地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?

2022年10月31日

地デジ、衛星放送(BS/CS)、さらには「新4K8K衛星放送」と、テレビ放送のあり方が多様化している現在では、テレビアンテナの機種にもさまざまなものがございます。
衛星放送用のBS/CSアンテナは、お椀型のディッシュ部を人工衛星の方向に向けるパラボラアンテナです。また地デジアンテナではデザイン性を重視して自然環境にも強いデザインアンテナ、ユニコーンアンテナがあるなど、さまざまな形状のテレビアンテナ機種について、よくご存じの方もおられるでしょう。

ただ、そんな21世紀、令和の現在でも、単に「テレビアンテナ」と言えば、多くの方は、戸建住宅の屋根の上に立てられている、魚の骨のような形をした、シンプルな形状のものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
このアンテナは「八木式アンテナ(八木アンテナ)」といい、2023年(令和5年)現在ではおよそ100年近い歴史を持つ、現在では古典的なテレビアンテナです。この八木式アンテナは、日本ではアナログテレビ放送の時代からテレビアンテナとして使用されている機種であり、令和の現在でも、他の地デジアンテナ機種にないさまざまな長所から、高いシェアを誇っているアンテナ機種です。

当コラムでは、この「八木式アンテナ」について、そのメリット、デメリットや、他のアンテナ機種、八木式アンテナが適した地域や現場。基本的な設置の工法や、DIYで設置できるケースなどについてご説明してゆきます。
古典的なテレビアンテナにして、現在でも代表的なアンテナ機種である「八木式アンテナ」についてご理解いただくことで、その他テレビアンテナ機種を含む、アンテナの基礎知識も把握しやすくなると存じます。

【八木式アンテナの歴史とは?】
前述のように八木式アンテナとは、現在でも多くの住宅の屋根の上に見られる昔ながらのテレビアンテナ(地デジアンテナ)です。
基本的には、屋根の上に垂直に立てられたマスト(支柱)に設置され、横に渡された棒に、水平になる形で短い棒が何本もついていることから、魚の骨のようにも見えるアンテナ機種です。
多くの場合は魚の骨を寝かせるように、地面から見て水平に設置されますが、一部の地域では地面から垂直に設置されることもございます。これは後述する、地デジの「水平偏波」「垂直偏波」の違いによるものです。

・八木式アンテナの発祥。
八木式アンテナには「八木アンテナ」「八木・宇田アンテナ」。または「指向性短波アンテナ」の別名もございます。
八木式アンテナの誕生は、いまから約100年前、1924年(大正13年)に、当時の東北帝国大学(現在の東北大学)の工学部電気工学科にて、教授であった八木秀次博士が実験中にその原理を発見し、同大学の宇田新太郎博士とともに研究を進めたことが、そのはじまりです。
このアンテナの特許は八木博士が単独で取得したために、現在では主に「八木式アンテナ」の名称が使われます。しかしその後も、宇田博士は八木式アンテナの実用化を目指して実験を続け、その性能を発展させたことから、主に海外では両博士の名前を取った「八木・宇田アンテナ」とも呼ばれています。
1926年(大正15年)のはじめには両博士の連名により、電波投射器を配置した指向性アンテナとして論文が発表されています。
その後、戦前から戦時中にかけては、軍事研究として八木式アンテナの研究が進み、1954年(昭和29年)には八木、宇田両博士による研究をまとめた英文の書籍「YAGI-UDAANTENNA」が出版され、アンテナとしての設計理論を確立しています。
なお、世界初の超短波アンテナである八木・宇田アンテナの発明は、電気技術史に残るものとされており、1995年(平成7年)にはIEEE(アメリカ電気電子学会)の検証活動である「IEEEマイルストーン」にも認定されています。

・テレビアンテナとしての八木式アンテナ。
第二次世界大戦後、八木式アンテナは、日本のテレビ放送(アナログテレビ放送)がスタートした1953年(昭和28年)2月より、テレビアンテナとして一般家庭にも普及してゆきます。その他にも、アマチュア無線用やFMラジオ用のアンテナとして利用されてきました。

余談ですが、アナログテレビ放送の時代、テレビアンテナは、ほとんど八木式アンテナの一種類のみでした。
ただアナログテレビ放送では、NHKと広域民放のチャンネルの電波は「VHF(超短波)」。東京都の東京MXなど一部の都府県に存在し、その都府県を放送エリアとする独立放送局(地方チャンネル)の電波は「UHF(極超短波)」で送信されていました。
そのため当時、地方チャンネルを視聴できる地域では、NHK、広域民放用の「VHFアンテナ」と、地方チャンネル用の「UHFアンテナ」の二台の八木式アンテナを、一本のマストに設置することもございました。
しかしその後、携帯電話などの普及により、社会で必要となる電波の周波数帯が不足したことから、テレビ放送に使われていた電波の周波数帯を大幅に削減して、UHFでも一部の周波数帯に集中させるため、アナログ放送から地上デジタル放送への転換が進められます。
2003年(平成15年)12月1日正午に地デジ放送がスタートし、アナログ放送と並行する移行期間を経て、2011年(平成23年)7月24日正午にはアナログ放送が停波し、地デジ放送に完全移行されました。

この地デジ放送では、すべてのチャンネルでUHFの電波が使われているため、八木式アンテナを含め、現在の地デジアンテナは、すべて「UHFアンテナ」になっています。そのためアナログ放送時代に、地方チャンネル用の「UHFアンテナ」が設置されていた住宅では、当時のUHFアンテナを地デジ放送用のアンテナに転用して、現在でも使用して続けていることもございます。
なお当時のVHFアンテナについては、ラジオ用のFMアンテナに転用できる以外、現在では特に使い道はございません。
ただアナログ時代の八木式アンテナ(UHFアンテナ)を、そのまま地デジアンテナに転用している場合、現在ではかなりの老朽化が進んでいると考えられます。したがって台風や地震などの際には倒壊の恐れもあるため、早めに交換されることをお勧めいたします。

アナログ放送時代の「VHFアンテナ」「UHFアンテナ」について。またそれらのアンテナを現在の地デジアンテナとして使用し続けている場合に考えられる問題点については、以下のコラムをご参照ください。
VHFアンテナとは? UHFアンテナとは? 基礎知識とアナログテレビアンテナの問題点

【八木式アンテナの構造】
八木式アンテナは、基本的に「反射器(リフレクター)」「輻射器(ラジエーター)」「導波器(ディレクター)」という部分から構成されています。八木式アンテナは、地面から水平に渡された横棒と、その一方の端につけられた「く」の字型の棒で、全体的には矢印(→)のような形の全体に、短い横棒がいくつも直角にとりつけられており、全体が魚の骨のように見える形状です。
リフレクター、ラジエーター、ディレクターの横棒は、それぞれ「素子」とも呼ばれます。
「ディレクター」は、地デジの中継局(電波塔)から送られる地デジ電波(UHF)を集めて、ラジエーターに送るための素子で、横棒についている短めの棒の部分の多くがそれにあたります。
「ラジエーター」は、電波を受信、または送信するための素子で、横棒の中心付近に1、2本、装着されている素子にあたります。
「リフレクター」は、「く」の字部分と、そこに取り付けられている横棒のことで、不要な電波を遮りつつ、電波を放射器側に反射するための素子になります。
八木式アンテナでは、ディレクターやリフレクターによって、ラジエーターに電波が集められる構造になっています。ラジエーターに集まった電波は、「給電部」といわれる部分に送られて電気的な信号(テレビの映像信号)に変換され、アンテナケーブル(同軸ケーブル)を通って、屋内のテレビ機器などに送信されます。

八木式アンテナは、基本的にディレクターを中継局の方向に向ける形で設置されます。簡単にご説明すると、矢印の形を、中継局と正反対の方向に向けるようにして設置されることになります。
また地デジの電波には、波状の電波が、地面に対して平行の波で送られる「水平偏波」と、垂直の波で送られる「垂直偏波」の二種類がございます。地デジ電波のおよそ95パーセントは水平偏波ですが、一部の地域では垂直偏波が用いられています。これは地域によって、他の電波との混信を避けるために使い分けられているものです。
そして八木式アンテナは、水平偏波を受信する場合には、素子が地面から水平になる形で設置されます。ただ垂直偏波を受信するエリアでは、90度傾けた、素子が地面から垂直な形で設置されています。
「水平偏波」「垂直偏波」については、以下のコラムをご参照ください。
地デジの「水平偏波」「垂直偏波」の違いとは?

・八木式アンテナの「素子数」とは?
前述した、八木式アンテナの短い横棒にあたる「素子」の数ですが、これは八木式アンテナの性能に直結する要素になります。
ごく単純に、この素子数が多くなるほど、八木式アンテナの受信性能は高くなります。屋根の上など、周辺に障害物がない高所に設置できることと、素子数を増やすことで高性能機種になることから、現在でも八木式アンテナは、受信性能ではもっとも優れた地デジアンテナとして、現役で使用され続けているのです。

ただ、八木式アンテナを設置する場合は、ただ高性能機種を選べばいいというものでもございません。地デジ電波は、電波レベル(電波の強度)が低い場合はもちろん、強すぎる場合もテレビ画面が乱れる原因になります。また高性能機種は素子数が多くなるため、必然的に大型となり、重量も増してまいります。
そのため八木式アンテナは、設置する現場の電波レベルに合わせた性能の機種を選ぶ必要がございます。
地域ごとの地デジ電波の強度は、中継局からの距離や周辺の地形によって「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」に分けられます。
八木式アンテナなど地デジアンテナの素子数でいえば、強電界地域では4素子から8素子。中電界地域では14素子から20素子。弱電界地域では20素子から26素子の機種が適しております。

(八木式アンテナ以外の地デジアンテナの種類は?)
ここでは、一般的な八木式アンテナ以外の、主な地デジアンテナ機種についてご説明いたします。

・パラスタックアンテナ。
これは八木式アンテナの一種であり、ディレクター部分の素子が「Ⅹ」字型をしているものです。
通常の八木式アンテナよりも受信性能が高く、弱電界地域でも受信できる地デジの電波レベルが非常に低いエリアで利用されます。また素子数の少ないパラスタックアンテナでは、同性能の八木式アンテナより小型にできるというメリットもございます。
ただパラスタックアンテナは指向性(アンテナを特定の方向に向けた場合のみに受信感度が高まる性質)が非常に強く、アンテナ工事の専門業者でないと正確な設置が難しい。アンテナ本体が大型で重いものになるため、風雨などの影響を受けた倒壊や方向のズレが生じやすいなどのデメリットもございます。

デザインアンテナ
これは主に住宅の壁面などに設置される、平面型の薄型軽量アンテナです。
デザインアンテナは壁面に設置できてカラーバリエーションも多いため、住宅のデザインにマッチして外観性を乱さない。またその形状から風雨などに影響されにくいため、経年劣化が進みにくくアンテナの寿命が長くなる。ベランダの手すりや内部などにも設置できるためメンテナンスも簡単になる。条件が整っていれば住宅の屋根裏、天井裏空間にも設置できて、住宅の外観に影響を与えず、風雨の影響もほとんど受けなくなるなど、豊富なメリットがございます。
一方、デメリットとしては、設置位置の低さから八木式アンテナに比べると受信感度が低くなることが挙げられます。そのため弱電界地域や住宅密集地、山林や高層建築物の付近など、地デジ電波が遮断されやすいエリアでは、デザインアンテナでは十分な地デジ受信ができず使用できないこともございます。またアンテナ本体価格やアンテナ設置工事費も、八木式アンテナよりやや割高になります。

ユニコーンアンテナ
これは2017年(平成29年)に登場した、ポールの先に円筒形に近いアンテナ本体を設置したスタイリッシュな形状の地デジアンテナです。
デザインアンテナと同じく住宅の外観を乱さず、その形状から風雨などの影響も受けにくいため、経年劣化を抑えられて高寿命が期待できる。その一方で高所に設置できるため、高い受信感度も確保できる。屋根の張り出し部分(破風)や壁面などにも設置できて太陽光発電システムの邪魔にもなりにくい、などのメリットがございます。
デメリットとしては、最新機種であることから、他の地デジアンテナ機種に比べて本体価格、設置工費が割高になること。また八木式アンテナの高性能機種に比べると受信感度が及ばず、弱電界地域などでは使用できない場合もあることが挙げられます。

【八木式アンテナの特徴】
ここでは、他の地デジアンテナ機種に比べて、八木式アンテナをお選びになることでのメリット、デメリットについてご説明してゆきます。

(八木式アンテナのメリット)
・地デジの受信性能(受信感度)が高く広範なエリアで利用できる。
前述のように、八木式アンテナは屋根の上などの高所に設置するアンテナ機種であり、非常にシンプルな設計から、素子数の増減によって受信性能を調節することも簡単になります。
そのため地デジの電波強度が強い強電界地域はもちろん、中電界地域や、デザインアンテナ、ユニコーンアンテナの使用が難しくなる弱電界地域でも、高性能機種の利用や、テレビ電波を増幅するブースターを設置することにより、安定した地デジ受信が可能となります。
さらにパラスタックアンテナを用いることで、通常の受信エリア外にあたる地デジ電波も受信できることがございます。
このような地デジアンテナ機種でもトップクラスと言える受信性能の高さが、誕生から100年近くが過ぎた現在でも、八木式アンテナが現役で、主要機種のひとつである理由だといえます。

・地デジアンテナ取り付けの費用が抑えられる。
基本設計がシンプルで長い歴史を持つ八木式アンテナは、現在では本体の製造技術、アンテナ設置の施工技術ともに完成されているといえます。そのため現在では、本体やテレビアンテナ工事の費用がもっとも低価格なアンテナとなっております。
現在の八木式アンテナは、20素子の標準機種であれば、有名メーカーの製品でも本体価格は3,000円から4,000円程度。素子数が多い高性能機種でも10,000円程度で購入できます。
例えば当あさひアンテナでは、国産の有名メーカー「DXアンテナ」社さん製、20素子相当の八木式アンテナ最新モデル「UA20」の本体および基本的な設置器具、アンテナの防水加工をすべてセットにした基本アンテナ設置工事費を「15,000円(税込)」でご提供しているなど、地デジアンテナ取り付け費用も非常に安価となっております。

(八木式アンテナのデメリット)
・住宅の外観やソーラーパネルの性能、また周辺の景観を損ねる場合がある。
近年では外観性の優れたデザイン住宅などの住宅も多く見られます。しかしそのような住宅の屋根の上に昔ながらの八木式アンテナを設置することで、せっかくの住宅のデザインを乱してしまうことがございます。また太陽光発電システムを導入して、屋根の上にソーラーパネルを設置されているご自宅では。八木式アンテナがソーラーパネルに影を落として、発電効率を低下させてしまうこともございます。
また日本各地に存在する「景観地域」などでは、周辺の景観を保全するため、一定以上の高さへのテレビアンテナ設置や、八木式アンテナの設置を規制しているケースもございますので、注意が必要です。

・風雨や積雪など自然環境の影響を受けてトラブルが生じやすい。
主に屋根の上などに設置され、受信性能が高いという八木式アンテナのメリットは、風雨などに影響されやすいというデメリットと表裏一体でもあります。
特に台風が多い地域や豪雪地帯などでは、風雨や積雪の影響でアンテナ位置がズレるなどのトラブルが生じやすくなります。また海沿いでは潮風の影響を受けてサビが進行しやすくなるなど、自然環境が厳しいエリアでは老朽化も進みやすくなります。
八木式アンテナの寿命は、通常の場合は10年程度といわれており、特に軽量化や防水、耐風性能が向上している近年の機種では、それ以上に寿命が長くなるケースもございます。ただその一方で、前述のように自然環境が厳しいエリアの場合は、逆に通常より八木式アンテナの寿命が短くなることもございます。
特に自然環境が厳しいエリアで、前述したように、アナログ放送時代のUHFアンテナを地デジアンテナに流用している。また設置から10年以上過ぎている場合などは、八木式アンテナの老朽化から、強風や豪雨、降雪などによるアンテナの倒壊や、ひいては屋根の上からアンテナが落下することにより大変な事故が発生する危険性もあり、注意が必要となります。
総じて、自然環境が厳しいエリアでの地デジアンテナ取り付けでは、自然環境による影響を考慮したアンテナ設置位置や機種の選択など、よく考えた上での選択が必要といえます。

・修理やメンテナンスなどを業者に依頼する必要がある。
自然環境の問題とも関わってまいりますが、八木式アンテナをベランダに設置する場合や、屋上フロアに出られる構造のお住まいなどを除けば、八木式アンテナのメンテナンスや、トラブル時のアンテナ修理などは、屋根の上に登って行う必要があるため、非常に危険な作業となります。そのためご自宅でのメンテナンスなどは決して行わず、専門のアンテナ工事業者に依頼されることをお勧めいたします。
ただし業者への依頼には費用がかかるため、アンテナ設置費用は低価格な八木式アンテナでも、特に自然環境が厳しいエリアにおいては、長い目で見ればアンテナ修理費用などがかさんで、コストパフォーマンスが低くなるケースもございます。
八木式アンテナの設置をお考えになる場合には、修理、メンテナンス費用など長い目で見たコストパフォーマンスの他、当あさひアンテナの、アンテナ設置工事日からの「10年保証」のような、長期アフターサービスを用意する業者に依頼するなどの判断も必要といえます。

・「鳥害」や「越境問題」が発生するケースもある。
屋根の上に設置される八木式アンテナは、鳥が留まるのに適した形状から、鳥が留まったことによるアンテナ角度のズレや、フンを受けてアンテナ本体や各部が腐食する「鳥害」が発生するケースもございます。また八木式アンテナの設置位置によっては、アンテナの一部が隣家の敷地にはみだしてしまう「越境問題」が生じることもございます。
これらの問題への対策としては、アンテナ設置位置の考慮や、鳥避け用のグッズを用いるなどの方法がございます。

【住宅に八木式アンテナを設置できる場所】
八木式アンテナの長所である受信性能を十分に発揮するためには、基本的に、屋根の上をはじめとする高所へ設置することになります。
ただ屋根の上への設置は、前述したように、自然環境に影響されやすく、メンテナンスなどが困難というデメリットもございます。これらの問題を避ける方法として、八木式アンテナを屋根の上以外の場所に設置する方法がございます。

八木式アンテナを設置できる場所には、まず住宅の「ベランダ」が挙げられます。ベランダへの設置としては、ベランダの内部にマストを立てて設置する方法、また手すりなどベランダの外に設置具を取り付けてアンテナ設置するという方法がございます。また他にも、やはり専用の設置金具を壁面に装着して、ベランダや窓の付近などの壁に設置する方法もございます。
ベランダに設置するメリットとしては、高所作業が必要ない分、アンテナ設置費用がやや安くなるケースがあること。住宅の外観を損ねにくく、風雨なども避けやすいため経年劣化を抑えられること。ご自宅でのメンテナンスも行いやすくなることなどが挙げられます。
一方、デメリットとしては、まずアンテナを設置するベランダの方向が、地デジの中継局の方向を向いている必要がある、という点が挙げられます。またアンテナ設置の位置が低くなることに加え、特にベランダの周辺に建築物や樹木などがある場合なども、地デジの受信感度が低下してしまいます。特にベランダ内部の設置では、ベランダの空間を取ってしまい、手やものが触れることによるトラブルが起こりやすいというデメリットもございます。
壁面の設置では、位置によっては風雨を避けやすく目立たない。メンテナンスも行いやすいといったメリットがある反面、専用の器具を壁面に設置するため、壁面に穴を開ける必要がある。設置具の費用などで工事費が割高になるといったデメリットもございます。

他にも、現場の条件などによっては、二階建ての高さに相当する長いマストを庭先に設置し、その先端に八木式アンテナなどの各種テレビアンテナを設置するといった工法もございます。

(八木式アンテナは屋根裏空間に設置できる?)
先ほども少しご説明いたしましたが、平面型のデザインアンテナの場合、屋根裏や天井裏の空間に設置することで、住宅の外観に影響を与えず、自然環境からも影響されなくなり、経年劣化を軽減して高寿命化が望める工法も可能です。
では八木式アンテナは、屋根裏空間への設置はできないのでしょうか?
結論から申し上げると、八木式アンテナを屋根裏空間に設置することも不可能ではございません。ただ、八木式アンテナは大きさや重量があるため、デザインアンテナに比べて屋根裏へのアンテナ設置の条件が厳しくなります。
さらに別途、専用の設置具が必要となるため、工費がデザインアンテナに比べて大差がなくなる。また設置位置の低さから、受信性能もデザインアンテナの屋根裏設置と大差なくなるなど、特に八木式アンテナを用いるメリットが失われてしまいます。
したがって通常、屋根裏への地デジアンテナ設置では、ほとんどの場合、デザインアンテナが選ばれることになり、八木式アンテナが使われることはございません。

【八木式アンテナをDIYで設置できるか?】
近年では、テレビアンテナをDIYで設置する方もおられます。そして八木式アンテナをDIYで設置することも、決して不可能ではございませんが、DIYで設置するためにはいくつかの条件と、多くの作業が必要になってまいります。
まず、DIYで八木式アンテナを設置する場合は、ベランダや、屋根の上に出られる空間があるなど、地デジ電波が受信可能で、ご自宅でも安全にアンテナ工事ができる場所があることが必須となります。
DIYで屋根の上に八木式アンテナを設置する手順を解説しているサイトもございますが、屋根の上への八木式アンテナの設置は、プロのアンテナ工事業者の職人でも、プロ仕様の命綱やヘルメットなどの各種安全具を完全装備し、必ず二人以上の体制で工事を行うなど、万全の安全対策を整えて行うため、一般の方が行うことは決してお勧めできません。

ここでは比較的、安全な作業が可能となる、ベランダへの八木式アンテナ設置を例に挙げてご説明いたします。
まずあらかじめ、ご自宅の付近に位置し、現場に地デジ電波を届けている中継局の位置を確認します。そしてご自宅のベランダがその方向を向いているか、またご自宅の周辺が強電界、中電界。弱電界のどの地域にあたるか、現場に届く電波が水平偏波であるか垂直偏波であるかなどを確認しておきます。確認には以下のサイトが参考になります。
A-PAB(一般社団法人 放送サービス高度化推進協会)放送エリアのめやす

ベランダで地デジ電波が受信できるようであれば、現場の電波状態に適した素子数の八木式アンテナと、ベランダに立てられる設置用のマスト、または手すりに設置する金具などを用意します。
またベランダに設置したテレビアンテナから延びる同軸ケーブルを、屋内に引き込む方法には、エアコンのダクト用などの壁の穴を利用する方法と、薄型のフラットケーブルを用いて、サッシの隙間から通す方法がございます。ご自宅で用いる方法に応じて、適切な機材やケーブルを用意しておく必要がございます。

ベランダへの八木式アンテナ設置の手順としては、
・1:ベランダにマストなどのアンテナ設置具を設置し、中継局の方向、および水平偏波または水平偏波の角度に合わせて八木式アンテナを仮設置する。
・2:用意した配線を通して、アンテナと屋内のテレビを接続する。
・3:テレビの電源を入れて、アンテナレベルの確認画面に合わせる。
・4:八木式アンテナの位置を微調整して、アンテナレベルがもっとも高くなる位置を特定して、アンテナの角度を固定する。
という流れになります。

八木式アンテナを中継局へ向ける際には、前述のようにディレクター側、つまり矢印型(リフレクター)とは逆の方向を、中継局側に向ける形になります。ただ素子数の少ない強電解地域向けの八木式アンテナでは、リフレクター部分が小さく、矢印の形が明確でない場合もございます。地デジアンテナでは、BS/CSアンテナのようなミリ単位での角度調整は必要ありませんが、それでも安定した受信のためには、ある程度、アンテナレベルが高くなる角度で固定する必要がございます。

また八木式アンテナに限らず、DIYでのテレビアンテナ設置については、アンテナを設置したベランダの付近にある1台のテレビか、せいぜい2,3台程度のテレビで地デジ電波を受信する場合にのみ対応できます。
BS/CSアンテナ設置、またブースター分配器などの機器も設置して、多くの部屋にアンテナケーブルを配線するといった工事は、作業が複雑になる上、分配先での電波の減衰(弱まり)量なども計算する必要があり、DIYでの設置は難しくなります。
また作業中の事故でアンテナや機材が破損する。設置はしたものの、工事の不備や、用意したアンテナが現場の電波レベルに適合しておらず、うまくテレビが映らないなどのトラブルに対して、保障が存在しないのも難点といえます。

総合的には、多くの部屋でテレビを視聴したい、BS/CSアンテナも設置したいなど、ある程度、複雑なアンテナ工事をお求めであれば、DIYでのアンテナ設置より、専門のアンテナ業者にアンテナ設置工事を依頼される方が確実といえます。
専門の業者であれば、専用のレベルチェッカー(電波強度計)で、現場に届く地デジ電波の方向や強度を測定して、お客様のご要望に応じつつ、最適のアンテナ機種をご提案できます。さらに施工技術も高く、施工時のミスなどもまず考えられません。
また前述した当あさひアンテナの「10年保証」のように、長期のアフターフォローを用意している業者であれば、施工後の思わぬトラブルにも安心できます。

【まとめ】
八木式アンテナは2022年現在でも、受信性能ではもっとも優れた地デジアンテナといえます。
弱電界地域などのエリアによっては、八木式アンテナでしか地デジ電波が受信できないケースもある他、どのようなエリアでも低価格で安定した地デジ受信を実現してくれる、頼りになるテレビアンテナです。
ただ一方で、外観性が見劣りする、厳しい自然環境に弱いなどの弱点があるのも事実です。

当あさひアンテナでは、八木式アンテナはもちろん、デザインアンテナ、ユニコーンアンテナ、衛星放送用のBS/CSアンテナについても、国産一流メーカーの最新高性能モデルをご用意して、アンテナ価格をセットにした工事費用でアンテナ設置をご提供しております。

八木式アンテナに限らず、お住まいにおけるテレビアンテナ設置、交換などについては、アンテナのモデルから工法まで、現場に最適となるアンテナ工事を高品質、低価格でご提供する他、業界最長クラスである10年間のアフターフォロー体制もご用意している、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)か、メールフォームLINEアカウントまで、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 20,000円(税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。