、地デジ電波がまったく届かないエリアも、日本国内にも存在します。
このようなエリアは地デジの「難視聴地域」と呼ばれ、その多くは、人が住むに適さない地形か過疎地域に当たります。難視聴地域における地デジ放送の視聴に関しては、主にケーブルテレビ(CATV)を利用するか、地域において受信性能の高い共同受信用の大型アンテナを設置し、そこから各世帯にケーブルを敷設して地デジ電波を配分する形になります。
このように電界地域は、そのエリアに含まれる各現場において、設置できる地デジアンテナの機種や受信性能、また適した設置位置を判断する目安となります。
なお日本全国で、お住まい周辺に存在する送信所、中継局など地デジ電波塔の位置と、各電波塔での電界地域の目安を確認する方法としては、インターネット上の「A-PAB 一般社団法人放送サービス高度化推進協会」公式サイト内のページ「地デジ放送エリアのめやす」にて、地図上で閲覧する方法がございます。
ただ注意すべき点として、この電界地域で把握できるのは、広範なエリアにおける、おおまかな地デジ電波の受信レベルにすぎません。
最初に申しあげた通り、地デジ電波レベルの強弱にはその日の気候や天候の他、アンテナを設置する現場の周辺環境にも影響を受けるため、電界地域は、受信できる電波レベルの目安にはなっても、必ずしも確実な基準とはならない点に注意が必要です。
電界地域とは別に、地デジ電波レベルの強弱に影響を与える要因については、以下の項で詳しく解説してまいります。
なお、電界地域に関連する事柄に関しては、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
・徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方は?
・地デジ強電界地域の調べ方とは? 強電界地域用テレビアンテナ機種の選び方、適したアンテナ取り付け工事の進め方も徹底解説
・中電界地域と強電界、弱電界地域の電波レベルの違いとは? 該当する地域の調べ方、適した地デジテレビアンテナの選び方も解説
・地デジの弱電界地域に最適なテレビアンテナの種類と取り付け工事の選び方とは? 強・中・弱の電界地域の調べ方も徹底解説
電界地域の注意点と地デジ電波に影響を与える要因とは?
上でご説明した通り、電界地域とは、主に電波塔からの距離や地形の影響による地デジ電波の強弱を基準に、その地域で受信できるおおよその地デジ電波レベルにてエリアを区分したものになります。
そのため、例えば中電界地域の中でも、受信できる地デジ電波が80㏈に近い現場から、60㏈に近い現場までに分かれ、同じ電界地域でも、各現場によって適した地デジアンテナ機種や設置位置などは異なってまいります。
なお地デジ電波の場合、個々の住宅に設置された地デジアンテナから、アンテナケーブルの配線部で、電波レベルを増幅するブースターや、各部屋のアンテナコンセントへと地デジ電波を等分に分配する(例えば150㏈の電波を3分配した場合は、50㏈×3など)分配器などの機器を経由して、アンテナコンセントから各部屋に設置されたテレビなどの地デジ受信機器へと届けられます。
また地デジ電波レベルは、この配線部や各機器の接続部を通る際にも多少の減衰が生じ、アンテナからテレビなど機器までの配線部が長いほど、減衰量が多くなります。
そして個々のテレビなど受信機器で、地デジ電波を受信する際に、画面の乱れなどが生じない安定した受信、試聴のためには、地デジ電波が地デジチューナーに届いた時点で、34dBから89dBの地デジ電波レベルが必要となります。
しかし地デジ電波レベルは、前述のように、気候や天候の影響で強弱が変動する他、また地デジアンテナからテレビ機器までの配線の長さによっても減衰量が変化するため、現実的にはチューナーに届いた時点で最低でも40㏈以上。一般的には47dBから81dB程度の電波レベルが適切とされます。
このように地デジ電波レベルは、電界地域の他にもさまざまな要素に影響を受け、強弱が変動するため、電界地域は必ずしも確実な指針とは限りません。場合によっては各電界地域に含まれるエリアでも、電界地域の基準より地デジの受信レベル(㏈)が低くなることもございます。
以下、電界地域を判断する上での注意点、および地デジ電波(UHF波)の性質について解説してまいります。
まず電界地域ですが、前述の通り、統一された基準が存在しないため、使用される場所によっては、後述する電波レベルの変動も踏まえて㏈数の基準が異なる場合や、分類が強電界地域と弱電界地域の二種類のみになるケースもございます。
そのため電界地域の表記で受信できる電波レベルを判断する場合には、その電界地域がどのような形式や基準で分類されているかを、まず確認することが重要と言えます。
そしてすでにご説明している通り、地デジ電波のレベルは、一年を通した季節や気候の変化にも影響を受け、変動が生じます。
具体的には、冬場などで気温が低くなると空気が収縮するため、地デジ電波が遠くまで届きやすくなります。ただその反面、無関係の電波も遠くから届きやすくなるため、電波同士の干渉によりノイズが発生しやすくなる面もございます。
逆に春から夏にかけての、気温が高い時期は空気が膨張するため、空間を伝わる電波レベルがやや弱くなります。
このような季節や気候の変化によって、地デジアンテナで受信できる地デジ電波レベルには、一年を通して、約6㏈程度の変動が生じます。
他にも電波は水分に弱いため、湿度が高い日、特に雨や雪など悪天候の際には、電波レベルが大きく低下してまいります。そのため、青天の日では地デジアンテナによる安定した地デジ放送の視聴ができる現場でも、雨や雪などの悪天候の場合には、地デジ画面の乱れが生じるケースがございます。
通常、地デジアンテナを設置する際には、作業が行いやすく地デジの電波状態がいい青天の日に工事を実施しますが、地デジアンテナ設置に当たっては、当日の電波状態だけでなく、雨天や気候などで地デジ電波レベルが低下した場合も想定して、どのような場合でも安定した地デジ電波レベルを受信できるアンテナ機種、設置位置を選定する必要がございます。
雨天や気候などの影響で地デジのテレビ画面が乱れる場合は、アンテナ設置時の電波調査や、電波レベルの変動に対する想定が甘く、雨天の際の地デジ電波レベルに対して、地デジアンテナの受信感度が低くなるという原因が考えられます。
この場合は、より受信感度が高まるよう、地デジアンテナ本体や設置位置を交換するのもひとつの方法です。ただその場合は費用や手間がかかるため、ご自宅のブースターの増幅レベルを高めに調整する。
また特定の部屋でのみ画面が乱れる場合は、悪天候などによる地デジ電波レベルの低下と、アンテナケーブルの長さによる減衰の相互作用と考えられますので、該当する部屋に室内用ブースターやラインブースターを設置するという対策もございます。
もうひとつ、電界地域の基準とは別に、地デジ電波レベルが低下しやすい原因として、周辺の建築物など障害物の影響で、特定の現場や狭い範囲でのみ、地デジ電波が遮られてしまい、受信レベルが低下してしまうケースが多くございます。
例えば強電界地域など、本来は地デジ電波レベルが良好な現場でも、地デジ電波塔からの地デジ電波が、高層ビルなどに遮られる場合、その陰に当たる位置の直近や、ビルの中央部などでは、地デジ電波の受信に問題が出るほど、受信レベルが低下することもございます。
他にも、住宅密集地など、家屋の壁面が、隣家の壁とすぐ近くに面しているような現場では、障害物の少ない屋根の上では安定した地デジ受信が可能でも、壁面では受信レベルが極端に低下し、壁面用デザインアンテナの設置が難しくなることもございます。
また地デジアンテナを向けた方向に、庭木や木立などの木がある場合も、特に夏などで葉が生い茂った際に、地デジ電波が遮断されるケースもございます。また雨の後などに木立が濡れ、水が滴っているような場合にも、水分による電波の減衰が生じます。
このような場合の対策としては、まず障害物を排除するか、障害物の影響を受けない位置に地デジアンテナを設置し直すといった方法がございます。
障害物がご自宅の庭木などの場合は、撤去は比較的、簡単で、枝や葉を落とすだけで対処できることがございます。ただ隣家や公園などの木である場合は、無断で枝を切ることは法に触れてしまいます。まずは木の所有者である隣人や公共機関などへの相談が必要となりますのでご注意ください。
またお住まいの近隣に高層マンションなどの建築物が建てられ、地デジ電波が遮断されて受信障害が発生した場合には、民法709条「原因者負担の原則」に基づき、お住まいの自治体の担当部署などを通じて、原因者(建物の建築主やオーナー)がその費用を負担する形で、対処を求めることができます。
具体的には、建築物の屋上に大型の共用アンテナを設置し、そこから受信障害が生じている各住宅にケーブルを配線する。または初期費用を原因者が負担して、ケーブルテレビ(CATV)を導入するといった方法になります。
以上のように、電界地域の基準の違いや、地域内での受信レベルの変動に加え、気候や天候による地デジ電波レベルの変動、周辺環境による地デジ電波レベルの低下といった要因も絡んでくるため、電界地域はあくまで大まかな目安にすぎず、各現場で受信できる地デジ電波レベルは、現場の条件によって電界地域の基準から外れるケースもございます。
そのため各現場における地デジ電波強度や電波が届く方向など、正確な受信環境を割り出すには、アンテナ工事のプロである専門業者に「アンテナレベルチェッカー」など専用の機器を用いた、正式な電波調査を依頼する必要がございます。
なお、当あさひアンテナでは、地デジアンテナをはじめとする各種アンテナ設置の前に必要となる、現場での電波調査、およびお見積もりを、出張費から工事の本契約に至らなかった場合のキャンセル費まで、各種費用を含め、完全無料でお引き受けしております。
弊社では綿密な電波調査により、例えば同じ住宅内でも、屋根の上と壁面の受信レベルの違いを含め、住宅の各位置や部屋で綿密な電波調査を行い、その現場で最適となるアンテナ設置の機種や位置の中から、お客様のご要望にもっとも適した施工のご提案を、業界最安に挑むお見積もり価格でご提示いたします。
もちろん気候や天候などの影響による地デジ受信レベルの低下も織り込んでいる上、アンテナ設置の施工後、周辺で発生しうる障害物についても、ご提案時に考えうる限り想定しておくことで、上記のような原因による地デジ受信レベルの低下を、可能な限り防止する施工を実施しております。
地デジ電波の性質や、地デジアンテナ設置に関する電波調査、お見積もりに関しては、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・地デジ放送、衛星放送(BS/CS)テレビアンテナ工事の現場で必要な「電波調査」の方法とは?
・地デジや衛星放送のテレビアンテナ工事費用がいくらかわかる「見積もり」とは? 業者、会社ごとの設置費用の相場や選び方を解説
・地デジ電波の強さと品質を示す「dB」「MER」「BER」とは何か?
地デジ電波受信に関する注意点:ハイトパターンとは?
ここからは、地デジ放送やその電波が持つ特性と、それに対応して安定した地デジ電波の受信を実現する方法について解説いたします。
まず地デジ電波には「ハイトパターン」という特性がございます。これは地デジの電波塔から空中を伝達される地デジ電波と、地面に反射して上昇する地デジ電波が干渉し合うことによって生じる性質で、地面から高くなってゆくにつれて、地デジ電波レベルが、数メートルほどのペースで、強弱を波のように繰り返す性質のことです。
このハイトパターンのペースを「ハイトパターンピッチ」といいますが、その幅は、現場における電波塔からの距離や電波レベル、周辺の地形などによって異なります。
このハイトパターンは、地デジ放送になって登場した注意点とも言えます。アナログ放送の時代は、波長の長いVHF波を使用していたため、ハイトパターンピッチも数十メートルの幅となり、アンテナの設置位置に実質的な影響はなかったのです。
地デジアンテナでも、特に八木式アンテナやユニコーンアンテナは、高所に設置されることで、周辺の建築物などの障害物に影響されにくくなり、アンテナの角度調整も行いやすくなります。
通常、地デジアンテナは7メートルから10メートル程度の高度に設置されますが、その場合も、ただ高い位置であればいいというものではなく、現場のハイトパターンも確認して、適切な高さに調節する必要がございます。
このハイトパターンに合わせた適切なアンテナ高度を設定するためにも、プロのアンテナ工事業者による電波調査が重要といえます。
ハイトパターンについては、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
・地デジアンテナを設置する高さの設定で重要となるハイトパターンとは? 地デジ電波を受信するために適切なアンテナの高さとは?
地デジ電波受信に関する注意点:水平偏波と垂直偏波とは?
地デジ電波には「水平偏波」「垂直偏波」の違いがございます。これは電波の性質というより、必要上の使い分けと言えますが、日本国内の各地に設置された中継局の中には、水平偏波を送信するものと、水平偏波を送信するものの違いがあるのです。
水平偏波とは、地面に対して水平の波長を描くUHF波。垂直偏波は、地面に対して垂直の波長を描くUHF波になります。この水平偏波、垂直偏波には、波長の角度以外、電波の品質や強さ、送信されるテレビ放送の内容などに違いはございません。
実際には日本全国に存在する中継局のうち、約95パーセント以上が水平偏波を送信しており、残りの5パーセント程度で垂直偏波を送信しております。
他にも双方の電波を送信している電波塔や、状況の変化などによって送信される電波の種類が切り替わるケースもございます。
この水平偏波、垂直偏波の使い分けは「混信」を避けるために、電波塔が設置される地域によって使い分けられております。
混信とは、地デジ電波と周波数帯の近い携帯電話、スマートフォンなどの電波や、別の中継局からの地デジ電波が入り混じることで、異なる電波が干渉し合い、地デジ放送の映りが乱れる。またスマートフォンの通信障害が起こるなど、電波障害が発生することを言います。
ただこの混信は、周波数帯が近い電波同士であっても、その波長の角度が違っていれば起こりにくくなるのです。そのため携帯電話の基地局の付近など、混信が想定される地域においては、一部の中継局からの地デジ電波に垂直偏波を利用することで、混信が生じることを避けているのです。
この水平偏波、垂直偏波の注意点としては、地デジアンテナの設置方法やモデルに影響を与えるという点が挙げられます。
基本的に、地デジアンテナで水平偏波と垂直偏波のそれぞれに対応するためには、その波長の角度に合わせて、アンテナ設置の際の角度を90度、変えることで対応できます。
八木式アンテナの場合は、この角度の変更だけで両方の電波に対応できます。
ただデザインアンテナの場合が、角度をずらすと特徴であるデザイン性の悪化や、左右への角度調整が難しくなる問題も出てまいりますので、水平偏波専用と垂直偏波専用のモデルが別個に存在します。
ユニコーンアンテナは比較的、新しいモデルであることもあり、水平偏波専用のモデルしか存在しません。
この水平偏波と垂直偏波の違いについても、ご自宅で地デジアンテナをDIY設置する場合や、インターネットショップなどで購入した地デジアンテナ機種を、アンテナ工事の専門業者でない業者に設置を依頼する場合などは、現場の水平偏波、垂直偏波に対応していないモデルを購入してしまうと、地デジ電波を受信できなくなるためご注意ください。
なお、お住まいのエリアに地デジ電波を送信する中継局が、水平偏波と垂直偏波のどちらを使用しているかの確認は、日本の各エリアで個別に存在する総務省「総合通信局・総合通信事務所」のホームページや、各テレビ局の公式サイトなどで確認できます。
なおアンテナ工事の専門業者による地デジアンテナ設置であれば、水平偏波、垂直偏波への対応の万全ですので、これらに関するご心配の必要は特になくなります。
水平偏波・垂直偏波に関しては、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
地デジ電波受信に関する注意点:地デジアンテナの角度のズレ
これは地デジ電波の性質ではなく、地デジアンテナ本体の性質になりますが、地デジ電波の受信レベルが低下し、地デジ放送の視聴に支障が出る原因で、多いパターンのひとつに「地デジアンテナの設置角度のズレ」がございます。
というのも、地デジアンテナには、一部を除くほぼすべての機種、モデルに「指向性」という性質が存在いたします。テレビアンテナの場合、指向性とは、アンテナ本体でも正面側にあたる一方向でのみ、テレビ電波の受信性能が高くなる性質のことをそう呼びます。
地デジアンテナにおいては、正面方向ではもっとも受信性能が高くなる反面、アンテナ角度が正面以外の方向に傾くほど受信性能が弱まってゆき、真横や後部などでは、ほとんど受信性能がなくなります。
地デジアンテナでは指向性が鋭い、すなわち受信性能が高まる角度が狭い機種ほど、正面側での地デジ電波受信性能が向上する性質がございます。
イメージ的には、指向性がなく全方向で同レベルの受信性能を持つアンテナに比べて、指向性の高いアンテナは、同じ受信性能を狭い角度に集中させることで、受信性能を高めているといえます。また指向性には、アンテナの正面側の他から届く、ノイズを引き起こす無関係な電波をカットするという役割もございます。
地デジアンテナでも個々の機種やモデルの指向性は、アンテナの形状や受信性能にも影響されますが、各機種で受信性能がもっとも高くなる真正面を基準点に、アンテナの角度を左右へとずらして、受信性能が真正面の最大レベルから、ちょうど半分のレベルになる角度を示す「半値幅」という数値で表されます。
そのため地デジアンテナを設置する際には、指向性の半値幅に基づいて、アンテナの真正面側を、地デジ電波を送信している電波塔の方向(場合によっては地デジ電波が建物などに反射した「反射波」が届く方向)へと向けて、正確に角度を調整して固定する必要がございます。
指向性が高いアンテナモデルほど、正確な角度調整により受信性能が高まります。ただその反面、わずかな角度のズレにより受信感度が低下しやすくもなるため、アンテナ設置の際には、アンテナ工事の専門業者による、正確な角度調整と頑丈な固定を行うことが重要と言えます。
またしっかりと設置された地デジアンテナでも、設置から歳月が経つと、アンテナ本体の経年劣化により耐久力が低下し、風雨などの影響を受けた角度のズレが発生しやすくなります。
その場合には、アンテナのメンテナンスを行い、一部の部材交換と角度の再調整を行って、あらためてしっかりと固定し直す。またアンテナの老朽化の度合いが激しい場合には、アンテナ本体の交換を行うといった対処が必要です。
なお当あさひアンテナでは、屋根の上に設置された八木式アンテナなどの角度調整と再固定は税込み8,000円。部分的な破損など、簡単な補修で対応できるアンテナ修理については税込み5,000円でお引き受けしております。
地デジアンテナの指向性や角度調整の方法については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・地デジのテレビアンテナで受信できる方向は指向性で決まる? アプリでアンテナの方向調整に最適な角度を調べる方法も徹底解説!
・地デジテレビアンテナをさまざまな場所に設置する工事と、アンテナの向きや方向を自分で調整する方法とは? 費用の相場も解説!
・住宅に設置された地デジ用テレビアンテナの向き、角度を調整する方向と費用は? 業者に工事を依頼する料金相場と選び方も解説!
・地デジ用テレビアンテナ設置の工事で向きや角度を調整すべき方向と「指向性」の関係とは? 自分で方角を調整する方法も解説!
地デジアンテナの主なモデルについて
以下の項では、現在の地デジアンテナの主なモデルである「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」について、その受信性能や適した電界地域などの設置現場を中心に解説してまいります。
なお、地デジアンテナの全般的な特性については、以下の各コラム記事で詳しく解説しております。
・地デジアンテナや無線通信用アンテナの性能を示す利得、動作利得とは何か? 素子数との違いなど地デジアンテナ基礎知識も解説
・テレビアンテナの性能を決める「素子」とは何か? 地デジアンテナ工事で重要な「素子数」を徹底解説!
・地デジ用テレビアンテナ工事にて設置する電界地域に最適な受信性能は「何素子数」タイプか? アンテナ機器の選び方を徹底解説!
・地デジ放送用テレビアンテナ、UHFアンテナ機種による素子数の違いとは? 高性能モデルや現場ごとに必要な素子数の機種を解説
・地デジ用テレビアンテナ各種類の違いと選び方とは? 戸建て住宅への設置や交換する方法、工事費用はいくらかの相場も解説!
八木式アンテナ
八木式アンテナは、戸建て住宅の屋根の上などに見られる魚の骨のような形状の、アナログ放送の時代から使われる、古典的なテレビアンテナです。
八木式アンテナの基本的な設置方法は、住宅の屋根の上にマスト(支柱、ポール)を立てて、その先に固定するという形になります。
他にも、住宅の壁面やベランダの手すり部などにサイドベースという金具を固定し、そこに短いマストを立てて設置する。ベランダの内部に設置する。軒先用モデルを使用して、軒先から吊り下げるなどの方法がございます。
八木式アンテナのメリットは、地デジアンテナ機種の中でも、もっとも受信性能が高く、幅広い電界地域で使用できるという点です。
八木式アンテナの短い横棒にあたる、地デジ電波を受信するパーツであり、その数で受信性能が決まる「素子(エレメント)」は、モデルごとに、8素子、14素子、20素子のモデルが存在し、それぞれ適した電界地域がございます。
他にも、指向性の高さによる動作利得の高さ。素子が露出する「素子アンテナ」であることによる受信感度の向上。地デジ電波の全周波数帯を受信できる「オールチャンネルアンテナ(13chから52ch対応)」の他に「ローチャンネル用アンテナ(13chから34ch対応)」など、受信できる周波数帯(チャンネル)の範囲を絞ることで、受信性能が高まるモデルが存在する。そして屋根の上など高所に設置されるため、周辺の障害物などに影響されにくい、など、受信性能が高くなる要素が数多く存在します。
また通常型の八木式アンテナの他にも、Ⅹ字型などの器具の上下に複数の素子パーツを並べた高性能素子を使用する、高性能アンテナ「パラスタックアンテナ」では、27素子、30素子などのモデルも存在し、通常モデルの数倍の受信性能を持つため、微弱電界地域でも地デジ受信が可能になります。
なお、八木式アンテナでも各素子数モデルの受信性能を示す動作利得と、指向性を示す半値幅について、ある有名メーカーモデルの例を挙げると、以下の通りになります。
・八木式アンテナ
(8素子)動作利得5.0から9.9㏈/半値幅42度から63度。
(14素子)動作利得8.0㏈から12.5㏈/半値幅34度から57度。
(20素子)動作利得8.5㏈から13.8㏈/半値幅28度から52度。
・パラスタックアンテナ
(5素子)動作利得7.2㏈から10.5㏈/半値幅35度から56度。
(14素子)動作利得10.6㏈から13.5㏈/半値幅26度から43度。
(20素子)動作利得11.3㏈から14.5㏈/半値幅18度から35度。
(27素子)動作利得10.6㏈から16.4㏈/半値幅15度から40度。
(30素子)動作利得13.2㏈から16.1㏈/半値幅18度から29度。
・20素子オールチャンネルアンテナ/ローチャンネル用アンテナ
(オールチャンネル)動作利得8.5㏈から13.8㏈/半値幅は28度から52度。
(ローチャンネル用)動作利得10.1㏈から13.5㏈/半値幅は28度から47度。
通常モデル、パラスタックアンテナとも、素子数が多くなるほど動作利得が高くなり、同じ20素子モデルでもオールチャンネルアンテナに比べると、ローチャンネルアンテナの動作利得が高くなることもお分かりいただけると思います。
また八木式アンテナは、古典的モデルであることから、本体価格や設置費用が地デジアンテナの中ではもっとも低価格であるのも大きなメリットのひとつです。
ただ一方で、八木式アンテナの機器が露出したシンプルな構造と、高所に設置されるという点は、屋根の上で目立って住宅の見た目や景観を乱してしまう。また風雨や雪、海沿いの潮風など自然環境の影響を受けやすく、経年劣化が進行しやすいため、耐用年数(寿命)が短くなるといった弱点にもつながります。
八木式アンテナの耐用年数は、一般的には10年といわれます。ただ近年のモデルでは、ステンレス素材による本体の軽量化や防水、防サビ加工などで、対候性が高まっている他、自然環境にあわせて設計や加工を工夫した塩害用モデル、雪害用モデルなども存在します。
設置現場の環境に合わせてこのようなモデルを採用することで、自然環境に対する抵抗力が高まり、寿命が十数年程度になる傾向もございます。
八木式アンテナは、基本的に弱電界地域や、強電界地域から中電界地域でも、周辺環境などの影響から受信感度が悪くなりがちな現場で、受信性能を重視する場合に適したアンテナ機種であると言えます。
ただ一方で、その指向性の鋭さと形状、設置位置や、経年劣化の進みやすさから、アンテナ角度のズレによる受信感度の低下が生じやすい点には注意が必要です。
なお当あさひアンテナでは、八木式アンテナをお住まいに設置し、屋内の一ヵ所に配線を行う基本設置工事では、通常モデルとしてDXアンテナ製の20素子高性能モデル「UA20」を使用し、屋根馬やマスト、支線(ステー)などの設置具や同軸ケーブル、防水処理をセットにして、税込み15,000円の工事費用でご案内しております。
他にもパラスタックアンテナを含む、各素子数モデル。また雪害用、塩害用モデルなどもご用意しておりますので、さまざまな条件の設置現場にも対応できます。
なお八木式アンテナについては、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
・地デジ「八木式アンテナ」に適した住宅の条件とは? アンテナ設置工事の特徴や種類を徹底解説!
・屋外用地デジアンテナは八木式アンテナが最強? 人気のデザインアンテナ、ユニコーンアンテナと特徴比較&おすすめの選び方紹介
・新築戸建てのテレビアンテナ工事費用を安くできて高性能の八木式アンテナとは? アンテナ種類の選び方や業者の料金相場を解説
デザインアンテナ
デザインアンテナとは、八木式アンテナにケースを設置したような横型アンテナや、形状に工夫を凝らした屋外屋内兼用アンテナなど、デザイン性の高いアンテナの総称として使われることもございますが、一般的には、アンテナの機器部を長方形の薄型ケースに収めた平面アンテナ、壁面アンテナ、薄型アンテナ、フラットアンテナ、ボックスアンテナ、ケースアンテナなどとも呼ばれる地デジアンテナ機種になります。
アナログ放送と地デジ放送の転換期である2009年(平成21年)頃に普及しはじめた、地デジアンテナとしては第2世代の機種になります。
主な設置場所は、住宅の壁面やベランダの手すり部に専用の固定具を取り付け、アンテナ本体をはめ込む形で固定する形になります。他にも、八木式アンテナと同じように屋根の上のマストに設置されるケースもございます。
また強電界地域で住宅の建材などが地デジ電波を通しやすい、屋内に設置できるスペースがあるなどの条件が整った住宅では、コンパクトモデルを室内の窓際に置く他、通常モデルを屋根裏空間、天井裏空間に設置することも可能になります。
デザインアンテナのメリットは、その形状や設置位置な形状に加え、同モデルのカラーバリエーションも豊富なため、住宅の見た目や景観を乱さないという点。そして風雨や雪など自然環境の影響を受けにくいため、経年劣化が進みにくく、耐用年数(寿命)が延びてトラブルも生じにくいという点が挙げられます。
デザインアンテナの耐用年数(寿命)は、一般的な壁面などへの設置で、15年から20年程度とされております。
デザインアンテナはこのようにメリットが豊富な半面、受信性能は、通常モデルで20素子相当、26素子相当のみと、そのブースター内蔵型になります。
素子数相当とは、素子が外部に露出していない地デジアンテナの受信性能を、素子アンテナの性能に換算したものになります。
ただデザインアンテナは、素子が露出しない。指向性がやや広い。オールチャンネルアンテナしか存在しないなどの要因で、同素子数(相当)のモデルでも、八木式アンテナに比べると受信感度はやや低くなる点がデメリットと言えます。
さらにデザインアンテナは基本の設置位置が壁面やベランダ部など、屋根の上よりやや低い位置になるため、周辺の障害物などに影響されやすくなり、その点も受信性能に関しては不利に働きます。
ちなみにある大手メーカーのデザインアンテナで、その動作利得と半値幅の一例を挙げると、以下の通りになります。
(20素子相当)動作利得7.8㏈から9.8㏈(標準値)、7.5㏈から9.7㏈(規格値)/半値幅75度から86度。
(26素子相当)動作利得8.4㏈から10.2㏈(標準値・規格値)/半値幅71度から82度。
同じ20素子(相当)モデルでも、八木式アンテナに比べると、半値幅が広い半面、動作利得はやや低いことがお分かりいただけると思います。
そのためデザインアンテナは、基本的に強電界地域から中電界地域向けの機種となりますが、26素子相当のモデルであれば、壁面の高所などに設置することで、弱電界地域でも比較的、受信環境の良いエリアであれば使用できるケースもございます。
ただ逆に強電界地域などでも、高層建築の近隣や住宅密集地といった、特に壁面などの低い位置で地デジ電波レベルが低下する現場では、デザインアンテナでは十分な受信がでないため、使用できないケースも出てまいります。
他にも住宅の壁面に設置する場合、住宅の壁にビス穴を開ける必要がある。また八木式アンテナに比べると、本体価格や設置費用がやや高額になるなどのデメリットもございます。
デザインアンテナは従来の八木式アンテナの弱点であった要素をカバーできる新機種といえ、現在では地デジアンテナ機種の一番人気モデルとなっております。
指向性の広さから比較的、アンテナ角度のズレにも強い一方で、受信性能をやや犠牲にしている側面もあり、設置できる電界地域が限られる他、周辺環境に影響を受けやすく設置現場が限られることが多い点が弱点と言えます。
なお。当あさひアンテナでは、デザインアンテナの基本設置工事では、DXアンテナの20素子相当モデル「UAH201」。また強電界地域専用であれば、マスプロ電工のコンパクトモデル「U2SWLC3(スカイウォーリーミニ)」をご用意しており、各カラーバリエーションのアンテナ本体と基本設置具、白黒2色の同軸ケーブルなどをセットにして、税込み20,000円からで設置をお引き受けいたします。
その他、26素子相当モデルやブースター内蔵モデルなどもご用意しており、現場の条件が許す限り、デザインアンテナの設置にご対応いたします。
デザインアンテナの詳しい特徴については、以下の各コラム記事にもメリット、デメリットを含む解説がございますので、よろしければご確認ください。
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ユニコーンアンテナ
ユニコーンアンテナ」は、マスプロ電工社が2017年(平成29年)に発売した、地デジアンテナ機種の第3世代にして、2023年現在の最新モデルです。
その形状は、長さ約67センチ、直径約14センチの、ほぼ円柱型で非常にスタイリッシュなアンテナ本体を、ポールの先に設置する形状です。ポールの設置部をカバーで隠せる上、カラーバリエーションも落ち着いたウォームホワイト(WW)とブロンズブラック(BB)の二色あるため、非常にスタイリッシュなアンテナになります。
ユニコーンアンテナの主な設置場所は、八木式アンテナと同じく屋根の上のマストに固定する他、屋根の張り出し部(破風板)や壁面の高所にサイドベースを設置して固定するなど、基本的に、屋根の上とほぼ同様の高度に設置されます。
ユニコーンアンテナのメリットは、そのデザイン性の高さから、住宅の見た目や景観を乱さない。また風雨を受け流せる形状から経年劣化が進みにくく、耐用年数(寿命)が長くなるという、デザインアンテナとほぼ同様の点になります。
ユニコーンアンテナの耐用年数(寿命)は、まだ新しいモデルであるため正確なところは不明ですが、デザインアンテナと同等の15年から20年程度と考えられております。
さらにユニコーンアンテナ本体の受信性能は20素子相当ですが、設置位置の高さから、周辺の建築物などに影響を受けにくく、受信感度が高まるという、八木式アンテナと同様のメリットがございます。
そのため周辺の障害物の影響により、壁面やベランダへのデザインアンテナ設置が難しくなる現場でも、ユニコーンアンテナであれば高所への設置で安定した受信が可能になるため、設置できるケースが多くなります。
ユニコーンアンテナの受信性能は、同じ20素子相当のデザインアンテナを、受信環境のいいい壁面に設置した場合と同等になります。
ユニコーンアンテナは現在「U2CN」の1モデルのみであり、その動作利得は5.5㏈から6.2㏈。半値幅は83度から93度になります。つまり地デジアンテナ機種の中ではもっとも指向性が広く、その分だけ、20素子相当でも動作利得はやや低くなります。
他にも素子が露出していない。オールチャンネルアンテナであるなどの要因から、八木式アンテナの20素子モデルに比べると、総合的な受信性能はやや低くなる点がデメリットです。
ユニコーンアンテナも基本的には強電界地域から中電界地域向けの機種となり、弱電界地域では、比較的、地デジ受信環境がよい地域の他では使用できないことが多くなります。
また2023年現在の最新モデルであることから、アンテナ本体の価格や設置費用も、地デジアンテナ機種ではもっとも高額である。純和風建築など、住宅の様式にはそのデザインが似合わず、外観を乱すケースもあることなどもデメリットに挙げられます。
総じてユニコーンアンテナは、八木式アンテナのデザインアンテナのメリットの融合を目指し、デザインアンテナの外観性や対候性を備えつつ、従来のデザインアンテナでは設置が難しいエリアでも設置できる機種になります。
そのため、やや設置費用は高額になりますが、強電界地域から中電界地域でも、周辺環境などの影響からデザイナアンテナの設置が難しい現場で、外観性や対候性に優れた地デジアンテナをお求めの場合に適したアンテナ機種であると言えます。
なお当あさひアンテナでは現在、ユニコーンアンテナの基本設置工事を、アンテナ本体と設置具、ケーブルなどの基本部材をセットにして、業界最安に挑むキャンペーン価格でご提供しております。
その他、ユニコーンアンテナの特徴やデザインアンテナとの比較などについては、以下の各コラム記事でも詳細を解説しております。
・地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
・台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
・デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説
・外見、寿命、性能すべて優れるテレビアンテナ・ユニコーンアンテナとは? 特徴とメリットデメリットから設置工事の料金まで紹介
・ユニコーンアンテナの特徴と評判、設置工事の費用とは? 地デジ用アンテナ各機種のデザインとメリット、失敗を避ける方法を解説
衛星放送の仕組みとその電波の特徴
現在では世帯普及率が100パーセントに近い基幹的なテレビ放送の地デジ放送に次いで、衛星放送の普及率も、現在では70パーセントを越え、近年では80パーセントに近づく勢いとなっております。
この衛星放送とは名称通り、地上から約36,000キロ上空の赤道軌道上にて、地球の自転に合わせて軌道上を周回するため、地上からは空の一点に常に静止して見える「静止衛星」に向けて、まず地上の送信局からテレビ、ラジオなどの放送電波を送信(アップリンク)します。
その後、電波を受け止めた静止衛星が、その内部で電波の周波数を変換、増幅して、地上の広範囲へ放送電波を送り返す(ダウンリンク)という方式の放送になります。
衛星放送の特徴は、地デジ放送のように、地上に数多くの電波塔を設置する必要がある地上波放送に比べ、一基の静止衛星で、日本国内の全域など、広範囲へ大容量の情報を効率的に送信できるという点です。
そのため衛星放送では、地デジ放送の電界地域のように、地域によって電波レベルの強弱が生じることが少なく、日本国内の全域にくまなく、安定したレベルの放送電波を送信することができます。
また地上の地形や建物などの障害物、また地上で発生した災害などにも影響されにくく、地上波放送に比べて、安定した放送が可能になる点も大きなメリットといえます。
日本の衛星放送は、主に「放送衛星(Broadcast Satellite)」を使用する「BS放送(BSデジタル放送)」と、「通信衛星(Communication Satellite)」を使用する「CS放送(CSデジタル放送)」の二種類がございます。
BS放送は、地デジ放送と同じく不特定多数を対象とする放送であり、東経110度に位置する放送衛星から電波を送信しております。そのため日本国内であれば、BS放送用のアンテナを設置することで、有料チャンネルを除いて誰でもBS放送を視聴できます。
BS放送のチャンネルには、NHK、広域民放をはじめとする無料チャンネル。および月額契約制の有料チャンネルがございます。
CS放送は、放送事業者と契約を結んだ特定の視聴者を対象とするテレビ放送で、チャンネルの大半が有料チャンネルになり、BS放送をはるかに超える多チャンネルが特徴です。
現在のCS放送サービスには、東経110度の通信衛星を使用し、80近いチャンネル数がある110度CS放送「スカパー!」。そして東経124度、128度の通信衛星を使用し、130以上のチャンネルのうち、4K放送チャンネルが1つ。それ以外はすべてハイビジョン(2K、FHD)対応チャンネルになる他、多くのラジオチャンネルもある124度/128度CS放送「スカパー!プレミアムサービス」の2サービスが存在します。
視聴者の側では「スカパー!」「スカパー!プレミアムサービス」のそれぞれと視聴契約を結び、対応する衛星放送用アンテナやチューナーなどの設備を整えて、各サービスの個々のチャンネルと月額契約を結ぶことで、1チャンネル単位から選択してお好みのチャンネルを視聴することができます。
このBS放送、CS放送の区分は、日本の放送法における人工衛星の目的による分類でしたが、現在では双方に実質的な違いは少なくなっております。
また2018年(平成30年)12月1日には、BS放送、CS放送それぞれに複数の4K、8Kチャンネルが追加される形で、衛星放送の4K8K放送「新4K8K衛星放送」もスタートしております。
そしてこれらBS放送、CS放送の衛星放送で、静止衛星から地上に向けて送信される電波は、電波の中でも周波数帯が高いマイクロ波(SHF波)の中でも「12GHz帯」と呼ばれる電波が利用されております。
具体的には、BS放送では11.7GHzから12.2GHz。CS放送では12.2GHzから12.75GHzの周波数帯が使われ、全体で12GHz前後であることから、12GHz帯と総称されるのです。
前述のように電波は周波数帯が高いほど性質が光に近くなるため、衛星放送の12GHz帯の電波は、波長の長さは25ミリ程度と短く、光のように直進性が非常に強くなっております。
衛星放送に使用される静止衛星は、宇宙空間の一点から日本国内の全域をスポットライトで照らすようにして、12GHz帯の電波を広範に送信しています。
この衛星放送の12GHz帯の電波には、現在、主に衛星から見て右回りの螺旋を描いて送信される「右旋円偏波」と、左回りの螺旋を描いて送信される「左旋円偏波」の2種類が使用されております。ただ124度/128度CS放送においては、地デジ電波と同じ、垂直ないし水平の直線偏波を使用しています。
この右旋、左旋の円偏波は、新4K8K衛星放送が導入される以前の、2K衛星放送の時代は、BS放送、CS放送とも、右旋の電波だけが使われていました。
しかしその後、新4K8K衛星放送の開始で、BS放送、CS放送に4K、8Kのチャンネルを追加するにあたり、右旋の電波では、追加されるチャンネルに配分できる未使用の周波数帯が不足したのです。
そこで右旋の電波のうち、未使用の周波数帯には、BS放送の無料チャンネルで基幹的な放送になる、地デジ放送と同じNHK、広域民放の4Kチャンネルを優先的に割り当て、それ以外の4K8Kチャンネル用には、左旋の電波を新しく導入して、その周波数帯を割り当てたのです。
そのため現在では、衛星放送の12GHz帯の電波でも、従来の2K衛星放送と一部BS4Kチャンネルは右旋円偏波。新4K8K衛星放送の大半のチャンネルは左旋円偏波という形で、使用される電波に区分が生じております。
衛星放送の電波については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
衛星放送用のBS/CSアンテナの種類とは?
上記した衛星放送の電波、12GHz帯を受信するための衛星放送用のアンテナは、車載用やアウトドア用の特殊なモデルを除き、戸建て住宅に設置されるモデルは、基本的にはパラボラアンテナの一種類のみになります。
衛星放送用のバラボラアンテナは、大きな皿状の「放物面反射器(反射器)」もしくは「ディッシュ(dish:皿)」を本体とし、このディッシュで静止衛星からの12GHz帯の電波を受け止め、放物曲面を描く内側に反射させます。
ディッシュの裏側、固定部から、ディッシュ下部を通ってその中心部に伸びる金属製のアームの先には「コンバーター」と呼ばれる部分が設置されております。
ディッシュで反射した12GHz帯の電波は、このコンバーターの一次放射器に集められます。12GHz帯の電波はその周波数帯の高さから、そのままケーブルで送信すると減衰量が非常に大きくなるため、コンバーター部でいったんMHz帯の電波に変換してから、コンバーターから延びる同軸ケーブルにより、住宅のアンテナ配線部を経て、テレビなど受信機器のBS/CSチューナーへと送信されます。
このチューナーで電波の映像信号をテレビ映像に変換することにより、衛星放送のテレビ番組を視聴できるのです。
なおBS/CSアンテナには、コンバーターを作動させるために、アンテナの配線部を通じて、ブースターの電源部、またはテレビのチューナー端子から給電する形で、電源が必要となります。
現在の衛星放送用パラボラアンテナの主な機種は、同じく東経110度に位置する静止衛星から電波が送信されるBS放送と、110度CS放送の双方を一基で受信できるBS/110度CSアンテナです。
この他にも、静止衛星の位置が異なる、124度/128度CS放送を受信するためのプレミアムサービス専用アンテナ。また東経110度のBS放送と110度/124度/128度CS放送、すべての静止衛星からの電波を受信できるマルチアンテナ。また必要に応じて使い分けられる、BS放送、CS放送の一方のみに対応するBSアンテナ、CSアンテナなどがございます。
現在、一般的にBS/CSアンテナとして広く使用されるアンテナは、BS/110度CSアンテナになりますが、このアンテナには、現在の2K4K8K対応型と、2018年以前の旧式である2K対応型が存在します。
と申しますのも、前述の通り、現在では12GHz帯の電波も、従来の2K衛星放送と一部のBS4Kチャンネルに使用される右旋の電波。そして大半の4K8Kチャンネルのために導入された左旋の電波が使用されております。
そして現在の2K4K8K対応BS/CSアンテナでは、右旋と左旋の双方の電波を受信できるのに対し、新4K8K衛星放送がスタートする2018年以前の2K対応BS/CSアンテナでは、右旋の電波しか受信できないのです。
また2K4K8K対応BS/CSアンテナのコンバーターで12GHz帯の周波数帯を変換する際、右旋左旋それぞれの電波の周波数帯は、BS右旋は1032MHzから1489MHz。110度CS右旋は1595MHzから2071MHz。BS左旋および110度CS左旋の電波は2224MHzから3224MHzへと変換されます。つまり左旋の電波は、右旋の電波に比べて高周波数帯に変換されるのです。
そして新4K8K衛星放送がスタートする以前、右旋の電波しか使用しなかった2018年以前は、2K対応のBS/CSアンテナだけでなく、配線部のケーブルやブースター、分配器などの機器も、左旋の電波が変換された周波数帯に対応できないことがございます。
そのため2018年以前に設置されたBS/CSアンテナや住宅の配線部で、左旋放送含む新4K8K衛星放送のすべてのチャンネルを受信、試聴するためには、BS/CSアンテナを2K4K8K対応型に交換するだけでなく、配線部のブースターや分配器などの機器、ケーブルなども、4K8K(3442MHz)対応のものに機器する必要が出るケースもございますので、ご注意ください。
BS/CSアンテナ本体の設計や構造はどれも同じパラボラアンテナになるため、メーカーやモデルは違っても、コンバーターなどの細かな性能差を除き、受信性能に大きな違いは生じません。
BS/CSアンテナで受信性能を決める大きな種類の違いは、ディッシュ直径サイズの違いになります。主なディッシュサイズの種類は、一般戸建て住宅向けの、有効直径が45センチである45型(直径45センチ)の他、集合住宅向けの共同受信用で、アパートやマンションなど集合住宅の規模に合わせて使用される50型、60型、75型、90型、120型などになります。
他にも、BS/CSアンテナのバリエーションとしては、太陽光に強い白系統の基本色の他、同じく太陽光に影響されにくい塗料を用いた黒などのカラーバリエーション。
またパンチングホール仕様のディッシュを採用する。各接合部の強化などで台風などにも影響されにくい耐風性能をもつ、高耐風モデルなどが存在します。
なお、当あさひアンテナでは、戸建て住宅でのBS/CSアンテナ基本設置工事では、基本モデルとしてDXアンテナ製45型2K4K8K対応モデル「BC45AS」をご用意しており、地デジアンテナとのセット設置では、BS/CSアンテナ本体と設置具、ケーブルなど基本部材もセットで、税込み15,000円からでお引き受けいたしております。
他にも台風などが多いエリア向けに、同じくDXアンテナ社製の45型2K4K8K対応モデルながら、パンチングホール仕様のディッシュと各接合部の強化により、受信可能風速50m/s、耐破壊風速70m/sと、業界最強レベルの高耐風モデル「BC453SG」もご用意して、通常モデルと同じ標準設置工事を、特別価格でお引き受けいたします。
その他にも、ブラックのカラーバリエーションや各ディッシュサイズのBS/CSアンテナも取り揃えておりますので、衛星放送の受信感度がやや弱まるエリアや、集合住宅でのBS/CSアンテナ設置をはじめ、さまざまな現場にご対応が可能です。
BS/CSアンテナの詳細や、新4K8K衛星放送に対応するBS/CSアンテナ、必要な配線部の機器については、以下の各コラム記事で詳しくご説明しております。
・台風対策に最適! 究極の高耐風BS110度CSアンテナ「BC453SG」(DXアンテナ)
・新4K8K衛星放送とは? 4K、8Kテレビの購入後に必要なアンテナ工事と費用の相場、おすすめ業者の選び方まで徹底解説!
・「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
・「新4K8K衛星放送」のご視聴に必要な機器・完全チェック!
・衛星放送用バラボラアンテナ・BS/CSアンテナの種類と選び方とは? 地デジテレビアンテナとの違い、家屋への設置工事を解説
・衛星放送用BS/CSアンテナの種類と性能とは? 地デジテレビアンテナとの違い、設置工事の方法から機種の選び方まで解説!
・テレビ放送(地デジ、衛星放送BS/CS、4K8K)に合わせたテレビアンテナケーブルの種類と選び方、徹底解説!
衛星放送で電波の受信レベルが悪化する要因とは?
前述のように、衛星放送の12GHz帯の電波は、地デジ放送に比べると、地上の障害物などにも影響を受けにくく、また地域による大きな電波レベルの違いなどが生じることもなく、日本国内のほぼ全域で、安定して受信できることが大きな特徴です。
ただ衛星放送も、12GHz帯の電波が持つ特有の性質から、場合によっては受信レベルが大きく低下することもございます。
以下の項では、衛星放送の電波の性質、またその他の要因から、衛星放送の受信レベルが下がる原因と、その対応策について解説してまいります。
衛星放送の受信における注意点:降雨減衰と降雪減衰
前述のように衛星放送の12GHz帯の電波は、周波数帯の高さから、波長の幅が25ミリ前後と非常に短くなります。そのため、通常の雨や雪で大きな影響を受けることは少ないのですが、雨や雪の粒の大きさが25ミリに近くなる、激しい豪雨や降雪では、12GHz帯の電波が、空中で雨や雪に吸収され、また乱反射が生じることで、BS/CSアンテナに届く電波のレベルが極度に低下してしまいます。
そのため一定以上の豪雨、降雪になると、衛星放送の画面がブロックノイズなどで乱れ、ついにはまったく映らなくなるケースがございます。
このような現象を「降雨減衰」「降雪減衰」と言います。その対策としては、基本的には天候の回復を待つしかございません。
ただ戸建て住宅用の45型BS/CSアンテナではなく、50型、60型、75型など、ディッシュ部がやや大型で、受信性能が高いBS/CSアンテナを使用することで、降雨減衰や降雪減衰への対策になります。
半面、大型のBS/CSアンテナは風雨などに影響されやすく、角度のズレによるトラブルが生じやすくなるため、その点には注意が必要です。
衛星放送の降雨減衰については、以下のコラム記事でも詳しく解説しております。
・雨や雪が降るとBS、CSの衛星放送が映らなくなる原因と衛星放送用テレビアンテナを調整して映るようにする対処方法とは?
衛星放送の受信における注意点:静止衛星からの距離による電波の減衰
衛星放送の電波は、静止衛星からスポットライトのような形で、日本全域に送信されるため、日本国内で極端に受信レベルが低くなるエリアはございません。
ただ日本国内でも北部や南西部、離島部など、中央部に比べて、静止衛星からの距離がやや遠くなる地域では、その距離の分だけ、送信される電波の減衰が生じて、やや電波レベルが低くなり、画面の乱れなどの受信不良が生じやすくなる場合もございます。
この場合も、通常の45型のBS/CSアンテナではなく、50型、65型など、やや大型で受信性能の高いモデルを使用することにより、安定した受信を実現できます。
衛星放送の受信における注意点:BS/CSアンテナを向ける方向の障害物
宇宙空間の静止衛星から12GHz帯の電波を送信する衛星放送では、建築物など地上の障害物には影響を受けにくくなります。
ただひとつだけ、ディッシュを静止衛星の方向に向けたBS/CSアンテナと、静止衛星を結ぶ直線状に、わずかな障害物でも存在する場合には、12GHz帯の電波が遮断されてしまいます。
前述の通り、高周波数帯になる12GHz帯の電波は性質が光に近いため、衛星から直進的な電波が送信され、BS/CSアンテナに届くまでの通り道に、わずかでも電波を遮る障害物があると、障害物がディッシュに影を落とすような状態になってしまい、BS/CSアンテナで受信できる電波レベルが低下してしまうのです。
この障害物になりうるものの例としては、山地や高層ビルなどの建物などはもちろん、電柱や電線、樹木や伸びた枝葉、また洗濯物など、ささいなものも挙げられます。。
したがって戸建て住宅でBS/CSアンテナを設置する場所としては、静止衛星の位置する東経110度などに向けることができる点。そしてその方向に12GHz帯の電波を遮る障害物が存在しない。また設置後に障害物が発生する可能性も低い場所を選ぶことが重要です。
なおBS/CSアンテナを静止衛星の方向へと向けた先に、ビルなど障害物になりうるものがある場合、アンテナの設置位置から計った障害物の高さに比べ、アンテナと障害物との距離が1.5倍以上は離れていれば、特に問題は生じません。
例えば、BS/CSアンテナを向ける東経110度の方向に、アンテナの位置より10メートル高いビルがある場合、そのビルとアンテナとの距離が15メートル以上、離れていれば、衛星放送の受信に対して、特に悪影響はございません。
衛星放送の受信における注意点:BS/CSアンテナの角度のズレ
これは衛星放送の電波というより、BS/CSアンテナの性質になりますが、BS/CSアンテナは、静止衛星から光のような直進性で送信される12GHz帯の電波を、正面からディッシュで受け止め、反射してコンバーターに集めることで受信しているため、ディッシュの角度を仰角(上下の角度)、方位角(左右の角度)とも、静止衛星の位置する東経110度(アンテナによっては東経124度、128度)へと正確に向ける必要がございます。
この角度がミリ単位でもズレてしまうと、ディッシュに反射して集中する電波の焦点が、コンバーターに集めるべきポイントからずれてしまうため、アンテナの受信レベルが大きく低下してしまうのです。
BS/CSアンテナは、地デジアンテナ以上に指向性が鋭いアンテナとも申せます。そのため、アンテナの設置に当たっては、東経110度に向けた緻密な角度調整が必要となります。
この東経110度も、日本国内で南西から南南西の方角ですが、日本国内でも地域によって、衛星の位置に当たる東経110度の角度は微妙に変わってまいります。
そのため日本国内でも、各地域での東経110度に当たる角度を確認した上で、正確なBS/CSアンテナの角度調整を行う必要がございます。
この日本の各地域における東経110度の角度を確認する方法では、日本の大手アンテナメーカー、日本アンテナが提供するスマートフォンアプリ「BSコンパス」など、各種のスマートフォンアプリを利用することがもっとも簡単と申せます。
「BSコンパス」は、スマートフォンなどにインストールした後、アプリ上でお住まいの地域を設定することにより、画面に東経110度を示すコンパスが表示されます。そのためBS/CSアンテナにスマホなどをあてがって角度調整を行うことで、仰角、方位角とも、角度調整が簡単に行えるようになります。
他にもインターネットでは、日本各地での東経110度にあたる仰角、方位角の一覧が掲載されているサイトがございます。またBS/CSアンテナの製品には、角度調整部に、日本各地の東経110度に当たる角度が表示されているものもございます。
これらを利用することでも、BS/CSアンテナの角度調整は比較的、簡単になります。
ただBS/CSアンテナは、これらの方法で確認できる東経110度に合わせればよいだけではなく、現場ごとに、12GHz帯の電波の受信感度が最大になるよう、微調整を行う必要もございますので、ご注意ください。
さらにBS/CSアンテナの角度調整を完了して、アンテナを固定した後も、風雨などの影響によるアンテナ角度のズレで、受信感度が低下してしまうこともございます。
特にBS/CSアンテナはディッシュの形状が風雨の影響を受けやすいため、設置の際には、しっかりとした固定が必要です。またBS/CSアンテナも地デジアンテナと同じく、経年劣化により耐久力が低下すると、角度のズレが生じやすくなります。
そのため、BS/CSアンテナの設置には、高い施工技術を持つ、アンテナ工事の専門業者にご依頼になり、頑丈な設置と、経年劣化が進みにくい設置法や設置位置をお選びになることがおすすめと言えます。また前述したBS/CSアンテナの高耐風モデルを採用することも、風雨などの影響による各種トラブルに対して、非常に効果の高い予防策となります。
BS/CSアンテナの指向性や角度調整、前項で解説した設置位置。また寿命などに関しては、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!
・BS/110度CSアンテナで安定して衛星放送を受信できる設置の場所とアンテナの向きや角度を正確に調整する方法
・衛星放送用BS/CSテレビアンテナの寿命は何年? 取り付けから約10年後の交換工事の時期や映らなくなった時の対処法を解説
衛星放送の受信における注意点:適切な電源設定を行うこと
これも衛星放送の電波というよりアンテナの問題になりますが、前述の通り、BS/CSアンテナには、コンバーターを作動させるための電源設定が必要です。
この電源設定を誤ると、コンバーターが作動しないため、12GHz帯の電波を適切なMHz帯に変換できず、必要な電波がテレビなどのチューナーまで届かないため、当然ながら衛星放送がまったく視聴できなくなります。
BS/CSアンテナに電源を供給する方法では、アンテナの配線部を通じて、ブースターの電源部から電源を供給する方法。またテレビやレコーダーなどのBSチューナー端子から電源を送る方法がございます。
そしてブースターの電源部からではなく、そしてテレビなどのチューナーから電源を供給する場合には、テレビなど受信機器側の設定画面から、チューナーを通して給電を行う「BSアンテナの電源設定」を行う必要がございます。
なおご自宅内の複数台のテレビで衛星放送をご覧になる場合、テレビなどのチューナー端子からBS/CSアンテナへ電源を供給する方法にも、特定の一台のテレビなど機器から常時給電する方法と、各テレビで電源を入れ、衛星放送のチャンネルに合わせた際にのみ、アンテナ側に給電する方式の違いがございます。
この方式によっては、電源の供給元である特定のテレビの電源を切ると、他のテレビで衛星放送を視聴できなくなるケースもございます。
また給電はアンテナの配線部を遡って送られる形になるため、この給電方式に合わせて、配線部でアンテナケーブルと電波を各部屋のアンテナコンセントに分配する機器「分配器」も「一端子給電型」「全端子給電型」を使い分ける必要がございます。この機器の選択を誤っても、BS/CSアンテナ側に正しく給電されなくなることがありますので、ご注意ください。
なおBS/CSアンテナの電源設定と、その中で重要や役割を果たす分配器の種類については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・BS/CSアンテナには電源が必要? テレビから衛星放送用アンテナに電源設定を行う方法
・ご自宅のすべてのテレビに電波を送る「分配器」とは? その種類と選び方を徹底解説!
・テレビアンテナへの分配器の設置で、現場の電波レベルや条件に適した選び方と注意点を徹底解説。分波器や分岐器との違いとは?
・テレビアンテナの電波を各部屋に分岐する方法は? 分配器と分波器の違い・接続方法や選び方
地デジ・衛星放送の性質と受信レベルが下がる要因・まとめ
本コラム記事では、主に地デジ電波であるUHF波、衛星放送の12GHz帯の電波の性質を中心に、地デジ放送や衛星放送の受信レベルが低下してしまう原因として多い例と、その主な対策について解説いたしました。
当記事内の、各テレビ電波の性質についてご理解いただければ、ご自宅のテレビにおいて、地デジ、衛星放送の画面が乱れた場合に、ある程度の原因の特定と対処も可能になるかと存じます。
テレビ画面が乱れる、正常に映らない場合には、テレビなどの機器が自己診断を行い、テレビ画面に「エラーコード」を表示することが多くなります。
このエラーコードの種類も、トラブルの原因を特定する上で、非常に大きな手掛かりとなります。各エラーコードの意味など、詳しくは以下のコラム記事をご確認ください。
・アンテナ受信トラブルでテレビ画面に「E201」などエラーコードが表示されて映らない問題の原因と解決する対処の方法とは?
ただ各放送におけるテレビ画面の乱れやトラブルについては、上記の他にも、アンテナ配線部やテレビ本体のトラブルなども含め、さまざまな要因が考えられ、ご自宅で原因を特定することが難しいケースもございます。
地デジ、衛星放送の画面が乱れる要因とその対処法などについては、以下の各コラム記事でも類例ごとに詳しく解説しておりますので、よろしければご参照ください。
・電波障害? テレビが映らない原因はアンテナトラブル? 確認と対処法
・地デジやBS/CSアンテナで受信感度が落ち突然テレビが映らなくなる原因、受信レベルを上げ映るよう解決する対処法の工事は?
・BS・CS放送がテレビで正しく映らない原因と対処法・アンテナの受信から工事を解説
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・地デジ、衛星放送のテレビアンテナ故障例、テレビ放送が映らなくなった場合に考えられる原因とその対処法は? 必要な工事を解説
・BS放送、CS放送の衛星放送が映らないアンテナトラブルの原因とその対処法について、ご自宅でも可能な方法をFAQで徹底解説
・テレビ本体の不具合・故障とその原因、症状別の対処法と修理費用
・テレビアンテナが故障したときの修理に対応できる工事業者を比較しておすすめ業者をご紹介! 業者別、修理費用の相場も解説!
もしご自宅のテレビ画面に乱れや映らないなどのトラブルが生じ、ご自宅での原因の特定や対処が難しい場合は、やはりアンテナ工事の専門業者に対策や復旧を依頼することがもっとも適切な方法であると申せます。
また、このようなトラブルを防止する方法としては、ご自宅に地デジ、衛星放送のテレビアンテナを設置する時点で、技術の高いアンテナ工事の専門業者にご依頼になり、適切な電波調査に基づいた十分な受信レベルの確保と、正確なアンテナ設置の角度調整と頑丈な設置などにより、受信トラブルが生じにくいアンテナ設置工事を行うことが、何よりの対策であるとも申せます。
ご自宅で急なテレビ画面のトラブルが発生した場合のご相談、迅速なご対応から、受信トラブルのリスクを抑えることができ、またアンテナ本体や配線部の見た目も丁寧に整った、高品質な地デジ、衛星放送のアンテナ設置をお求めのお客様には、まずは当あさひアンテナのフリーダイヤル、公式サイトのメールフォーム、LINEまで、お気軽にお問い合わせいただければ幸いに存じます。