ご自宅のテレビアンテナは自分で作ることができる? 地デジ用アンテナを自作する方法と、市販のテレビアンテナとの違いを解説!

2024年04月14日
あさひアンテナ アンテナ工事 無料相談

地デジ放送や衛星放送のテレビアンテナと言えば、2024年(令和6年)現在でも、一般のご家庭ではほぼ必須の設備になっております。

現在ではご家庭で地上デジタル放送(地デジ)や衛星放送(BS放送、CS放送、新4K8K衛星放送)を視聴する方法にも、ご家庭まで直接、テレビの映像信号を送信するケーブルを埋設するケーブルテレビ(CATV)や、インターネット等の回線に利用される光回線で映像信号を送る光テレビ(ひかりTV)などの選択肢もございます。

ただ、月額視聴料金が必要となるこれらの方法とは異なり、地デジアンテナ、BS/CSアンテナなどのテレビアンテナを設置する方法では、いったん設置すれば、NHKの受信料や有料チャンネルを除き、基本的に無料で各チャンネルを視聴でき、設置から10年以上にわたって安定してテレビ放送を視聴できるなどの特徴から、特にマイホームの戸建住宅ではお得なテレビの視聴方法です。

戸建て住宅に設置されるテレビアンテナと言えば、主に地デジ放送を受信するための地デジアンテナ。そして衛星放送を受信するためのBS/CSアンテナの二種類になります。これらの各アンテナにも、現在ではさまざまな機種、モデルが登場しております。

ただ、これらのテレビアンテナを、ご自宅で自作できるという話も、ときに聞きます。

インターネット上で検索すると、「テレビアンテナを自作する」という記事や動画などが数多くヒットします。

確かにテレビアンテナを自作することも不可能ではございません。アンテナの手作りの方法にも何通りかございますが、簡単なものでは、ご自宅にある厚紙やアルミホイル、あとはのりやテープなどの文具で作ることも可能です。そしてこのようなアンテナでも、条件が整っていれば、安定した地デジ電波の受信ができるケースもございます。

当コラムでは、このようなテレビアンテナの自作について、まずテレビアンテナを作るために必要となる、テレビ電波やアンテナの構造などの基礎知識や、製品としてのテレビアンテナの構造を解説。

そしてテレビアンテナを作ってみる具体的な方法と、住宅に設置されるテレビアンテナ製品との違い。自作したテレビアンテナが使用できる条件や、自作テレビアンテナを使うのに適した実例などを一覧でご紹介してゆきます。

テレビアンテナを自作する方法だけでなく、テレビ放送や電波、テレビアンテナの仕組みについて、基礎知識を得るためにも参考になる記事となっております。

テレビ電波の「電波」とはそもそも何か?

アンテナがテレビなどの電波を受信するしくみを理解するためには、まず電波やアンテナの基本的な知識や仕組みを理解しておく必要がございます。ここではまず、そもそも「電波」とは何であるか、どのような性質を持つかについて解説してゆきます。

電波と言えば、現在ではテレビやラジオの放送電波をはじめ、携帯電話やスマートフォン、またインターネットのWi-Fiや無線LANなど、日常生活には欠かせないものであり、ケーブルなどの形あるものを使わず、空間を伝わって情報を伝達できる目に見えない波長であるということは、皆様もよくご存じのことでしょう。

もはや日常の一部と言っていい電波ですが、この「電波」とは「電磁波」の一種にあたります。

電磁波(電波)というものを、詳しく解説すると長くなりますが、電気的な力が働く空間である電場(電界)と、磁気の力が働く空間である磁場(磁界)が互いに影響し合うことにより、空間を光と同じ速さで伝わる波(波動)が、電磁波と呼ばれるものです。

簡単にいえば、電磁波(電波)とは、光の速さで空間を波打って伝わる、目に見えない微弱なエネルギー波のことだと言えます。

この電磁波(電波)は電磁放射とも呼ばれ、波と粒子の性質を併せ持っており、周波数によってその性質はやや変化するものの、物にぶつかった際の反射、その向こう側に回り込む回折。物を透過した際の散乱や屈折。周波数帯が近い波長で混ざり合い、新しい波長となる干渉など、さまざまな波としての性質を示す一方で、微視的には粒子としての数を数えることもできます。この電磁波(電波)の量子は光子になっています。

電磁波(電波)は、周期的な波動を描いて空間を伝わりますが、この波動の周期的な長さを「波長」といい、電磁波(電波)でよく聞かれる「周波数」とは、単位時間(1秒)ごとに、この波動が繰り返される回数を示しています。

電磁波(電波)の周波数は、基本単位「Hz(ヘルツ)」で表されます。1Hzは、1秒間に1回の波長が描かれることを示します。

そして1秒間に1,000回、波長が繰り返されると1,000Hzにあたり、1KHz(キロヘルツ)の単位で表されます。

同様に、1KHzの1,000倍、1秒に100万回の波長を描くと「1MHz(メガヘルツ)」。

1MHzのさらに1,000倍、1秒に10億回の波長を描くと「1GHz(ギガヘルツ)」。

1GHzからまた1,000倍、1秒に1兆回の波長を描くと「1THz(テラヘルツ)」の単位になります。

ギガやメガ、テラなどは、現在ではパソコンなどのメモリ(記憶容量)や、スマフォなどの通信量を示す単位としてもよく知られます。これはメモリや通信量の最小単位「byte(バイト)」の、1,000倍ずつを示す単位で、周波数と同じ計算になります。

この電磁波の周波数は、1秒間の波長の数が少ない(周波数が低い)ほど、波の幅は長く、多い(周波数が高い)ほど波の幅が短くなる性質がございます。

電磁波とはこのような波長のエネルギー全般のことを言いますが、その中でも比較的、周波数帯が低く、波長が長い電磁波の総称が「電波」と呼ばれるものです。

電波やその分類の定義は、国や機関などによってやや異なる場合もありますが、日本の「電波法」上の定義など、一般的には、周波数帯が3Thzまでのものを指します。

日本の電波法では、電波は周波数帯別に「超長波」「長波」「中波」「短波」「超短波」「極超短波」「純ミリ波」「ミリ波」に分類されております。

現在の周波数帯における電波の分類は、主に以下の通りとなります。

・極極極超長波(ELF):周波数帯3Hzから30Hz、波長の幅10,000キロから100,000キロ。

・極極超長波(SLF):周波数帯30Hzから300Hz、波長の幅1,000キロから10,000キロ。

これらは空前のヒットを記録したアニメ映画の主題歌のような名前の電波ですが、超長波の中でも、周波数帯が非常に低く、波長が極めて長いものを指します。

なおELFは「extremely low frequency」。SLFは「super low frequency」の略であり、程度の差はあれ、どちらも「極端に低い周波数帯」の意味になります。ただこれら、極めて低い周波数帯の名称や定義は国際的には統一されておらず、やや混乱もみられるため注意が必要です。

このように波長が極端に長い電波(超長波)は、通信速度の上限や、送信できる情報量が非常に低い。送信用のアンテナも巨大になるなどの弱点があります。

反面、非常に長い波長から、より周波数帯が高く一般的な通信に利用される電波では減衰(電波レベルの弱まり)してしまい遮られてしまう、大地や水中なども通り抜けるという特性もあります。

そのため超長波でも特に波長の長いELFやSLFは、主に海中を航行中の潜水艦へ、基地側から短縮コードによる指令の送信などに使われます。ちなみに潜水艦側から基地への返信は不可能となっています。

・極超長波(ULF):周波数帯300Hzから3KHz、波長の幅100キロから1,000キロ。

これも超長波の一種であり、主に、一般的な周波数帯の電波では遮断され通信が不可能になる、鉱山の内外での通信などに利用されます。

ULFとは「ultra low frequency」の略称で、やはり「極めて低い周波数帯」の意味になります。

・超長波(VLF、ミリアメートル波):周波数帯3Hzから30kHz、波長の幅10キロから100キロ。

一般的な超長波に当たり、無線心拍計や地球物理学の研究などに利用されます。

VLFは「Very Low Frequency」の略で「非常に低い周波数帯」を意味しています。

・長波(LF、キロメートル波):周波数帯30kHzから300kHz、波長の幅1キロから10キロ。

この周波数帯になると、電波の利用や送信設備の制作がやや行いやすくなり、電波航法(無線航法)や誘導無線、電波時計や標準電波、アマチュア無線。一部の国でのAMラジオ放送である長波放送などに利用されます。またこの周波数帯が対潜水艦通信に使われることもあります。

LFは「Low Frequency」の略で、低い周波数帯の意味になり、また「Longwave(長い波長)」の略として「LW」と表記されることもあります。

・中波(MF、ヘクトメートル波):周波数帯300kHzから3000kHz、波長の幅100メートルから1キロ。

この中波は、電離層(地球を覆う大気の上層部にある分子、原子が、紫外線やエックス線などによって電離した領域で、電波を反射する性質がある)のうち、日光を受ける昼間しか現れず、もっとも内側に当たるD層に吸収される性質があります。

そのため、日中は地表波(大地や海面に沿って伝わる電波)のみが使用でき、超短波などよりは長いものの、比較的、近距離にしか届きません。

一方でD層が消滅する夜間は、D層の上にあるE層によって反射するため、この電離層反射波(上空波)を利用することにより、遠距離まで届くという特徴があります。

主な用途は、日本をはじめ多くの国でラジオのAM放送(電波の強弱で情報を送信する「振幅変調」による放送)にあたる中波放送や路側帯ラジオ、船舶無線、航空無線航行、アマチュア無線など。また電波を吸収しやすい雪の中でも伝わりやすいことから、雪崩に埋もれた人を救助するための雪崩ビーコンにも利用されます。

MFは「Medium Frequency」。つまり「中間的な周波数帯」の略で、やはり「Mediumwave(中間的な波長)」の意味で「MW」と略されることもあります。なおこれらの略称は、いわゆるライトノベルのレーベル、出版社との関係はないようです。

・短波(HF、デカメートル波):周波数帯3MHzから30MHz。波長の幅10メートルから100メートル。

この短波は、地上より約200キロから400キロ上空、上記した電離層F層に反射する性質があり、この電離層反射波(上空波)を利用して地球上の遠方まで到達するため、設備と周波数帯によっては世界中との通信が可能となります。

ただ電離層は11年周期で増減する太陽黒点活動の影響を非常に大きく受けて、夏や冬などの季節、昼や夜などの時刻によって状態が変化します。

これにより短波も、電離層に反射して良好に届く周波数帯が変化するなどの影響を受けるため、遠距離通信に利用する場合は、季節や時間によって周波数帯を変更する、同時に複数の周波数を利用するなどの方法で、通信の安定を確保します。

短波の用途は、主にラジオの短波放送。洋上航空無線や船舶無線、軍用無線、業務無線、アマチュア無線、非常通信、また核磁気共鳴(NMR)を用いて分子の構造や運動状態などの性質を調べる核磁気共鳴分光法などになります。なお短波放送はその性質から、使用する短波ラジオによっては、世界中の短波放送を受信することも可能になります。

HFは「High Frequency」の略で「高い周波数帯」を意味します。より高い周波数帯が存在するにもかかわらず高い周波数帯と呼ばれるのは、20世紀初頭まで、電波の中では短波がもっとも周波数帯が高い(波長が短い)ものだと考えられていたためです。他にも「Shortwave(短い波長)」の意味で「SW」と略されることもあります。スペースオペラの代名詞である海外SF映画との関連性はありません。

・超短波(VHF、メートル波):周波数帯30から300MHz、波長の幅1メートルから10メートル。

上記の通り、それまでもっとも波長が短いと考えられていた短波の後に、より波長の短い電波として発見されたことから、超短波と名付けられた周波数帯です。VHFは「Very High Frequency」の略で、意味は「非常に高い周波数帯」になります。

超短波が伝播する際の特徴は、通常は電離層で反射せず、地表波としては減衰が大きく利用しにくいという点です。そのため空間波でも、人が目で見渡せる範囲の通信が基本となります。

主な用途は、日本では地デジ化以前のアナログテレビ放送にて、VHFテレビ放送の電波として使用されていたため、ある程度の年齢の方であれば、聞き覚えのある方も多いことと思われます。

他にも、業務用移動通信、空港や飛行場などで着陸する航空機を誘導する計器着陸装置 (ILS)。飛行中の航空機の位置を確認できる超短波全方向式無線標識(VOR)。航空無線。船舶において全世界的に使用される無線通信システムの国際VHF。地方自治体が住民に防災情報を伝えるための防災無線のひとつである同報無線。業務通信。情報を周波数の変化で伝達する周波数変調を用いたラジオのFM放送。アマチュア無線。核磁気共鳴分光法。現在では終了したサービスが多いマルチメディア放送などに利用されます。

・極超短波(UHF、デシメートル波):周波数帯300MHzから3GHz、波長の幅10センチから1メートル。

超短波よりさらに波長の短い電波として発見されたため、極超短波と命名された電波の種別です。

極超短波も超短波と同様、伝播の特性として、電離層で反射せず地表波としては減衰が激しいため、主に直進する空間波を用いた短距離通信に利用されます。また波長が短くアンテナが小形化できるため、移動通信にも適しています。

UHFは「Ultra High Frequency(極めて高い周波数帯)」の略であり、この極超短波よりも波長の短い電波を総称して「マイクロ波(microwave)」とも呼びます。

この極超短波になると、身近な通信用として扱いやすくなり、現在の地上デジタル放送でも、放送電波として用いられています。

また極超短波は、アナログ放送時代の独立放送局による地方チャンネル放送(UHFチャンネル)にも使われていたほか、現在では携帯電話(スマートフォン)や無線LAN、Bluetooth、GPS、モバイルWi-Fiなど、非常に身近な周波数帯として利用されています。

また極超短波を含むマイクロ波は、水分を含む物に照射することで、水分子に直接エネルギーを与え、振動、回転させることで温度を上げる「マイクロ波加熱」という性質を持っており、その原理が、やはり身近な家電製品である「電子レンジ」に利用されています。電子レンジは、英語では「マイクロ波オーブン」を意味する「microwave oven」または「electronic oven」とも呼ばれます。

ちなみに電子レンジで使用されるマイクロ波の周波数帯は2.4GHz帯で、無線LANやWi-Fi、また一部のアマチュア無線と周波数帯がほぼ一致するため、電子レンジの使用中にはこれらの機器が混信により使用不能になることもありますので、注意が必要です。

極超短波はその他にも、業務用移動通信。軍用航空無線。無線航法。PHS(現在はサービス終了)。アマチュア無線。デジタル簡易無線。RFID(商品に付属するタグとの情報通信)。核磁気共鳴分光法などにも利用されています。

・センチメートル波(SHF):周波数帯3GHzから30GHz、波長の幅1センチから10センチ。

極超短波と同じくマイクロ波の一種で、より波長の短いセンチメートル波は、直進性が強くなり、エネルギーを集中させやすくなるため、受信に用いるアンテナも小型化できます。その一方、回折する力が非常に弱いため、遮蔽物に影響を受けやすく、電波の到達範囲が限定されてきます。

またより波長の短いミリ波に比べると、雨や霧による影響が少なくなります。一方、波長の短さから電線による送信では減衰量が大きくなるため、適していません。

なおSHFは「Super High Frequency(極度に高い周波数帯)」の略になります。

センチメートル波の用途としては、12GHz前後の電波が、日本の衛星放送(BS放送、CS放送)の電波として使われていることがよく知られています。

その他にも、近距離での電波によるコンピュータ・ネットワークである無線LAN。ワイヤレスUSB。ETC。最新式のレーダー。アマチュア無線。移動体通信(5G)。電子スピン共鳴などに利用されています。

またアナログテレビ放送の時代には、高層建築物や飛行機による受信障害対策の「受信障害対策中継放送」としてセンチメートル波が利用されていました。

・ミリ波(EHF):周波数帯30GHzから300GHz、波長の幅1ミリから1センチ。

マイクロ波の中でもより波長が短く成るミリ波は、データ送信の大容量化が可能であり、電波の直進性も高くなりますが、波長の短さから降雨や降雪では電波の減衰が発生します。

ちなみにEHFは「extremely high frequency(極端に高い周波数帯)」の略になります。

ミリ波の用途については、まだ研究、開発中のものが多くなりますが、ミリ波を用いた無線LAN規格やWirelessHDと呼ばれるAV無線伝送規格などが開発されております。

また極めて狭い指向性も実現できるため、車載レーダーなどミリ波レーダーと呼ばれる最新レーダーの研究に利用されているほか、ミリ波イメージングと呼ばれる、ミリ波により物質の内部構造を映像化する技術も存在し、手荷物検査、非破壊検査などでの活用が期待されています。

その他にも、宇宙から届くミリ波の研究による電波天文学。高速中継放送。電子スピン共鳴などにミリ波が活用されています。

・サブミリ波(デシミリメートル波):周波数帯300GHzから3THz、波長の幅1ミリ以下。

サブミリ波はマイクロ波、また電波全体としても上限に近い周波数帯に当たる電波です。特に周波数帯が1THzから3THz近辺で、電波と電磁波(光)の中間に近い電波はテラヘルツ波とも呼ばれます。

サブミリ波の名称は、ミリ波よりさらに波長が短い(サブ(sub):~の下)ことに由来します。

サブミリ波の特性はより光に近く、直進性が強くなり指向性も高くなります、またより水分に弱く、空気中の水蒸気でも減衰してしまうなどの点になります。

この性質から大容量の通信に適している一方、長距離の通信には適さない電波になります。また通常の電線などでは伝送が難しく、伝送媒体には導波管や光ファイバーが使われます。

現在のサブミリ波の用途は、近距離の無線通信や電波天文学、非破壊検査、医用画像の取得や診断、ミリ波イメージングなどになります。

 

現在の周波数帯による電波の区分と、その性質、用途などは以上の通りです。

一般的な電波の性質としては、周波数帯が低い(波長が長い)電波は、性質が音に近くなります。

つまり周波数帯の低い電波は、波長がキロ単位から数百、数十メートル単位と長くなるため、空間を進む際に、音のように広がりやすくなるのです。またまた高層ビルなどの障害物にぶつかっても、波長の長さから、その向こう側に回り込んで広がることで、乗り越え(回折)やすくなります。

また電波を反射する金属や、吸収しやすいコンクリートや水などがない、一般的な住宅などの屋根や壁であれば、多少の電波レベルの減衰は生じるものの、壁を通り抜けて届く性質もあります。

逆に周波数帯が高い(波長が短い)電波は、電波より周波数帯が高い電磁波が光になることから、その性質も光に近くなってゆきます。つまり広がりにくく光のように直進性が強くなる反面、波長が短いため障害物にぶつかると、ほとんどが反射してしまい、向こう側へと回り込みにくくなります。

つまり、太陽光が地面でものに当たると影ができるように、周波数帯の高い電波は、障害物に遮断されてしまい、その陰に当たる部分には届きにくくなるのです。

また各周波数帯の項でも少しご説明した通り、電波が伝達できる情報の量は、その波長の数によって決まります。したがって周波数の低い電波は、簡単なコードや音声のみなど、送信できる情報量が少なくなり、逆に周波数帯が高くなるほど、高画質のテレビ放送など、送信できる情報量は多くなります。

ちなみに、送電線や家電製品なども作動時には常に電磁波を発生させていますが、その周波数は50Hz程度と極極超長波にあたり、極めて低く、波長の長さは6,000キロ程度にも及びます。

このように周波数帯が非常に低く、波長が極端に長い電磁波は、波長として考える必要がないため「電磁界」とも呼ばれます。電磁界はエネルギーが非常に小さいため、通信用のアンテナ装置などで出力を高めない限りは、通常の電波や電磁波のように遠くまで伝わる性質はなく、発生源から離れると急激に弱まります。

また電波の周波数帯を越えた電磁波は、波長が短い(周波数帯が低い)順に、まず赤外線、可視光線、紫外線の順で「光」になります。さらに高周波数帯になると、エックス線、ガンマ線などの放射線となります。

電磁波でも周波数帯が高くなるほどエネルギー量が強くなり、光や放射線はさまざまな形で活用されている一方で、特に紫外線や放射線については、人間をはじめ生物が多量に浴びると健康被害が生じることでも知られております。

ただ電波については、周波数帯が低くエネルギーも低いことから、上記したマイクロ波加熱を除けば、物などに物理的な影響を与えることもなく、人体への影響もほとんどないと考えられています。

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地デジ放送の電波とその性質とは?

ここでは、地デジアンテナによる受信の仕組みをご理解いただくため、地デジ放送の基礎知識および、使用される地デジ電波の周波数帯や性質について解説してゆきます。

地デジ放送の概要と歴史

2024年現在の主なテレビ放送が、地上デジタル放送(地デジ放送)であることは、皆様もご存知の通りです。

この地デジ放送とは、東京都墨田区押上に位置する東京スカイツリーはじめ、日本各地に設置された電波塔から、テレビの映像、音声を変換した信号(映像信号)を電波(上記のUHF)の波長に変換して送信し、地上の空間を伝わるUHFを、住宅などに設置された地デジアンテナで受信、住宅のケーブル配線(同軸ケーブル)を通じて、住宅のテレビなど受信機器の地デジチューナーまで送信し、チューナーにて映像信号を再度、映像へと変換することで視聴できるテレビ放送です。

このように、地上の設備を用い、地上で電波を送信する放送の形式を、主に衛星放送との対比で「地上波放送(地上波テレビ放送)」と呼びます。

なお地デジ放送以前の主なテレビ放送は、1953年(昭和28年)2月1日にスタートした、日本で最初のテレビ放送でもある、現在では「地上アナログ放送」と呼ばれるものでした。

このアナログ放送も、現在の地デジ放送と同様、東京都港区の東京タワーをはじめ、日本各地に設置された電波塔から送信され、各住宅のテレビアンテナで受信する地上波放送の形式でした。

このアナログ放送の形式を、現在の地デジ放送へと転換すべく、まずアナログ放送を継続したまま、2003年(平成15年)12月1日、午前11時より、東京、大阪、名古屋の主要な都市圏から、地デジ放送がスタートしました。

以降、地デジ放送の対応エリアの拡大や、一般住宅などでの、アナログ放送から地デジ放送への設備の転換のため、移行期間として、しばらくの間は地デジ放送とアナログ放送が並行して放送されていました。ちなみに当時の地デジ放送、アナログ放送は、受信形式や機器が異なるだけで、放送されるテレビ局、チャンネルや番組内容に違いはありませんでした。

その後、2011年(平成23年)7月24日の正午、アナログ放送が完全停波(同年3月11日に発生した東日本大震災の被災地で、特例措置を受けた一部地域を除く)したことで、アナログ放送は終了し、日本の地上波テレビ放送は、地デジ放送へと転換されたのです。

地デジ放送とアナログ放送の違いは、営巣信号の送信システムにあります。

旧来のアナログ放送では、テレビの映像信号をそのまま電波の強弱に変換して送信する、文字通りアナログ形式の放送でした。

対して地デジ放送は、デジタル放送の名称通り、二進数のデータ信号、つまり「0」「1」のデジタルデータに変換した後、このデジタル信号を電波の波長に乗せて送信するのです。

このデジタル方式では、映像信号のデータを圧縮して効率的に送信できるため、従来のアナログ放送に比べて使用する周波数帯を大きく削減しながら、約4.5倍の大容量の情報を送信することが可能になっております。

そもそも、このアナログ放送から地デジ放送への転換は、1990年代より、デジタル技術の世界的な進歩により、アナログ技術からデジタル技術への転換が進んでいたこと。そして携帯電話が急激に普及したことで、それまではテレビ放送が多くを使っても問題のなかった電波の周波数帯を、大きく削減する必要が出たために行われたものです。

アナログ放送では、日本全国で放送されていたNHK、広域民放の電波では、VHF帯のうち、90MHzから108MHzのローバンド。および170MHzから222MHzのハイバンドを使用していました。

また東京都の東京MX、神奈川県のテレビ神奈川など、一部の都府県で個別に存在し、その都府県内を放送エリアとする、独立放送局の地方チャンネルでは、UHF帯のうち、470MHzから770MHzまでの周波数帯を使用していました。

一方、現在の地デジ放送では、すべてのチャンネルで、UHF帯のうち、470MHzから710MHzまでと、使用する周波数帯が大きく削減されております。

そのためテレビアンテナも、アナログ放送の時代は、NHK、広域民放のVHF放送を受信するため、日本全国で使用されたVHFアンテナと、独立放送局が存在する一部の都府県で使用された、地方チャンネルをを受信するためのUHFアンテナが設置されました。

対して現在の地デジ放送では、地デジアンテナはすべて、現在の地デジ用UHF帯を受信するためのUHFアンテナになっています。

アナログ放送から地デジ放送への転換で、実際のテレビ放送上の変化としては、アナログ放送時代のテレビは、テレビ局からの放送を一方的に視聴するだけのもので、画面解像度も、現在でいえば約640×480ピクセル、DVDの画質に相当する標準画質(SD画質)でした。

一方、地デジ放送では、電波の効率的な使用と情報の大容量化により、ハイビジョン画質(HD、2K)になり、音声もCD並みのクリアな高音質化や、2.0chステレオによる二か国語放送や副音声。5.1chサラウンドなどを実現しています。

その他にも、マルチ編成。番組表や字幕放送、データ放送。電子番組ガイド(EPG)、双方向サービスなど、多くの機能が追加され、より利便性が高まっております。

またアナログ放送の時代は、テレビ電波レベルが弱まる、ノイズ(雑音となる無関係な電波)が混じるなどすると、テレビ画面の画質が乱れました。

しかし地デジ放送では、地デジ電波に多少のノイズが混じっても、一定のレベルであれば受信機側で修復が可能なため、一定までの電波品質であれば、どこでも画像に乱れのないクリアな映像が視聴できます。

反面、アナログ放送の時代では、電波塔から距離が離れても、テレビ電波を受信できる範囲であれば、画質は劣化するものの、視聴は可能でした。しかし地デジ放送では、受信できる電波レベルや品質が一定以下になると、ブラックアウトしたテレビ画面にエラーコードが表示され、まったく視聴できなくなります。

またデジタル放送では、デジタル化された映像信望を映像へと変換するまで、一瞬の時間が必要となるため、チャンネルを変えた際などには、画面が映るまでにわずかな遅れが生じます。

これら地デジ放送の歴史、またアナログ放送時代のテレビアンテナとの違いなどについては、以下の各コラム記事にも、詳細な解説がございます。
・現在の地上波テレビ放送で地上デジタル放送が開始されたのはいつ? デジタル放送とか何か、その仕組みや特徴も全解説!
・地方チャンネル(独立放送局)とはどういうものか?
・UHFアンテナとは地デジテレビアンテナのこと? VHFアンテナとの違いや設置方法、古いアンテナや端子の交換方法も解説!
・VHFアンテナとは? UHFアンテナとは? 基礎知識とアナログテレビアンテナの問題点
・UHFアンテナとは何か? VHFアンテナとの違いやテレビアンテナ各機種について徹底解説!

UHFアンテナで地デジ電波を受信するポイントとは?

上記の通り、地デジ放送では、日本各地の要所に設置された数多くの地デジ電波塔から、周辺エリアに送信される地デジ電波(UHF)を、各住宅などに設置された地デジアンテナ(UHFアンテナ)によって受信することで、視聴できるテレビ放送です。

そのため、放送の形式やUHF波の性質、アンテナを設置する現場の条件などによって、適した地デジアンテナの機種や設置位置など、受信の条件に違いが出てきます。

この項では、主にこれら、地デジ受信のポイントについてご説明いたします。

まず地デジ放送の、より正確な仕組みとしては、日本国内をいくつかの広域圏に分け、その広域圏ごとに、例えば関東広域圏で、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の多くのエリアから、茨城県、栃木県、群馬県の一部地域にまで地デジ電波を送信する、東京スカイツリーのような大規模な電波塔「送信所(基幹局、親局)」と、その周辺に数多くの中小規模の電波塔である「中継局(サテライト局)」が設置されております。

大型の送信所は、複数の都府県にまたがる広範囲に地デジ電波を送信できますが、あまりに遠距離や、山地などで電波が遮られるエリアには十分な電波が届きません。そこで、送信所の周辺で地デジ電波が届きにくくなる要所に、衛星(サテライト)のように中継局を配置します。

中継局では、送信所や他の中継局から届く地デジ電波を受信し、電波塔の内部で増幅し、周辺エリアへ送信し直すことにより、各広域圏の隅々、ひいては日本国内の大半のエリアへと、地デジ電波を送信しているのです。

上記の通り、地デジ電波として使われるUHF波は、470MHzから710MHzまでの周波数帯で、その波長の幅は40センチから60センチ程度になります。

そしてVHF波やUHF波は、空間を伝わる際の減衰がやや大きく、視界が届く範囲での近距離通信に適していることも、上記でご説明いたしました。

この電波の到達距離は、電波塔の出力(送信する電波のエネルギー)を上げることで、ある程度はカバーできます。ただいずれにせよ、電波塔から距離が離れるほど、受信できる電波レベルが弱まることになり、また山地など電波を遮る障害物の影響もうけます。

地デジなど電波のレベル(強度)は、主に「㏈(デシベル)」正確には「dBµV」の単位で表されます。㏈とは音の強さ、電力比などを表す際にも用いられる単位で、本来はある物理量を、基準となる量との比の常用対数によって表した単位になります。

地デジ電波などの電波の場合、㏈は「1µV」を基準量とする相対量として表されます。

そしてある地デジ電波塔から発信される地デジ電波レベルについて、受信できる㏈の数値を基準にして、エリアを分類したものを「電界地域」と呼びます。

この電界地域は、地デジアンテナなどの受信レベルの基準として使用されます。ただ学会や業界などで統一された定義ではないため、場合によっては分類や基準が異なるケースもございます。

ただ一般的な分類としては、そのエリアで受信できる地デジ電波レベル(㏈)が、ほぼ80㏈以上のエリアは「強電界地域」。80㏈から60㏈のエリアは「中電界地域」。60㏈以下のエリアは「弱電界地域」に分類されます。この強・中・弱の電界地域は、電波を遮る山地などの影響を除けば、おおむね電波塔からの距離順に並んで広がることになります。

戸建て住宅に地デジアンテナを取り付ける際には、まずこの電界地域を基準に、それぞれ適した受診性能のアンテナ機種、モデルや設置位置を選ぶ必要が出てきます。

他にも、弱電界地域よりさらに遠距離などで、受信できる地デジ電波レベルが50㏈から40㏈以下の範疇になると、通常の地デジアンテナでは安定した受信が難しくなるため、電波塔の受信エリア外とされ「微弱電界地域」と呼ばれることもございます。

また日本国内には、地デジ電波がほとんど遮断される山地や山間部。電波塔から極端に離れた離島部や広大な平原など、地デジ電波を受信できないエリアも一部ながら存在し、該当するエリアは、地デジ放送の「難視聴地域」とされています。

なお、お住まいのエリアなどがどの電界地域に属するかを調べるには、インターネット上の「A-PAB(一般社団法人放送サービス高度化推進協会)」公式サイト内の「地デジ放送エリアのめやす」ページにて、日本全国各地の電波塔、また各電波塔から送信される地デジ電波を、一定レベル以上で受信できる範囲を、地図の上で確認できます。

ただ、この電界地域は、電波塔の距離と地形だけから割り出した、おおまかな受信レベルの目安にすぎません。実際にはその他にも、受信できる地デジ電波レベルに影響を与える要素がございます。

ひとつは、高層ビルなど、地デジ受信現場の周辺にある建築物などの障害物です。

上記の通り地デジ電波には、ある程度の波長の幅があるため、音に近い性質もあり、ビルなどの障害物にぶつかっても、乗り越えて向こう側で広がる性質があるため、ビルなどで電波が完全に遮られてしまうことはありません。

ただアナログ放送時代の主なテレビ電波、VHF波の波長の幅、約1.4メートルから3.3メートルに比べると、やや波長の幅が短くなっており、その分、障害物を乗り越える力が弱まっています。

そのためビルなどの障害物にぶつかった場合、その裏側に当たる直近のエリア、特にその中央部には地デジ電波が届きにくくなり、受信できるレベルが大きく低下することもあります。

同じ理由から、狭い間隔で住宅が立ち並ぶ住宅密集地などでは、遮蔽物のない屋根の上では十分な地デジ電波レベルが確保できる現場でも、家と家の間の狭い間には電波が入りにくくなり、やはり受信レベルが大きく低下します。

したがって地デジアンテナ設置の現場では、電界地域だけでなく、このような設置現場の周辺や、設置場所の受信環境も確認することが重要となります。

一方で、地デジ電波はアナログ放送の時代より波長の幅が短くなったことで、従来のテレビアンテナより小型化が可能になり、多くの新たな地デジアンテナ機種が登場することにもつながっています。

総じて地デジ電波は、電波塔の先端から、周辺へと降りそそぐような形で広がっているため、戸建て住宅などに設置される地デジアンテナは、基本的に屋根の上などできるだけ高い位置に設置する方が、受信感度が高まりやすくなります。

もうひとつ、地デジ電波レベルに影響を与える要素は、空間の気候や天候です。

ある程度、周波数帯の高い電波は、水分による減衰が生じやすくなります。そのため冬場で空気が収縮すると、地デジ電波も遠くまで届きやすくなる半面、無関係のノイズとなる電波も届きやすくなります。

逆に夏場などで空気が膨張すると、地デジ電波の届く距離が短くなるため、総合して、同じ現場であっても受信できる地デジ電波レベルは、一年を通して6㏈程度の変動が出てきます。

さらに雨や雪などの悪天候では、空間を伝わる地デジ電波が吸収されてしまうため、電界地域を問わず、全体的に地デジ電波レベルが大きく低下します。

そのため、地デジアンテナの設置に当たっては、気候や天候による地デジ電波の減衰も計算に入れて、余裕のある地デジ電波レベルを確保できるよう、地デジアンテナ機種や設置位置の選択、またブースター(増幅器)による電波レベルの増幅などを行う必要がございます。

他にも地デジ電波の性質では、空間を伝わる電波と、地面に反射して上に昇る電波の干渉(交じり合い)で、地面から高くなるにつれて、一定の間隔で電波レベルが強弱を繰り返す「ハイトパターン」。

また電波塔から送信される一般的な地デジ電波は、地面に対して水平の波長を描く「水平偏波」ですが、一部の電波塔(中継局)では、地デジ電波が携帯電話基地局からの電波などと交じり合い、受信不良や通信障害の原因となる「混信」を避けるため、地面に対し垂直の波長を描く「垂直偏波」を送信しており、地デジアンテナの側でも、設置の角度や偏波に合わせたモデルで対応する必要がございます。

なおここでご説明した地デジアンテナの特性については、以下の各コラム記事でも、それぞれ詳しくご説明しております。
・地上デジタル放送の「地デジ電波」基礎知識
・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
・徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方は?
・地デジ電波の強さと品質を示す「dB」「MER」「BER」とは何か?
・地デジの「水平偏波」「垂直偏波」の違いとは?
・地デジアンテナを設置する高さの設定で重要となるハイトパターンとは? 地デジ電波を受信するために適切なアンテナの高さとは?

地デジアンテナの特性とは?

ここでは、市販される地デジアンテナの各機種に共通する、受信性能や設置の基準など、基本的な性質についてご説明してゆきます。

素子数/素子数相当

この素子数・素子数相当とは、地デジアンテナの受信性能を決める、もっとも基本的な要素です。

素子とは地デジアンテナに設置された、地デジ電波を受信するパーツ「素子(エレメント)」のことで、素子数とは文字通り、アンテナに設置された素子の数になります。

したがって当然ながら、この素子数が多いほど、地デジアンテナの受信性能が高くなります。

素子数は、アンテナの外部に素子が露出し、素子の数を視認できる「素子アンテナ」の受信性能を示すものですが、地デジアンテナ機種には、独自の設計をもつ機器部をケースに収めて、外部から素子が見えないモデルも存在します。

このようなモデルでは、受信性能を素子数に換算した「素子数相当」で受信性能を表します。

ただ各素子数の受信性能にも、ある程度の幅があり、同じ素子数(相当)の地デジアンテナでも、素子が露出した素子アンテナ(素子数表記)は受信性能がやや高め、逆に素子が見えないアンテナ(素子数相当表記)は受信性能がやや低めになる傾向があります。

いずれにせよ地デジアンテナは、上記の各電界地域に対応した素子数(相当)のモデルが使用されます。

具体的には強電界地域では8素子以下から14素子。中電界地域では14素子から20素子。弱電界地域では20素子からそれ以上の高性能アンテナが使われます。

なお各電界地域に適した受信性能(素子数)よりも、性能の高い地デジアンテナを使った場合、ノイズとなる電波を受信しやすくなり、かえって地デジ電波の品質が低下してしまうためご注意ください。

なお素子数(相当)については、以下の各コラム記事にも解説がございます。
・テレビアンテナの性能を決める「素子」とは何か? 地デジアンテナ工事で重要な「素子数」を徹底解説!
・地デジ用テレビアンテナ工事にて設置する電界地域に最適な受信性能は「何素子数」タイプか? アンテナ機器の選び方を徹底解説!
・地デジ放送用テレビアンテナ、UHFアンテナ機種による素子数の違いとは? 高性能モデルや現場ごとに必要な素子数の機種を解説

動作利得(ゲイン)

もうひとつ、地デジアンテナの受信性能の目安となる基準が「動作利得」と呼ばれるものです。単に「利得」とも呼ばれる他、英語で「ゲイン(gain)」ということもあります。

この利得とは、電気工学では「電気回路における入力と出力の比」を指すものです。

地デジアンテナにおける動作利得は、アンテナが受信した電波に対し、出力できる電波レベルの大きさを表します。すなわち、受信した電波に対する効率の良さを示すとも言え、また地デジアンテナでも、後述する「指向性」によって、受信性能が高まるアンテナの正面側の受信感度を示す数値とも言えます。

地デジアンテナの動作利得を表す数値は「dB」ですが、この数値は「基準となるアンテナ(理論上のアンテナ、またはもっともシンプルな構造のアンテナ)」との出力レベルを比較して、その差を常用対数で表したものです。つまり動作利得が「0㏈」の場合は、基準アンテナと同性能ということになります。

この動作利得の数値は、地デジアンテナではおおよそ1㏈から16㏈程度で、実際のアンテナ機器では、何㏈から何㏈と、最小値と最大値で表記されます。ちなみに動作利得の最大値が高くとも、最小値との幅が大きいと、受信レベルが安定しなくなるため注意が必要です。

この動作利得の数値は、おおむね上記の素子数(相当)に比例しますが、同じ素子数(相当)の地デジアンテナでも、アンテナの機種や形状、指向性の違い、また対応する周波数帯などによっても変動してきます。

簡単にまとめると、動作利得とは、同じ素子数(相当)で別個の地デジアンテナ機種における、細かな受信性能の違いを判断する目安と考えればよろしいでしょう。

動作利得については、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
・地デジアンテナや無線通信用アンテナの性能を示す利得、動作利得とは何か? 素子数との違いなど地デジアンテナ基礎知識も解説

指向性

地デジアンテナの「指向性」とは、上記でも少しふれたとおり、アンテナの真正面を中心にした、一定の角度の範囲のみで受信性能を発揮し、それ以外の方向では受信感度が低くなる性質のことです。

この指向性は、アンテナの機種や受信性能ごとに異なり、正確な指標としては、地デジアンテナの受信性能が最大になる本体の真正面の角度を基準に、アンテナの角度を左右へと傾けて、受信性能が最大レベルの半分になる角度である「半値幅」で表されます。

この指向性は基本的に、素子数が多く受信性能が高い地デジアンテナほど高く(半値幅が狭く)なります。また指向性(半値幅)は、アンテナの形状や設計や形状にも影響を受け、同じ素子数(相当)の地デジアンテナでも、指向性が高い(半値幅が狭い)ほど、正面側における受信性能が高くなります。

ちなみに上記した、地デジアンテナの動作利得の基準となるアンテナは、まったく指向性がなく360度の方向に、球形のように同じ受信性能を発揮する、実在しない理論上のアンテナ「アイソトロピックアンテナ」か、二本の直線的な導線(エレメント)を左右対称に設置したもっとも単純な構造で、棒状のアンテナを中心の穴として、ドーナツのような受信性能が広がるもっとも指向性の低いアンテナである「ダイポールアンテナ(ダブレットアンテナ)」になります。

このように指向性が低いアンテナに比べて、指向性の高いアンテナは、受信性能を一方向に集中させることで受信性能を高めていると言え、その範囲が狭いほど性能が向上するともいえます。

したがって地デジアンテナは、基本的に指向性を発揮する正面側を、障害物などに影響されない位置で、近隣の地デジ電波塔へと正確に向けて設置することになります。

また受信性能を発揮する半値幅が狭い地デジアンテナは、正面側で電波塔の方向を狙い撃つ形になり、他の方向からのノイズを受信しにくくなるため、地デジ電波の品質が向上して、安定した受信性能につながることになります

地デジアンテナの指向性については、以下のコラム記事でも詳しく解説しています。
・地デジ用テレビアンテナ設置の工事で向きや角度を調整すべき方向と「指向性」の関係とは? 自分で方角を調整する方法も解説!

アンテナの材料一通り持参 アンテナ工事

現在の地デジアンテナ機種の主な種類と構造とは?

以上が、地デジ放送と地デジ電波、地デジアンテナ(UHFアンテナ)の基本的な知識になります。
ただ現在、商品として市販されている地デジアンテナにはさまざまな機種が存在し、それぞれに独自の形状や性能の特徴がございます。

ここでは、現在の主な地デジアンテナ機種について、その主な特徴や、一部の機器については、自作する際の参考となる構造などについてもご説明してゆきます。

八木式アンテナ

八木式アンテナとは、現在の地デジ用UHFアンテナでは、おもに矢印状の支柱に、短い横棒がいくつもついた、魚の骨のような形のテレビアンテナです。アナログ放送の時代から使用される古典的なアンテナであるため、テレビアンテナと言えばこの形を連想される方も多いことでしょう。

この八木式アンテナの横棒部分が、上記した「素子」にあたり、アンテナの正面側は、魚の頭、または矢印の先とは正反対の先端になり、こちらを近隣の電波塔に向けて設置することになります。

この先端から魚の頭側に近い、魚の胴に当たるいくつも素子のついた支柱部分が、地デジ電波を伝える「導波器(ディレクター)」という部分になり、この部分の素子は「導波素子」とも呼ばれます。

魚の胴に当たる部分でも、頭の側の一番端にあたる素子は「輻射器/投射器(ラジエーター)」と言い、導波器に導かれた地デジ電波を集める部分になります。この部分の素子は「給電素子」と言い、同軸ケーブルに接続された給電部という部分と一体化しており、集めた電波は、この給電部からケーブルを通じ、配線部を経由して屋内のテレビなど受信機器に送られます。

ちなみにこの輻射器と給電部のみのアンテナは、上記した動作利得の基準となる、実在するアンテナではもっともシンプルで指向性の低い「ダイポールアンテナ」になります。

そして魚の頭か矢印の先に当たる部分は「反射器(リフレクター)」にあたる部分で、この部分にもいくつも素子が設置されております。この部分の素子は「反射素子」と呼ばれるもので、導波器や放射器を通り抜けた地デジ電波を導波器の方向へと反射して受信レベルを高める。さらにアンテナ外部の正面側以外から届く、余計な電波(ノイズ)も反射して防ぐ役割があります。

このように八木式アンテナは、テレビアンテナとしては非常に基本的でシンプルな設計になっています。

その発祥は大正時代、当時の東北帝国大学(現・東北大学)教授、八木秀次博士と宇田新太郎博士の行動研究で開発されたものになります。名前の由来は特許を取得した八木博士ですが、現在では研究を実質的に主導した宇田博士の名前も冠して「八木・宇田アンテナ」の正式名称もあります。

戸建て住宅などでの八木式アンテナの基本的な設置場所は、一般の住宅街などでもよく見られる通り、専用の固定具で設置される。また住宅の付属設備として屋根の上に立つマスト(ポール、支柱)の先に固定する形になります。

他にも、平面の固定部の真横にマストを支えるアーム、L字型のマストなどが設置された、サイドベースという器具により、住宅の壁面やベランダの手すり部などに設置する。ベランダの内側空間に固定する。小型のモデルを軒先などから吊り下げるといった方法もあります。

八木式アンテナの特徴は、素子数別のモデルが豊富で、各電界地域に対応する8素子、14素子、20素子などのモデルが存在します。さらに基本的な設置位置が屋根の上などの高所であるため、地デジの受信感度が確保しやすく、地デジ受信が安定しやすくなります。

他にも八木式アンテナには、Ⅹ型の固定部の上下左右などに複数の素子を並べた高性能素子を使用し、27素子、30素子などの多素子モデルも存在するため、非常に受信性能が高く微弱電界地域でも使用できる超高性能アンテナ(パラスタックアンテナ)。

また地デジ電波のすべての周波数帯(13chから52chのすべてのチャンネル帯)を受信できる「オールチャンネルアンテナ」に対し、13chから34ch前後など低めのチャンネル帯しか受信できない、同じ素子数でも受信性能(動作利得)が高まる「ローチャンネル用」「ロー・ミドルチャンネル用」などのモデルも存在します。

さらに八木式アンテナは素子アンテナであたる。また通常モデルでも他の同素子数相当の機種に比べて指向性が高い分、アンテナ正面側の受信感度が高まり、ノイズを受信しにくくなるなどの特性があることから、地デジアンテナ各機種の中では、では、総合的にもっとも受信性能が高く、強電界地域から弱電界地域まで、幅広いエリアで安定して使用できる点が一番のメリットです。

さらに古くから使われる設計のシンプルな機種であることから、現在では八木式アンテナは、本体価格、設置費用とも、地デジアンテナ機種の中でも、もっとも低価格になっています。

水平偏波、垂直偏波についても、八木式アンテナの場合は、設置の角度を90度変えるだけで、どちらの電波にも対応できます。

このような受信性能と価格のメリットを持つ半面、八木式アンテナには、古典的なモデルであることから、現在のデザイン性の高い住宅では、住宅の見た目や周辺の景観を乱してしまうデメリットもあります。そのため景観地域などでは景観条例により設置できないこともある。アンテナの一部が隣家の敷地にはみ出す越境問題が起こることもある。屋根の上に太陽光パネルを設置する住宅では、アンテナの影で悪影響を与えるなどの問題も想定できます。

もうひとつのデメリットは、やはり形状と設置位置から、風雨や積雪、海沿いの潮風、野鳥の影響など、自然環境の影響を受けやすいため、経年劣化が進みやすく、一般的な耐用年数(寿命)が10年程度と短くなり、老朽化したアンテナではトラブルが生じやすくなる点です。

ただ自然環境への対策としては、近年の軽量化が進んだモデルや防水防サビ加工。ステンレス製。塩害用モデルや雪害用モデルなど、設計や素材、表面加工などによって対候性を高めたモデルを採用することで、ある程度、経年劣化を抑えることができます。

なお当あさひアンテナでは、八木式アンテナについて、標準機種にDXアンテナ製の高品質20素子モデル「UA20」本体をご用意し、屋根馬やマスト、支線(ステー)、同軸ケーブルなど基本的な部材と防水処理をセットにした基本設置工事を、税込み15,000円からでご案内しております。

他にも八木式アンテナでは、各素子数モデルやパラスタックアンテナから、ステンレス、塩害用、雪害用など自然環境に対応できるモデルもご用意しておりますので、さまざまな現場の受信環境、自然環境に適した設置工事をご提案できます。

なお八木式アンテナの本体や設置方法などについては、以下の各コラム記事にも詳細がございます。
・地デジテレビアンテナ界の最長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?特長や設置位置、メリット・デメリットまで解説!
・高利得、高性能な地デジ用パラスタックアンテナ徹底解説
・地デジUHFアンテナのオールチャンネル対応とローチャンネル用とは? テレビが映らない原因と受信レベルを上げる対処を解説!
・地デジ「八木式アンテナ」に適した住宅の条件とは? アンテナ設置工事の特徴や種類を徹底解説!
・屋外用地デジアンテナは八木式アンテナが最強? 人気のデザインアンテナ、ユニコーンアンテナと特徴比較&おすすめの選び方紹介
・新築戸建てのテレビアンテナ工事費用を安くできて高性能の八木式アンテナとは? アンテナ種類の選び方や業者の料金相場を解説

デザインアンテナ(平面アンテナ)

デザインアンテナとは、地デジ放送のスタート後、当初より地デジアンテナとして開発され、2009年(平成21年)頃より普及しはじめた、地デジアンテナ第二世代にあたる機種です。

デザインアンテナの名称は、後述するユニコーンアンテナなど、八木式アンテナに比べてデザイン性の高いアンテナの総称とされることもありますが、一般的には縦長の長方形で、薄いパネル状のケースに本体部を収めた地デジアンテナ(平面アンテナ)を指します。

デザインアンテナは、住宅の壁面やベランダの手すり部に設置することを前提にしたテレビアンテナで、取り付け場所に専用の固定具を設置し、アンテナ本体をはめ込む形で施工します。

また背面の中央でマストに固定されるモデルもあり、八木式アンテナと同じく、屋根の上のマストに固定されることもございます。

他にも、強電界地域で屋根や壁や地デジ電波を通しやすい。設置スペースを確保できるなどの条件が整っていれば、住宅の屋根裏空間、天井裏空間(上階と下階の間)にも設置ができます。

デザインアンテナは正面側の一面が受信性能を発揮する正面側にあたり、設置具の部分から、アンテナ本体を電波塔に向けて、左右へ角度調整する形で設置されます。

ちなみにデザインアンテナの内部構造は、各メーカーによってさまざまな工夫がなされておりますが、ある大手メーカー製、人気モデルの一例をあげると、内部の背面寄りに反射器の役割を果たす、本体に近い大きさの金属板が設置されており、その中央部で、縦の棒状に導波器と輻射器、給電部に当たる部分が並んでいます。

背面の一面にあたる金属板の反射器で反射させた地デジ電波を、導波器を通じて輻射器に集め、給電部へ送信するという構造だと考えられます。

デザインアンテナの主なモデルは、受信性能で20素子相当と26素子相当。またそれぞれのブースター内蔵モデルになります。ただ同モデルでもホワイト、ブラックやグレー、ブラウンなどのカラーバリエーションが豊富という特徴があります。

他にも素子数相当は低くなりますが、そのぶん本体が小型になり、屋外だけでなく室内設置も可能になるコンパクトモデルも存在します。

デザインアンテナは、地デジアンテナの第二機種として、八木式アンテナの弱点をカバーするアンテナモデルになります。したがってそのメリットはまず、形状や設置の位置、カラーバリエーションの豊富さから、住宅の色調に合わせることで調和して目立たず、住宅の見た目や景観に悪影響を与えない点になります。また景観地域でも使用でき、越境問題もまず起こらない。太陽光パネルにも悪影響を与えないなどのメリットもあります。

特に屋根裏空間などの屋内設置であれば、風雨など自然環境の影響をほとんどカットし、住宅の外見、外装にもまったく影響を与えない施工が可能となります。現場の条件によっては、外壁に取り付けるより高さを確保できるため、受信感度が向上する場合もあります。

さらにその形状と設置位置から、雨風や雪など自然環境を避けやすく、本体の対候性も高いことから、経年劣化が進みにくく、耐用年数(寿命)が15年から20年程度と長くなる点も大きなメリットです。

一方、デザインアンテナのデメリットは、八木式アンテナに比べて基本的な設置位置が低いため、周辺環境に影響を受けて受信感度が低くなりやすい。さらに八木式アンテナに比べると指向性が広い。素子が露出していない、オールチャンネルアンテナしか存在しないなどの要因で、同じ素子数相当でも受信性能もやや低くなるという点になります。

そのためデザインアンテナは、主に強電界地域から中電界地域向けの機種となり、弱電界地域では使用できないこともあります。さらに該当する電界地域でも、高層建築の近隣や住宅密集地の壁面など、地デジ電波が遮られやすい環境では、十分な受信感度を確保できないため、デザインアンテナを使用できないケースも出てきます。

また八木式アンテナに比べると本体価格、設置費用がやや割高になる。サイトベースを使って他の機種を壁面に設置する場合も同じですが、壁面への設置では、住宅の壁にビス穴を開ける必要があるなどの点もデメリットといえます。

なおデザインアンテナの水平偏波、垂直偏波の対応では、一部のコンパクトモデルは八木式アンテナと同じ方法で対応できることもありますが、デザインアンテナでは設置角度を変えると、デザイン性や角度調整に問題が出るため、大半が水平偏波帯専用モデルである他、垂直偏波専用モデルも存在します。

なお当あさひアンテナでは、デザインアンテナについては、DXアンテナ製の高品質20素子相当モデル「UAH201」。また強電界地域専用コンパクトモデルとして、マスプロ電工製の業界最小級モデル、スカイウォーリーミニ「U2SWLC3」をご用意しており、各カラーバリエーションのデザインアンテナ本体と基本設置具。白黒2色の同軸ケーブルなどをセットにした基本設置工事を、税込み20,000円からでご案内しております。

また弊社では、デザインアンテナの屋根裏、天井裏への設置工事も、現場の条件で可能となる場合は、追加工事費用はご無用の、基本設置工事費のみでお引き受けしております。

他にもデザインアンテナでは、26素子相当モデルやブースター内蔵モデルの他、形状が異なる横型アンテナと呼ばれるモデルなどのご用意もございますので、現場の受信環境、周辺環境などで可能な限り、デザインアンテナ設置のご要望にご対応いたします。

なおデザインアンテナ本体の特徴。屋根裏空間などを含む設置方法。デザインアンテナ設置で失敗しやすいケースとそれを避けるポイントなどについては、以下の各コラム記事で詳しい解説がございます。
・地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!
・業界最小デザインアンテナ!マスプロ電工「スカイウォーリーミニ」のメリット・デメリットとは? 失敗しない取り付け例も解説!
・デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説
・デザインアンテナ工事の失敗例とは? メリット、デメリットから取り付け費用まで解説
・地デジ用テレビアンテナ「デザインアンテナ」の失敗しない取り付け工事とは? 価格や工事費用、料金の相場や業者選びも徹底解説
・デザインアンテナ取り付けでテレビ視聴の失敗例とは? 工事の費用やメリット・デメリット、失敗しない設置方法の選び方まで解説
・地デジ放送テレビ用・デザインアンテナおすすめ機種の選び方は? 人気ランキングから業者の工事費用、価格の相場まで徹底解説!
・人気地デジアンテナ、デザインアンテナのメリットとデメリットとは? その失敗例から、適切な取り付け工事の選び方と費用を解説
・地デジや衛星放送用BS/CSテレビアンテナのベランダ設置や壁面取付の方法は? デザインアンテナ失敗例や必要な端子も解説
・壁面に設置できる地デジ用テレビアンテナとは? デザインアンテナなど壁に取り付けられる全アンテナと工事費用、失敗例など解説
・地デジ、BS/CSテレビアンテナを住宅の壁面に設置する方法とメリットや注意点とは? 壁面取付に適したアンテナ機種も解説!
・新築戸建てテレビアンテナ設置におすすめのデザインアンテナとは? アンテナ種類の比較と選び方、業者の工事費用の相場まで解説
・ブースター内蔵の屋外用地デジアンテナとは?テレビ受信レベルが低くなる原因と対処法、低い受信レベルを上げる方法や製品を解説

ユニコーンアンテナ

ユニコーンアンテナとは、マスプロ電工より2017年(平成29年)に発売された地デジアンテナモデル「U2CN」の愛称(同社の登録商標)であり、このモデルは地デジアンテナの第三世代に当たります。

ユニコーンアンテナは、長さは約67センチ、直径は12センチから14センチ程度のほぼ円筒形のアンテナ本体を持つモデルで、「ウォームホワイト(WW)」「ブロンズブラック(BB)」と、二種類の落ち着いた色彩のカラーバリエーションが存在します。

2024年現在、地デジアンテナの最新モデルであるユニコーンアンテナは、本体の下部に機種名と会社名のロゴがあり、下部のカバーが開く側が、正面側(アンテナ受信面)にあたります。このカバーの内部にマストへの固定部と、同軸ケーブルの接続端子があり、マストの先に立てる形で固定されます。

ユニコーンアンテナの設置方法は、屋根の上に建てたマストや、サイドベースを取り付けた壁面の高所、屋根の張り出し部(破風板)や、壁面の高所などの先端に取り付けられます。基本的に、ユニコーンアンテナ本体が屋根の上に出る高所へと設置されます。

ユニコーンアンテナ本体は20素子相当、水平偏波対応モデルのみで、マスプロ電工の独自モデルであるため、その詳しい内部構造は不明ですが、デザインアンテナの形状が変わったようなモデルになります。そしてその形状から、八木式アンテナとデザインアンテナのメリットを兼ね備えるモデルにもなっています。

ユニコーンアンテナのメリットは、非常にスタイリッシュな形状から、八木式アンテナのように高所に設置しても、住宅の見た目や景観に大きな悪影響を与えない点。そのため景観地域でも使用でき、越境問題も起こりにくい。太陽光パネルにも悪影響を与えにくい点。

さらに風雨や雪などを受け流しやすい形状から、自然環境にも影響を受けにくく、経年劣化が進みにくい点になります。ユニコーンアンテナは歴史の浅いモデルながら、その耐用年数(寿命)はデザインアンテナと同等の15年から20年程度と考えられています。

このようにデザインアンテナとほぼ同様のメリットを持ちながら、ユニコーンアンテナは設置位置が高くなるため、受信感度ではデザインアンテナより有利になるメリットもございます。

ユニコーンアンテナ本体の受信性能は、同じ20素子相当のデザインアンテナを、受信環境のいい壁面に設置した場合とほぼ同じになります。

ただデザインアンテナの弱点として、上記の通り、強電界地域などでも高層建築物の付近や住宅密集地の壁面など、地デジ電波が遮られる位置では設置が難しくなる点が挙げられます。

しかしユニコーンアンテナなら同じ現場でも、アンテナ本体が屋根の上に位置する形で設置できるため、デザインアンテナと同等のメリットを維持しつつ、問題なく設置できることが多くなるのです。

一方、ユニコーンアンテナのデメリットは、素子が露出していない。デザインアンテナよりさらに指向性が広く、オールチャンネルアンテナしか存在しないといった点から、同じ20素子の八木式アンテナに比べると、受信性能がやや低くなる点になります。

したがってユニコーンアンテナも、基本的には強電界地域から中電界地域向けの機種であり、弱電界地域では設置できないこともあります。

その他、現時点の最新モデルであるため、アンテナ本体価格や設置工事の費用が地デジアンテナ機種ではもっとも高額になる。純和風建築などの住宅では、アンテナのモダンなデザインが調和せず、外観に悪影響を与えることもある、などのデメリットも挙げられます。

なお、当あさひアンテナでは、各カラーのユニコーンアンテナ本体とマストなどの設置部材、同軸ケーブルなどをセットにした基本設置工事の費用を、キャンペーン価格でご案内しております。

詳しくは弊社フリーダイヤルへのお電話。または弊社公式サイトのメールフォーム、LINEアカウントまで、どうかお気軽にお問い合わせください。

ユニコーンアンテナの本体や設置方法などは、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
・ユニコーンアンテナの特徴と評判、設置工事の費用とは? 地デジ用アンテナ各機種のデザインとメリット、失敗を避ける方法を解説
・台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
・外見、寿命、性能すべて優れるテレビアンテナ・ユニコーンアンテナとは? 特徴とメリットデメリットから設置工事の料金まで紹介

室内アンテナ/屋内屋外兼用アンテナ

ここまでにご紹介した地デジアンテナ各機種は、基本的に住宅の屋外への設置を前提とした機種になります。対してこの項でご紹介するのは、室内への設置を前提としたアンテナ機種になります。

室内アンテナとは名称通り、住宅の室内で使用することのみを前提する地デジアンテナ機種です。

主な形状としては、コンパクトな形状でさまざまなデザインをもち、室内で卓上や窓際などに置いて使われる卓上型アンテナ。そしておおむね30センチ四方程度、厚さは0.5ミリ程度のプラスチック製シートのアンテナ本体を、窓や壁などに貼り付けて使用するペーパーアンテナが存在します。

どちらの機種も、アンテナ本体に付属、または一体化しているケーブルをテレビなど受信機器の地デジチューナーに接続し、適切な位置に置くだけで地デジ電波を受信できる、設置が非常に簡単なモデルとなります。

本体価格もシンプルな性能のものは1,000円台より。ブースター内蔵型などの高性能モデルも10,000円強など、非常に低価格なモデルでもあります。

したがって工事も必要なく、ご自宅で手軽にセットでき、費用もアンテナ本体価格のみと低コストで使用できる点が最大のメリットといえます。

屋外屋内兼用アンテナも、文字通り、室内と屋外の双方で使用できるアンテナになります。

モデルとしては、前述したコンパクトモデルのデザインアンテナや、独自のボックス型などスタイリッシュな形状が多く、室内アンテナに比べるとやや大型ながら、屋外設置用の各機種よりも小型になり、室内設置であれば室内アンテナ同様の手軽さになります。価格的にも、一般的な屋外用の地デジアンテナ機種に比べると、おおむね低価格です。

また風雨などにも強い構造で屋外にも設置できるため、住宅の外壁やベランダなどに設置することで、室内用アンテナよりも受信感度が高くなります。

これら室内用、屋外屋内兼用地デジアンテナのメリットは、他にも、特に室内設置であれば、住宅の見た目や周辺の景観に影響を与えない。風雨などの自然環境に影響を受けない点が挙げられます。

ただしこのような室内用、屋外屋内兼用のアンテナは、屋外設置用のアンテナに比べると、受信性能が非常に低くなります。

室内アンテナの受信性能は素子数で表記できないレベルで、ブースター内蔵型を除けば、動作利得の表記もないことが多く、ただ「強電界地域専用」であるモデルが大半になります。

したがって、受信できる電波レベルが強い強電界地域において、一台のテレビなど受信機器のみに接続できる程度の受信性能しかもちません。

また強電界地域でも、住宅の室内に届く地デジ電波レベルは減衰することが多いため、やはり周辺環境や住宅の建材などの環境によっては、室内アンテナでは十分な地デジ電波を受信できず、地デジ画面が乱れることもあります。

また屋外屋内兼用アンテナも、受信性能はおおむね3素子相当から5素子相当までのモデルが多く、やはり強電界地域専用で、中でも受信環境に恵まれた現場でしか使用できない機種になります。

基本的に室内アンテナや屋外屋内兼用アンテナは、普段はテレビを置いていない、アンテナコンセントのない場所で一時的にテレビを設置する場合。また賃貸など居住期間が限られた住まいで、テレビを一台のみ設置する場合の、簡易的な地デジアンテナに適しているといえます。

当あさひアンテナでは、室内アンテナでは、DXアンテナ社製、カラーバリエーションを含めた通常モデル「US10KB/US10WB」や、ブースター内蔵型の「US120A/US120AW」。また屋外屋内兼用アンテナでは4素子相当のDXアンテナ製ボックス型モデル「US210-P」や、前述のマスプロ電工製スカイウォーリーミニ「U2SWLC3」など、受信性能、スタイルとも多彩なモデルをご用意しております。

当あさひアンテナでは、室内アンテナや屋外屋内兼用アンテナをお求めのお客様にも、現場の電波調査(完全無料)に基づき、これらのアンテナ機種で安定した受信が可能になるかを確認した上で、現場の受信環境に適した室内アンテナや屋外屋内兼用アンテナを、低価格でご提供しております。

なお室内アンテナや屋外屋内兼用アンテナについては、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・面倒な工事も不要!2,000円で地デジ放送を楽しめる「室内アンテナ」について!
・室内アンテナの機種選びと設置の方法
・フィルム型アンテナとは何か? 地デジテレビ用でおすすめ、最強の室内アンテナの選び方。ランキングで人気の高性能商品も紹介!
・地デジ用で最強のテレビ室内アンテナを選ぶには? 平面アンテナやブースター内蔵型などおすすめ人気モデルのランキング発表!

お客様満足を大切に あさひアンテナ

地デジアンテナを自作する方法とは?

市販される主な地デジアンテナの種類は以上の通りですが、形状の違いはあれ基本的な構造は、導波器(ディレクター)と輻射器(ラジエーター)、反射器(リフレクター)から成り立っていることはご理解いただけたと思います。

そしてご自宅で地デジアンテナを自作する場合も、おおむねこの構造を基本に設計し、製作していくことになります。

自作できる地デジアンテナの種類にもいくつかありますが、以下、ご自宅で比較的、簡単に自作できる地デジアンテナを中心に、地デジアンテナの自作方法をいくつかご紹介してゆきます。

「うちわアンテナ」の作り方

まず、ご自宅にあるものや、廉価な商品を使ってもっとも簡単に自作できる地デジアンテナ、夏場に使ううちわ(団扇)を用いた「うちわアンテナ」と呼ばれるものです。

受信性能的には、もっともシンプルな室内アンテナ相当になり、強電界地域で、地デジ電波が届きやすい窓がある部屋に適した地デジアンテナになります。

製作に必要な材料、工具などは以下の通りです。

・うちわ。(素材は一般的なもの。同等の大きさや強度を持つ厚紙などでもかまいません)

・アルミホイル。(アルミ箔)

・同軸ケーブル。(一方にテレビの地デジチューナー端子へと接続できるプラグがついたもの)

・ノリや透明テープ、ハサミ、カッター、ペンチ、ニッパー、定規などの文房具。

実際の作り方は、以下の通りになります。

1:うちわ(または厚紙など)の片面の周囲に、切れ目の部分が下になったC字型になるよう、アルミホイルを糊付けします。

うちわの場合は、まずうちわの周辺にノリをつけて、全面にアルミホイルを貼った後、中央部を斬り抜くという形が作りやすいでしょう。このときアルミホイルは輪の形ではなく、きちんと下部に切れ目が入ったC字型になるよう注意してください。

2:同軸ケーブルでも、テレビに接続するプラグがない側の先端で、保護被膜(表面を覆うビニールなどのカバー部分)を数センチほど切り落とし、外部導体(内部の線を覆う細い銅線を編んだ部分)を露出させます。そしてこの外部導体と内部の線を、Y字型になるように分けます。

内部の線は、絶縁体(ポリエチレンなどでできた筒状の部分)と中心の内部導体(ケーブルでもっとも中心部の銅線)になりますので、露出した絶縁体を半分だけ切り落とすようにして、内部導体を露出させます。加工の際は、誤って外部導体や内部導体まで切断しないようご注意ください。

この同軸ケーブルは、テレビに接続した後、アンテナ(うちわ本体)の位置を、地デジ電波を受信しやすい位置に調整できる長さが必要です。ただ極端に長すぎると、ケーブルでの伝送時に地デジ電波が減衰してしまうので、アンテナを使う部屋に応じた、適切な長さを選んでください。

また一方にプラグのついた同軸ケーブルは、ケーブルとプラグを別個に購入し、手製でプラグを取り付けることもできます。

なお同軸ケーブルについては、以下の各コラム記事に、構造や種類についての詳細を解説しております。

地デジアンテナの自作に使用できる同軸ケーブルは、テレビ受信用の、インピーダンスが75Ωのもの(ケーブルに印字されている記号の「S-5C-FB」などの中央部、数字の次が「C」であるもの。「D」のものは50Ωで対応できません)。かつ、ケーブル品質が地デジ電波に対応できる製品になります。
・テレビ放送(地デジ、衛星放送BS/CS、4K8K)に合わせたテレビアンテナケーブルの種類と選び方、徹底解説!
・テレビ放送や受信機器、設置工事に合わせたアンテナケーブル(同軸ケーブル)の種類と違い、選び方を徹底解説!
・テレビアンテナとテレビを結ぶアンテナケーブル(同軸ケーブル)とは? ご家庭向けケーブルの種類と性能の違いを徹底解説!
・地デジアンテナとテレビを接続するケーブル(同軸ケーブル)とは? 衛星放送でも使えるケーブルの種類や市場や通販の価格も解説
・地デジや衛星放送のアンテナとテレビを接続するケーブルとは? 同軸ケーブルによるアンテナ配線とその工事について徹底解説!

3:Y字型になった同軸ケーブルの外部導体と内部導体の先を、うちわなどに貼ったC字型のアルミ箔の、それぞれ先端部に接触するよう、セロテープなどで貼り付けます。

4:うちわ全体を透明ガムテープなどで補強。またケーブルをビニールテープでうちわの持ち手に固定するなど、必要に応じて全体を整えればアンテナ本体は完成です。

このうちわアンテナのケーブルを、テレビの地デジチューナー端子に接続し、うちわのアンテナ本体を、窓際など地デジ電波が受信しやすい位置に調整してください。

このうちわアンテナの構造は「ループアンテナ」と呼ばれるものになります。ループアンテナは、C字型の伝導体(ここではアルミ箔)の内側に地デジ電波が通ると、伝導体に地デジ電波の映像信号である電圧が発生します。

この電圧(映像信号)を、ケーブルを通じてテレビの地デジチューナーに送ることで、地デジ放送を受信できることになるのです。

ループアンテナの構造は、デザインアンテナや室内アンテナにも応用されています。

ただ上記の通り、このうちわアンテナは、シンプルな構造で受信性能は低いものになります。したがって弱電界地域など受信できる地デジ電波が弱いエリア。また周辺の障害物などの環境から地デジ電波が弱まる現場では、使用できないこともありますのでご注意ください。

「ヘンテナ」の作り方

ご自宅で製作できる地デジアンテナとして、もう少し大掛かりなものでは「ヘンテナ」と呼ばれるものもあります。

ヘンテナとは、あるアマチュア無線家が考案した独自の自作アンテナの名称であり、基本的な構造は上記のうちわアンテナとほぼ同じループアンテナの原理になっていますが、やや大掛かりな分、受信性能が高まります。

ヘンテナの制作に必要な材料、工具などは、以下の通りになります。

・縦幅46センチ、横幅16センチの、適度な厚さ(強度)の木材。

・地デジ電波に対応でき、一方に地デジチューナーに接続できるプラグがついた同軸ケーブル。

・アルミホイル。(アルミ箔)

・ネジナット平ワッシャ2個。

・両面テープ、接着剤、キリ、のこぎり、カッター、ニッパー、ペンチ、ドライバー、定規、メジャー、ネジ、結束バンドなど、製作やケーブルの固定などに必要となる工具、部材。

ヘンテナを制作する手順は、以下の通りです。

1:まず市販の木材から、上記の46センチ×16センチの形に切り出します。

この木材がアンテナの本体部分になりますが、このサイズは地デジ電波の波長に合わせた受信性能に関係してくるので、正確に作成してください。

2:両面テープや接着剤などを使い、この木材の大枠に合わせて、漢字の「日」のような形でアルミ箔を貼ります。

アルミ箔のサイズは、上下の幅は45ミリ、左右の幅は30ミリ。そして上下のちょうど中央部に、幅15ミリの横棒部も作ります。さらにこの横棒がふたつに分かれるよう、その中心部に5ミリの切れ目を入れます。この中央の横棒部が給電部に当たります。

3:横棒の給電部、中央部を切断した両端に、ネジ穴を開け、ネジナット平ワッシャ2個をドライバーでねじ込んで固定します。

4:上記のうちわアンテナと同じ形で、同軸ケーブルのプラグと反対側を、外部導体と絶縁体、露出した内部導体に分けるようにしてY字型に分け、それぞれの先端を、上記の給電部、二か所のネジナット平ワッシャに接続します。

地デジ電波に対応できる同軸ケーブルの種類や適切な長さ、ケーブル加工などのポイントは、うちわアンテナの場合と同じになりますので、うちわアンテナの項をご確認ください。

5:必要に応じて、給電部とケーブルの接続部を透明テープで固定する。給電部に接続したケーブルの付近を、木材部に穴を開けて、金具や結束バンドなどで固定するなどして、給電部の固定が簡単には外れないよう補強すれば、アンテナ本体は完成です。

あとは完成したヘンテナを、室内で地デジアンテナを受信しやすい位置や、ベランダなどに設置して、アンテナケーブルをテレビの地デジチューナー端子に接続。安定した地デジ電波の受信で、地デジ放送が映るよう、ヘンテナ本体の位置、角度を調整してください。

「八木式アンテナ」の作り方

上記した市販の地デジアンテナと同じ構造のアンテナでは、3素子から7素子程度の八木式アンテナを自作することも、不可能ではございません。以下、簡単に材料と製法をご紹介いたします。

必要となる主な素材、工具は以下の通りです。

・素子の素材となるアルミパイプと、導波素子の芯となる、アルミパイプに通る太さの樹脂パイプ。

・アンテナの支柱となる角材。

・整合器

・整合器固定用のビス。

・端子への接続プラグ(5C接栓)がついた同軸ケーブル。

・製作に使う金属や木材を接着できる接着剤やタコ糸。

・パイプを切断、ビス穴を開けることができる工具。部材の長さを計る定規やメジャーなど。

この八木式アンテナの制作で重要となるポイントは、アルミと樹脂のパイプで「反射素子(1本)」「給電素子(1本)」「導波素子(1本から5本)」の素子を用意することです。

反射素子と導波素子は、アルミパイプを適切な長さに切断するだけでかまいませんが、給電素子には、整合器を接続するためのビス止め用の穴が必要になります。

そのため導波素子のアルミパイプは、まず必要な長さのものを、二等分する形で切断。その端の部分に、ビス止め用の穴を開け、ビスを固定。別れた二本のビス部分が内側に来るよう、中に樹脂パイプを通して、導波素子を接続します。

この導波素子のビス部に、整合器を接続します。整合器は同軸ケーブルに接続するプラグと、二股になったフィーダ線と呼ばれるケーブルがついた小型の機器であり、受信した電波(電圧)のインピーダンスを整合させる装置になります。

この整合器には「1:1整合器」と呼ばれるものを使用しますが。市販される整合器は「1:4整合器」が多いため、場合によってはこの整合器を「1:1」のものに加工する必要も出ます。

この整合器のフィーダ線にある先端の金具部と、導波素子のビス部分をそれぞれ接続すれば、アンテナの給電部が完成します。

この各素子を、左端から反射素子、給電素子、導波素子(1本から5本)の並びで、適切な間隔をとって支柱の角材に直角になるよう取り付けます。素子の長さは、角材を中心に、左右対称になるよう、タコ糸などでしっかり固定し、さらに接着剤を塗って補強します。

なお各素子の長さは、反射素子が一番長く、その横に来る給電素子は少し短い。導波素子はさらにやや短く、特に複数の導波素子を設置する場合には、給電素子から離れるほど、徐々に短くなる形で並べる必要があります。

アンテナの本体部が完成したら、住宅のベランダなど、地デジ電波を受信しやすく、取り付け作業の安全を確保できる範囲で、できるだけ高い位置に設置します。

あとは整合器のプラグ部分と同軸ケーブルの5C接栓側を接続し、もう一方をテレビなど受信機器の地デジチューナー端子に接続すれば配線が完成し、受信した地デジ電波が届くことになります。

ただ八木式アンテナの作成は、ご家庭で行う作業としてはかなり本格的な工作となり、素子数に合わせて、各素子の長さ(横幅)や、素子同士の間隔などについて、正確に組み立てた設計図が必要となります。

ここでご紹介した八木式アンテナの制作方法は、あくまで概要にすぎません。

もし八木式アンテナを自作される場合は、書籍やインターネット上のサイトなどで、まずはより正確な設計や、より詳しい製作の手順などをご確認ください。

自作したた地デジアンテナに実用性はある?

自作できる地デジアンテナの主な種類は、以上のものになります。

では、これらの地デジアンテナを、ご家庭用の地デジアンテナとして、実用上で使うことは可能なのでしょうか?

上記の通り、うちわアンテナの受信性能は非常に低く、強電界地域で受信環境に恵まれた現場でなければ受信は難しくなります。

ヘンテナはその大きさからうちわアンテナに比べれば受信性能は高くなりますが、やはり性能的には室内アンテナ相当のものと言え、安定した受信のためには、強電界地域で受信環境が高い設置の位置を割り出す必要が出てまいります。

総じてこれらのアンテナは、お子様の自由研究など、電波やテレビ放送の仕組みを学ぶための項悪には適しておりますが、実用的なアンテナとしては、低価格でもっともシンプルな室内アンテナと同等か、それ以下の受信性能となってまいります。

お住まいが強電界地域で近隣の電波塔が視認できるなど、受信環境に恵まれた現場であれば、これらの自作アンテナでも、室内アンテナの同等品として使うことも不可能ではございません。

ただうちわアンテナはともかく、ヘンテナを自作するには、ある程度の材料費が必要になることもあり、室内アンテナとしての性能やコストパフォーマンスを重視される場合であれば、品質の高い室内アンテナ製品を購入される方が確実性は高いといえます。

八木式アンテナの自作については、うちわアンテナやヘンテナに比べると、より高度な実験の工作になってくるとも言えます。

3素子から7素子の自作八木式アンテナであれば、ループアンテナの原理に比べれば、ある程度、受信感度の安定を期待できますが、やはり市販の八木式アンテナで強電界地域向けの8素子モデルよりも素子数が少なく、基本的には強電界地域で、受信環境に恵まれた地域向けになるといえます。

八木式アンテナの自作は、より手順が複雑であり、材料費などもかさむことから、やはり基本的にはアンテナや電波の仕組みを学ぶ実験向けであり、ご自宅で永続的に設置する実用的な地デジアンテナとしては、やはり市販の八木式アンテナなど、各種の地デジアンテナ機種を購入し、専門のアンテナ工事業者に設置を依頼することが安心で確実であるといえます。

衛星放送用のアンテナを自作できる?

地デジアンテナの自作方法は、上記で説明した通りです。では衛星放送用のBS/CSアンテナ、いわゆるパラボラアンテナを、ご自宅で自作することは可能なのでしょうか?

この点をご説明するため、まずは衛星放送やBS/CSアンテナの仕組みについて解説してゆきます。

衛星放送の仕組みとは?

衛星放送とはその名の通り、宇宙空間で地球のまわりを周回している、人工衛星を用いたテレビなどの放送です。

具体的には、地球の赤道軌道上、およそ36,000キロ上空を、地球の自転に同期して周回するため、地球上から見れば常に空の同じ位置に止まって見える「静止衛星」を利用しています。

この静止衛星めがけて、まず地上の放送局から、映像信号を乗せた放送電波を送信(アップリンク)します。中継器(トランスポンダ)が設置された静止衛星では、放送電波を受信した後、衛星内で異なる周波数に変換して、地球上の広範囲へと再送信(ダウンリンク)します。

この電波を、地上の住宅などに設置された衛星放送用のパラボラアンテナで受信し、テレビなどのBS/CSチューナーで映像信号を映像へと変換することで、衛星放送が視聴できます。

衛星放送の特徴は、地デジ放送に比べて、放送局と一基の静止衛星で、日本国の全域など、広範囲へ効率的に大容量の放送電波を送信できること。また地上の障害物や気候、災害などに影響を受けず、安定した放送が可能になることです。

現在の日本の衛星放送は、BS放送とCS放送の二種類に分けられ、現在はどちらもデジタル放送になっています。

BS放送は、東経110度に位置する放送衛星(Broadcast Satellite)を用いた衛星放送であり、基本的に地デジ放送と同じく、日本国内であれば、衛星放送のアンテナを設置することで誰でも視聴できる、不特定多数を対象にしたテレビ放送になります。

現在、BS放送のチャンネルには、NHK、広域民放をはじめとした無料チャンネル。および月額契約制の有料チャンネルが存在します。

CS放送は、東経110度および124度、128度に位置する通信衛星(Communication Satellite)を使う衛星放送であり、CS放送の事業者と契約を結んだ、特定の視聴者を対象としています。

現在、CS放送には東経110度の通信衛星を用いた「スカパー!」と、東経124度、128度の通信衛星を用いた「スカパー!プレミアムサービス」の二種類のサービスがあり、それぞれ別個の契約が必要になります。

CS放送はどちらのサービスもチャンネルの大半が有料チャンネルですが、BS放送以上の多チャンネルが特長で、契約した視聴者は、1チャンネル単位から好きなチャンネルを選んで契約することで視聴できます。

この放送衛星、通信衛星から地上にむけて送信される衛星放送の電波は、上記したマイクロ波のうち、センチメートル波(SHF)にあたる電波です。BS放送、CS放送でも、SHF波のうち12GHz前後の周波数帯が使われているため、衛星放送の電波は「12GHz帯」とも呼ばれます。なお12GHz帯の電波の波長の幅は、25ミリ前後になります。

上記の通り、SHF波は波長の短さから性質が光に近くなり、静止衛星から地上まで、光のようにまっすぐ届きます。イメージとしては、宇宙空間の静止衛星から、日本全域をライトで照らし出すようにして、12GHz帯の電波を送信しているような形になります。

なお2024年現在、静止衛星から送信される12GHz帯の電波には、衛星から見て右回りの螺旋状に波長を描いて進む「右旋円偏波」と、逆に左回りの螺旋で波長を描いて進む「左旋円偏波」という二種類の電波が使用されています。

右旋の電波は、衛星放送がスタートした当初からの2K(ハイビジョン)衛星放送より使われていた電波になります。

ただ2018年(平成30年)に、BS放送、CS放送にそれぞれ、より高精細画質の4K、8Kチャンネルを追加する「新4K8K衛星放送」をスタートするにあたり、従来の右旋の電波では、新規追加される4K、8Kチャンネルに割り当てることができる空きの周波数帯が不足したのです。

そこで、基幹的な放送チャンネルになる、BS放送のNHK、広域民放の4Kチャンネルに右旋の残り周波数帯を割り当てた以外は、新しく左旋の電波を導入し、その周波数帯を大半の4K、8Kチャンネルに割り当てたのです。

したがってほぼ実質的には、2K放送は右旋放送、4K8K放送は左旋放送ともいえます。

衛星放送に使用されるSHF波(12GHz帯)の特徴は、光のように直進性が強く、エネルギーを集中させやすいため、静止衛星から長距離を送信される電波に適しており、地上に設置された小型のパラポラアンテナでも受信が可能になるのです。

ただ12GHz帯のSHF波の弱点としては、光のような性質から、上記の通り障害物を乗り越える力が弱く、障害物に当たると影ができるような形になって、向こう側に届かなくなる点が挙げられます。

またSHF波はマイクロ波の中では比較的、波長が長いため雨や雪に影響を受けにくい性質をもちます。ただ12GHz帯の波長の幅(約25ミリ)に近い、大粒の雨や雪が降る豪雨、大雪では、雨や雪に12GHz帯の電波が吸収され、乱反射が起こるなどで、BS/CSアンテナ側で十分に電波を受信できなくなり、受信障害が発生します。この現象を「降雨減衰」「降雪減衰」といい、基本的な対策は天候の回復を待つことになりますが、受信性能の高いやや大型のパラボラアンテナを使うという対処もあります。

他にも、静止衛星から日本全域に12GHz帯の電波を送信する衛星放送は、電界地域が生じる地デジ放送と異なり、日本全域で安定したレベルの受信が可能となる特徴があります。

ただ、日本の中心部に比べて、静止衛星からの距離が遠くなる日本の北部、南端部、離島部などでは、距離による減衰が生じ、やはりやや大型のパラボラアンテナが必要となります。

ここでご説明した衛星放送の基礎知識や電波の性質などについては、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
・衛星放送(BS放送・CS放送)の「テレビ電波」基礎知識
・雨や雪が降るとBS、CSの衛星放送が映らなくなる原因と衛星放送用テレビアンテナを調整して映るようにする対処方法とは?

衛星放送用パラボラアンテナの仕組みと種類とは?

衛星放送用のパラボラアンテナと言えば、大きな皿のような円盤を持ち、上空に向ける形のアンテナであることは、皆様もよくご存知のことでしょう。

この皿のような円盤状の部分は「放物面反射器」または形状からそのまま「ディッシュ(dish:皿)」と呼ばれます。

このディッシュの背後に、アンテナの固定部と角度調整部。そしてその下部からディッシュの表側に伸びる金属製のアームがあります。そしてアームの先、ディッシュの中央付近には「コンバーター(変換器)」という機器が固定されています。

衛星放送用のパラボラアンテナは、このディッシュの正面を静止衛星の方向に向けて、直進的に送られてくる12GHz帯の電波を受け止め、ディッシュ中央に集中する形で反射させます。

反射した12GHz帯の電波は、コンバーターの突起部である「一次放射器」に集まります。

上記の通り、マイクロ波は周波数が高すぎるため、通常のアンテナケーブル(同軸ケーブル)で送信すると減衰が大きくなり、十分に送信することができません。

そのため、12GHz帯の電波は、まずコンバーター内で、ケーブルでの送信に適したMHz帯の電波に変換した後、コンバーターに接続された同軸ケーブルから、アンテナ配線部を経て、屋内のテレビなど受信機器のBS/CSチューナーに送信されます。

ちなみにコンバーターで変換される際、右旋円偏波は1032MHzから2072MHz。左旋円偏波は2224MHzから3224MHzの周波数帯へと変換されます。

なおコンバーターは周波数帯を変換する電子機器であるため、その作動には、ケーブル配線部に設置されたブースターの電源部、また「BS電源設定」をオンにしたテレビのBS/CSチューナー端子から給電する形で、電源が必要となります。

衛星放送用パラボラアンテナの種類では、まず一基で、静止衛星の方向が同じBS放送と110度CS放送の双方を受信できる、BS/110度CSアンテナ(BS/CSアンテナ)がもっとも一般的なアンテナになります。

他にも、124度/128度CS放送を受信するためのプレミアムサービスアンテナ専用アンテナ。また110度、124度、128度すべての静止衛星に対応するマルチアンテナも存在します。

現在のBS/110度CSアンテナは、すべて右旋と左旋の電波、双方に対応できる「2K4K8K対応」のモデルになります。ただ2018年以前に設置された古いBS/CSアンテナは、当時の右旋の電波にしか対応していない、現在は生産終了の「2K対応」モデルである場合もあります。

設置された時期が古い2K対応BS/CSアンテナの場合、新4K8K衛星放送を視聴するためには、2K4K8K対応のモデルに交換する必要が出てきます。他にもアンテナ配線部の機器、ブースターや分配器、場合によっては同軸ケーブルの品質なども、左旋の電波が変換された、やや高いMHz帯に対応できる「4K8K(3442MHz)対応」の機器へ交換の必要が出ることもありますので、ご注意ください。

BS/CSアンテナの設置方法、および設置の注意点としては、第一に、直進的な12GHz帯の電波を正面から受け止め、反射した焦点をコンバーターへと正確に集めるため、仰角(上下の角度)、方位角(左右の角度)とも、ミリ単位で正確に東経110度へ向ける必要があり、ミリ単位のわずかな角度のズレでも、受信感度が大きく低下してしまうこと。

そして第二に、遮蔽物に弱いSHF波の性質から、静止衛星が位置する東経110度の方向と、BS/CSアンテナを結ぶ12GHz帯の電波の経路に、山地や建物はもちろん、樹木やその枝葉、電柱や電線、また電波を吸収する水分を含んだ洗濯物など、わずかな障害物も存在してはならないことが挙げられます。

この二点の条件さえクリアしていれば、BS/CSアンテナの設置位置は特に選びませんが、戸建て住宅では配線をまとめやすい地デジアンテナの近くで、障害物に影響されにくく、角度調整を行いやすい屋根の上のマスト。また条件が整った位置であれば、住宅の壁面や、ベランダや窓の外の手すり部などにも設置されます。

また衛星放送の12GHz帯の電波は住宅の屋根や壁を通り抜けることはできませんが、シンプルな一枚板の透明なフロートガラスであれば、多少の減衰は生じるものの、光のように透過できます。

そのため、上記の二点の条件をクリアできる窓ガラスのある部屋であれば、BS/CSアンテナを専用の自立スタンドに立て、据え置き設置することも可能になります。

また一般家庭向けのBS/CSアンテナは、ディッシュの有効直径(12GHz帯の電波を受け止めることができる部分の直径)が45センチの「45型」になり、このサイズであれば、メーカーやモデルは異なっていても、基本的な設計や構造は同じになるため、コンバーターのわずかな性能差などを除けば、受信性能の違いはほとんど生じません。

ただ他にも、BS/CSアンテナには、同じくディッシュのサイズを示す、50型、60型、75型、90型、120型のモデルが存在し、ディッシュが大きいほど受け止められる電波の量も多くなるため、受信性能が向上します。

このような大型のBS/CSアンテナはアパートやマンションなど、集合住宅の規模に合わせた共同受信用のモデルになります。

ただ上記のように、降雨減衰、降雪減衰への対策。また距離による減衰で衛星放送の電波がやや弱まるエリア向けとして、50型から75型までの、やや大型のBS/CSアンテナが使われることもございます。

その他、45型BS/CSアンテナのバリエーションとしては、光を反射することで、太陽光への耐性が高い白色系の基本色以外に、同じく太陽光に強い塗料を使用したブラックなどのカラーバリエーション

また風雨などによる経年劣化や角度のズレを抑えるべく、ディッシュが風を通し軽量化も実現する構造や、各接合部の強化により、耐風性を高めた高耐風モデルなどがございます。

なお、当あさひアンテナでは、BS/CSアンテナの設置工事に、DXアンテナ製の45型2K4K8K対応最新モデル「BC45AS」をご用意し、地デジアンテナ各機種とセットでの設置であれば、アンテナ本体や設置具、ケーブルなどの基本部材をセットにして、税込み15,000円からでご案内しております。

他にも高耐風モデルでは、同じくDXアンテナ製、45型の2K4K8K対応モデルであり、パンチングメタル仕様のディッシュと各接合部の強化により、アンテナ本体の全方向へのブレを抑え、受信可能風速50m/s、復元可能風速60m/s、破壊風速70m/sと業界最強クラスの耐風性能を実現した「BC453SG」をご用意しており、その基本設置工事を「特別価格」でご案内いたしております。

その他のBS/CSアンテナモデルでも、黒のカラーバリエーションや各ディッシュサイズもご用意しておりますので、戸建て住宅だけでなくマンションなど集合住宅も含めて、BS/CSアンテナ設置のさまざまな現場やご要望に対応できます。

なおBS/CSアンテナの本体や設置方法などの基礎知識については、以下の各コラム記事でもそれぞれ詳細をご説明しております。
・BS/CSアンテナ(衛星放送用アンテナ)の基礎知識 ~全解説・種類や価格相場、地デジ用テレビアンテナ工事との違いとは?~
・台風対策に最適のBS/CSアンテナ設置方法とは? 究極の高耐風BS/110度CSアンテナ・DXアンテナ「BC453SG」
・BS/CSアンテナの設置方法と工事費用の目安
・衛星放送用バラボラアンテナ・BS/CSアンテナの種類と選び方とは? 地デジテレビアンテナとの違い、家屋への設置工事を解説
・衛星放送用BS/CSアンテナの種類と性能とは? 地デジテレビアンテナとの違い、設置工事の方法から機種の選び方まで解説!
・BS/110度CSアンテナで安定して衛星放送を受信できる設置の場所とアンテナの向きや角度を正確に調整する方法
・自分でDIY取り付けも可能? 衛星放送用BS/CSテレビアンテナのさまざまな設置方法と工事を行う際の注意点
・衛星放送用のBS/110度CSアンテナには電源が必要? BS/CSアンテナにテレビなどの設定で電源を供給する方法とは
・BS放送、CS放送を視聴する衛星放送用テレビアンテナを室内に設置する方法とその条件、おすすめの設置用製品とは?
・室内に衛星放送用のBS/CSアンテナを設置してBS放送、CS放送のテレビ番組を観る方法、5大チェックポイント解説!
・BS/CSアンテナ(衛星放送用)を室内に設置する方法
・住宅でBS/CSテレビアンテナを屋外の見えない位置に設置する方法は? ベランダ内などに隠して設置できる会社や注意点を解説
・BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!
・衛星放送用BS/CSテレビアンテナの寿命は何年? 取り付けから約10年後の交換工事の時期や映らなくなった時の対処法を解説

衛星放送のパラボラアンテナを自作する方法はある?

上記の通り、衛星放送用のパラボラアンテナ(BS/CSアンテナ)とは、衛星から送信される12GHz帯の電波を一点に集める形で正確に反射する放物面反射器と、その電波を受け止めてMHz帯に変換するコンバーターから成立するアンテナになります。

したがって自作するためにはこれらに該当する部品を入手、また自作する必要があります。

衛星放送が、電波の強弱で放送信号を送信するアナログ放送であった時代は、個人がディッシュに近い形状をした中華鍋などの内側にアルミホイルを貼るなどして、12GHz帯の電波を反射する放物面反射器に仕立て、その中央にコンバーターを固定することで、パラボラアンテナを自作する実験を行い、実際にある程度、衛星放送の受信に成功した例もあります。

ただ現実的には、電子機器であるコンバーターの自作は難しく、完成したコンバーターを入手する必要があるほか、その他の機材費などもかさむため、コスト的には市販のBS/CSアンテナを購入するよりも高額になることも考えられます。

特に自作のBS/CSアンテナではノイズが増えるなど精度の問題もあるため、BS/CSアンテナの自作は、あくまで趣味的な実験と言え、コスト面などのメリットは皆無と言っていいでしょう。

特にBS放送、CS放送がデジタル化されている現在、デジタル信号で送信される映像信号を、自作したBS/CSアンテナで正常に受信することは、より困難になっていると考えられます。

2024年現在、衛星放送用BS/CSアンテナを自作することは、現実的にはほぼ不可能に近いといっていいでしょう。

テレビアンテナの自作方法・まとめ

以上の通り、地デジアンテナに限れば、ご自宅で自作することも不可能ではございません。

そして手軽に制作できるうちわアンテナから、やや本格的な八木式アンテナまで、自作アンテナの受信性能もさまざまです。ただ受信性能では、どの自作アンテナも低価格な室内アンテナ相当から強電界地域向けと、十分な性能とはいえません。

そのため実用性はやや低くなりますが、お子様のおられるご家庭で、電波の性質や地デジ放送の仕組みを学ぶ、自由研究などの課題としては適しているといえます。

小中学生のお子様がおられるご家庭では、学習の一環として、ご家族でうちわアンテナやヘンテナ等の制作に挑んでみるのもよろしいのではないでしょうか?

生活空間であるご自宅にて、高品質なテレビアンテナ製品による高いクオリティの工事をお求めの際には、まずは当あさひアンテナまでご相談ください。

本文でもご説明した通り、弊社では地デジアンテナ、BS/CSアンテナの各機種やさまざまなモデル。またアンテナ配線部のブースター、分配器などの機器についても、日本三大アンテナメーカーであるマスプロ電工、DXアンテナ、日本アンテナやサン電子など、国産大手メーカー製による高品質機器をご用意しており、新規アンテナ設置から、古くなったアンテナや機器の撤去および交換まで、テレビアンテナに関する工事であれば、どのような工事でもお引き受けしております。

弊社では各メーカーから機材の直接、大量購入によるスケールメリットでの大幅値引きをはじめ、下請け業者を使わない完全自社施工。業務の効率化など、さまざまな工夫によるコストカットを、ご提供する工事の価格に還元しております。

そのため、本文でご説明した高品質テレビアンテナ本体など、使用する機材や施工の品質には一切妥協せず、高品質のテレビアンテナ工事を、業界最安に挑む価格でご案内しております。

工事に使用するアンテナや機器の本体、各種機材については公式サイトにて、メーカーや型番を明記。またアンテナ基本設置工事、各種オプション工事の価格体系もわかりやすく明記しているほか、弊社による実際の施工例もブログでご紹介しており、工事価格から実際の工事がどのような形になるかまで、お客様にも簡単にイメージしていただけるよう心がけております。

アンテナ工事の前に必要となる、現地の地デジ電波調査やお見積もりも、弊社では出張料、キャンセル料などの各種費用も含めた「完全無料・0円」で実施しております。

もちろん相見積もりにもご対応しているほか、弊社のお見積りにご納得いただければ、見積り当日の即日工事、また夜間工事にもご対応できます。

電波調査では、お住まいのさまざまな位置で、電波の強度だけでなく、品質や方向などを綿密に測定した結果に基づき、安定したテレビ電波の受信はもちろん、アンテナの外観性や対候性。使用するアンテナ機種や設置位置など、現場の条件で可能な限り、お客様のご希望に最適のアンテナ工事をご提案いたします。

アンテナ工事の施工では。経験と実績ともに豊富で、高い技術を誇る弊社スタッフのアンテナ職人が、お客様のご要望を第一に、弊社のモットー「見えないところもきれいに」に基づいて、屋外のアンテナ本体や外部配線から、屋根裏空間などの屋内アンテナ配線部まで、丁寧で見た目が整い、メンテナンスなども行いやすい工事を実践いたします。

アンテナ設置の完了後は、お住まいの各部屋でのテレビのアンテナレベル、またアンテナチェッカーによるアンテナコンセントの確認を行い、十分な電波レベルが届いていると確認できたのちに、工事の終了といたします。

工事料金のお支払いについては、現金のほかにも、各種クレジットカードや電子マネーにもご対応しておりますので、お客様には余計なお手間をおかけしません。

さらに工事完了後のアフターフォローについても、担当したアンテナ職人による自筆署名入り保証書をお渡しし、業界最長クラスとなる、施工完了日からの「10年保証」をご用意しておりますので、アンテナの設置後も、長年にわたってご安心していただけます。

地デジ、BS/CSの新規アンテナ設置をはじめ、アンテナ本体やアンテナ関連機器の交換、トラブルへの対処など、テレビアンテナに関するご相談は、まずは当あさひアンテナのフリーダイヤル。またはメールフォーム、弊社LINEアカウントまで、どのようなことでもお気軽にお寄せくださいませ。

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アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 25,000円(27,500円税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 22,000円(24,200円税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 18,000円(19,800円税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。