テレビのアンテナブースターガイド:地デジ、衛星放送の電波レベル改善から部材の種類と選び方、設置方法まで

2025年04月11日

 

設置からそれほど年月が経っていないテレビアンテナを使っているお住まいで、急にテレビ放送の画面が乱れる、特定のチャンネルだけ映らないといったトラブルが発生することもあります。

お住まいのテレビアンテナや本体、アンテナケーブルに問題がなく、近隣でも問題なくテレビが見られる場合、お住まいで受信できているテレビ電波の強度(レベル)が弱く、わずかな変化で必要な水準を下回っている可能性があります。

そのような際に役立つのが「テレビアンテナブースター」と呼ばれる機器です。一般的に「ブースター」または「増幅器」と呼ばれるこの機器は、テレビアンテナが受信したテレビ電波を増幅して、お住まいで必要十分な電波レベルを確保してくれる機器になります。現在では、電波塔からやや離れていて受信できる電波レベルが弱い場所や、テレビ、レコーダーなどの台数が多い家庭では、設置がほぼ必須となっています。

ただ、ブースターの存在や役割はご存じの方でも、お住まいに各種のテレビアンテナを設置される際にブースターが必要なのか、テレビ画面が乱れる場合にはブースターで改善できるのか、またこれらの対応にはどのようなブースター機器が適しているかなど、わからないことも多々おありでしょう。

そこで本コラム記事では、テレビの電波を強くするブースターの仕組みや役割、機器の種類、お住まいで必要となるケースや適したブースター機器の選び方、そしてご自分でのブースター設置方法まで、ブースターに関して、皆様に必要な情報を網羅的に解説いたします。

また、 年間施工実績6,000件を誇る当あさひアンテナが、お住まいでテレビをご視聴になる際に考えらえる、画面の乱れなどのトラブルの要因となる環境を改善すべく、ブースターだけでなく、電波状態を改善する対策となる、その他の事例別の方法も合わせてご紹介いたします。

お住まいで受信できるテレビ電波が弱いとお悩みの方や、適切なブースター選びで迷っておられる方は、ぜひ本記事を一読ください。アンテナ用ブースターについて正確にご理解いただき、快適なテレビ視聴環境を確保するための参考情報をご提供いたします。

テレビアンテナブースターとは?電波を強くする仕組みと役割を解説

アンテナ用のブースターは、テレビアンテナが受信したテレビ(地デジや衛星放送)の電波レベルを電気的に増幅し、より安定した映像を視聴するために使用される機器です。

電波が弱い地域や、お住まいに設置されるテレビなど受信機器の台数が多い、また屋内でケーブル配線が長いために電波が減衰してしまう場合などに特に有効な機器です。

ご存知の方も多いでしょうが、英語で「boost(ブースト)」といえば「押し上げる」「増強する」「支援する」等の意味で、ブースター(booster)は接尾語の「-er」がついて「~するもの、人」という意味になります。

ブースターという言葉は、現在では日本でも、航空機やロケットなどの推進力を積み増す装置、ゲームのキャラクターや能力を増強するアイテム、スポーツチームを後援するファン、ワクチンの追加免疫効果、化粧品の浸透力を増す基礎化粧品などにも使われており、一般でも和製英語として広く使われている言葉です。

本コラムのテーマであるテレビアンテナ用のブースターは「受信ブースター」「テレビブースター」「アンテナブースター」などの別名もありますが、基本的にはどれも、アンテナで受信したテレビの電波レベルを押し上げ、増強することで、安定したテレビ視聴をサポートする機器の意味になります。

ブースターで増強される地デジ電波の強度と必要なレベル

ブースターは、テレビアンテナで受信できる電波レベルが低い場合に増幅する装置であることは、すでにご説明した通りです。まずは、ブースターで増幅される電波レベルについて、ブースター設置の必要性が高い地上デジタル放送(地デジ放送)を例にご説明いたします。

現在の日本の地デジ放送では、日本各地に設置された地デジの電波塔から、その周辺の一帯に、UHF(極超短波)でも470MHz(メガヘルツ)から710MHzまでの周波数帯を、地デジ電波として送信しております。

この地デジ電波は、デジタル信号化されたテレビの映像信号を、電波の波長に変換して送信していて、各ご家庭に設置された地デジアンテナ(UHFアンテナ)で受信することになります。そしてアンテナで受信できる地デジ電波の強さは、電波塔からの距離や電波を遮る周辺環境、天候など、さまざまな要因で変化します。また同じ電波塔から送信される地デジ電波でも、周波数帯が高いチャンネルほど、距離や気候、天候などの影響を受けた減衰(電波レベルの弱まり)が大きくなります。

そのため、さまざまな要因により受信できる電波が低くなるエリア、現場では、ブースターを設置することで、アンテナが受信した電波レベルを増強するのです。

なお、地デジ電波などテレビ電波の強さは「dB(デシベル)」という数値で表記されます。アンテナが受信できるdB数は100dBから1dBで計られます。このdBの数値は、通常の四則演算ではなく、常用対数で表されます。

この常用対数から、一般的にdBで表される電波レベルは、元の数値から10dB上昇すると、電波強度が約10倍になると言われています。例えば30dBを基準とした場合、40dBは30dBの10倍、50dBは30dBの100倍という計算になります。

そして住宅内の各お部屋にあるテレビなどで、安定して地デジ放送を視聴するために必要なレベルは、地デジチューナーに届いた時点で34dBから89dBの間です。この数値より電波レベルが低いとチューナー側で映像信号が読み取れず、高すぎる場合もチューナーの過電圧などが生じ、画面の乱れなどのトラブルにつながるのです。

また上記の必要なdB数は理論上のもので、実際には、さまざまな要因で電波レベルは変動するため、現場で安定した地デジ受信を実現するため、テレビのチューナーに届く時点で必要な電波レベルは、47dBから81dBの間で調整され、最低でも40㏈以上が必要です。

現在では戸建てのお住まいで三台以上のテレビが設置されることも一般的になっており、すべてのテレビなど受信機器で、上記の地デジ電波レベルを確保して、安定した地デジ放送の受信を実現するために、ブースターの設置はほぼ必須と言えるものになっています。

なお。地デジ放送や衛星放送の仕組みやその電波、受信レベルの違いなどについては、以下の各コラム記事に詳しい解説がございます。

・地上デジタル放送の「地デジ電波」基礎知識

・現在の地上波テレビ放送で地上デジタル放送が開始されたのはいつ? デジタル放送とか何か、その仕組みや特徴も全解説!

・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは

・衛星放送(BS放送・CS放送)の「テレビ電波」基礎知識

・教えて!BS、CSやスカパーとは? 視聴料金からアンテナの選び方、業者による設置工事の費用相場、サポートの方法まで全解説

電波が弱くなる原因とは?ブースターが必要な理由

地デジ放送などテレビ電波のレベルが弱まり、テレビ映像に乱れ、映らないなどの問題が出る原因には、さまざまな要因が考えられます。以下に主な原因の例を一覧でご紹介いたします、

  • 受信エリア・周辺環境:地デジ電波塔からの距離が遠いと、地デジ電波が空間を伝わる際に減衰(電波レベルの弱まり)が進み、受信できる電波レベルも低下します。この距離や大きな障害物による影響で、電波塔の周辺で受信できるおおよその電波レベルごとにエリア分けしたものが、上記コラムでも解説している強・中・弱の「電界地域」です。また地デジ電波は、音のようにある程度は遮蔽物を乗り越えて広がる性質もあるものの、山やビルなどの障害物に遮られやすく、例えば山地や高層ビルの近隣では受信レベルが低下することもあります。他にも住宅密集地などでは、周囲に遮蔽物のない屋根の上では十分な受信レベルを確保できても、家と家の間の狭い空間にには十分なレベルの地デジ電波が届かない場合もあります。
  • 住宅内のケーブル配線部:住宅に設置されたテレビアンテナから送られるテレビ電波は、各部屋にあるテレビまでの同軸ケーブル配線や、設置された機器の接続端子を通過する際にも、徐々に電波レベルの減衰が起こります。そのためアンテナから遠く離れた部屋などで、一部屋だけケーブル配線部での減衰が多い場合は、他の部屋のテレビでは特に問題はなくとも、その部屋のみテレビ画面が乱れるといったケースが考えられます。またケーブル配線そのものや接続部の劣化で、電波の漏洩などにより電波レベルが大きく低下することもあります。
  • 配線部の分配器:上記のケーブル配線部にある機器の中でも「分配器」という機器は、アンテナの側から電波を送る一本のケーブルを、複数のケーブルに分配して、送信される電波レベルも、各ケーブルへと等分に分ける役割を持っています。お住まいの各部屋で複数台のテレビを見るためには必須と言える重要な機器ですが、この電波レベルの分配により、各お部屋に送られる電波レベルが、元の電波レベルから部屋分で割ったレベルに低下することにもなります。
  • 気候や天候:地デジアンテナに届くまでの地デジ電波レベルは、伝わる空間の状態にも影響を受けます。そのため同じ場所でも季節による気候の変化でおおよそ6㏈程度のレベルの変化が生じるほか、電波は水分に弱いため、雨や雪などの悪天候では電波が吸収されて大幅なレベル低下が起こります。

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以上のような原因によって、テレビのチューナーまでに届く電波レベルが必要な水準より弱くなると、テレビ映像が乱れたり、特定のチャンネルが映らなくなったりするなどの問題が生じます。

このようなトラブルが起こり得る現場(お住まい)に、あらかじめアンテナブースターを設置することで電波レベルを増幅して、すべてのテレビに届く電波を十分に余裕のあるレベルにすることで、常に安定したテレビ放送の視聴が可能になるのです。

ブースターを含む、一般的な戸建て住宅における、テレビアンテナの配線部の構造、設置される機器については、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。

・戸建住宅におけるテレビアンテナ配線を徹底解説!

・新築戸建て住宅にテレビアンテナを設置する時に必要な機器と工事とは? その種類と費用の相場をすべて解説します

・戸建て住宅で地デジテレビアンテナを取り付ける工事に必要な配線とは? 設置にかかる費用の相場、料金や業者選びの方法も解説!

アンテナブースターの仕組みを図解で解説

アンテナブースターとは上記の通り、テレビアンテナで受信した電波をテレビまで送る配線部の途中に設置され、送られてくる電波(電気的なエネルギー)を内部の増幅回路によって増幅する仕組みを持っています。ブースターは電波のエネルギーを増幅する機器であるため、電源が必要となります。

イメージとしては、マイクで音を拾って、アンプで音量を大きくすることに似ています。アンテナがマイク、ブースターがアンプの役割を果たしていると考えれば、わかりやすいでしょう。

ブースターを通して電波が十分なレベルに増幅されることで、元々はやや弱いレベルのテレビ電波でも、その住宅で、アンテナケーブルを伝わる際の減衰や、分配器による各部屋への電波レベルの分配を考慮しても、屋内にあるすべてのテレビに十分な余裕のあるレベルの電波を届けることができるのです。

ただブースターを設置する上での注意点には、ブースターは送られてくるテレビ電波だけでなく、混入するノイズ(余計な電波、雑音)をも増幅してしまう性質があります。テレビに届けられる電波レベルにノイズが多く交じっていると、やはりテレビ画面が乱れる原因となるため、電波がブースターに届く時点で、できるだけノイズの混入量が少ない環境を整える必要があります。

そのため特に屋外用のブースターは、純度の高い電波が届くよう、ブースターの本体部(増幅部)を、アンテナの近くに設置します。ただアンテナ本体とブースターの位置が極端に近い場合も、ブースターから発生する電磁波がノイズになる可能性も出るため、アンテナマストに設置されるアンテナの場合、基本的にブースターはマストの下部、アンテナから1メートルほど離して設置されます。

ブースターの種類:電源供給方式の違い(電源内蔵型/電源分離型)

上記の通り、アンテナブースターには電源が必須となりますが、その電源の供給方式は機器によって異なり、大きく分けて以下の2つの種類が挙げられます。

  • 電源内蔵型:ブースター本体に電源が内蔵され、ACアダプタなどを使って、電源コンセントに接続することで給電します。このタイプは基本的に室内に設置できる室内用ブースターになり、電波の増幅レベルはやや弱くなりますが、室内ケーブル配線の途中に設置する形になるため、ご家庭でも設置が簡単で、手軽に導入できるのがメリットです。
  • 電源分離型:ブースター本体(増幅部)と電源部が分離しているタイプです。上記の通り、このタイプのブースターは屋外用でアンテナ本体の近くに設置されることが多くなります。設置方法は、まずブースター本体にあたる増幅部をアンテナの近くの配線部に設置します。次に増幅部からのケーブルを屋内の屋根裏などに引き込み、そこで配線をブースター電源部に接続し、電源部のコンセントを、設置されているブースター用コンセントに接続します。これにより電源部からケーブル配線を通じて、アンテナ付近の増幅部に電源が供給され、テレビ電波が増幅されます。この方式のメリットは、増幅部をアンテナ近くに設置し、ノイズを発生させやすい電源部をアンテナから離すことで、テレビ電波にノイズが混入することを抑える。また電源部が風雨を受けてショートなどの故障が起こることを避けられる点です。この電源分離型の屋外用ブースターは、アンテナの種類によっては設置場所が屋根の上などの高所になり、ブースター増幅レベルの調整も必要なため、配線作業を含めた設置工事は、業者に依頼する必要が出る場合が多くなります。ただ、電源内蔵の室内用ブースタに比べて電波の増幅レベルが高く、住宅全体に届く電波レベルを増幅できるため、お住まいのすべてのテレビで、より安定したレベルによるがテレビのご視聴が可能になります。

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お住まいでどちらのタイプのブースターを選ぶべきかは、お住まいで対処したい受信トラブルの種類や症状をはじめ、ご自宅の受信環境、ブースターに求める性能などによって異なります。一般的には、屋内の一部の部屋で電波を増幅したい場合は電源内蔵型(室内用)、住宅全体で十分な電波レベルを確保したい場合や、お住まいに設置する基本のブースターとしては電源分離型(屋外用)が推奨されます。

以下、各ブースターの特性、メリットやデメリットを一覧にした比較表です。

ブースターの種類別|電源方式・メリット・デメリット・おすすめ設置場所

種類 電源供給方式 メリット デメリット おすすめの設置場所
電源内蔵型 コンセント、ACアダプター 設置が簡単で手軽に導入可能。 増幅レベルが低く、電源ノイズの影響を受けやすい。 室内
電源分離型 別個の電源部から供給 住宅全体で安定した電波増幅が可能。 プロの業者による設置工事が必要な場合が多い。 屋外

アンテナブースターは必要?不要?設置すべきケースと判断基準

上記のようにテレビ本体に届く電波レベルが弱く、テレビ画面などの乱れが生じる場合に、有効な対策となるのがアンテナブースターです。

しかし映像トラブルが発生した場合に、ただ単純にブースターを設置すれば、どのような問題でも解決できる、という機器でもありません。

この項では、お住まいの受信環境やトラブルの症状によって、ブースターが必要(対策として有効)なケースと、不要(対策として不適切)なケース、そしてブースターを設置する際の注意点について解説してゆきます。

ブースター設置を検討すべきケース:電波強度が弱い、または不安定

お住まいの受信環境やトラブルの症状が、以下のような状況に当てはまる場合は、アンテナブースターの設置によって改善される可能性が高く、導入をご検討される価値があるといえます。

  • テレビの画面にノイズが入る、映像が途切れる:テレビに届いているテレビ電波強度が不足している場合の典型的なサインです。特に特定の季節や雨の日など、気候、天候によって画面トラブルが発生する場合は、アンテナで受信できている電波が必要最小限で、受信できる電波レベルの変動によりトラブルが発生している可能性が高く、ブースター設置の効果が期待できます。またテレビに届いている電波レベルが十分かどうかを確認するためには、テレビのリモコンから設定画面を表示し、地デジやBSの「アンテナレベル画面」を表示することで確認できます。アンテナレベルの確認方法や画面の見方は、テレビ本体に付属のマニュアルや、メーカーの公式サイトなどでご確認ください。
  • 特定のチャンネルだけ映らない:この場合は、チャンネルに割り当てられた特定の周波数帯の電波が弱まっている可能性があります。この場合も、ブースターで電波を増幅することにより電波レベルが安定し、視聴できるようになる可能性があります。
  • 住宅内に複数のテレビを設置している: アンテナから送られる電波を配線部の途中で分配する際には、電波レベルが分配数に応じて分けられるため、個々の部屋に送られる電波強度は大きく低下します。この場合には、主に屋外用のブースターを設置し、分配器に送られる電波を、すべての部屋に十分なレベルの電波を分配できる水準まで増幅することで、屋内のすべてのテレビで電波レベルを安定させることができます。なお一般的に、戸建て住宅で屋内に三台以上のテレビを設置する場合には、アンテナで受信できる電波レベルに関係なく、ブースターの設置はほぼ必須になります。
  • アンテナからテレビまでのケーブル配線が長い:前述のようにテレビアンテナから屋内のテレビまでの配線が長いと、ケーブルを伝わる間に電波の減衰量が大きくなり、アンテナから遠い特定の部屋でのみテレビ画面の乱れなどが生じる場合もあります。この場合は、該当する部屋に室内用ブースターを設置するなどの対処で、テレビ画面が安定する可能性が高くなります。また室内のアンテナコンセントからテレビを接続するアンテナケーブル(同軸ケーブル)にはある程度、余裕ある長さが必要ですが、あまりに長すぎる場合も電波が減衰する原因になるため、適切な長さを選ぶことが重要です。
  • 新4K8K衛星放送を視聴する: 2018年(平成30年)に、従来の衛星放送(BS放送、CS放送)に4K、8Kチャンネルが追加された「新4K8K衛星放送」がスタートしています。この新4K8K衛星放送の4K8Kチャンネルに使用される電波の周波数帯は、従来の地デジ電波や衛星放送(2K)よりも高くなっており、ケーブル配線などでの減衰が生じやすくなっています。そのため、安定した試聴のためには、ブースターの使用が推奨されます。

これらのケースに当てはまる場合、特にテレビの受信レベルの低さから映像に問題が出ている場合は、まずお住まいのアンテナや配線、テレビのトラブル、また電波障害などの可能性も考慮して受信状況を詳しく確認した上で、他の部分に問題がなく、電波レベルの増幅が有効と判断される場合は、ブースターの設置をご検討ください。現場の状況によっては、ブースター設置の外にも、アンテナの角度調整やケーブルの交換などの対策が必要となるケースも考えられます。

ブースター設置が不要なケース:十分な電波強度がある、または原因が別にある

上でも少しご説明しましたが、以下のようなケースでは、テレビ画面の乱れや電波レベル低下の主な原因が他にあるため、そちらを改善することが優先され、アンテナブースターを設置しても十分な効果が得られない、あるいは逆効果になるといった可能性も考えられます。

  • 受信できる電波強度が十分に高い場合:テレビのアンテナレベル画面などで電波強度を確認し、十分な数値が出ている場合には、ブースターの設置は不要です。過剰な電波レベルの増幅は、ノイズを増幅させる、チューナーに過度な電波が送られるなどして、かえって受信トラブルを発生させる要因にもなります。
  • 電波障害が原因の場合: 近隣の建物など障害物の影響、また強いノイズの発生などで、お住まいに届く電波レベルや電波品質そのものが大きく低下している場合は、ブースターを設置しても状況の改善は難しくなります。この場合は、アンテナの位置を変更する、ノイズの原因を突き止めて排除するなどの対策が必要です。
  • ケーブルやテレビ本体の故障が原因の場合:アンテナからテレビまでを結ぶケーブルの断線や劣化、またはテレビ本体の経年劣化による故障、B-CASカードの不具合などが原因で映像が乱れている、映らない場合は、ブースターを設置しても効果はありません。まずはケーブルやテレビ本体などに異常がないをご確認ください。
  • アンテナの老朽化が原因の場合:アンテナ本体が老朽化し、破損などにより受信性能が低下している場合は、ブースターの設置よりも、アンテナ自体を交換する方が効果的となります。

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ブースターはあくまで受信した電波を増幅する装置であり、受信できる電波そのものの問題や、アンテナの設置環境などを解決する機器ではありません。お住まいで生じている電波トラブルの原因を詳しく特定せず、安易にブースターを設置すると、費用が無駄になるだけでなく、かえって状況を悪化させてしまう可能性も考えられます。

まずは事前に、生じているトラブルの原因を、しっかりと究明することが重要です。

マンションやアパートでのブースター設置の注意点

マンションやアパートなどの集合住宅でアンテナ用のブースターを設置する際に、いくつか注意すべき点があります。その点を以下にまとめました。

  • 管理規約や契約内容の確認: 多くのマンションやアパートでは、アンテナやブースターの設置に関して当初の契約や管理規約が定められています。基本的にマンションやアパート、借家などでは、テレビアンテナの設置など、住宅を加工する工事はオーナーや管理会社などの許可を得ない限り難しくなります(室内やベランダにアンテナを据え置きするなど、住宅の工事を伴わないアンテナ設置は除く)。またブースターの設置も隣接する住戸にノイズなどの悪影響を与えるリスクもあるため、無断での設置には注意が必要です。アンテナやブースターの設置に関しては、事前に管理会社やオーナー、大家さんなどに可否を確認し、許可を得た上で行ってください。無断で設置を行うと、契約違反による退去や損害賠償をはじめ、さまざまなトラブルに発展するリスクがあります。
  • 共用アンテナの利用: 集合住宅では、共用のアンテナが設置されているケースもあります。教養アンテナとは、マンションなどの棟ごとに設置されている大型の地デジ、BS/CSアンテナで、このアンテナから集合住宅専用の大型ブースターなどを経由して、各住戸に十分なテレビ電波を送る仕組みになっています。この場合、個別にブースターを設置する必要はありません。共用アンテナの受信状況が悪い場合は、管理会社にご相談の上で、アンテナなど共用設備の改修を要請してください。
  • ブースターの種類:上でもご説明した通り、マンションなどの集合住宅で使用するブースターは、他の住戸にノイズなどの影響を与えないよう、増幅レベルなどが適切な性能のものを選ぶ必要があります。まずはアンテナ工事の専門業者にご相談の上、適切なブースターを選定してもらうことがおすすめといえます。
  • ブースターの設置場所:これも上記とやや重なりますが、ブースターの設置場所は、集合住宅などで、住宅そのものを加工する「工事」に該当しない設置方法を選ぶ必要があるほか、現場での電波の受信状況、配線の状況などを考慮して慎重に選ぶことが重要です。

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集合住宅や賃貸物件でのブースター設置は、決して個人の判断では行わず、必ず物件の管理会社やオーナー、またアンテナ工事の専門業者にご相談ください。物件の規約や使用する機器について適切な対応をすることで、賃貸物件や集合住宅でも、安定した快適なテレビ視聴環境を確保することができます。

【目的別】テレビアンテナブースターの選び方|室内用/屋外用/4K8K対応

テレビアンテナブースターの種類としては、前述の電源一体型(室内用)と、電源分離型(屋外用)のほか、その現場で設置するアンテナの種類や設置場所、主な目的に応じて最適な機種を選ぶことが重要となります。

ここでは、増幅するテレビ放送の電波別や、室内用、屋外用の主なブースター機種について、分類別にそれぞれの選び方を詳しく解説いたします。

テレビ電波別ブースター:地デジ、衛星放送、4K8K衛星放送

現在の日本のテレビ放送には、地デジ放送、2K衛星放送の他、前述の2018年に追加された新4K8K衛星放送の3種類があり、それぞれのチャンネルで使用される電波の周波数帯には違いがあります。

一般的な戸建て住宅では、まず基本のアンテナとして地デジアンテナを設置した後、衛星放送を視聴する場合のみBS/CSアンテナを追加設置します。また2025年(令和7年)現在のBS/CSアンテナは、基本的に新4K8K衛星放送も受信できる2K4K8K(右旋・左旋)対応型になります。

この項目では、各住宅で設置するアンテナや視聴する放送、また視聴の形式に合わせて、各放送に対応できるブースターの種類について解説します。

  • UHFブースター:地デジ電波のUHF波を増幅する、地デジ放送対応のブースターです。お住まいに設置されるテレビアンテナが地デジアンテナのみ。またBS/CSアンテナの配線は別系統で、衛星放送は一部の部屋でしか視聴せず、地デジ電波のみ増幅する必要がある場合に、この機器が使用されます。ブースターとしての機能がシンプルである分、他の機器より価格は低くなります。
  • UHF/BSCS混合ブースター:地デジ電波のUHFと、衛星放送(BS放送、CS放送)の周波数帯の双方に対応でき「混合器」の機能も備えるブースターです。混合器とは、地デジアンテナとBS/CSアンテナなど、住宅に二基以上のアンテナをまとめて設置する際、双方のアンテナから伸びるケーブル(送られる電波)を一本のケーブルにまとめることで、以降の配線をシンプルにして、コストや配線トラブルを抑える機器です。このブースターは地デジアンテナ、BS/CSアンテナをまとめて設置し、双方の電波を屋内のすべてのテレビに送る場合に、ケーブルをまとめると同時に、双方の電波を増幅できる機能を持つものです。
  • BSCSブースター:こちらはUHFブースターとは逆に、衛星放送(BS放送、CS放送)の周波数帯のみを増幅するブースターです。こちらは基本的に卓上タイプや前置きタイプなどの室内用ブースターになり、アンテナから部屋が遠く配線部で電波が減衰する、屋内での分配数が多いなどの要因から、特定の部屋にあるテレビで、衛星放送の画面、電波レベルが安定しない場合に利用されます。
  • 4K8K(3224MHz)対応ブースター:基本的には上記の「UHF/BSCS混合ブースター」と同様の機能で、さらに新4K8K衛星放送の電波にも対応できるブースターです。アンテナからケーブル配線部を送られる電波は、地デジ放送が470MHzから710MHz。4K8K放送以前の2K衛星放送が1032MHzから2072MHzに対し、新4K8K衛星放送の多くのチャンネルでは、2224MHzから3224MHzの、より高い周波数帯が使われています。そのため新4K8K衛星放送の受信には、BS/CSアンテナも2K4K8K(右旋左旋)対応型の他、アンテナ配線部のケーブルやブースター、分配器などの機器も、この周波数帯に対応できる4K8K (3224MHz)対応型の製品が必要になるのです。該当するブースターは基本的に「UHF/BSCS混合ブースター」または「BSCSブースター」が必要になる条件の現場で、さらに新4K8K衛星放送も視聴する場合に設置されます。

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上記の通り2025年現在、新規にBS/CSアンテナを設置する場合は、すべて2K4K8K対応型が使われるため(旧式の2K(右旋)のみ対応のBS/CSアンテナはすでに生産終了)基本的に、地デジアンテナのみの住宅ではUHFブースター、BS/CSアンテナも設置して地デジと同じ配線を用いる住宅では、4K8K対応のUHF/BSCS混合ブースターを設置することになります。

なお4K8K(3224MHz)対応のブースターを確認する方法としては、文字通り「4K8K(3224MHz)対応」の表記がある他、JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)の審査、登録により、新4K8K衛星放送の受信用に適すると認められたアンテナや受信機器に付与されるマーク「SHマーク(スーパーハイビジョン受信マーク)」。また同軸ケーブルや接続端子、ユニットなどの場合は、十分なシールド性能「HSマーク(ハイシールドマーク)」などが付与された製品になります。

新4K8K衛星放送に対応できるアンテナ本体やブースターなどの機器については、以下の各コラム記事でも詳しい解説がございます。

・新4K8K衛星放送とは? 4K、8Kテレビの購入後に必要なアンテナ工事と費用の相場、おすすめ業者の選び方まで徹底解説!

・「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!

・「新4K8K衛星放送」ご視聴に必要な機器・完全チェック解説! テレビで全4K8Kチャンネルを見るための機材とは?!

・テレビ放送(地デジ、衛星放送BS/CS、4K8K)に合わせたテレビアンテナケーブルの種類と選び方、徹底解説!

室内用ブースターの選び方:手軽さと設置場所の自由度

室内用ブースターは、文字通りテレビに届く電波レベルが低い室内で、一般の方でも手軽に設置できる点が最大のメリットです。基本的にアンテナコンセントとテレビをつなぐケーブル配線部に接続するだけで、特別な工事は必要ありません。賃貸住宅など、屋外にアンテナを設置できない現場にも適しています。

室内用ブースターには、主に以下の二種類が存在します。

  • 卓上ブースター:文字通り、卓上などに据え置きできるコンパクトな室内用ブースターです。テレビの横などに置いてコンセントに接続することで利用でき、屋外用ブースターには及ばないものの一定の増幅性能を備えており、本体のスイッチで利得(増幅できる電波レベル)を切り替えられるモデルも存在します。室内用ながら、ある程度の増幅性能が必要な場合に使われる機種と言えます。
  • ラインブースター(前置きブースター):卓上ブースターより小さい、ほぼ筒状のブースターで、主に屋内に据え置きされるアンテナや、テレビのチューナー端子に設置してケーブルを接続するか、アンテナコンセントとテレビをむすぶケーブルの途中に接続されます。増幅性能は卓上ブースターより低く、利得の切り替え性能もなく、製品によって「5㏈」「10㏈」など増幅性能が決まっています。基本的に屋外用ブースターの補助として、一部の部屋で電波レベルが不足する場合に、必要な増幅性能をもつ製品を利用します。電源はコンセントに接続するほか、BSCS対応の製品では、テレビ側でBS電源設定を行い、テレビのチューナー端子からの給電を利用する場合もあります。

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この室内用ブースターを使用する場合に、現場に適した製品を選ぶ際のポイントは、以下の通りになります。

  • 利得、ゲイン(㏈):ブースターが電波を増幅する度合いを㏈数で示す数値で、ブースター利得ともいいます。この㏈数の分だけ、元のテレビ電波レベルに加算して電波を増幅できます。卓上ブースターでは増幅できる㏈数を切り替えできる(ゲインコントロール)モデルも存在します。ただブースターはテレビ電波に混入するノイズごと電波を増幅する機器であるため、特にアンテナから遠い室内用ブースターでは、その部屋で不足する電波レベルを十分に補足できる一方、増幅レベルが過度に高すぎない、適切なモデルを選ぶことが重要です。
  • 定格出力レベル(㏈):定格出力とは、ブースターが安定した映像信号の品質で、増幅した電波を出力できる最大レベル(㏈)の数値を示すものです。例えばブースターに40㏈の電波が入力され、ブースター利得が30㏈とすれば、最大70㏈の電波を出力できることになります。ただ、そのブースターの定格出力が60㏈であれば、出力する電波レベルが60㏈を越えてしまうと、ノイズが多くなって、映像が乱れてしまう場合もあります。そのためブースターから出力される電波レベルは、上記のゲインコントロールなどで、定格出力を越えないよう調整する必要があるのです。
  • 入力レベル範囲(㏈):入力レベル範囲とは、ブースターに入力される電波レベルの適切な範囲のことです。入力される電波レベルがこの入力レベル範囲より低い、あるいは高いなど範囲外であると、映像信号が正しく増幅されずに、テレビが正常に映らない場合もあります。
  • NF、雑音指数(㏈):雑音指数とは、ブースター自体が発生させるノイズを示す数値(㏈)です。ブースターも電子機器であるため、作動によって一定の電磁波(ノイズの要因)が発生します。NFとは「ノイズフィギュア」の意味で、この雑音指数が「1」に近いほど、アンテナから届く電波に余計なノイズを交えないまま増幅できることになります。ブースター利得が高いほど、この雑音指数も高まる傾向がありますが、おおよその目安としては、地デジ用UHFブースターは3dB以下。衛星放送BS/CS用ブースターなら6dB以下の機器がオススメです。現在ではより雑音指数の低い機器も多く存在します。
  • インピーダンス(VSWR):これは「Voltage Standing Wave Ratio(電圧定在波比)」といい、電子機器の回路を流れる電圧と電流の比を表します。詳しく解説すると難しくなりますが、この数値も1に近いほど、効率よく信号を伝送できます。一般的には3.0以下であれば大きな問題はありません。
  • 電源方式: 室内用ブースターの場合、ACアダプター式の電源が一般的ですが、中にはUSB給電式や、テレビの電源設定でチューナー端子から給電されるタイプもあります。設置する部屋の電源環境に合わせた機器をお選びください。
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室内用ブースターは、卓上型、前置き型ともども、低価格で設置が簡単というメリットがある反面、増幅性能は屋外用ブースターに及びません。そのため必要とする電波の増幅レベルが低い現場や、特定の部屋でのみテレビ画面が乱れる場合などに利用することがおすすめです。

また屋外用ブースターを設置している住宅で、一部の部屋で電波レベルが低下する場合の補助として使われることもあります。

いずれにせよ、特にブースター利得や定格出力の数値に注意して、増幅される電波レベルが高すぎず低過ぎず、その現場で適切なレベルを増幅できる機器をお選びください。

屋外用ブースターの選び方:高性能と耐久性

屋外用ブースターは前述の通り、電波を増幅する本体である増幅部と、電源を供給する電源部が別個になっており、住宅などのテレビアンテナの近くに設置することで、住宅全体に送られるテレビ電波を強力に増幅するブースターです。

一般的にテレビアンテナの新規設置工事の際に設置されるのはこのタイプのブースターで、主に中・弱電界地域など、受信できる地デジ電波レベルが弱いエリアや、お住まいに設置するテレビが3台以上の住宅で必要な電波レベルを確保するために設置され、現在では戸建て住宅にはほぼ必須の基本的なアンテナ周辺機器になっています。

この屋外用ブースターを選ぶ際の注意点も、前述した室内用ブースターとほぼ同じですが、ブースターとしての役割が違う分、ポイントはやや違ってきます。

主に以下の点が挙げられます。

  • 利得、ゲイン(㏈):屋外用ブースターの利得は、室内用ブースターに比べて数値が高く、ゲインコントロールもより細かく調整できるモデルが多くなります。他にも特に屋外用ブースターでは、ブースターに入力される電波レベルがやや高い場合に、適度に電波レベルを減衰させる「入力ATT(アッテネーター)」や、チャンネルごとの電波レベルの差が大きい場合に、高いチャンネルの電波レベルのみを減衰させてチャンネル間の差をなくす「チルト」などの調整ができる機器が多くなっています。屋外用ブースターは住宅全体の電波レベルを調整する重要な役割を持つため、本体の入力レベルや定格出力も含めて、映像信号を安定させたまま、すべてのチャンネルで適切に電波を増幅させるため、細かな調整が必要となるのです。
  • 定格出力レベル(㏈):屋外用ブースターの場合、その役割や増幅レベルの高さから、定格出力も高くなります。定格出力が高いブースターでは、ブースターから遠く離れて電波の減衰が起こりやすい部屋にも、十分なレベルの電波を届けやすいため、お住まいに合わせて十分な定格出力を持つモデルを選ぶことが重要です。
  • 入力レベル範囲(㏈):屋外用ブースターにも入力レベル範囲はありますが、前述した入力ATTなどの調整機能もあるため、屋外用ブースター設置に当たっては、さほど大きな問題にはなりません。
  • NF、雑音指数(㏈):屋外用ブースターの雑音指数は、ブースター利得が高い分、室内用ブースターよりやや高くなり、利得を高く調整するほど増加する傾向があります。特に屋外用ブースターでは、アンテナやブースター増幅部の設置位置によっては、ブースターからのノイズをアンテナが受信し、さらにそのノイズをブースターが受信して増幅することを繰り返す、電波のハウリングともいえる「ブースター異常発振」というトラブルを起こすこともあります。この異常発振が生じると、現場だけでなく周辺一帯に強いノイズが発信され、テレビだけでなく携帯電話・スマートフォンや無線LANなどの通信障害も起こり得ます。そのため屋外ブースターは特に設置位置や利得などの調整が重要になるのです。現在の屋外用ブースターの雑音指数は、現在ではより低く、またゲインコントロールを行っても指数が変動しない高性能モデルも存在するため、このような機器を使用するのもおすすめの選択肢と言えます。
  • インピーダンス(VSWR):これも室内用ブースターと同様、1に近いほどよく、屋外用では3.0から2.5程度の機器が多くなります。3.0以下の機器であれば特に問題はありません。 は「Voltage Standing Wave Ratio(電圧定在波比)」といい、電子機器の回路を流れる電圧と電流の比を表します。詳しく解説すると難しくなりますが、この数値も1に近いほど、効率よく信号を伝送できます。一般的には3.0以下であれば大きな問題はありません。

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またブースター(増幅部)の設置位置も、基本的にはノイズの混入を避けるため、アンテナの近くになりますが、具体的な設置位置は現場の条件をはじめ、アンテナの機種や設置方法によっても異なってきます。

以下では、アンテナ機種や設置方法別の、主な屋外用ブースター(増幅部)の設置位置をご紹介します。

  • マストに固定されるアンテナ:例えば住宅の屋根の上にマストを立て、地デジの八木式アンテナやユニコーンアンテナを先端に設置する。さらに地デジアンテナの下にBS/CSアンテナも設置するなどの場合は、同じマストでも、地デジアンテナから1メートルほど離した下部に設置されます。これはブースターがアンテナから近いほど、増幅する電波にノイズが混入することを防げるためですが、一方で、特にアンテナ先端の受信性能が高い八木式アンテナでは、ブースターの場所が近すぎると、ブースターからのノイズを受信してしまい、異常発振が起こる場合もあるため、アンテナからは少し離して設置する必要があるのです。また地デジとBS/CSアンテナを設置する場合には、混合ブースターの利用で、双方の電波が伝送されるケーブルを一本にまとめることができます。
  • 平面型デザインアンテナ:薄型のパネル状で壁面やベランダの手すりなどに貼り付けるようにして設置できる、地デジのデザインアンテナでは、本体の裏面に対応するブースターをはめ込むようにして設置できるスペースがある機種も多く、さらに背面のブースターや配線全体を覆うことで、より外見性や対候性が高まる別売りの背面カバーに対応できるモデルも存在します。デザインアンテナは八木式アンテナなどに比べるとやや受信感度が弱いため、ブースターの必要性が高くなります。一方で受信性能を発揮するのは表の面のみになるため、裏面にブースターを設置してもノイズの影響は受けにくくなります。またデザインアンテナの背面に設置できるブースターは、設置スペースの形状から、同じメーカー製の純正品でないと対応できない場合もあるのでご注意ください。

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屋外用ブースターは住宅でも大本のブースターになる分、設置位置や入力、出力される電波レベルの調整などに、一定の専門知識が必要です。またアンテナの設置位置によっては、取り付け作業が屋根の上などになり、大きな危険も伴います。ご自宅での作業が難しい場合は、アンテナ工事の専門業者へとご依頼になることがおすすめです。

その他:利得、周波数帯、ノイズ指数などのスペックの見方

上記のように屋外用、室内用とも、ブースターの各スペックの数値は、現場に適した製品を選ぶ上で重要な判断材料となります。

ここでは、主要なスペックの見方を一覧で解説します。

ブースターの主要スペックと選び方のポイント

スペック 意味 選び方のポイント
利得(㏈) ブースターが電波を増幅できる㏈数。 現場の電波状況や定格出力などに合わせる。過剰に高いとノイズも増幅される。
定格出力 安定した品質の電波を出力できる上限値。 現場で必要となる電波レベル(㏈)に応じた機器を選ぶ。
入力レベル範囲 入力できる電波レベル(㏈)の範囲。 アンテナで受信できる電波レベルに応じた機器を選ぶ。ATTなどで調整できる場合も。
周波数帯(MHz) ブースターが対応できる周波数帯。 地デジ、2K衛星放送、4K8K放送など、視聴する放送の周波数帯に対応する機器を選ぶ。
ノイズ指数(dB) ブースター自体が発生させるノイズの量。 数値が低いほどノイズが少なく、安定した映像を視聴できる。
VSWR 電圧定在波比(インピーダンス)。数値が低いほど、信号の反射が少なく、効率よく電波を伝送できる。 3.0以下が目安。

上記の主なスペック数値を参考に、それぞれの数値の兼ね合いも含めて、現場の受信環境、必要な増幅量に応じたブースターをお選びください。

適切なブースター選びを誤ると、十分な増幅効果を得られないばかりか、ノイズの発生などでかえって映像が乱れる場合もあります。難しい場合は、アンテナ工事の専門業者に、ブースター選びや設置、調整をお任せください。

なお当あさひアンテナでは、アンテナ設置工事に必須となる屋外用ブースターの設置工事および、適切な調整にについて、国産一流メーカーのブースター機器の価格もセットで、地デジ用のUHF帯ブースターで「20,000円(税込み22,000円)」。UHF・BSCS混合ブースターは「25,000円(税込み27,500円)」で承っております。

他にも室内用ブースターやラインブースターなどもご用意しており、お住まいの受信条件や受信トラブルに応じた、最適のアンテナブースター設置をご案内いたします。

自分でもできる!テレビのアンテナブースター正しい接続方法【図解付き】

ここまででご説明した通り、住宅の室内に卓上ブースター、ラインブースターなどの室内用ブースターを設置する作業は、一般の方でも簡単なものになります。

また屋外用ブースターについても、ベランダや屋上フロアに設置されたアンテナなど、作業の安全が確保できる場合であれば、ご自宅での設置も決して不可能ではございません。

この項目では、ブースターの効果を最大限に引き出せる、お住まいでの設置方法を、図解付きで分かりやすく解説いたします。DIYのご経験がない方でも、この項目を参考にしていただければ、安心して作業を進めることができます。

ブースター設置前に準備する機材、工具

まずはブースターの取り付けに必要な機材、工具類です。以下のものが揃っているかをご確認ください。

  • テレビアンテナブースター本体
  • 同軸ケーブル(必要な長さ)
  • F型接栓などプラグ(同軸ケーブルの先端に設置)
  • ニッパーまたはケーブルカッター
  • カッターナイフ
  • 同軸ケーブルストリッパー(あると便利)
  • プラスドライバー
  • 電源タップ(必要な場合)

同軸ケーブルやF型接栓などのプラグは、家電量販店やホームセンターなどで購入できる他、すでに必要なプラグが接続されたケーブル製品も存在します。

またケーブルストリッパーがあると、同軸ケーブルの加工が楽になります。その他の工具類は、ご自宅にある者を流用してもかまいません。

ブースター設置場所の選定:ノイズを抑えて性能を最大限に引き出すために

特に屋外用ブースターの場合、その設置場所は、ノイズの混入を抑える他、異常発振を防ぐためにも重要となります。以下のポイントを参考に、最適な場所をお選びください。

  • テレビアンテナに近い場所(屋外用・増幅部):屋外用ブースターはノイズの混入を防ぐため、できるだけアンテナの近くに設置することが重要です。ただ八木式アンテナなどの場合は、アンテナに近すぎると異常発振のリスクも生じるため、1メートル強程度、話して設置する必要もあります。前述した設置位置も参考に、アンテナの設置方法や機種に適した位置に設置してください。
  • 雨風などを避けやすい場所(屋外用・増幅部):屋外用のブースター増幅部は防水性能などが高く丈夫な構造ですが、それでも上記の条件を満たす上で、できるだけ雨風などを避けられる場所に設置することで、劣化や故障のリスクを抑えることができます。
  • 電源が確保できる場所:ブースターには電源が必要なため、屋外用ブースターの電源部や、室内ブースターは、近くにコンセントがある場所に設置します。屋外用ブースターの場合は、住宅の屋根裏などにブースター用の電源コンセントが用意されていることが多くなりますが、ない場合は、電源の延長タップなどを利用します。
  • 分配器から少し離す:前述のようにブースター本体からもノイズが発生するため、屋根裏などにブースターを設置する場合は、分配器から離すことがおすすめです。ただ現在のシールド性能が高い分配器などであれば、そこまで気にする必要はありません。

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ブースター接続手順:室内用・屋外用、それぞれの接続方法を図解で解説

ブースター接続方法の手順は、室内用と屋外用でも大きく異なります。

ここではそれぞれの接続方法を、図解付きで詳しく解説します。

室内用ブースターの接続方法

  1. 室内のアンテナコンセントに接続したアンテナケーブル(同軸ケーブル)を、ブースターの入力端子に接続します。
  2. ブースターの出力端子から、テレビのチューナー端子端子まで、アンテナケーブルを接続します。
  3. ブースターの電源プラグをコンセントに差し込む。またはテレビ側の電源設定などでブースターの電源を入れて、必要であれば利得などを調整します。

室内用ブースターは、基本的にこれだけで接続は完了し、一般の方でも簡単な作業になります。

屋外用ブースターの接続方法

  1. アンテナから伸びる同軸ケーブルを、ブースター増幅部の入力端子に接続します。UHF/BSCS混合ブースターの場合は、それぞれの同軸ケーブルを適切な端子に接続してください。
  2. ブースター増幅部の出力端子からの同軸ケーブルを、屋根裏などの屋内に引き込む形で接続します。
  3. ブースターの電源部を屋内の屋根裏などに設置し、用意されたコンセントに接続します。(電源分離型の場合)
  4. ブースター増幅部からの同軸ケーブルを電源部の入力端子に接続し、電源部の出力端子からのケーブルを、各部屋まで電波を送る分配器へと接続します。
  5. ブースター電源部の電源を入れ、増幅部まで正常に給電され、作動しているかを確認します。

屋外用ブースターは、設置位置が高所になる場合もあるため、作業に危険が伴うケースもあるほか、異常発振が起こらない設置位置や電源の取り回し、また接続後の電波レベルの調整にも注意が必要です。ご自宅での作業や調整が難しい場合は、アンテナ工事の専門業者にお任せください。

室内用ブースター接続イメージ 屋外用ブースター接続イメージ

ブースター設置後の確認:電波レベルを確認する方法

ブースターの設置が完了したら、電波レベルが改善されているかをご確認ください。

確認の方法は、テレビのリモコンを使って、設定画面から地デジやBSのアンテナレベルを確認することで、画面上で視認することができます。具体的な方法や基準はテレビのメーカーやモデルによって異なるため、テレビに付属するマニュアルやメーカーの公式サイトなどをご確認ください。

またブースターを設置しても電波レベルが改善されていない場合は、以下の点についてご確認ください。

  • ブースターの電源が入っているか
  • 同軸ケーブルがしっかりと接続されているか
  • ゲインコントロールその他の調整は適切か
  • アンテナの向きが正しいか
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これらの点を確認しても状況が改善されない場合は、ブースターの故障や作業のミスその他の原因が考えられます。原因が特定できない場合は、アンテナ工事の専門業者にご相談になるのも、確実な方法と言えます。

テレビの電波が弱い?ブースター以外の電波状態改善策

お住まい全体や特定の部屋にあるテレビの受信レベルが低く、ブースターによる対処をお考えの前に、少し立ち止まって考えてみる必要もございます。

ブースターの設置は受信レベルの増幅には有効な手段ですが、その前に受信レベル回復のため試せる改善策もいくつかございます。原因や状況によっては、意外と簡単な方法で電波状況が改善するケースもあるのです。

この項目では、ブースターを取り付ける前に確認できる、受信レベル低下、テレビ画面が乱れる原因や、その改善策をご紹介いたします。

アンテナの向き、角度調整:最適な受信方向を探す

まずは基本中の基本として、テレビアンテナの向き、角度をチェックしてください。地デジアンテナは近隣にある電波塔の方向にアンテナ正面を向ける。BS/CSアンテナの場合が皿状のディッシュの上下、左右の角度を静止衛星のある東経110度(南西方向)へとより正確に向ける必要があります。またアンテナを向けた方向に建物や山地などの障害物がある場合も、受信に支障が出るため、アンテナの設置位置を選ぶ必要があります。

アンテナ設置位置には問題がないのに正常に受信できない場合は、風雨など自然環境の影響、アンテナの経年劣化などで、最適な受信方向からずれている可能性もあります。この場合、テレビのアンテナレベル画面や、簡易的なレベルチェッカーなどを確認しながら、アンテナの角度を適切な向きに調整して、を変えながら、受信レベルがもっとも高くなる場所を探してください。

もし適切な角度がわからない、高所作業になるなどで、ご自身での角度調整が難しい場合は、アンテナ工事の専門業者に依頼するのもひとつの方法です。プロによる専門知識と高い技術、専用の機材で、現場に最適なアンテナ角度を割り出し、早急かつ適切に調整して、しっかりと固定してくれます。

なお当あさひアンテナでは、お住まいのアンテナ角度が狂うなどで正常な受信ができなくなった場合は、高所含む角度調整の作業を「8,000円(税込み8,800円)」でお引き受けしております。

地デジ、BS/CSアンテナの角度調整については、

・地デジ用テレビアンテナ設置の工事で向きや角度を調整すべき方向と「指向性」の関係とは? 自分で方角を調整する方法も解説!

・地デジ放送のテレビアンテナを地図で正しい電波の向きに調整する方法とは? 自分でアンテナの方向を調整できる設置の位置も解説

・住宅に設置された地デジ用テレビアンテナの向き、角度を調整する方向と費用は? 業者に工事を依頼する料金相場と選び方も解説!

・BS/110度CSアンテナで安定して衛星放送を受信できる設置の場所とアンテナの向きや角度を正確に調整する方法

・BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!

・地デジ、衛星放送でテレビアンテナの向きに適した方向とは? アンテナ機種別の設置位置や自分で角度調整を行う方法も解説!

同軸ケーブルの交換:劣化による電波損失を防ぐ

アンテナから伸びる同軸ケーブルや、室内でアンテナコンセントからテレビ迄をつなぐアンテナケーブルなどは、伝送されるうちに電波が徐々に減衰するほか、ケーブルの劣化などによっても減衰のレベルが強くなります。

特にケーブルが屋外に露出している部分は、紫外線や雨風などの影響を受けやすく、劣化が進みやすくなります。また室内ケーブルでも、ケーブルの曲げ半径を越えて強く折り曲げる、家具などに踏まれて圧迫されるなどすると、ケーブルの歪みで電波の漏洩や混入、また断線などが生じることもあります。

室内のアンテナケーブルの長さには適度の余裕も必要ですが、長すぎると電波が減衰する原因にもなりますので、適切な長さを選ぶことが重要です。またケーブルに劣化や断線などが見られる場合は、交換を検討してください。新しいケーブルに交換するだけで、電波状況が改善することもあります。

また前述のように、テレビ放送でも衛星放送や新4K8K衛星放送など周波数帯が高い放送やチャンネルほど、ケーブルで伝送される際の減衰量も大きくなるため、アンテナケーブルや接続部などは、できるだけ高シールドタイプを選ぶのがおすすめです。高シールドタイプほど外部からのノイズの影響を受けにくくなり、より安定して電波を送信できます。

同軸ケーブルについては、以下の各コラム記事でその構造や種類、配線の注意点などを詳しく解説しております。

・テレビ放送や受信機器、設置工事に合わせたアンテナケーブル(同軸ケーブル)の種類と違い、選び方を徹底解説!

・テレビアンテナとテレビを結ぶアンテナケーブル(同軸ケーブル)とは? ご家庭向けケーブルの種類と性能の違いを徹底解説!

・地デジアンテナとテレビを接続するケーブル(同軸ケーブル)とは? 衛星放送でも使えるケーブルの種類や市場や通販の価格も解説

・地デジや衛星放送のアンテナとテレビを接続するケーブルとは? 同軸ケーブルによるアンテナ配線とその工事について徹底解説!

分配器の見直し:周波数帯や劣化の確認、分配数の調整

前述の通り、アンテナケーブル配線部で、主にブースターの先に設置される分配器は、住宅内で複数の部屋(テレビ)にテレビ電波を分配する、重要な機器です。一方で分配器を通ることで、入力された電波レベルは、分配数で割られる形で等分に分解されて、分配先でレベルが弱まります。

そのため、住宅内で使用される分配器の分配数が多いほど、ブースターの増幅量(ブースター利得や出力レベル)も高い数値が必要になります。そのため住宅内の分配数に応じた性能を持つブースターが必要になるほか、分配器の分配数が必要以上に多い場合は、使用していない部屋のテレビへの分配ケーブルを取り外す、分配器を交換するなどして、分配数を減少させるのも有効な対策になります。

また分配器にも、地デジや2K衛星放送、4K8K放送など、送信される電波に応じた機器が必要になるほか、長年の使用で内部の回路や接続部が劣化し、電波の減衰やノイズなどが生じる場合もあります。このような場合は、新しい分配器に交換することで問題を解消することができます。

当あさひアンテナでは国産高品質の分配器をセットにした、地デジ、衛星放送、4K8K放送に対応できる分配器の設置工事を「5,000円(税込み5,500円)」からで承っております。ただし、設置費用は使用する分配器の分配数によって変動しますので、ご了承ください。

分配器の種類や構造に関しては、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。

・1基のアンテナから家にあるすべてのテレビに電波を送る「分配器」とは? その種類と選び方、分波器などとの違いを徹底解説!

・アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い

・テレビアンテナへの分配器の設置で、現場の電波レベルや条件に適した選び方と注意点を徹底解説。分波器や分岐器との違いとは?

・テレビアンテナの分配器の設置・接続、交換方法と注意点

家電製品などの影響:電波干渉の原因を特定する

テレビの電波トラブルで意外な盲点となるのが、家電製品や周辺機器からの電波干渉です。電子レンジやWi-Fiルーターなど、電波を発する機器がテレビやアンテナケーブルの近くにあると、機器から発信される電波、電磁波による電波干渉が起こって、テレビが映らなくなる、映像が乱れることがあります。また家電製品は、本体の電源を入れていなくても、電源を接続しているだけで電圧がかかり、一定の電磁波を発生させます。

対策としては、これらの機器をテレビからできるだけ離して(最低でも4メートル以上)設置する。アンテナケーブルに高シールド製品を使うなどの方法があります。

他にも、古い家電製品が電磁波を発生させている場合もあります。ご自宅でその原因を特定することは難しいかもしれませんが、テレビ近くの家電製品などをひとつずつ確認していくことで、改善の糸口が見つかる可能性もあります。難しい場合は、アンテナ工事の専門業者や電気店などにご相談ください。

アンテナブースターに関するよくある質問|費用、寿命、効果など

ブースター本体の価格相場は?

アンテナブースターの価格は、屋外用や屋内用をはじめ、その増幅性能や対応できる周波数帯によって大きく異なります。

一般的な実売価格としては、ラインブースターは1,000円台から4,000円程度。室内用ブースターは8,000円から25,000円程度。屋外用ブースターは10,000円から35,000円程度で購入できます。

各機種ごとの価格差は、製品や販売店などの違いもありますが、増幅性能や対応できる周波数帯、雑音指数の低さや調整機能など、高性能になるほど価格帯が高くなります。

なおブースター設置をご自分で行う場合、必要な費用はブースター本体の代金だけですが、業者にブースター設置を依頼する場合は、別途に設置工事費用がかかります。工事費用は、担当する業者やブースターの種類、設置場所、電波状況などによっても異なりますので、事前に見積もりを取ることをおすすめします。

ブースターの種類と価格相場

ブースターの種類 価格相場
室内用ブースター 8,000円~25,000円
屋外用ブースター 10,000円~35,000円
ラインブースター 1,000円~4,000円

高性能のブースターは本体価格などのコストが高くなりますが、現場の条件に適切でない場合は、必要な増幅性能を得られない場合もあります。ブースター機器の選択は、設置する目的や、現場の受信レベルに応じた性能を持つ機器を選ぶことがもっとも大切です。

ブースターの寿命はどれくらい?

アンテナブースターは電源を持ち、24時間、テレビ電波を増幅し続ける電子機器であるため、長年の使用により内部の回路などの劣化が進み、寿命を迎えることになります。

ブースターの一般的な寿命は使用環境や製品によっても異なりますが、設置から10年程度と言われています。特に屋外用ブースターは、増幅レベルが高く、自然環境などの影響も受けやすいため、室内用のブースターよりも寿命が短くなる傾向があります。

ブースターの寿命が近づくと、電波の増幅効果が弱まったり、正常に動作しなくなったりすることがあります。ブースターを設置しているのに、テレビ画面が乱れる、特定のチャンネルが映らないなどの問題が生じる場合は、原因としてブースターの寿命も考えられます。

ブースターの交換時期の目安としては、以下の症状が現れた場合が挙げられます。

  • テレビ画面の映りが乱れる。
  • 特定のチャンネルが映らなくなった。
  • ブースターの電源ランプが点灯しなくなった。
  • ブースター本体から異音がする。

以上の症状は、ブースター内部回路の劣化により、性能が低下している場合に生じるケースが多いものになります。

ブースターを設置すると電波レベルが強すぎる場合は?

アンテナの近くに屋外用ブースターを設置した場合、受信環境やブースターから各部屋までの距離などの問題から、一部の部屋で電波レベルがやや弱い、逆に電波が強すぎる部屋が出るなどの問題が生じることもあります。

一部の部屋で電波が弱い場合は、室内用ブースター、ラインブースターなどを使うことで補足できます。逆に電波が強すぎる場合は「アッテネーター(減衰器)」という機器を設置します。

アッテネーターとはその名称通り、ケーブルを伝わる電波を一定レベル弱める短い筒状の機器で、ケーブル配線の途中やテレビのチューナー端子に設置することで、強すぎる電波を適切に調整できます。

また近年のテレビなど受信機器は「アッテネーター機能」を内蔵する機種もあり、入力されるテレビ電波が強すぎる場合は、テレビの設定画面からこの機能をオンにすることで、入力される電波レベルを一定レベル弱めて調整することが可能です。

ブースターを設置すると本当に電波は強くなる?効果を測定する方法

アンテナブースターは設置によってテレビ電波を増幅し、テレビの映りを改善するための装置です。ただしブースターはあくまでアンテナが受信した電波をノイズを含めて増幅する装置であり、正常なテレビ電波そのものを発生させる機器ではありません。

そのため、アンテナでテレビ電波がまったく受信できていない、また受信レベルが極端に低い、また電波に混入するノイズが多い場所では、ブースターを取り付けても高い効果は期待できません。

お住まいに設置したブースターの効果を測定する方法としては、主に以下の方法が挙げられます。

  • テレビのアンテナレベルを確認する:テレビからアンテナレベル画面を確認することで、テレビに届いている電波レベルを確認することができます。ブースターを設置する前後で、受信レベルがどのように変化するかをご確認ください。
  • アンテナレベルチェッカーを使用する:より正確に電波強度を測定したい場合は、アンテナの角度調整などにも利用できる簡易的なアンテナレベルチェッカーをケーブルの途中に設置することでも、より直接的に電波レベルを確認できます。レベルチェッカーは家電量販店やインターネット通販などで購入できます。簡易的な製品であれば、対応する周波数帯(放送の種類)にもよりますが、1,000円台から4,000円程度で購入できます。
  • アンテナ工事の専門業者に依頼する:ご自宅で電波レベルを測定するのが難しい場合は、アンテナ工事の専門業者に電波強度の測定を依頼できるケースもあります。ただ業者によってはアンテナ設置などの工事が伴わない電波調査は依頼できないか、調査費用が発生するケースもあるためご注意ください。.

ブースターを取り付けた後は、実際にテレビの映像状態が改善されたか、受信レベルが向上しているかなどの点で、効果を実感できるかどうかをご確認ください。

ブースターの消費電力は?電気代はどれくらいかかる?

アンテナブースターの消費電力は、屋外用や屋内用、ブースター利得など、製品によっても異なりますが、一般的には数W程度のものがほとんどです。

例えば消費電力5Wのブースターを24時間、365日使用した場合の電気代は、以下のようになります。

5W ÷ 1000 × 24時間 × 365日 × 31円/kWh = 約140円

上記はあくまで目安であり、実際に発生する電気代は、地域や電力会社との契約プラン、電気の使用状況などによっても異なります。しかし、いずれにせよアンテナブースターの消費電力は非常に小さいため、電気代を気にする必要はほとんどないと言えます。

ブースターの選び方で失敗しないための注意点は?

ブースターの選び方で失敗しないための注意点は?

ここまででも何度がご説明したことですが、お住まいでの環境や設置の条件に適したアンテナブースターの製品を選ぶ際には、主に以下のポイントにご注意の上、適切な機器をお選びください。

電波レベル低下の原因を特定する

現場の住宅や部屋で電波レベルが低くなっている原因が、アンテナの向きやケーブルの劣化など、ブースター以外にある場合は、ブースターを取り付けても大きな効果は期待できません。まずは電波レベル低下の原因を特定して、適切な対策を講じることが重要です。

必要なブースター利得(増幅率)を確認する

すでにご説明した通り、ブースターには機種ごとに、電波を増幅できるレベルをしめす「ブースター利得(ゲイン)」という数値があります。現場で必要なブースター利得は、現場で受信できる電波レベルや、現場のアンテナからテレビまでの距離によるテレビ電波の減衰の度合いなどによって異なります。

適切な機器の選択には、このブースター利得の他、定格出力や入力レベルなども重要になります。現場の必要性に対してブースター利得が大きすぎると、ノイズも増幅して帰って画面の乱れにつながる可能性もあるため、利得その他の数値が現場に適したブースターをお選びください。

対応周波数帯(対応できるテレビ放送)を確認する

これもご説明した通り、日本のテレビ放送は地上デジタル放送、2K衛星放送、新4K8K衛星放送によって使用される周波数帯が違い、受信のためにはそれぞれに対応できるアンテナの他、配線部のケーブルやブースター、分配器などの機器も、その周波数帯に対応できる機器が必要です。

ブースターでは、地デジ(UHF)と衛星放送の双方に対応できる機器には、混合器の機能も備える混合ブースターも存在します。

またもっとも周波数帯が高く専用の機材が必要となる新4K8K衛星放送で、対応できるブースターなどの機材を見分ける目安は「4K8K(3224MHz)対応」の表記の他、一般社団法人「電子情報技術産業協会(JEITA)」で審査・登録された、4K8Kに対応できる性能やシールド性能がある機器であることを示す「SHマーク(スーパーハイビジョン受信マーク)」「HSマーク(ハイシールドマーク)」などが表記された製品になります。

信頼できるメーカーの製品を選ぶ

アンテナブースターは、さまざまなメーカーから販売されていますが、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要です。具体的には日本三大アンテナメーカーであるマスプロ電工、DXアンテナ、日本アンテナや、この3社に匹敵する規模のサン電子など技術力が確かで実績のあるメーカーの製品は品質が高く安心して使用することができます。

これらのポイントを元に、ご自宅での必要性や受信環境に合った最適なアンテナブースターを選び、快適なテレビ視聴環境を実現してください。

まとめ|テレビアンテナブースターで快適なテレビ視聴環境を!

ブースター選びのポイントをおさらい

この記事ではアンテナブースターの必要性から、その機器の種類や選び方、設置方法、トラブルシューティングまで、幅広く解説してきました。お住まいやお部屋において、テレビ電波が弱くなっている原因を特定し、ご自身の環境に合ったブースターを選ぶことが、快適で安定したテレビ受信への第一歩です。

室内用ブースターはお住まいでも簡単に用意できる手軽さが魅力ですが、電波状況によっては屋外用ブースターがより効果的な場合もございます。特に現在では、新築物件でのテレビアンテナ工事には、ブースター設置がほぼ必須になることもあり、対応できるテレビ放送(周波数帯)や本体のスペックなど、将来を見据えた機器の選択が重要になります。

アンテナブースターに関しての詳細は、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しておりますので、よろしければご参照ください。

・テレビアンテナに「ブースター」は必須の機器なのか? その種類と性能、必要なケースを解説【地デジ設置・あさひアンテナ】

・テレビの映りが悪い時に使うアンテナブースターとは? 屋外用・屋内用ブースターの違いと症状別の選び方を徹底解説!

・地デジ用テレビアンテナの受信レベルが低くなる原因とは? ブースターによる対処法など受信レベルを改善する工事の方法を解説!

・テレビ放送の映りが悪い際にアンテナブースターの交換は必要?

・テレビアンテナでブースター、分配器など周辺機器の設置や修理、交換の費用相場は?工事の方法やどこの業者に頼むか選び方も解説

・テレビ画面の乱れでアンテナを修理する前に自分でできる対処の方法を解説。業者に工事を依頼する費用の相場も紹介【最新版】

電波状況に合わせて最適なブースターをお選びください

本記事でご説明した通り、アンテナブースターはテレビの電波状況を改善する有効な手段ですが、設置すれば必ず効果があるとは限りません。現場で生じている不具合に合わせて、アンテナの向き調整やケーブルの交換などの改善策にも対応し、基本的な受信レベルが低くなる場合に、ブースターの導入をご検討ください。

お住まいでテレビ画面が乱れる、受信レベルが低いなどの問題が生じた場合に、考えられる原因や、原因ごとのブースター設置以外の対処法については、以下の各コラム記事にて、それぞれ詳しく解説しております。

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本記事の情報をご参考に、お住まいの受信環境から、アンテナや配線部の問題点などをご確認の上、最適なブースター設置を実現していただければ幸いです。ブースターの選び方や設置方法でご不明な点やお悩みがあれば、当あさひアンテナのフリーダイヤル、メールフォーム、LINEアカウントまでお気軽にご相談ください。

当あさひアンテナでは、テレビアンテナ本体やブースターなど周辺機器の設置工事に関して、国産一流メーカーの機材をセットにした、低価格かつ明確な価格体系の工事費用でご案内しております。

弊社ではアンテナ工事や関連工事を、弊社所属の優秀なアンテナ職人による完全自社施工で実施しており、機材費用を含めた各種工事を、高い施工品質と、業界最安に挑む低価格でご提供しております。

またアンテナ工事に際する事前の電波調査、お見積もりに関しても、出張料やキャンセル料を含め原則無料でお引き受けしており、他業者との相見積もり。お見積もりからの即日工事などのサービスにもご対応いたします。ただし、調査と工事を同日にした場合は嬉しい即日工事割引も……。

新規アンテナ工事に関しては、精密な電波調査に基づく周辺の受信環境、また屋内配線の条件なども含めて、最適となるブースター設置と合わせて、お客様のご要望にもっとも適したアンテナ機種、設置方法をご提案いたします。

アンテナ工事など各種工事後のお支払いは、現金だけでなく各種電子マネー、クレジットカードにもご対応。さらに弊社では各種工事の完了日から「10年」の長期保証をご用意しており、お客様に末永いご安心もご提供しております。

ブースター設置、交換などを含む各種アンテナ工事のご相談は、まずは当あさひアンテナまで、お気軽にお寄せくださいませ!

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アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 25,000円(27,500円税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 22,000円(24,200円税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 18,000円(19,800円税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。