自宅で衛星放送のBS放送が映らない原因と対処法とは? テレビ本体やBS/CSアンテナの調整、修理で解決する方法を全解説!
21世紀の今ではテレビ放送も、地上デジタル放送(地デジ)だけでなく、衛星放送も一般のお住まいに広まっております。
日本の衛星放送といえば、BS放送、CS放送の二種類が知られておりますが、有料チャンネルが中心のCS放送に比べて、BS放送はNHK、広域民放の各チャンネルや、その他の無料チャンネルが存在するため、ご自宅にBS/CSアンテナさえ設置すれば、地デジ放送と同じく、多くのチャンネルを基本的に無料(NHK受信料を除く)でご覧いただけるのが特徴です。
BS放送のNHK、各広域民放チャンネルは、日本国内の各エリアで放送内容、場合によってはチャンネル数まで異なる地デジ放送とは違い、日本国内の全域で放送内容が同一であり、地デジのチャンネルにはないオリジナル番組をはじめ、独自の編成によるさまざまな番組を楽しむことができます。
また近年では衛星放送の4K8K放送「新4K8K衛星放送」がスタートしており、BS放送の無料チャンネルにもNHK、広域民放の4K、8Kチャンネルが追加されております。
地デジ放送の4K、8K化も、2023年(令和5年)現在、計画は進められておりますが、具体的な実施はまだまだ未定で、現状ではご家庭に4K、8Kテレビを導入しても、テレビ放送で4K、8K放送を楽しめるのは、衛星放送のみになっております。
ただ、このようにさまざまな魅力を持つBS放送も、ご自宅における受信環境の悪化から、テレビアンテナ、関連機器のトラブルなど、さまざまな要因で突然、映らなくなるといった事態が起こることもございます。
今回のコラムでは、BS/CSアンテナを設置されているご自宅のテレビにて、突然、BS放送が正常に映らなくなったトラブルでお困りの際に、その症状の例、例えば地デジ放送は映るのにBS放送だけが映らない。逆に地デジ、衛星放送の双方ともまったく映らない。画面が乱れる、またエラーコードが表示されるなど、その症状から要因別に考えられる原因の一覧と、それぞれの対処法について解説してまいります。
なお、衛星放送をはじめ、テレビ画面が正常に映らない際に表示されるエラーコードは、トラブルの原因を突き止める上で、非常に重要な手掛かりとなります。
エラーコードの基礎知識、各コードの意味と解説については、以下のコラム記事に詳しい紹介がございます。
・アンテナ受信トラブルでテレビ画面に「E201」などエラーコードが表示されて映らない問題の原因と解決する対処の方法とは?
主な要因1:BS放送など衛星放送のテレビ電波に問題がある場合。
そもそも衛星放送とは、地上から見て、いつも上空の同じ位置に静止して見える「静止衛星」と呼ばれる人工衛星から、テレビなどの電波を送信している放送です。実際には静止衛星は地球のまわりを周回していますが、そのペースが地球の自転と一致しているため、空の同じ場所に静止しているように見えるのです。
衛星放送の電波は、まず地上にある放送局から、静止衛星に向けて送信(アップリンク)されます。
静止衛星ではその電波を受け止めて、周波数帯を変換して増幅した上で、地球上の広い範囲へ送り返す(ダウンリンク)形式になります。
この形式によって、日本国内に数多く設置された電波塔からテレビ電波を送信することで、日本国内の多くのエリアをカバーしているものの、一部に電波の弱いエリアや届かないエリアも存在する地デジ放送に比べて、一基の静止衛星から日本の国内全域など非常に広い範囲へ、効率的に大容量の情報を送信できる。また地上の障害物や災害などにも影響を受けにくく、安定してテレビ電波を送信できる点が衛星放送の特徴といえます。
日本の衛星放送には、BS放送、CS放送の違いがあり、現在ではどちらもデジタル化され、BSデジタル放送、CSデジタル放送になっていますが、これは放送に使われる静止衛星が、BS放送は「放送衛星(Broadcast Satellite)」。CS放送は「通信衛星(Communication Satellite)」という違いです。
BS放送は、地デジ放送と同じく不特定多数を対象するテレビ放送になるので、日本国内においてBS放送を受信できるアンテナを設置すれば、月額の視聴契約が必要な有料チャンネルを除いて、誰でも視聴できます。
CS放送は「スカパー!」のサービス名で知られる通り、視聴者側が放送事業者との契約を結ぶことで視聴できるテレビ放送です。BS放送以上の多チャンネルが特長で、視聴したい有料チャンネルを選んで、個別に契約することで視聴できます。
現在、BS放送、そしてCS放送の主なサービス「スカパー!」とも、それぞれ東経110度に位置する放送衛星、通信衛星を使用しているため、住宅などにBS/110度CSアンテナを設置することで、双方の放送電波を受信できます。
ただ衛星放送では、その放送形式から、地デジ放送とは異なる種類の電波を使用しているため、その電波の性質により、電波の乱れなどが生じて、設置されたBS/CSアンテナで十分に受信できなくなることがございます。
下記の項では、その主な要因について解説してまいります。
BS放送が映らない要因01:衛星放送の電波が障害物により遮断されている。
(主な症状:BS放送、CS放送とも受信できない。地デジ放送は問題なく受信できる)
衛星放送では、静止衛星から送信される電波として、非常に周波数帯の高い、マイクロ波と呼ばれる電波のうち「SHF波(センチメートル波)」と呼ばれる電波を使っています。
衛星放送の電波の周波数帯は12GHz(ギガヘルツ)前後であるため「12GHz帯」とも呼ばれ、その波長の幅は25ミリ前後になります。
電波は周波数帯が高い(波長が短い)ほど、その性質が光に近くなり、長距離までまっすぐ届く直進性が強くなるため、人工衛星から地上までの長距離を送信される電波には、12GHz帯の電波が適しているのです。
衛星放送では、この光に近い性質を持つ12GHz帯の電波を、静止衛星から地球上の日本列島全体をライトで照らし出すようにして送信しています。
地上では、静止衛星から直進的に送信される12GHz帯の電波を、パラボラアンテナであるBS/CSアンテナで受けとめて受信していますが、このように周波数帯が高く光に近い電波は、日光が障害物に当たると遮られて影ができるように、障害物に遮られやすいという性質もございます。
つまりBS放送などの衛星放送では、静止衛星からレーザー光線のように直進的に送られる12GHz帯の電波を、各住宅などに設置されたBS/CSアンテナで受け止めていることになります。
したがって、BS/CSアンテナの設置時には、パラボラアンテナの円盤状の部分(ディッシュ)の正面を、静止衛星の方向(東経110度)へと正確に向けることができ、静止衛星とBS/CSアンテナの間の、電波が通る直線状の空間に障害物が存在しない位置を選ぶ必要があるのです。
この直線状の空間に、山地や高層ビルなどの建物、住宅の壁などはもちろん、樹木や伸びた枝葉、電柱や電線、クレーン車、または洗濯物など、少しの障害物で環境が変わってしまうだけでも、ちょうどBS/CSアンテナのディッシュに影を落とすような形で、12GHz帯の電波が遮られてしまい、衛星放送の受信状態が悪くなってしまうのです。
このような場合には、BS/CSアンテナで受信できる電波レベルが大きく低下しているため、BS放送など、衛星放送の画面にブロックノイズが発生する。また「E201」「E202」「E209」などのエラーコードが表示され、衛星放送が映らなくなります。
なお地デジ放送に関しては、使用されるテレビ電波、および受信するアンテナが異なるため、基本的に影響はございません。
ちなみに、上記エラーコードのうち、「E201」は、BS/CSアンテナで受信できる、衛星放送の電波レベルが低下していることを示します。
「E202」は、テレビなどの受信機器に、衛星放送の電波がまったく届いていないことを示します。
「E209」は、BS/CSアンテナのケーブルがショートして、アンテナで電源が必要となる「コンバーター」部の保護機能が働いた場合に表示されるコードですが、12GHz帯の電波が受信不良の際に表示されることもあります。
この場合の対処としては、まずBS/CSアンテナが設置されている位置から見た、東経110度(南西方向)の方向の周りに、12GHz帯の電波を遮る障害物が存在しないかを確認してください。
考えられるパターンとしては、BS/CSアンテナを向けた方向に、新しく建築物や住宅、電柱などの施設、設備が建造された。工事中のクレーンなどがある。樹木の枝葉などが伸びた。洗濯物が干されているなどの例が多くなります。
障害物がご自宅の樹木や洗濯物などの場合であれば、せん定や撤去などで障害物を排除すれば問題は解決します。ただ近隣の住宅の樹木、洗濯物などの場合は、その家にお住まいの方と話し合いの上、障害物の撤去をご依頼されることが必要です。
また建築物など、撤去が難しい障害物の場合は、ご自宅のBS/CSアンテナの設置位置を変更する対処が必要になります。ただビルや高層マンションなど、新しく建てられた建築物が障害物になっている場合は、お住まいの自治体の担当部署を通じて、民法における「原因者負担の原則」に基づいて、物件のオーナーや建造者に、費用は相手方の負担で、適切な対処を求めることができます。
なお当あさひアンテナなど、アンテナ工事の専門業者であれば、BS/CSアンテナの設置に当たって、基本的にはお客様の要望を踏まえつつも、将来的にわたって12GHz帯の電波を遮る障害物が発生する可能性が低い位置を選択いたします。
そのためBS/CSアンテナの設置後、障害物の発生により電波障害が発生することは、絶対にないとは申せませんが、可能性は非常に低くなります。
なおBS放送など衛星放送、また地デジ放送の電波に関する基礎知識、および障害物などが原因の電波障害に関しては、以下の各コラム記事にて、詳しくご説明しております。
・現在の地上波テレビ放送で地上デジタル放送が開始されたのはいつ? デジタル放送とか何か、その仕組みや特徴も全解説!
・電波障害? テレビが映らない原因はアンテナトラブル? 確認と対処法
・BS・CS放送がテレビで正しく映らない原因と対処法・アンテナの受信から工事を解説
BS放送が映らない要因02:悪天候による12GHz帯の電波レベルの乱れ。
(主な症状:天候の状況により、BS放送、CS放送ともブロックノイズで画面が乱れ、またはまったく受信できなくなる。地デジ放送には影響のないケースも多いが、やや画面が乱れることもある)
上の項でご説明した通り、衛星放送に使われる12GHz帯の電波は、波長が25ミリ前後と短く、光のように直進性が強い半面、障害物に遮断されやすい弱点があります。
さらに電波は全般的に水(水分)に弱く、例えば大型の水槽などにぶつかると吸収されて、大きな減衰(電波レベルの弱まり)が起こります。
特に衛星放送の12GHz帯の電波は、25ミリ前後の波長の短さから、一般的な雨や雪などではさほど大きな影響は受けないものの、激しい大雨や大雪で、雨や雪の粒の大きさが25ミリに近くなると、空中で電波が雨や雪に吸収される。さらに細かく降りそそぐ雨や雪により、電波の乱反射が生じるといった事態が発生し、BS/CSアンテナに届く電波状態が大きく悪化します。このような症状を、テレビ電波の「降雨減衰」「降雪減衰」と呼びます。
この場合は、BS放送、CS放送とも、電波レベルの低下によるブロックノイズなどの画面の乱れ。さらには電波レベルがより悪化すると、上記した「E201」「E202」のエラーコードが表示され、衛星放送が映らなくなるといった状態になります。
なお地デジ放送では、地デジ電波は12GHz帯の電波に比べて波長の幅が広いため、悪天候によってそこまで大きな影響を受けることはありませんが、現場の電波状態によっては、やはり地デジ電波レベルがやや減衰し、地デジ画面の乱れなどが生じるケースも出てきます。
衛星放送における、降雨減衰、降雪減衰への対策は、基本的に天候の回復を待つことになります。
ただ、降雨減衰や降雪減衰の予防策として、一般住宅用の、ディッシュ部の直径が約45センチの45型BS/CSアンテナではなく、50型、60型、75型などやや大型のBS/CSアンテナを採用するという方法が考えられます。
BS/CSアンテナのディッシュ直径には、一般住宅向けの45(センチ)型の他に、50型、60型、75型、90型、120型などが存在し、ディッシュ直径が大きいほど受信性能が向上します。
戸建て住宅向けでは45型でも十分な受信性能があり、大型のBS/CSアンテナは、基本的にアパートやマンションなど、集合住宅の規模に合わせた共同受信用アンテナになります。
ただ戸建て住宅でも、50型から75型と、やや大型のBS/CSアンテナを使用することで、受信性能が高まり、悪天候による12GHz帯の電波の乱れに影響されにくくなります。
一方で、このような大型BS/CSアンテナには、やや価格が高価になる。また風雨などの影響で角度のずれなどのトラブルが生じやすくなるデメリットも出てまいりますので、ご注意ください。
なお当あさひアンテナでは、一般住宅におけるBS/CSアンテナ設置工事について、日本三大アンテナメーカーの一社である大手メーカー、DXアンテナ製の2K4K8K対応45型高品質モデル「BC45AS」をご用意し、地デジアンテナ設置と同時の追加設置であれば、BS/CSアンテナ本体に設置具、ケーブルなど基本部材を含めた基本設置費用「15,000円(税込み)」からでご案内しております。
他にも、ブラックのカラーバリエーションモデルや、50型から120型まで、各ディッシュサイズのBS/CSアンテナも取り揃えているため、設置現場の見た目の重視や、マンションなど集合住宅の共同受信用。さらには降雨減衰、降雪減衰への対策や、後述する衛星放送の電波レベルが弱いエリアなど、さまざまな現場やご要望に対応できるBS/CSアンテナ設置工事をお引き受けいたします、
また衛星放送におけるBS/CSアンテナの基礎知識やモデルの選び方、および降雨減衰、降雪減衰をはじめ、悪天候により衛星放送や地デジ放送が受ける影響、その対策については、次の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・衛星放送用バラボラアンテナ・BS/CSアンテナの種類と選び方とは? 地デジテレビアンテナとの違い、家屋への設置工事を解説
・衛星放送用BS/CSアンテナの種類と性能とは? 地デジテレビアンテナとの違い、設置工事の方法から機種の選び方まで解説!
・雨や雪が降るとBS、CSの衛星放送が映らなくなる原因と衛星放送用テレビアンテナを調整して映るようにする対処方法とは?
・アンテナ設置工事の台風対策。テレビが映らない、アンテナが倒れるなどの原因と対策、予想される風災トラブルへの対処方とは?
・降雪や積雪の影響で地デジ、BS/CSのテレビ放送が映らなくなるトラブル対策になるアンテナ工事の方法とは?
BS放送が映らない要因03:衛星放送の電波が弱まる地域に当たる。
(主な症状:日本の一部エリアでのみ、衛星放送の受信について電波レベルが低下し、映像の乱れや受信不良が生じやすくなる。地デジ受信については特に影響なし)
上記で述べた通り、衛星放送では、静止衛星から光のように直進性の強い12GHz帯の電波を放って、日本全体をライトで照らすような形で電波を送信しています。
そのため、日本全域におおむね安定したレベルの電波を送信でき、障害物や天候の影響を除けば、地デジ電波の弱電界地域、難視聴地域のような、衛星放送の電波レベルが極端に弱い、受信できないといったエリアは日本国内には存在しません。
ただ衛星放送の電波レベルも完全ではなく、静止衛星と地上までの距離に応じて、送信される電波の減衰が生じます。
暗い場所を懐中電灯で照らしたときに、照らされた光の輪が、電灯から近い中心部ほど明るく、周辺にゆくほど、電灯から距離ができて暗くぼやけていくのと同じように、東経110度(日本から見て南西側の上空)の静止衛星から照射される12GHz帯の電波も、衛星からの距離が近い日本の中心部ほど電波レベルが強く、東北や北海道、また沖縄やその他、離島部など、日本の中心から離れるほど、距離による減衰が大きくなります。
したがって日本国内でも北部や南端に当たる地域では、中央部に比べてやや12GHz帯の電波レベルが低くなります。この電波レベルの低下は、即座に受信不良につながるほど極端なものではありませんが、このようなエリアで、一般的な45型のBS/CSアンテナを使用すると、電波の受信レベルがやや低くなり、映像の乱れや、気候などの影響で受信できないというトラブルが発生しやすくなります。
このような地域では、一般の住宅などでも、受信性能が向上する50型、60型など、やや大型のBS/CSアンテナが必要になりますのでご注意ください。
BS放送が映らない要因04:BS放送局の放送休止や有料チャンネルの未契約、契約切れ。
(主な症状:BS放送やCS放送でも特定のチャンネル、特に有料チャンネルだけが映らない。それ以外のチャンネルや地デジ放送には問題がない)
衛星放送でもチャンネル全般が映らないのではなく、BS放送、CS放送の一部チャンネルが映らない場合は、該当するチャンネル放送局の問題である可能性が考えられます。
衛星放送でも、特定のチャンネルで、テレビ画面に「E203」のエラーコードが表示されている場合は、その放送局が放送休止中であることを示しています。衛星放送の番組表などを確認して、該当の放送局が放送休止の時間帯であるかどうかをご確認ください。
ただ該当チャンネルの電波が弱い、届いていないなど、本来なら「E201」「E202」のエラーコードが表示される状況でも、ときに「E203」が表示されるケースもあります。
もし放送局で特に問題なくテレビ放送されている状態で、このエラーコードが表示される場合は、テレビ電波が届いていない、弱まっていると考えて、その原因を確認、対処することが必要です。
他にも、「E204」のエラーコードが表示される場合は、テレビ局に割り当てられていない空きチャンネル(未配信チャンネル)に合わせていることを示します。テレビ局に割り当てられているチャンネルに切り替えて、正しく映るようであれば、特に問題はございません。
また「E205」が表示される場合は、視聴契約を結んでいない有料チャンネルなど、未契約のチャンネルを選んでいることを示しています。
視聴契約を結んでいるはずの有料チャンネルでこのメッセージが表示される場合は、合わせているチャンネルは正しいか。視聴契約の際に選ぶチャンネルを間違えなかったか。誤って解約していないかなどを再度ご確認ください。
比較的、多いケースとして、視聴料金のお支払いに使っている銀行口座の残高不足、クレジットカード自体の期限切れなどにより、月額視聴料金が支払われておらず、視聴契約が自動的に解約された、というケースが見られます。
契約中の有料チャンネルが正しく映らない場合は、公式サイトなどでチャンネルとの契約内容。また視聴料金のお支払に使用している銀行口座、クレジットカードなども確認される必要があります。
主な要因2:ご自宅のBS/CSアンテナ本体や配線部、テレビ機器などに問題がある場合。
上記「主な要因1」のトラブル例は、静止衛星から送信されるBS放送の電波に問題があって、BS放送が正しく映らないパターンを集めたものです。したがって、ご自宅のBS/CSアンテナ環境に問題がなくとも、起こり得るトラブルとなります。
次に、下記の目次にて、ご自宅のBS/CSアンテナからアンテナ配線部、および設置されるブースター、分配器などの周辺機器。またテレビ本体などBS放送の受信、視聴機器に起因するトラブル例を挙げてまいります。
これらの例は症状にもよりますが、ほとんどの場合、ご自宅のBS/CSアンテナをはじめ、各種機材や機器の調整をお試しいただくか、機材の修理、交換などで対処できます。
BS放送が映らない要因05:BS/CSアンテナの角度のズレ、部分的な故障。
(主な症状:BS放送、CS放送で全般的に画面が乱れる。また映らなくなる「E201」「E202」のエラーが表示される。地デジ放送の受信に特に問題はない)
パラボラアンテナであるBS/CSアンテナを設置する際、重要となる2つのポイントは、前述のように静止衛星と設置されたBS/CSアンテナとの間、12GHz帯の電波が通る直線状に、電波を遮断する障害物が存在しないこと。
そしてもうひとつが、BS/CSアンテナのディッシュが、静止衛星の位置する東経110度の方向を正確に向いていることです。
BS/CSアンテナは、静止衛星から直進的に送信される12GHz帯の電波を、ディッシュの内側で受け止めて反射させ、ディッシュの中心部に固定されたコンバーターの一次放射器に12GHz帯の電波を集める仕組みになっています。
そのため、ディッシュをミリ単位の正確さで東経110度へと向ける必要があり、この角度がわずかでもズレると、コンバーターに電波が集まらなくなるため、BS/CSアンテナの受信レベルが大きく低下して、BS放送の画面がブロックノイズで乱れる、映らなくなるなどの問題が生じます。
特にBS/CSアンテナは、ディッシュが風を受けやすいデザインになっていることから、風雨などに影響されやすく、特に設置から歳月が過ぎて老朽化したアンテナでは、自然環境の影響による角度のズレが起こりやすくなります。
この場合、あらためてBS/CSアンテナの角度調整をおこない、しっかり設置し直す作業が必要となります。東経110度の方向は、おおむね南西方向ですが、正確な角度は日本国内でも地域によって異なり、現場ごとに受信感度が最大になるよう微調整が必要です。
スマートフォンのアプリ「BSコンパス」などを利用すれば、地域ごとの東経110度の方向がコンパスで確認できるため、角度調整の作業がたいへん簡単になります。
ただご自宅でBS/CSアンテナの角度調整を行うには、BS/CSアンテナの設置位置がベランダなど、作業の安全を確保できることが絶対的な条件です。設置の箇所が屋根の上などの高所で、作業に大きな危険を伴う場合は、絶対にご自分では行われず、アンテナ工事業者にご依頼ください。
他にも、BS/CSアンテナ本体のトラブルとしては、接合部の老朽化で確度のズレが生じやすい。ケーブル接続部の腐食で電波を送信できないなどの例が考えられ、この場合はアンテナの修理や交換が必要となってまいります。
なお、風雨などの影響によるBS/CSアンテナの老朽化、角度のズレなどによるトラブルを防止する方法としては、高耐風モデルのBS/CSアンテナを使用することが効果的です。
高耐風BS/CSアンテナは、例えばDXアンテナ社製、2K4K8K対応45型高耐風モデル「BC453SG」では、ディッシュ部に無数のパンチングホールを開けて風を通す構造や、各接合部の強化などにより、従来の通常BS/CSアンテナモデルに比べて耐風性能が大幅に強化され、台風レベルの強風の中でも、衛星放送の受信不良や角度のズレ、ひいては老朽化などのトラブルが発生するリスクを低下させております。
なお、当あさひアンテナでは、この「BC453SG」の標準設置工事を、通常のBS/CSアンテナモデルと同じ条件において「特別価格」にて施工をお引き受けいたします。
BS/CSアンテナ角度のズレや調整方法、高耐風BS/CSアンテナについては、次の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・台風対策に最適! 究極の高耐風BS110度CSアンテナ「BC453SG」(DXアンテナ)
・BS/110度CSアンテナで安定して衛星放送を受信できる設置の場所とアンテナの向きや角度を正確に調整する方法
・BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!
BS放送が映らない要因06:BS/CSアンテナのコンバーター電源設定ミスや故障。
(主な症状:BS放送、CS放送がまったく映らず、画面に「E202」「E209」のエラーコードが表示される。地デジ放送には特に影響がない)
地デジアンテナと異なり、BS/CSアンテナには、電源の供給が必要となります。
BS/CSアンテナで受信する12GHz帯の電波は、周波数帯が高すぎるため、そのまま同軸ケーブルで送信すると減衰量が非常に大きくなります。そのため上記した、電波を集めるコンバーター部で、ケーブルで送信しやすいMHz(メガヘルツ)帯の周波数に変換する必要があります。
このコンバーターは、電気的エネルギーである電波の周波数帯を変換するため、電源が必要となるのです。コンバーターの電源は、アンテナの配線部を通じて、ブースターの電源部。またはテレビ、レコーダーなどのBS/CSチューナー端子から給電することになります。
テレビやレコーダーなどの機器から給電する場合は、それぞれの機器の「BS電源設定」などの画面から、適切な電源設定を行うことになります。
このBS/CSアンテナへの給電については、住宅内に設置された特定のテレビなど機器から、常にBS/CSアンテナへ給電する方法。また住宅内にある複数台のテレビ、レコーダーで、BS放送、CS放送を視聴する際のみ、該当するテレビなどから随時、給電する方法の二通りに分かれます。
いずれにせよ、テレビ、レコーダーなどの機器側から、配線部を通じてBS/CSアンテナへと給電する形になるため、給電の方式によっては、例えばBS/CSアンテナに常時給電しているテレビの電源がオフになっていると、コンバーターが作動しないため、他の部屋のテレビで衛星放送を視聴できない。
また常時給電の形式で、複数台のテレビから同時に給電が行われた場合、過給電によるショートでコンバーターが作動しなくなり、やはり衛星放送が視聴できなくなるため、テレビ側のBS電源設定で「オン」「オート」など、給電方法に合わせた適切な設定を行う必要があります。
また、アンテナ配線部から、住宅内の各部屋にアンテナケーブル(テレビ電波)を分配する「分配器」も、BS/CSアンテナへの給電方式に合わせて、出力端子の一個のみで通電する「一端子給電型」と、すべての出力端子で通電する「全端子通電型」を適切に使い分けなければいけません。
なお、コンバーターに正しく電源が供給されないなどで、コンバーターが作動しないトラブルの場合、アンテナからMHz帯に変換された衛星放送の電波がまったく届かなくなるため、テレビ画面に衛星放送の電波がまったく受信できていないことを示す「E202」か、ショートなどでコンバーターの保護機能が働いていることを示す「E209」のエラーコードが表示され、BS放送などの衛星放送はまったく映らなくなります。
BS/CSアンテナの電源や適切な供給方法、また電源供給に適した分配器の選び方などは、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・BS/CSアンテナには電源が必要? テレビから衛星放送用アンテナに電源設定を行う方法
・ご自宅のすべてのテレビに電波を送る「分配器」とは? その種類と選び方を徹底解説!
BS放送が映らない要因07:配線部のブースターや分配器など周辺機器の問題。
(主な症状:衛星放送の画面がブロックノイズなどで乱れる。「E201」「E202」などのエラーコードが表示されて映らない。また一部の部屋のみ衛星放送の画面にトラブルが生じるなどさまざま。地デジ放送にも映像の乱れや映らないなど、同様のトラブルが生じるケースもあり)
戸建て住宅に設置された地デジ、衛星放送のテレビアンテナは、アンテナ本体から延びる同軸ケーブルを屋内へと引き込み、屋根裏などの空間で、ブースター、分配器などさまざまな機器を経由して、各部屋のアンテナコンセントまで接続され、テレビ電波を送っています。
配線部に使用される機器は、まず地デジアンテナとBS/CSアンテナから延びる同軸ケーブルを接続し、双方からのテレビ電波を一本のケーブルにまとめる「混合器」があります。
混合器を使うことで、ケーブル配線をシンプル化でき、アンテナ工事のコストも軽減できるのです。ただ現在では、後述するブースターに混合器の機能を兼ね備えるモデルが多いため、混合器を単独で使うケースは少なくなっております。
また地デジ、BS/CSアンテナの真下や引き込み口などには、アンテナが受信したテレビ電波を増幅する「ブースター」が設置されます。ブースターは主に、受信できる地デジ電波が弱い現場の他、住宅内に三台以上のテレビなど受信機器を設置する現場で、必要な電波レベルを確保するために必要となり、現在の戸建て住宅では設置がほぼ必須となる機器になります。
なお地デジアンテナとBS/CSアンテナの双方を設置する場合には、地デジ、衛星放送、両方のテレビ電波を増幅できて、上記した分配器の役割も兼ねる「UHF・BSCS混合ブースター」が用いられます。
またブースターは電波のエネルギーを増幅する装置であるため、電源が必要となります。ブースターの電源は本体部(増幅部)とは別で、住宅の屋根裏など、ブースター用電源がある位置に設置され、アンテナケーブルを通じて、アンテナの付近に固定されたブースター増幅部に供給されます。
次に、地デジ、BS/CSアンテナから混合器(混合ブースター)を経た一本の同軸ケーブルを、一ヵ所の入力端子に接続し、複数の出力端子からケーブルに分配して、各部屋のアンテナコンセントまでテレビ電波を送る、上記の「分配器」を設置します。
そして各部屋のアンテナコンセントから、室内用のアンテナケーブル(同軸ケーブル)で、テレビなど受信機器に接続することになりますが、一本のケーブルに混合された、地デジと衛星放送の電波を、あらためて二本のケーブルに分離し、テレビ側の地デジ、BS/CSのチューナーに接続するため、二分配型の分配器や、ケーブルを一体化させたものに似た「分波器」という機器も必要になります。
このような機器も、調整の不具合や長年の使用による劣化、その他の要因で、BS放送をはじめとする衛星放送や、地デジ放送の受信にさまざまな不具合が生じる場合があります。
例えばブースターにトラブルが発生すれば、テレビ電波が十分に増幅されないため、テレビ側で衛星放送、地デジ放送の受信レベルの乱れ、映らないといった問題が生じます。
分配器の故障では、一部の部屋に電波が送信されなくなり、その部屋だけテレビが映らないという事態が起こりえます。またブースターが電波を増幅するのに対し、分配器は、電波レベルを等分に分配する性質があり、例えば200㏈の電波を4分配した場合は、それぞれ50㏈ずつに、多少の減衰が生じることになります。
そのため、アンテナコンセントの先で、複数のテレビ、レコーダーなど受信機器にテレビ電波を分配すると、電波レベルの低下が生じて、テレビ映像の乱れなどにつながります。特に分配器の先に分配器を接続すると、分配された電波をさらに等分に分配することになり、電波の減衰が生じやすくなるためご注意ください。
また分配器には、分配数で2分配器から8分配器(7分配器を除く)の6種類があり、現場で必要な分配数に、予備の1出力端子を加えたものが使用されます。
しかしこの予備の端子をそのままにしておくと、特に周波数帯の高い衛星放送や新4K8K衛星放送の電波の漏洩や、外部からのノイズとなる電波の混入が起こり、衛星放送(4K8K放送)の画像の乱れや、ご自宅のWi-Fi機器の電波障害につながるケースも出てきます。
これを防ぐためには、使用しない出力端子に、電波の流出や混入を防ぐフタの役目を果たす「ダミー抵抗器」という器具を設置する必要があります。
分波器に関しても、チューナー端子への接続ミス。また名称、形状ともよく似た分配器や、集合住宅に使われる分岐器との間違いが起こりやすいのでご注意ください。
当あさひアンテナでは、ブースター、分配器や混合器など、アンテナの周辺機器についても、国産大手メーカーの高品質機器をご用意し、機器本体の価格を含め、明確な価格体系の設置工事費用でご提供しております。
またこれらアンテナ配線部の機器や、適切な機材を探す方法などついては、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
・テレビアンテナの「ブースター」は必ず必要なのか? 【地デジ設置・あさひアンテナ】
・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・前編(基礎知識編)
・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)
・テレビ放送の映りが悪い際にアンテナブースターの交換は必要?
・アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い
・テレビアンテナへの分配器の設置で、現場の電波レベルや条件に適した選び方と注意点を徹底解説。分波器や分岐器との違いとは?
・テレビアンテナの電波を各部屋に分岐する方法は? 分配器と分波器の違い・接続方法や選び方
・地デジ用と衛星放送用、両方のテレビアンテナ設置で工事コスト軽減のため必要な機器、混合器、分波器とは何なのか?
・戸建て住宅のテレビアンテナ工事に必要な配線と分波器の役割とは? 地デジ、BS/CS放送に適した機器の選び方も解説!
BS放送が映らない要因08:アンテナケーブル(同軸ケーブル)などケーブル類のトラブル。
(主な症状:衛星放送や地デジの映像が乱れる。またはまったく映らず「E201」「E202」などのエラーコードが表示される。衛星放送や4K8K放送のみが映らない。一部の部屋でのみテレビの映りに問題が生じるなど、さまざまな症状)
地デジやBS/CSアンテナから、配線部のブースター、分配器などの機器、アンテナコンセントを通じて、テレビやレコーダーなどと接続し、アンテナから受信機器までテレビ電波を送信する。また逆にアンテナ側に電源を供給するアンテナケーブルは「同軸ケーブル」と呼ばれるものです。
同軸ケーブルとは、電波や電流を送信する銅線である内部導体を中心に、その周辺を電波や電流を漏らさないポリエチレンの絶縁体。銅線を編んだ編組線や金属箔などで電波の流出と、外部からの電波の混入を防ぐ外部導体。最表面でケーブルそのものを守る外部表皮の順で覆われ、断面が同心円を重ねたような形状になるケーブルです。
この同軸ケーブルにも太さや素材などで品質の違いがあり、適したテレビ放送や用途があります。
アンテナケーブルを送信される電波は、地デジ電波、2K衛星放送(右旋円偏波)、新4K8K衛星放送(左旋円偏波)の順に周波数帯が高くなり、ケーブルを送信される際の減衰量が大きくなるため、それぞれに対応した品質の同軸ケーブルが必要となります。この点に関しては後の項で詳しくご説明します。
またアンテナコンセントとテレビなどの機器、室内で機器同士を接続するアンテナケーブルは、例えば細いケーブルであれば、曲げやすく取り扱いやすい半面、電波の減衰や、折り曲げ、物を乗せるなどの衝撃による断線などのトラブルが生じやすくなります。
同軸ケーブルには、太さや素材に応じた「曲げ半径」と呼ばれる、曲げる際の角度の許容範囲を示す数値があり、この数値を越えて強く曲げると、電波が正しく送信されなくなるほか、断線などのリスクも高くなります。
他にも、ケーブルと端子の接続部がゆるんでいる。ホコリがたまっている。部屋の模様替えの際にケーブルを強く引っ張る、曲げるなどして、ケーブル内部や接続部の破損やゆるみが生じる。知らない間にお子様やペットがケーブルを触る、かじるなどのことがトラブルの原因となるケースがあります。
このような場合は、アンテナケーブル部でテレビ電波が弱まる、途絶えるなどして、テレビなどに十分な電波が届かなくなるため、衛星放送や地デジ方法の画面が乱れる。また「E201」「E202」などのエラーコードが表示されてテレビ放送が映らないことになります。
このような場合は、いったんアンテナケーブルの状態を確認して、端子から外して接続部の汚れを落とすなどしてください。そしてテレビ、レコーダー本体の表記やマニュアルなどを参考に、ケーブルを正しい端子へとしっかりと接続し直します。
またアンテナケーブルが曲げ半径を越えて極端に曲がっている部分がないか、などの点もご確認ください。極端な曲げや衝撃などでケーブルが破損しており、テレビ電波が送信されないと思われる場合は、新品へと交換してください。
また程度の差はあれ、テレビ電波は同軸ケーブルで送信される際に、長さに応じて減衰が生じます。そのため、同じ住宅内でもテレビアンテナから離れており、ケーブル配線が長くなる部屋では、到達する電波レベルが弱まってテレビ画面が乱れることもあります。
このような場合には、設置されているブースターの増幅レベルを高める。またブースターの性能を補足する、室内用ブースター、ラインブースターなどを設置します。
なお、アンテナケーブルの種類や品質は、ケーブル本体に印字されている「S-5C-FB」などの表示で判断できます。同軸ケーブルの種類や記号の意味などの詳細は、以下の各コラム記事でご説明しております。
・テレビ放送(地デジ、衛星放送BS/CS、4K8K)に合わせたテレビアンテナケーブルの種類と選び方、徹底解説!
・テレビ放送や機器に合わせたアンテナケーブル(同軸ケーブル)の種類と選び方、徹底解説!
・アンテナとテレビを結ぶアンテナケーブル、その種類と性能を徹底解説!
BS放送が映らない要因09:テレビ、レコーダーなど受信機器のトラブル。
(主な症状:地デジ、衛星放送ともテレビがまったく映らない。また双方とも一部のチャンネルが映らない、画面が乱れる。その他、テレビなど機器の操作でさまざまな誤作動や不調が発生する)
テレビのリモコンを操作しても、BS放送に限らず地デジ、衛星放送などが映らない場合、テレビの主電源が切れている。電源コンセントが抜けているといった初歩的なミスは、かえって盲点になりがちで、意外と多いものです。このようなトラブルの際には、念のため、まずはテレビの主電源やコンセントの接続をご確認ください。
またテレビ、レコーダーも家電製品であるため、長く使い続けると、通電やホコリの蓄積などにより、内部の基盤や回路が消耗し、経年劣化が生じます。テレビ機器の一般的な寿命は10年程度とされ、それ以上、使い続けると、BS放送など一部のテレビ放送の乱れ、映らない。またチャンネル変更や音調調整などが正しく作動しないなど、さまざまな不具合が生じることもございます。
テレビ本体の不調であれば、テレビの主電源を切って電源プラグを抜き、数分おいて、ふたたびプラグを接続して主電源を入れる「リセット」を実行することで回復することもございます。
ただリセットを行っても問題が解決しない場合は、テレビのメーカーや購入店などに修理を依頼する。また寿命を過ぎたテレビであれば、買い替えを検討される必要も出てまいります。
なお、テレビの故障によるテレビ映像などのトラブルについて、詳しくは以下のコラム記事をご確認ください。
・テレビ本体の不具合・故障とその原因、症状別の対処法と修理費用
BS放送が映らない要因10:テレビなど受信機器に挿入されるB-CASカードのトラブル。
(主な症状:テレビ画面に「E100」「E101」「E102」などのエラーコードが表示され、衛星放送、地デジ放送とも映らない)
上記したテレビ、レコーダーなどテレビ受信機器、本体の劣化などによるトラブルではなくとも、挿入されている「B-CASカード」の問題により、衛星放送、地デジなどのテレビ放送が映らなくなるケースもあります。
「B-CASカード」とは現在、テレビなど、地デジおよび2K衛星放送用の「デジタル放送受信機」の多くの機器に同梱されるICカードです。
ご家庭で使用されるテレビなどの機器では、BSデジタル放送専用、BSデジタル・地上デジタル放送対応、BS・110度CS・地上デジタル対応の、赤色のB-CASカード。地上デジタル放送専用の青色のB-CASカード。ケーブルテレビ(CATV)専用のオレンジ色のB-CASカードの三種類になります。
また小型テレビ、フルセグ対応のカーナビゲーションシステムなどに内蔵される、SIMカード大の「小型B-CASカード(ミニカード)」。浴室用の防水テレビなど、ICカードの着脱でトラブルが生じやすい機器用に、出荷時点で本体内部に内蔵される「特別内蔵用B-CASカード(通常/ミニカード)」など。また一般世帯用以外では「店頭用」「業務用」「有料放送デモ用」などのB-CASカードが存在します。
このB-CASカードは、衛星放送や地デジ放送の著作権保護、また有料放送やメッセージ、データ放送、双方向サービスなど、各種の放送サービスのために利用されるカードです。
上記した特殊な機器を除き、市販されるテレビ、レコーダーなどのデジタル放送受信機器に、台紙に取り付けられる形で同梱され、設置の際に、機器のスロットに挿入して使用します。
現在の衛星放送や地デジ放送のデジタル放送で、電波に乗せて送信される動画データは「コピー制御信号(CCI)」を加えて暗号化されており、テレビなど受信機器に挿入されたB-CASカード内の「暗号鍵」と照合することで暗号化が解除され、衛星放送、地デジ放送の視聴や録画が可能になります。また衛星放送の有料チャンネル契約などの各種情報も、このB-CASカードに書き込まれれて保存されます。
なおこのB-CASカードは、日本企業「ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ社(B-CAS社)」が提供しているカードであり、テレビやレコーダーなどに同梱されるB-CASカードの所有権は、同社に帰属しております。
すなわちお客様がご家庭で使用されるB-CASカードの所有者は同社のままであり、お客様がテレビなどの機器を購入された際、同梱されるB-CASカードの「使用許諾契約約款」が記された放送(シュリンク)を破ることで、使用契約に同意したと見なされ、同社よりB-CASカードを貸与されることになります。
主な契約内容は、B-CASカードの不正使用、内容の改ざん、転売などを禁止するといった点であり、お客様がこの契約に違反せず、通常の方法でテレビ放送を視聴し続ける限りは、無償、無期限でB-CASカードを使い続けることができます。
また近年、大画面テレビの多くを占める4K、8Kテレビには、B-CASカードが同梱されなくなっています。これはテレビなど4K8K放送の受信機器では、新たなCAS方式「ACAS」が採用され、機器が製造される際、本体にB-CASカードと同じ機能を持つ「ACASチップ」が内蔵されるため、B-CASカードのセットは不要になっているためです。
そしてこのB-CASカードに何らかのトラブルが発生すると、動画データの暗号解除が行われないため、衛星放送や地デジ放送を視聴できなくなるのです。
この場合、テレビ画面に、B-CASカードが挿入されていないことを示す「E100」。B-CASカードが読み取れないことを示す「E101」。B-CASカードが正しく認識されていないことを示す「E102」などのエラーコードが表示され、テレビ画面が映らない状態になります。
B-CASカードのトラブルの具体例としては、B-CASカードが挿入されていないことをはじめ、挿入スロットに奥まできちんと挿入されていない。上下や裏表など挿入の方向を間違えている。ICチップ部分の汚れや傷。B-CASカードそのものの故障。視聴したい放送に対応しないB-CASカードを装入している、などのパターンが考えられます。
テレビ画面で上記のエラーコードが表示されて、衛星放送などのテレビ放送が映らない場合の対処は、まずテレビなど受信機器本体の電源スイッチをオフにした上で、本体からB-CASカードを抜きます。
そしてB-CASカードの状態(汚れや傷、破損などはないか)を確認して、接触部であるICチップ部分を中心に、カードを柔らかい布などで拭いて掃除します。
次にB-CASカードの表裏や差し込みの方向を確認して、機器のスロットへと、正しい形で奥までしっかり挿入し直します。
この対処をとり、何度か挿入し直しても、同じエラーコードが表示され、状態が改善されない場合は、B-CASカードそのものが破損していると考えられます。
ご自宅で他にテレビ放送を問題なく視聴できるテレビなどの機器がある場合は、その機器の電源をオフにした後、挿入されているB-CASカードを取り外して、問題のある機器の電源をオフにした状態で、スロットに挿入してください。
問題の機器の電源をオンにして、正常にテレビ放送が映った場合は、最初に挿入されていたB-CASカードが破損していると判断できます。それでもテレビ放送が映らない場合は、機器本体のB-CASカード読み取り機に問題が生じていると考えられ、本体の修理が必要になります。
B-CASカードの破損である場合は「B-CAS公式サイト」より「再発行の申し込み」を行うことで、一枚「2,160円(送料、税込み)」が必要となりますが、ご自宅など必要な住所にカードを送付してもらえます。なお、破損したB-CASカードは返信用封筒に入れて返却する必要があるため、処分せず新しいカードが届くまで保管してください。
その他、B-CASカードのトラブルと思われる原因で、衛星放送や地デジのテレビ画面が正しく映らない場合は「B-CAS公式サイト」の「今すぐ診断ナビ」ページで、その原因を判断できます。
なおB-CASカードやそのトラブルについては、以下のコラム記事にも詳しい解説がございます。
BS放送が映らない要因11:テレビなどの機器のチャンネルスキャンが正しく行われていない。
(主な症状:リモコンなどで各チャンネルを選択しても、BS放送だけでなく、CS放送、地デジ放送などの各チャンネルが全般的に映らない)
ご自宅で新しく購入されたテレビ、レコーダーなどの受信機器を設置される際には、地デジ、BS/CSのテレビアンテナからのケーブルと、機器を接続した後、機器の本体で「チャンネルスキャン」を行い、その現場で受信できる地デジ、衛星放送の各チャンネルの、チャンネル設定を行うことが必要です。
現場の電波状態からテレビアンテナ、配線部などの機材、テレビや受信機器に問題はなくとも、受信機器側で最初にこのチャンネル設定を行わないと、衛星放送などのテレビ放送は正しく映りません。
テレビなどの受信機器において、BS放送などの衛星放送、また地デジ放送でチャンネルスキャンが必要となるケースは、新品のテレビなど受信機器を購入、設置してテレビアンテナと接続した際の他、テレビなどの設定をリセットした際。また衛星放送や地デジの電波状態、地デジ放送のテレビ局や電波塔などが異なる別の地域へと引っ越した場合などが考えられます。
チャンネル設定の方法は、テレビなど受信機器に付属のマニュアルや、本体の操作で表示されるガイダンス。メーカーの公式サイトなどを参考に、本体のメニュー画面から実行してください。
特にお引っ越しなどで、それまで使っていたテレビ、レコーダーなどの機器を新居に設置された場合には、前のご自宅からそれほど離れた場所でなくとも、必ずチャンネルの再設定を実施してください。
チャンネルスキャンについて詳しくは、以下のコラム記事も参考にしてください。
・テレビ側で地上デジタル放送(地デジ)のチャンネルスキャンができないときの受信、設定の対処方法
BS放送が映らない要因11:ご自宅のBS/CSアンテナや配線部が新4K8K衛星放送に対応していない。
(主な症状:BS放送などの衛星放送でも、4K、8Kチャンネルが正しく映らない)
前述の通り、衛星放送ではマイクロ波、SHF波の中でも12GHz帯の電波を使用しております。また地デジ放送では、UHF波(極超短波)のうち470MHzから770MHzまでの周波数帯を使用しています。
そのためアンテナ配線部でも、ブースターについては、設置するテレビアンテナに応じて、地デジ専用の「UHF帯ブースター」と、前述の地デジと衛星放送に対応して混合器の機能も持つ「UHF・BSCS混合ブースター」を使用します。
アンテナケーブルや分配器については、現在では地デジ放送と2K衛星放送の双方に対応しているものが多くなります。
ただ従来の2K衛星放送では、静止衛星から送信される12GHz帯の電波として、右回りの螺旋を描く「右旋円偏波」が使われていました。
しかし2019年(平成30年)にスタートした「新4K8K衛星放送」は、従来のBS放送、CS放送に、多数の4K、8Kチャンネルが追加されたものですが、このチャンネル追加の際に、従来の右旋円偏波では、割り当てられる空きの周波数帯が不足しました。
そのため、BS放送の基幹的なチャンネルであるNHK、広域民放の4Kチャンネルに、右旋円偏波の残り周波数帯を割り当て、それ以外の4K、8Kチャンネルには、左回りの螺旋を描く「左旋円偏波」を新しく導入して、その周波数帯を割り当てました。
現在のBS/CSアンテナは、生産されるモデルが、すべて右旋と左旋の電波をどちらも受信できる、2K4K8K対応型になっておりますが、2018年以前に製造、設置されたBS/CSアンテナの中には、右旋の電波しか受信できない2K対応型もあり、このアンテナでは、BS放送のNHK、広域民放の4Kチャンネル以外、4K8K放送を受信できないことになります。
また前述の通り、衛星放送の12GHz帯の電波は、BS/CSアンテナで受信された後、コンバーターでMHz帯の電波へと変換され、ケーブルで送信されます。このとき、右旋円偏波は1032MHzから2072MHzに変換されるのに対し、左旋円偏波は2224MHzから3224MHzと、やや高い周波数帯に変換されます。
そのため、従来の2K衛星放送に対応するアンテナの配線部が設置されたお住まいで、左旋円偏波を含めた新4K8K衛星放送のすべてのチャンネルをご視聴になるためには、4K8Kテレビ本体や2K4K8K対応BS/CSアンテナはもちろん、アンテナ配線部のブースターや分配器、同軸ケーブルなども、2K衛星放送時代は使用されていなかった2224MHzから3224MHzまでの周波数帯に対応できる「4K8K(3442MHz)対応型」の製品へと交換する必要が出る場合もありますので、ご注意ください。
なお新4K8K衛星放送の仕組みや、対応するアンテナや機材などについては、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・新4K8K衛星放送とは? 4K、8Kテレビの購入後に必要なアンテナ工事と費用の相場、おすすめ業者の選び方まで徹底解説!
・「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
・「新4K8K衛星放送」のご視聴に必要な機器・完全チェック!
BS放送が正常に映らないときは「BS/CSアンテナレベル」のご確認を!
ご自宅でBS放送の画面が乱れる、正常に映らないなどのトラブルが発生した場合には、まず該当するテレビなどの受信機器で「BS/CSアンテナレベル」を確認することがおすすめです。
「BS/CSアンテナレベル」とは、ご自宅のBS/CSアンテナで受信し、そのテレビ機器まで届いている衛星放送の電波レベルをテレビ画面に表示するものです。
正式な名称や表示方法は、テレビなど機器のメーカー、モデルによっても異なりますが、おおむねテレビの「設定画面」などを表示してから、リモコンのボタンを操作して「受信設定」などの項目を選択し「BSアンテナレベル」などの画面を選択すれば、テレビ画面に表示されます。
メーカー、モデルごとの正式な名称、表示の手順などは、テレビなど本体に付属のマニュアルや、メーカーの公式サイトなどでご確認ください。
アンテナレベルの画面では、0から100までの数値や帯状のインジケーターなどで、BS/CSアンテナからテレビに届いているBS放送の電波レベルが表示されます。
基準となる数値のラインもメーカーなどで異なりますが、このアンテナレベルが一定の基準を超えていれば、BS/CSアンテナで、安定した衛星放送の視聴に十分なレベルの電波を受信できており、テレビ側に届いていることになります。
逆に基準以下のレベル、あるいはまったく受信できていない(アンテナレベルが「0」)などの状態になると、衛星放送の画面の乱れや、エラーコードが表示されて映らないといった状態になります。
例えばBS/CSアンテナレベルが必要な水準をやや下回り、ブロックノイズなどで画面が乱れる状態であれば、わずかな障害物や悪天候による電波状態の悪化。BS/CSアンテナ角度のわずかな狂い。配線部やブースターなどの不調といった原因が考えられます。
また各種のエラーコードが表示されてBS放送などがまったく映らない場合は、エラーコードの意味や上記でご説明した条件と、アンテナレベルの下がり具合(わずかながら衛星放送の電波が受信できているか、完全に0であるか)などによって、原因を判断する目安になります。
またBS/CSアンテナレベルと同様に「地デジアンテナレベル」で、地デジ電波の受信状況を確認することもでき、地デジ放送が受信不良の際に、その受信状態や不調の原因を確認するために役立ちます。
このアンテナレベルについては、以下のコラム記事でも詳しくご説明しておりますので、よろしければご参照ください。
・地デジや衛星放送のアンテナレベルとは? テレビでの受信レベル確認や低下する原因、工事で改善する方法を解説!
・衛星放送用BS/CSアンテナの受信レベルが急に低くなりテレビ放送が映らない原因とその対処方法、アンテナレベル確認を解説!
・地デジやBS/CSアンテナで受信感度が落ち突然テレビが映らなくなる原因、受信レベルを上げ映るよう解決する対処法の工事は?
BS放送が映らない場合の原因と対処・まとめ
BS/CSアンテナを設置して衛星放送を受信しておられるご家庭で、BS放送が正常に映らない場合、考えられる主な原因と、その対処法は上記の通りになります。
またBS放送などの衛星放送、地デジ放送のどちらか一方、または双方が映らない場合の原因や、原因の特定方法、対処法などについては、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・BS放送、CS放送の衛星放送が映らないアンテナトラブルの原因とその対処法について、ご自宅でも可能な方法をFAQで徹底解説
・地デジやBS/CSアンテナで受信感度が落ち突然テレビが映らなくなる原因、受信レベルを上げ映るよう解決する対処法の工事は?
・地デジ放送は映るのにBS/CS衛星放送が映らない場合の対処法
・BS/CS衛星放送は映るのに地デジ放送が映らない場合の対処法
・地デジ、衛星放送のテレビアンテナ故障例、テレビ放送が映らなくなった場合に考えられる原因とその対処法は? 必要な工事を解説
ただ、ご自宅でBS放送などの衛星放送、また地デジ放送の画面が乱れる、エラーコードが表示されて映らなくなるなどのトラブルが生じた際には、ご自宅では正確な原因を判断できない。または屋根の上にあるBS/CSアンテナの修理や交換、角度調整の作業などが難しいといったケースも考えられます。
そのような場合には、さまざまなアンテナ工事のプロ会社である、当あさひアンテナのフリーダイヤルまで、お電話でのご質問。またはメールフォーム。LINEまで、お問い合わせをお寄せください。
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