地デジテレビアンテナをさまざまな場所に設置する工事と、アンテナの向きや方向を自分で調整する方法とは? 費用の相場も解説!

2023年07月23日

あさひアンテナ アンテナ工事 無料相談
昭和のアナログテレビ放送の時代より、テレビアンテナと言えば、家の屋根の上へと設置するものというイメージがございます。
2023年(令和5年)の現在でも、戸建住宅の屋根の上へと地デジ、BS/CSのテレビアンテナを設置することは、地デジ(地上デジタル放送)や衛星放送(BS放送、CS放送、新4K8K衛星放送)のテレビ電波の受信レベルを確保しやすく、アンテナ角度も調整しやすい点から、主要な設置位置のひとつとなっております。
特に地デジアンテナ、BS/CSアンテナとも、安定した受信のためには、アンテナの向きや角度を正確に調整することが必要となるため、角度調整を行いやすい位置を選択することが重要となります。

ただ現在では、地デジアンテナにもデザインアンテナ、ユニコーンアンテナなどの新しい機種が登場しており、それに伴って地デジアンテナも、住宅の壁面や屋内空間など、さまざまな位置への設置が可能となっております。
そこで当コラムでは、地デジアンテナ設置をお考えの方が、事前に検討される際の参考となるべく、戸建て住宅で地デジアンテナを設置できる位置、およびその特徴やメリット、デメリット。またその設置位置に最適となる地デジアンテナや、角度調整の方法について、詳しく解説してゆきます。

地デジ放送(地上デジタル放送)の概要

現在の日本国内における、主なテレビ放送「地上デジタル放送(地デジ放送)」とは、東京都墨田区に位置し、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の多くから、群馬県、栃木県、茨木県の一部にまで地デジ電波を送信する東京スカイツリーをはじめ、日本国内の各地に多数、設置された、広範囲に地デジ電波を送信する大規模な送信所。また距離や地形などにより、送信所の電波が届きにくいエリアへ、送信所からの地デジ電波を中継する中継局など、地デジの電波塔などから放送波を送信する形式のテレビ放送であり、地上の電波塔から地デジ電波を送信するため「地上波放送(地上波テレビ放送)」と呼ばれます。

現在の地デジ放送とは、1953年(昭和28年)2月1日に本放送が開始された、日本で最初のテレビ放送、現在で言う「アナログテレビ放送」に代わる形で、2003年(平成15年)12月1日、午前11時より放送がスタートし、移行期間としてしばらく地デジ放送、アナログ放送が並行して放送される時期を経て、2011年(平成23年)7月24日正午、一部エリアを除いてアナログ放送が終了(停波)することで、日本でただひとつの地上波テレビ放送となったものです。

アナログ放送から地デジ放送へと転換された理由は、まず当時、世界的に、従来のアナログ技術からデジタル技術への転換が進んでいたこと。また携帯電話の急激な普及により、社会全体で電波の周波数帯に対する需要が高まっていたためです。
テレビ放送におけるアナログ放送とデジタル放送の違いとは、アナログ放送では、映像信号をそのまま電波の強弱に変換して送信するのに対し、デジタル放送では映像信号をまず「0」「1」のデジタル信号へと変換して、この信号を電波の波長に変換して送信しております。
この形式により、デジタル放送では、アナログ放送に比べて、電波に乗せて送信する情報量を大きく圧縮しながら、格段に大容量の情報を送信できるようになりました。その結果、地デジ放送では放送される映像の2Kフルハイビジョン化をはじめ、アナログ放送時代に比べ、さまざまな新機能が追加されています。

そしてアナログテレビ放送の時代には、テレビ電波として、NHK、広域民放のチャンネルには、VHF波(超短波)のうち、90MHz(メガヘルツ)から108MHzのローバンド。および170MHzから222MHzのハイバンドの周波数帯が使用されていました。また地方チャンネルでは、UHF波(極超短波)のうち、470MHzから770MHzの周波数帯が使われていました。
対して地デジ放送では、NHK、広域民放、地方チャンネルのすべてのチャンネルで、UHF帯の電波のうち、470MHzから710MHzまでの周波数帯を使用しており、アナログ放送時代に比べて、周波数帯の大幅な削減を実現しております。またその電波の波長の長さも、およそ40センチから60センチ程度で、アナログ放送時代のVHF波より短くなっております。
この地デジ電波(UHF波)を、戸建住宅などに設置された地デジアンテナで受信することで、地デジ放送が視聴できるのです。
また地デジ放送は、かつてのアナログ放送と同じく、日本国内の不特定多数に向けたテレビ放送であり、災害時などの緊急速報などを行う役割も持つ基幹放送であるため、住宅や集合住宅などに地デジアンテナを設置する。またワンセグ、フルセグの受信機器を使用することで、基本的に無料(NHK受信料を除く)で受信、試聴することができます。

なお現在の地デジアンテナは、UHF波を受信するため、基本的にどれも「UHFアンテナ」になり、地デジ放送であればどのチャンネルもすべて受信できます。ただ地デジ電波塔から送信される地デジ電波の種類としては「水平偏波」「垂直偏波」の二通りがあります。
この水平偏波と垂直偏波は、電波塔から送信される地デジ電波の波長の形が異なるだけで、それ以外の周波数や放送内容などに違いはありません。水平偏波とは、電波の波長が地面に対して水平に送信される電波になります。一方の垂直偏波は、電波の波長が地面に対して垂直に送信される電波のことです。
現在の地デジの中継局は、水平偏波を送信するものと、垂直偏波を送信するものに分かれており、すべての中継局のうち、9割以上が水平偏波を送信していますが、残りの1割弱では垂直偏波を送信しています。このように、中継局によって地デジ放送の波長を、垂直偏波と水平偏波の二種類で送信する理由は「混信」を避けるためになります。
混信とは、同じ地域に周波数帯が近い二種類以上の電波が飛び交うことで、複数の電波が入り混じってしまうことです。この混信が発生すると、地デジ電波では受信できるテレビ放送の画像が乱れたり、映らなくなったりするなどのトラブルが発生します。
そのため周辺に複数の中継局が存在し、別種の地デジ電波が入り混じる場合や、地デジ中継局の近くに、周波数帯の近い携帯電話の基地局が存在する場合などは。中継局からの電波を垂直偏波にすることで、混信のリスクを避けているのです。
なおこの水平偏波、垂直偏波に対応できる地デジアンテナについては、後述する各機種の項で詳しく解説します。

現在の地デジ電波であるUHF波の特性としては、電波塔から送信される地デジ電波が高層ビルなどの障害物にぶつかった場合、ある程度はその反対側に回り込むことができます。ただアナログ放送の主要な電波だったVHF波に比べると、周波数帯が高く、波長が短いため、高層建築物などにぶつかると電波が反射しやすく、向こう側に回りこみにくい面が部分もございます。つまりアナログ放送時代に比べると、地デジ放送は高層建築などの障害物に影響されやすくなっています。
また戸建て住宅など一般的な住宅の壁や屋根では、電波を反射しやすい太陽光パネルや金属素材。また電波を吸収する冬場の積雪などがない限り、透過の際に際に一定の減衰(電波レベルの弱まり)は生じますが、屋根や壁を通り抜けて地デジ電波が屋内にも届きます。そのため電波塔の近くなど地デジ電波レベルが強い現場であれば、地デジアンテナを屋内に設置できることもございます。

日本各地のアンテナ設置現場において、受信できる地デジ電波の強度は、電波塔との距離をはじめ、電波に影響を与える地形や建物といった障害物の有無など、周辺環境によって変わってまいります。そして、受信できる地デジ電波レベルによる、大まかなエリアの区分としては「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」という三種類の「電界地域」に分けられます。
ただしこの電界地域とは、学術上、法律上などの正式な定義はない、地デジ放送や地デジアンテナ関係における便宜的な分類であるため、場合によっては分類の基準が異なる。また強電界地域と弱電界地域のみに二分される場合もございます。
他にも地デジ電波は、一年を通した季節の気候などの影響により、6㏈程度の変動が生じます。また電波は水分に影響されやすいため、雨や雪などの悪天候時には、天気がいい時より地デジ電波レベルが低下することもございます。さらに強電界地域など電波が強いエリアに含まれていても、高層建築物、住宅密集地など地デジ電波を遮断しやすい障害物の多い環境下では、局地的に受信できる地デジ電波レベルが下がることがあるため、これら電界地域とは、あくまで大まかな目安でしかありません。
そして一般的な電界地域には、地デジ電波レベルを示す「㏈(デシベル)」の基準で、以下のような違いと特徴があります。
「強電界地域」とは、受信できる地デジ電波の強度が「80dB」以上になる地域のことです。
おおむね電波塔が視認できるレベルで距離が近いエリアにあたり、電波状態が非常に良好なため、大半の地デジアンテナ機種を用いた受信が可能で、アンテナの設置場所についても、屋根の上だけでなく、壁面やベランダなど幅広い場所に設置できます。また、屋内に設置できる室内アンテナの使用や、デザインアンテナの奥内設置が可能なケースも多くなります。
「中電界地域」は、受信できる地デジ電波の強度が「80dB」から「60dB」の範囲にあたる電界地域のことです。
このエリアでも、たいていの地デジアンテナ機種で地デジの受信が可能です。ただし実際の電波レベルは、電波塔からの距離や周辺環境などに影響されやすく、中電界地域内でもエリアや現場によって差があるため、受信できるアンテナの種類や、設置場所に制限が出るケースも考えられます。
「弱電界地域」は、受信できる地デジ電波の強度が「60dB」以下の電界地域のことです。
このエリアでは受信できる地デジ電波レベルが弱いため、気候や悪天候などによる影響を受けやすく、季節や悪天候などにより地デジ放送の画面に乱れが生じる、エラーが発生するなどのケースもあります。
また使用できる地デジアンテナの機種や設置位置にも制約が出やすく、基本的には素子数が多い高性能な八木式アンテナなどの機種を使用して、周辺の障害物などの影響されにくい、屋根の上などのできるだけ高所に設置する必要があります。

その他、地デジ放送の歴史や、地デジ電波の基礎知識、特性などについては、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・地上デジタル放送の「地デジ電波」基礎知識
・現在の地上波テレビ放送で地上デジタル放送が開始されたのはいつ? デジタル放送とか何か、その仕組みや特徴も全解説!
・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
・徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方は?
・地デジ電波の強さと品質を示す「dB」「MER」「BER」とは何か?
・地デジの「水平偏波」「垂直偏波」の違いとは?
・地デジアンテナを設置する高さの設定で重要となるハイトパターンとは? 地デジ電波を受信するために適切なアンテナの高さとは?
・地方チャンネル(独立放送局)とはどういうものか?

地デジアンテナの「指向性」とアンテナを向ける方角について

上記の通り、地デジ放送では、日本の各地に設置された送信所、中継局などの電波塔から、周辺地域にむけて地デジ電波を送信しています。
これを地デジアンテナを設置する各住宅などの現場から見れば、地デジ電波は一定の方向から現場へと届いていることになります。その一定方向とは基本的に電波塔の方向になりますが、現場の周辺環境によっては、電波塔から送信された地デジ電波が、高層ビルなどに反射して方向が変わった「反射波」が、高いレベルで届くケースもあります。
いずれにせよ地デジ放送は、これらの地デジ電波を、各現場に設置した地デジアンテナで受信することにより、地デジ放送を視聴できる仕組みになります。したがって地デジ電波を的確に受信するためには、設置される地デジアンテナを、基本的には地デジ電波を送信している電波塔の方向へ(現場の条件によっては反射波が届く方向へ)正確に向けて設置する必要があります。
これは、一般的な地デジアンテナには「指向性」というものが存在するためです。

地デジアンテナ、テレビアンテナに限らず、電波を送受信する装置であるアンテナ全般における「指向性」とは、アンテナ本体の正面に当たる部分のみで、電波の送受信性能が高くなり、それ以外の方向では性能が低くなるという性質を指します。
地デジ、衛星放送用などテレビアンテナの場合は、ほとんどの機種が指向性をもちます。指向性の高いアンテナは、アンテナの正面側の方向では受信性能が向上しますが、それ以外の方向からの電波はほとんど受信しないという性質があります。
地デジアンテナにも指向性があるものが多く、アンテナ本体でも特定の方向のみで電波を受信する性能が高くなります。
特に地デジアンテナでは、指向性が高い、すなわち受信できる方向の範囲が狭いほど、その方向で正確に電波を受け止めた場合の受信性能が高くなるという特性があります。地デジアンテナの指向性には、アンテナの正面側以外の方向から届く、ノイズとなる無関係な電波をシャットアウトするという側面もあります。

また地デジアンテナには、一部の機器ながら、アンテナ本体部に当たる先端がドーム状などの形状をした「無指向性アンテナ」というアンテナも存在します。この無指向性アンテナは、ドーム状などの本体部分により、全方向的に等しい受信性能で電波が受信できるアンテナになります。そのため、例えば現場にNHK、広域民放を送信する電波塔と、地方チャンネルを送信する電波塔の方向が大きく異なり、指向性のある地デジアンテナ一基ではすべての地デジ電波を受信できない場合でも、無指向性アンテナであれば、一基ですべての地デジアンテナを受信できることになります。
半面、無指向性アンテナは全方向からの電波を受信してしまうため、ノイズとなる無関係な電波も受信しやすいというデメリットもございます。そのため、基本的には受信できる地デジ電波が高いレベルになる強電界地域向けのモデルとなります、

そして指向性が高い通常の地デジアンテナを、戸建て住宅などに設置する場合、その現場に地デジ電波が届く方向、すなわち近隣の電波塔の方向(場合によっては反射波の方向)を確認して、地デジアンテナが指向性により、受信性能を発揮する方向を、地デジ電波が届く方向へと正確に向ける、アンテナの角度調整が必要です。
他にも地デジアンテナを設置する際には、まず設置する現場がどの電界地域に当たるか。さらには現場の住宅ごとに、屋根の上から各方向の壁面やベランダ。屋内空間など、各場所で受信できる地デジ電波のレベル、方向などを確認する必要があります。
こうして現場で十分な地デジ電波を受信できる位置を特定した後は、現場および、それぞれの位置での地デジ受信レベルに適した受信性能をもつ地デジアンテナの機種を選ぶ必要も出てまいります。

各現場および設置位置の正確な地デジ受信レベルを確認して、地デジアンテナを適切に設置するためには、まず現場で電波調査を行う必要があります。
当あさひアンテナをはじめとするアンテナ工事の専門業者であれば、出張料、キャンセル料など各種費用を含め、完全無料で電波調査、およびアンテナ工事の見積もりを行うことが多くなります。また設置したいアンテナ機種や設置位置など、できるかぎりお客様のご要望に対応すべく、住宅の各位置で綿密な電波調査を行う業者が多くを占めます。
ただ家電量販店、ホームセンターなどでアンテナを購入し、工事を依頼する場合には、工事の担当者は、地元の電気店など、店舗とは別の下請け業者になります。そのため、仲介手数料などの中間マージンで工事価格がやや割高になる。電波調査や見積もりだけで出張費やキャンセル費などが発生するケースが多い。またこのような下請け業者はアンテナ工事のプロではないため、各アンテナ機種に合わせた屋根の上、壁面などの基本的な設置位置で電波調査を行い、問題がなければそのまま設置するといった、簡単な電波調査で終わるといったケースが多くなるなどのデメリットがございますので、ご注意ください。

なおご自宅など、アンテナ工事を予定している現場の電波状態を確認する方法としては、アンテナ工事の専門業者であれば、機器そのもので電波を受信する。またアンテナケーブル(同軸ケーブル)に接続することで、現場の地デジ、衛星放送などの電波レベルや方向を確認できる、専用の「アンテナレベルチェッカー」という機器を使用して電波の測定を行います。
ただこのようなチェッカー、測定器とよばれる機器は高価であり、使用する機会が少ない一般の方が購入して使用するにはコストパフォーマンスが悪い。さらに正確な受信レベル測定の結果などを判断するには専門知識も必要となり、一般の方には、おすすめできる方法とはいえません。
正確なものではなく、あくまでおおまかな目安になりますが、一般の方が専用の機器を使わず、現場の地デジ電波レベル(電界地域)や、電波の方向を確認する方法としては、
・周辺の住宅に設置されている地デジアンテナの機種や方向を確認する。
・「A=PAB・一般社団法人放送サービス高度化推進協会」公式サイト内の「地デジ放送エリアのめやす」など、インターネットの専用サイトやスマートフォンのアプリなどを利用して確認する。
・近隣の家電量販店やホームセンター、町の電気店など、アンテナ機器や工事を取り扱う店舗に問い合わせる。
・携帯端末などワンセグ受信機器を使用して、地デジ電波と同じ電波のうち、一部周波数帯(1セグメント)を利用して送信されている「ワンセグ放送」を、現場のさまざまな位置で受信して、その感度を確認する。
・すでに地デジアンテナが設置されている場合は、アンテナに接続したテレビの設定画面から、届いている地デジ電波のレベルを確認できる「アンテナレベル」画面などで確認する。
などの方法があります。
ただこれらの方法は、どれも目安にすぎないため、正確性に欠けます。安定した受信が可能となる地デジアンテナ設置を実現できる、正確な電波調査については、やはりアンテナ工事のプロに依頼することが一番と申せます。

上記した、地デジアンテナの指向性など、性能を示す特性。また角度調整の方法や、地デジ電波調査。おおよその電波レベルを確認する方法などの詳細は、以下の各コラム記事でも参考となる情報をご説明しております。
・地デジのテレビアンテナで受信できる方向は指向性で決まる? アプリでアンテナの方向調整に最適な角度を調べる方法も徹底解説!
・地デジアンテナや無線通信用アンテナの性能を示す利得、動作利得とは何か? 素子数との違いなど地デジアンテナ基礎知識も解説
・テレビアンテナの性能を決める「素子」とは何か? 地デジアンテナ工事で重要な「素子数」を徹底解説!
・地デジ用テレビアンテナ工事にて設置する電界地域に最適な受信性能は「何素子数」タイプか? アンテナ機器の選び方を徹底解説!
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アンテナの材料一通り持参 アンテナ工事

地デジアンテナの主要モデルとは?

以下の項では、すでにここまでの項でも少し触れている、現在の戸建住宅への地デジアンテナ取り付けで使用される、主な地デジアンテナ「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」の三機種。および電波状態が良好なエリアで使用できる「室内アンテナ」「屋外屋内兼用アンテナ」のそれぞれについて、その特徴や適したエリア。メリット、デメリット、またオススメのポイントなどを一覧で解説してまいります。

地デジアンテナ「八木式アンテナ」とは?

八木式アンテナとは、アナログ放送当時からVHFアンテナ、UHFアンテナとして使用されてきた、古典的なテレビアンテナです。
昔から住宅の屋根の上でよく見られるテレビアンテナであり、現在でもテレビアンテナといえば、この形を思い浮かべる方が多いことと思われる、認知度の高いアンテナであり、現在の地デジ用UHFアンテナとしても普及率が高くなっております。
八木式アンテナは、魚の骨と例えられる形が特徴で、基本的な構造として「反射器(リフレクター)」「輻射器(ラジエーター)」「導波器(ディレクター)」の三種類の部分で構成されています。現在の地デジアンテナ(UHFアンテナ)としての八木式アンテナは、矢印のような形の骨組みに、短い横棒がいくつもついた形になっております。
ちなみに八木式アンテナの正面は、矢印型の反対側、横棒が並ぶ導波器の先端になります。魚の骨の頭の部分にあたるのは反射器で、通り抜けた地デジ電波を導波器の方向に反射すると同時に、ノイズとなる別方向からの余計な電波をはじき返す役割もあります。

戸建て住宅における八木式アンテナの設置場所は、基本的には住宅の屋根の上となり、屋根の頂点部に屋根馬と呼ばれる四脚の設置具を置き、そこに立てたマスト(ポール、支柱)の先端に八木式アンテナを設置し、四方からステンレスワイヤーなどのステー(支線)を張って、アンテナやマスト、屋根馬を固定します。
この場合、周囲の障害物などに影響されにくい位置や高さに設置するのが、受信感度的にも理想となります。ただ差し掛け屋根など、屋根の形状によっては屋根馬を置けないため、屋根の上に八木式アンテナを設置できないケースもございます。
他にも、風雨や雪などを避けやすい、また住宅の外観性を乱さないなどの設置方法として、壁面やベランダの手すり部にサイドベースという器具を固定し、その先に固定したマストに設置する。ベランダ内部への設置。軒先から吊り下げるなどの設置方法もあります。

この八木式アンテナのメリットとしては、主に「電波を受信しやすい」「価格が安い」という点が挙げられます。
八木式アンテナの短い横棒部分は、地デジ電波を受信するパーツ「素子(エレメント)」です。八木式アンテナは、素子が露出することで受信感度がやや高まる「素子アンテナ」になります。またさまざまな素子数のモデルが存在するため、素子数の多いモデルほど受信性能が高くなり、素子数のモデルによって、強電界地域から弱電界地域まで、幅広いエリアに対応できます。
通常型の八木式アンテナでは、素子数で主に8素子、14素子、20素子などの機種があります。他にも基本構造は同じ八木式アンテナながら、Ⅹ字型の部品の上下などに、複数の素子パーツが設置された「高性能素子」を使用し、27素子、30素子なども存在する、受信性能が高い高性能アンテナ「パラスタックアンテナ」もあります。

加えて基本の設置位置が屋根の上などの高所になるため、周辺の障害物などに影響されにくい点も、地デジ受信には非常に有利となります。そのため、弱電界地域のうち電波レベルが弱い地域でも、高性能モデルを屋根の上の高所に設置することで、安定した地デジ受信が可能になります。
また高所への設置になるため360度へアンテナの角度調整が行いやすい。同じマストにBS/CSアンテナを設置できるなどのメリットもあります。さらに八木式アンテナは古典的モデルであり、構造がシンプルなため、設置費用が安価になるのもメリットです。そのため、老朽化や寿命などで故障した場合も、交換のコストを低く抑えることができます。

一方で八木式アンテナのデメリットには「屋根の上では設置やメンテナンスなどが難しい」「気候や鳥害など自然環境の影響を受けやすい」「外観性がやや悪い」という注意点が挙げられます。
八木式アンテナは基本的に屋根の上に設置されることが多いため、屋上フロアなどがある住宅を除き、アンテナ設置をはじめ、修理やメンテナンスの作業に挑戦することは、一般の方では事故によるケガなど大変な危険が伴い、決しておすすめできません。そのため、アンテナ設置はもちろん、メンテナンスや角度調整などでもプロのアンテナ工事業者に依頼する必要があります。
同じく、屋根の上など周囲の見晴らしが良い場所に設置されるため、風雨や雪、海沿いの潮風による塩害、また鳥が留まり、フンをするなど、自然環境の影響を受けやすい点もデメリットです。これらの要因により、八木式アンテナは経年劣化が進みやすく、その寿命は設置から約10年とされております。特に経年劣化が進んだ八木式アンテナでは、大きな台風などの強風や積雪などの影響で、角度のズレや傾き、故障、倒壊などが発生する場合もあります。

他にも、近年のデザイン性が高い八木式アンテナが屋根の上に設置されていると、住宅の外観や景観を損なってしまう点もデメリットと言えます。そのため、景観地域などでは条例により屋根の上に八木式アンテナが設置できない。またアンテナの一部が隣家にはみ出す越境問題。太陽光パネルが設置されている住宅では、パネルに影を落として発電を阻害するといった問題も考えられます。
これら自然環境や外観性への対策としては、屋根以外の壁面、ベランダ内外への設置を選ぶという方法もございますが、この場合、受信性能がやや低下してしまうというデメリットも生じます。
ただ現在の八木式アンテナには、ステンレス素材や表面加工で軽量化による耐風性とサビへの強さを備えた機種。また塩害用、雪害用などの自然環境への対策を備えたモデルなども存在するため、現場の環境に合わせたモデルを採用することで、自然環境への対処法として一定の効果が得られます。

なお地デジアンテナ側で、前述した水平偏波、垂直偏波のそれぞれに対応する方法は、アンテナの角度を、それぞれの波長に合わせた角度で設置することになります。したがって八木式アンテナであれば、同じモデルでもマストに固定する設置角度を、水平偏波、垂直偏波に合わせて90度、調整するだけで、どちらの電波にも対応できます。
八木式アンテナを新規に設置する費用の相場は、20素子の八木式アンテナと設置用の金具、同軸ケーブルなど機材の代金を含め、アンテナを設置して、一筋のケーブルで屋内の一ヵ所と接続する最小限の工事に当たる「基本設置工事」の費用で15,000円から25,000円程度になります。
ただ戸建て住宅への設置では、電波を増幅するブースター(増幅器)や各部屋へアンテナ配線を分配する分配器なども必要となるため、使用する機器や条件にもよりますが、機器代金を含めて30,000円から50,000円程度の追加費用が必要となります。
他にもBS/CSアンテナを同時にセットで設置する場合には、やはりBS/CSアンテナ本体価格や、衛星放送に対応する混合ブースター、分波器その他、配線部の機器などを含めた追加工事費用が発生します。
なお八木式アンテナについては、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
・高利得、高性能な地デジ用パラスタックアンテナ徹底解説
・地デジ「八木式アンテナ」に適した住宅の条件とは? アンテナ設置工事の特徴や種類を徹底解説!

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地デジアンテナ「デザインアンテナ」とは?

デザインアンテナとは、その名前にある通り、デザイン性に優れる地デジアンテナです。旧来のアナログ放送から地デジ放送への転換期で、地デジ対応アンテナへの交換が進んでいた2009年(平成21年)頃より普及しはじめた、地デジアンテナの第二世代モデルです。
デザインアンテナは、アンテナ機器部を長方形の薄型ケースに収めた形状で、八木式アンテナとは異なり、住宅のベランダや壁面などが主な設置位置となるのが特徴です。

具体的な設置方法は、住宅の外壁やベランダの手すり部などに、専用の設置具を固定し、デザインアンテナ本体を上からはめ込む形で取り付けます。他にも、八木式アンテナと同じように、屋根の上のマストに固定する方法もございます。
さらにデザインアンテナは、その省スペース性から、強電界地域など地デジ電波レベルが強く、住宅の建材が地デジ電波を通しやすい素材であれば、屋根裏空間、天井裏空間などに設置できるケースもございます。これら形状や設置位置の特徴から、デザインアンテナには、フラットアンテナ、ケースアンテナ、ボックスアンテナ、平面アンテナ、壁面アンテナ、薄型アンテナなどの別名もございます。

デザインアンテナのメリットは、主にその形状と取り付ける位置から「設置時のデザイン性が高い」「気候など自然環境の影響を受けにくい」という点になります。
デザインアンテナの最大の特徴はそのデザイン性の高さで、外壁などに貼り付ける薄型の形状に加え、カラーバリエーションも豊富なため、住宅のデザインと合わせたアンテナを選ぶことで、住宅の外観や景観を損なわずに設置できます。またそのため景観地域でも設置できる。越境問題がまず生じない。太陽光パネルにも影響を与えないなどもメリットもあります。また屋根の形状から八木式アンテナが設置できない場合でも、デザインアンテナの設置には影響が生じません。
また屋根の上に設置される八木式アンテナでは、前述の通り自然環境の影響を受けやすいデメリットがあります。しかしデザインアンテナは壁などに設置される平面型であるため、風雨や雪、鳥などの影響を受けにくく、経年劣化が進みにくくなります。
そのためアンテナトラブルのリスクも低く、アンテナの寿命も長くなります。壁面などに設置されるデザインアンテナの一般的な寿命は、15年から20年程度とされています。このようなメリットから、デザインアンテナは、近年ではもっとも人気の高いの地デジアンテナとなっています。

一方、デザインアンテナのデメリットは「受信感度がやや低くなる」「電波環境や立地によっては取り付けできない」「取り扱いがない業者がある」「価格がやや高くなる」などの注意点が挙げられます。
デザインアンテナ本体の受信性能は、強電界地域用のコンパクトモデルなどを除けば、基本的に20素子相当、26素子相当にあり、電波レベルを増幅するブースター内蔵モデルなどもございます。
ただデザインアンテナは素子が露出せず、基本的な設置位置が低い分、八木式アンテナに比べると受信感度が低くなります。そのため基本的には強電界地域から中電界地域での使用が推奨され、弱電界地域では使用できないこともございます。
強電界地域などでも、設置する住宅の壁面、ベランダが電波塔など地デジ電波の方向を向いている必要があり、近隣にビルなど高層建築物がある、住宅密集地などの環境で、地デジ電波を遮る遮蔽物がある場合は、壁面などのデザインアンテナでは十分な電波が受信できず、設置できない場合もあります。

またアンテナ工事業者によっては、幅広く扱われることが多い八木式アンテナと比べると、デザインアンテナを取り扱っていないケースもあります。さらに取り扱いがあってもカラーバリエーションが少ない、業者の技術が低いため、思うような設置位置への取り付け工事ができないといった可能性もあります。
本体価格や設置費用についても、古典的モデルの八木式アンテナと比べると、新世代機種である分、やや費用が高くなってまいります。

なお水平偏波、垂直偏波については、デザインアンテナの場合も、基本的には設置角度を90度、変更するだけで双方に対応できます。ただその場合、電波によっては縦長に設置されるデザインアンテナを横長に設置する必要があり、メリットであるデザイン性が損なわれる他、左右への角度調整も難しくなるといった問題が生じます。
そのため、デザインアンテナでは、主な機種は水平偏波専用ですが、中には垂直偏波専用のモデルもございます。したがって主な地デジ電波が垂直偏波に当たるエリアで、デザインアンテナを使用する場合には、垂直偏波対応のモデルを選ぶ必要がございます。
デザインアンテナの設置費用の相場は、20素子相当のアンテナ本体と部材の代金を含めた「基本設置工事」で20,000円から30,000円程度になります。またブースターや分配器などを使用するアンテナ配線工事を行う場合。BS/CSアンテナをセットで設置する場合には、それぞれの追加工事費用が発生します。
デザインアンテナについての詳細は、以下の各コラム記事でもご紹介しております。
・地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!
・デザインアンテナ工事の失敗例とは? メリット、デメリットから取り付け費用まで解説
・デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説

地デジアンテナ「ユニコーンアンテナ」とは?

ユニコーンアンテナは、ポール状の外見が特徴的な地デジアンテナです。大手アンテナメーカー「マスプロ電工」社より、2017年(平成29年)に発売された、地デジアンテナ機種の第三世代に当たる、2023年現在の最新モデルです。
形状は67センチ程度の円筒形を縦にしたもので、マストの先に固定されます。その形状が、ギリシャ神話に登場する伝説の一角獣「ユニコーン」の角のようであることが、名称の由来です。カラーバリエーションは、つやを消して落ち着いた白と黒の二色になります。
主な設置位置は、八木式アンテナと同じく屋根の上に固定した屋根馬のマストの先。また屋根の上に設置できない場合は、屋根の張り出し部(破風板)や壁面の高所など、屋根の上とほとんど変わらない高度に設置されます。

ユニコーンアンテナのメリットには、「風雨など自然環境の影響を受けにくい」「受信性能が比較的、高くなる」「デザイン性が高い」という点が挙げられます。ユニコーンアンテナは形状がポール状のため、屋根の上などの高所に設置しても、風雨などの影響を受けにくく、経年劣化を抑えることができます。そのためアンテナ寿命が延び、トラブルも生じにくくなります。ユニコーンアンテナは最新機種であるため、正確な寿命は不明ですが、デザインアンテナと同等の15年から20年程度と考えられております。
またユニコーンアンテナの受信性能は20素子相当と比較的、高く、強電界地域から中電界地域にかけて設置できます。そして設置位置を高く取れるため、周辺環境の影響を受けにくくなり、受信感度が高くなります。前述のようにデザインアンテナを壁面などに設置する場合には、地デジ電波の強いエリアでも周辺環境によっては設置できない場合がございます。ただそのような現場であっても、ユニコーンアンテナであれば設置位置が高いため、安定した地デジ受信が可能になるケースも多くなります。

またそのスタイリッシュなデザイン性から、高い位置に設置しても住宅の外観や景観を損ないません。そのため景観地域にも設置でき、越境問題も生じにくい。太陽光パネルにも影響しにくいなどのメリットもございます。
このようにユニコーンアンテナは、受信性能が高い八木式アンテナ、外観性が高く自然環境に強いデザインアンテナ、双方のメリットを兼ね備えた機種と言えます。一方でそのデメリットには「本体価格や設置費用が高くなる」「弱電界地域では設置できないこともある」「住宅によってはデザインがマッチしない場合もある」という点が挙げられます。
ユニコーンアンテナは最新機種であるため本体価格が割高で、地デジアンテナの中ではもっとも設置費用が高額になってまいります。

またその受信性能も高いとはいえ、八木式アンテナの同素子数相当から高性能モデルには及ばず、弱電界地域では受信性能が不足して設置できないケースも考えられます。他にも設置される住宅が純和風の建築などでは、ユニコーンアンテナのデザインがそぐわず、外観性を乱してしまう場合もあるため、ご注意ください。
ユニコーンアンテナの設置費用の相場は、2アンテナ本体と部材の代金を含む「基本設置工事」で30,000円から40,000円程度になります。各種機器を使用するアンテナ配線工事。BS/CSアンテナのセット設置で追加工事費用が発生する点も、その他のアンテナと同様です。
ユニコーンアンテナの詳細については、以下の各コラム記事にも解説がございます。
・地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
・台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?

地デジアンテナ「室内アンテナ」「屋外屋内兼用アンテナ」とは?

上記の三機種は、基本的に住宅などの屋外に設置され、機種による違いはあれ、幅広いエリアで使用できる地デジアンテナになります。
ただ地デジアンテナには他に「室内アンテナ」「屋外屋内兼用アンテナ」と呼ばれるものがございます。
室内アンテナは、文字通り住宅の室内に設置できる地デジアンテナです。室内アンテナには卓上や窓際などに置くだけの卓上型アンテナと、0.5ミリ程度のプラスチック製シートのアンテナ本体を、窓や壁などに貼り付けるペーパーアンテナがあります。
室内アンテナは、テレビなど受信機器とケーブルで接続し、適切な場所に置けば地デジ受信が可能で、設置が非常に簡単。本体価格も1,000円台から、ブースター内蔵型などの高性能モデルでも10,000円強など、非常に低価格というメリットがございます。

屋外屋内兼用のアンテナは、室内アンテナに比べるとやや大型ですが、上記の三機種に比べると小型で、設置も室内アンテナ同様に簡単ながら、受信性能がやや高くなります。デザインアンテナでも最小クラスのコンパクトモデル、マスプロ電工の「スカイウォーリーミニ」は、屋外だけでなく付属のスタンドで室内の窓際などへと設置も可能で、屋外屋内兼用アンテナにあたります。
他にも屋外屋内兼用アンテナにはさまざまな形状があり、屋外のベランダなどにも設置が可能です。
これらのアンテナのメリットは、室内や屋外でも風雨を避けやすいベランダなどに設置できるため「住宅の外観や景観を損ねない」「設置が簡単」「自然環境に影響されにくい」という点になります。

一方で室内用アンテナ、屋外屋内兼用アンテナのデメリットは「電波の受信性能が低い」「一台のテレビなど受信機器にしか接続できない」という点です。
室内アンテナの多くは、素子数が表記できないほど受信性能が低く、屋外屋内兼用アンテナも多くが3素子相当から5素子相当になります。したがってどれも強電界地域の専用モデルであり、設置する部屋の高さや周辺の障害物。住宅の屋根や壁、窓ガラスなど地デジ電波を通す素材の条件などにも影響を受けやすく、地デジ受信感度が安定しないケースもございます。
また受信性能が高く、アンテナ配線部でブースターや分配器を使用して、住宅の各部屋に十分な地デジ電波を送信できる屋外用の地デジアンテナとは違い、これらのアンテナは、一台のテレビなど受信機器に接続することしかできません。

基本的にこれらアンテナは、普段はテレビを設置しない場所や、アパートなど一時的な生活の場でテレビを視聴する場合の、簡易的な地デジアンテナとしての使用が適しています。
室内向け地デジアンテナ関連については、以下の各コラム記事にも詳しく紹介しています。
・この最小デザインアンテナがすごい!スカイウォーリーミニ(マスプロ電工)
・面倒な工事も不要!2,000円で地デジ放送を楽しめる「室内アンテナ」について!
・室内アンテナの機種選びと設置の方法

地デジアンテナの主な設置位置とは?

ここでは、上記した地デジアンテナの各機種を、戸建て住宅の各位置に設置する場合の工法や適した機種。その他注意点やメリット、デメリットなどを解説してまいります。

地デジアンテナ設置位置:屋根の上などの高所。

戸建て住宅などでの地デジアンテナの設置位置として、もっとも一般的なのが屋根の上などの高所になります。
もっとも普及している八木式アンテナは、屋根の上に設置されることが多いため、テレビアンテナは屋根に設置するというイメージが強くなっております。またユニコーンアンテナも屋根の上に設置されることが多い他、デザインアンテナを屋根の上のマストに設置する場合もございます。
また屋根の形状などから屋根馬を使用できず、屋根の上へのアンテナ設置ができない場合は、サイドベースを用いて、屋根の張り出し部(破風板)や屋根に近い壁面など、屋根の上とほぼ同じ高度にアンテナを設置することもございます。

地デジアンテナを屋根の上に設置するメリットは、弱電界地域や障害物が多いなど、「受信環境が悪い現場でも地デジ電波を受信しやすい」「アンテナの角度調整を行いやすい」「BS/CSアンテナをセットで設置しやすい」などの点になります。
地デジアンテナを場所は、電波塔との間に遮蔽物がないことが理想ですが、屋根の上などの高所であれば、遮蔽物の影響が少なくなります。アンテナ正面を360度、自在に調整できるため、アンテナの角度調整も行いやすくなります。

衛星放送用のBS/CSアンテナについては、アンテナのディッシュ部を、人工衛星が位置する東経110度の方向へと、仰角(上下角)、方位角(左右角)とも、ミリ単位の正確さで調整しなければならない。さらにアンテナを向けた方向に、建物などはもちろん、樹木や洗濯物など、わずかな障害物があっても電波が遮断され、受信か難しくなるなど、地デジアンテナよりも角度調整や設置の条件が厳しくなります。
そのため、特に地デジアンテナ、BS/CSアンテナをセットで設置する場合には、どちらのアンテナも障害物を避けて角度調整が行いやすい、屋根の上などのマストに合わせて設置することが多くなります。合わせて設置することで、配線部をまとめやすくなるというメリットも生じます。

屋根の上への設置のデメリットとしては、やはり屋上フロアなどに設置できる場合を除けば、個人がDIYで行うのは危険で難しく、アンテナ設置だけでなく、メンテナンスやトラブル時の修理、角度修正なども、業者に依頼する必要があるという点です。
他にも、特に八木式アンテナでは、その形状から風雨や積雪などの天候の影響を受けやすく、経年劣化の進行やアンテナトラブルが生じやすくなる。住宅の外観や景観を損ないやすいなどのデメリットが生じやすくなります。
ユニコーンアンテナやデザインアンテナであれば、これらのデメリットを抑えることができます。ただデザインアンテナの屋根の上などへの設置は、壁面などに比べるとデザインアンテナ本来のメリットがやや減少するという面がございます。

地デジアンテナ設置位置:壁面やベランダの手すり。

住宅の壁面やベランダの手すりなどに設置される地デジアンテナは、デザインアンテナがその代表格になります。八木式アンテナも、サイドベースを使用してこのような位置に設置することがあります。ユニコーンアンテナの場合は、受信感度を確保するため、壁面でも屋根に近い高所への設置に限られます。
壁面やベランダの手すりにアンテナを設置するメリットは「住宅の外観を損ねにくい」「風雨などを避けやすい」「設置やメンテナンスが簡単」という点です。
壁面やベランダ手すりへの設置では、デザインアンテナはもちろん、八木式アンテナであっても、設置位置を選ぶことで周辺から見えにくくなり、風雨なども比較的、避けやすくなります。そのため八木式アンテナでも住宅の外観性を乱しにくく、ある程度は経年劣化も抑えらえるなどのメリットが生じます。
ベランダの手すりに地デジアンテナを設置する場合は、屋根の上などのように高所での作業が不要になるため、簡単な配線であれば、アンテナ工事業者に依頼せず、ご自分でのDIY設置も可能となります。またアンテナのメンテナンスも比較的、簡単になります。

一方でデメリットとしては「必ずしも好みの位置には設置できない」「十分な地デジ受信ができず設置できないケースがある」「壁面にビス穴を開ける必要がある」という点があります。
地デジアンテナは基本的に、現場に地デジ電波を送る電波塔などの方向へ向ける必要があるため、現場の壁面、ベランダなどでも、地デジアンテナを設置できるのは、電波の方向を向けることができる位置に限られます。したがって壁面やベランダの、どの位置にでも設置できるわけではない点には、注意が必要となります。

さらに強電界地域から中電界地域など、本来は電波環境が良い現場でも、高層建築の付近、住宅密集地などでは、地デジ電波が障害物に遮断されてしまい、特に壁面などの低い位置では、地デジの受信レベルが著しく低下することがあります。このような現場では、壁面やベランダなど低い位置への地デジアンテナ設置ができなくなります。
他にも、壁面への地デジアンテナ設置では、設置具を固定するため壁にビス穴を開ける必要がある。またベランダ手すりへの八木式アンテナ設置では、洗濯物を干す際などに邪魔になることも考えられるため、ご注意ください。

地デジアンテナ設置位置:ベランダ内部。

地デジアンテナを、ベランダの内部空間に設置するケースもあります。
アンテナ機種としては、主に八木式アンテナをベランダの内側に固定。また吊り下げ用の八木式アンテナモデルを用いて、ベランダの屋根や軒先から吊り下げる形での設置も可能です。
デザインアンテナをベランダの中の壁に設置できる場合もあります。この場合は通常の壁面設置と大きな違いはありませんが、取付けやメンテナンスが行いやすいというメリットが出てまいります。

ベランダ内部への八木式アンテナ設置のメリットには「住宅の外観や景観を損ねない」「風雨など自然環境の影響を避けやすい」「設置やメンテナスが簡単」という点があります。
ベランダ内部への八木式アンテナ設置であれば、アンテナを隠せるため住宅の外観や景観に影響を与えず、風雨なども避けやすい設置が可能となります。またベランダの内部であれば作業が安全になるため、DIYでの設置やメンテナンスなども比較的、簡単に行えます。

逆にデメリットには「ベランダ内の空間を占有してしまう」「アンテナに触れることでのトラブルが生じる」「設置できない場合がある」という点が挙げられます。
ベランダの内部に一定の大きさがある八木式アンテナを設置すると、当然ながらその分、ベランダの空間も狭くなります。またアンテナに手が触れやすい分、誤って触れてしまうことで、アンテナ角度のズレなどのトラブルも生じやすくなります。
そして壁面やベランダの手すりへの設置と同じく、ベランダの方角や周辺の環境によっては十分な地デジ電波の受信ができず、設置できない場合もありますのでご注意ください。

地デジアンテナ設置位置:庭先のアンテナ設置用マスト。

地デジアンテナ、BS/CSアンテナの設置場所として、庭先にアンテナ設置用のマストを立てて、その先に設置する方法があります。
この場合、使用される主な地デジアンテナは八木式アンテナですが、デザインアンテナ、ユニコーンアンテナも設置可能です、さらにBS/CSアンテナもセットで設置しやすくなります。
マストは高さを調節できるため、屋根の上でなくとも、高所にアンテナを設置することが可能です。また専用のマストであれば、アンテナ配線をマスト内部に通すことも可能です。

庭先のマストを立ててアンテナを設置するメリットには「角度調整が行いやすく受信性能が高くなる」「積雪を避けやすい」「住宅そのものの外観に影響を与えない」という点があります。
専用のマストの先にアンテナを設置するのであれば、周辺環境に影響されにくい高さを確保できることはもちろん、地デジアンテナ、BS/CSアンテナ共に、360度への角度調整が可能になるため、安定した受信感度を確保できます。
また豪雪地域などでは、屋根の上にアンテナを設置すると、冬場の積雪でアンテナが埋もれるような形になり、水分の浸食によるサビや、雪の重みでアンテナがダメージを受け、角度のズレや故障、ひいては倒壊の原因になることもあります。
しかし専用マストへの設置であれば、高度を確保できながら、積雪の影響は受けなくなります。したがってマストへのアンテナ設置は、特に雪の多い地域で選択されることが多い設置方法になります。他にも庭先のマストへのアンテナ設置では、住宅そのものへの外観や外装への影響は与えなくなります。

逆に庭先のマストに地デジアンテナを設置する場合のデメリットは「設置やメンテナンスに手間がかかり、費用が高価になる」「設置できない場合がある」という点になります。
アンテナを設置するマストは、庭に数メートルの高さのマストを立てることになるため、その機材や工事費用だけで、かなりの費用が発生してまいります。またその先端にアンテナを設置するため、施工やメンテナンスも専門業者に依頼する必要が生じます。
また庭の広さや形状、周辺環境などの条件によっても、庭に設置できるマストの先では地デジ電波が受信できず、地デジアンテナを設置できないケースもあります。

地デジアンテナ設置位置:屋内の屋根裏空間など。

前述した室内アンテナ、屋外屋内兼用アンテナの他にも、通常のデザインアンテナを住宅の屋根裏空間、天井裏空間に設置できるケースがございます。
その条件として、第一には、強電界地域など地デジ電波が強いエリアで、住宅の壁や天井を透過して屋内に十分な地デジ電波が届くという点です。そのためには、屋根や壁などの素材に金属など、地デジ電波を通しにくい素材が使われていない。また屋根の上に太陽光パネルや冬場の積雪など、地デジ電波を遮断する要素がないという点が重要です。
他にも、屋根裏などにデザインアンテナの設置作業を行えるスペースがある。そして屋根裏の点検口など、作業者と機材が出入りできる出入口も存在するなどの条件も必要になります。

デザインアンテナを屋根裏や天井裏に設置するメリットは、住宅の外観や外装にまったく影響を与えない。そして風雨や雪などの影響もうけなくなることで、アンテナの経年劣化が極限まで抑えられ、寿命が大きく伸びることです。
半面、デメリットとしては、屋内空間はどうしても屋外より地デジ受信環境が悪くなり、また上記のように設置できる条件が厳しくなるため、設置が可能である現場が少なくなる点が挙げられます。

なお八木式アンテナを屋根裏空間などに設置することは不可能ではありません。本体の大きさから設置できる条件がより厳しくなり、また専用の設置具などが必要となるため、設置費用もデザインアンテナも差がなくなります。そのため敢えて八木式アンテナを選ぶメリットがなく、基本的には屋根裏などの設置には使用されません。ユニコーンアンテナも本体の受信面積が狭いため、屋根裏空間への設置には向かない機種となります。
なおデザインアンテナの屋根裏、天井裏などへの設置は、以下の各コラム記事でも詳しく紹介しております。
・徹底解説!屋根裏や天井裏にテレビアンテナは設置できる?
・徹底解説・地デジテレビアンテナを屋根裏設置する工事のメリットとデメリット、施工費用、取り付け可能な条件と対応業者は?

地デジアンテナの設置位置と角度調整・まとめ

当コラムでもご紹介した通り、現在では戸建て住宅への地デジアンテナ設置では、屋根の上に限らず、さまざまな位置への設置が可能となっており、受信感度を大前提に、住宅の見た目や自然環境への強さなど、さまざまな要素を重視した設置が可能となっています。
ただ各現場で可能な設置位置は、電波の受信環境や周辺環境によって異なってまいります。そのためまずは、緻密な電波調査により、十分に地デジ電波が受信できる設置位置を確認する必要がございます。

なお、地デジ、BS/CSアンテナの設置位置に関しては、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介っしております。

・戸建て住宅のテレビアンテナ取り付け工事で、アンテナを設置できる場所とは? その費用からメリット・デメリットまで徹底解説!
・ご要望別・地デジアンテナの機種と設置の方法
・地デジ・衛星放送のテレビアンテナ設置で、受信性能や見栄えが最適の場所や位置は? 設置場所による工事の方法や費用も徹底解説
・地デジや衛星放送用BS/CSテレビアンテナのベランダ設置や壁面取付の方法は? デザインアンテナ失敗例や必要な端子も解説
・テレビアンテナ設置場所のポイント(地デジ・BS/CSアンテナ編)

当あさひアンテナでは、地デジ、衛星放送のテレビアンテナ設置に当たって、まずは出張費、キャンセル費なども一切いただかない完全無料での電波調査、お見積りをお引き受けしております。そして綿密な電波調査により、現場で地デジアンテナを設置可能な位置をすべて割り出し、住宅の外観性や対候性など、お客様のご要望にもっとも近い地デジアンテナ工事をご提案いたします。

実際の工事をお任せいただいた際には、経験豊かで高い技術を誇る当社の社員スタッフが、的確な手順で、可能な限りシンプルで見栄えが良く、しっかりと丁寧な施工を実施いたします。また施工完了後には、業界最長クラスとなる「10年」の長期保証をご用意しております。
ご自宅への地デジアンテナ、BS/CSアンテナや周辺機器の設置工事で、設置位置や使用する機種について、特にご希望がおありのお客様は、まずは当あさひアンテナのフリーダイヤルへのお電話、またメールフォーム、LINEなどへとお気軽にご相談をお寄せいただければ幸いに存じます。

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アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 20,000円(税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。