BS/CSアンテナの角度・向き調整を自分で行う方法!BS放送が受信できない原因や費用相場も解説
台風などの強風が通り過ぎた後に、突然、衛星放送のBS放送(CS放送含む)が映らなくなってお困りではありませんか。
BS放送などの衛星放送は、地デジとは異なる独自の番組構成が魅力ですが、せっかくのBS放送の画面にブロックノイズが出たり、特定のチャンネルが映らなくなったりすると、毎日の楽しみが奪われてしまいます。
強風によるBSアンテナトラブルではないかと見当はついても「業者に頼むと修理費が数万円はかかるのでは」とのご不安から、ご自身でアンテナの不具合を直せないかとお考えの方も多いでしょう。
実は、もしトラブルの原因が風圧によるBS/CSアンテナの角度の狂いであれば、特にアンテナの専門的な知識がなくても、無料のスマホアプリや身近な道具を使うことで、アンテナの角度調整は可能です。
本記事では、年間で約6000件以上と数多くのアンテナ工事を手がける「あさひアンテナ」の知見をもとに、BS/CSアンテナの角度のズレについて、ご自分で安く正確に調整するための手順を解説します。
記事内では作業の安全に配慮しつつ、スムーズにBSアンテナ角度調整の作業を進めるためのコツを網羅しました。
作業の具体的な手順や必要な道具から、ご自分での調整が難しい場合、業者に依頼する費用相場についてなど関連する新着情報も解説しています。
本記事を一通りお読みいただくことで、一般の方にも、BS/CSアンテナの角度を的確に調整する方法が詳しくご理解いただけます。
1. BSアンテナ角度調整の基本「仰角(上下)」と「方位角(左右)」とは?
BS放送などの衛星放送をきれいな画面で受信するためには、パラボラアンテナであるBSアンテナ(BS/CSアンテナ)の正しい向き、つまり正確な角度調整が欠かせません。
その際、必ず知っておくべきポイントが、お住まいのエリアにおけるアンテナの「仰角(ぎょうかく)」と「方位角(ほういかく)」の2点です。
この2つのBSアンテナ角度をピタリと調整することで、初めて宇宙にある人工衛星からの、衛星放送の電波を的確にキャッチできます。
アンテナの仰角・方位角それぞれの違いや役割について、以下の表にまとめました。
※上記はBS/CSアンテナで必要となる主な角度調整の種類です。
偏波角とは、BS/CSアンテナに付属し、集められた電波をキャッチして変換するコンバーターの角度調整になります。
日本のほとんどの地域では偏波角の調整は必要ありませんが、沖縄県や小笠原諸島など一部の離島でCS放送を受信する場合のみ、調整が必要となるケースもあります。
まずは、BS/CSアンテナの設置では、地域ごとにこの「上下」と「左右」の的確な組み合わせが重要であることを覚えておきましょう。
1-1. あなたの住む地域に合わせたBSアンテナ角度の目安
衛星放送の人工衛星である静止衛星は、BS放送の放送衛星、主要なCS放送の通信衛星とも、赤道上空の静止軌道と呼ばれる場所にあります。
簡単に言い換えると、BS、CSどちらの人工衛星も、赤道の上空およそ36,000キロを、地球の自転と同じ速度で回っているということです。そのためこれらの静止衛星を地上から見ると、常に空の同じ位置(東経110度にあたる南西の上空)に静止しているように見えます。
この静止衛星から日本全域に送られるデジタル衛星放送の電波は、マイクロ波でもセンチメートル波(SHF)のうち、周波数帯が12GHz帯に当たる電波で波長が25ミリ程度と短く、光のように直進性が高くなります。
この電波をキャッチするために、皿のような形の部分(ディッシュ・放物面反射器)をもつパラボラアンテナのBS/CSアンテナが必要になるのです。
パラボラアンテナはディッシュ内部の放物面(パラボラ)で直進的なSHFの電波を反射させ、ディッシュ正面に固定された一次放射器の一点に集めることで受信しているのです。
このような仕組みから、静止衛星の位置が同じBS放送、110度CS放送の電波であれば一基のパラボラアンテナでどちらも受信できます。そのため現在の衛星放送用パラボラアンテナは、ほとんどがBS・110度CS兼用のアンテナになっています。
一方でこのような仕組みから、BSアンテナの角度調整でディッシュの仰角と方位角にミリ単位でも狂いが生じると、反射した電波の焦点が一次放射器から外れてしまい、受信感度が大きく低下するのです。
そして地球は丸いため、静止衛星の位置は同じ空の一点でも、日本国内でも北に住んでいるか南に住んでいるか(緯度の違い)によって、東経110度の静止衛星を見上げる「仰角」が異なります。
さらに日本は東西に長いため、東日本から西日本まで、地域によって東経110度に向ける左右の「方位角」も大きく違ってきます。
したがって、ご自身の住む地域の東経110度に合わせた仰角と方位角を知ることが、BS/CSアンテナ取付や角度調整の第一歩です。
日本の主要都市における仰角と方位角の目安を、以下の表で確認してください。
※上記の仰角・方位角の数値はあくまで目安であり、各地域でも現場によってさらなる微調整が必須となります。
上記の一覧からも、日本国内でも北から南、東から西に行くにつれて、順を追ってBSアンテナの仰角・方位角が変化することをご理解いただけると思います。
青森や新潟、静岡や京都、岡山や鳥取など、その他の地域における適切な仰角・方位角については、インターネット検索などを利用して、より詳しい一覧をご確認ください。
1-2. 無料スマホアプリ「BSコンパス」で正確な方角を調べる方法
BSアンテナの正確な角度調整について「専門の測定器がないから無理かもしれない」と不安に感じる必要はありません。
現在は、スマートフォンのGPSやカメラ機能などを活用した便利な無料アプリが存在します。
中でも日本アンテナが無償で提供する「BSコンパス」というアプリを使えば、現在地からアンテナを向けるべき正確な方角(仰角・方位角)を簡単に割り出せます。
ダウンロード後、画面の案内に従ってスマホを動かすだけで、各エリアで画面上のアンテナを向けるべき方向が画面上のコンパスにより視覚的に分かるシステムになっています。
また、数千円で購入できる簡易型の商品「BSアンテナレベルチェッカー」を併用するのもおすすめです。
スマホアプリとレベルチェッカーのそれぞれの特徴を以下で比較しました。
※上記は各ツールの主な費用や特徴になります。
費用をかけたくない場合は、無料アプリとテレビの機能によるBSアンテナレベル画面の確認だけで十分に対応可能です。
ただテレビのアンテナレベル画面では、BS/CSアンテナを上下・左右とも少し動かしてから受信レベルに反映されるまで、数秒の開き(タイムラグ)が生じます。
そのため手元で即時にレベルが反映されるBSアンテナレベルチェッカーなどの製品に比べると、アンテナレベル画面によるBSアンテナの角度調整は微調整の繰り返しとなり、根気がいる作業になります。
2. 自分でBSアンテナの角度を調整する3つの手順と安全対策
BS/CSアンテナ角度の基本を理解したら、いよいよ実際の調整作業に入ります。
作業を始める前に、必ず工具の準備と安全対策の確認を行ってください。
BSアンテナが瓦屋根の上にあるなど、高所での作業は転落のリスクを伴うため、決して無理をしてはいけません。
以下に、BSアンテナ角度調整の作業に必要な工具と安全対策のチェックリストをまとめました。
- 必要な工具リスト
- 適切なサイズのスパナやレンチ
- スマートフォン(方位確認アプリ用)
- 安定した脚立やはしご
- 滑りにくい作業用手袋
- 安全対策の注意点
- 屋根の上などの危険な高所作業は専門業者に任せる。
- ベランダ作業でも、身を乗り出さないよう注意する。
- 万が一に備え、作業は家族などと2人以上で行う。
- 強風や雨天時は滑りやすく危険なため、絶対に作業をしない。
前述のように、BSアンテナレベルチェッカーは必須ではありませんが、用意すれば作業の手間が大幅に省けます。
安全を確保できたら、以下でご紹介する3つのステップで着実に進めていきましょう。
STEP1:準備と「仰角(上下の角度)」の仮固定
BSアンテナの角度を調整するときは、まずはアンテナの上下の角度である「仰角」から合わせます。
アンテナ本体の裏側にある取り付け金具のボルトを、スパナで少しだけ緩めてください。
締め方はアンテナを手で上下に動かせるものの、手を離してもガクッと落ちない程度の強度が理想です。
事前に調べたお住まいの地域の仰角の数値に、金具側面の目盛りを合わせます。
BS/CSアンテナによっては角度調整部に、各地域に適した仰角・方位角が記されている仕様の品もあります。
目盛りに合わせたら、再度ボルトを軽く締めて、ある程度の力で微調整できるぐらいに仮固定します。
BSアンテナの仰角を合わせる際のポイントと、よくある失敗例を表にまとめました。
※上記は最初の仰角仮固定の手順です。
この段階では、まだテレビのアンテナレベル画面を確認する必要はありません。
STEP2:アンテナレベルを見ながら「方位角(左右の角度)」をミリ単位で微調整
次に、もっとも難易度の高い「方位角(左右の角度)」の調整を行います。
アンテナを大まかに南西方向に向けたら、テレビの画面でBSアンテナレベル画面(CS兼用)を表示させます。(アンテナレベルチェッカーがある場合はアンテナとケーブルの間に接続します)
ここからは、テレビの前にアンテナレベル確認役の1人、アンテナ側に調整役の1人という2人体制で行うのがもっとも効率的です。しかしレベルチェッカーがあれば1人での作業も容易になります。
アンテナ本体のディッシュ部を両手で持ち、1度(ミリ単位)ずつ、非常にゆっくりと左右に動かします。
アンテナが電波をキャッチすると、テレビ側にアンテナレベル画面の数値が反応しますが、角度調整からテレビ画面に反映されるまで、数秒のタイムラグがあります。
アンテナレベル画面を利用する場合、方位角を少し動かしては止め、少し動かしては止めてテレビ画面を確認し、最適な角度を探す地道な作業を、あせらず繰り返すことが最大のコツです。
以下は、主な国内メーカー製のテレビにおけるアンテナレベル画面の確認方法の一覧です。
※各メーカーでもモデルや年式によってアンテナレベル画面の見方が違う場合があります。詳しくは各テレビの取扱説明書やメーカー公式サイトをご確認ください。
ご自宅のテレビでBSアンテナレベルの推奨値を超え、もっとも数値が高くなるポイントを慎重な角度調整で探り当ててください。
STEP3:受信レベルが最大になったらボルトを本固定
テレビのアンテナレベルが推奨値に達し、一番高い数値で安定する場所を見つけることができたでしょうか。
最適な方位角が決まったら、その角度がズレないようにボルトを本固定します。
この時、片方のボルトだけを一気に強く締めると、金具が歪んでアンテナの向きがズレてしまいます。
左右のボルトを交互に、少しずつ均等に締めていくのが角度を狂わせない秘訣です。
方位角を固定したら、最後に仰角をあらためて微調整し、やはりアンテナレベル画面がもっとも高く安定する位置を特定してから、同様に仰角のボルトもしっかりと本締めします。
アンテナの本固定が完了したら、以下のチェックリストで最終確認を行ってください。
- 本固定時の最終チェックリスト
- すべてのボルトがガタつきなく、しっかりと締まっているか。
- ボルトを締めた後、テレビのアンテナレベルが下がっていないか。
- 実際のBS放送(NHK BSなど)を映し、映像や音声に乱れがないか。
- アンテナケーブルが風で揺れないよう、マストに結束バンド等で固定されているか。
これで、ご自身によるBSアンテナ角度調整の作業は完了です。
3. BSアンテナの角度を調整しても映らない?原因と受信感度を改善するコツ
「時間をかけて慎重にBSアンテナの角度を調整したのに、どうしてもBSのテレビ画面がうまく映らない」
そんなときには、徒労感を覚えられるかもしれませんが、けっして動揺する必要はありません。
BSアンテナの角度調整を正しく行ってもBS放送が映らない場合、実はアンテナの角度以外に原因が潜んでいるケースも少なくはありません。
アンテナの設置環境やアンテナ以外の周辺機器に何か問題がないか、改めて見直してみましょう。
BSアンテナを的確に角度調整しても衛星放送が映らないときの原因を切り分けるため、以下で確認表を作成しました。
※上記はBS/CSアンテナの角度以外で衛星放送が映らなくなる主な要因です。
次の項目で、それぞれの原因と具体的な対処法を詳しく見ていきます。
3-1. 障害物やケーブルの接続不良など5つの原因チェックリスト
BSアンテナの角度調整(仰角・方位角)が適切でも衛星放送を受信できない場合、主に以下の5つの原因が考えられます。
ご自身の状況と照らし合わせ、セルフチェックで確認・解決できる項目を探しましょう。
※上記はBS/CS放送が映らないときの主なチェックポイントです。
衛星放送のSHFは光のように直進性が強く、長距離まで到達する半面、光が遮られて影ができるように、わずかな障害物にも遮られやすい性質があります。
そのためBS/CSアンテナの設置には、設置位置から見て東経110度の方向をふさぐ障害物がない位置を選ぶことが必須です。
また激しい悪天候で雨や雪が大粒になる場合も、雨雪が細かな障害物となって電波が吸収され乱反射を起こすことで、受信レベルが低下する「降雨減衰」「降雪減衰」が生じます。この場合の対策は、天候の回復を待つことです。
またSHFはそのままでは周波数帯が高すぎるため、アンテナケーブルで送信することができません。そのためアンテナの一次放射器と一体化したコンバーターでSHFからMHz帯に変換したのち、同軸ケーブル(アンテナケーブル)に送っています。
このコンバーターを作動させるためには、テレビなど受信機器側のBS電源設定や、コンバーター電源部からケーブルを通じてBS/CSアンテナに電源を供給する必要があります。
この電源設定が不適切な場合や、BSアンテナの寿命によりコンバーターが壊れた場合も、SHFがテレビで受信できる周波数帯に変換されないため、衛星放送を受信できないことになります。
特に、テレビなどに接続されるアンテナケーブルの緩みやテレビ側の設定ミスで衛星放送が映らないケースは非常に多いため、必ず最初にチェックしてください。
3-2. 特殊な設置方法(寝かせる等)の影響と受信感度アップの秘訣
「景観を損ねたくない」「台風の風を避けたい」という理由で、BS/CSアンテナを寝かせて設置したいと考える方もいます。
しかし、BS電波は直進性が非常に高く、少しでも障害物があると極端に弱くなります。
そのため、通常と異なる向きや、ベランダの内側に隠すようなBSアンテナの設置方法は、大幅な感度低下を招き基本的には推奨できません。
安定して受信するためには、アンテナ工事のプロによる電波状況の確認と、適切なBSアンテナ角度の調整で、電波の通り道をしっかり確保する取り組みが何より重要です。
BSアンテナの設置・角度調整にあたって受信感度を根本から改善し、アップさせるためのルールと秘訣を、以下にリストアップしました。
- 受信感度アップの秘訣
- 障害物から十分な距離をとる(1.5倍ルール)。
- アンテナの設置位置を可能な限り高くする。
- 洗濯物や伸びた樹木などが電波の通り道を遮らない場所を選ぶ。
- 劣化の少ない高品質なアンテナケーブルを使用する。
東経110度の方向にあるビルなど障害物とBSアンテナの距離については、以下の目安表を参考にしてください。
※上記は東経110度の方向に建物などの障害物が見える場合の、アンテナ設置距離の一般的な目安です。
お住まいでBS/CSアンテナの設置位置から見て、東経110度の方向がビルなどで塞がれて見える場合、まずアンテナの設置位置を起点としたビル(障害物)の高さ(高低差)と、そのビルとアンテナとの間の距離を判断することが必要です。
一般的にアンテナとビルの高低差に比べて、アンテナとビルとの距離が1.5倍以上、離れていれば、そのビルに静止衛星からの電波が遮られることはありません。
ただ日本国内でも札幌などBSアンテナの仰角が低い地域の場合は、高低差に比べて1.7倍など、やや長く距離を取る必要があります。
このように、BS/CSアンテナを設置する際、静止衛星の方向にある障害物との高低差の「1.5倍」の距離を確保することを「1.5倍ルール」といい、BS/CSアンテナ設置ルールの基本になります。
4. 自力かプロか?BSアンテナ角度調整を業者に依頼する判断基準と費用相場
ここまでBSアンテナのの角度を自力で調整する方法を総合的に解説してきましたが、無理は禁物です。
屋根の上など高所での作業に恐怖を感じられる方や、本記事の手順通りに試してもBS画面の状態が直らない場合は、迷わずプロに頼むという選択肢を持ってください。
無理な作業で怪我をしてしまったり、間違った手順によりアンテナ機器を完全に壊してしまったりしては本末転倒です。
BSアンテナ角度調整を自力で行うか、業者に依頼するかお迷いになった際の判断基準となる比較表を以下で作成しました。
※上記はDIY角度調整と業者依頼の主な比較ポイントです。
さらに、読者の皆様がもっとも気になるであろう「業者にBSアンテナ整備(角度調整)を頼んだ場合の費用相場」も以下で詳しくまとめました。
※上記は各種アンテナ調整・修理を業者に依頼した場合の主な費用目安になります。
業者にBSアンテナの角度調整などを依頼すると、作業内容によっては数万円の出費にはなりますが、確実な視聴環境と安全な作業をお金で買うと考えれば、決して高い買い物ではありません。
専門業者であれば作業後に5年以上などの長期保証を用意している場合も多く、万が一のトラブル再発についても安心できます。
いずれにせよご自宅のアンテナ状況と照らし合わせて、DIYで浮くお金と、手間や作業リスクのバランスを踏まえ、後悔のない選択をしてください。
記事まとめ:BS/CSアンテナ角度調整は適切な手順で進めれば難しくありません
この記事の内容は、いかがでしたでしょうか。
記事内ではBSアンテナの角度調整について、仰角や方位角の基本から具体的な調整作業の手順、角度を調整しても映らない時の原因チェック、そして業者依頼にかかる費用相場までを詳しく解説しました。
もしお住まいにあるBS/CSアンテナが、ベランダなどの安全な場所にあるのであれば、スマホアプリなどを活用してご自身でアンテナ角度を調整し、業者に依頼する費用を節約することも十分に可能です。
しかし、高所作業のリスクや原因不明のトラブルなどに直面した際は、けっしてご無理をなさらず専門業者を頼る勇気も必要です。
もしBS/CSアンテナの角度ズレをはじめ、各種アンテナのトラブルでお困りの際には、本記事にも取材でご協力いただいた「あさひアンテナ」へご相談されることを強くおすすめします。
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