UHFアンテナとは何か? VHFアンテナとの違いやテレビアンテナ各機種について徹底解説!
いま現在、新築のマイホームに設置する地デジ、衛星放送をお求めのため、インターネットのショッピングサイトなどを利用されている方は多いことでしょう。
ただインターネットのサイト上では、例えば「地デジアンテナ」「BS/CSアンテナ」などはわかりやすいでしょうが、ネットショップなどの商品一覧では、他にも「UHFアンテナ」「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「20素子アンテナ」など、さまざまな名称が並んでいるため、ご自宅でご覧になりたいテレビ放送や、設置したい場所などに、どのようなアンテナが適しているかわからないという方もおられるではないでしょうか?
そこで当コラムでは、まず、よく見られる名称の「UHFアンテナ」とは何か。アナログ放送の時代によく聞かれた「VHFアンテナ」とはどう違うのか。そして現在、テレビアンテナとして購入できるUHFアンテナ、およびそれ以外のアンテナで受信できるテレビ放送の種類や、それぞれの特徴をご紹介してまいります。
当コラムをご確認いただければ、インターネット上で、各種テレビアンテナの名称や表記を見ただけで、どのようなアンテナであるかをご理解いただけるようになると存じます。
「UHFアンテナ」とは地デジ用テレビアンテナのこと?
結論から申し上げると、ことテレビアンテナの世界においては「UHFアンテナ」とは「地上デジタル放送受信用のテレビアンテナ」になります。
UHFアンテナの「UHF」とは「ultra high frequency」の略であり、電波の中でも、高めの周波数帯を示す名称です。そして、UHFアンテナとは、広い意味では、そのUHFの周波数帯を受信、送信することに特化したアンテナ全般を示します。
そもそも「電波」とは、電界と磁界の影響を受けて、波長を描いて空間を光の速さで進んでいくエネルギーの波「電磁波」のうち、周波数(1秒間に描かれる波長の数)が、比較的、低いものをいいます。
電波などの周波数帯は「Hz(ヘルツ)」の単位で表され、1Hzは「1秒間に1回の波長を描く」ことを示します。一般的な単位としては、
・kHz(キロヘルツ):1kHz=1,000Hz。
・MHz(メガヘルツ):1MHz=100万Hz。
・GHz(ギガヘルツ):1GHz=10億Hz。
・THz(テラヘルツ):1THz=1兆Hz。
がよく知られております。メガやギガ、テラといった単位は、現在ではスマートフォンの通信量や、パソコンのメモリやHDD、SSDの容量としてもよく聞かれます。各単位は基本的に、前の単位の1,000倍であると考えるとわかりやすいでしょう。
そして電波は、日本の電波法においては、周波数が3THzまでの電磁波と定義されており、周波数帯ごとに、以下のように分類されています。
「超長波:VLF(very low frequency)」周波数帯3kHzから30kHz/波長の幅100kmから10km
「長波:LF(low frequency)」周波数帯30kHzから300kHz/波長の幅10kmから1km
「中波:MF(medium frequency)」周波数帯300kHzから3MHz/波長の幅1kmから100m
「短波:HF(high frequency)」周波数帯3MHzから30MHz/波長の幅100mから10m
「超短波:VHF(very high frequency)」周波数帯30MHzから300MHz/波長の幅10mから1m
「極超短波:UHF(ultra high frequency)」周波数帯300MHzから3GHz/波長の幅1mから10cm
「マイクロ波:SHF(super high frequency)」周波数帯3GHzから30GHz/波長の幅10cmから1cm
電波は周波数帯が高い(波長の数が多い)ほど、波長の幅が短くなる性質があります。
「frequency」とは「頻度、頻発」などの意味から転じて「周波数」の意味をもつ英単語です。「UHF」などの表記は、英語で「とても低い(周波数)」「低い」「中間」「高い」「とても高い」「すごく高い」「極めて高い」の頭文字を合わせたものであると、おわかりいただけるでしょう。
UHF(極超短波)とは上記の通り、300MHzから3GHzまでの周波数帯の電波となり、この周波数帯に対応するアンテナが「UHFアンテナ」です。
そして現在の地デジ放送でも、テレビ電波として、このUHF波の一部の周波数帯が使用されているため、地デジアンテナであればすべての機種が、自動的に「UHFアンテナ」になるのです。
地デジ放送や衛星放送のテレビ電波とは?
地上デジタル放送(地デジ放送)とは、日本国内の地上に設置された多数の地デジ電波塔から、地デジ電波を送る形式のテレビ放送です。
具体的には、日本国内でも、単一の広域圏である北海道を除き、複数の都道府県が含まれる「広域圏」ごとに、関東広域圏の東京スカイツリーなど、広範なエリアに地デジ電波を送る大型の電波塔「送信所(基幹局、親局)」と、その周辺で必要な位置に、衛星のように多数、設置され、送信所や他の中継局からの地デジ電波を受信して、電波塔内で増幅した後、周辺に送信する小中の電波塔「中継局(サテライト局)」といった地デジ電波塔が数多く設置されております。
このように地デジ放送は、地上の電波塔から、地上の空間を通して地デジ電波を送信するため「地上波放送(地上波テレビ放送)」と呼ばれます。これは主に衛星放送と対比する呼称です。
現在の地デジ放送では、全国で視聴できるNHKや広域民放、地方チャンネルなど、すべてのチャンネルで、UHF波(極超短波)のうち470MHzから710MHzまでの周波数帯を、地デジ電波として使用してお増す。なおその波長の幅は、およそ40センチから60センチ程度です。
戸建て住宅など地デジ受信の現場では、現場からもっとも近い地デジ電波塔に、アンテナの正面側を向ける形で地デジアンテナ(UHFアンテナ)を設置して、必要な電波レベル(電波強度)の地デジ電波を受信します。
受信された地デジ電波は、地デジアンテナから延びる同軸ケーブルを通じて、住宅内のテレビなど地デジ受信機器に届き、内蔵された地デジチューナーで電波のデジタル信号をテレビ映像に変換することで、地デジ放送が視聴できるのです。
ちなみに地デジ放送は、日本国内の不特定多数を対象にしたテレビ放送であり、特にNHKや広域民放は災害時などの非常時に緊急情報を送信する役割も持つため、日本国内であれば、地デジアンテナの設置や、フルセグ・ワンセグ機器の使用により、NHK受信料を除いて、誰もが基本的に無料で視聴することができます。
これに対して衛星放送とは、地上から約35,786キロ上空、宇宙空間の赤道軌道上に位置し、地球の自転に合わせて周回しているため、地上からは常に上空の同じ位置に見える人工衛星「静止衛星」から、地上の広範囲へと、テレビなど放送電波を送る形の放送です。
より詳しくご説明すると、衛星放送の電波は、まず地上の放送局から、上空の静止衛星へと送信(アップリンク)されます。その電波を受け止めた静止衛星は、衛星内で電波の周波数帯を変換、増幅した上で、地上の広い範囲へと送り返す(ダウンリンク)放送を行っています。
この形式により、地上にいくつもの電波塔が必要となる地デジなどの地上波放送とは異なり、衛星放送では、一基の静止衛星で、日本全域などの広域に、効率よく大容量の情報で放送を行えるのが特徴です。
さらに、地球上の建物や地形などの障害物、災害などにも影響されず、安定して放送を維持できる点もメリットといえます。
なお日本の衛星放送では、地デジ電波よりも周波数帯の高いSHF波(マイクロ波)の一種、センチメートル波のうち、周波数帯が12GHz前後の電波を送信しています。そのため衛星放送の電波は「12GHz帯」と呼ばれ、その波長の幅は25ミリ前後と非常に短いものになりです。
周波数の高い(波長の短い)電波は、その性質が光に近くなり、直進性が強くなるため、宇宙空間からの長距離を送信される衛星放送の電波に適しているのです。
日本の衛星放送では、宇宙空間の静止衛星から、ちょうど日本全体を12GHz帯のスポットライトで照らし出すような形で、電波を照射していると考えればいいでしょう。
各戸建住宅などにおける衛星放送の受信では、パラボラアンテナである衛星放送用アンテナを、上空で静止衛星が位置する方法(主に東経110度)へとアンテナ正面を正確に向け、静止衛星からの12GHz帯の電波を受け止める形で受信します。
そしてアンテナ内のコンバーターにて、ケーブルでの送信に適したMHz帯の周波数帯に変換した後、地デジ放送と同じように、同軸ケーブルを通じて、屋内のテレビなどに届けられ、BS/CSチューナーでデジタル信号をテレビ映像に変換することで、衛星放送を視聴できることになります。
なお、地デジ放送や衛星放送の仕組みや電波については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
地デジ放送、衛星放送のテレビ電波の特性とは?
ここでは、地デジ電波および、衛星放送の12GHz帯の電波の特性、およびテレビアンテナで電波を受信する際の注意点について解説します。
まず地デジ電波ですが、UHF波は比較的、周波数帯の高い電波ですが、40センチから60センチ程度とある程度の波長の幅ももつため、音のような性質も持ちます。
地デジ電波塔から送信された地デジ電波は、エネルギーの波長であるため、電波塔から距離が離れるほど電波レベルが弱まっていくほか、山地などの大きな遮蔽物にぶつかると遮られてしまいます。
そのため日本国内でも電波塔からの距離や地形の影響により、受信できる地デジ電波レベルはエリアごとに変動してきます。電波のレベルは主に「㏈(デシベル)」の単位で示されますが、この受信できる地デジ電波レベル(㏈)ごとに、日本国内の地域を分類したものを「電界地域」と呼びます。
この電界地域とは、テレビ局や地デジアンテナメーカーが受信レベルの目安として表記するものであり、統一された定義はないため、使われる場所によって基準や分類が異なる場合もあります。
ただ一般的には、地デジアンテナで受信できる地デジ電波のレベルが80㏈以上になる地域を「強電界地域」。80㏈から60㏈の範疇である地域を「中電界地域」。60㏈以下になる地域を「弱電界地域」に分類するケースが多く、それぞれの電界地域に適した受信性能をもつ地デジアンテナの機種が必要となります。
さらに弱電界地域でも、地デジ電波レベルが50㏈から40㏈以下になるエリアは、その電波を送信する電波塔の受信範囲外とされ「微弱電界地域」と呼ばれる場合もあります。
また日本国内には、地デジ電波が遮断される山地や山間部。電波塔から距離が遠い離島や原野などで、地デジ電波がほとんど受信できない地域も一部には存在し、これを地デジの「難視聴地域」と呼びます。
また電波塔から送信された地デジ電波は、音に近い性質から、高層ビルなど比較的、規模の小さい障害物にぶつかった場合、地デジ電波はその横を乗り越えた先で広がり、向こう側にも届く性質もあります。ただその場合、高層ビルの反対側ですぐ近くの一帯、特にビルの中心部などには地デジ電波が届きにくく、その一帯のみで受信できる地デジ電波レベルが大きく低下することもあります。
同じように、強電界地域にあたるエリアでも、戸建て住宅が立ち並ぶ住宅密集地では、電波が遮られない屋根の上では十分なレベルの地デジ電波レベルを受信できても、隣家との間が狭い壁面の空間には地デジ電波が届きにくくなり、やはり地デジ電波レベルが大きく低下します。
また一般の戸建て住宅であれば、建材や断熱材に電波を遮断、反射する金属などの素材が使われていなれば、地デジ電波は壁や屋根を透過して屋内まで届きます。透過の際にやや減衰(電波レベルの弱まり)は生じますが、強電界地域など現場の条件によっては、住宅の屋内において、室内アンテナや屋内への地デジアンテナ設置による地デジ受信も可能となります。
一方、衛星放送で、静止衛星から発信される12GHzの電波は、UHF波よりはるかに周波数帯が高く、その性質は光に近くなり、直進性が強くエネルギーも集中させやすいため、静止衛星から地上までまっすぐに届きます。長距離を伝わる衛星放送には、適した電波と言えます。
衛星放送の電波は、静止衛星から日本全体を12GHz帯の電波で照らし出すように送信されているため、地デジ放送のように、地域によって受信できるテレビ電波レベルに大きな差が出ず、各電界地域や難視聴地域なども存在しないため、日本全域で安定した受信が可能になります。
ただ、日本国内でも中心部に比べると、静止衛星からの距離が遠くなる北部や南端部、離島部などでは、距離による電波レベルの減衰が生じ、受信に大きな影響はないものの、受信できる衛星放送の電波レベルがやや弱まります。
他にも、衛星放送では、地上の地形や建築物などの障害物。さらには地上で発生した災害などにも影響されにくいため、日本国内のどの場所にも、安定して大容量の情報を送信できる点が、大きなメリットと言えます。
一方で、12GHz帯の電波は、その光のような性質から、地上に設置されたパラボラアンテナであるBS/CSアンテナで受信する際に、いくつかの注意点が出てまいります。
まず12GHz帯の電波は、それこそ太陽光がものにあたると遮られて影ができるように、障害物に遮断されやすく、障害物の反対側に回り込む力が弱いという点です。
そのため、衛星放送の12GHz帯の電波は、静止衛星から地上に設置されたBS/CSアンテナまで、空間を一直線に走る形で届くことになります。
そして静止衛星からBS/CSアンテナを結ぶ直線状に、山地や高層建築などはもちろん、木々やその枝葉、電線や電柱、洗濯物など、ささいな障害物があっても、12GHz帯の電波が遮られてしまい、BS/CSアンテナ側で十分な電波レベルが受信できなくなるため、受信不良が生じることもあります。
そのためBS/CSアンテナの設置に当たっては、BS/CSアンテナを静止衛星が位置する、主に東経110度、南西方向へと、アンテナのディッシュ部をミリ単位の正確さで向けること。そしてBS/CSアンテナを向けた静止衛星の方向に、12GHz帯の電波を遮る障害物が何も存在しないという点が重要となります。
またこのような性質から、衛星放送の12GHz帯の電波は、地デジ電波のUHF波とは異なり、戸建て住宅の屋根や壁にぶつかるよ完全に遮られてしまい、住宅の屋内には届きません。
したがって基本的にBS/CSアンテナの屋内設置はできませんが、唯一、ご自宅に東経110度、南西の側を向いた、一枚板のフロートガラスである大きな窓があり、また屋外の障害物などもなく窓から12GHz帯の電波が十分に差し込む環境であれば、窓際にBS/CSアンテナを、専用スタンドで据え置きすることにより、BS/CSアンテナの屋内設置が可能になるケースもあります。
その他、電波は空間を伝わるものであり、水によって減衰する性質もあるため、地上の気候や天候にもある程度の影響を受けます。
地デジ電波では、季節による気温の変化で、空気が膨張、また収縮すると、電波が遠くまで届きにくくなる、または遠くまで届く安くなる半面、無関係なノイズとなる電波も届きやすくなりという性質があります。このような機構の影響で、同じ現場でも一年を通して、受信できる地デジ電波レベルにおよそ6㏈程度の変動が生じます。
また雨や雪などの悪天候では、水分の影響で地デジ電波が減衰して、受信できる電波レベルが格段に低くなります。そのため地デジアンテナの設置には、気候や天候による地デジ電波レベルの変動を踏まえて、余裕ある地デジ受信レベルの確保が重要となります。
一方、衛星放送の電波は、その特性から、地上の気候にはさほど大きな影響は受けません。
半面、12GHz帯の電波は、その波長が25ミリ前後と短いため、通常の雨や雪などにはあまり影響はうけないものの、雨や雪の粒が、電波の波長と同じ25ミリに近くなる大雨、大雪では、電波が空中で雨や雪に吸収されてしまう。電波の乱反射が発生するなどして、BS/CSアンテナの受信レベルが低下し、衛星放送の画面が乱れる、映らなくなる受信障害「降雨減衰」「降雪減衰」が生じます。
降雨減衰などの場合、対策は天候の回復を待つことになります。また一般住宅向けで、ディッシュ部の有効直径が45センチである、45型BS/CSアンテナではなく、50型、60型、75型など、やや大型で受信性能が高いモデルを設置することで、強い雨や雪の影響を抑えることができます。
その他、特に地デジ電波には、地面からの高さにより、受信できる電波レベルの強度が波のように変動する「ハイトパターン」。地デジ電波がスマートフォンなどの電波と混信することを避けるため、一部エリアで電波塔から送信される電波の種類を変更し、地デジアンテナ側でも対応が必要となる「水平偏波」「垂直偏波」の違いなどの特性があります。
これら地デジ電波、衛星放送の電波の特性については、以下の各コラム記事で、それぞれを詳しくご説明しております。
・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
・徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方は?
・地デジ電波の強さと品質を示す「dB」「MER」「BER」とは何か?
・地デジアンテナを設置する高さの設定で重要となるハイトパターンとは? 地デジ電波を受信するために適切なアンテナの高さとは?
・雨や雪が降るとBS、CSの衛星放送が映らなくなる原因と衛星放送用テレビアンテナを調整して映るようにする対処方法とは?
VHFアンテナとアナログ放送とは?
現在、ある程度の年齢の方であれば、テレビアンテナの一種として「VHFアンテナ」という名称を聞いたことがおありでしょう。このVHFアンテナとは、現在の地デジ放送がスタートする以前、アナログ放送時代、主に使用されたテレビアンテナになります。
まずは、テレビ放送がアナログ放送からデジタル放送へ転換した経緯についてご説明いたします。
上記した地デジ放送、衛星放送とも、現在はデジタル放送になっております。地デジ放送は正式名称が「地上デジタル放送」であり、衛星放送の主な種類であるBS放送、CS放送も、現在では正確には「BSデジタル放送」「CSデジタル放送」になっております。
このデジタル放送とは、テレビ放送の映像信号を、まず「0」「1」のデジタル信号へと変換し、このデジタル信号を、電波の波長に変換して送信するという形式です。
そしてデジタル放送がスタートする以前、現在のデジタル技術が発展していなかった時代のテレビ放送は、映像信号をそのまま電波の強弱に変換して送信される方式がとられており、この方式を現在では「アナログ放送」と呼びます。
1953年(昭和28年)2月1日にスタートした、NHKの本放送からはじまる日本初のテレビ放送、地上波テレビ放送も、当時は単に「テレビ放送」と呼ばれていましたが、このアナログ放送でした。
その後、昭和から平成前半まで継続したアナログ放送ですが、20世紀末からのデジタル技術の発展により、2000年代初頭を目途に、国の主導でデジタル放送への転換が図られます。
これは、アナログ技術からデジタル技術への転換が世界的に進んでいたこと。また携帯電話の急激な普及により、それまで広い周波数帯を使用していたテレビ放送で、携帯電話用の周波数帯を確保するため、テレビ電波の周波数帯を大幅に削減する必要が出たことによるものです。
現在の地上デジタル放送は、2003年(平成15年)12月1日の午前11時より、それまでのアナログ放送と並行する形で、放送をスタートしました。
地デジ放送とアナログ放送が並行されたのは、地デジ放送の電波塔などの設備。また各ご家庭でのテレビアンテナや、テレビなど受信機器を地上デジタル放送対応のものへ交換する必要があったため、その移行期間として、しばらくの間は双方とも放送されることになったのです。
なお当時の地デジ放送、アナログ放送は、デジタル放送に対応するテレビなどの機器でも、デジタル、アナログのボタンによって切り替えることで双方を受信でき、放送されるチャンネルや番組内容には違いはありませんでした。
この移行期間は約7年半続き、2011年(平成23年)7月24日の正午にアナログ放送が終了、その後、完全に停波した(ただし東日本大震災で被災した一部地域は特例として、2012年(平成24年)3月31日までアナログ放送を継続)ことで、地上デジタル放送が、日本国内で唯一の地上波テレビ放送になったのです。
現在の地デジ放送では、NHK、広域民放、地方チャンネルなどすべてのチャンネルで、前述の通りUHF波(極超短波)のうち470MHzから770MHzまでの周波数帯を使用しており、電波の波長の幅は、およそ40センチから60センチ程度になります。
ちなみに衛星放送については、地上波テレビ放送のデジタル化よりいち早く、BS放送は2000年(平成12年)12月。CS放送は2002年(平成14年)3月にデジタル放送へと転換しています。
そして地上アナログ放送の時代、日本全国で放送される主なテレビ放送に当たるNHK、広域民放のチャンネルでは、テレビ電波として、地デジ放送のUHF波よりやや周波数帯の低いVHF波(超短波)のうち、周波数帯では90MHzから108MHzのローバンド、および170MHzから222MHzのハイバンドが使われていました。ちなみにその波長の幅は1.4メートルから3.3メートル程度でした。
また、東京都の東京MX、神奈川県のテレビ神奈川(TVK)、兵庫県のサンテレビジョン(サンテレビ)など、主な都市圏の一部都府県にて別個に存在し、広域民放とのネットワーク関係を持たず、その都府県内を放送エリアとする、独立放送局の地方チャンネルでは、現在の地デジ放送と同じUHF波でも、470MHzから770MHzまでの周波数帯を使っていました。
アナログ放送のテレビ電波を現在の地デジ放送と比較すると、VHF帯をまったく使用しなくなり、UHF帯についても、700MHz以上の周波数帯がカットされていることがおわかりになると思います。
このアナログ放送から地デジ放送への転換では、映像信号をデジタル化することにより、無駄な情報を大幅にカットできるため、使用する電波の周波数帯は大きく削減しながら、送信できる情報量は、およそ4.5倍に拡大しております。
この情報量の大容量化により、SD画質(現在のDVD画質)で、ただテレビ放送を受信するだけだったアナログ放送に比べて、地デジ放送では、映像のハイビジョン化や高音質化をはじめ、SD画質であれば同じチャンネルが同時間帯に複数の番組を放送できるマルチ編成。また番組表やデータ放送、双方向サービス、ワンセグ放送など、数々の新機能を導入できたのです。
アナログ放送時代のテレビアンテナは、屋根の上にマスト(支柱、ポール)を立てて取付を行う、魚の骨に似た形の、現在で言う「八木式アンテナ」以外は、ほとんど存在しませんでした。
そして使用された主なアンテナ機種が、アナログ放送のNHK、広域民放(VHF波)を受信するための「VHFアンテナ」になるのです。
当時のVHFアンテナは、現在の地デジアンテナとしての八木式アンテナに比べると、中心の支柱から左右対称の横棒が出た平べったい形状で、電波の波長が大きい分、やや大型のアンテナでした。
このVHFアンテナは、日本国内でテレビ放送を受信する世帯や建物の大半に設置されておりました。
そして日本国内でも、上記したUHF波の「地方チャンネル」が受信できるエリアで、地方チャンネルを視聴する場合には、VHFアンテナとは別に、地方チャンネル用の「UHFアンテナ」が設置されました。
アナログ放送時代のUHFアンテナは、受信する周波数帯が、700MHz帯でやや広くなる点を除いてほぼ一致するため、現在の地デジ用八木式アンテナと、形状や大きさはほとんど変わりません。
そしてVHFアンテナ、UHFアンテナの双方を取り付ける場合の設置方法としては、住宅でも屋根の上に建てられたマストの先端に、やや小型のUHFアンテナを設置し、そのやや下部にVHFアンテナを取り付けるという形になります。
地上波テレビ放送が完全に地デジ放送へと転換された現在、アナログ放送時代のVHFアンテナは、同じくVHF波を使用するFMラジオ用のアンテナ以外に使い道はございません。
ただUHFアンテナに関しては、対応する周波数帯に、現在の地デジ放送の周波数帯が完全に含まれることから、そのまま地デジアンテナに流用することが可能でした。そのため、アナログ放送時代に地方チャンネルが受信できたエリア(主に首都圏、中京地域、近畿地方)で、UHFアンテナを設置していた住宅などの現場では、アナログ放送時代のUHFアンテナを、そのまま地デジアンテナへと転用しているケースも珍しくはございません。2023年(令和5年)現在でも、該当するエリアではそのようなテレビアンテナを立てた住宅が多く見られます。
ただ、現在でもアナログ放送当時のUHFアンテナを使用し続けることには、大きな問題がいくつか出てまいります。
ひとつは、2023年現在では、アナログ放送時代から使用されるテレビアンテナは、最低でも設置から20年以上が過ぎており、場合によっては設置から30年、40年以上であることも考えられ、かなりの老朽化が予想されるという点です。
地方チャンネルが受信できるエリアにお住まいの方であれば、近隣の住宅で、屋根の上のマストに、アナログ放送時代のものである小型のUHFアンテナと、その下にやや大きく平坦なVHFアンテナが設置されている光景を見ることができるでしょう。しかしそのアンテナは、全体がさび付いている。マストが傾いている。よく見ると部分的な破損が見られる。またアンテナを固定する支線(ワイヤー)でも一部の線が切れているといった状態ではないでしょうか?
アナログ放送当時のテレビアンテナは、現在ほど技術が進んでおらず、防サビ性能などの対候性が低いこともあり、現在ではかなりの老朽化が進んでおり、いつ受信不良などの故障。ひいては強風や地震などの際に屋根の上で倒壊、さらには落下するといったトラブルが生じるかわかりません。
屋根の上でアンテナが倒れた場合には屋根材の破損。落下した場合には大変な人身、物損事故を招くといった問題も想定されます。
さらに、アナログ時代のUHFアンテナは、地デジ放送の周波数帯に合わせた地デジ用UHFアンテナとは異なり、地デジで使用されない711MHzから770MHzの電波も受信してしまいます。
そのため、特にこの周波数帯が使用されるスマートフォンなどの基地局の付近では、アナログ放送時代のUHFアンテナがこのような電波を受信してしまい、さらにテレビ電波を増幅するブースターがこの電波を増幅することで、地デジ放送の受信不良が発生し、地デジ放送が正常に映らなくなる「700MHz受信障害」が発生する恐れがあります。
この700MHz受信障害が発生する可能性のある地域では、携帯電話などの通信事業者による「一般社団法人700MHz利用推進協会」による対策の活動がとられており、そのリスクがあるお住まいでは、同協会より、無償で700MHz受信障害を予防する対策の工事を受けることができます。
ただいずれにせよ、アナログ放送時代のテレビアンテナを使用しているお住まいでは、現在も地デジ受信に問題はない場合でも、今後のトラブルが予想されるため、最新型の地デジアンテナへの早急な交換をおすすめいたします。
日本の地上波テレビ放送の歴史、アナログ放送用(VHF/UHFアンテナ)と地デジ放送用(UHFアンテナ)のテレビアンテナの違い、700MHz受信障害などについては、以下のコラム記事にも詳しい解説がございます。
・現在の地上波テレビ放送で地上デジタル放送が開始されたのはいつ? デジタル放送とか何か、その仕組みや特徴も全解説!
・VHFアンテナとは? UHFアンテナとは? 基礎知識とアナログテレビアンテナの問題点
・UHFアンテナとは地デジテレビアンテナのこと? VHFアンテナとの違いや設置方法、古いアンテナや端子の交換方法も解説!
UHFアンテナをはじめとするテレビアンテナの各種類とは?
以下では、現在、戸建て住宅などで使用される主なUHFアンテナ(地デジアンテナ)各機種および、参考までに衛星放送用アンテナの種類と、各機種でもメーカーや性能、特性別の、モデルの種類や名称について解説してゆきます。
以下の解説をご参照いただければ、地デジ用UHFアンテナ各機種の違いから、各機種内に存在するモデルの違いまでご理解いただけ、メーカーカタログなどのアンテナの名称から、おおよそどのような機種がご判断いただけるようになることと存じます。
地デジ用UHFアンテナ:八木式アンテナとは?
「八木式アンテナ」とは、上記でも少しご説明した通り、いまからおよそ百年前、大正時代にあたる1920年代に、当時、東北帝国大学(現:東北大学)に所属していた、八木秀次博士、宇田新太郎博士の共同研究によって開発され、アナログ放送時代からテレビアンテナとして利用されてきた、古典的なアンテナです。
地デジアンテナとしても第一世代にあたる八木式アンテナは、八木秀次博士に基づく名称であり「八木アンテナ」とも呼ばれる他、現在では実質的に研究を主導した宇田博士の名前も入れた「八木・宇田アンテナ」の正式名称。また「指向性短波アンテナ」という呼称もありますが、地デジアンテナ製品としてこの名称が使われることは少なくなります。
地デジアンテナ商品としての八木式アンテナは、そのままの名称が商品名になっているほか、後述する「UHFデザインアンテナ(平面アンテナ)」と対比する場合には、単に「(地デジ用)UHFアンテナ」と呼ばれることもあります。
UHFアンテナ(地デジアンテナ)としての八木式アンテナは、矢印型の支柱に、短い横棒がいくつも並ぶ、魚の骨のような形になります。ちなみにアンテナの前方は、矢印(魚の頭)とは反対側の先端になります。
戸建て住宅に八木式アンテナを設置する場合は、一般的に、住宅の屋根の上に、屋根馬という四脚の器具を使ってマストを立て、八木式アンテナを取り付けた後、屋根の四方からマストや屋根馬にステンレスワイヤーなどのステー(支線)を張って固定する形になります。
他にも、横に突き出したアームにマストを直立させるサイドベースという器具で、住宅の壁面やベランダの手すりに設置する。ベランダ内部に固定する。小型モデルを軒先やベランダの屋根から吊り下げるといった方法もあります。
八木式アンテナの特徴は、詳しくは後述しますが、素子数別のモデルや高性能モデルが存在するため、モデルによって受信性能が幅広く、強電界地域から弱電界地域、地デジ電波が弱いエリアまで、さまざまな地域に対応できること。
また基本的なアンテナの設置位置が、障害物に影響を受けにくく、受信感度が高まる屋根の上などの高所である。素子アンテナである。地デジアンテナの中でも指向性が高い。ローチャンネルアンテナなどの存在で、総合的に地デジアンテナ各機種の中では、受信性能がもっとも高くなることが特長です。
さらにシンプルな設計で長期にわたって使われ続ける古典的なテレビアンテナであるため、アンテナ本体価格や設置費用が、地デジアンテナの中ではもっとも低価格になります。
一方で八木式アンテナには、古典的な形状で、戸建て住宅では基本的に屋根の上に立てられることから、目立ってしまい住宅の外観性や周辺の景観を乱してしまう。そして風雨や雪、海沿いの潮風などの自然環境にも影響されやすくなり、経年劣化が進みやすいため、地デジアンテナ機種の中では耐用年数(寿命)が10年程度と短くなるといったデメリットがあります。
なお八木式アンテナは、各メーカーなどで標記に使用される商品名。また性能や特徴の違いによる主な名称として、以下のようなものが存在します。
・8/14/20素子UHFアンテナ
これは、アンテナの製品名としては「八木式アンテナ14素子」「UHF20素子アンテナ」など、アンテナ名に織り込まれる数値であり、八木式アンテナ各モデルの「素子数」を表します。
「素子」とは「エレメント」とも言い、地デジ電波を受信するパーツであり、八木式アンテナでは短い横棒に当たる部分です。
八木式アンテナには、主に強電界地域向けの「8素子」。中電界地域向けの「14素子」。中電界地域から弱電界地域向け「20素子」など、それぞれ受信性能が異なり、各電界地域に合わせた素子数のモデルが存在します。なお素子数が多いほど、アンテナ本体も大型になってゆきます。
中でも特に20素子アンテナは、受信レベルを調整することにより、実際には幅広いエリアで使用できることが多くなります。ただ基本的に、各電界地域に適した機種より受信性能が高いモデルを使用すると、ノイズまで受信しやすくなり、かえって受信トラブルの原因になるため注意が必要です。
特に八木式アンテナは、素子が露出しているため外見から素子数が確認できて、受信感度も高まりやすい「素子アンテナ」であるという点も特長です。
なおアンテナの素子数や、アンテナの受信性能を示すもうひとつの基準「動作利得(利得、ゲイン)」。また地デジアンテナの正面方向、一定の範囲でのみ受信性能を発揮し、その範囲(半値幅)が狭いほど受信性能が高まる「指向性」などについては、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
・テレビアンテナの性能を決める「素子」とは何か? 地デジアンテナ工事で重要な「素子数」を徹底解説!
・地デジ用テレビアンテナ工事にて設置する電界地域に最適な受信性能は「何素子数」タイプか? アンテナ機器の選び方を徹底解説!
・地デジ放送用テレビアンテナ、UHFアンテナ機種による素子数の違いとは? 高性能モデルや現場ごとに必要な素子数の機種を解説
・地デジアンテナや無線通信用アンテナの性能を示す利得、動作利得とは何か? 素子数との違いなど地デジアンテナ基礎知識も解説
・地デジのテレビアンテナで受信できる方向は指向性で決まる? アプリでアンテナの方向調整に最適な角度を調べる方法も徹底解説!
・地デジ用テレビアンテナ設置の工事で向きや角度を調整すべき方向と「指向性」の関係とは? 自分で方角を調整する方法も解説!
・パラスタックアンテナ/高性能型UHFアンテナ
これは、基本的な構造は八木式アンテナながら、X字型などの器具の上下に複数の素子部品を設置した「高性能素子」を使用して、より受信性能を向上させた地デジアンテナになります。
個々の素子が高性能であることに加え、このモデルには14素子や20素子の他、27素子、30素子のモデルも存在するため、高性能機種では通常型の八木式アンテナを四基程度、並べたのと同等の受信性能を発揮します。また5素子程度でも通常の14素子モデルに近い受信性能をもつため、アンテナ本体の小型化にも利用されます。
パラスタックアンテナは、受信性能の高さから、地デジ電波塔の受信圏外にあたる微弱電界地域でも、安定した地デジ受信を実現できるのが特徴です。
ただ一方で、本体が大型化して重量も増す。さらに高性能の分、指向性も鋭くなるため、風雨など自然環境により影響を受けやすくなり、角度のズレによる受信性能の低下が起こりやすくなるデメリットもあるため、注意が必要です。
また高性能である分、価格も、通常の八木式アンテナに比べると高額になってまいります。
パラスタックアンテナについては、以下のコラムでも詳しくご説明しております。
・オールチャンネルアンテナ/ローチャンネルアンテナ
現在の地デジ放送では、地デジ電波であるUHF波の、470MHzから710MHzの周波数帯を6MHzずつ、13chから52chの40チャンネル(ch)に分けており、日本国内の各地域に存在する、地デジ放送の各テレビ局に、1チャンネルずつ割り当てています。
テレビで各放送局を視聴する際に、リモコンなどで合わせるチャンネル番号とは、この周波数帯のチャンネルに由来する「物理チャンネル」と呼ばれるもので、その番号も周波数帯を数字化したものになります。
チャンネルの番号は小さい順から低い周波数帯に対応しているため、13chから34ch、36ch程度までを「ローチャンネル帯」。34ch前後から44ch前後を「ミドルチャンネル帯」。45ch前後から52chまでを「ハイチャンネル帯」と呼ぶこともあります。
そして現在の地デジアンテナモデルは、大半が地デジ電波の全周波数帯である470MHzから710MHzまで、チャンネル帯では13chから52chまでのすべてを受信できる「オールチャンネルアンテナ(オールチャンネル用)」になります。
ただ実際の地デジ放送では、実際に使用されるチャンネル数は多くとも10程度で、40チャンネルすべてが使用されることはございません。そして日本国内では、一部を除く多くのエリアで、放送されるテレビのチャンネル(周波数帯)に、ローチャンネル帯のみが使われております。
そのため、このようなエリアに対応できる地デジアンテナとして「ローチャンネルアンテナ(ローチャンネル用)」が存在するのです。これは文字通り、ローチャンネル帯の地デジ電波のみを受信するアンテナ機種になります。実際に受信できるチャンネル帯は、メーカー、モデルによっても異なりますが、おおむね13chからはじまり、34chから36chまでなります。
このように受信できるチャンネル帯が少ないアンテナは、オールチャンネルアンテナに比べて、対応できるチャンネル帯の受信感度が高くなるのです。
したがって、地デジ放送にローチャンネル帯のみが使用されるエリアであれば、ローチャンネル用の八木式アンテナを使用することにより、アンテナの価格や外観はオールチャンネルアンテナとほぼ同様で、より受信性能の高いアンテナを利用できることになります。
他にも数は少ないながら、ローチャンネル帯とミドルチャンネル帯を受信できるロー・ミドルチャンネル用アンテナ。ハイチャンネル帯を受信できるハイチャンネル用アンテナなども存在します。
なお、ローチャンネル用などのアンテナが存在するのは八木式アンテナのみで、デザインアンテナ、ユニコーンアンテナなどの他機種は、すべてオールチャンネルアンテナになります。
この点も、八木式アンテナの受信性能が高くなる要因と言えます。
ローチャンネルアンテナやオールチャンネルアンテナについては、以下のコラム記事でも詳細を解説しております。
・地デジUHFアンテナのオールチャンネル対応とローチャンネル用とは? テレビが映らない原因と受信レベルを上げる対処を解説!
・ステンレス/防錆処理/耐久型/雪害用/塩害用アンテナ
上記の通り八木式アンテナの弱点は、風雨や積雪、潮風などの影響を受けやすく、老朽化しやすいという点になります。特に台風銀座や豪雪地帯などでは、八木式アンテナにとっては環境が厳しく、実質的な寿命が10年以下になることも珍しくありません。
八木式アンテナの寿命を長くするには、壁面やベランダの内外など、設置位置を選ぶこともひとつの方法です。ただこの場合、アンテナが目立たなくなるメリットも出る一方で、屋根の上に比べると設置位置が低くなる分、地デジの受信感度も低くなるためご注意ください。
そのため現在では八木式アンテナでも、通常モデルでも軽量化や防サビ性能を高めているほか、素材や設計の改良により、自然環境への対策を施したモデルが多くなっております。
例えばステンレス製は防サビ性能の向上やさまざまな腐食に強くなる他、溶融亜鉛メッキ仕様などで、よりサビに強い処理を施した塩害用モデル。本体や取り付け金具の強化、素子を短くするなどの工夫で積雪などへの対策を施した雪害用モデルなども存在します。
自然環境の厳しいエリアでも、設置する現場の環境に合わせて、このような耐久性に優れた八木式アンテナモデルを採用することで、屋根の上への設置でも、その寿命が十数年程度に伸びることが期待できます。
なおステンレスや耐久型、塩害型などのモデル名は、メーカーによって異なり、呼称は異なっても実際の設計、素材などはほぼ同様の場合がございます。各モデルの詳細は、実際のカタログやスペック表などをご確認ください、
なお、地デジアンテナをはじめとするテレビアンテナが、自然環境によって受けるダメージやトラブルと、その対処法などについては、以下の各コラム記事でそれぞれ詳しく解説しております。
・地デジ、BS/CSテレビアンテナの落雷や積雪、鳥の糞害対策は? 映らなくなる原因と防止法、対策となる設置工事
・台風や大雪、地震により起こりえるテレビアンテナのトラブルとその対策
・屋根の上でテレビアンテナが倒れたときのアンテナ修理工事(前編・原因と対処)
・屋根の上でテレビアンテナが倒れたときのアンテナ修理工事(後編・修理と対策)
・地デジや衛星放送のテレビアンテナが折れた、倒れたといったトラブルが起こる原因と早急な修理を行うための工事方法を徹底解説!
・BL型UHFアンテナ
八木式アンテナや、後述するBS/CSアンテナの製品には「BL型」「BL」などの表記があるモデルも存在します。
このBLとは「BL部品」のことです。BL部品とは「Better Living」の略であり、直訳すれば「より良い生活のための部品」になります。
BL部品は「一般財団法人ベターリビング」により、性能や耐久性、安全性、アフターサービスなど、厳しい基準を満たした製品「優良住宅部品」と認定された商品(部品)に与えられる呼び名で、ロゴマークも存在します。
アンテナ関係では、アンテナ本体から、ブースターや分配器、アンテナケーブルなど、関連機器全般にBL部品が存在します。なおアンテナ関係の機器では、BL部品は学校や市町村役所、図書館や公民館など、公共施設のテレビ設備における基本的な仕様であり、一般の戸建住宅をはじめ、民間の建築物ではあまり使用されません。またBL部品はアンテナ関係に限らず、建築物に使用されるさまざまな部品が認定の対象となっています。
なお、BL部品に該当するテレビアンテナは、基本的に共同受信用となるため、大型の八木式アンテナ、BS/CSアンテナが中心になります。
八木式アンテナでも主な各製品の呼称は、以上の通りになります。
なお当あさひアンテナでは、日本三大アンテナメーカーのひとつ、DXアンテナ製で、軽量で耐風性も高い高品質20素子八木式アンテナ「UA20」本体と、屋根馬やマストなど基本設置具。同軸ケーブル、防水処理をセットにして、アンテナ設置とケーブルのみの配線を行う基本設置工事を「15,000円(税込み)」からでお引き受けしております。
他にも、各素子数の八木式アンテナモデルや高性能パラスタックアンテナ。またステンレス製や雪害用、塩害用など各種モデルもご用意しておりますので、各電界地域や地域の自然環境まで、さまざまな現場にご対応が可能です。
八木式アンテナの特徴や設置方法などは、詳しくは以下の各コラム記事でもご説明しております。
・地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
・地デジ「八木式アンテナ」に適した住宅の条件とは? アンテナ設置工事の特徴や種類を徹底解説!
・屋外用地デジアンテナは八木式アンテナが最強? 人気のデザインアンテナ、ユニコーンアンテナと特徴比較&おすすめの選び方紹介
・新築戸建てのテレビアンテナ工事費用を安くできて高性能の八木式アンテナとは? アンテナ種類の選び方や業者の料金相場を解説
地デジ用UHFアンテナ:デザインアンテナとは?
「デザインアンテナ」とは、アナログ放送と地デジ放送が並行されていた移行期間の間、2009年(平成21年)頃に普及しはじめた、地デジアンテナとして開発されたテレビアンテナで、地デジアンテナでは第二世代にあたるモデルです。
地デジ化によってアナログ放送時代より電波の波長が短くなったことにより実現したモデルで、主に縦長の長方形である平面パネルのような形状で、縦に60センチ前後、横は20センチ以上から25センチ前後。厚みは設置具を含めて十数センチ程度のモデルが多くなります。
具体的なサイズはメーカーやモデル、特に受信性能によって異なりますが、同モデルでも、カラーバリエーションが豊富な特徴もあります。
デザインアンテナは、従来の八木式アンテナの弱点をカバーすべく開発された地デジアンテナであり、主な設置位置は、住宅の外壁やベランダの手すり部に専用の設置具を取り付け、デザインアンテナ本体をはめ込む形になります。他にも八木式アンテナと同じく、屋根の上やその他の位置に固定されたマストに取り付けられるモデルも存在します。
他にも、強電界地域で住宅の建材などの条件が整い、屋内に十分な地デジ電波が届く、設置スペースが確保できる現場であれば、屋根裏空間や天井裏空間などにデザインアンテナを設置する。またコンパクトモデルを窓際に据え置き設置する方法もあります。
デザインアンテナの名称は、八木式アンテナに比べてデザイン性に配慮したアンテナであることからそう呼ばれますが、この名称とは、広義には、後述するユニコーンアンテナや横型アンテナ、また各種の屋外屋内兼用アンテナなど、デザイン性の高いテレビアンテナの総称としても用いられます。
特に平面状のデザインアンテナを指す場合には「UHF平面アンテナ」などの他「薄型アンテナ」「壁面アンテナ」「薄型アンテナ」「フラットアンテナ」「ボックスアンテナ」「ケースアンテナ」など、メーカーや販売店によってさまざまな名称が存在します。
平面アンテナとしてのデザインアンテナは、基本的に戸建て住宅用であり、そのメリットは、形状や設置位置、本体色の豊富さなどにより、住宅の外観や周辺の景観などへの影響が少ない点。また風雨や雪などの自然環境にも影響を受けにくいため、経年劣化を抑えられて耐用年数(寿命)が延びる点です。
デザインアンテナの寿命は、通常の屋外設置で15年から20年程度になります。また前述した屋内空間への設置では、住宅の外観などにまったく影響を与えない上、アンテナ本体も風雨などにさらされなくなるため、より長寿命が期待できます。
一方でデザインアンテナのデメリットは、素子が外装に隠れて露出していない。素子が露出していない。オールチャンネルアンテナしか存在しない。指向性がやや広い。そして特に主な設置位置が壁面などで屋根の上より低くなるといった点から、地デジ電波を遮断する周辺の建築物などにも影響されやすくなり、八木式アンテナに比べると同素子数(相当)でも受信性能が低くなるという点です。
そのためデザインアンテナは基本的に、強電界地域から中電界地域向けのモデルになり、弱電界地域では受信性能不足や周辺環境の影響から使用できないケースが多くなります。
また周辺環境に関しては、強電界地域から中電界地域でも、高層建築の近隣、住宅密集地など、特に低い位置に地デジ電波が届きにくい現場では、デザインアンテナが使用できないケースも出てきます。
他にも、特に住宅の壁面への設置では、設置具を固定するため、壁面にビス穴を開ける必要が出るのもデメリットのひとつとなります。
以下、デザインアンテナの主な種類や商品名をご紹介します。
・20素子/26素子相当UHFデザインアンテナ
これはデザインアンテナの受信性能を示すものです。前述のようにデザインアンテナは、外部から素子が見て取れない形状であるため、受信性能を素子数に換算した「素子数相当」という数値で受信性能を表し、屋外設置用の主なモデルは20素子相当、26素子相当の二種類になります。
ただデザインアンテナは前述の通り、指向性などの特性や設置位置から、素子数は高くとも、同性能の八木式アンテナに比べると受信感度は低くなりがちですので注意が必要です。
・ブースター内蔵型デザインアンテナ
デザインアンテナの多くのモデルには、通常モデルとは別に、本体にブースターを組み込んだ「ブースター内蔵型モデル」が存在します。
ブースターとは、アンテナ配線部に設置され、テレビアンテナが受信したテレビ電波を必要なレベルにまで増幅する装置であり、主に地デジ電波レベルが低いエリアや、テレビなど受信機器を三台以上、設置する住宅に設置され、現在では設置がほぼ必須の機器になります。
上記の通りデザインアンテナは、本体の特性や設置位置から、地デジの受信感度が低くなりがちであるため、現場によってはブースター内蔵型のモデルを使用し、受信したテレビ電波を増幅してから、ケーブル配線部に送信する場合もあります。
なお電波を増幅するブースターには電源が必要であるため、ブースター内蔵型のデザインアンテナも、アンテナ配線部に電源部を設置する形で、電源の供給が必要となります。
ただデザインアンテナに内蔵されるブースターは、主にデザインアンテナの受信性能の弱さや、受信環境の悪さをカバーするためのものであり、ブースター利得(ブースターの増幅性能)は、さほど大きなものではありません。
そのため、ブースター内蔵型のデザインアンテナを使用しても、それとは別に配線部へブースターを設置する必要が出るケースもありますので、その点はご理解ください。
ブースターに関しては、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・テレビアンテナの「ブースター」は必ず必要なのか? 【地デジ設置・あさひアンテナ】
・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・前編(基礎知識編)
・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)
・地デジ用テレビアンテナの受信レベルが低くなる原因とは? ブースターによる対処法など受信レベルを改善する工事の方法を解説!
・テレビ放送の映りが悪い際にアンテナブースターの交換は必要?
・屋外屋内兼用コンパクトデザインアンテナ
これは、上記の屋外用アンテナよりややコンパクトなサイズとなり、専用の据え置きスタンドなどが付属して、屋外設置だけでなく、窓際への室内設置も可能となるモデルを指します。
主なモデルとしては、やはり日本三大アンテナメーカーの一社である、マスプロ電工製、強電界地域専用コンパクトデザインアンテナ「U2SWLC3(スカイウォーリーミニ)シリーズ」が挙げられます。
「スカイウォーリー」とは、マスプロ電工社が販売するデザインアンテナのブランド名ですが、スカイウォーリーミニは、縦360ミリ、横150ミリ、厚さは上部から中央までは55ミリ、下部3分の1ほどが99ミリと、通常のデザインアンテナに比べて格段に小型であり、現状ではデザインアンテナの業界最小モデルになります。
小型である分、受診性能は約3素子相当となり、強電界地域専用モデルとなりますが、カラーバリエーションはホワイトとブラックの二種類で、それぞれブースター内蔵モデルも存在します。
同モデルには据え置きスタンドが付属するため、室内の窓際への設置も可能である他、屋外設置でもコンパクトでより目立たないという特徴があります。
他にもメーカーによって、14素子相当でやや小型のモデルや、20素子相当ながら室内用スタンドも付属しており、室内設置に対応できるデザインアンテナが存在します。
スカイウォーリーミニについては、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
・この最小デザインアンテナがすごい!スカイウォーリーミニ(マスプロ電工)
デザインアンテナの主なモデルや呼称は、以上の通りになります。
当あさひアンテナは、デザインアンテナ設置工事では、DXアンテナ製の高品質20素子相当モデル「UAH201」。または上記のコンパクトモデル「U2SWLC3(スカイウォーリーミニ)」の各カラーバリエーションをご用意しており、アンテナ本体と基本設置具。白黒2色の同軸ケーブルなどをセットにした基本設置工事を「20,000円(税込み)」からでお引き受けしております。
さらにお住まいの条件から工事が可能である場合には、屋根裏空間、天井裏空間へのデザインアンテナ設置も、追加工事費はご無用の基本設置工事費のみでお引き受けいたします、
他にもデザインアンテナでは、26素子相当やブースター内蔵のモデル、垂直偏波対応モデルなどもご用意しております。そのため地デジ受信レベルがやや不利な現場であっても、できる限りデザインアンテナでご対応できるよう、最善を尽くします。
なおデザインアンテナの特徴や、屋根裏空間への設置方法。設置する場合の注意点などについては、以下の各コラム記事で詳しくご説明しております。
・地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!
・新築戸建てテレビアンテナ設置におすすめのデザインアンテナとは? アンテナ種類の比較と選び方、業者の工事費用の相場まで解説
・デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説
・デザインアンテナ工事の失敗例とは? メリット、デメリットから取り付け費用まで解説
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地デジ用UHFアンテナ:ユニコーンアンテナとは?
「ユニコーンアンテナ」とは、マスプロ電工より2017年(平成29年)に発売された、独自の形状を持つモデル「U2CN」のことです。
地デジアンテナとしては第三世代であり、2023年現在の最新モデルでもあるユニコーンアンテナは、ほぼ円筒形の形状で、高さ約67センチ、直径は12センチから14センチ程度になります。
ユニコーンアンテナはマスプロ電工独自のモデルであり、その名称は同社の登録商標になっておりますが、他に「ポール型アンテナ」などと呼ばれることもあります。
戸建て住宅にユニコーンアンテナを設置する際には、八木式アンテナと同じく、屋根の上のマストの先に固定する。また住宅の破風板、壁面の高所などにサイドベースを設置して取り付けるなど、アンテナ本体が屋根の上の高さになるよう設置されます。
アンテナ本体には落ち着いたウォームホワイト(WW)とブロンズブラック(BB)のカラーバリエーションがあり、マストとの接続部もカバーで隠せるため、外観はマストの先にシンプルな円筒形が固定されたような、非常にスタイリッシュな外観となります。
ユニコーンアンテナは、地デジアンテナの第三世代として、八木式アンテナとデザインアンテナのメリットの融合を目指したモデルとなります。
具体的にはそのデザインから、設置しても住宅の外見や景観を乱さない。そして雨風や雪などを受け流せるため、経年劣化を抑えられて耐用年数(寿命)が長くなるという点になります。
ユニコーンアンテナの耐用年数は、新しいモデルであるため実データは少なくなりますが、デザインアンテナと同等の15年から20年程度と考えられています。
さらにユニコーンアンテナは、高所に設置できることから、デザインアンテナより受信感度が高まる点も大きな特徴です。
ユニコーンアンテナ本体の受信性能は20素子相当になりますが、設置位置が高所に当たり、周辺の高層建築や住宅密集地などの障害物に影響されにくく、受信感度が安定しやすくなります。その受信性能は、同じ20素子相当のデザインアンテナを、受信環境に恵まれた壁面に設置した場合と同等です。
前述のようにデザインアンテナの場合、強電界地域であっても周辺環境が悪い場合は、特に壁面など低い位置への設置が難しくなりますが、同じ現場でもユニコーンアンテナであれば、設置位置が高くなるため、設置できるケースが多くなります。
一方、ユニコーンアンテナのデメリットは、素子が露出しない。20素子相当のオールチャンネルアンテナのみ。指向性がデザインアンテナより広いなどの点から、受信性能では同素子数、またはそれ以上の八木式アンテナには及ばないという点です。
そのためユニコーンアンテナも、基本的には強電界地域から中電界地域向けの機種となります。
他にも、現時点の最新モデルになるため、地デジアンテナでは本体価格や設置費用がもっとも高額になる。水平偏波対応モデルしか存在しない。また純和風建築など住宅によっては、アンテナのデザインが不似合いな場合もある、などの点がデメリットになります。
当あさひアンテナでは現在、ユニコーンアンテナ本体と同軸ケーブル、基本設置具などをセットにした基本設置工事を、業界最安に挑む「キャンペーン価格」でご提供しております。詳しい工事内容については、弊社のフリーダイヤル、またはメールフォーム、LINEなどへと、どうかお気軽にお問い合わせください。
その他、ユニコーンアンテナに関しては、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
・台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
・ユニコーンアンテナの特徴と評判、設置工事の費用とは? 地デジ用アンテナ各機種のデザインとメリット、失敗を避ける方法を解説
・外見、寿命、性能すべて優れるテレビアンテナ・ユニコーンアンテナとは? 特徴とメリットデメリットから設置工事の料金まで紹介
地デジ用UHFアンテナ:その他の地デジアンテナモデルとは?
その他、ご家庭で使用できる地デジアンテナとしては「室内アンテナ」と「屋外屋内兼用アンテナ」が存在します。
室内アンテナは、文字通り、住宅の室内で直接、テレビなどの受信機器に接続して使用できる、非常にコンパクトな地デジ用UHFアンテナです。
置物のような卓上型、薄いシート型の本体を壁面や窓に貼り付けるペーパーアンテナがあり、コンパクトで場所を取らず、ご自宅でも設置が簡単。設置位置を選ばないため、テレビを含めて、アンテナコンセントのない部屋など、さまざまな位置に設置できる。また価格も1,000円台から、ブースター内蔵などの高性能モデルでも10,000円台など、低価格である点などがメリットです。
半面、室内アンテナは素子数表記ができないほど、非常に受信性能が低いという弱点もあります。
そのため基本的に強電界地域でしか使用できず、周辺の環境などにも影響されやすく、地デジ受信が安定しない場合もある。また基本的に一台の室内アンテナを、テレビなど一台にしか設置できないといったデメリットも生じます。
基本的に室内アンテナは、普段、テレビ機器を設置しない場所でテレビを使う場合や、賃貸物件などで短期間の使用を前提とした、簡易的な地デジアンテナに適しております。
屋外屋内兼用アンテナは、文字通り、住宅の室内と屋外、双方で使用できる地デジアンテナであり、呼称はメーカーやモデル、販売店などにより「屋内外用」「室内屋外兼用」などさまざまになります。
形状は、室内アンテナに比べるとやや大型ながら、前述したコンパクト型のデザインアンテナや、専用の固定台座に設置できる、丸みのあるボックス状などさまざまなものが存在します。
屋外屋内兼用アンテナにも、小型で屋内に設置でき、テレビなど受信機器との接続も簡単で、設置位置の自由度も高いなど、室内アンテナと同じメリットがあります。価格もメーカーやモデルによりますが、5,000円から10,000円台になります。
また室内アンテナに比べると、受信性能は多くが3素子相当から5素子相当とやや高くなり、本体も屋外設置を前提に頑丈な作りで、受信感度が高くなるベランダなどへの屋外設置も可能なため、より受信感度が安定しやすくなります。
ただ、やはり屋外用の地デジアンテナに比べると受信性能が低いため、基本的に強電界地域でしか使用できず、周辺の障害物などの環境にも影響されやすいなど、程度の差はあれ、室内アンテナと同じデメリットもあり、こちらも主に簡易的な地デジアンテナとしての使用が推奨されます。
他にも、屋外設置用では「横型アンテナ」と呼ばれるモデルがあり、これは横長の楔状の形をしたアンテナ本体を、マストの先に設置するものになります。
具体的なモデルとしては、DXアンテナ製の14素子相当「UAH710-P」と、20素子相当「UAH750」になり、そのメリットは、屋根の上などの高所に設置できることから受信感度が安定しやすい一方で、積雪や風雨、塩害などにも強く、住宅の外観や景観にさほど悪影響を与えないという点になります。
他にも、一般的な屋外用の地デジアンテナに比べるとやや受信性は低いため、強電界地域用のモデルになるものの、太い支柱の先に設置されたドーム状の部分で、全方向からの地デジ電波を受信できるため、位置の異なる複数の電波塔から届く地デジ電波を一基で受信できる「無指向性アンテナ」と呼ばれる地デジ用UHFアンテナも存在します。
当あさひアンテナでは、この「UAH710-P」「UAH750」。また室内アンテナでは、やはりDXアンテナ製のブースター内蔵型「US120A」「US120AW」や、通常モデルの「US10KB」「US10WB」(それぞれホワイトとブラックのカラーバリエーション)や、屋外屋内兼用アンテナも、同じくDXアンテナ製4素子相当「US210-P」をご用意しており、お客様のご要望に合わせてご提供いたします。
なお室内アンテナ、屋外屋内兼用アンテナについては、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・面倒な工事も不要!2,000円で地デジ放送を楽しめる「室内アンテナ」について!
・フィルム型アンテナとは何か? 地デジテレビ用でおすすめ、最強の室内アンテナの選び方。ランキングで人気の高性能商品も紹介!
・地デジ用で最強のテレビ室内アンテナを選ぶには? 平面アンテナやブースター内蔵型などおすすめ人気モデルのランキング発表!
衛星放送用パラボラアンテナ(BS/CSアンテナ)の種類とは?
衛星放送を受信するためのBS/CSアンテナは、基本的に円盤状の「ディッシュ(dish:皿)」または「放物面反射器」を持つパラボラアンテナです。このディッシュで静止衛星からの12GHz帯の電波を受け止め、ディッシュの内側に反射させます。
反射した12GHz帯の電波は、アームに支えられてディッシュの前方に固定された「コンバーター」の一次放射器に集められます。そしてコンバーター部で、ケーブルでの伝送に適したMHz帯の電波へと変換され、ケーブル配線部へと送信されます。
なおコンバーターを作動させるため、BS/CSアンテナには、アンテナ配線部にあるブースター電源部か、テレビなど受信機器のチューナー端子からの給電で、電源が必要です。
BS/CSアンテナの設置には、前述の通り、12GHz帯の電波を反射させて正確にコンバーターへ集中させるよう、ディッシュを静止衛星の位置する東経110度の方向へと、仰角(上下角)、方位角(左右角)とも、ミリ単位の正確さで角度調整を行う必要がある。またBS/CSアンテナを向けた方向に電波を遮る障害物が存在しない、という点が必須となります。
半面、BS/CSアンテナの設置に関して、それ以外の制約は少ないため、戸建て住宅でもさまざまな設置位置が選ばれます。
一般的には、配線や角度調整が行いやすく、障害物にも影響されにくい、屋根の上のマストに地デジアンテナと合わせてセットされることが多くなりますが、他にも住宅の壁面やベランダの手すり部。ベランダ内部や、前述のように12GHz帯の電波が十分に届く窓際への室内設置などの方法もあります。
衛星放送用アンテナは、車載用、アウトドア用ボックス型など、一部の特殊なモデルを除いて、住宅や建物に設置されるモデルは、基本的にどれもパラボラアンテナになります。
パラボラアンテナの衛星放送用アンテナには、現在、主に以下のような種類が存在します。
・2K4K8K対応BS/110度CSアンテナ
日本の衛星放送の種類には、静止衛星として、放送衛星を使用するBS放送と、通信衛星を使用するCS放送の二種類が存在します。ただ、BS放送、およびCS放送の主なサービスである110度CS放送「スカパー!」では、同じく東経110度に位置する静止衛星を使用しているため、一基のパラボラアンテナで双方を受信できます。
このBS放送、CS放送に対応できるパラボラアンテナが「BS/110度CSアンテナ」であり、衛星放送用アンテナの大半を占める主要機種になります。
また現在のBS /110度CSアンテナは、2018年(平成30年)にスタートした「新4K8K衛星放送」にも対応できる「2K4K8K対応BS/110度CSアンテナ」です。
新4K8K衛星放送以前の2K衛星放送では、12GHz帯の電波として、右回りの螺旋を描いて伝わる「右旋円偏波」を使っていました。
しかし新4K8K衛星放送として、BS放送、CS放送に多くの4K、8Kチャンネルを追加する際に、右旋の電波ではチャンネルに割り当てることができる空きの周波数帯が不足したため、BS放送のNHK、広域民放のチャンネルに右旋の電波を割り当てた以外、その他の4K、8Kチャンネルには、右回りの螺旋を描いて送信される「左旋円偏波」を新しく導入して、その周波数帯を割り当てたのです。
そこで、新4K8K衛星放送に合わせて、右旋と左旋、双方の電波を受信できる「2K4K8K対応」のBS/110度CSアンテナが登場しました。
対して、2018年以前のBS/CSアンテナは、左旋円偏波に対応していない「2K対応BS/CSアンテナ」になります。2K対応BS/CSアンテナは現在では生産終了になっておりますが、2018年以前に設置されたBS/CSアンテナは、この2K対応型である可能性があり、左旋の電波で送信される大半の4K8Kチャンネルを受信できないことになります。
左旋の電波を含む新4K8K衛星放送のチャンネルをすべて受信するためには、2K4K8K対応BS/CSアンテナだけでなく、アンテナ配線部のケーブルやブースター、分配器などの機器も、左旋の電波がコンバーターで変換された周波数帯に対応できる「4K8K(3442MHz)対応型」への交換が必要になる場合もありますので、どうかご注意ください。
衛星放送用のBS/CSアンテナおよび、新4K8K衛星放送と対応できるアンテナや各種機器については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・新4K8K衛星放送とは? 4K、8Kテレビの購入後に必要なアンテナ工事と費用の相場、おすすめ業者の選び方まで徹底解説!
・「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
・「新4K8K衛星放送」のご視聴に必要な機器・完全チェック!
・CSアンテナ
BS放送と110度CS放送の双方を受信できるBS/110度CSアンテナに対し、こちらは主に110度CS放送のみを受信できるアンテナです。
CS放送のみでBS放送は視聴しない場合など、用途によって使い分けられます。
また日本の衛星放送がスタートした当初は、BS放送のみを受信するBSアンテナも存在しましたが、現在では見られなくなっております。
・プレミアムサービス専用アンテナ/マルチアンテナ
CS放送には、東経110度の通信衛星を使用する110度CS放送「スカパー!」のほか、東経124度、128度の通信衛星を使う、124度/128度CS放送「スカパー!プレミアムサービス」も存在します。
CS放送は、放送事業者と契約を結んだ世帯のみで視聴できる有料放送になりますが、プレミアムサービスは静止衛星の位置が異なるため、東経110度の静止衛星に対応するBS/110度CSアンテナでは受信できません。
ブレミアムサービスの受信には、東経124度、128度からの電波に対応する「プレミアムサービス専用アンテナ」か、東経110度および124度、128度すべてのBS放送、CS放送の電波を受信できる「マルチアンテナ」の設置が必要となります。
ただし、このようなアンテナは、2方向、または3方向それぞれの静止衛星に向ける必要があるため、角度調整が難しくなるという難点も出てきますのでご注意ください。
・45型/50型/60型/75型/90型/120型BS/CSアンテナ
ここからは以下は、主にBS/110度CSアンテナのバリエーションになります。
パラボラアンテナであるBS/110度CSアンテナは、メーカーやモデルは異なっても、基本的な設計は同じになるため、コンバーターなどの性能が微妙に異なる他は、受信性能にほとんど違いは生じません。
BS/CSアンテナの受信性能を決める要素は、前述した通り、ディッシュの直径の違いになります。
BS/CSアンテナのディッシュサイズには、一般住宅向けの45型をはじめ、50型、60型、75型、90型、120型が存在します。
数値はディッシュの有効直径(電波を受信できる部分の直径)のセンチ数であり、50型以上は、基本的にアパートやマンションなど集合住宅の規模に合わせて用いられる、共同受信用のモデルになります。
ただ前述の通り、静止衛星からの距離が遠くなり、やや電波レベルが弱まる日本の北部や南端部、離島部など。また降雨減衰、降雪減衰への対策として、戸建て住宅でも50型から75型程度の、やや大型のBS/CSアンテナが使用される場合もございます。
ただこのようなアンテナは、大きさから風雨などに影響されやすくなり、重量もあってアンテナ角度のズレなどによる受信トラブルも生じやすくなるため、注意が必要です。
・カラーバリエーションモデル
BS/CSアンテナの本体色は、基本的に白色系となります。これは太陽光を受けやすい位置に設置されるため、光を反射しやすい色合いで、日光の熱を受けた本体金属部の歪みや、紫外線による劣化を避けるためです。
しかし近年では、太陽光に影響されにくい塗料を使用した、本体色がブラックなどのカラーバリエーションも登場しており、住宅の外観性などを気にされる方に利用されております。
当あさひアンテナでも、BS/CSアンテナでは、白系統の他、ブラックのカラーバリエーションも御用意しており、本体色を気にされるお客様にもご対応いたします。
・高耐風型BS/CSアンテナ
BS/CSアンテナは、ディッシュを持つ形状から風雨などの影響を受けやすく、またわずかな角度のズレでも受信性能が低下しやすいため、風雨などによる老朽化やトラブルが生じやすい弱点があります。
通常モデルBS/CSアンテナの耐用年数(寿命)は、10年程度とされています。
ただ近年では、ディッシュ部をメッシュ仕様などで風を通す仕様にして風圧の影響を抑え、強風などによるダメージやトラブルを軽減する、耐風性能の高いBS/CSアンテナも存在します。
中でもDXアンテナの製品、2K4K8K対応45型BS/110度CSアンテナ「BC453SG」は、ディッシュ全体に、数多くの小さなパンチングホールが規則的に開けられた「パンチングメタル仕様」により、アンテナが強風を受けても風圧を大きく軽減できます。
他にも、マストを抑える金具の強化や、従来より太いマストへの対応。コンバーターアームとディッシュの下部をプラケットで接続するなどの工夫により、あらゆる方向の強風を受けても、各方向への角度のズレやアンテナ本体のゆがみ、破損などが生じにくい設計になっております。
同社製の通常モデルBS/CSアンテナの耐風性能が受信可能風速20m/s、復元可能風速50m/s、破壊風速60m/sであるのに対し、BC453SGは受信可能風速50m/s、復元可能風速60m/s、破壊風速70m/sという、最高レベルの高い耐風性能を誇ります。
これにより激しい台風などを受けても、アンテナの破損、倒壊など大きなトラブルはもちろん、アンテナ角度のズレなどが起こるリスクも抑えることができます。また日常の強い風などにも影響を受けにくいため、BS/CSアンテナとしての寿命が通常より長くなることも期待できます。
この「BC453SG」および、BS/CSアンテナや各種アンテナの寿命については、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・台風対策に最適! 究極の高耐風BS110度CSアンテナ「BC453SG」(DXアンテナ)
・衛星放送用BS/CSテレビアンテナの寿命は何年? 取り付けから約10年後の交換工事の時期や映らなくなった時の対処法を解説
・BS/CS衛星放送や地デジ用アンテナの寿命と交換時期は何年? 取り付けから約10年でテレビが映らない時の対処法を解説!
衛星放送用パラポラアンテナの種類については、以上の通りです。
なお当あさひアンテナでは、BS/CSアンテナ設置工事に関しては、DXアンテナ製の2K4K8K対応45型最新モデル「BC45AS」をご用意しており、地デジアンテナ設置を行う際の追加設置工事では、アンテナ本体や基本設置具などの料金も含めた基本設置工事を「15,000円(税込み)」からでご案内いたします。
またご紹介した高耐風モデル「BC453SG」については、基本設置工事を「特別価格」でご提供いたします。
BS/CSアンテナの老朽化、トラブル対策となる設置法。また高耐風モデルや、屋内設置、DIY設置などの方法については、下記の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・衛星放送用バラボラアンテナ・BS/CSアンテナの種類と選び方とは? 地デジテレビアンテナとの違い、家屋への設置工事を解説
・衛星放送用BS/CSアンテナの種類と性能とは? 地デジテレビアンテナとの違い、設置工事の方法から機種の選び方まで解説!
・BS/110度CSアンテナで安定して衛星放送を受信できる設置の場所とアンテナの向きや角度を正確に調整する方法
・自分でDIY取り付けも可能? 衛星放送用BS/CSテレビアンテナのさまざまな設置方法と工事を行う際の注意点
・BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!
UHFアンテナの種類について・まとめ
現在、市販される主な地デジ用UHFアンテナ機種、および機種内の各種モデルについては以上の通りです。機種別の特性や、機種ごとに存在するさまざまなモデルから、ご要望やご自宅の環境に最適と思われる製品をお選びいただければ幸いです。
当あさひアンテナでは、本文でもご説明した通り、国産大手メーカー製の高品質機器である地デジアンテナやBS/CSアンテナの各機種、およびさまざまなモデルを、ご用意し、アンテナ本体や必要な設置部材などをセットにした基本設置費用を、業界最安に挑む価格でご案内しております。
その他、ブースターや分配器などアンテナ周辺機器の設置。各種オプション工事なども、低価格の明確な価格体系でご提供しておりますので、戸建て住宅のアンテナ配線部を含め、さまざまな条件下やご要望のアンテナ工事にもご対応できます。
低価格の秘密は、アンテナ本体や各種機材を、大手メーカーからの直接大量購入によるスケールメリットを生かした大幅値引きをはじめ、また広告費の削減や、業務の効率化による人件費の削減など、さまざまな企業努力によるコストカットを、アンテナ工事の価格へと還元しているためです。
そのため工事料金は低価格でも、アンテナなどの使用機材、および工事の品質については一切の妥協はございませんので、どうかご安心ください。
工事前の電波調査やお見積もりについても、出張料、キャンセル料などの各種費用を含めた「完全無料」で実施しております。もちろん他業者との相見積もりにもご対応いたします。また弊社のお見積もりにご納得いただければ、即日工事にもご対応が可能です。
電波調査においては、お住まいのさまざまな部屋や位置で緻密に電波状態を確認し、安定したテレビ電波の受信が可能であることを大前提に、現場の条件で可能な限り、お客様のご要望に最適となる、さまざまなアンテナ機種や工事をご提案いたします。
実際の施工では、弊社社員スタッフである、経験と知識に基づいた高い技術を誇るアンテナ職人が、安定した受信性能や、天候や自然環境などにも強い頑丈な設置はもちろん、弊社のモットー「見えないところもきれいに」に基づいて、屋外のアンテナや配線から、屋根裏空間などの配線部、ブースターなどの設置も、見栄えの整った丁寧な施工を実施いたします。
さらにアンテナ工事の完了後、アフターフォローについても、業界最長クラスとなる、アンテナ工事の施工日から数えて「10年保証」をご用意しており、末永くご安心していただけます。
ご自宅での地デジ、BS/CSアンテナなど各種アンテナ工事から、お住まいの環境や条件に適したアンテナモデルのご相談まで、何かご不明な点がございましたら、まずは当あさひアンテナ公式サイトのメールフォーム、またはフリーダイヤル、LINEまで、どうぞお気軽にお寄せください。