地デジテレビアンテナを自分でDIY設置工事する手順とは? 的確な位置や方向への取り付け方と向き調整の方法、その費用も解説
DIYとは「Do it yourself」の略であり、直訳すれば「自分でやれ」という命令形になりますが、実際には、ご家庭で使用する家具、製品などの制作や、ご家庭での家具、家電製品の設置工事を、業者などの手を借りず、ご家庭の方々で行うことを指します。
ニュアンス的には「自分でやろう!」という掛け声的なものに近いといえるでしょうか。
2022年(令和4年)には、ものづくりが盛んなことでしられる新潟県三条市を舞台に、女子高生たちがDIYを通じて未来を切り開く姿を描いた、オリジナルストーリーのテレビアニメ「Do It Yourself!!‐どぅー・いっと・ゆあせるふ‐」が制作され、翌2023年(令和5年)には、同アニメを元にした実写ドラマも放送されております。
このように人気のDIYですが、近年ではその一環として、ご自宅で、地デジ(地上デジタル放送)や衛星放送用のテレビアンテナの設置を、ご自分で行う方も多くなっております。
テレビアンテナに限らず、ご自宅の設備、家電製品などをご自分でDIY設置される場合のメリットは、テレビアンテナなど本体と、その他の必要な設置具、機材などの購入代金のみで、設置業者などに依頼する必要がないため、設置費用を抑えられるという点です。
一方で、DIYでのアンテナ設置作業には、機材の選択や設置作業のミスから、設置しても正常にテレビ電波を受信できず、テレビ放送が映らない。失敗しても保証はないなどのデメリットもあり、万が一うまくいかなかった場合には、アンテナなどの購入代金が無駄になるリスクも生じます。
また最悪の場合には、作業中の事故で、住宅や家財を破損してしまう、作業していた方が蛾を負うなどの事態も考えられます。
そこで当コラムでは、主にご自宅における、地デジアンテナのDIY設置について、ご自宅でDIY設置が可能になる条件や、適した設置位置、地デジアンテナモデル。設置の手順。また逆にDIY設置が難しくなるため、避けた方がいいケースなどについて解説いたします。
他にも、BS/CSアンテナをDIY設置する場合のケースや、DIY設置に必要となる、地デジ放送、衛星放送の基礎知識についてもご説明いたしますので、当コラムをお読みいただければ、DIYでのテレビアンテナ設置に必要な条件をご理解いただけることと存じます。
地上デジタル放送とその電波とは?
地デジアンテナを的確に設置する方法をご説明するための基礎知識として、まずは地デジアンテナで受信するテレビ放送、テレビ電波である、現在の地上デジタル放送の仕組みと、その電波の種類について、簡単にご説明いたします。
現在の地デジ放送とは、1953年(昭和28年)2月1日に放送を開始した、それまでの地上波テレビ放送、いわゆるアナログテレビ放送からの転換のため、21世紀初頭よりスタートしたテレビ放送の形式です。
2023年現在、ある程度の年齢の方であれば、アナログ放送から現在の地デジ放送に転換された当時のことを、覚えておいでの方もおられることでしょう。
それまでのアナログ放送と、新しくスタートした地デジ放送では、放送されるチャンネルや番組内容などには違いはありませんでした。
ただ電波を用いるテレビ放送の形式が、それまでのアナログテレビ放送では、テレビ番組の映像信号を電波の強弱に変換して送信する、文字通りの「アナログ放送」であったのに対し、地デジ放送では、映像信号を「0」「1」のデジタル信号へと変換した後、この信号を電波の波長に変換して送信する、やはり名称通りの「デジタル放送」の形式になったのです。
このテレビ放送形式の転換は、当時、アナログ技術からデジタル技術への転換が世界的に進んでいたこと。そして携帯電話の爆発的な普及から、それまでアナログテレビ放送が幅広い範囲を使用していた電波の周波数帯を、大きく圧縮する必要が出たことにより、国の主導で推進されました。
地デジ放送は2003年(平成15年)12月1日の午前11時に、従来のアナログ放送と並行する形でスタートしました。その後、2011年(平成23年)7月24日正午にアナログ放送が、一部地域を除き完全停波により終了したことで、日本の地上波テレビ放送は、地デジ放送へと転換されました。
なお一般の戸建て住宅などでは、アナログ放送から地デジ放送へ乗り換えるために、自宅に設置されたテレビアンテナや、テレビ本体、またはチューナーを、従来のアナログ放送用から、地デジ放送用のものへと交換する必要がありました。
そのため移行期間として、同内容のアナログ放送と地デジ放送が、平行して放送される期間が、約7年半強も続いたのです。
なお現在の地デジ放送は、災害時などの緊急時に情報を送信する役目を果たす「基幹放送」であるため、日本国内であれば不特定多数の誰でも、地デジアンテナなどの受信設備や、ワンセグおよびフルセグの受信機器を使うことにより、基本的には無料(NHK受信料を除く)で受信、視聴できます。
現在の地デジ放送では、放送用の電波として、すべてのチャンネルで、UHF波(極超短波)のうち、470MHzから710MHzまでの周波数帯を使用しています。
MHz(メガヘルツ)とは、100万Hz(ヘルツ)を表す単位であり、つまり一秒間に約4億7千万回から7億1千万回の波長を描く電波になり、その波長の長さは、約40センチから60センチ程度です。
ちなみにアナログ放送では、日本全国で放送されるNHK、広域民放の電波には、UHF波よりやや周波数帯の低いVHF波(超短波)のうち、90MHzから108MHz(ローバンド)と、170MHzから222MHz(ハイバンド)までの周波数帯が使われていました。
また日本国内の主要な都市圏に含まれる都府県で個別に存在し、その都府県を放送エリアとする、例えば東京都の東京MXなど独立放送局の地方チャンネルでは、地デジ放送と同じUHF波のうち、470MHzから770MHzまでの周波数帯が使われていました。
そのため、現在の地デジアンテナはすべて、UHF波のうち、地デジ電波の周波数帯に特化した「UHFアンテナ」になります。またアナログ放送時代のテレビアンテナは、VHFアンテナが基本となり、地方チャンネルが視聴できるエリアでは、UHFアンテナも追加設置されました。
使用される周波数帯からもおわかりでしょうが、映像信号をデジタルに変換するデジタル放送では、アナログ放送に比べて、映像情報から無駄な部分を大幅に削減することで、映像信号の情報量を大きく圧縮できるのです。
そのため地デジ放送では、使用する電波の周波数帯はアナログ放送より大きく削減しながら、送信できる映像信号の情報量は、アナログ放送の約4.5倍という、情報量の大容量化を実現しています。
これにより、アナログ放送時代の画質であった「標準画質(SD画質)」「標準放送(SD放送)」に比べて、地デジ放送では映像のハイビジョン(HD)化や音声の高音質化、それに伴う2.0chステレオによる副音声機能のほか、マルチ編成。番組表や字幕放送。データ放送。双方向サービス、ワンセグ放送など、現在ではお馴染みとなったさまざまな機能が追加されました。
なお、地デジ放送や、アナログ放送時代からの地上波テレビ放送の歴史、使用されるアンテナの違いなどの詳細は、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・現在の地上波テレビ放送で地上デジタル放送が開始されたのはいつ? デジタル放送とか何か、その仕組みや特徴も全解説!
・VHFアンテナとは? UHFアンテナとは? 基礎知識とアナログテレビアンテナの問題点
・UHFアンテナとは地デジテレビアンテナのこと? VHFアンテナとの違いや設置方法、古いアンテナや端子の交換方法も解説!
地デジ電波の性質と電界地域
現在の地デジ放送、かつてのアナログ放送ともに、その別名を「地上波放送(地上波テレビ放送)」といいます。これは地上に設置された電波塔から、地上の空間を伝わって電波が送信されるテレビ放送の形式を意味し、主に衛星放送と対比しての呼び名になります。
現在の地デジ放送では、電波塔は主に「送信所(親局、基幹局)」と「中継局(サテライト局)」の二種類に分けられます。
送信所とは、東京都墨田区押上に位置する東京スカイツリーなど、日本国内における地デジ放送のエリア区分である各地の「広域圏」に設置され、広域圏内で複数の都府県など広範なエリアに地デジ電波を送信する、中心的な大型の電波塔を指します。
そして中継局とは、サテライトの別名通り、中継局の周辺に当たる要所に、衛星のように設置される大小の電波塔になります。
というのも送信所だけでは、その広域圏内でも距離が遠い場所や、山地などの地形で電波が遮られる場所には、地デジ電波を届けることはできないからです。
そのため、中継局からの電波が届きにくくなるエリアの付近に、この中継局を配置します。中継局では、送信所や他の中継局が送信する地デジ電波を受信して、増幅した上で、あらためてその周辺に地デジ電波を送信しているのです。
つまり各広域圏では、送信所を中心に、周辺の中継局が地デジ電波をリレー形式で送信してゆくことにより、各広域圏でも、山間部や高原、原野地帯など、人がほとんど居住していない一部エリアを除いて、隅々まで地デジ電波を送信しているのです。
そもそも地デジなどのテレビ放送に使われる電波とは、磁界と電界の影響をうけて、一定の波長を描きながら空間を伝わるエネルギー波「電磁波」のうち、周波数帯が比較的、低いものをいいます。
周波数とは電磁波や電波が単位時間(1秒間)に描く波長の数のことで、1Hz(ヘルツ)であれば、1秒に1回の波長を描くことになります。また周波数が高い(1秒間に描かれる波長が多い)電磁波(電波)ほど、その波長の幅は短くなります。
そして電波とは、日本の電波法をはじめ、一般的な定義では、3THz以下の周波数帯の電磁波になります。ちなみに1THz(テラヘルツ)は1兆Hzにあたります。波長の長さで言えば、電波の波長は、周波数が低い順に100キロから1ミリ弱のものになります。
ちなみにこれ以上に周波数が高い電磁波は、赤外線、可視光線、紫外線の光、そしてⅩ線などの放射線になります。
このような波長の長さから、電波の中でも周波数が高い(波長が長い)ものは音の性質に近くなり、周波数が低い(波長が短い)ものは光の性質に近くなります。
地デジ電波である470MHzから710MHzまでのUHF波は、比較的、周波数の高い電波ながら、波長の長さは40センチから60センチと一定の長さであるため、ある程度は音のような性質もございます。
そのため、電波塔から送信された地デジ電波は、例えば山地のような規模が大きな障害物には遮断されてしまいますが、高層ビルなどの高い建築物にぶつかった場合は、ある程度は建築物を乗り越えて向こう側に回り込むことができます。
また一般的な住宅の屋根や壁などであれば、金属素材など、電波を反射してしまう素材や設備などがない限り、透過の際にある程度の減衰(電波レベルの弱まり)は生じるものの、屋根や壁を通り抜けて屋内まで地デジ電波が到達します。
ただ地デジ電波が建物などの障害物を乗り越えられる力も完全ではなく、地デジ電波が高層ビルなどにぶつかった場合は、その陰に当たる側の直近やビルの中心部などに当たる一帯では、地デジ電波レベルが大きく低下してまいります。
他にも住宅密集地などでは、屋根の上では十分な地デジ電波が受信できるエリアでも、隣家の壁との間が狭い壁面では、やはり地デジ電波レベルが極端に低くなります。
地デジ電波をはじめ、電波の強度は、主に「㏈(デシベル)」の単位で表記されますが、地デジ電波強度は、同じエリアでも気候や天候によって変動します。
例えば気温が低く、空気が収縮すると地デジ電波が遠くまで届きやすくなる半面、ノイズとなる無関係の電波も混じりやすくなります。逆に気温が上がり、空気が膨張すると地デジ電波は遠くまで届きにくくなります。
このような要因から、同じ現場でも、受信できる地デジ電波レベルは、一年を通して6㏈程度の変動が生じます。また電波は水分に弱いため、雨天など悪天候の際には、受信できる地デジ電波レベルが大きく低下いたします。
また地デジ電波は、障害物などのない空間でも、電波塔から離れてゆくほど、その強度は低下してまいります。そして主に地デジ電波塔からの距離と、山地などの電波を遮る地形から、受信できるおおよその地デジ電波レベルで、日本国内の各地域を分類したものを「電界地域」と呼びます。
この電界地域には統一された基準はなく、テレビ放送やテレビアンテナなどに関係する企業や団体などが、めいめいに受信の目安として使用する基準であるため、その定義にはやや差が出ることもございます。
また上記の通り、受信できる地デジ電波レベルは、高層ビルなどによる局地的な低下や、気候、天候による変動もあるため、電界地域は、あくまで大まかな目安にすぎません。
そして一般的な電界地域の定義は、受信できる地デジ電波レベルが80㏈以上のエリアにあたる「強電界地域」。80㏈から60㏈の範疇になる「中電界地域」。60㏈以下の「弱電界地域」になります。
この電界地域は、地形の影響などもありますが、おおむね地デジ電波塔が視認でき、地デジ電波を遮る山地や建物などもないエリアが強電界地域にあたり、その周辺が中電界地域。さらにその周辺が弱電界地域にあたります。
また弱電界地域でも、受信できる地デジ電波が50㏈から40㏈以下になり、一般的な地デジアンテナの設置では、安定した地デジ受信が難しくなるエリアを、微弱電界地域と呼ぶこともございます。
さらに日本国内にも、山間部や離島部など、地形の影響や中継局からの距離から、地デジ電波がまったく届かないエリアも一部に存在し、このようなエリアは、地デジ放送の難視聴地域と呼ばれます。
この電界地域は、それぞれの地域で、使用できる地デジ電波の機種や受信性能、設置位置などを判断する上での目安になります。
その他、地デジ電波の性質や電界地域、電波の質を判断する基準などについては、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
・徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方は?
・地デジ電波の強さと品質を示す「dB」「MER」「BER」とは何か?
・地デジアンテナを設置する高さの設定で重要となるハイトパターンとは? 地デジ電波を受信するために適切なアンテナの高さとは?
戸建て住宅における主な地デジアンテナの設置位置は?
現在、戸建て住宅の屋外に地デジアンテナを設置する場合、設置される位置はおおむね「屋根の上」「壁面やベランダ」「屋内空間」の三通りに分けられます。
他にも、庭に設置されたアンテナ用のマストに設置するなど、これらの位置に該当しないケースや、各位置でも微妙な設置方法の違いなどは存在しますが、それぞれの位置により、適した現場の条件やアンテナ機種、そのメリット、デメリットなどは異なってまいります。
以下、それぞれの設置位置の特徴、および各位置への設置が、DIYでの地デジアンテナ設置に適しているかどうかをご説明してまいります。
・屋根の上
文字通り、戸建て住宅の屋根の上に、地デジアンテナを設置する方法です。
現在でも地デジアンテナはこの方法で設置されるケースが多く、テレビアンテナと言えば屋根の上に設置するものというイメージが強くなっております。
主な取り付け方法としては、八木式アンテナ、ユニコーンアンテナを、屋根の上で「屋根馬」という四脚の器具に立てたマスト(ポール、支柱)の先に固定し、四方からステンレスワイヤーなどのステー(支線)で固定するという方法です。
他にも、住宅の破風板(屋根の張り出し部)や、屋根の真下の壁面。また越屋根や差し掛け屋根など屋根の形状によっては、屋根上の壁になった部分に、水平にアームが伸びた「サイドベース」という器具を固定。アームに立てたマストにアンテナを固定して、アンテナ本体を屋根の上に突き出す形に設置する。またデザインアンテナを屋根の上の壁部分に貼り付けるように設置する方法もございます。
地デジアンテナを屋根の上へ設置する場合のメリットは、高さを確保できることで、周辺の建物など電波を遮る障害物に影響されにくく、地デジ電波の受信感度が高まることです。
またマストに設置する場合では、同じマストにBS/CSアンテナを設置でき、アンテナの角度調整が行いやすく、配線などもまとめることができるという点もメリットになります。
そのため屋根の上への設置は、強電界地域から弱電界地域まで、幅広いエリアで採用されるアンテナの設置方法であり、特に弱電界地域では、屋根の上に高性能の地デジアンテナを設置する以外に、アンテナ設置の選択肢がないケースもございます。
デメリットは、特に受信性能が高い古典的機種、八木式アンテナを設置する場合、屋根の上でその形状が目立ってしまい、家の見た目や周辺の景観を乱す場合があること。
またアンテナ本体が風雨や屋根の上の積雪、海沿いの潮風による塩害、鳥が留まりフンをするなどの鳥害に影響されやすく、老朽化が進みやすくなり、耐用年数(寿命)が短くなる。またアンテナトラブルも生じやすくなるといった点です。
なお、屋根の上など高所への設置でも、独自のデザインから外観性、対候性の高いユニコーンアンテナ、デザインアンテナであれば、住宅の見た目や景観に大きな影響を与えず、また自然環境の影響にも強くなります。
そして、DIYで地デジアンテナを設置する場合には、屋上スペースのある陸屋根など、屋上空間で安全に作業を行える構造の住宅を除いて、基本的に屋根の上へのDIYアンテナ設置作業は決して行わないでください。
通常の瓦屋根や屋根材など、人が立つことを想定していない屋根の上でのアンテナ設置作業には、非常な危険が伴います。一般の方が行った場合、アンテナ機材や作業される方や屋根の上から転落することで、大変な事故にもつながります。
アンテナ工事の専門業者であれば、屋根の上へのアンテナ設置についても、専門の技術や知識をもっていることはもちろん、命綱や安全具など、法律に則った装備を完全に整えて、最低でも二人以上での作業体制を行うことにより、事故のリスクを可能な限り低くしております。
もしご自宅の電波状態や周辺環境などで、屋根の上に地デジアンテナを設置する以外に、設置の選択肢がない場合は、決してご無理をなさらず、当あさひアンテナをはじめとする、アンテナ工事のプロである専門業者へと、取り付け工事をご依頼ください。
・壁面やベランダ
住宅の壁面やベランダの内外などに、地デジアンテナ設置する工法も、最近では増えております。
主な取り付け工法は、やはり壁面設置を前提とした、薄型のデザインアンテナを、壁面やベランダの手すり部に固定する方法が主流となります。
他にも、壁面やベランダの手すりにサイドベースを固定して、八木式アンテナを設置する。またベランダの内部空間への設置や、軒先から吊り下げ用の八木式アンテナを、文字通り吊り下げて使用する。屋内屋外兼用アンテナを、ベランダの周辺に配置、固定するといった方法もございます。
なおユニコーンアンテナは、高所に設置することで高い受信性能を発揮する機種になるため、基本的に屋根の上以外の場所に設置されることはございません。
壁面などやや低い位置へアンテナを設置するメリットは、屋根の上の場合とは真逆で、住宅の外観性と対候性が高まる点になります。
薄型で目立たず風雨などにも影響されにくいデザインアンテナはもちろん、八木式アンテナでも、これらの設置位置では住宅の外観に影響を与えにくく、風雨なども避けやすくなるため、経年劣化を抑えることが期待できます。
デメリットもやはり、屋根の上に比べると、設置位置の低さから周辺の障害物などに影響されやすく、受信感度が低くなりがちになるという点です。
そのため、壁面などへの設置は、基本的に強電界地域から中電界地域でのみ推奨される設置方法になります。
また住宅の壁面側でも、設置する外壁やベランダが、地デジアンテナ本体を、現場に地デジ電波を送る電波塔の方向(場合によっては地デジ電波が高層ビルなどにぶつかって方向が変わった反射波の方向)へと向けられる側に向いている必要がございます。
地デジ電波塔と正反対の側の壁面、ベランダなどでは、電波が受信できず地デジアンテナが設置できないケースも多くなりますので、どうかご注意ください。
なお、地デジアンテナをDIY設置する場合は、この「ベランダへのデザインアンテナ設置」がもっとも推奨される設置方法になります。
理由としてはやはり、作業の安全が確保できること。そしてデザインアンテナであれば、作業そのものも比較的、簡単になる点が挙げられます。
その詳しい手順については、後の項で解説してまいります。
・屋内空間
可能である条件はやや限られますが、地デジアンテナを住宅の屋内空間に設置することも可能となります。
いわゆる室内アンテナ、屋外屋内兼用アンテナを使用するほか、屋外設置用の地デジアンテナを、屋内に設置することも可能です。
基本的に、省スペース型のデザインアンテナであれば、主に屋外設置用ながら、屋内の窓際に設置できるモデルも多くなります。
室内設置が可能なデザインアンテナの人気モデルには、3素子相当の受信性能で、強電界地域専用の屋外屋内兼用モデルになりますが、縦幅36センチ程度、横幅15センチ程度と非常にコンパクトで、室内への設置用に縦置きスタンドが付属するマスプロ電工社製、スカイウォーリーミニ「U2SWLC3/U2SWLC3B」がございます。
他にも、通常の屋外用でやや大型の20素子相当モデルや、少しコンパクトな14素子相当モデルにも、スタンドが付属して室内に設置できるモデルも存在します。
これら室内置きが可能な地デジアンテナの設置は、基本的にアンテナを地デジ電波が届きやすい室内の窓際に据え置きし、ケーブルで室内のテレビなど受信機器と接続するだけという、非常に簡単なものになります。そのためDIYでの設置も工事というほどの作業が必要なく、極めて簡単に行えます。
半面、問題点としては、特に室内アンテナや屋外屋内兼用アンテナは、通常の屋外設置用の地デジアンテナモデルに比べて受信性能が低い。さらに室内設置では高層建築、住宅密集地などの周辺環境に影響を受けやすいことから、地デジの受信環境が良好な現場でなければ設置できないという点です。
基本的に屋内に地デジアンテナを設置できるのは強電界地域に限られ、特に受信性能の低いアンテナでは、強電界地域でも高層建築の近隣、住宅密集地など、周辺環境に影響を受けて、地デジ電波の受信に支障が出るケースもございます。
そのため地デジアンテナを室内設置する場合には、室内で使用する地デジアンテナによって、十分なレベルの地デジ受信が可能かどうか、前もって確認することが重要となります。
また他にも、設置できる条件は限られますが、デザインアンテナを、屋内の屋根裏空間、天井裏空間に取り付ける工法もございます。
この設置方法の特徴は、アンテナが住宅の外観や外装にまったく影響を与えない。またアンテナも風雨などからほぼ完全に守られるため、経年劣化を抑えられて耐用年数(寿命)が大きく伸びることです。
ただ屋根裏、天井裏空間などへの地デジアンテナ設置の場合には、まずアンテナ設置する屋内空間に、十分なレベルの地デジ電波が届くことが必要となります。
そのため、やはり設置可能となるのは強電界地域にあたる現場になる他、現場である住宅の屋根や壁の素材が地デジ電波を通しやすいことも重要です。
具体的には住宅の建材に、金属素材など、電波を反射する素材が使われていないこと。また同じく電波を遮断してしまう屋根の上の太陽光パネルや、冬場の屋根の上への積雪などもないことが必要です。
その他には、屋根裏空間に作業者やアンテナを搬入でき、アンテナ取り付け作業が可能となる、屋根裏などへと続く点検口、屋根裏空間でアンテナ設置作業が行えるスペースが存在することなども必要な条件になります。
なお、地デジアンテナを屋根裏などに設置する場合は、ほとんどの場合、省スペース型で屋根裏などでの角度調整も行いやすいデザインアンテナを使用します。
八木式アンテナは本体のサイズや形状から設置の条件が厳しくなる上、専用の設置具などが必要なため、工事費用もデザインアンテナと違いがなくなるため、デザインアンテナでは受信性能から屋内空間での地デジ電波受信が難しく、八木式アンテナ設置が可能な条件が整っている場合など、特別なケースを除いて使用されることは少なくなります。
ユニコーンアンテナは本体の受信面積が狭いため、屋根裏への設置には不向きであり、使用されることはございません。
なおこのような地デジアンテナの屋根裏空間への設置は、作業そのもの、および屋内での地デジ受信が可能であるか、また受信に適した位置の確認が一般の方には難しいため、DIY設置には向きません。
地デジアンテナ工事の専門業者にご依頼の上、まず電波調査を行って、屋根裏空間での地デジ受信が可能であるかを確認する必要がございます。
ただアンテナ工事の専門業者による、屋根裏などへの地デジアンテナ設置では、各アンテナの基本工事費用に加え、オプション工事費が加算されるケースもございます。
ただ当あさひアンテナでは、デザインアンテナの屋根裏、天井裏などへの設置の場合も、デザインアンテナを壁面などに設置する、通常の基本設置工事費と同じ、税込み20,000円からでお引き受けしております。
なお、デザインアンテナの屋根裏設置をはじめ、さまざまな位置への地デジアンテナ設置に関しては、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・戸建て住宅のテレビアンテナ取り付け工事で、アンテナを設置できる場所とは? その費用からメリット・デメリットまで徹底解説!
・地デジテレビアンテナをさまざまな場所に設置する工事と、アンテナの向きや方向を自分で調整する方法とは? 費用の相場も解説!
・徹底解説・地デジテレビアンテナを屋根裏設置する工事のメリットとデメリット、施工費用、取り付け可能な条件と対応業者は?
・室内設置におすすめ地デジテレビアンテナの選び方とは? 人気デザインアンテナ屋根裏取り付けで失敗しない工事方法、費用を解説
地デジアンテナの基礎知識
ここでは、特にDIYでのアンテナ設置をはじめ、地デジアンテナを設置する際に必要となる、地デジアンテナの受信性能などに関する基礎知識を解説してまいります。
まず地デジアンテナの受信性能は、主に「素子数(相当)」と「動作利得(利得、ゲイン)」の数値で表されます。
地デジアンテナの「素子(エレメント)」とは、アンテナの中でも地デジ電波を受信するためのパーツであり、八木式アンテナでは、本体にいくつもついている短い横棒になります。
八木式アンテナではこの素子の数が外部から見て取ることができ、8素子、14素子、20素子などの数値で表記され、この数字がそのまま受信性能を示します。
またデザインアンテナやユニコーンアンテナなど、外部から素子を視認できないアンテナは、受信性能を素子数に換算して「20素子相当」などの表記を行います。
上記した各電界地域では、この素子数(相当)ごとに、適した受信性能の機種や設置場所を選択します。具体的には、強電界地域では8素子から14素子、またはそれ以下の室内アンテナや屋外屋内兼用アンテナなど。中電界地域にでは14素子から20素子。弱電界地域では20素子からそれ以上の高性能アンテナを使用することになります。
もうひとつの「動作利得(利得)」は「ゲイン(gain)」とも呼ばれるものです。
詳しく説明すると複雑になるので略しますが、この数値は、素子数によって受信できる地デジ電波レベルに対し、アンテナから出力できる電波レベルを示すものです。またアンテナ本体の指向性に基づく、アンテナ前方の受信感度を示すものともいえます。
この動作利得は「㏈」の数値によって表されますが、その数値は、比較対象となる指向性のないアンテナ(実在しない理論上のアンテナ、およびもっとも単純な構造とのアンテナ)との受信性能の差を、常用対数で表したものになります。
動作利得の数値は、基本的に素子数(相当)に比例しますが、例えば同じ20素子相当のアンテナでも、後述する指向性や、受信できる電波の周波数帯によっても変動するため、素子数の基準以上の、より細かい受信性能を判断する際に役立ちます。
なお各電界地域に適した動作利得の数値は、強電界地域なら5dB以下。中電界地域なら5㏈から10dB程度。弱電界地域なら7㏈から14dBになります。各電界地域でこの数値より動作利得が高いアンテナモデルを使用すると、地デジ電波だけでなく、ノイズとなる無関係な電波も受信しやすくなるためご注意ください。
そして受信性能と並んで、地デジアンテナの設置時に重要となる要素で、受信性能にも関係するものが「指向性」です。
地デジアンテナの指向性とは、アンテナ本体の一方向(正面側)でのみ地デジ電波の受信性能が高くなる性質のことです。
指向性をもつ地デジアンテナでは、アンテナの正面側から角度が外れるほど受信性能が低下していき、真横や後方ではほとんど地デジ電波を受信できなくなります。この指向性には、正面方向の他から届く、余計な電波(ノイズ)を遮る役割もございます。
一般的な地デジアンテナは、指向性が鋭い、つまり正面側の狭い角度でしか地デジ受信性能を発揮しない機種ほど、正面方向での受信性能が高まります。
いわば指向性がなく全方向で電波を受信できるシンプルなアンテナの受信性能を、一方向に集中することで、受信性能を高めているとも言えます。そしてこの受信性能の集中の度合いを示すのが、動作利得の数値ともいえます。
一般的な地デジアンテナ機種にあたる、八木式アンテナ、デザインアンテナ、ユニコーンアンテナには、どれも程度の違いはあれ指向性が存在するため、現場に地デジ電波を届ける電波塔の方向(もしくは高層ビルなどに反射した反射波の方向)に、アンテナの本体側を正確に向ける必要がございます。
指向性の高い地デジアンテナは、正面側での受信性能が高い半面、わずかでも角度のズレが生じると、受信感度が低下しやすいため、設置時には特に注意が必要です。
地デジアンテナのモデルごとの指向性は「半値幅」の数値で判断できます。この半値幅とは、地デジアンテナの受信性能がもっとも高い真正面を基準に、角度を左右にずらして、受信性能が最大のレベルから半分に低下する角度を示すものです。
他にもアンテナの受信性能に関する要素として、地デジアンテナ機種は、ほとんどがオールチャンネルアンテナと呼ばれる、470MHz(メガヘルツ)から710MHzのすべての周波数帯のチャンネルを受信できる機種になります。
地デジ放送では、上記の周波数帯を6MHzずつ、13から62のチャンネル(ch、物理チャンネル)の40チャンネルに分け、日本国内の各エリア(広域圏)に存在する、地デジ放送の各テレビ局に割り当てております。このチャンネルの数字が一般に、テレビ機器で各放送局を視聴する際、選択する、いわゆる「チャンネル番号」になります。
オールチャンネルアンテナは、13chから62chまですべてのチャンネル帯を受信できるアンテナですが、地デジアンテナの一部モデルには、受信できるチャンネル帯が、13chから36chまでに限られるローチャンネル用アンテナ。13chから44chまでのロー・ミドルチャンネル用アンテナ。45chから62chまでのハイチャンネル用アンテナなどが存在します。ただ実際に受信できるチャンネル帯は、モデルによってやや変動することもございます。
このような受信できるチャンネル帯が限られるアンテナは、その分、オールチャンネルアンテナに比べると、受信性能(動作利得)が高くなるのです。
そして日本国内では、一部を除く多くのエリアで、ローチャンネル帯を中心に、各テレビ局が使用するチャンネル帯域が限られます。そのため、たとえばローチャンネル帯しか使われていないエリアでは、ローチャンネル用アンテナを使用することで、より受信性能が高くなるのです。
特に地デジアンテナのDIY設置に当たっては、使用する地デジアンテナについて、このような受信性能、および的確な設置角度を決める各要素を把握して、適切な機種を使用する必要がございますので、どうかご注意ください。
以下の項では、現在の主な地デジアンテナ機種について、DIYに適している機種か否かを含めて解説してまいります。
またここでご説明した各要素については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しておりますので、よろしければご参照ください。
・地デジのテレビアンテナで受信できる方向は指向性で決まる? アプリでアンテナの方向調整に最適な角度を調べる方法も徹底解説!
・地デジアンテナや無線通信用アンテナの性能を示す利得、動作利得とは何か? 素子数との違いなど地デジアンテナ基礎知識も解説
・テレビアンテナの性能を決める「素子」とは何か? 地デジアンテナ工事で重要な「素子数」を徹底解説!
・地デジ用テレビアンテナ工事にて設置する電界地域に最適な受信性能は「何素子数」タイプか? アンテナ機器の選び方を徹底解説!
・地デジ放送用テレビアンテナ、UHFアンテナ機種による素子数の違いとは? 高性能モデルや現場ごとに必要な素子数の機種を解説
地デジの八木式アンテナとは?
八木式アンテナ(八木アンテナ、八木・宇田アンテナ)は、矢印のような形の支柱に、短い横棒の素子がいくつもついた、魚の骨のような形状が特徴の、古典的な地デジアンテナです。
八木式アンテナの設置位置は、すでにご説明した通り、主に屋根の上になります。ただ壁面やベランダなどにも設置されるほか、例は少ないながら、屋根裏空間などに設置されることもございます。
受信性能に関しても、素子数では上記の通り、8素子、14素子、20素子のモデルが揃っている他、各素子部にX字型の固定具を取り付け、複数の素子パーツを並べた高性能素子を使用する高性能モデル、パラスタックアンテナも存在します。
パラスタックアンテナは通常の八木式アンテナに比べ、同素子数で約4倍前後の受信性能を持つ上、27素子、30素子などの多素子モデルも存在するため、弱電界地域から微弱電界地域でも、安定した地デジ受信性能を発揮できます。また逆に5素子程度でも、通常モデルと同等の受信性能を持つため、アンテナ本体の小型化にも利用されます。
このような受信性能の高さと幅広さから、パラスタックアンテナ含む八木式アンテナは、各電界地域をはじめ、広範なエリアで使用できます。
また八木式アンテナは、基本的な設置位置が屋根の上である。素子が露出していることで受信感度が高まる素子アンテナである。他機種に比べて指向性が高い。またオールチャンネルアンテナ以外に、ローチャンネル用アンテナ等が存在する唯一のアンテナであるなどの要因から、地デジアンテナの中では受信性能がもっとも高い機種になります。
さらにアナログ放送の時代から使われる古典的アンテナであることから、アンテナ本体価格や凝視に依頼した場合の設置費用が、地デジアンテナの中では、もっとも低価格になるのもメリットのひとつです。
ちなみに、ご参考までに、ある大手メーカーの20素子オールチャンネル対応の八木式アンテナの動作利得、指向性の半値幅をご紹介すると、動作利得は8.5㏈から13.8㏈。半値幅は28度から52度になります。
また同じく20素子のローチャンネル用八木式アンテナでは、動作利得は10.1㏈から13.5㏈。半値幅は28度から47度。20素子パラスタックアンテナでは、動作利得は11.3㏈から14.5㏈。半値幅は18度から35度になります。
一方、八木式アンテナのデメリットは、屋根の上に設置される独特の形状から、住宅の外観や景観を崩してしまう点。また風雨や雪、潮風、鳥など自然環境の影響を受けて、老朽化が進みやすく耐用年数(寿命)が短くなりやすい。特に指向性の鋭さから、アンテナ角度のズレによるトラブルが生じやすい点などが挙げられます。
ただ近年の八木式アンテナは、設計や素材、表面加工などの改良により、軽量化や耐水性、防さび性能などが高まっている他、自然環境に合わせて設計や素材などを工夫した雪害用モデル、塩害用モデルなども存在しますので、このようなモデルの採用により、対候性が高くなります。
なお八木式アンテナのDIY設置に関しては、主にベランダにおいて、手すり部への設置や、吊り下げ型モデルの使用であれば可能になります。また上記のように、屋上フロアなどが存在し、作業の安全が確保できる住宅であれば、屋上への設置も可能です。
ただ、通常型の20素子八木式アンテナは、本体の横幅が150センチ程度と大型になる。また指向性の鋭さから角度調整が難しくなる分、作業もやや困難になることがございますのでご注意ください。
そのため、受信環境に問題がなければ、DIY設置用には、八木式アンテナよりも、後述するデザインアンテナを使用することがおすすめとなります。
なお当あさひアンテナでは、八木式アンテナの基本設置工事(アンテナ本体の設置と、配線部の機器を使用せず、一ヵ所のみの配線を行うもっともシンプルな工事)に、日本三大アンテナメーカーのひとつ、DXアンテナ製の高品質20素子モデル「UA20」と、基本設置具、同軸ケーブル、防水処理をセットにして、税込み15,000円からでご提供しております。
他にも、パラスタックアンテナを含めた各素子数のモデル、雪害用、塩害用モデルなどもご用意しており、八木式アンテナの設置に当たって、さまざまな現場、ご要望に対応が可能です。
また八木式アンテナについては、本体の特徴や設置位置など、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
・新築戸建てのテレビアンテナ工事費用を安くできて高性能の八木式アンテナとは? アンテナ種類の選び方や業者の料金相場を解説
・地デジ「八木式アンテナ」に適した住宅の条件とは? アンテナ設置工事の特徴や種類を徹底解説!
・屋外用地デジアンテナは八木式アンテナが最強? 人気のデザインアンテナ、ユニコーンアンテナと特徴比較&おすすめの選び方紹介
地デジのデザインアンテナとは?
デザインアンテナは、地デジ放送がスタートした後の2009年(平成21年)に登場した、地デジアンテナの第二世代に当たる機種です。
前述のように、薄い長方形のケースにアンテナ本体部を収めた形状で、アナログ放送の時代に比べて、電波の波長が短くなったことにより実現した機種とも言えます。
戸建て住宅における設置位置は、ほとんどの場合、住宅の外壁、ベランダの手すり部などが選ばれます。場合によっては屋根の上で、マストや壁面状になった部分に設置されることもございます。
また前述のように、条件が整った現場であれば、室内の窓際への配置や、屋根裏空間、天井裏空間などに設置されるケースもございます。
このような形状や設置位置から、デザインアンテナは、平面アンテナ、壁面アンテナ、薄型アンテナ、フラットアンテナ、ケースアンテナ、ボックスアンテナなどとも呼ばれます。
デザインアンテナのメリットは、その形状と設置位置に加え、同モデルのカラーバリエーションが豊富なことから、設置しても家の外観や景観を損なわない点になります。
さらに風雨や雪、鳥など自然環境にも影響されにくく、耐用年数(寿命)が長くなり、トラブルが生じにくい点も、大きなメリットといえます。
デザインアンテナは、旧来の八木式アンテナの弱点をカバーするために誕生した地デジアンテナともいえ、現在では、地デジアンテナ機種の中で、もっとも人気の高い機種になっております。
一方でデザインアンテナのデメリットは、八木式アンテナに比べると、受信性能が低い点になります。
デザインアンテナ本体の受信性能は、前述した強電界地域向けや14素子など屋外屋内兼用のコンパクトモデルを除けば、基本的に20素子相当と26素子相当。およびそれぞれのブースター内蔵型のみになります。
他にもオールチャンネルアンテナしか存在しない。素子が露出していない。指向性もやや広いなどの点から、八木式アンテナの同素子数モデルと比べても、やや受信感度(動作利得)が低くなってまいります。
そして受信性能に影響する最大の要因としては、やはり設置場所が壁面など低い位置になるため、地デジ電波を遮る周辺の障害物に影響されやすい点になります。
そのためデザインアンテナは基本的に強電界地域から中電界地域向けの機種になりますが、これらの電界地域であっても、高層建築物の近隣や、壁面に電波が届きにくい住宅密集地などでは、受信できる地デジ電波のレベルが極端に低くなり、設置できないケースも出てまいりますのでご注意ください。
他にも、本体価格や設置費用が八木式アンテナに比べてやや割高になる。壁面設置の場合は、壁にビス穴を開ける必要が出るという点もデメリットと言えます。ただビス穴に関しては、サイドベースなどを使用して、他のアンテナ機種を壁面に設置する場合にも、同じデメリットが生じます。
なおDIYでの地デジアンテナ設置に関しては、地デジアンテナ機種の中で、デザインアンテナがもっとも適したモデルということができます。
デザインアンテナ本体のサイズは、メーカーやモデル、受信性能などによっても異なりますが、通常の屋外用モデルで、縦幅は60センチ前後、横幅は20センチ強から25センチ前後。厚さは設置具も含めて十数センチ程度のモデルが多くなりますので、DIYにあたっても形状的に取り扱いやすい機種になります。
さらに指向性がやや広いため、アンテナ角度の調整に、八木式アンテナほどの厳密さが必要ございません。
ある大手メーカーのデザインアンテナにおける動作利得と半値幅は、20素子相当モデルで、動作利得は標準値が7.8㏈から9.8㏈、規格値が7.5㏈から9.7㏈。また半値幅は75度から86度。26素子相当モデルでは、動作利得が標準値、規格値とも8.4㏈から10.2㏈。半値幅は71度から82度になります。
このように半値幅が広く、アンテナ本体を設置具から左右にずらす方法で、角度調整が行いやすくなります。そのためベランダ手すり部へのDIY設置であれば、手すりを挟み込む形で、設置具を簡単に固定して、アンテナ本体をはめ込むだけで設置できて、作業に危険も伴いません。
そのため地デジアンテナのDIY設置と言えば、デザインアンテナを住宅の手すり部に設置する方法が基本となります。
なお当あさひアンテナでは、デザインアンテナの基本設置工事に関して、DXアンテナ社の20素子相当モデル「UAH201」。または同じく日本三大アンテナメーカーのひとつ、マスプロ電工社の強電界地域向けコンパクトモデル「U2SWLC3(スカイウォーリーミニ)」の各カラーバリエーションと、基本設置具。白黒2色の同軸ケーブルなどをセットにして、税込み20,000円からの工事価格でご提供しております。
他にも26素子相当モデルやブースター内蔵モデルなどのご用意があるため、現場の条件で可能な限り、デザインアンテナの設置にご対応できます。
またデザインアンテナ本体や設置方法については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
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地デジのユニコーンアンテナとは?
ユニコーンアンテナとは、2017年(平成29年)に、マスプロ電工社が開発した独自のアンテナモデル「U2CN」のことで、地デジアンテナの第三世代にあたる、2023年現在の最新モデルです。
外観は高さ約68センチ、直径は約14センチの、ほぼ円筒形の形状で、マストの先に立てて固定されます。マストの接続部はカバーで隠せるため、非常にシンプルでスタイリッシュな外観になります。つやがなく落ち着いたウォームホワイト(WW)とブラックブロンズ(BB)の2種類のカラーバリエーションも存在します。
その名称は、ギリシャ神話に登場する架空の一角獣「ユニコーン」の角を思わせることに由来し、マスプロ電工の登録商標にもなっております。
ユニコーンアンテナの主な設置位置は、八木式アンテナと同じく屋根の上のマスト。またサイドベースを使って、破風板や壁面の高所など、基本的に屋根の上とほぼ同じ高さに設置されます。
ユニコーンアンテナは、第三世代モデルとして、八木式アンテナの受信性能と、デザインアンテナの対候性、外観性を兼ね備えることを追求したアンテナモデルになります。
具体的なメリットは、そのスタイリッシュな外観から、住宅の見た目や景観に悪影響を与えにくい点。そして屋根の上でも風雨や積雪などを受け流しやすい形状から、経年劣化が進みにくく、耐用年数(寿命)が長くなるという、デザインアンテナと同様の点です。
さらにユニコーンアンテナ本体の受信性能は、20素子相当のみですが、設置位置の高さから周辺の障害物などに影響されにくく、受信感度が高くなります。
その受信性能は、20素子相当のデザインアンテナを、受信環境のいい壁面に取り付けた場合と同レベルになります。
ユニコーンアンテナも基本的には、デザインアンテナと同様、強電界地域から中電界地域向けのアンテナ機種になりますが、デザインアンテナが高層建築物や住宅密集地などの周辺環境に影響を受けやすく、現場の条件によっては設置できないケースも出るのに対し、ユニコーンアンテナでは高さを確保できるため、同様の周辺環境でも安定した受信性能を確保でき、設置できるケースが多くなります。
ユニコーンアンテナのデメリットとしては、素子が露出していない。オールチャンネルアンテナしか存在しない。指向性が広いことにより、受信性能では20素子相当からより高性能の八木式アンテナには及ばない点。純和風の家屋などではデザインがそぐわないため外観性を乱す場合もある。最新モデルのため、現在の地デジアンテナ機種では、本体価格、設置費用がもっとも高くなる点などが挙げられます。
ちなみにユニコーンアンテナの動作利得は5.5㏈から6.2㏈で、半値幅は83度から93度であり、指向性は広いため角度調整が簡単になる反面、素子数相当に比べてやや動作利得は下がる傾向がございます。
なおユニコーンアンテナのDIY設置に関しては、本体の形状が扱いやすい、指向性が広いため角度調整が簡単など、一般の方でも設置しやすい面もございますが、その一方で、高所に設置することによって、高い受信性能を発揮するモデルであるため、屋根の上とほぼ同等の高所作業が必須となります。
そのため屋上フロアがある住宅など、屋根の上などでも作業の安全が確保できるお住まいを除けば、DIY設置にはあまり向かない機種と言えます。
なお現在、当あさひアンテナでは、ユニコーンアンテナ本体や基本部材をセットにした基本設置工事を、キャンペーン価格でご案内しております。詳しくは弊社のフリーダイヤルやメールフォーム、LINEまで、お気軽にご連絡ください。
またユニコーンアンテナや、その他のアンテナモデルとの比較などについて、詳しくは以下の各コラム記事でもご紹介しております。
・地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
・台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
・デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説
・外見、寿命、性能すべて優れるテレビアンテナ・ユニコーンアンテナとは? 特徴とメリットデメリットから設置工事の料金まで紹介
・ユニコーンアンテナの特徴と評判、設置工事の費用とは? 地デジ用アンテナ各機種のデザインとメリット、失敗を避ける方法を解説
その他の地デジアンテナモデルについて
すでに少しご説明しておりますが、地デジアンテナには、屋外に設置する上記モデルの他にも、屋内への設置を重視した室内アンテナ(室内用アンテナ)、屋外屋内兼用アンテナ(室内屋外両用・屋内外兼用・屋内屋外共用アンテナ)がございます。
「室内アンテナ」とは、文字通り住宅の室内に設置する小型の地デジアンテナです。その形状は、主に「卓上アンテナ」「ペーパーアンテナ」の二種類になります。
「卓上アンテナ」は、薄い板状の本体をスタンドで縦置きできる形状をはじめ、さまざまなデザインを持つ、コンパクトな地デジアンテナです。
室内でもテレビの付近や窓際など、地デジ電波をキャッチしやすい位置に置き、アンテナケーブル(同軸ケーブル)でテレビの地デジチューナー端子に接続すれば設置完了です。
「ペーパーアンテナ」とは、おおむね30センチ前後四方、厚さは5ミリ程度と、紙のように薄いプラスチック製のシートや板であるアンテナ本体に、ケーブルがついたものです。
このアンテナ本体を、主に地デジ電波が届く方向の壁や窓などに貼り付け、やはりケーブルをテレビの地デジチューナー端子に接続すれば設置が完了です。
ペーパーアンテナは、その設置方法から設置スペースを取らない。また窓や壁を透過する地デジ電波を、薄く広いアンテナで受信できるため、室内アンテナとしては受信感度が向上しやすいのが特徴です。
これら室内アンテナの性能はさまざまで、地デジ電波を受信するだけのシンプルなモデルから、ブースター内蔵型など、さまざまな付加機能がついているモデルもございます。
そして「屋外屋内兼用アンテナ」とは、やはり文字通り、屋外設置と室内設置の双方が可能となる地デジアンテナです。形状は、前述したコンパクトサイズのデザインアンテナ。また薄型や丸みのあるボックス型など、さまざまなものがございます。
屋外屋内兼用アンテナは、室内アンテナに比べるとやや大型ながら、屋外専用のアンテナよりはコンパクトサイズになります。
室内設置の場合の設置方法は、室内アンテナと同様で、非常に簡単ながら。屋外設置も想定しているため、風雨などにも耐えうる丈夫な構造であり、また受信性能も室内アンテナよりやや高めになっております。
室内アンテナや屋内屋外兼用アンテナのメリットは、上記のように設置作業が非常に簡単なため、専門業者に依頼せずとも、ご自宅で十分に可能となる点。屋内設置であるため住宅の外観や外装に影響を与えず、風雨などの影響も受けないため経年劣化が進みにくい点になります。
また本体価格が低価格である点も、大きなメリットです。
室内アンテナは、地デジ電波を受信するだけのシンプルなモデルでは、1,000円台から、ブースター内蔵型などの高性能モデルでも10,000円前後と非常に低価格です。
屋外屋内兼用アンテナもモデルや性能によって異なりますが、おおむね数千円から1万数千円程度になり、工事が不要のため設置の初期費用を抑えられます。
また屋外屋内兼用アンテナでは、ベランダなどの空間にも設置できるため、室内アンテナに比べれば地デジアンテナの受信感度が安定しやすくなります。
逆にこれらのアンテナのデメリットは、やはり受信感度の低さになります。
室内アンテナは、受信性能が素子数で表記できないほど低く、屋外屋内兼用アンテナはやや高いものの、主に3素子相当から5素子相当であり、一般的な屋外設置用アンテナに比べるとかなり低くなります。
そのためこのようなアンテナモデルは基本的に強電界地域専用であり、また該当するエリアでも、電波を遮る障害物がある、住宅の建材が電波を通しにくい、また悪天候などの環境によっては、安定した地デジ受信が困難になるケースもございます。
また受信性能の低さから、基本的な設置方法は、一台の室内用、屋外屋内兼用のアンテナを、一基のテレビなどに接続するのみとなり、複数台のテレビなどへ電波の分配する形での設置は難しくなります。
そのためこれらのアンテナは、普段、テレビを設置していない場所で、一時的にテレビを視聴する。また短期間の賃貸物件住まいなど、一時的な使用に用いる簡易的な地デジアンテナになります。
他にも屋外用アンテナの中には、アンテナ本体部が筒状、ドーム状などの形状になっている「無指向性アンテナ」も存在します。
ここでいう無指向性アンテナとは、アンテナ本体部に当たる部分において、全方向に等しい受信性能を発揮するモデルになります。
そのため、例えば現場の周辺に、異なるチャンネルを放送する複数の電波塔があり、その位置が大きく異なる場合など、指向性をもつ通常の地デジアンテナ機種では、一基ですべての地デジ電波を受信できない場合も、このタイプの無指向性アンテナであれば、一基ですべての地デジアンテナを受信できます。
他にも、全方向からの地デジ電波を受信できるため、複雑な角度調整が必要なく、設置が簡単になる点もメリットと言えます。
半面、無指向性アンテナでは、全方向から届く電波を受信してしまうため、ノイズとなる無関係な電波も受信しやすいデメリットもございます。そのため基本的には、地デジ電波が強い強電界地域向けのモデルとなります、
なお室内アンテナ、屋外屋内兼用アンテナの詳細は、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・面倒な工事も不要!2,000円で地デジ放送を楽しめる「室内アンテナ」について!
・室内設置におすすめ地デジテレビアンテナの選び方とは? 人気デザインアンテナ屋根裏取り付けで失敗しない工事方法、費用を解説
・フィルム型アンテナとは何か? 地デジテレビ用でおすすめ、最強の室内アンテナの選び方。ランキングで人気の高性能商品も紹介!
地デジアンテナのDIY設置を行う上での注意点
地デジアンテナのDIY設置を行う上で、前もって確認しておくべきポイントとしては、アンテナの設置作業を行う現場において「DIY作業の安全を確保できること」「設置現場で十分な地デジ電波が受信できること」になります。
設置場所の安全確保については、上記の通り、住宅のベランダへの設置が基本であり、他にも、室内から作業できる窓の手すり部。人が出られる設計になった屋上スペースなど、作業する人が転落するなどの大きな事故が起こる危険性が低い場所をおすすめいたします。
逆に屋根の上などのように、転落の危険が生じる場所の作業は、決してDIYでは行わず、当あさひアンテナなど、アンテナ工事のプロにお任せください。
そして作業の位置がベランダなど安全な場所であっても、その場所で地デジ電波が十分に受信できるかどうか、あらかじめ確認することが重要です。
この確認については、DIY作業の内容が「既設アンテナの交換」であるか「新規設置」「設置位置・機種の変更」であるかによっても、変わってまいります。
例えば、すでにベランダに設置されている地デジアンテナの老朽化などで、同タイプのアンテナを交換するだけであれば、地デジ受信環境については問題がないと考えられ、作業もアンテナ本体を交換するだけと、比較的、簡単なものになります。
ただ、新築住宅などそれまで地デジアンテナが設置されていない場所へ、新規に地デジアンテナを設置する。また屋根の上の八木式アンテナを使用していた住宅で、ベランダへのデザインアンテナ設置に変更するなどの場合は、まず地デジアンテナの設置位置で、設置するアンテナによって、十分なレベルの地デジ電波が受信できるかどうかを確認する必要がございます。
この場合、設置するベランダなどから見て、電波塔の方向に高層ビルや住宅などの障害物がなく、ベランダから電波塔が視認できる強電界地域であれば、DIYでのデザインアンテナ設置に、特に問題は生じません。
基本的にDIYで地デジアンテナ設置が可能な現場は、上記のように障害物などに影響されない強電界地域である必要がございます。ただ設置現場における、地デジの受信環境が判定できない場合には、下記のような確認方法がございます。
まずは「一般社団法人放送サービス高度化推進協会(a-pab)」の公式サイト内にある「放送エリアのめやす」ページをご確認ください。
このサイトでは、お住まいの近隣にある中継局と、その中継局からみて、強電界地域から中電界地域に当たるエリアを、地図上で中継局から広がる色彩によって確認できます。このサイトで、現場が電波塔に近く、最低でも中電界地域に含まれるようであれば、DIY設置が可能である可能性が高まります。
ただ前述のように、電界地域は電波塔からの距離と地形から割り出した地デジ電波レベルの目安でしかないため、強電界地域であっても、周辺の建築物などの影響により、地デジの受信が難しくなる場合もございます。特にアンテナ設置を考えているベランダのすぐ近くに、高層マンションなどや隣家の壁が見える場合は、地デジアンテナの設置は難しいと考えた方がよろしいでしょう。
ご自宅のベランダなどの現場で地デジ電波が受信できるかどうかの判断については、周辺の住宅に設置されている地デジアンテナの種類、設置位置などから判断する。近隣の家電量販店やホームセンター、街の家電店など、アンテナ本体の販売や工事を行う店舗に問い合わせるといった方法がございます。
またワンセグ放送を受信できる機器をお持ちであれば、ベランダで良好にワンセグ放送を受信できるか、確認するのもひとつの方法です。ワンセグの電波は地デジ放送と同じ電波塔から送信されるため、ワンセグ受信が良好であれば、地デジ受信も良好と考えられます。
ただワンセグ放送は、地デジ放送に比べて受信しやすいこともあり、これらの方法はあくまでおおまかな目安にすぎません。もし設置を想定しているベランダなどの現場で、安定した地デジ電波の受信が可能であるか確証が持てない場合は、DIYでの設置は避けられた方がよろしいでしょう。
またDIYで地デジアンテナを設置される場合、もうひとつ注意が必要なポイントには「水平偏波」「垂直偏波」の違いがございます。
日本国内に数多く設置されている中継局は、地面に対して水平の波長を描く水平偏波。地面に対して垂直の波長を描く垂直偏波を送信する二種類に分けられるのです。
この水平偏波と垂直偏波は、波長の角度が異なるだけで、電波の強度や品質、テレビ放送の内容などに違いはございません。また日本全国の中継局のうち、約95パーセント以上が水平偏波を送信しており、残りの5パーセント弱が垂直偏波を送信しております。
さらには、中継局によっては双方の電波を送信している場合や、状況の変化などで、送信される電波の種類が切り替わるケースもございます。
この電波の使い分けは、地デジ電波が、周波数帯の近い携帯電話、スマートフォンなどの電波や、別の中継局からの地デジ電波と入り混じり、干渉し合うことで、地デジ放送の受信不良や携帯電話の通信障害などが起こる「混信」を避けるために行われております。
すなわち周波数帯が近い電波同士でも、波長の角度が違えば混信が生じにくいため、混信の可能性があるエリアの中継局では、垂直偏波を使用することで混信を避けるのです。
そして垂直偏波、水平偏波の受信に関しては、地デジアンテナの側でも、波長の角度に合わせた対応が必要となります。
八木式アンテナの場合は、波長の角度に合わせて、アンテナ設置の際の角度を90度、変えることで、水平偏波と垂直偏波の双方に対応できます。
しかしデザインアンテナでは、一部のコンパクトモデルでは同様の対応が可能なものもございますが、角度を90度ずらすと、メリットであるデザイン性の低下や、左右への角度調整が難しくなる問題も出てまいります。そのため通常モデルのデザインアンテナでは、水平偏波専用と垂直偏波専用のモデルが別個に存在します。
なおユニコーンアンテナは比較的、新しいモデルであるため、現在は水平偏波専用のモデルしか存在しません。
したがって、DIYで地デジアンテナを設置する場合には、特にデザインアンテナを使用するケースが多いこともあり、ご自宅で受信できる電波が、水平偏波、垂直偏波のどちらかをご確認の上、対応するアンテナモデルを用意される必要がございます。
なお、お住まいのエリアに地デジ電波を送信している中継局が、水平偏波と垂直偏波のどちらを送信しているかについては、総務省「総合通信局・総合通信事務所」の、各広域圏のホームページや、テレビ局の公式サイトなどで確認できます。
なお設置の現場で確実な電波状態を確認する方法としては、プロであるアンテナ工事の専門業者に、アンテナレベルチェッカーなど、専門の機器を使った電波調査をご依頼になることがもっとも確実です。
アンテナレベルチェッカーは個人でのご購入も可能ですが、ある程度の価格になるため、DIYで設置するメリットがなくなる他、一般の方では、表示から電波の品質など、正確な意味をご理解されることが難しいという面もございます。
やはりDIYでの地デジアンテナ設置で、十分な地デジ電波が受信できるかどうか明確でない場合には、アンテナ本体などの購入費や作業の手間が無駄になるリスクもあるため、アンテナ工事の専門業者に設置をご依頼になることがおすすめと申せます。
当あさひアンテナでは、アンテナ設置の現場に出張しての電波調査、およびアンテナ工事のお見積もりを、現地への出張料、工事に至らなかった場合のキャンセル料など、諸費用を含めた完全無料で行っております。
地デジアンテナの設置に関して、設置したい場所で受信できる電波レベルや電波の方向、品質がわからない、不安があるなどの場合は、どうかお気軽に弊社へとご相談ください。
なお水平偏波と垂直偏波、またアンテナ工事業者による電波調査とお見積もりについては、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
・地デジ放送、衛星放送(BS/CS)テレビアンテナ工事の現場で必要な「電波調査」の方法とは?
・地デジや衛星放送のテレビアンテナ工事費用がいくらかわかる「見積もり」とは? 業者、会社ごとの設置費用の相場や選び方を解説
DIYで地デジアンテナを設置する手順とは?
ここからは、実際にDIYで地デジアンテナを設置するにあたっての、具体的な手順をご説明してまいります。
お住まいの中でDIY設置を想定している場所と、取り付けを想定している地デジアンテナ機種によって、安定した地デジ電波の受信が可能と思われる場合は、その作業の手順を整えることになります。
まず必要な機材、道具としては、設置する地デジアンテナ本体はもちろん、設置具や必要な長さのケーブル、接続用のコネクタ、ケーブルの固定具など。
またアンテナケーブルを屋内に通す方法にあわせて、エアコンなどのダクト口を利用する場合には、穴を通すための工具や埋め直すコーキング剤。窓のサッシなどを通す場合には専用の薄型ケーブルなども必要となります。
他にも基本的な工具として、レンチやスパナ、ドライバーなども必要です。
DIYでの地デジアンテナ設置に当たっては、あらかじめアンテナ設置位置や、配線の流れなどを含め、全体的にどのような工事になるかを、細かい部分まで想定し、工事の手順を考えておき、その作業に必要な工具、部品をすべて用意しておく必要がございます。
また、DIYでアンテナ設置を行う日は、なるべく青天の日を選んでください。これは、雨天などでは雨に濡れて作業中の事故などが生じるリスクが高まることはもちろん、地デジの電波レベルが低下し、受信レベルが低下することが考えられるためです。
ここでは、デザインアンテナをお住まいのベランダに設置することを前提に、その手順について解説いたします。なお八木式アンテナを設置する場合については、要所で必要な解説を加えてゆきます。
・1:アンテナ固定具の設置
前述のようにデザインアンテナは、住宅の外壁やベランダの手すりなどに設置される地デジアンテナです。
壁面への設置では、壁にビス穴を開け、専用の設置金具を固定する必要がございますが、ベランダの手すりへの設置では、手すり用の取付金具を、手すりを挟み込むような形で固定するだけで設置可能です。
ただ手すり用の設置金具には、手すりの形状によって、適合するものと適合しないものがございますので、まず設置する手すりの形状を確認した上で、適合する設置金具を用意することが必要です。
八木式アンテナの場合は、やはり手すり用のサイドベースを使用して、手すり部に固定し、マストの先にアンテナ本体を取り付けることになりますが、八木式アンテナは本体のサイズが大きくなることもあり、サイドベースを含めて設置のスペースは確保できるか、また設置の際の重量に問題はないかなども確認されておくことが重要です。
・2:アンテナ本体の固定
設置用の金具を固定できたら、デザインアンテナを金具に設置します。デザインアンテナの多くのモデルは、アンテナ本体を上から金具にはめ込めば設置完了になりますが、モデルによってはマスト状の部分に固定するものもございますので、本体の取り扱いマニュアルなどをご確認の上で、適切な設置方法をお選びください。
またデザインアンテナは比較的、設置が簡単ですが、それでも万が一、手を滑らせてベランダなどから落としてしまう危険性もございます。八木式アンテナでは本体の大きさや重さでより取り扱いが難しくなることもあり、ベランダへの設置では、取り付けが完了するまで、アンテナ本体に命綱を取り付けておくことをオススメいたします。
またこの際の設置では、アンテナを完全に固定するのではなく、左右の角度調整が可能な仮固定にとどめてください。
・3:ケーブル配線の引き込みとテレビへの接続
デザインアンテナ本体の設置が完了したら、アンテナケーブルを屋内に引き込みます。
引き込みの方法は、エアコンなどのダクト口にケーブルを通す。またケーブルの途中でサッシなどを通せる薄型ケーブルを使用するという方法がございますので、ご自宅の環境に合わせてください。
そして屋内に引き込んだケーブルを、テレビなどの受信機器に接続します。なおこのとき、地デジアンテナからテレビまでをつなぐケーブルが長すぎると、ケーブルを伝わる際の地デジ電波の減衰量が大きくなるため、例えば部屋の模様替えなどを想定した、ある程度の余裕はもたせつつ、極端に長すぎない、適度な長さに調節してください。
また通常の地デジアンテナには、電源は必要ございません。ただデザインアンテナにはブースター内蔵型のモデルもあり、このモデルにはブースターに給電するための電源部が付属しております。
ご自宅の受信環境などにより、ブースター内蔵型のデザインアンテナを設置される場合は、電源コンセントの確保や、電源部の配線も考慮される必要がございます。
・4:地デジアンテナの角度調整
地デジアンテナからのケーブルと、テレビとの接続が完了したら、テレビの設定画面から、地デジの「アンテナレベル」画面を表示してください。
この画面を表示する方法や、画面の呼称は、テレビのメーカーやモデルによっても異なりますので、テレビ本体のマニュアルや、メーカーの公式サイトなどをご確認ください。
アンテナレベル画面では、インジケーターや数値などの表示で、地デジアンテナから届いている地デジ電波レベルが表示されます。この表示の数値や基準もメーカーなどにより異なりますが、各メーカー、モデルごとに、これ以上のレベルが受信できていれば十分とする、一定の受信レベルがございます。
この受信レベルが必要な水準以上になるよう、設置した地デジアンテナの角度を微調整してください。地デジアンテナの場合は、電波塔など電波が現場に届く方向へと、角度を左右に調整するのみで十分となります。またこの角度調整も、アンテナ本体の指向性によって、必要となる精密さが異なってまいります。
ただ注意点として、アンテナ本体の角度を少し調整してから、テレビ側でその角度の受信感度が反映されるまでには、数秒程度のタイムラグが生じるため、少し動かした時点で、数秒待ってからアンテナレベルの変化を確認するという手順で、アンテナレベルがもっとも高まる位置を特定する作業が必要となります。
前述のように、テレビのアンテナレベルではなく、アンテナレベルチェッカーを使用して受信レベルを確認する方法もあり、この場合は受信レベルをすばやく確認できますが、本体がある程度の価格になるのと、一般の方では使用や表示レベルの判断が難しい面もあるため、現実的な方法ではございません。
また上記のようにDIY設置の作業日は青天の日が推奨となりますが、設置時点では十分な受信レベルを確保していても、雨天などの悪天候時には、地デジ電波の受信レベルが低下いたしますので、その点を考慮して、できるだけ高い受信レベルを確保してください。
また角度調整を行いながら、テレビのアンテナレベルを確認することが難しい場合は、二人以上で作業を行い、一人がテレビ側でアンテナレベルを確認し、もう一人がアンテナの角度を調整するといった方法もございます。
また角度調整を行っても、十分な受信レベルを確保できない。最大レベルでも必要最小限レベルと大差ないなどの場合は、設置位置の変更も考慮される必要がございますので、どうかご注意ください。
・5:作業の完了
テレビ側で最大限のアンテナレベルを確保できたら、その角度で地デジアンテナ本体をしっかりと固定して、そう簡単に角度のズレが起こらない状態に固定できれば、DIYによる地デジアンテナの設置は完了です。
その他、配線部の整理や、作業の見落としなどはないかをご確認の上、機材や不要のゴミなどを片付ければ、ご家庭で地デジ放送をお楽しみいただけます。
・地デジアンテナを室内に設置する場合について。
前述のように、室内アンテナ、屋外屋内兼用アンテナの他、デザインアンテナでもコンパクトモデルをはじめ、スタンドにより室内設置に対応できる機種がございます。
この場合は、室内アンテナでは受信レベルの確認などは必要ございませんが、屋外用と性能の大差ないデザインアンテナを室内設置する場合には、適切な窓際などにアンテナ本体を配置した後、アンテナレベル画面で、簡単な形でも、適切な角度への調整を行ったほうがよろしいでしょう。
その他、地デジアンテナのDIY設置やアンテナレベルに関しては、以下の各コラム記事に詳細がございますので、よろしければご確認ください。
・地デジテレビアンテナをさまざまな場所に設置する工事と、アンテナの向きや方向を自分で調整する方法とは? 費用の相場も解説!
・地デジや衛星放送のアンテナレベルとは? テレビでの受信レベル確認や低下する原因、工事で改善する方法を解説!
・自分でテレビアンテナ設置工事を行う際の方法と費用の相場は?
・テレビアンテナの配線を自分でDIY設置できる? 取り付け工事に必要な作業と費用を徹底解説!
衛星放送の電波とBS/CSアンテナの仕組みについて
続いて、衛星放送用のBS/CSアンテナをDIY設置する方法についてご説明いたします。
そのための前置きとして、まずは衛星放送および、衛星放送用のBS/CSアンテナについて、その仕組みや性質、受信の注意点などのポイントを解説してまいります。
衛星放送とは、宇宙空間の赤道軌道上、約36,000キロの上空で、地球の周回軌道を移動しているため、地上から見れば、常に上空の同じ位置に静止して見える「静止衛星」に向けて、地上の放送局から放送電波を送信(アップリンク)し、静止衛星にて、その電波を増幅したのち、地上の広範囲へと送り返す(ダウンリンク)形式のテレビ放送です。
衛星放送の特徴は、地デジ放送などの地上波放送とは異なり、一基の静止衛星から日本の全域などの広範囲へ、大容量の情報を効率的に送信できる点です。
そのため地上の地形や建築物などの障害物に影響を受けにくい他、地上の災害などにも影響されず、常に安定した放送が可能になる点がメリットです。
現在の日本の衛星放送は、放送衛星(Broadcast Satellite)を用いたBS放送(BSデジタル放送)と、通信衛星(Communication Satellite)を用いたCS放送(CSデジタル放送)の二種類になります。
BS放送は、地デジ放送と同じく不特定多数を対象とした放送であり、東経110度に位置する放送衛星を使用しております。チャンネルにはNHK、広域民放の基幹放送をはじめとする無料チャンネル。および月額契約制の有料チャンネルがあり、無料チャンネルであれば。衛星放送のアンテナを設置することで、日本国内であれば誰でも視聴できます。
CS放送(CSデジタル放送)は、CS放送事業者との契約を結んだ視聴者を対象にする放送で、BS放送以上の多チャンネルであり、その大半が有料チャンネルに当たり、視聴者は好みのチャンネルを個別に契約することで視聴できます。
2023年現在のCS放送には、東経110度の通信衛星を使用する、110度CS放送「スカパー!」。東経124度、128度の通信衛星を使用する124度/128度CS放送「スカパー!プレミアムサービス」の2サービスがございます。
また2018年(平成30年)12月1日より、BS放送、CS放送に複数の4K、8Kチャンネルが追加される形で、衛星放送の4K8K放送であり「新4K8K衛星放送」もスタートしております。
これらBS放送、CS放送の衛星放送で、静止衛星から送信される電波は、非常に周波数帯が高いマイクロ波(SHF波)の中でも、周波数帯がおおむね12GHz前後の「12GHz帯」と呼ばれるものになります。
GHz(ギガヘルツ)は地デジ放送のMHzより単位が上になり、1GHzは1秒間に10億の波長を繰り返す電波を指します。衛星放送の12GHzの電波は、その波長の幅は25ミリ前後と、地デジのUHF波に比べても高周波数であり、かなり波長の短い電波になります。
したがってその性質は光に近く、非常に直進性が高くなり、エネルギーを集中させやすいという性質があります。そのため地上に設置した小型のBS/CSアンテナ(パラボラアンテナ)でも受信が可能になるのです。
衛星放送では、宇宙空間に位置する放送衛星、通信衛星の静止衛星から、地球上にある日本国内の全域をスポットライトで照射するような形で、12GHz帯の電波を送信しています。
そしてその静止衛星からの12GHz帯の電波を受信する衛星放送用アンテナは、一部の特殊なモデルを除けば、基本的にバラボラアンテナの一種類だけになります。
パラボラアンテナのBS/CSアンテナは「ディッシュ(dish:皿)」と呼ばれる大きな皿(円盤)状の放物面反射器と、ディッシュの背面から前方へと延びる金属製のアームで、ディッシュ中央付近に固定された「コンバーター(変換器)」から構成されるアンテナです。
このパラボラアンテナのディッシュ正面部を、静止衛星が位置する東経110度などの方向へ正確に向け、直進的に送信される12GHz帯の電波をディッシュで受け止めます。
受け止められた12GHz帯の電波は、ディッシュの放物面に反射し、その中央に位置するコンバーターの「一次放射器」に集められます。
12GHz帯の電波は周波数帯が高すぎるため、そのまま同軸ケーブルで送信すると減衰量がたいへん大きくなります。そこでコンバーターによりいったんMHz帯の電波へと変換した後、ケーブルを通じて屋内のテレビなど受信機器のBS/CSチューナーに送信することで、BS放送、CS放送が視聴できるのです。
なおコンバーターは電子機器であるため、BS/CSアンテナを機能させるためには、ケーブルの配線部にあるブースター、またはチューナー端子から給電する形式で、電源が必要となります。
現在の主なBS/CSアンテナの種類には、放送衛星、通信衛星が同じ角度に位置するBS放送と110度CS放送の両方を、一基で受信できるBS/110度CSアンテナになります。
他にも、124度/128度CS放送専用のプレミアムサービスアンテナ専用アンテナ。さらにこれらすべての放送を一基で受信できるマルチアンテナが存在します。
また、従来のBS放送、CS放送に使用されていた12GHz帯の電波は、右回りの螺旋を描いて送信される「右旋円偏波」と呼ばれる電波ですが、新4K8K衛星放送の大半のチャンネルでは、左回りの螺旋を描く「左旋円偏波」が使用されます。
これは新4K8K衛星放送のスタート時、BS放送、CS放送に4K、8Kのチャンネルを追加する際に、それまでの右旋円偏波では、使用できる空きの周波数帯が不足したためです。
そこで右旋円偏波の残り周波数帯には、BS放送の基幹的なチャンネル、NHK、広域民放の4Kチャンネルを割り当て、その他の4K8Kチャンネルには、新しく導入された左旋円偏波の周波数帯を割り当てたのです。
現在のBS/CSアンテナは、すべて右旋、左旋の双方を受信できる2K4K8K対応型のモデルになりますが、2018年以前に設置されたBS/CSアンテナには、右旋の電波しか受信できない2K対応BS/CSアンテナも存在します。
またBS/CSアンテナで受信された右旋、左旋の電波は、コンバーターでMHz帯へと変換される際、このとき右旋の電波は1032MHzから2072MHz。左旋の電波は2224MHzから3224MHzの周波数帯に変換されます。
そのためBS/CSアンテナの配線部や、設置されるブースター、分配器などの機器も、2018年以前に設置された機器やケーブルでは、左旋の電波が変換された周波数帯には対応できない場合もございます。
そのため、ご自宅のBS/CSアンテナや配線部が、2018年以前に設置されたものである場合は、新4K8K衛星放送のすべてのチャンネルを視聴できない場合もございますので、どうかご注意ください。
なおBS/110度CSアンテナは、メーカーやモデルは異なっても基本の構造は同じで、太陽光に強い白色系のパラボラアンテナになります。したがって同じサイズのモデルでは、どのモデルも受信性能に違いはございません。
BS/CSアンテナのディッシュサイズは、その有効直径(電波を受け止める部分の直径)のセンチ数別として、一般の戸建て住宅向けになる45型の他、50型、60型、75型、90型、120型などのモデルがございます。
BS/CSアンテナはディッシュが大きいモデルほど受信性能が高く、45型以上のモデルは基本的に、アパートやマンションまで、集合住宅の規模に合わせた共同受信用の機器になります。
他にも、一般住宅用の45型BS/CSアンテナには、太陽光に強い塗料を用いた黒色などのカラーバリエーション。風を通すパンチングホール仕様のディッシュや、各接合部の強化で耐風性を高めた高耐風モデルなどが存在します。
なお衛星放送および、BS/CSアンテナ、新4K8K衛星放送の受信に必要な機材については、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
・台風対策に最適! 究極の高耐風BS110度CSアンテナ「BC453SG」(DXアンテナ)
・新4K8K衛星放送とは? 4K、8Kテレビの購入後に必要なアンテナ工事と費用の相場、おすすめ業者の選び方まで徹底解説!
・「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
・「新4K8K衛星放送」のご視聴に必要な機器・完全チェック!
BS/CSアンテナの設置と衛星放送を受信する注意点とは
上の項でご説明した通り、衛星放送では、主に東経110度に位置する静止衛星から、光のように直進的に照射される12GHz帯の電波を、地上に設置されたBS/CSアンテナでまっすぐに受け止め、反射させてコンバーターに集め、受信する仕組みになります。
そのた目BS/CSアンテナの設置では、ディッシュの正面を、東経110度の方向へと、仰角(上下の角度)、方位角(左右の角度)とも正確に取り付ける必要がございます。
このディッシュの角度にミリ単位でも狂いが生じると、ディッシュの放物面に反射した12GHz帯の電波が、うまくコンバーターに集中しなくなるため、衛星放送の受信レベルが大きく低下してしまうのです。
もうひとつ、注意すべき点は、東経110度などの静止衛星と、地上のBS/CSアンテナを結ぶ、12GHz帯の電波が届く経路に、電波を遮断する障害物が存在しない点です。
前述の通り12GHz帯の電波は、非常に周波数帯が高く、波長の長さは25ミリ程度と短くなり、その性質は光に近くなります。
そのため、静止衛星からBS/CSアンテナとの間の空間の直線上に、山地や建物などはもちろん、電柱や電線、樹木や枝葉、また洗濯物などのわずかな障害物でも存在すると、電波が遮られて、BS/CSアンテナのディッシュ部に影を落とすような形になり、衛星放送の受信不良が起こり得るのです。
なおBS/CSアンテナの設置位置から東経110度の方向に、建物などが存在する場合、アンテナの位置を起点とした障害物の高さに比べて、アンテナと障害物の距離が1.5倍以上であれば、12GHz帯の電波の受信に影響は及ぼしません。
例えばBS/CSアンテナを向ける東経110度の方向に、アンテナより10メートル高い障害物がある場合、アンテナと障害物の間が15メートル以上、離れていれば、衛星放送の受信に関して、特に影響はございません。
また戸建て住宅におけるBS/CSアンテナの設置位置は、上記の条件を満たす場所であれば、どこに設置しても受信レベルに大きな影響はないため、基本的には設置場所を選びません。
一般的には、地デジアンテナとセットで、屋根の上などのマストに固定されるほか、壁面に固定されたサイドベースや、ベランダの内外などにも設置できます。
ただ衛星放送の12GHz帯の電波は、住宅の屋根や壁に遮断されてしまうため、屋内へのBS/CSアンテナ設置は難しくなります。唯一の例外として、シンプルな透明の一枚板ガラス(フロートガラス)の窓際であれば、光に近い性質の12GHz帯の電波が透過するため、窓際にBS/CSアンテナを設置できることもございます。
なおDIYでBS/CSアンテナを設置する場合も、基本的な設置場所には作業の安全を確保でき、作業そのものも簡単になる、住宅のベランダや窓の手すり。また可能な場合は窓際への室内設置が選ばれます。
BS/CSアンテナの設置場所を選ぶにあたって注意すべき点は、上記の設置角度の正確さと、アンテナを向ける先に障害物がないことの2点になります。
ただ他にも、衛星放送の受信レベル低下を引き起こす要因として「悪天候」と「電波が減衰する一部地域」の2点がございます。
悪天候については、衛星放送用の12GHz帯の電波は、その波長の長さが25ミリと短くなります。したがって多少の降雨などでは、大きな影響はございませんが、豪雨や大雪で雨や雪の粒が25ミリに近くなると、12GHz帯の電波が雨や雪に吸収され、乱反射も起こることで電波状態が悪化して、BS/CSアンテナで十分な受信ができなくなります。これを「降雨減衰」「降雪減衰」と呼びます。
また日本の衛星放送は、静止衛星から国内全域に送信されているため、基本的に日本国内であれば、障害物や天候の問題がない限り、全域で安定して受信できますが、日本国内でも中心部から離れた、北部や南端部、離島部など一部地域では、静止衛星からの距離が長くなるため電波の減衰が生じ、12GHz帯の電波レベルがやや弱まります。
降雨、降雪による減衰についての対策は、基本的に天候の回復を待つことになります。
ただ戸建て住宅で、12GHz帯の電波が弱まるエリアや、悪天候への対策としては、通常の45型アンテナではなく、やや大型で受信性能が高まる50型、60型、75型などのアンテナを使用する方法がございます。
ただ大型のBS/CSアンテナをDIY設置する場合、その大きさから作業が難しくなるだけでなく、設置後も風雨などを受けたアンテナトラブルが生じやすくなります。戸建て住宅で50型以上のBS/CSアンテナを設置する場合は、当あさひアンテナなどアンテナ工事の専門業者にご依頼になることをおすすめいたします。
なお当あさひアンテナでは、一般戸建て住宅へのBS/CSアンテナ設置では、DXアンテナ製の2K4K8K対応45型、最新モデル「BC45AS」をご用意し、地デジアンテナ設置に際しての追加設置であれば、アンテナ本体や基本設置具などもセットにした基本設置工事を、税込み15,000円からでお引き受けしております。
さらに同社製2K4K8K対応45型モデルで、パンチングホール仕様のディッシュ部や各接合部の強化により、受信可能風速50m/s、復元可能風速60m/s、破壊風速70m/sの耐風性能を誇る、業界最強の高耐風モデル「BC453SG」についても、アンテナ本体や設置具をセットにした設置工事を、特別価格でご案内しております。
他にも黒のカラーバリエーションや、マンションなどの共同受信用を含めた大型ディッシュのBS/CSアンテナもご用意しており、集合住宅のオーナー様なども含め、さまざまなお客様のご要望に合わせたBS/CSアンテナ設置工事にご対応できます。
また上記の、BS/CSアンテナの設置に関係する注意点、問題については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・衛星放送用バラボラアンテナ・BS/CSアンテナの種類と選び方とは? 地デジテレビアンテナとの違い、家屋への設置工事を解説
・衛星放送用BS/CSアンテナの種類と性能とは? 地デジテレビアンテナとの違い、設置工事の方法から機種の選び方まで解説!
・BS/110度CSアンテナで安定して衛星放送を受信できる設置の場所とアンテナの向きや角度を正確に調整する方法
・BS/CSアンテナには電源が必要? テレビから衛星放送用アンテナに電源設定を行う方法
・BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!
・雨や雪が降るとBS、CSの衛星放送が映らなくなる原因と衛星放送用テレビアンテナを調整して映るようにする対処方法とは?
・衛星放送用BS/CSテレビアンテナの寿命は何年? 取り付けから約10年後の交換工事の時期や映らなくなった時の対処法を解説
DIYでBS/CSアンテナを設置する手順とは?
衛星放送、特に有料の専門チャンネルが多いCS放送は、趣味の要素が高いものになります。そのためご新居のアンテナ工事に際して設置する以外にも、一部の部屋でのみ視聴するため、DIYで追加設置されるケースが多いアンテナであると言えます。
上記の通り、BS/CSアンテナは、静止衛星からの12GHz帯の電波が受信できる条件が整った場所であれば、特に設置場所は選びません。
ただ実際的にはやはり、ある程度、高い位置である方が、建物など電波を遮る周辺環境の影響を受けにくい。また東経110度に向けての角度調整を行いやすいといったメリットが出てまいります。
ここでは一般的なBS/110度CSアンテナを、やはりベランダの手すり部にDIYで設置する場合を例に挙げて、設置の手順をご説明してまいります。
具体的に、BS/CSアンテナの設置が可能となるベランダは、南西方向を向いて、午後2時から3時の間に太陽が見えて、特にその南西方向が建物などで遮られていないベランダとなります。
なお具体的なBS/CSアンテナ設置のDIY作業を行う手順については、デザインアンテナをベランダに設置する場合と重なる部分がございますので、それらの点については簡略的な説明にとどめます。詳しくはデザインアンテナのDIY設置の項をお読みください。
作業に必要な機材は、地デジアンテナの場合とほぼ同様で、BS/CSアンテナと設置具、またそれらがセットになった製品。配線用の同軸ケーブルと、ケーブルを引き込む方法に合わせたコーキング剤や薄型ケーブルなどの機材と、その他、作業に必要なレンチ、スパナなどの工具類になります。
他にも、BS/CSアンテナの場合、地デジアンテナより角度調整が難しくなります。BS/CSアンテナを東経110度に向けるためには、仰角(上下各)、方位角(左右角)の双方を調整する必要があるほか、東経110度の方向も、日本国内の各地域によって微妙に異なるからです。
そのため、BS/CSアンテナをDIYで設置する際には、お手持ちのスマートフォンやタブレットなどに、日本三大アンテナメーカーのひとつ、日本アンテナ社が提供する、日本各地で東経110度の正確な方向を確認できる、無料スマートフォンアプリ「BSコンパス」をインストールされることがおすすめです。
このアプリでは、日本国内の各地域で、お住まいの地域を設定することで、画面にBS放送衛星の角度を示すコンパスが表示されるため、BS/CSアンテナに合わせる形にして角度を確認しつつ、調整を行うことで、正確な仰角、方位角を向いているかを確認できます。
その他にも、インターネット上に、日本の地域別の、東経110度の仰角、方位角の一覧を表示しているサイトがございます。またBS/CSアンテナのモデルには、角度調整部に、各地域の東経110度の方向が表記されている製品もございますので、これらも、BS/CSアンテナの正確な角度調整に役立ちます。
また必須の品ではありませんが、BS/CSアンテナ用の簡易的なインジケーター(アンテナチェッカー)というものがございます。これはアンテナの配線時、ケーブルの間に接続することで、BS/CSアンテナからテレビに届く電波レベルが一目で確認できるというものです。
このインジケーターがあれば、アンテナの角度調整の作業が非常に簡単となります。BS/CSアンテナ用では1,000円台で購入できるものもあり、購入されるのもひとつの方法です。
これら、必要な製品を用意されたら、やはりできるだけ青天の日を選んで、BS/CSアンテナのDIY設置作業を行ってください。
以下、DIY設置の具体的な手順を解説してまいります。
・1:アンテナ固定具の設置
BS/CSアンテナには、アンテナ本体のみの製品と、アンテナを固定する固定具がセットになった製品がございます。
基本的にBS/CSアンテナの後部には、マストに固定するための設置部があり、固定部はベランダの手すりなどに設置し、マストを立てる形の器具になります。
ベランダ手すり部へのDIY設置では、基本的に設置具がセットになった製品が、総額では割安になることもあっておすすめですが、やはりご自宅の手すりの形状によって、設置具が適合しないケースもございますので、まずは設置する手すりの形状を確認して、設置具が適合するかをご確認ください。
また老朽化したBS/CSアンテナを交換するなどで、住宅にBS/CSアンテナを設置できるマストが設置されている場合は、BS/CSアンテナ本体のみの製品でも大丈夫な場合もございます。ただBS/CSアンテナ本体により、固定できるマスト径(マストの太さ直径)が異なる場合もございますので、設置されているマストが、使用するBS/CSアンテナに対応するかのご確認は必須となります。
この設置具を、まずはベランダの手すり部に設置します。設置方法は、手すりのタイプに合わせた設置具の形状でも異なってまいりますので、付属のマニュアルなどを参考に、しっかりと固定してください。
・2:BS/CSアンテナ本体の組み立てと取り付け
市販のBS/CSアンテナは、その多くが購入時は、箱に収まりやすいよう、各バーツが分かれておりますので、アンテナを組み立ててください。BS/CSアンテナの組み立ては、付属の説明書に沿って行えば、難しいものではございません。
なお現在、市販されるBS/CSアンテナは、すべて2K4K8K対応型になっており、新4K8K衛星放送の受信には特に問題はございません。旧式の2K放送のみに対応するアンテナモデルはすでに製造終了しております。
したがって付属するケーブルも、4K8K(3442MHz)対応型になりますが、ただ追加のケーブルや、ご自宅に設置されている配線を使用される場合は、それらが4K8K対応型でないと、新4K8K衛星放送をご視聴になれない場合もございますので、どうかご注意ください。
BS/CSアンテナの組み立てが完成したら、そのアンテナを、設置された設置具のマスト部に通す形で設置して、ボルトを締めて仮固定してください。
この際には、アンテナを固定具にしっかりと固定するのではなく、ある程度、左右に動かせるよう、余裕を持った仮固定にしておきます。
・3:ケーブル配線の引き込みとテレビへの接続、電源設定
BS/CSアンテナの仮設置が完了したら、アンテナケーブルを屋内に引き込みます。
引き込みの方法は、地デジアンテナと同じく、エアコンなどのダクト口から通す。薄型ケーブルで窓サッシを通すなどの方法になります。そして室内に引き込んだケーブルを、テレビなどの受信機器に接続します。
ケーブルは長すぎず短すぎない、適切な長さが推奨されることも、地デジアンテナの場合と同じです。
次にテレビの電源を入れて、まずは設定画面から「BSアンテナ電源設定」などの画面を表示し、設定を「ON」にしてください。
前述の通り、BS/CSアンテナは、コンバーターに電源を供給する必要があり、電源設定をONにしないと、正しく設置しても12GHz帯の電波を受信できません。
またBSアンテナ電源設定の呼び方や、画面を表示、設定する方法などは、アンテナレベル画面の表示と同じく、テレビのメーカーやモデルによっても異なります。やはりテレビ本体のマニュアル、メーカーの公式サイトなどをご参照ください。
電源設定が完了したら、やはり設定画面などから、衛星放送(BS)などの「アンテナレベル」画面を表示してください。
・4:BS/CSアンテナの角度調整
アンテナレベル画面が表示できたら、BS/CSアンテナの角度調整です。
前述の通り、BS/CSアンテナは、仰角(上下角)と方位角(左右角)双方の調整が必要となりますが、先に手順をご説明すると「仰角(上下角)→方位角→仰角の微調整」の順になります。
まずアンテナ本体の仰角調整ボルトを緩め、お住まいのエリアにおける東経110度の仰角に合わせてください。この仰角は、前述のBSコンパスやネット上の一覧表を参考にして、角度目盛り部をその角度に合わせてください。
この時点では特にアンテナレベルの確認は必要ありませんので、仰角を適切な角度に固定できたら、仰角調整ボルトを軽く締めて、仰角を動かせる状態で仮止めしてください。
次に、マストを中心にディッシュ部の方位角を調整します。
地デジ放送の場合と同じく、テレビのアンテナレベルから確認する場合は、やはりBSコンパスや一覧表を参考に、適切な角度に合わせた後、1ミリずつずらして確認する形で、アンテナレベルがもっとも高くなる位置に微調整してください。
BS/CSアンテナの場合もやはり、アンテナ本体の角度を1ミリ調整してから、テレビ側のアンテナレベルに反映されるまでには、数秒のタイムラグが生じるため、時間をかけた緻密な作業を行うことになり、場合によっては二人での作業も必要となります。
これに対して、BS/CSアンテナとテレビの間のケーブルにインジケーターを接続して使用すれば、手元で角度を調整してすぐに受信レベルが反映されるため、作業がたいへん楽となります。ただインジケーターを作動させるためには、まずテレビの側での電源設定を行い、ケーブルに電気を通す必要があるのでご注意ください。
方位角の調整により、アンテナレベルが最大になる角度を特定できれば、その角度で、BS/CSアンテナのマストへの固定金具をしっかりと締め込んで固定してください。
そして次にもう一度、仰角を微調整して、やはりアンテナレベルが最大になる角度を割り出して、特定できたらその角度で仰角調整ボルトを締め込み、固定してください。
これでアンテナの角度調整は完了となります。
・5:作業の完了
角度調整が終了した後は、BS/CSアンテナのコンバーターから延びるケーブルを、アンテナのコンバーターアームやマストなどに沿わせて結束バンドで固定する、本体のフック部に通すなどして、トラブルなどが起こりにくいように整理してください。
またインジケーターを使用している場合は、取り外して、インジケーターを介していたケーブル同士を接続します。
その他、全体の配線その他を整えて、作業の見落としはないかの確認、機材やごみなどの片付けなどを行えば、DIYによるBS/CSアンテナの設置は完了です。どうぞ衛星放送をお楽しみください。
・BS/CSアンテナを室内の窓際に設置する方法とは?
前述のように、BS/CSアンテナを室内の窓際に設置する方法もございます。
設置が可能になる条件とは、ご自宅に、東経110度(南西)の方向に向いた窓があり、その方向から東経110度の方向に、12GHz帯の電波を遮る障害物がないこと。
そしてそのガラスが、12GHz帯の電波を通しやすい、透明な一枚板のフロートガラスであることです。逆にペアガラス(複層ガラス)や網入りガラス、透明性の低い模様入りガラスなどでは、衛星放送の電波が透過しにくいため、室内設置は難しくなります。
該当する窓ガラスの基準としては、上記のと同じように、日中の午後2時から3時まで。より正確には3月の春分の日、9月の秋分の日の午後2時頃に、日光が差し込む窓であるという点です。日光が差し込むということは、人工衛星からの電波を遮断する障害物がないということを示しています。
室内設置の場合は、BS/CSアンテナを、高さ50センチ程度(BS/CSアンテナを設置して1メートル程度)の据え置きスタンドに設置して、窓際に置く形になります。
BS/CSアンテナは、設置具が必要ないため、本体のみの製品を選んでください。またBS/CSアンテナとスタンドがセットになった、室内設置セットなどの製品もございます。
必要な道具は、アンテナケーブルを室内に引き込む必要がないため、引き込み用の機材を除いては、ベランダへの設置の場合と変わりありません。
作業の手順も、アンテナを組み立ててスタンドに設置し、窓際の適切な場所においてケーブルとテレビで接続する。そして角度調整を行うという、ベランダ設置の場合とほぼ同様で、より作業を簡略化したものになります。
室内設置の場合は、方位角の調整を、BS/CSアンテナ本体をスタンドごと動かすことで可能になるため、より簡単な作業になります。
ただ一方で、室内設置の場合は、ガラス窓を通す分だけ、衛星放送の電波が弱まりやすく、衛星放送の視聴を行う際には、カーテンやブラインドなど、場合によっては窓そのものをあける必要も出る場合がある。またBS/CSアンテナを据え置くだけなので、アンテナに触れることで設置の角度がズレやすく、受信トラブルが生じて再調整の必要が出るなどの問題も出てまいりますので、どうかご注意ください。
余談ですが、BS/CSアンテナには建物設置用のパラボラアンテナの他にも、アウトドア用の特殊なモデルとして、やや小型でフラットな箱型のポータブルBS/CSアンテナも存在します。このようなモデルを、室内用や手軽なDIY設置用のBS/CSアンテナとして利用することも、不可能ではございません。
ただこのようなモデルは、アウトドアが前提であるため、室内設置で衛星放送を受信できる条件は、通常のBS/CSアンテナと同じです。
設置場所を取らないメリットがある反面、現状では右旋円偏波しか受信できないモデルが多く、価格も40,000円から50,000円程度と高価になります。
総じて、このようなモデルは、アウトドア用に使用されるものを、ご自宅でも簡易的に用いる場合はともかく、住宅専用のアンテナとしてはあまり適しておりません。
またBS/CSアンテナのDIY設置や室内設置については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しておりますので、よろしければご確認ください。
・地デジや衛星放送のテレビアンテナ取り付けを自分でDIY工事する方法とは? 設置の注意点、費用についても解説(基礎知識編)
・地デジや衛星放送(BS放送、CS放送)用テレビアンテナを自分で取り付ける方法とは? 設置工事を進めるポイントと注意点をすべて解説(実践編)
・BS放送、CS放送を視聴する衛星放送用テレビアンテナを室内に設置する方法とその条件、おすすめの設置用製品とは?
・室内に衛星放送用のBS/CSアンテナを設置してBS放送、CS放送のテレビ番組を観る方法、5大チェックポイント解説!
・住宅でBS/CSテレビアンテナを屋外の見えない位置に設置する方法は? ベランダ内などに隠して設置できる会社や注意点を解説
テレビアンテナをDIY設置する方法・まとめ
地デジアンテナ、BS/CSアンテナとも、DIY設置をする場合のメリットは、アンテナ本体や機材費のみで、業者に依頼する場合に比べて、設置費用を抑えられる点になります。
ただ一方で、アンテナ設置の品質が保証されない。機材の選択や作業の手順などを誤り、設置してもテレビ放送が受信できない、家屋を無駄に傷つけてしまうなど、失敗した場合の保障がないといった問題もございます。
また設置したテレビアンテナで受信できる電波レベルが低い場合は、室内用ブースターやラインブースターを設置することで、ある程度、補足できますが、アンテナで受信した電波を、分配器を使って複数の部屋へ分配するなど、複雑な配線や、その整理などは、DIY設置では難しくなります。
総じてDIYでのテレビアンテナ設置は、費用を抑えられる半面、失敗した場合、業者に依頼するよりも余計な費用がかかってしまうこともあるという、諸刃の剣的な作業になります。
もしDIYでのテレビアンテナ設置に不安がおありの場合は、当あさひアンテナ公式サイトのメールフォーム、フリーダイヤル、LINEまで、まずはご相談だけでもお気軽にお寄せください。
当あさひアンテナでは、本文でもご紹介した通り、地デジアンテナ、BS/CSアンテナの各機種を、国産大手メーカーのさまざまなモデルをご用意し、アンテナ本体や必要な部材をセットにした、業界最安に挑む基本設置工事費用でご案内しております。
もちろんブースターや分配器など各種機器の設置も、高品質な機器をセットにして、低価格のオプション工事費用でご案内しておりますので、戸建て住宅へのテレビアンテナ設置については、地デジアンテナとBS/CSアンテナのセット設置から、ブースター、分配器の設置による、住宅の各部屋への、十分な電波レベルの配分など、さまざまな工事にご対応できます。
当あさひアンテナでは、アンテナ本体を含む各種機材を、大手メーカーからの直接大量購入を前提にした大幅値引きで、スケールメリットによる低価格を実現している他、さまざまな工夫による広告費の削減、効率的な作業による人件費の削減などの企業努力でコストカットを実現し、アンテナ工事費用の低価格化へと還元しております。
また電波調査、お見積もりについても、出張料やキャンセル料など、各種費用を含めた完全無料で行っており、他業者との相見積もりにもご対応いたします。
実際の工事についても、綿密な電波調査に基づき、安定した地デジ受信を実現できることを大前提に、現場の条件が許す限り、お客様のご要望に最適となる、さまざまなアンテナ工事をご提案いたします。
そして実際の施工では、専門知識と経験の豊富な弊社社員のアンテナ職人が、緻密な施工により、受信性能はもちろん、本体の設置や配線部なども美しく、頑丈な設置で高寿命を望めるアンテナ工事をお約束いたします。
またアンテナ工事の完了後も、業界最長クラスである、アンテナ工事の施工日から「10年保証」をご用意し、末永いご安心をご提供しております。
テレビアンテナのDIY設置も、けっして悪い方法ではございません。ただよろしければ、弊社におけるアンテナ工事の内容や品質、アフターフォローや価格とご比較いただき、よりコストパフォーマンスが高いと思われる方法をお選びいただければ幸いです。