新築戸建て住宅で目立たない地デジ等テレビアンテナ形状の種類と選び方、設置工事の方法とは? デザインアンテナ失敗例も解説!
現在の地上波デジタル放送、いわゆる「地デジ」は、それ以前、昭和の時代から放送されていた、アナログテレビ放送との転換を目的に、2003年(平成15年)12月1日正午に導入されました。
以降、移行期間として、それまでのアナログ放送と並行して地デジ放送が行われる時期が続き、2011年(平成23年)7月24日に、一部地域を除いて、アナログ放送が終了(完全停波)したことにより、日本の地上波テレビ放送は、地デジ放送に一本化されました。
この地デジ放送では、アナログ放送時代に比べると使用されるテレビ電波の波長が短くなり、それに伴い、電波の性質にもさまざまな違いが出ております。そのひとつが、受信するテレビアンテナの変化です。
アナログ放送時代は、テレビアンテナと言えば、屋根の上に立てる形のテレビアンテナ「八木式アンテナ」の、ほぼ一種類でした。
しかし地デジ化によって電波の波長が短くなったことにより、アナログ放送時代よりアンテナの小型化が可能になりました。それにより、新たな形状を持つ地デジアンテナのモデル「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」などが登場しております。
そのため現在では、新築のマイホームへの地デジアンテナ設置。または既存住宅のテレビアンテナ交換など、安定した地デジの受信性能はもちろん、目立たない形のアンテナモデルや、設置の位置を重視される方も多くなっております。
特に近年の家の形はデザイン性が高くなっており、屋根の上に、昔ながらの形状のテレビアンテナが目立ってしまうことで、住宅の外観性が乱れることを避けたい、というご希望をよく聞かれます。また住宅の外部に取り付けても目立たないアンテナの機種や設置位置は、風雨や雪などの影響を避けやすく、アンテナの寿命を延ばしてトラブルを避けることができるというメリットもございます。
近年では、ケーブルテレビ(CATV)やインターネット回線を利用した光テレビなど、テレビアンテナを使用しないアンテナ設置の方法も多くなっており、これらの方法を検討される、お選びになるお客様も多くなっております。
ただテレビアンテナ設備の設置には、一戸建て住宅に設置すれば、十年以上の長期にわたって、有料チャンネルなどを除けば、無料でテレビ放送を視聴できるという、コスト面でのメリットが多く、現在でももっとも人気のテレビ視聴方法となっております。
そこで当コラムでは、2023年(令和5年)現在の地デジアンテナ、およびBS/CSアンテナについて、住宅に設置しても目立たない機種や、設置の方法について、そのメリットやデメリット。設置が可能な現場の条件や、その設置費用。工事に対応できるプロの専門業者などについて、一覧で解説してまいります。
地上デジタル放送(地デジ)の仕組みとは?
ご自宅で目立たない地デジアンテナやその取り付け位置をご希望の方が、その現場に適切なモデルや設置場所を決められる場合には、まず地デジ放送の電波や仕組みや電波について理解されることが重要と言えます。
そのため、ここではまず、今の地デジ放送の基本的な概要についてご説明いたします。
地デジ放送は、東京都墨田区の東京スカイツリーをはじめ、日本各地の要所に設置され、広範囲に地デジ電波を送信する大規模な送信所。またその送信所がカバーできない地域を補足する、大小の中継局などの地デジ電波塔から、日本各地からその周辺エリアに地デジ電波を送信しており、日本国内の大半のエリアで受信できるテレビ放送です。
地デジ放送や、それ以前のアナログテレビ放送は、地上に設置された電波塔から放送電波を送信するため「地上波放送」とも呼ばれます。
現在の地デジ放送は、日本国内では不特定多数の人々が、各家庭に地デジアンテナを設置する。またはワンセグ、フルセグの受信機器を利用するなどして、電波塔から送信された地デジ電波を受信することで視聴できる仕組みとなっています。
なお地デジ電波の特性については、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
・地デジ電波の強さと品質を示す「dB」「MER」「BER」とは何か?
・地デジアンテナを設置する高さの設定で重要となるハイトパターンとは? 地デジ電波を受信するために適切なアンテナの高さとは?
地デジ放送の周波数帯とチャンネルの関係とは?
地デジ放送の電波は、UHF(極超短波)の電波でも470MHz(メガヘルツ)から710MHzの周波数帯を利用しており、この周波数帯を、6MHzずつ、13から62のチャンネル(ch、物理チャンネル)に分けて、NHKや各広域民放などの地デジ放送局に割り当てております。この数字が一般に、テレビ機器で各放送局を視聴する際にリモコンなどで選択する、いわゆる「チャンネル番号」になっております。
この各物理チャンネルは、さらに14のセグメント(周波数帯)に分けられており、通常の2Kフルハイビジョン(FHD)画質である地デジ放送の送信には、このうち13セグメントが使われます。残りの1セグメントは、隣接するチャンネルの隙間の周波数帯として利用され、他チャンネルの周波数帯との混信や干渉を防いでいます。
放送に使用される13セグメントのうち、12セグメントは、通常のテレビ機器などを対象にしたフルハイビジョン放送、いわゆるフルセグ放送に利用されています。そして普段は使用しない1セグメントを利用して、地デジ放送のスタート時に、主に使われていた携帯電話端末、いわゆる「ガラケー」など画面が小さなモバイル端末用に、FHDより解像度の低いQVGA(320×240、または320×180)の画質で、地デジ放送と同じ放送を行っているものが、1セグメントに由来する「ワンセグ放送」です。
ただ近年では、画面が大型のスマートフォンなどが一般化し、携帯端末でもフルハイビジョン以上の画質に対応できるものが多くなったため、ワンセグを受信できる携帯端末は少ないのが現状です。しかしワンセグ放送は、通常の地デジ放送であるフルセグより受信しやすいという特性があるため、現在でもフルセグが受信しにくい場合の予備的な放送として、フルセグ・ワンセグ両対応のカーナビゲーション・システムや、災害時用のテレビ・ラジオ一体型機器などにも使用されております。
なお地デジ放送以前のアナログ放送では、NHK、広域民放のチャンネルには、VHF(超短波)のうち90MHzから222MHzまで。また東京都の東京MX。千葉県の千葉テレビ。兵庫県のサンテレビジョンなど、首都圏、中京、近畿の一部の都府県で別個に存在し、その都府県内を放送エリアとする独立放送局の地方チャンネルでは、地デジ放送と同じUHF波のうち、470MHzから770MHzが使用されていました。
このアナログ放送時代の周波数帯を物理チャンネルに置き換えると、VHFは1chから12ch。UHFは13chから62chにあたります。
またアナログ放送時代は、テレビの映像信号を、そのまま電波の強弱に変換して送信しておりました。これに対し地デジ放送では、映像をまず「0」「1」のデジタル信号に変換し、このデジタル信号を電波の波長に乗せて送信することで、使用する周波数帯は大きく削減しながら、格段に大容量の情報を送信することが可能になったのです。
現在の地デジ放送では、アナログ放送と比較して、デジタル化により約4.5倍のデータを送信可能となっております。それにより、テレビ映像のフルハイビジョン化をはじめ、アナログ放送には存在しなかった、データ放送や番組表の配信。双方向サービスといった、大量のデータ送信が必要となるサービスも数多く提供できるようになりました。
なお現在の地デジ放送における、独立放送局の地方チャンネルについては、以下の各コラム記事で詳細をご説明しております。
・神奈川県のローカル局「テレビ神奈川(tvk)」とはどんなテレビ局か?
・埼玉県のローカル局「テレビ埼玉(TVS)」とはどんなテレビ局か?
・千葉県のローカル局「千葉テレビ(ちばテレ、CTC)」とはどんなテレビ局か?
・群馬県のローカル局「群馬テレビ(群テレ、GTV)」とはどんなテレビ局か?
・東京MXは東京都以外でもテレビで視聴できる? 日本各地でエムキャスなどにより東京MXその他の地方チャンネルを見る方法
地デジ放送の各チャンネル帯に対応できる地デジアンテナは?
地デジ放送で使用される13chから62chの物理チャンネルの帯域は、周波数帯によって「L帯域(13chから30ch)」「M帯域(31chから44ch)」「H帯域(45chから62ch)」の三つに分類され、日本国内でも地域によって、地デジ放送に使用される電波の帯域が異なっております。
そのため日本国内で地デジ放送を受信するには、お住まいの地域で使用される地デジ電波の帯域に合ったアンテナが必要です。
現在の地デジアンテナは、UHF波を受信するアンテナであることから「UHFアンテナ」とも呼ばれます。そして市販の地デジアンテナ(UHFアンテナ)には主に、それぞれの帯域の電波を受信できる「LM帯域向け」「MH帯域向け」「全帯域対応」の3種類がございます。
また13chから36chまでを受信できる「ローチャンネル用アンテナ」。13chから44chまでを受信できる「ロー・ミドルチャンネル用アンテナ」。45chから62chまでを受信できる「ハイチャンネル用アンテナ」。そして13chから62chまで、全帯域のチャンネルを受信できる「オールチャンネル用アンテナ」に分類されることもございます。
これらの帯域別UHFアンテナは、全帯域を受信できるオールチャンネル用アンテナと比較して、ローチャンネル用やハイチャンネル用など、受信できる帯域を絞り込んだアンテナでは、それ以外の帯域のチャンネルは受信できない半面、対応できる帯域の受信性能が高くなる特徴がございます。そのため、例えば地デジ放送にローチャンネル帯しか使用されていないエリアでは、ローチャンネル用アンテナが好んで使われる傾向がございます。
地デジ電波の性質と地デジアンテナの関係とは?
地デジ電波であるUHF波そのものの性質としては、波長の長さは40センチから60センチ程度で、アナログ放送の主要な電波であったVHF波と比較すると直進性が強くなっており、アナログ放送時代に比べ、高層建築物などの障害物によって遮られやすい性質がございます。
UHF波はVHF波より周波数帯が高く、そして電波は周波数帯が低いほど音の性質に、高くなるほど光の性質に近くなるためです。またUHF波は、障害物に遮られることで反射しやすく、電波の方向が変わりやすくもなっております。
一方でUHF波には、ある程度、音に近い性質もあるため、電波が強いエリアで住宅の壁面や屋根などにぶつかった場合、電波を反射する金属などの素材や、電波を吸収する積雪などの水分がない限り、減衰(電波の弱まり)は生じるものの、壁や屋根を通り抜けて屋内にも届きます。そのため地デジ電波が強い現場であれば、地デジアンテナを屋内に設置することも可能です。
前述のように地デジ電波は、日本各地に設置された送信所、中継局など多数の電波塔から送信されているため、日本国内の各地域でも、電波塔からの距離、および地形や建築物など障害物の影響により、アンテナで受信できる地デジ電波レベル(強度)に違いが生じます。この受信できる電波レベルを基準に、日本国内の各地域を大まかに区分したものを「電界地域」と呼びます。
電界地域とは、地デジ放送や地デジアンテナなどの世界で便宜的に使われる基準であり、学術的、法的に統一された定義はございません。
そのため場合によっては基準が異なることもございますが、一般的には、電波の強さを表す単位「㏈(デシベル)」において、受信できる地デジ電波レベルが、80㏈以上になるエリアを強電界地域。80㏈から60㏈になるエリアを中電界地域。60㏈以下になるエリアを弱電界地域と呼ぶことが多くなります。
この電界地域の電波強度は基本的に、電波塔から遠くなるほど弱まる他、山地や建築物などの障害物によっても電波が遮断されることで、各電界地域の範囲に影響が出ます。
また地デジ電波の強度は、同じ場所であっても常に一定ではなく、一年を通した気候の影響によっても6㏈程度の変動が生じます。他にも雨や雪などの悪天候では、水分によって電波の減衰が起こり、地デジの電波状態が悪化します。さらに強や中の電界地域の範囲内でも、高層マンションの近隣、住宅密集地など周辺の状況によって、局地的に地デジ電波レベルが、該当する電界地域の基準以下に低下するケースもございます。総じて、電界地域は明確に分類できるものではなく、あくまでおおまかな目安を考えるべきと言えます。
そしてこれら、電界地域や地デジ電波であるUHF波の性質も、地デジアンテナの機種および設置位置を決める上で重要な要素となります。
まず地デジアンテナには受信性能によって、強電界地域向け、強電界から中電界地域向け、弱電界地域向けの機種がございます。電波が弱い地域向けの地デジアンテナほど受信性能が高くなるため、基本的には弱電界地域向けのモデルであれば、強、中電界地域での使用も可能となります。
戸建て住宅などの地デジアンテナで受信した地デジ電波は、ケーブル配線部の機器を経て、住宅内の個々のテレビなど受信機器に届いた時点で、電波レベルが34㏈以上から89㏈以下の範疇であれば、正常に地デジ放送が映り、視聴できます。
ただ実際の地デジアンテナ設置では、前述した気候、天候などによる電波レベルの変動も踏まえ、テレビなど機器に届く時点での電波レベルは47㏈から81㏈の範囲。最低でも40㏈以上となるように調整されます。また逆にテレビなどに届く電波レベルが90㏈以上の場合も、テレビ画面が乱れる、映らないなどのトラブルの要因になります。
そのため受信できる電波レベルが強い強電界地域などでは、現場の条件によっては、あえて受信性能を抑えた地デジアンテナが使われることもある他、受信した地デジ電波レベルを適度に弱める「アッテネーター(減衰器)」を設置する。また近年のテレビなど受信機器に内蔵されるアッテネーター機能を使用するなどの対策もございます。
またアンテナを設置し、アンテナ正面を向ける方向。および設置する位置の高さも、地デジ電波の受信感度に大きく影響します。
地デジアンテナには、大半のモデルに、アンテナの一方向(正面)のみで電波の受信性能が高まる性質「指向性」が存在します。アンテナはこの指向性が高いほど、正面側での受信性能が高くなる性質があるのです。また指向性には、アンテナの正面側以外からの、ノイズとなる電波をカットするという利点もございます。
したがって地デジアンテナは、基本的にどのモデルであっても、受信性能が高い正面側を、現場付近の地デジ電波塔など、電波が送られてくる方向へと正確に向ける必要がございます。
地デジアンテナの場合、角度調整の問題になるのは方位角(左右角)のみであるため、アンテナ設置位置が屋根の上など、360度への角度調整が可能な位置であれば、角度調整に問題が生じることはございません。ただ住宅の壁面、ベランダなどに設置する場合であれば、送られてくる電波が届く方角の壁などにしか設置できない制約が出てまいります。
戸建て住宅に地デジアンテナを設置する高度についても、屋根の上などへの設置で、アンテナの位置が高くなるほど、周辺の建築物などの障害物に影響されにくくなるため、受信感度が高くなります。逆に住宅の壁面やベランダなどの低い位置になると、周辺の障害物に影響されやすくなり、受信感度が低下する可能性が高くなってまいります。
具体的には、地デジアンテナを設置する現場の住宅が庭の広い敷地を持つ。周辺に障害物となる建物がないなど、見通しのいい現場であれば、壁面や低い位置に地デジアンテナを設置しても、地デジ電波を安定して受信できるケースが多くなります。
逆に電波塔からの距離が近い強電界地域などの現場であっても、現場のすぐ近くに、電波塔の方向をふさぐ形でマンションなどの高層建築物が建っている。住宅密集地であるなどの周辺環境であれば、壁面、ベランダなど低い位置では十分な地デジ電波が受信できず、地デジアンテナを設置できないケースもございますので注意が必要です。
総じて、強電界地域であれば、設置する地デジアンテナの機種、設置位置の自由度が高く、受信性能が低い分コンパクトで目立たないアンテナの使用や、屋内設置なども可能となります。中電界地域では、ある程度のアンテナ機種、設置位置の選択は可能なものの、強電界地域ほどの自由度はなくなります。そして弱電界地域であれば、受信性能が高いモデルを使用し、屋根の上など、できるだけ高所に地デジアンテナを設置しないと、十分な地デジの受信が難しくなるケースも多くなります。
これらの理由から、戸建住宅などへの各種テレビアンテナの設置では、屋根の上など高い位置への取り付け工事が標準となるのです。
各電界地域に適した地デジアンテナ機種、および設置位置に関しては、以下の項で個々に詳しくご説明してまいります。また電界地域や地デジアンテナ本体の受信性能に関する詳細は、以下の各コラム記事にも解説がございます。
・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
・徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方は?
・地デジのテレビアンテナで受信できる方向は指向性で決まる? アプリでアンテナの方向調整に最適な角度を調べる方法も徹底解説!
・地デジアンテナや無線通信用アンテナの性能を示す利得、動作利得とは何か? 素子数との違いなど地デジアンテナ基礎知識も解説
・テレビアンテナの性能を決める「素子」とは何か? 地デジアンテナ工事で重要な「素子数」を徹底解説!
・地デジ用テレビアンテナ工事にて設置する電界地域に最適な受信性能は「何素子数」タイプか? アンテナ機器の選び方を徹底解説!
・地デジ放送用テレビアンテナ、UHFアンテナ機種による素子数の違いとは? 高性能モデルや現場ごとに必要な素子数の機種を解説
地デジアンテナ:八木式アンテナとは?
令和の現在でもテレビアンテナのイメージとして根強いのが「八木式アンテナ」と呼ばれるモデルです。このモデルは大正期の1920年代より研究、開発がすすめられた古典的なアンテナで、アナログ放送の時代は、ほぼ唯一のテレビアンテナでした。現在でも他のTVアンテナモデルにはないメリットが多いことから、地デジアンテナとして高い普及率を誇っています。
八木式アンテナの外観は、矢印型の骨組みに短い横棒がついたようなもので、よく魚の骨の形状に例えられ、主にマスト(ポール、支柱)の先に設置されます。
設置場所は、一般的には家の外、住宅の屋根の上に屋根馬という器具やワイヤー(支線)で設置、固定されたマストの先端になります。他にもサイドベースという固定具にマストを立てた、壁面やベランダの手すり。またベランダ内部や、軒先、ベランダ天井から逆さに吊り下げるという工法もございます。
八木式アンテナの特徴は、その受信性能の幅広さです。八木式アンテナの短い横棒は「素子(エレメント)」と呼ばれる、地デジ電波を受信するパーツです。八木式アンテナは、素子数を外観から確認可能な「素子アンテナ」で、素子が多いほど受信性能が高くなります。
一般的なモデルは、14素子と20素子。また強電界地域向けの8素子モデルなどになります。他にも高性能型のパラスタックアンテナが存在します。これはⅩ字型の部分に複数の素子パーツを固定した高性能素子を使用しており、素子数も27素子、30素子などになるため、一般モデルに比べても非常に受信感度が高くなります。
このような本体の性能に加え、素子の露出による受信感度の向上。屋根の上に設置されることで周囲の障害物に影響されにくいなどの要因も重なり、適した受信性能のモデルと設置位置を選択することで、幅広い電界地域で使用できるほか、住宅密集地などの周辺環境でも、安定して電波を受信できます。総じて現在の地デジアンテナ機種では、一番の受信性能を誇るモデルになります。
さらに本体価格は、20素子の通常モデルで実売価格が4,000円台から8,000円台程度。業者に設置工事を依頼した場合の、本体、基本母材込みの設置費用の相場は15,000円から30,000円程度となり、後述する他の地デジアンテナと比較しても、設置費用ももっとも安く抑えられる機種になります。
一方でデメリットとしては、受信性能を重視して住宅の屋根の上に設置すると目立ってしまい、スタイリッシュさに欠け見た目が悪くなる点です。特にデザイナーズ住宅などデザイン性の高い住宅ではその外観性を乱す上、景観にも悪い影響が出ることから、景観地域などでは条例により設置できないケースもございます。
同じく設置位置と形状から、風雨など自然環境に影響されやすく、経年劣化か進みやすく寿命が短めというデメリットもあります。特に老朽化した八木式アンテナが台風や地震などに見舞われると、屋根の上での倒壊や落下などの事故が起こる恐れもござります。他にもその形状から鳥が留まりやすいため、鳥のフンを受けてのサビや、角度のズレといった鳥害に見舞われることもございます。
設置やメンテナンス、故障時の修理も、屋根の上での作業は非常に危険なため、基本的に専門業者へと依頼することになります。屋上フロアがある住宅などの場合を除き、多少のずれや不具合でもご自宅での修正、修理は難しくなり、プロの業者に依頼する必要が出てまいります。
なお八木式アンテナに関する詳細は、以下の各コラム記事にも参考となる解説がございます。
・地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
・地デジ放送用テレビアンテナ「八木式アンテナ」に適した住宅の条件とは? アンテナ設置工事の特徴や種類を徹底解説!
八木式アンテナの目立たない設置方法とは?
前述の通り、八木式アンテナの基本的な設置位置である屋根の上のマストへの設置は、地デジの受信性能が良くなり、安定して地デジTV放送をご覧いただける反面、住宅の外で非常に目立って外観性や美観が悪くなる。また風雨などに影響されやすくなるデメリットも出てまいります。
外観性に配慮し、風雨なども避けやすい設置位置としては、壁面やベランダの内外。軒下への吊り下げ設置などが考えられます。
このうち壁面やベランダへの設置は、外部から見えにくく、風雨などにも影響を受けにくい位置を設置することで、屋根の上よりも外観性、対候性がやや向上しますが、見た目や自然環境の影響、また鳥害などを完全に防ぐことは難しくなります。
ベランダの内部や、軒下からの吊り下げなどでは、外部からアンテナ本体が見えにくくなります。さらに風雨や鳥害も避けやすくなるため、アンテナ本体の寿命も長めになります。
ただしこれらの設置方法は、屋根の上に比べると設置位置が低い分、受信感度が下がるというデメリットも伴います。また前述のように地デジアンテナは指向性が高いため、現場に地デジ電波が届く方向へと設置する必要がございます。
アンテナの方向調整が行いやすい屋根の上ではなく、壁面やベランダへの設置では、設置位置から地デジ電波の方向へ向けることができる点が必要条件となります。住宅の構造や電波の方向、周囲の環境によっては、壁面やベランダへの設置が難しいケースも出ることは念頭に置かれる必要がございます。
またベランダ内部や吊り下げ設置でも、電波が届く設置方向の問題に加え、アンテナ設置の場所を取り、ベランダが使いにくくなる。誤ってアンテナに触れてしまい、故障やトラブルの原因になるリスクなども考えらえますので、ご注意いただくたく思います。
地デジアンテナ:デザインアンテナとは?
デザインアンテナは、2009年(平成21年)頃に普及しはじめた比較的、新しいモデルです。地デジアンテナの第二世代で、その形状や設置位置から平面アンテナ、壁面アンテナ、薄型アンテナ、フラットアンテナ、ボックスアンテナなどとも呼ばれます。
主にアンテナ本体部を長方形で薄型のケース(箱)に収めた、パネルのようにスタイリッシュでシンプルな形状が特徴です。カラーバリエーションも豊富で、外壁などの色と合わせることで住宅の外観にもマッチします。サイズも20素子程度の通常モデルで縦60センチ、横30センチ、奥行20センチ前後のものが多く、八木式アンテナと比べてコンパクトで場所を取らない点も魅力といえます。
デザインアンテナの設置位置は、その別名通り、家の外でも壁面やベランダの手すり部に設置具を固定し、アンテナ本体をはめ込む形での設置が一般的です。特に、軒下の壁に設置する形が多く見られます。他にも八木式アンテナと同じく屋根の上にマストに固定されることもあるほか、現場の条件が許せば、屋根裏空間などの屋内設置も可能です。
デザインアンテナのメリットは、その名称通りシンプルでスタイリッシュなデザインと設置位置、本体色の多さから、住宅に設置してもスッキリと景観を損なわず、美観を維持できる点が第一と言えます。さらに風雨や雪などにも影響されにくく、耐久性が高いため、経年劣化を抑えて寿命が長くなる、強風などによる角度のズレや倒壊などが起こりにくい点も大きなメリットです。
またデザインアンテナには、受信性能が低いため強電界地域専用にはなるものの、大きさが通常モデルの半分以下とよりコンパクトなモデルもあり、このようなモデルでは、付属のスタンドを利用した窓際への屋内設置も可能となります。
ただデザインアンテナの受信性能に関しては、外見から素子数がわからないため、八木式アンテナの受信性能に換算した「素子数相当」で表記され、主に20素子相当、26素子相当のモデルとなります。
アンテナ本体の受信性能は八木式アンテナに劣るものではございませんが、同素子数(相当)の機種では少しだけ受信感度が低くなるほか、設置位置が壁面など、屋根より低い位置になることが多いため、周辺環境の影響を受けやすく、受信感度が低くなるケースが出てまいります。そのためデザインアンテナには、受信した地デジ電波を増幅する「ブースター(増幅器)」を内蔵したモデルも多くなります。
またデザインアンテナを設置する壁面、ベランダも電波塔の方向など、電波の側を向いている必要があり、設置位置に制限が出ます。例えば高層建築の近隣、住宅密集地などでは、強電界地域などであっても、周辺環境の影響から地デジ電波が遮断されてしまい、設置できないというケースもございます。
またデザインアンテナはブースターを内蔵しない20素子相当の通常モデルで、実売価格は7,000円程度から10,000円強。業者に依頼した場合の、アンテナ本体や部材込みの設置費用の相場は、およそ20,000円から40,000円程度と、八木式アンテナと比べるとやや高価格になる点もデメリットといえます。
またデザインアンテナについては、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
・地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!
・この最小デザインアンテナがすごい!スカイウォーリーミニ(マスプロ電工)
・デザインアンテナ工事の失敗例とは? メリット、デメリットから取り付け費用まで解説
・デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説
デザインアンテナの目立たない設置方法とは?
デザインアンテナは、その名称通り、元よりデザイン性を重視した地デジアンテナであるため、通常の壁面設置でも目立たず、住宅の外観性を乱しにくくなります。
壁面設置の場合は、やや設置位置が高く、安定した足場の確保が難しいため、基本的には業者に依頼することが良いと言えます。また壁に設置具を取り付けるため、外壁にビス穴を開ける必要があるためご注意ください。
ベランダの手すりなどへの設置であれば、手すりを挟み込む形で専用の取り付け金具を固定し、アンテナ本体を設置する作業となり、足場が安定して作業が行いやすいため、ご自宅でのDIYによる設置やメンテナンスも比較的、簡単になります。
また壁面などへの設置で受信感度を確保できない場合は、屋根の上のマストにも設置できますが、その場合は外観性、対候性などデザインアンテナのメリットがやや薄れてしまうというデメリットもございます。
他にもメリットの多い設置方法として、デザインアンテナを屋内設置する方法がございます。詳細は次の項でご説明いたします。
デザインアンテナの屋根裏、天井裏設置とは?
デザインアンテナは、一定の条件が整っていれば、屋内の設置も可能となります。主な方法のひとつは、強電界地域で前述のコンパクトモデルを使用し、室内の窓際などに据え置きすることです。
ほかにも屋外設置用の通常型デザインアンテナを、住宅の屋根裏空間、天井裏空間に設置する方法がございます。
屋根裏空間などへデザインアンテナを設置できる条件としては、まず強電界地域などで、壁や天井を通り抜けて屋内にも十分な地デジ電波が届くという点です。屋根材や壁材などに金属素材など、電波を通しにくい素材が使われていない。屋根の上にソーラーパネル(太陽光パネル)がない。冬場の屋根への積雪など、屋外からの電波を遮断する要素がないことも重要です。
他にも、屋根裏にアンテナ設置およびその作業に十分なスペースがあること、点検口など、屋根裏空間への出入り口が確保されているなどの条件も必要です。
デザインアンテナを屋根裏、天井裏に設置するメリットは、アンテナが外部からまったく見えなくなるため、住宅の外観や外装にまったく影響を与えない。さらに風雨や雪などの影響もほぼ完全にカットできることで、ただでさえ外観性、対候性に優れたデザインアンテナのメリットが、極限まで高まる点です。
一方でデメリットとしては、屋内空間ではどうしても屋外よりは受信感度が悪い状態になるため、上記のように設置できる条件が厳しくなるため、選べる現場が少なくなることが挙げられます。ちなみに八木式アンテナを屋根裏空間などに設置することも不可能ではございませんが、本体の大きさから条件がより厳しくなり、専用の設置具などで設置費用もデザインアンテナと差がなくなるなど、特にデザインアンテナより良いといえる点が生じないため、通常は使用されません。
また後述するユニコーンアンテナは、受信面積の狭さから、屋根裏空間への設置には適しません。
デザインアンテナの屋根裏などへの設置は、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
・徹底解説・地デジテレビアンテナを屋根裏設置する工事のメリットとデメリット、施工費用、取り付け可能な条件と対応業者は?
地デジアンテナ:ユニコーンアンテナとは?
ユニコーンアンテナとは、2017年(平成29年)に日本の大手アンテナメーカー「マスプロ電工」社が発売した機種で、地デジアンテナの第3世代にあたる現在の最新モデルです。西洋の伝説にあるユニコーン(一角獣)の角のように、地面に対して垂直に立ったほぼ円柱形の、スタイリッシュなデザインが特徴で、カラーバリエーションもツヤのない落ち着いたブラックとホワイトの二色になります。
その設置場所は、八木式アンテナと同じく屋根の上で、マストの先端に設置する。またサイドベースを用いて、住宅の破風板(屋根の張り出し部)。また外壁の高所などへの設置が一般的となります。
ユニコーンアンテナのメリットは、その特徴的なデザインにより、住宅に設置しても装飾物のように見え、スタイリッシュで悪目立ちしにくい点になります。さらにその形状から風雨などを受け流せて、鳥害も避けやすいため、設置位置に関係なく、経年劣化を抑えて寿命が長くなる点もメリットです。屋根上にソーラーパネルを設置した住宅でも、太陽光発電に影響を与えにくい点もメリットといえます。
またユニコーンアンテナ本体の受信性能は20素子相当から、設置位置の高さを確保できるため周辺の障害物に影響されにくく、受信感度を高く保てる点も大きなメリットになります。
メリットの部分では共通する点が多いデザインアンテナでは、取り付け位置の低さから周辺環境によっては設置できない現場もございますが、そのような現場でもユニコーンアンテナであれば設置可能なケースが多くなります。
このようにユニコーンアンテナはデザイン、機能性ともに優れていることから、2018年(平成30年)度には「グッドデザイン賞」も受賞しております。
一方でユニコーンアンテナのデメリットとしては、受信性能では八木式アンテナの同素子数から高性能機種には及ばないため、基本的には中電界地域から強電界地域向けのモデルになり、弱電界地域では電波の受信が難しいケースもあることが挙げられます。また最新機種であるため、本体の実売価格も9,000円から16,000円程度。アンテナ工事業者に依頼した場合の、アンテナ本体や基本部材セットの設置工事費用も、相場が30,000円から50,000円程度になるなど、地デジアンテナでは一番の高額となる設置費用がかかります。
ユニコーンアンテナについては、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
・台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
ユニコーンアンテナの目立たない設置方法とは?
ユニコーンアンテナもデザインアンテナと同じく、外観性や対候性を重視したアンテナであるため、通常の設置位置であれば高さを保持して受信性能を確保しつつ、目立たず住宅の外観や景観を乱さない。さらに円柱形の形状から高所に設置しても風雨に影響されにくく、寿命も長くなります。
そのため外観性、対候性を重視する場合には適したアンテナ機種であり、さらにデザインアンテナに比べても高所設置で受信感度を確保しやすく、設置できるケースが多いというのもメリットです。
ただそのデザインは、モダンな洋風住宅などではあまり目立たない半面、伝統的な日本家屋やレトロな外観の住宅とは、デザイン的にマッチせず、かえって悪目立ちするケースもございますので、設置に当たってはまず、住宅のデザインとマッチするかも、きちんとご考慮いただく必要がございます。
衛星放送(BS放送、CS放送、新4K8K衛星放送)の仕組みとは?
地デジ放送の場合と同じく、衛星放送用のアンテナ(BS/CSアンテナ)も、安定した受信が可能で、目立たない機種や設置位置を選ぶ場合には、まず衛星放送の仕組みをご理解いただく必要がございます。
衛星放送とは、地上から上空、およそ36,000キロにあたる宇宙空間、赤道の周回軌道上にて、地球の自転に合わせて移動するため、地球上からは常に空の同じ位置に停止して見える人工衛星「静止衛星」から、地球上の広範囲へと放送電波を送信する形式の放送です。
この衛星放送では、一基の衛星放送で日本国内の全域をカバーできるなど、地デジ放送などの地上波放送に比べて、非常な広範囲へ大容量の情報を効率的に送信することが可能です。また地上の地形や建築物、災害などに影響されず、安定した放送も可能となります。
日本における衛星放送の電波には、マイクロ波の一種「SHF(センチメートル波)」のうち、12GHz(ギガヘルツ)前後にあたる「12GHz帯」と呼ばれる電波が使用されております。
この12GHz帯の電波は、地デジ電波のUHF派と比べても非常に周波数帯が高く、波長の長さは25ミリ前後です。そのため性質が光に近くなり、非常に直進性が強い電波であるため、人工衛星から地上まで送られる電波としては適しているのです。
ただその反面、12GHz帯の電波は、山地や建築物などはもちろん、樹木やその枝葉、電柱や電線、鉄塔、洗濯物など少しの障害物でも遮断されやすく、静止衛星と衛星放送用アンテナ(BS/CSアンテナ)との間にこのような障害物が存在するだけで、受信障害が生じることもございます。
他にも地上で、雨粒や雪が12GHz帯の波長の幅に近くなる豪雨や降雪が発生した場合には、12GHz帯の電波が空中で雨や雪に吸収され、電波レベルの低下や乱反射によって受信障害が生じる「降雨減衰」「降雪減衰」が発生する。また一基の静止衛星から日本国内の全域に、スポットライトを当てるように12GHz帯の電波を送信していることから、静止衛星からの距離が遠くなる、国内の北部や南端部、離島部などでは電波レベルが少し低下するといった特性もございます。
これら衛星放送の電波の仕組みや、その特性については、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・雨や雪が降るとBS、CSの衛星放送が映らなくなる原因と衛星放送用テレビアンテナを調整して映るようにする対処方法とは?
日本における衛星放送の種類とは?
日本の衛星放送としては、一般にBS放送、CS放送の2種類がよく知られております。また近年では、新4K8K衛星放送といった新しい形のBS/CS放送もスタートしております。
BS放送とは、放送衛星(Broadcast Satellite)を用いた衛星放送です。日本国内の地上波放送の受信格差を改善するため開設された衛星放送で、日本国内の不特定多数を対象とするテレビ放送です。
現在の放送衛星は東経110度に位置しており、放送されるチャンネルは、地上波と同じNHKや広域民放(放送内容は別個)のチャンネルを含む、各種の無料放送チャンネル。そして各種の専門チャンネルである、月額契約制の有料チャンネルになります。
CS放送とは、通信衛星(Communication Satellite)を使う衛星放送です。通信衛星は、元来は企業や事業者による通信のための人工衛星でしたが、1989年(平成元年)の放送法の改正により、一般世帯向けの放送用にも使用できるようになりました。
CS放送は、CS事業者との契約を結んだ特定の視聴者を対象にする放送になります。現在のCS放送の種類には、東経110度の通信衛星を用いた放送で、大半が月額契約制の有料チャンネルながら、約80のさまざまな専門チャンネルがある、110度CS放送「スカパー!」。
そして東経124度、128度の通信衛星を用いる放送で、約130以上の有料専門チャンネルのうち、4K対応が1チャンネルと、それ以外がすべてハイビジョン対応。他にも約100チャンネルのラジオ放送も存在する、124度/128度CS放送「スカパー!プレミアムサービス」がございます。
これらBS放送、CS放送の区分は、もともと放送法の規定によるものでしたが、現在では実質的な違いは少なくなっております。
そして新4K8K衛星放送は、2018年(平成)12月1日から本放送がスタートした、衛星放送における4K、8K放送です。
4K、8Kの「K」とは「1,000」を表す単位で、映像の画素数を表す記号です。従来の2Kフルハイビジョンが、横(水平)に約2,000画素、縦に約1,000画素で約200万画素の映像であるのに対し、4Kは水平に約4,000画素、垂直に約2,000画素。8Kは水平に約8,000画素、垂直に約4,000画素となっており、4Kはフルハイビジョンの4倍、約8,00万画素。8Kは16倍、約3,300万の画素数を誇ります。
また画素数だけでなく、従来の2K放送に比べて、豊かな色彩や鮮やかな色調のコントラスト、より細かく滑らかな動きも表現することが可能で、非常にリアルな映像をご覧いただける衛星放送となります。また音質についても、特に8K放送では「22.2マルチチャンネル」により、とてもダイナミックな音質が楽しめます。
この新4K8K衛星放送は、従来のBS放送、CS放送に、4KBS、8KBS、4KCSのチャンネルが追加されたもので、有料チャンネルを除いて、特に新しい契約などは必要ございません。4KBSはBS放送の4Kチャンネル。8KBSはBS放送の8Kチャンネルで、現在はNHK-BS8Kのみ。4KCSはCS放送の4Kチャンネルになります。
ただ、新4K8K衛星放送と従来の2K放送の違いとして、使用される電波の種類がございます。従来の2K衛星放送の電波は、右回りの螺旋を描く「右旋円偏波」でした。
ただ新4K8K衛星放送の導入にあたり、この右旋の電波では、追加される4K8Kチャンネルに割り当てることのできる、空きの周波数帯が不足しました。そこで右旋の電波で空いている周波数帯には、まずBS放送の基幹的なチャンネルである、NHK、広域民放の4Kチャンネルを割り当てました。
そしてその他の4K、8Kチャンネルには、新しく左回りの螺旋を描く「左旋円偏波」を導入して、その周波数帯を割り当てたのです。
現在の市販のBS/CSアンテナは、ほぼすべてが右旋と左旋の双方に対応できる2K4K8K対応型になっており、アンテナ配線部に使用される同軸ケーブルやブースター、分配器などの機器も、左旋の電波も問題なく送信できる4K8K(3442MHz)対応型になっております。
ただ2018年以前に設置された2K対応BS/CSアンテナや、同時期のアンテナ配線部のケーブル、機器類では、左旋の電波に対応できず、BSのNHK、広域民放の4Kチャンネル以外は視聴できないことになります。この場合、すべての新4K8K衛星放送のチャンネルを視聴するためには、上記した左旋の電波に対応できるBS/CSアンテナや配線部の機器に交換する必要がございます。
新4K8K衛星放送と、そのチャンネルを受信するための機器については、詳細な解説がある以下の各コラム記事をご参考にしてください。
・新4K8K衛星放送とは? 4K、8Kテレビの購入後に必要なアンテナ工事と費用の相場、おすすめ業者の選び方まで徹底解説!
・「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
・「新4K8K衛星放送」のご視聴に必要な機器・完全チェック!
衛星放送用のBS/CSアンテナとは?
現在、日本の衛星放送(BS放送、110度CS放送)を受信するため、住宅などに設置されるBS/110度CSアンテナは、その形状から「ディッシュ(dish:皿)」と呼ばれる放物面反射器をもつパラボラアンテナの一種類のみになります。
BS/CSアンテナは、このディッシュで静止衛星からの12GHz帯の電波を受け止めて反射し、ディッシュの中央部にアームで固定された「コンバーター(変換器)」の一次放射器に集められます。
コンバーターでは12GHz帯の電波を、ケーブルでの送信に適したMHz帯の電波に変換します。この電波がアンテナ配線部を通じ、テレビなど受信機器のBS/CSチューナーへと送られることで、BS、CSの衛星放送が視聴できるのです。なおコンバーターは周波数帯を変換する電子機器であるため、アンテナ配線部のブースター電源、またはチューナー端子から給電する形で、電源が必要となります。
戸建て住宅にBS/CSアンテナを設置する場合の主な設置位置は、配線をまとめやすくするため、まず基本的に設置される地デジアンテナの付近が選ばれます。
屋根の上などに八木式アンテナやユニコーンアンテナが設置される現場であれば、同じマストのすぐ下にBS/CSアンテナが設置されます。この場合は地デジアンテナと同じく、角度調整が行いやすいというメリットがございます。他にも、サイドベースを用いた壁面やベランダの手すりへの設置。ベランダ内部への設置などの方法もございます。
ただBS/110度CSアンテナは、パラボラアンテナの性質上、地デジアンテナ以上に指向性がとても高く、BS放送、CS放送の静止衛星が位置する南西方向、東経110度へと、アンテナの仰角(上下角)、方位角(左右角)を正確に調整する必要がございます。この角度にミリ単位のズレが生じても、衛星放送の受信不良が生じてまいりますので注意が必要です。
また前述の通り、東経110度を向けたアンテナと静止衛星との間に、わずかな障害物が発生しても、電波が遮断され、やはり受信不良が生じるため、アンテナを向ける方向に障害物が存在せず、将来の発生も考えにくい位置に設置することが大切です。
BS/CSアンテナに関する詳細は、以下の各コラム記事でも詳細を解説しております。
・台風対策に最適! 究極の高耐風BS110度CSアンテナ「BC453SG」(DXアンテナ)
・衛星放送用バラボラアンテナ・BS/CSアンテナの種類と選び方とは? 地デジテレビアンテナとの違い、家屋への設置工事を解説
・衛星放送用BS/CSアンテナの種類と性能とは? 地デジテレビアンテナとの違い、設置工事の方法から機種の選び方まで解説!
・BS/CSアンテナには電源が必要? テレビから衛星放送用アンテナに電源設定を行う方法
・BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!
・雨や雪が降るとBS、CSの衛星放送が映らなくなる原因と衛星放送用テレビアンテナを調整して映るようにする対処方法とは?
・衛星放送用BS/CSテレビアンテナの寿命は何年? 取り付けから約10年後の交換工事の時期や映らなくなった時の対処法を解説
BS/CSアンテナの種類と受信性能とは?
現在の一般的なBS/CSアンテナとは、BS放送および110度CS放送(4K8Kチャンネル含む)を受信するための、BS/110度CSアンテナになります。どちらの放送の静止衛星も東経110度に位置するため、一基のBS/CSアンテナで双方の受信が可能になるのです。
ただ他にも、前述した124/128度CS放送を受信するための別個のCSアンテナとして、プレミアムサービス専用アンテナ。またBS放送、110/124/128度CS放送をすべて受信できるマルチアンテナなども存在します。
以下は、BS/110度CSアンテナを中心にご説明してまいりますが、BS/CSアンテナの種類の違いとしては、まずディッシュサイズの違いが挙げられます。BS/CSアンテナはディッシュの直径によって受信性能が異なり、大型になるほど受信性能が高くなります。
一般的な家庭用(戸建て住宅用)のBS/CSアンテナは、45型(ディッシュ直径45センチ)のモデルになりますが、他にも集合住宅用の共同受信用などとして、住宅の規模に合わせて使用される、50型、60型、75型、90型、120型などがございます。
戸建て住宅向けには45型でも十分な受信性能を持ちますが、前述した降雨減衰、降雪減衰への対策や、衛星放送の電波レベルがやや弱まるエリアでは、戸建住宅でも受信性能が高い50型、60型などが使用される場合もございます。
ただ大型のBS/CSアンテナは風雨などに影響されやすく、角度のズレなどのトラブルも発生しやすくなるため、注意が必要です。なおBS/CSアンテナは、ディッシュが同サイズのモデルであれば、どのメーカー製や別モデルであっても、受信性能に大きな違いは生じません。
その他のモデルの違いには、カラーバリエーションがございます。BS/CSアンテナの本体色は、基本的に白系統になります。これは白が光を反射しやすく、太陽光の熱や紫外線による本体の歪みや劣化に影響されにくくなるためです。ただ近年では、太陽光に影響されにくい塗料を用いた、ブラックやブラウン、ベージュなどの本体色を持つモデルも存在します。
他にも台風の多い地域などでの使用を前提に、数々の設計の工夫によって、通常モデルより格段に高い耐風性能を実現した高耐風モデルなどが存在します。
BS/CSアンテナの目立たない設置方法とは?
前述のように、BS/CSアンテナの設置には、東経110度を向けることができる、障害物がないなどの条件が必要となるため、設置できる位置の条件が厳しくなります。そのためもっとも適しているのは、やはり障害物に影響されにくく、角度調整も行いやすい、屋根の上などの高所になります。
ただできるだけ目立たなくする方法としては、前述のように、黒や壁の色に近いカラーバリエーションモデルを使用する。そして設置できる条件が整っている場所でも、住宅の壁面やベランダの内外。屋根の上であれば差し掛け屋根の壁面部など、外部から見えにくい、死角になる位置に設置するといった方法がございます。
壁面や屋根の見えにくい位置に設置する場合には、サイドベースなどの金具を設置し、そこにマストを立ててBS/CSアンテナを固定する形になります。ただこの場合には、やはり壁面にビス穴を開けて金具衣をネジ留めする必要がありますのでご注意ください。他にも壁面やベランダ手すり部への設置では、屋根の上ほどではないものの、やや目立ってしまい、風雨などの影響も受けやすくなります。
またベランダの内側に固定する方法では、設置位置や角度の調整は難しくなるものの、外部から見えにくく、また風雨などを避けやすくなるというメリットもございます。ただ八木式アンテナの場合と同じく、誤ってアンテナに触れることでの角度のズレや、アンテナの前に人が立つ、物を置くことでの受信不良も考えられますので、ご注意いただきたく思います。
またBS/CSアンテナは、住宅に東経110度を向いてその方向に障害物がなく、窓ガラスを通して静止衛星からの12GHz帯の電波が届く窓があれば、窓際への奥内設置も可能です。12GHz帯の電波は光に近い性質を持つため、住宅の壁面などには遮断されますが、透明な窓ガラスでは、多少の減衰は生じるものの透過できるからです。
BS/CSアンテナ室内設置のメリットは、他の地デジアンテナと同じく、住宅の外観に影響を与えない。またアンテナが風雨などの影響も受けなくなるため、寿命も延びるという点が挙げられます。
BS/CSアンテナを室内に設置できる条件は、通常のBS/CSアンテナ設置と同じ、設置角度や障害物がないなどの条件の他、窓ガラスが12GHz帯の電波を十分に通す大きさを持つ、シンプルな一枚板のフロートガラスであるという点が大切です。網などの金属素材が混入されている。色付きやすりガラス、模様ガラスなどでは、12GHz帯の電波の電波を通しにくいため、室内設置が難しくなります。
具体的な設置方法は、BS/CSアンテナを専用の自立スタンドに設置して、条件が整った窓際に配置。テレビなど受信機器と接続して、電源や受信設定を行い、アンテナの角度を調整するという形になるため、ご自宅でのDIY設置も可能となります。
ただBS/CSアンテナ室内設置のデメリットとしては、基本的にアンテナを一台のテレビなど機器と接続するだけで、複数のテレビなどに配分する複雑な配線は難しい。室内に45型BS/CSアンテナを置くことができるスペースが必要となる。アンテナの前に人が立つ、物を置くなどによる電波の遮断。また固定されていないため、アンテナに触れることでの角度のズレが生じやすいなどの点が挙げられます。
なおBS/CSアンテナを屋外に設置する場合には、風雨の影響によるトラブルを避けるため、前述の高耐風モデルを設置するという方法もございます。高耐風モデルの代表的な商品には、国内の大手アンテナメーカー「DXアンテナ」社製の「BC453SG」がございます。
このモデルは、ディッシュ部にパンチングメタル仕様を採用し、無数のパンチングホールを設けて風を通すことで秒速70mの風速にも耐える仕様の他、アンテナ本体の固定部、コンバーターアームなど接続部も強化することにより、風の影響によるアンテナの歪みやズレも抑えることができます。前述のようにBS/CSアンテナは、わずかな角度のズレでも衛星放送の受信に支障が出ることもあるため、強風や台風が多いエリアでは、特にこのような高耐風モデルの取り付けが役立ち、おすすめといえます。
BS/CSアンテナのさまざまな設置方法については、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
・BS/110度CSアンテナで安定して衛星放送を受信できる設置の場所とアンテナの向きや角度を正確に調整する方法
・自分でDIY取り付けも可能? 衛星放送用BS/CSテレビアンテナのさまざまな設置方法と工事を行う際の注意点
・BS放送、CS放送を視聴する衛星放送用テレビアンテナを室内に設置する方法とその条件、おすすめの設置用製品とは?
・室内に衛星放送用のBS/CSアンテナを設置してBS放送、CS放送のテレビ番組を観る方法、5大チェックポイント解説!
・住宅でBS/CSテレビアンテナを屋外の見えない位置に設置する方法は? ベランダ内などに隠して設置できる会社や注意点を解説
ポータブルBS/CSアンテナは家庭用として使えるか?
パラボラアンテナ以外のBS/CSアンテナには、やや特殊なモデルながら、車載用のドーム型や、アウトドア用のポータブルBS/CSアンテナなどがございます。中でもアウトドア用のポータブルBS/CSアンテナは、長方形のフラットな形状を、スタンドに立てる形になっている点が特徴です。このような形状から、ポータブルBS/CSアンテナは目立たないBS/CSアンテナの候補にも考えられます。
ただ、このようなアンテナを家庭用のBS/CSアンテナとして使用することは可能であるものの、主に2点の難点がございます。
ひとつは、価格面です。ポータブルBS/CSアンテナは、本体価格だけで40,000円から50,000円程度と高価格になります。費用面でいえば、通常のBS/CSアンテナ本体や部材の価格を含めた設置費用よりも高額になります。
もうひとつは、性能面です。このようなアンテナは主目的がアウトドア用で、発売された時期もやや古いため、2KのBS放送、CS放送は受信できても、製品によっては新4K8K衛星放送に対応していない場合が多くなります。
また衛星放送は、屋外の開けた場所でも、障害物や天候の影響で受信が不安定になりやすいため、特に市街地でアウトドア用のBS/CSアンテナを使用した場合、安定した受信を見込めない可能性もあります。
ポータブルアンテナを家庭で使う場合は、基本的にアウトドア用として購入したものを、ご家庭でも簡易的に使用するなどの、あくまでサブのBS/CSアンテナとして考えられるのが適切といえます。
目立たないテレビアンテナの設置方法・まとめ
戸建て住宅に設置しても目立たない地デジ、BS/CSなどテレビアンテナ設置に関して、各アンテナのモデルや、設置位置別でのご説明は、以上の通りになります。
他にも、地デジ、BS/CSアンテナのさまざまな設置方法に関しては、以下の各コラム記事にも参考となる情報がございます。
・地デジ・衛星放送のテレビアンテナ設置で、受信性能や見栄えが最適の場所や位置は? 設置場所による工事の方法や費用も徹底解説
・地デジや衛星放送用BS/CSテレビアンテナのベランダ設置や壁面取付の方法は? デザインアンテナ失敗例や必要な端子も解説
・地デジ放送、衛星放送用のテレビアンテナ室内設置工事に用いる地デジ、BS/CSアンテナ機種の選び方と、必要な費用とは?
・地デジ、衛星放送の各種テレビアンテナ設置工事にかかる時間はどれぐらい? 各種アンテナ工事費用の相場と合わせて徹底解説!
・テレビアンテナ設置場所のポイント(地デジ・BS/CSアンテナ編)
・地デジアンテナとBS/CSアンテナをセットで設置する工事とは? 地デジ用、衛星放送用テレビアンテナの種類とその違いを解説
当あさひアンテナでは、地デジ、BS/CSの各種アンテナ工事について、国産大手メーカー製の高品質アンテナ本体と基本部材、防水加工などをセットに、業界最安に挑戦する低価格の工事費用でご提供しております。アンテナ本体に関しても、カラーバリエーションや高性能モデル、高耐風モデルなど、さまざまなモデルをご用意しております。
現地へ出張しての電波調査、お見積りも、出張費、キャンセル費を含めた完全無料で実施しており、綿密な電波調査の結果で可能な限り、住宅でも目立たないアンテナ機種や設置位置の選択をはじめ、できる限りお客様のご要望に対応できる工事をご提案、お見積りいたします。
お見積もりにご納得いただければ即日工事も可能で、工事にあたっては、知識と経験、実績が豊富で高い施工技術を誇る弊社スタッフが、可能な限りお住まいの外装を傷つけず、配線などの見た目も整った、丁寧な施工をお約束いたします。
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地デジ、BS/CSのアンテナモデルや設置位置をはじめ、各種テレビアンテナの設置工事のご予定があり、特にご希望やこだわりをお持ちで、どこに設置すればいいか、費用はいくらぐらいなどお悩みのお客様は、どのようなご要望であっても、まずは当あさひアンテナまで、お電話(フリーダイヤル)や弊社ホームページのメールフォーム、LINEなどへと、どうかお気軽にご相談、ご質問ください。
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