住宅の部屋にテレビコンセント(アンテナコンセント)を増設する工事の方法は? 設置されるアンテナ用端子の種類も解説
現代の一般的な戸建て住宅では、家の中でも複数の主なお部屋に、ご自宅に設置された地上波デジタル放送(地デジ)や、衛星放送(BS放送、CS放送)のテレビアンテナから、各部屋へとテレビ電波を送信するための「アンテナコンセント」または「テレビコンセント」が用意されております。
ケーブルテレビ(CATV)や光テレビでテレビ放送をご視聴される場合を除き、どこのご家庭にも見られるこのアンテナコンセントは、お部屋に設置されたテレビなどの受信機器にあるチューナー端子とケーブルで接続するだけで、すぐにテレビ放送をご視聴になれる、非常に便利な設備です。
ただ、このアンテナコンセントも、建築の時期が古い家では、コンセントとアンテナケーブルをつなぐ部分である「アンテナ端子」の形が古く、最近のアンテナケーブルやプラグを利用できない。またアンテナ端子だけでなく、インターネット用のLAN端子や電話の回線などが一カ所に集まった最新のアンテナコンセントに交換したいなどのお悩みをおもちの方もおられるでしょう。さらにアンテナ端子がない部屋でテレビ放送をご視聴になりたいというご要望も、ときに聞かれることがございます。
そこで当コラムでは、アンテナ工事の専門業者などにご依頼されることなく、ご自宅にてDIYでアンテナコンセントを交換する方法と、交換が可能なアンテナコンセントの種類。また早めに交換すべき旧式の端子の形。業者にアンテナコンセントの交換工事を依頼した場合の費用、料金の比較。他にもアンテナコンセントのない部屋でテレビ放送をご視聴になる方法など、アンテナコンセントに関するさまざまな疑問やご要望について、その対処法をご紹介、ご説明いたします。
上記のような件でお悩みの方々にとって、ご自宅内で問題を解決して扱いやすいアンテナコンセントの設置や、快適なテレビ放送のご視聴環境を実現するためのお力になれれば、当あさひアンテナとしても心より幸いに存じます。
アンテナコンセント(テレビコンセント)から送信されるテレビ電波の種類は?
アンテナコンセント、またはテレビコンセントとは、いうまでもなく、ご自宅の屋根の上などに設置された地デジアンテナ、BS/CSアンテナから、アンテナケーブル(アンテナ配線部)を経由して、各部屋にテレビ電波を送信するために用意されているコンセントのことです。
このコンセントと、室内に設置されたテレビ、レコーダーなど受信機器のチューナーを、適切な長さや端子を持つアンテナケーブル(テレビケーブル)によって接続することで、各種テレビアンテナがテレビなどの機器との配線がつながり、テレビ電波を受信、各チャンネルを視聴できるようになります。
テレビアンテナとアンテナコンセントを接続するアンテナ配線部とは?
一般的な戸建て住宅に、地デジ、BS/CS双方のテレビアンテナを取り付ける際には、各部屋までテレビ電波を配分し、安定した視聴が可能となる電波レベル(電波強度)を確保するため、アンテナから各部屋のテレビコンセントまでの配線に、さまざまなアンテナ周辺機器を設置する必要がございます。
以下、大まかなアンテナ配線部の構造や、必要となる機器類についてご紹介してまいります。
地デジ、BS/CSなど、住宅に二基以上のテレビアンテナを設置する場合には、まずアンテナのすぐ近くに「混合器」という機器を設置し、二本以上のケーブルを一本にまとめ、各種のテレビ電波を一本のケーブルで送信する形にします。
これにより以降の配線部をシンプルにし、ケーブルの長さや使用する機器の数を簡略化することで、総合的な工事のコスト(費用)や、トラブルが発生するリスクを軽減できるのです。
もちろん地デジアンテナのみを設置する場合は、混合器は必要ございません。また地デジ、BS/CSアンテナの双方を設置する場合、最近では後述するブースターと混合器が一体化された「UHF・BS/CS混合ブースター」を使用することが多いため、混合器を単体設置するケースは少なくなっております。
次に、ケーブルで送信される電波を必要なレベルに増幅する「ブースター(増幅器)」という機器を設置します。ブースター、またはアンテナブースターは、は地デジ電波レベルが弱いエリアの他、住宅内に複数のテレビ(アンテナコンセント)を設置する場合にも、各部屋に十分なテレビ電波を送信するために必要となり、現在ではテレビを三台以上、設置する場合には、取付けがほぼ必須となっている機器です。
このブースターにも、増幅性能が高い屋外用、設置が簡単で老朽化しにくい屋内用の他、前述した地デジ、衛星放送対応のUHF・BS/CS混合ブースター。地デジのみ対応のUHFブースターなどの種類があり、設置されるアンテナによって使い分けます。
またブースターは電波を増幅する電子機器になりますので、電源部の設置も必要となります。
次に設置されるのは「分配器」です。これはアンテナ、ブースターからの一本のケーブルで送信される電波を、各部屋のアンテナコンセントへと送信するため、文字通り、複数のケーブルへと分配する装置です。
このとき個々の分配先の電波レベルは、例えば4分配の機器であれば、約4分の1のレベルなど、等分に分配されることになります。
分配数の種類では、2分配から8分配まで、7分配を除く6種類の商品があり、住宅で必要な分配数に、予備の1端子を加えた機器が使用されます。
またBS/CSアンテナには、電波の周波数帯を変換する「コンバーター」という機器を作動させるため、ブースターまたはテレビなどのチューナー端子からの給電による電源が必要となります。
チューナーからの給電方法では、特定の一台から常時給電するか、また各テレビで衛星放送を視聴する時のみに給電するかの方法があり、分配器もその給電方法に合わせて「1端子通電型」「全端子通電型」を使い分けます。
この分配器で分配されたケーブル(電波)が、各部屋のアンテナコンセントに接続されることで、アンテナ配線は完成します。
ただ地デジと衛星放送の双方を視聴する場合には、アンテナコンセントの内部、またはコンセントの先に「分波器」という装置を設置する必要がございます。
分波器とは、混合器や混合ブースターによって、一本のケーブルに混合された地デジ、BS/CS放送の電波を、再度、二本のケーブルに分配する装置で、2分配器と同じ形状や、ケーブルを一体化したものになります。
この機器を介さないと、地デジとBS/CSの電波のうち、電波レベルが高い方の者しか受信できなくなります。分波器によって分けられた地デジ、BS/CSの電波を、テレビなど機器側の、それぞれのチューナーに接続すれば、アンテナからテレビまでの配線は完成します。
なお上記の各機器についての詳細な情報は、関連する以下の各コラム記事でも解説しております。
・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・前編(基礎知識編)
・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)
・テレビアンテナの「ブースター」は必ず必要なのか? 【地デジ設置・あさひアンテナ】
・テレビ放送の映りが悪い際にアンテナブースターの交換は必要?
・ご自宅のすべてのテレビに電波を送る「分配器」とは? その種類と選び方を徹底解説!
・アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い
・テレビアンテナへの分配器の設置で、現場の電波レベルや条件に適した選び方と注意点を徹底解説。分波器や分岐器との違いとは?
・テレビアンテナの電波を各部屋に分岐する方法は? 分配器と分波器の違い・接続方法や選び方
・地デジ用と衛星放送用、両方のテレビアンテナ設置で工事コスト軽減のため必要な機器、混合器、分波器とは何なのか?
・室内のテレビアンテナケーブルを延長する方法とは? アンテナ線なしのワイヤレスで地デジ、衛星放送を見る方法も解説!
・テレビ放送(地デジ、衛星放送BS/CS、4K8K)に合わせたテレビアンテナケーブルの種類と選び方、徹底解説!
・テレビ放送や機器に合わせたアンテナケーブル(同軸ケーブル)の種類と選び方、徹底解説!
・アンテナとテレビを結ぶアンテナケーブル、その種類と性能を徹底解説!
・部屋にあるテレビアンテナ用コンセントの交換、増設方法は? 工事の方法から耐用年数、端子の種類まで徹底解説!
戸建て住宅のテレビアンテナで受信できるテレビ電波の種類
現在の地デジ放送、衛星放送のテレビ放送では、それぞれの放送によって、使用される電波の種類(周波数帯)が異なります。
そのため、ご自宅でご視聴になるテレビ放送の種類によって、テレビアンテナだけでなく、上記したアンテナ配線、配線部の機器を使った施工を行わないと、テレビアンテナを設置しても、該当するテレビ放送が映らないということにもなりかねません。
そのため、例えば現在、地デジアンテナアンテナのみが設置されている住宅に、4K8K対応のBS/CSアンテナ等を設置する場合は、アンテナ配線部の機器等も、追加されるテレビアンテナの放送に対応できる機器へと交換する必要がございます。
以下、各放送に使用される電波の一覧、および対応できるアンテナやアンテナ周辺機器等について解説いたします。
地デジ放送(UHF波)
現在の地デジ放送に使用される地デジ電波は、UHF波(極超短波)のうち、470MHz(メガヘルツ)から710MHzの周波数帯で、その波長の長さは約40センチから60センチ程度です。
したがって、現在の地デジ受信用テレビアンテナは、UHF波に対応できる「UHFアンテナ」にあたります。
地デジ放送では、日本各地に多数、設置された電波塔からUHF波を送信しているため、電波塔からの距離や、電波を遮断する地形などの影響により、地域によって受信できる地デジ電波の強度が異なります。
そして受信できるおおよその地デジ電波レベルによるエリアの区分として「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」の区分が存在します。
他にも地デジ電波は、アナログ放送時代に使用されていた主な電波のVHF波(超短波)に比べるとやや周波数帯が高い(波長が短い)ため、アナログ放送に比べると、建物などの障害物に影響されやすく、高層建築物の付近、住宅密集地などの周辺環境では、特に住宅の壁面などの低い位置では電波レベルが弱くなり、十分な地デジ受信感度を確保できないこともございます。
現在の地デジアンテナは、電波の波長が短くなったことで、古典的な八木式アンテナの他、デザインアンテナ、ユニコーンアンテナなどのさまざまな機種、商品が販売されております。
ただアンテナ機種、設置位置に関しては、上記した各電界地域や周辺環境によって、確実に電波が受信できるものを選択する必要がございます。
なお地デジのUHF波は、2023年現在のテレビ電波ではもっとも周波数帯が低いため、昭和期などよほど古い時期の配線でない限り、特別な機器の使用や交換は必要なく、どのようなアンテナ配線部、および機器でも対応できます。
なお地デジ電波に関する基礎知識、情報については、以下の関連コラム記事でも解説しております。
・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
・徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方は?
・地デジ電波の強さと品質を示す「dB」「MER」「BER」とは何か?
・地デジアンテナを設置する高さの設定で重要となるハイトパターンとは? 地デジ電波を受信するために適切なアンテナの高さとは?
2K衛星放送(右旋円偏波)
衛星放送では、赤道軌道上を地球の自転に合わせて周回するため、地上からは天空の一点に静止して見える静止衛星より、マイクロ波の一種、SHF(センチメートル波)のうち、周波数帯が12GHz(ギガヘルツ)前後である、12GHz帯と呼ばれる電波が使用されております。
この12GHz帯の電波のうち、新4K8K衛星放送がスタートする以前の2K衛星放送では、右回りの螺旋を描いて送信される「右旋円偏波」が使用されています。
12GHz帯の電波の電波は非常に周波数帯が高く、波長の長さは約25ミリ前後で、光のように直進性が高いため、衛星放送用のパラボラアンテナであるBS/CSアンテナを、BS放送用の放送衛星、CS放送用の通信衛星が位置する東経110度へと正確に向けて設置する必要がございます。
また12GHz帯の電波をそのままケーブルで送信すると、周波数帯の高さから減衰量が大きくなるため、BS/CSアンテナで受信した際に、アンテナに設置されたコンバーター(変換器)によって、ケーブルでの送信に適したMHz帯の電波へと変換します。
この際、右旋円偏波は1032MHzから2072MHzの周波数帯に変換され、ケーブルで送信されます。前述のようにこのコンバーターを作動させるため、BS/CSアンテナには、ケーブル配線部からの給電による電源が必要となります。
なお現在のアンテナ配線部における機器については、ブースターが地デジ対応、地デジとBS/CS対応の種類がある他は、ケーブルや分配器など、ほとんどが地デジと2K衛星放送(右旋円偏波)対応の機器になっております。
なお衛星放送の電波については、以下のコラム記事で基礎的な情報を詳しく解説しております。
4K8K衛星放送(左旋円偏波)
2018年(平成30年)12月1日には、フルハイビジョン(FHD)放送である従来の衛星放送(BS放送、CS放送)に、格段の高画質となった4K、8Kのチャンネルが追加された「新4K8K衛星放送」の本放送がスタートしております。
衛星放送の4K、8Kチャンネルは、4K、8Kテレビによってその高画質をご視聴いただけますが、これらのチャンネルを追加する際に、従来の右旋円偏波では、チャンネルに割り当てられる空きの周波数帯が不足しました。
そのため、基幹的な放送チャンネルであるBS放送のNHK、広域民放の4Kチャンネルを除く、大半の4K8Kチャンネルには、新しく左回りの螺旋を描く「左旋円偏波」を導入し、その周波数帯を割り当てました。
この左旋円偏波を受信するためには、右旋と左旋、双方の電波に対応できる、現在のほぼすべてのBS/CSアンテナが該当する、2K4K8K対応BS/CSアンテナが必要となります。
ただ2018年以前のBS/CSアンテナは、右旋の電波にしか対応できない2K対応BS/CSアンテナであることが多く、この場合、新4K8K衛星放送を完全にご視聴になるためには、アンテナを2K4K8K対応のものに交換する必要がございます。
さらに左旋の電波は、コンバーターで変換された際、右旋の電波より周波数帯が高い、2224MHzから3224MHzに変換されます。したがってアンテナの配線部にある機器やケーブルなどが、3224MHz迄の周波数帯に対応できない場合には、それらの機器を4K8K(3442MHz)対応型に交換する必要がございます。
また高周波数帯になる4K8K放送の電波は、従来のアンテナ配線機器では、電波の漏洩や他の電波の混入が生じやすく、4K8Kチャンネルが正しく映らない。また無線LANなどの受信障害の原因にもなることがございます。
そのため、新4K8K衛星放送用の機器には、4K8K放送の受信に一定の性能をもつ機器に付与される「SHマーク(スーパーハイビジョン受信マーク)」や、一定以上の電波の遮蔽性能(漏洩や混入を防ぐ性能)を有する機器に付与される「HSマーク(ハイシールドマーク)」のついた機器をお選びになることがおすすめといえます。
なお新4K8K衛星放送および、受信に必要となる機器については、以下の各コラム記事に詳しい関連の情報がございます。
・新4K8K衛星放送とは? 4K、8Kテレビの購入後に必要なアンテナ工事と費用の相場、おすすめ業者の選び方まで徹底解説!
・「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
・「新4K8K衛星放送」のご視聴に必要な機器・完全チェック!
アンテナコンセントの交換は自分でも可能なのか?
アンテナコンセントの交換というと、住宅の一部に手を入れる工事に近い、非常に複雑な作業とのイメージもあり、ご自宅で可能なのか疑問に思われる方もおられるでしょう。
結論から申し上げると、以下のような工事の内容によって、ご自宅で可能かどうかは異なってまいります。
・ご自宅で可能なアンテナコンセント交換。
ご自宅にあるアンテナ端子のみのアンテナコンセントを、ほぼ同種のものや、古い端子から新しい端子のものに交換するだけなら、表面のコンセントカバーや内部のアンテナコンセントを取り外し、アンテナケーブルを新しいアンテナコンセントに接続し直して、あらためて設置する作業になります。作業自体は簡単なもので、手順さえご理解されればご自宅でも簡単な作業になります。
必要な機材、費用も、簡単な工具と新しいアンテナコンセントだけのため、費用もせいぜい数百円から数千円程度になります。
・ご自宅での交換が難しいアンテナコンセント。
ご自宅のアンテナコンセントが、アンテナ端子や無線LAN端子。固定電話端子。電源コンセントなどが集積するマルチメディアコンセントの場合や、アンテナ端子だけのアンテナコンセントをマルチメディアコンセントに交換したい場合などは、配線なども複雑なため、ご自宅での交換は難しくなります。
特に電源コンセントには強い電気が通っているため、一般の方が配線に手を入れると、感電や火災など、大変な事故につながる危険性がございます。電源コンセントの増設や移設、交換の工事には、専門の知識や技能が必要となり、その資格として「第2種電気工事資格」を持っていないと工事を行えません。この資格なしに電源コンセントの工事を行うことは、法令にも抵触してしまいます。
そのため電源コンセントが含まれるアンテナコンセントをはじめ、複雑な工事になる場合は、ご自宅では行わず、電気工事士が作業を担当できる電気工事やアンテナ工事などの専門業者にご依頼されることがおすすめです。
アンテナ端子の種類と交換の必要性
現在、一般住宅に設置されているアンテナコンセントのアンテナ端子は、主に4種類になります。
アンテナコンセントの寿命は10年程度で、それ以上を過ぎると故障などのリスクも高まり、急遽の修理が必要となるケースも想定されますので、できるだけお早めの交換がおすすめとなります。
以下、各アンテナ端子の種類を一覧でご説明いたします。各アンテナ端子によって、ケーブルの接続方法や対応するプラグなどが異なりますので、まずはご自宅のアンテナ端子の形状をご確認の上、新しいアンテナコンセントに交換される必要があるかをご判断ください。
F型端子
現在の主流であるアンテナ端子です。その特徴は、接続部が短い円筒形で、ネジ切りがついている点です。アンテナコンセントでは壁から突出しないよう、丸いくぼみの中に端子が装着されています。
対応するケーブルの先は、同じくネジ切りがついてそのまま簡単に接続できる「スクリュープラグ」。または、接続部にネジ上のリングがあり、接続時に締め込んでプラグから抜けないようになる「F型コネクタ(F型接線)」です。また後述するプッシュ端子用の「ストレートプラグ」も設置できますが、ネジ切りがないためやや抜けやすくなります。
ネジ切りがある他、F型接線ではネジで固定もできるため簡単に外れず、接触不良を起こす可能性も低くなります。特に電波の周波数帯が高く、接続部からの電波の漏洩や、外部からのノイズの混入が起こりやすい衛星放送の「新4K8K衛星放送」では、電波の漏洩、混入が起こらないF型接栓がおすすめとなります。
基本的に新4K8K衛星放送のご視聴では、室内用のアンテナケーブル(TVケーブル)を含め、アンテナ配線部の機器、同軸ケーブルなどは4K8K(3442MHz)対応型。または「SHマーク」「HSマーク」がついた製品をご使用になる必要がございます。
なおご自宅のアンテナ端子がF型端子である場合は、コンセント部に老朽化や破損がみられる場合などを除き、基本的に当面、交換の必要はございません。
プッシュ端子
プッシュ端子はF型端子よりやや古いタイプの端子で、ほぼ同様の形ですが、ネジ切りがついていないすべらかな形状のアンテナ端子です。そのため差し込みやすい半面、足を引っかけるなどで抜けやすい弱点もございます。
対応するケーブルは、前述した「ストレートプラグ」になります。F型端子用の「スクリュープラグ」も設置できることはございますが、ネジ切りにより端子が傷つくこともございますので、避けた方がいいでしょう。
プッシュ端子も比較的、新しい端子であるため、問題がなければ特に交換の必要はございませんが、抜けやすいことが気になる。または新4K8K衛星放送をご覧になる場合は、F型端子に交換された方がいいでしょう。
同軸直付端子
これはアナログテレビ時代に使われていた、古いアンテナ端子です。この端子に接続するケーブルは、プラグではなく、同軸ケーブルの先を加工して、保護被膜や絶縁体を除去して、中心の銅線である内部導体を露出させたものになります。
この芯線を端子側の差し込み口に差し込むか、ネジになった端子に挟み込み、締めこむ形になります。
芯線を露出するため、現在の地デジ放送や衛星放送、特に新4K8K衛星放送では、電波の漏洩や混入などが起こり、テレビ画面の乱れや、無線LAN機器の不調などを起こすことがございますので、できればお早めにF型端子へ交換されるとよいでしょう。
フィーダー端子
テレビ放送の初期から使われているアンテナ端子で、近年ではあまり見られることがございません。
使用されるケーブルも同軸ケーブルではなく、2本の細いケーブルを並べて付着させたフィーダー線(メガネ線)になります。
フィーダー線の先端を2本に分け、先端の金属線を露出させるか、それぞれ小さなU字型の金具を付着させたものを使い、ふたつ並んだねじ式の端子に挟み込み、ネジを締める形で設置します。現在ではフィーダー線も少なくなっているため、同軸ケーブルや各種プラグの先を、フィーダー端子用の接続線に変換するアダプターを設置します。
フィーダー端子はかなり古い端子であるため、同軸直付端子よりりもさらに電波の漏洩や混入が生じやすい問題もある上、電波をうまく送信できず画面が乱れるケースもあるため、できれば早急に交換すべき端子になります。
古いテレビコンセントの交換方法
アンテナコンセントの寿命が近い場合や、アンテナ端子が直付端子、フィーダ端子などの場合は、さまざまなトラブルが想定できるため、最新のF型端子であるアンテナコンセントへの交換をおすすめいたします。
前述のようにアンテナ端子のみのアンテナコンセントであれば、古い端子を新しい端子のものへ交換することを含め、ご自宅での工事も比較的、簡単になります。
以下、アンテナコンセントを交換するのに必要な機材や、作業の流れについてご説明してゆきます。
(アンテナコンセントの交換に必要な機材と工具)
アンテナコンセントの交換に必要なものは、主に以下の機材や工具です。
・交換する新品のアンテナコンセント。
・プラス、マイナスのドライバー。
・ペンチ。
・カッター。
・作業用手袋。
これらの機材があれば、作業をスムーズに進めることができます。
ただ、アンテナコンセントの本体、アンテナ端子部にあたる「直列ユニット」は、ご自宅のアンテナの種類や、アンテナ配線の方式に適合するものをお選びになる必要がございます。
まずご自宅で地デジとBS/CSアンテナの双方を設置されている場合は、「混合器」により双方の電波を1本のケーブルにまとめているため、アンテナコンセントも、直列ユニットの部分で「分波器」によって電波を分ける、地デジとBS/CS放送のアンテナ端子が別々に2つ並んでいるタイプ。または地デジとBS/CSの電波を混合したままひとつのアンテナ端子から送信し、その先に分波器を設置して電波を分けるタイプの、どちらかのアンテナコンセントをお選びになる必要がございます。
さらに戸建住宅などで地デジ、BS/CSのアンテナから、屋内の各部屋にある複数のアンテナコンセントに電波を送信している場合、その送信方式は2種類に分けられ、それぞれ該当するアンテナコンセント(直列ユニット)をお選びになる必要がございます。
「分配方式」は、現在では主流の方法で、アンテナから延びるケーブルに「分配器」を接続して、複数の出力端子から延びるケーブルに電波を分け、各部屋のアンテナコンセントに、等分に配分する方法です。
この方式では各部屋のアンテナコンセントに、等分の電波レベルで安定して電波を分配できるというメリットがございます。
分配器、混合器、分波器について詳しくは、以下のコラムをご確認ください。
アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い
「送り配線方式」もかつてはよく見られた方法で、こちらは分配器を使わず、アンテナから延びるアンテナケーブルを、近い部屋のアンテナコンセントに直接、接続し、さらにその直列ユニットから次の部屋のアンテナコンセントへとケーブルを伸ばし、順繰りに電波を送信していく形式です。
この方式のメリットは工事費用が安くなる点ですが、各アンテナコンセントへ順繰りに電波を送っていくため、距離による電波の減衰も含めて、先に行くほど電波のレベルが低下する。また途中で配線にトラブルが生じた場合は、その先に電波が届かなくなるデメリットもございます。そのため近年では、この方式はあまり使われなくなっております。
ご自宅がどちらの方式かご確認のためには、自宅内の複数のアンテナコンセントを外して、内部を確認する必要がございます。
基本的に、内部にあるアンテナケーブルが一本だけの場合は分配方式。送られる分(入力)と送り出す分(出力)の2本ある場合は送り配線方式です。ただ確認の場所が一か所のみであると、入力ケーブルしかない送り配線の先端部などで、方式を誤認する可能性もございます。必ず複数のアンテナコンセントを確認して、確実にご判断ください。
そして購入される新しいアンテナコンセント(直列ユニット)も「分配方式」「送り配線方式」に適合する機種を選ぶ必要がございます。
分配方式用のものはケーブルを差し込む箇所が一か所のみ、送り配線方式用では二か所というのが特徴ですが、店舗の店員に問い合わせる、パッケージの表記を確認するなどして、お間違いないようご注意ください。
またお住まいの住宅が借家やマンションなどの賃貸である場合、アンテナコンセントの交換には、オーナー様や管理会社などに相談して承諾を得る必要がございます。無断で行うと契約違反になる場合がある他、マンションやアパートで送り配線方式の場合は、自室でアンテナコンセントを交換すると、その先の配線に当たる部屋でテレビが見られなくなるなど、大きなトラブルになることもございますので、注意ください。
以下、実際の交換工事の手順をご説明いたします。
・1:ブレーカーを落とし、アンテナコンセントのカバーを外す。
ご自宅のアンテナコンセントの近くに電源コンセントがある場合は、感電事故を避けるため、まずブレーカーを落とします。
アンテナコンセントからケーブルも外しておき、そのカバーを、ネジ式の場合はプラスドライバーでネジを外す。はめ込み式の場合はカバー上下の溝にマイナスドライバーを差し込んで外します。
なおこの作業の際には、ネジや部品などを壁の中に落とさないようご注意ください。落としてしまうと回収は困難になりますので、極力、壁穴から離れての作業をおすすめいたします。
・2:取付枠(プレート)とアンテナコンセント(直列ユニット)を外す。
カバーの次は、アンテナコンセントの取付枠(プレート)を外し、直列ユニット部を外に引き出します。壁紙がアンテナコンセント内部にかぶさっている場合は、カッターなどで切り落としてもいいでしょう。
・3:新しい直列ユニットにアンテナケーブルを接続する。
引き出した直列ユニットにはアンテナケーブルがつながっています。分配方式では1本。送り配線方式では最先端を除いて2本になります。このケーブルを古い直列ユニットから、新品の直列ユニットへとつなぎ直します。なお送り配線方式の場合は、2本のケーブルでアンテナから電波が送られる「入力(IN)」と、次の部屋へ電波を送る「出力(OUT)」を間違えないようご注意ください。
・4:取付枠に直列ユニットを取り付け、壁に設置して固定する。
ケーブルに接続した新しい直列ユニットを、取付枠の内枠プレート(壁の奥側)に取り付けます。さらにそれを壁の穴に取り付け、位置を調整して、その上から取付枠の外枠プレートをはめ込み、ネジとドライバーで固定します。
・5:カバーをはめてテレビに接続し、映りを確認する。
最後はアンテナコンセントのカバーを取り付ければ交換作業は終了となります。
その後、アンテナコンセントとテレビをケーブルで接続し、きちんと映るかご確認ください。テレビの設定画面から、テレビに届く電波強度の「アンテナレベル」も確認しておくと安心です。
確認方法や数値の読み方は、テレビの機種やメーカーによっても異なるため、正確な確認方法はテレビ付属のマニュアルや、メーカーの公式サイトなどをご確認ください。
テレビコンセントがない部屋でテレビをご視聴になる方法
ご自宅でも上記のようなテレビコンセントがないお部屋では、テレビにアンテナケーブルを接続できず、テレビ放送をご視聴になれないと思われがちです。ただアンテナコンセントのない部屋にテレビを設置し、テレビ放送をご視聴になる方法は、いくつかございます。
以下、その方法についてご説明いたします。
・1:アンテナ業者にアンテナコンセント新規設置を依頼する。
現在、アンテナコンセントがない部屋にテレビを設置なさりたい場合は、アンテナ工事の会社や、各種工事のサービスを用意する家電量販店、ホームセンターなどの店に新規アンテナコンセント設置を依頼するのがもっとも確実で良い方法です。既存のものを交換するのではなく、住宅に新しくアンテナコンセントを設置する工事は、一般の方には難しくなりますので、無理はなさらずプロの業者や会社へのご依頼をご検討ください。
アンテナコンセントの各種工事にかかる費用は、業者によっても異なりますが、平均的な工事費の料金、価格は以下の通りです。
・アンテナコンセント交換費用:3,500円から。
・アンテナコンセント増設費用:5,000円から。
・屋外用アンテナコンセント増設:12,000円から。
・専用アンテナコンセント増設:15,000円から。
これらの費用は業者によっても異なりますが、ご自宅の配線状態や詳しい工事内容によっても変動してまいりますので、総額ではおおよそ10,000万円から30,000円程度が目安になります。
工事をお任せになる業者をお選びになるポイントとしては、まず業者のサイトなどをご確認の上、見積もりや現地調査が無料の業者を複数、選択されて相見積もりを取り、価格だけでなく工事内容、お見積もり時の説明がわかりやすく、お客様のご意向を優先する姿勢など総合的な観点から、優良な業者をご判断されると良いでしょう。他にも即日工事が可能、工事後の保証やサポート体制が充実しているなどの点が、優良な業者を見極めるポイントになります。
・2:分配器を使用する。
前述のように「分配器」とは、アンテナが受信したテレビ電波を送信するケーブルに接続し、複数のケーブルへとタコ足状に分け、各部屋のアンテナコンセントへと電波を等分に分配する装置です。通常の住宅では屋根裏などに設置されております。
各住宅の分配器は通常、住宅内のアンテナコンセント数よりひとつだけ出力端子の多い機器が設置されています。この端子は予備として普段は使用されないため、この予備からアンテナケーブルを引く。また他の部屋のアンテナコンセントに2分配の分配器を設置し、そのケーブルをアンテナコンセントのない部屋に引いて、テレビに設置するという方法がございます。
この方法であれば比較的、簡単かつ確実にテレビ放送をご覧になれます。ただ分配器を使用すると、元の電波レベルから2分配なら2分の1など、分配数で割る形で電波レベルが下がります。またアンテナケーブルが長い場合も、送信される電波を弱める原因になります。
そのためテレビに届く電波レベルが弱まり、テレビ画面が乱れるなどのケースも考えられます。その場合はテレビの前に室内型ブースター、ラインブースターなどを設置して、電波を増幅する必要もございます。
・3:室内アンテナを使用する。
室内アンテナとは、室内に設置して地デジ電波を受信できる小型のテレビアンテナです。
2.000円程度から高性能機でも10,000円程度と低価格で、ケーブルでテレビと接続して室内に置くだけと、設置も非常に簡単で気軽に利用できる人気の機種です。
また、室内アンテナとは別のもので、やや大型になりますが、その分だけ受信性能も高く、ベランダなどの屋外に置く形でも設置できる、屋外屋内兼用アンテナも存在します。
ただこれらのアンテナ機種は、室外用のアンテナに比べると、受信感度はかなり弱いため、基本的に強電界地域でしか使用できず、受信が安定しないこともございます。
室内アンテナについて、詳しくは以下のコラムをご参照ください。
・面倒な工事も不要!2,000円で地デジ放送を楽しめる「室内アンテナ」について!
・4:テレビなどのリンク機能を使う。
現在のテレビやブルーレイレコーダーなどの機器などには、多くに「リンク機能」が搭載されています。
これは本来、他の部屋にあるブルーレイ・HDDなどのレコーダーで録画された番組の映像信号を、宅内のLANネットワークで送信し、他の部屋のテレビで視聴するためのものですが、レコーダーなどに内蔵のチューナーで受信したテレビ放送もご視聴いただけます。
このリンク機能が搭載されている機器を使用すれば、テレビ、レコーダー問わず、録画や放送中のテレビ番組の映像を、アンテナに接続されていないテレビにも送信することができます。
ただ注意点として、基本的にテレビ、レコーダーなどが同じメーカーの機器でなければ、確実にリンク機能が使えるとは限りません。またレコーダーで映像を送信している間は、そのレコーダーでの番組録画など、一部の機能が使えなくなることもございます。
・5:無線LANで映像信号を送る。
地デジ放送の電波からテレビの映像信号(デジタル信号)に変換したものを、無線LANでテレビに送信する方法もございます。
個人が地デジ電波を無線機器などで送信することは「電波法」という法律により規制されております。ただ電波から返還された映像信号は無線で送信しても問題ございません。
この場合は、「メディアコンセント」などと呼ばれる、無線で地デジの映像信号を送信するテレビチューナーを、ご自宅のアンテナ端子に接続して設置します。そしてテレビ側の無線LANで受信することにより、アンテナケーブルを接続せずに地デジ放送をご視聴になれます。
この方法の詳細については、以下のコラムをご参照ください。
テレビコンセントの増設方法・まとめ
アンテナコンセントの交換方法と、交換をお勧めできる端子の種類。さらにアンテナコンセントなしでテレビ放送をご視聴になる方法は、以上の通りになります。
各アンテナ端子の詳細、また交換の手順については、よろしければこちらのコラムもご確認ください。
アンテナコンセントとは?その種類や耐用年数、交換法などを徹底解説!
アンテナコンセントの交換方法をご確認の上で、自宅での工事は難しそうなためアンテナ工事業者に依頼したい。またアンテナコンセントの新規設置やマルチメディアコンセントへの交換など、ご自宅では難しいテレビアンテナ工事をご希望のお客様は、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)か、メールフォーム、LINEアカウントまでご相談ください。