BS/CSアンテナには電源が必要? テレビから衛星放送用アンテナに電源設定を行う方法

2022年11月29日

現在のテレビ放送では、一般的ないわゆる地上デジタル放送(地デジ)だけでなく、衛星放送であるBS放送、CS放送も広く普及しております。2023年(令和5年)現在、テレビを設置しているご家庭のほとんどでは地デジ放送がご覧になれますが、BS放送、CS放送の普及率も、約77パーセントを超えているといわれています。

 

そしてご家庭でBS放送、CS放送をご覧になるためには、地デジのテレビアンテナとは別に、BS/CSアンテナである、いわゆるパラボラアンテナを取り付けなければならないのは、皆様もよくご存じのことと思われます。

ただ同じテレビアンテナでも、BS/CSアンテナは、地デジアンテナとは異なるさまざまな性質がございます。

まずBS/CSアンテナは宇宙空間、東経110度に位置する人工衛星から送信される電波を受信しているため、地デジアンテナよりも正確に、東経110度(南南西)の方向に向けなければならず、ミリ単位のズレであっても受信感度が大きく低下してまいります。

他にも、人工衛星とアンテナとの間に、建築物が建造される、樹木が伸びるなどで障害物ができてしまうと、BS、CSの電波が受信できなくなる。豪雨などの悪天候でも衛星放送の画面が乱れ、受信できなくなることもある、などの特性がございます。

 

中でも、BS/CSアンテナの、地デジアンテナとは異なる最大の特性としては「電源が必要である」という点がございます。

BS/CSアンテナの電源設定に不手際があると、アンテナ本体や機器の設置には何の問題もなく、またどこにも故障や不具合がなくとも、住宅内のテレビなどでBS放送、CS放送が視聴できない、という事態も起こり得ます。

特に、ご自宅内の複数のテレビでBS、CS放送をご視聴になっているご家庭で、特定のテレビ以外ではBS、CS放送が映らなくなることがある、といった症状は、その多くが電源設定の不手際による問題となっております。

 

本コラムでは、当あさひアンテナへのトラブルのご相談として寄せられることも多い、BS/CSアンテナの電源に基づく、BS、CS放送の視聴に関するトラブルを解決するため、ご家庭のBS/CSアンテナに電源を供給している仕組みと、的確な電源設定を行う手順。電源に基づくBS、CS放送のトラブルへの対処法について、2023年度の最新データを元にご説明してまいります。

ご自宅にBS/CSアンテナを設置されており、特に複数台のテレビ、レコーダーなどでBS、CS放送をご視聴になっているご家庭の方には、ぜひご一読いただきたい内容の記事になっております。

 

【2023年現在における衛星放送の種類】

2023年現在、衛星放送の種類としては、一般に「BS放送(BSデジタル放送)」「CS放送(110度CSデジタル放送)」が広く知られています。また近年では他にも「新4K8K衛星放送」がスタートしております。まずは現在の一般的なBS/CSアンテナで受信できる、衛星放送の種類についてご説明いたします。

 

・BS放送(BSデジタル放送)

BS放送とは、衛星放送専用に設計された人工衛星「放送衛星(Broadcasting Satellite)」を用いた衛星放送のことです。現在の日本におけるBS放送は、一般家庭での視聴を目的としたもので「東経110度」に打ち上げられた放送衛星が使用されています。

現在のBS放送で視聴できるチャンネルには、まず無料放送として、地デジ放送のNHK、広域民放にあたる「NHK BS1」「NHK BSプレミアム」「BS日テレ」「BS朝日」「BS-TBS」「BSテレ東」「BSフジ」「BS11」と「TwellV(トゥエルビ)」「放送大学」「BS松竹東急」「BSJapanet」「BSよしもと」などがございます。他にも月額料金による契約で視聴できる有料放送も「WOWOW」「スターチャンネル」「J SPORTS」など、多くのチャンネルがございます。

 

・CS放送(110度CSデジタル放送)

CS放送は、無線通信を目的とした人工衛星「通信衛星(communications satellite)」を用いた衛星放送です。

日本の制度上は、不特定多数向けの「放送」と、限定された特定の者が利用する「通信」が厳密に区別されていました。そのため通信衛星によるテレビ放送も、当初は企業や事業者を対象に、ケーブルテレビ(CATV)や集合住宅による利用が想定されていました。しかし1989年(平成元年)の放送法の改正により、不特定多数の一般のご家庭でも、衛星放送用アンテナのご利用により、通信放送によるCS放送の受信が可能となりました。その後、CS放送局はさまざまな経緯を得て、現在では「スカパー!」にほぼ一本化されています。

CS放送(スカパー!)のチャンネルは、大半が月額制の有料チャンネルですが、それぞれ洋画、邦画、アニメ、ミステリー、時代劇、スポーツ、お笑いなど、細分化された数多くの専門チャンネルが存在します。視聴者はその中から、お好みの1チャンネルのみから、複数チャンネルのパックまで、チャンネル単位の契約により、お好みのチャンネルを選んで視聴することができます。

現在のCS放送には、BS放送と同じく「東経110度」に位置する通信衛星を用いた「110度CSデジタル放送(スカパー!)」と、「東経124度、128度」に位置する通信衛星を用いた「東経124度・128度CSデジタル放送(スカパー!プレミアムサービス)」が存在します。

これらの違いについて、詳しくはBS/CSアンテナの項でご説明いたします。

 

・新4K8K衛星放送

新4K8K衛星放送は、2018年(平成30年)12月にスタートした、衛星放送の4K8K放送です。これはBS放送、CS放送の一環として、それぞれの放送に4K、8K対応のチャンネルが追加されたものです。

4K、8K放送とは、従来の2Kフルハイビジョン(FHD)のそれぞれ4倍、16倍の高精細画質に加え、色彩や動画表現、音質も格段に向上した、よりリアルな映像を実現した放送で、4K、8Kテレビによって視聴できるものです。

ただこの新4K8K衛星放送をご視聴になるためには、一部のチャンネルを除き、4K8K対応型のBS/CSアンテナ、その他、対応するブースターや分配器の設置が必要となります。この点もBS/CSアンテナの項で詳しくご説明いたします。

 

これら衛星放送の種類などについての詳細情報は、以下のコラム内容もご確認ください。

衛星放送(BS放送・CS放送)の「テレビ電波」基礎知識

 

【2023年現在の主なBS/CSアンテナの種類】

現在のBS/CSアンテナ製品は、基本的にはどれもほぼ同じ構造の、太陽光に強い白色のパラボラアンテナになります。

BS/CS放送用のパラボラアンテナは、基本的に電波を受け止める皿状の円盤「ディッシュ」と、ディッシュの内側に反射してほぼ中央の一点に集まった電波を受け止める「コンバーター」および、それを下部から支える「アーム」で構成されています。

一般的なBS/CSアンテナ製品は、一台でBSデジタル放送、および110度CSデジタル放送(スカパー!)の双方の電波を受信することが可能です。これはどちらの人工衛星も東経110度に位置するためで、そのため「BS/110度CSアンテナ」とも呼ばれます。

現在の家庭用BS/CSアンテナは、ほとんどが「45型(ディッシュ部の直径センチ)」の製品ですが、中には50型、60型、75型などの大型の製品もございます。ディッシュ部が大型のパラボラアンテナは電波の受信感度が高くなるため、日本国内でも北端や南端の付近、離島部など、衛星放送の電波がやや弱い環境のエリアや、悪天候の際でも安定した受信を求める場合に使用されます。

他にも、太陽光に強い塗料を用いた黒色などのカラーバリエーション。風を通すパンチングホール仕様のディッシュを採用している他、各部を強化した高耐風モデルの製品などがございます。

2023年現在、一般の住宅に設置されているBS/CSアンテナの機種は、以下の二種類が考えられます。

 

・2K対応型BS/CSアンテナ

これは「新4K8K衛星放送」がスタートする2018年より以前に設置されたBS/CSアンテナ機種の多くになります。

このアンテナでは、右回転のらせん状に送信される「右旋円偏波」の衛星電波しか受信できないため、右旋の電波を用いた、いわゆる「右旋放送」である従来のBS放送、110度CS放送(スカパー!)は問題なく受信できますが、新4K8K衛星放送では、やはり右旋放送にあたるBS放送内の、NHK、広域民放の無料4Kチャンネルしか受信できません。

この点については、続く「4K8K対応型BS/CSアンテナ」の項で詳しくご説明いたします。

 

4K8K対応型BS/CSアンテナ

こちらは「新4K8K衛星放送」の放送がはじまる少し前より普及しはじめたBS/CSアンテナ機種で、従来の衛星放送の電波「右旋円偏波」と、新4K8K衛星放送の多くのチャンネルに使われる、左回転のらせん状に送信される「左旋円偏波」の双方が受信できるアンテナです。したがって従来のBS、CS放送および、新4K8K衛星放送のすべてのチャンネルが視聴できるアンテナになります。

これは、従来のBS放送、CS放送の電波は、すべて右旋円偏波で送信されていたのですが、新4K8K衛星放送のスタートにあたり、右旋の電波ではチャンネルに割り当てられる周波数帯が足りなくなったことによります。そのため、BS放送のNHK、広域民放の各4Kチャンネルを除いて、ほとんどの4K8Kチャンネルでは、新しく左旋の電波による「左旋放送」が採用されました。

そのためBS/CSアンテナ側でも、左遷の電波を受信できる4K8K対応型が必要になったのです。したがって2K対応型のBS/CSアンテナが設置されている住宅で、新4K8K衛星放送のすべてのチャンネルを視聴するためには、アンテナを4K8K対応型に交換する必要がある他、ブースターや分配器、また場合によってはケーブルも、より周波数が高くなる左旋の電波に対応できる機器が必要となってまいります。

 

(スカパー!プレミアムサービス専用アンテナ、およびマルチアンテナとは?)

上記の、東経124度・128度CSデジタル放送「スカパー!プレミアムサービス」とは、CS放送でも「スカパー!」より多チャンネルで、すべてのチャンネルがフルハイビジョンかそれ以上の画質になっているサービスです。

しかしその名称の通り、放送用の通信衛星として、東経110度に位置する「スカパー!」の人工衛星ではなく、東経124度、128度に位置するプレミアムサービス専用の通信衛星を使用しているため、通常のBS/110度CSパラボラアンテナでは受信できません。

「スカパー!プレミアムサービス」を視聴するためには、通常のBS/CSアンテナとは別に、東経124度、128度からの衛星電波を受信できる「プレミアムサービス専用アンテナ」か、または一台で東経124度、128度のブレミアムサービスおよび、新4K8K衛星放送を含む東経110度BS、CSのすべての衛星電波を受信できる「BS/CSマルチアンテナ」の機種を設置する必要がございますので、ご注意ください。

 

新4K8K放送や、ご視聴のために必要なアンテナ、機材などに関する詳細は、以下のコラムの情報もご参照ください。

「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!

2K放送と4K、8K放送の違い

用途・目的別、4Kテレビ、8Kテレビをおすすめできる方

超高画質!4K・8K放送の魅力と工事について

 

【BS/CSアンテナにはなぜ電源が必要となるのか?】

さて、ここからが本題になります。住宅に設置して、テレビなどの機器と接続するだけで地デジ電波を受信できる地デジアンテナとは異なり、BS/CSアンテナで衛星放送の電波を受信するためには、アンテナに電源を供給できる環境が必要となります。

これは上記した、BS/CSアンテナの「コンバーター(変換器)」部分に電源が必要なためです。

BS/CSの衛星放送の電波は、約1.2GHz(ギガヘルツ)、MHz(メガヘルツ)換算では12,000MHzという非常に高い周波数で送信されます。電波は周波数が高いほど直進しやすく、多くの情報が送信できる特性があるためです。しかし周波数の高い電波は、アンテナで受信した後、ケーブルで送信すると減衰(弱まり)が大きくなり、テレビ側で満足に受信できなくなります。

そのため、テレビにBS、CS放送のテレビ画面を映し出すためには、この高周波数の電波を、BS/CSアンテナのコンバーター部にある一次放射器に集めた後、コンバーターによってテレビ電波として扱いやすい約1,000MHz帯の周波数に変換する必要があり、この機能のために電源が必要なのです。

 

(BS/CSアンテナに電源を供給する方法)

BS/CSアンテナにはコンバーターのための電源が必要ですが、通常、BS/CSアンテナを確認しても、コンセントに接続するケーブルなどはついておりません。BS/CSアンテナはほとんどの場合、屋外に設置されるため、通常の電源ケーブルなどでは老朽化により漏電や感電などのリスクが生じるためです。そのためBS/CSアンテナへの電源は、コンバーター部から屋外のテレビなどへと電波を送信するアンテナケーブル(同軸ケーブル)が、コンバーター側に電源を供給する役割もはたしています。

 

ここで一般的な戸建て住宅で、地デジアンテナとBS/CSアンテナの両方を設置している場合のアンテナ配線について解説いたします。

まず地デジ、BS/CS、双方のアンテナのケーブルを、「混合器」という装置で一本にまとめて、配線をシンプルにします。

次にそのケーブルを、アンテナの真下などに設置される「屋外用ブースター(電波増幅器)」に接続し、地デジ、BS/CSの電波レベルを必要な強さにまで増幅します。なお混合器とブースターが一体化した装置もございます。

その後、ケーブルを屋内に引き込み、多くの場合は、アンテナ側からの一本のケーブルを、複数のケーブルに分配する「分配器」に接続します。分配器によって分配された複数のケーブルは、アンテナからの電波レベルを分配数によって割る形で、屋内の各部屋にあるアンテナコンセントへと接続され、地デジ、BS/CSの電波を送信します。

このアンテナコンセント部、またはテレビなどの機器の前に、混合器で一本のケーブルにまとめた地デジ、BS/CSの電波をふたたび分離する「分波器」を設置して、地デジとBS/CSの電波を別々のケーブルに分けます。

こうして分配された地デジ、BS/CSそれぞれのケーブルを、テレビなど受信機器側のチューナー端子である「地上デジタル入力端子」および「BS・110度CS-IF入力端子」に正確に接続することで、テレビ側の画面に、地デジおよび衛星放送(BS/CS)のテレビ放送が表示されるという仕組みになります。

 

そしてこの配線のうち、BS/CSアンテナに電源を供給している装置は「ブースター」か「テレビ、レコーダーなどの受信機器」のどちらかになります。

 

【BS/CSアンテナに電源を供給する装置の違い】

上記の通り、BS/CSアンテナに電源を供給するのは「ブースター」か「テレビ、レコーダーなどの受信機器」のどちらかになります。

アンテナに電源を供給する方法の違いは、以下の通りです。

 

・ブースター

ブースターとは前述のように、アンテナが受信した地デジ、BS/CSの電波を、個々の住宅で必要なレベルにまで増幅する装置のことです。

基本的には周辺の地デジ電波レベルが低く、そのままでは地デジ放送の画面が正しく映らないなど、視聴に問題が出る現場に設置されますが、現在では多くの住宅で、複数台のテレビなど受信機器が設置されるため、ほとんどの場合はブースターの設置が必須となります。

ブースターは電波を増幅する装置であるため、それ自体に電源が必要となります。そしてBS/CS放送対応型のブースターは、ブースターの電源からアンテナケーブルを通じて、BS/CSアンテナへと給電できる構造になっています。

そのために住宅に屋外用ブースターを設置しており、そこからBS/CSアンテナに給電している環境の住宅であれば、基本的にBS/CSアンテナの電源について考える必要はございません。

ブースターについての詳細は、以下のコラム内容の情報もご確認ください。

テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・前編(基礎知識編)

テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)

 

・テレビ、レコーダーなどの受信機器

ご自宅にブースターが設置されていない、またはブースターからBS/CSアンテナに給電されていない場合は、テレビ、レコーダーなどの「BS・110度CS-IF入力端子」に接続されたアンテナケーブルから、BS/CSアンテナ側へと、アンテナケーブルをさかのぼる形で給電することになります。

ただこの場合は、まずテレビなどの機器側で「アンテナ電源供給設定」を正しく行うことと、テレビから各機器を介してアンテナへと通じている配線、特に分配器の種類といった、環境設定が適切である必要がございます。この確認方法は次項で解説いたします。

 

【テレビ、レコーダーなどの機器からBS/CSアンテナに正しく給電する方法】

テレビ、レコーダーなどの「BS・110度CS-IF入力端子」からケーブルを通じてBS/CSアンテナに給電しているケースでは、テレビなどの機器側でBS放送、CS放送のチャンネルに合わせても、BS/CSアンテナに正しく給電されていないと、BS/CS放送がご視聴になれません。

これはBS/CSアンテナに給電されていないとコンバーターが働かず、テレビ側にBS、CS放送の電波が正しく届かなくなるためです。

テレビなどの機器側で、BS/CSアンテナまで的確に給電するためには、以下の手順で、電源設定を確認する必要がございます。

 

(テレビ、レコーダーなどの「電源設定」をオンにする)

テレビ、レコーダーなどからBS/CSアンテナの電源を供給する場合には、まずテレビなどの機器側で、BS/CSアンテナの「電源設定」を的確な内容で行う必要がございます。

設定方法は機器のメーカーやモデルによっても異なりますが、主にテレビなど機器のリモコンを操作して、設定画面を表示し「アンテナ設定」「衛星放送(BS/CS)」などの項目を選んでボタンを押してゆき「電源設定」などの設定画面を選択してください。機器ごとの正確な設定方法は、機器に付属するマニュアル(取扱説明書)や、メーカーの公式サイトの情報、サポートデスクなどを確認してください。

テレビなどの機器におけるBS/CSアンテナの電源設定の選び方は、主に以下の三通りになります。

 

・オン(入)

この設定では、テレビなど機器側の電源が入っている際には、常にBSアンテナへ電源の供給を行うことになります。

テレビ側をこの設定にしていれば、電源以外の部分に問題がない限り、まず確実にBS放送、CS放送をご視聴になれます。ただ一方で、ご自宅に設置されているテレビの台数が多い場合、すべてのテレビを「オン(入)」の設定にしていると、複数台のテレビからBS/CSアンテナへ過剰な給電が行われてしまい、ショートなどのトラブルを起こす可能性もございます。

そのため住宅内でBS放送、CS放送を受信するテレビなどの台数が多い環境では、以下の「オート」設定をおすすめいたします。

 

・オート

これはテレビなど機器側の電源が入っている場合に、機器側が自動的にBS/CSアンテナへの給電を行うかを判断して、給電するか否かを決定する設定です。主にテレビ側でBS/CS放送を視聴している、または録画している場合にのみアンテナに給電されることになります。

上記のように、住宅内でBS/CSアンテナに接続し、衛星放送を視聴するテレビなどの台数が多い環境では、BS/CSアンテナへの過給電を防ぐため、この設定が推奨されます。ただ場合によってはテレビ側の自動判断がうまく機能せず、テレビ側でBS放送、CS放送のチャンネルに合わせても、BS/CSアンテナに電源が供給されないため、BS、CS放送が映らないこともございます。

この場合は、電源設定を「オート」から「オン(入)」に変更すれば、ほとんどの場合は正常に視聴できるようになります。

 

・オフ(切)

テレビなど機器側からBS/CSアンテナに電源を供給しないという設定です。ブースターからBS/CSアンテナに電源を供給している場合。またマンションなどの集合住宅で、共同受信用のBS/CSアンテナを使用しており、個々の世帯からの給電が必要ない場合は、住宅内でBS/CS放送を視聴するテレビの電源設定を、すべて「オフ(切)」にしてください。そうしないと、電力が無駄になる他にも、ブースターに加えてテレビなどの機器からも給電されることで、やはり過給電状態になり、アンテナトラブルの原因になる可能性もございます。

 

基本的に、BS/CSアンテナを設置している戸建て住宅で、ブースターからBS/CSアンテナに給電されていない場合、BS、CS放送を視聴するテレビなどの電源設定は、台数などに応じて、それぞれを「オン(入)」か「オート」にしてください。

ご自宅で複数台のテレビをBS/CSアンテナに接続していても、電源設定が「オフ」のテレビでBS、CS放送のチャンネルに合わせた場合は、電源設定が「オン」の他のテレビの電源が入っているか、「オート」のテレビでBS、CS放送を視聴していない限り、BS/CSアンテナに電源が供給されないため、BS、CS放送が映らないことがございます。

また住宅内のひとつの部屋で、アンテナコンセントからのアンテナケーブルを、テレビとレコーダーなど複数台の機器に接続しているケースもございます。この場合は、ケーブルと機器との接続方法にもよりますが、例えばレコーダーの電源設定が「オン」「オート」でBS/CSアンテナに給電する設定にしていても、テレビの電源設定が「オフ」になっていると、レコーダーの電源を入れていない場合に、テレビのみではBS、CS放送が視聴できないというケースも考えらえます。

この場合には、室内にあるテレビ、レコーダーの双方で、個々の電源を入れた際に、BS/CSアンテナへ給電するように設定しておく必要がございます。

 

(分配器は「全端子通電型(全端子電流通過型)」を使用する)

もうひとつ、テレビなどの機器からBS/CSアンテナに電源を供給する場合、重要になるのが「分配器」の種類です。

分配器とは上記の通り、「混合器」によって一本にまとめられた、地デジ、BS/CSアンテナからのケーブルを接続し、各部屋のアンテナコンセントに送られる複数のケーブルへと分配する装置のことです。

分配器の構造は、アンテナ側から送られるケーブルを接続する、電波の「入力端子」がひとつと、分配した電波を送り出す複数の「出力端子」から成り立っています。出力端子の数には、2端子型から8端子型(7端子を除く)が存在し、通常はその住宅のアンテナコンセント数に、予備の1端子分を足した端子数の分配器が使用されます。

分配器についての詳細情報は、以下のコラム内容もご確認ください。

アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い

テレビアンテナの分配器の設置・接続、交換方法と注意点

 

この分配器は、アンテナからのテレビ電波を分配して送信するだけでなく、テレビなどの機器からBS/CSアンテナに電源を供給する場合は、電源を入れた、またはBS/CSのチャンネルに合わせた各テレビの端子から、ケーブルを逆流する形で電気が流され、分配器を経由してBS/CSアンテナのコンバーターまで送られることになります。

ただここで注意すべき点は、分配器には「1端子通電型(1端子電流通過型)」と「全端子通電型(全端子電流通過型)」というタイプが存在することです。

 

「1端子通電型」とは、複数ある出力端子のうち、テレビ側から送られる電気を、入力端子を経由してアンテナ側のケーブルに送り出すことができる、つまり通電する出力端子がひとつしかないタイプの分配器のことです。

このタイプの分配器を使っている場合は、アンテナコンセントに接続されたすべてのテレビの電源設定を「オン」または「オート」にしていても、テレビ側から送られる電気は、通電する一か所の出力端子に流されるものを除いて、分配器の時点で止まってしまい、BS/CSアンテナ側に届かなくなります。

したがって、通電する一か所の出力端子に接続されたテレビの電源を入れる、またはそのテレビでBS、CS放送のチャンネルに合わせることにより、BS/CSアンテナに電源を供給しない限り、その他すべてのテレビでBS、CS放送を視聴できなくなります。

 

対して「全端子通電型」とは、すべての出力端子が通電して、テレビ側からの電気をアンテナ側に送ることができる分配器のタイプです。

このタイプであれば、接続されるすべてのテレビの電源設定を「オン」か「オート」に設定すれば、どれか一台の電源を入れる、またはBS。CSのチャンネルに合わせた時点で、テレビからBS/CSアンテナに通電するため、どのテレビでも電源を入れて衛星放送のチャンネルを選ぶだけで、安定してBS/CS放送が視聴できることになります。

 

この分配器のタイプの違いは、かつてはテレビからBS/CSアンテナへの給電は、一台のテレビからアンテナへと常に給電し続ける「常時給電」が主流だったことによるものです。そのため住宅に複数台のテレビがある場合は、どれか一台のテレビからBS/CSアンテナに給電していれば、他のテレビから給電する必要はなくなり、1端子通電型の分配器が利用されました。

しかし近年では、節電の視点から、前述した「オート」の電源設定により、各テレビでBS、CS放送を視聴するときのみに、BS/CSアンテナへと通電する形が多くなってきました。その場合は、個々のテレビでBS、CS放送を視聴する際に、アンテナに電源を供給する必要があるため、全端子通電型の分配器が用いられるようになったのです。

 

全端子通電型の分配器は、構造上、1端子通電型のものに比べるとやや高価になりますが、それ以外の分配器としての性能に大きな違いはございません。そのため、ブースターからBS/CSアンテナに電源を供給している、または一台のテレビから常時給電を行う場合は、1端子通電型の分配器でも、BS、CS放送の視聴について特に問題なく利用できます。

ただ、ブースターではなく、屋内にあるテレビ、レコーダーなどの機器から直接、BS/CSアンテナへと給電する環境の場合が、屋内のすべての機器で電源を入れた際、またはBS、CS放送のチャンネルを選んだ際、BS/CSアンテナへ電源を供給するよう、全端子通電型の分配器を選択する必要がございます。

分配器は、各部屋のアンテナコンセントへとアンテナケーブルを分配する大本の機器だけでなく、各部屋にテレビとレコーダーなど複数の機器が設置されている場合も、それぞれの機器にケーブルを分配するための2分配器などが使われることもあるため、ご自宅で使われているすべての分配器が、全端子通電型であるかを確認する必要がございます。

ただ前述のように、分配器で分配した電波は、入力端子の電波レベルから、各出力端子では分配数で割る形になって電波レベルが低下してしまうため、分配器の先に分配器を、過度に接続するといった使い方はあまりおすすめできません。

 

【まとめ】

BS/CSアンテナに電源が供給されていないために、テレビ側でBS、CS放送が映らない場合は、上記のような電源設定の確認や、正しく電源を供給する環境が整うように手順をとることで、問題は解決できます。

 

もしBS/CSアンテナの電源設定などに問題はないのに、BS、CS放送の画面が正しく表示されない場合は、

・BS/CSアンテナ本体(コンバーター部)の故障、またはケーブルの接触不良。

・ブースターの電源部、分配器などの劣化、故障。

・テレビ、レコーダーなど受信機器本体の不具合。

・その他、アンテナからテレビに至る配線の間の機器の不調、またケーブルの断線や接触不良など。

・BS/CSアンテナの角度のズレ。

・B-CASカードの不調。

・悪天候による受信不良。

・テレビなどの受信機器にアンテナケーブルが接続されていない、有料チャンネルと契約していないなどの基本的なミス。

などの要因が考えられます。

 

これらの要因によるBS、CS放送の受信、画面トラブルについては、以下のコラム内容の情報もご参照ください。

地デジ・BS/CS放送のテレビ画面が乱れる原因とその対策

地デジ、衛星放送で起こりえる電波障害の種類とその対処法

一部屋だけテレビが映らない不具合の原因と対処法

地デジ放送は映るのにBS/CS衛星放送が映らない場合の対処法

テレビ本体の不具合・故障とその原因、症状別の対処法と修理費用

 

またBS、CS放送のご視聴をはじめ、アンテナやテレビ放送の受信に関するトラブルで、ご自宅での対処、復旧が難しい場合には、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)、メールフォームLINEアカウントまで、お気軽にお問い合わせください。

アンテナ工事のプロである弊社の従業員による、お電話での対処のご説明から、それで解決が難しい場合には、弊社の職人がご自宅に出向いての復旧工事まで、お客様のご要望に応じて早急にご対処いたします。

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アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 20,000円(税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。