安く高性能な地デジ用UHFテレビアンテナの選び方は? 八木式アンテナの素子数や設置の高さ、業者の工事費用、料金相場も解説

2024年08月03日
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現在、戸建て住宅のマイホームを新築された際には、ケーブルテレビ(CATV)や光テレビをご利用になる場合を除いて、テレビアンテナの設置が必要となります。

新規で設置されるテレビアンテナと言えば、まず基幹的な放送である地上デジタル放送(地デジ放送)を受信するための地デジアンテナ(UHFアンテナ)が基本になります。

次に、お客様のご希望により、現在の4K、8K放送を含む衛星放送(BS放送、CS放送、新4K8K衛星放送)を受信するためのBS/CSアンテナ(パラボラアンテナ)、また現場の条件によっては地方チャンネル用の地デジアンテナをもう一基、設置することになります。

宇宙空間の静止衛星から日本全域に電波を送信する衛星放送であれば、障害物に遮られない限り、国内のほぼ全域、どこでも安定した電波レベル(電波強度)で受信できます。

しかし日本国内の各地にある電波塔から電波を送信する地デジ放送は、電波塔からの距離や障害物の影響などで、受信する現場ごとに、電波レベルに大きな差が生じます。そのため現場の受信レベルや環境に合わせた地デジアンテナの機種や設置の位置、工事の方法を選ぶ必要もございます。

そしてお客様にとっては、やはり地デジアンテナ設置に当たっては、アンテナ本体の価格や、設置の費用が安く抑えられる。そして受信性能が高く安定した地デジ受信を実現できるアンテナ機種を設置したいというご希望が、第一ではないでしょうか。

ただその一方、現在では、住宅の見た目にこだわる人も多くおられます。また台風が多い、豪雪地帯など気候によってアンテナがダメージを受けやすい現場では、受信感度に並んで、自然環境に対する耐久性を重視される方も多くなります。

そこで今回の本コラムでは、古典的アンテナ機種である「八木式アンテナ」を中心に、ご家庭で設置費用を安くできて、受信性能も安定する地デジ用テレビアンテナ。また微弱な地デジアンテナでも安定した受信を実現できる高性能アンテナなどの商品について、その特徴や設置の費用相場、参考になる関連の情報を一覧で解説してゆきます。

他にも、必ず地デジの受信性能を高めることができるアンテナの設置方法や設置場所。高品質の工事を低価格で依頼できるアンテナ工事業者や会社、事業者。費用の相場はいくらか。受信性能を確保しつつ、設置の見た目の良さや、風雨などへの耐久性も高めることができるアンテナ機種、設置方法などの概要も、事例のポイント別にご紹介します。

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地デジ放送の仕組みとUHF受信感度の高め方とは?

ここではまず、地デジアンテナで受信できる地上デジタル放送の基本的な仕組みから、各地域で受信できる地デジ電波レベルの違い、受信感度を向上できる設置の位置や方法などをご説明してゆきます。

現在の地上デジタル放送(地デジ放送)は、テレビの映像信号を電波の強弱に変換して送信する、かつてのアナログ放送に対し、まず映像信号を「0」「1」のデジタルへ信号を変換して情報量を圧縮した上で、信号を電波の波長に変換して送信するデジタル放送で送信されています。

双方とも、日本の各地に設置された電波塔から、周辺のエリアに電波を送信する形式は同じで、地上の施設や空間で電波を伝送することから、衛星放送との対比で「地上波(テレビ)放送」とも呼ばれます。

日本国内での地デジ放送のエリアは、日本全域で放送内容が同じ全国放送のNHK教育を別にすれば、広大な北海道を除く、宮城県、福島県など東北地方。京阪神や滋賀県などの近畿。静岡県、三重県、岐阜県、福井県などの東海・北陸。関東地方に新潟県、長野県、山梨県などを含めた関東・甲信越。広島県、岡山県、山口県と四国四県などの中国・四国。佐賀県、熊本県、宮崎県、長崎県、鹿児島県、沖縄県などの九州・沖縄といった三以上の都府県をまとめた広域放送。または各都府県別の県域放送に区分されます。

地デジ放送の他、ラジオ放送なども含めて送信する主な電波塔としては、東京都墨田区に位置する日本一の電波塔であり、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の多くの地域と、群馬県、栃木県、茨城県の北関東でも東京寄りの地域(関東広域圏)にまで地デジ電波を送信する、高さ634メートルの東京スカイツリーが挙げられます。

ただここまでの規模の電波塔は、日本国内でも他にはなく、福岡県、福岡市にあるランドマークタワーで、中心市街に電波を送信する福岡タワー(福岡局)が234メートル。

愛知県の名古屋市中区に立つ日本初の集約電波塔で、国の重要文化財でもある、名古屋テレビ塔(中部電力MIRAITOWER)が180メートル。北海道でも札幌市中央区大の大通公園内にある、さっぽろテレビ塔が147.2メートルです。

また大阪府東大阪市と奈良県生駒市にまたがる生駒山の頂上に見られる複数の電波塔群で、大阪府の広範囲から京都府や神戸市、淡路島など兵庫県の一部、また奈良県の奈良市一帯に電波を送信する生駒山テレビ・FM送信所は、個々の電波塔は30メートル強の高さですが、山の高さを含めると600メートル以上になるため、近畿地方の広範囲に電波を送信できるのです。

他にも国内に有名なタワーは数々、存在しますが、例えば東京都港区の東京タワー(330メートル)は、アナログ放送時代の電波塔で、現在は、通常は使用されない予備の電波塔です。

また大阪府大阪市浪速区、いわゆる新世界のシンボルである通天閣(108メートル)や、香川県綾歌郡宇多津町のゴールドタワー(158メートル)。新選組副長、土方歳三の最後の戦場になった北海道函館市の特別史跡、五稜郭にある五稜郭タワー(107メートル)。京都市の京都府下京区にある、京都市では一番高い京都タワー(ニデック京都タワー:131メートル)。兵庫県神戸市中央区の波止場町にある、鼓状の総曲面構造で知られる神戸ポートタワー(108メートル)。大分県の別府市にあり、当初はテレビ塔を想定して建設された別府タワー(100メートル)。「ゲゲゲの鬼太郎」などで知られる国民的漫画家、水木しげるさんの故郷で、水木しげるロードでも知られる鳥取県の境港市にあり、全日本タワー協議会加盟の中では日本で一番低いタワー、夢みなとタワー(43メートル)などは、観光用の展望塔や商業施設などであり、電波塔ではありません。

余談ですが、上記のような数々のタワーは、その高さが見栄えや怪獣との対比にも適することから、映画「ゴジラ」シリーズなど、多くの怪獣映画、特撮作品の舞台にも採用され、劇中で破壊されるなどしています。

ちなみに日本が誇る怪獣王、ゴジラの身長は、まだテレビ電波塔をはじめ高い塔がほとんど存在しなかった1954年(昭和29年)から、昭和期の作品は50メートル。

1984年(昭和59年)の新作「ゴジラ」から平成初期までの作品、いわゆる平成VSシリーズでは80メートルから100メートル。1999年(平成11年)から2000年代に製作された、いわゆるミレニアムシリーズは原点に回帰して55メートルから60メートル。(最終作「ゴジラFINALWARS」のみ100メートル)

そして記録的ヒットを残した2016年(平成28年)の庵野秀明監督「シンゴジラ」では、歴代最大の118.5メートル。やはり世界的にヒットした2023年(令和5年)の山崎貴監督「ゴジラ-0.1」では、舞台を終戦直後に設定したことから50.1メートルになっています。

また3Dアニメ映画として製作された、2万年後の地球を舞台にした「GODZILLA」三部作に登場するゴジラ・アースは身長300メートル以上。ハリウッド版「モンスターヴァース」シリーズに登場するゴジラはおおよそ108メートルから119メートルになります。

以上の歴代ゴジラの身長を目安にすると、現在のテレビ電波塔がどれだけ高いものかをご理解いただけるかと存じます。

さて、地デジの電波塔は、先端にある尖塔(電波送信用のアンテナ)が高い位置にあり、電波の出力(エネルギー)が強いほど、広範囲に電波を送信できることになります。

上記した大型の主な電波塔や電波塔群は、基本的には各都府県に一ヵ所ずつあり、その都府県内や広域圏内の多くに地デジ電波を送信する、主要な地デジ電波の送信施設であり、送信所(基幹局、親局)と呼ばれます。

ただ現実には、日本各地に東京スカイツリーのような大規模な電波塔を建てることは難しい。山が多く地形の複雑な日本では、電波塔の先端から送信された電波が遮られる地域が出やすいなどの要因から、各送信所の周辺で、送信所からの距離や、山地など遮蔽物の影響で、電波が届きにくくなる地域の付近に、衛星のようにいくつもの中継局(サテライト局)が設置されています。

これら中継局は、送信所や他の中継局から送られる電波を受信し、内部で増幅して周囲に送信しています。このように要所の中継局から中継局へ、地デジ電波をリレー形式で送信することで、各都府県や広域圏でも電波の届きにくい地域など大半の地域に、地デジ電波を送信しているのです。

そして地デジ放送に使われる地デジ電波は、電波の中でも比較的、周波数帯の高いUHF(極超短波)のうち、470MHz(メガヘルツ)から710MHzまでを使用しています。

したがって地デジ放送を受信する地デジアンテナも、基本的にすべて上記の周波数帯に対応する「UHFアンテナ」になります。

電波とは波長を描いて空間を光の速さで伝わる電気的エネルギーのことで、単位時間(一秒間)に描かれる波長の数が多いほど、周波数が高い電波になります。また電波は周波数が高くなるほど、波長の幅が短くなります。

地デジ電波の波長の幅は、約40センチから60センチ程度です。そして電波は波長が広いほどその性質は音に近く、周波数帯が高く波長が短いほど性質が光に近くなります。

そのため地デジ電波はある程度、音のような性質があり、電波塔から発信されて空間を伝わるうち、その距離によって徐々に減衰(電波レベルの弱まり)していきます。

また障害物にぶつかると反射して方向が変わる。障害物の上部や横、また細い隙間を通った電波が、乗り越えた向こう側に回り込んで広がる回折などの性質もございます。

このような性質を持つ地デジ電波は、日本各地で高い位置に存在する電波塔の先から、その周辺一帯、または特定方向へと送信され、一般住宅などで地デジアンテナが設置されている地上へ、上空から広がってくるような形で届くことになります。

そのため地デジ電波を受信する各住宅などの現場から見れば、電波塔の先端から直接、届く電波だけでなく、反射や回折によって方向の変わった電波(反射波・回折波)がさまざまな方向から届くことになります。

一方、電波塔から地デジ電波が届く方向に山や建物などの障害物がある場合は、電波が遮られてしまう他、電波塔からの距離などでも、受信できる電波レベルに違いが生じます。

この地デジ電波のレベルは「㏈(デシベル)」の単位で表されます。㏈とは、電波のレベルや音の大きさなどの値を、基準の量との比の常用対数で表したものです。地デジ電波レベルでは、主に0㏈(電波がまったく届かない状態)から100㏈の範囲で表されます。

通常、戸建住宅などで地デジアンテナにより受信された地デジ電波は、配線部を通じて各部屋のテレビなど受信機器まで送信されます。この時、アンテナ側からの配線は、配線部に設置された「分配器」という機器で複数のケーブルへと分岐し、例えば三分配であれば元の電波レベル(㏈)を三分の一ずつなど等分に分配して、各部屋へと送信します。

他にもケーブルの長さや、設置された各機器、端子などを通る際にも、抵抗により徐々に電波は減衰してゆきます。そして各テレビなどで安定して地デジ放送を視聴するには、テレビなど受信機器に届く時点での地デジ電波レベルが、34dBから89dBまでの範囲であることが必要です。

ただ実際には、地デジ電波は気候や天候などにも影響を受け、レベルが増減するため、受信機器に届く時点で、47㏈から81㏈の範囲、少なくとも40㏈以上になるよう調整されます。

この範囲より電波レベルが低い場合はもちろん、高すぎる場合も地デジ映像の画面が乱れる、映らないなど、ご覧になる上で問題が生じます。高すぎる場合は、ケーブル配線に電波レベルを適度に弱める「アッテネーター(減衰器)」を接続する、またアッテネーター機能を持つテレビなどでは、機能をオンにすることでを接続する、またアッテネーター機能を持つテレビなどでは、機能をオンにすることで対処できます。

またこの電波レベルを示す㏈は常用対数で示されるため、数値の計算は通常の四則演算ではなく、例えば10㏈を元の数値として、20㏈になると、電波の強さは元の10倍、30㏈では元の百倍という形で、元の数値から10㏈高くなると、電波の強さは、元の数値のほぼ10倍になります。

そして各地デジ電波塔の先端から届く地デジ電波は、上記の通り空間を伝わるうちに減衰するため、電波塔を中心にした周辺のエリアでも、電波塔からの距離、および電波を遮る山地などの影響から、エリアごとに受信できる電波レベルは変化します。

各電波塔からの地デジ電波について、その周辺エリアで受信できる地デジ電波のおおよその㏈数別に、エリアを分類したものを「電界地域」と言います。

一般的には、現場から電波塔を視認できる距離で、電波を遮る大きな障害物のない地域では、受信できる地デジ電波レベルが高くなります。このようなエリアで、受信できる地デジ電波レベルが80㏈以上になるエリアを「強電界地域」と呼びます。

そして強電界地域から離れるほど、距離により電波レベルが弱まるほか、山地や建物など障害物の影響を受けやすくなります。そして強電界地域より電波塔から離れ、地デジ電波レベルが80㏈から60㏈の間になると「中電界地域」。60㏈以下になると「弱電界地域」のエリアに分類されます。

ただしこの電界地域は、法律や学問的な定義ではなく、放送局、アンテナメーカーなど、地デジ放送に関係する企業や組織、団体が、受信の目安として個別に表記しているものです。したがって使われる場所によって、各電界地域の分類や㏈数の基準が異なる場合もありますので、ご注意ください。

さらに弱電界地域よりも到達する電波レベルが弱まり、50㏈から40㏈以下となるエリアでは、テレビなどに届く電波レベルが上記の基準を下回ってしまい、安定した地デジ受信が難しくなります。

このようなエリアは、電波塔の受信エリア外で「微弱電界地域」と分類される場合もあります。

また日本国内には、電波が遮られる山地や山間部、電波塔から遠く離れた離島部など、地デジ電波がほとんど届かないエリアも存在し、このようなエリアは地デジの「難視聴地域」といわれます。

ご自宅のエリアに電波を送信する電波塔や、各電波塔の電界地域を確認するには、インターネット上のサイト「A-PAB(一般社団法人放送サービス高度化推進協会)」ホームページ内の「地デジ放送エリアのめやす」を閲覧することで、地図上にて調べることができます。

もっともこの電界地域とは、電波塔からの距離と、山地など大まかな地形を基準に、電波塔の周辺エリアで受信できる電波レベルの、おおまかな目安を示すものにすぎません。

ここまででも少しご説明した通り、地デジ電波レベルは、高層ビルなどの各電界地域に点在する細かな障害物にも遮られる他、伝わる空間の気候、天候でも減衰するレベルが左右されます。

まず障害物については、金属の素材は電波を反射し、コンクリートや土壁など、高密度の素材は電波を吸収します。したがって、鉄筋コンクリート製の高層マンションなどの建物は、電波塔から届く地デジ電波を遮ることになります。

上記の通り地デジ電波には障害物を乗り越えた先で広がる回折という性質があります。そのため電波塔から見て、高層ビルなどの向こう側のエリアにも地デジ電波は届くことになります。

ただ地デジ電波は障害物を乗り越えた先で、障害物のエッジ(角の部分)から斜めに広かるように回折するため、ビルの影に当たる直近の一帯、特に中央部の一帯には地デジ電波が届かなくなります。

同じ理由から、戸建て住宅が狭い間隔で並ぶ住宅密集地では、家と家の間にあたる狭い空間には地デジ電波が届きにくくなることもございます。

他にも、地デジアンテナを設置して電波塔の方向に向けた先で、樹木やその枝が伸びるなどの障害物が発生した場合も、地デジ電波が遮られることもございます。

したがってお住まいの現場が強、中電界地域に含まれていても、上記のような条件をはじめ、周辺環境により地デジ電波が遮られる環境にあれば、お住まいの全体、または壁面など特定の位置では受信できる地デジ電波レベルが極端に低下することもございます。

もうひとつ、地デジ電波を伝達する空間の状態は、気候や天候にも影響を受けます。

年間を通した気候の違いでは、冬場などで気温が下がり、空気が収縮して湿度が低下すると、空間を地デジ電波が通りやすくなり、遠距離まで電波は届きやすくなります。一方で地デジ電波の品質を下げるノイズ(雑音:無関係な電波)も遠距離から届きやすくなるため、地デジ電波の品質が低下しやすくなる問題も生じます。

逆に夏場で気温が上がり、空気が膨張して湿度も高くなると、空間を伝わる地デジ電波が減衰しやすくなり、電波の届く距離が短くなるのです。

このような季節、気候の変化により、まったく同じ地点でも、電波塔から現場に到達する地デジ電波レベルは、一年の間に約6㏈ほどの変動が生じます。

その他にも、電波は水に吸収されて減衰する性質もあるため、雨や雪など悪天候では、地デジ電波が空間を伝わるうちに吸収されてしまい、減衰量が大きくなり、地デジアンテナで受信できるレベルが大きく低下いたします。

基本的に、戸建住宅における地デジアンテナの設置に当たっては、アンテナ本体を屋根の上など、できるだけ高い位置(地面より8メートルから10メートル程度の高さ)に設置することで、電波塔の先端から下りながら、広がるように送信される地デジ電波が、周辺の障害物などに影響を受けにくくなり、受信感度が高まります。

また地デジアンテナには、アンテナの正面に当たる方向でのみ受信感度が高まり、他の方向ではほとんど受信できなくなる「指向性」という性質があるため、地デジアンテナの正面側を、現場にもっとも強い電波が届く方向に向けて固定する必要がございます。

このアンテナの角度調整も、屋根の上など障害物の少ない場所にアンテナを設置する場合は、ほとんどの場合、現場に近い電波塔の方向になります。

屋根の上への設置は、360度の角度調整が行いやすいのもメリットですが、現場の周辺環境によっては、障害物に反射した反射波、また障害物を通り抜けて広がった回折波など、電波塔から方向が変わった電波のほうが受信レベルで有利になるケースもございますので、現場の電波調査により、最適な位置や角度、方向を確認することが肝要と言えます。

また地デジ電波には、地上から高度が上がるにつれ、数メートル単位で受信できる地デジ電波レベルが波打つように強弱を繰り返す「ハイトパターン」という性質もあります。

このハイトパターンは地デジ放送の各チャンネルによっても微妙に異なるため、地デジアンテナをただ高い位置に設置するだけでなく、すべてのチャンネルを安定して受信できるよう、高さを微調整する必要もございます。

地デジアンテナの受信感度を重視するのであれば、上記の通り、屋根の上など高い位置への設置がベストになります。逆に、壁面やベランダ内外などのやや低い位置、また屋内などへの地デジアンテナ設置は、受信感度ではやや不利になることもあります。

その代わりに、設置の見た目が良くなる、風雨などを避けやすくなり寿命が長くなるなど、高い位置への設置にはないメリットも出るため、現場の受信環境で安定して地デジを受信できることを大前提に、お客様のご希望に応じた地デジアンテナの設置位置や、位置に適したアンテナ機種を選ぶことになります。

地デジ放送の歴史や、放送、電波の基礎知識、またここでご説明したことを含む、地デジ電波の性質については、以下の各コラム記事でもご説明しております。

・地上デジタル放送の「地デジ電波」基礎知識

・現在の地上波テレビ放送で地上デジタル放送が開始されたのはいつ? デジタル放送とか何か、その仕組みや特徴も全解説!

・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは

・徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方は?

・地デジ電波の強さと品質を示す「dB」「MER」「BER」とは何か?

・地デジの「水平偏波」「垂直偏波」の違いとは?

・地デジアンテナを設置する高さの設定で重要となるハイトパターンとは? 地デジ電波を受信するために適切なアンテナの高さとは?

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受信性能が高く設置費用が安いUHF「八木式アンテナ」の魅力とは?

さて、本コラムの主題である「設置費用が安く受信性能が高い」地デジアンテナとして、第一に挙げられるのが八木式アンテナ(八木アンテナ、八木・宇田アンテナ)です。

八木式アンテナとは、今から約100年前、大正時代の1920年代、八木秀次博士と宇田新太郎博士の共同研究により発明されたアンテナであり、その発明は電気技術史上の偉業とされています。名称は特許を取得した八木博士を主にした両博士に由来します。

その形状は、主に住宅の屋根の上に立てられたマストの先に固定される、魚の骨組みのような外観で、地上波放送がデジタル放送化される前、日本で最初のテレビ放送、アナログ放送の時代からテレビアンテナとして使用されてきたアンテナです。そのため現在でも、テレビアンテナとしてはこの形状を連想される方が多いと思われます。

現在でも地デジアンテナ製品としての八木式アンテナは、単にUHFアンテナと呼ばれることもあり、矢印のような骨組みに短い横棒(素子)が一定の間隔でいくつもついた、魚の骨に似た形になります。

その特性は、本体に設置された素子(エレメント)で電波を受信する素子アンテナであること。指向性が高く、電波の波長の幅に合わせてアンテナのサイズが変わることから、比較的、波長が短い(周波数帯が高い)電波の送受信に適していることで、指向性短波アンテナの別名もあります。

現在の地デジアンテナとしての八木式アンテナも、基本的には昔からの取り付け方法と同様、住宅の屋根の上にマスト(ポール、支柱)を垂直に建てて固定し、その先に設置されます。

マストの主な固定方法は、屋根の面が合わさる頂点部に、四脚の金属製の器具「屋根馬」を置き、その中央にマストを固定。屋根の四方からステンレスワイヤーなどのステー(支線)を、マストや屋根馬までバランスよく張るという形になります。

他にも近年の住宅には、屋根の上に、内部にアンテナ配線を通すことができる、アンテナ用のマストが設備として用意されていることもございます。

このような屋根の上のマストには、BS/CSアンテナや他の地デジアンテナ機種が固定されることもございますが、基本的な設置位置の時点で、八木式アンテナは、受信感度に恵まれた位置を確保できることになります。

その他にも、サイドベースという器具を用いて、住宅の壁面やベランダの手すり部で、壁などと平行に立てたマストの先に八木式アンテナを固定する。ベランダ空間内への固定。また強電界地域向けの小型モデルであれば、軒先から吊り下げるなどの設置方法がございます。

さらに八木式アンテナは、素子による受信性能を高めることを重視した、余計な装飾などがない機器がむき出しの非常にシンプルなアンテナです。そのため現在でもアンテナ本体の受信性能では、他の地デジアンテナ機種よりも高くなります。

八木式アンテナは、魚の頭とは反対側の先端が、電波を受信する前方にあたり、その受信性能は、本体に設置された素子の数で変化します。

八木式アンテナの素子数は、先端から地デジ電波を導く横棒部、導波器(ディレクター)に並ぶ素子数と、その奥にて電波を集める部分で、電波をケーブルへと送る給電部と一体化した複数の素子、放射器(ラジエーター、輻射機)を1素子。魚の頭にあたり、通り過ぎる地デジ電波を放射器側に反射させ、また外部からの余計な電波(ノイズ)も反射して遮断する反射器(リフレクター)を1素子と数えた数になります。

八木式アンテナの主な素子数は8素子、14素子、20素子になり、素子数に応じて受信性能が高まり、また導波器の長さを中心に大型となります。8素子から14素子が強電界地域、14素子から20素子が中、弱電界地域に対応し、もっとも幅広いエリアに対応できる地デジアンテナ機種になります。

八木式アンテナは、古典的でシンプルな素子アンテナであることから、後に登場した新しい機種の基準となる機種でもあります。

八木式アンテナ以外の、外部から素子が見えない地デジアンテナ機種は、受信性能を素子アンテナの受信性能に換算した「素子数相当」で表されますが、八木式アンテナと同じ素子数相当のその他のアンテナを比較した場合、同じ素子数(相当)の範囲で八木式アンテナは受信性能が高く、それ以外のアンテナは低くなる傾向がございます。

さらに八木式アンテナは「指向性短波アンテナ」の名称通り、その形状から、アンテナ前方の一定の角度でのみ受信性能を発揮する「指向性」が他の機種より高くなります。

地デジアンテナは基本的にどの機種にも指向性があり、その指向性の幅(半値幅:アンテナが最大の受信性能を発揮する真正面を基準に、アンテナ角度を左右にずらし、受信性能が半減する角度)は、素子数(相当)が高い機種ほど狭くなります。

また半値幅は地デジアンテナの設計や形状にも左右され、同じ素子数(相当)のアンテナでも半値幅が狭いほど、その範囲内での受信性能が高まる特性がございます。

八木式アンテナの半値幅は、メーカーやモデルによっても異なりますが、ある大手メーカー製の一例を挙げると、8素子で45度から58度。14素子で33度から55度。20素子で28度から51度になります。

したがって八木式アンテナは、屋根の上などに固定して、アンテナの真正面、半値幅の範囲を電波塔の方向へと正確に向けて固定することで、別方向からのノイズも受信しにくくなり、レベルが高く高品質の地デジ電波を受信できることになります。

また通常、地デジアンテナは半値幅の範囲から外れた方向では受信性能はほとんどなくなりますが、八木式アンテナは構造上、真後ろ側からの電波もある程度、受信できるため、現場によっては地方チャンネルの電波など、別方向の電波塔からの電波も受信できるケースがございます。

総じて八木式アンテナは「受信に適した設置位置」「アンテナ本体の受信性能」。さらに後述する「受信性能がより高いモデル」も存在することで、現在でも地デジアンテナ各機種の中では、もっとも幅広いエリアにおいて安定した受信レベルを確保しやすく、受信性能がもっとも高い機種になるのです。

特に弱電界地域になると、素子数の多い八木式アンテナを屋根の上に設置する以外に、安定した受信レベルを確保できる地デジアンテナ設置方法がない場合も考えられます。

八木式アンテナのもうひとつのメリットは、テレビアンテナとしても、アナログ放送の時代から50年以上の歴史を持つアンテナで、本体の設計もシンプルなことから、現在では本体の製造、取り付け工法とも完成されており、地デジアンテナではもっとも低価格の費用で購入、設置できることです。

現在、地デジアンテナ設置を行う業者に、八木式アンテナ20素子の基本設置工事(アンテナ本体と基本的な設置具、同軸ケーブルを使用するだけの最小限の工事)を依頼する場合の費用の相場は、これら機材の代金込みで、15,000円から30,000円前後になります。

ただ実際には戸建て住宅に地デジアンテナを設置する場合、受信した電波を増幅するブースターも、別途の工事費で設置する必要があり、その他の細かな工事、機材の費用も含めて、20,000円から30,000円程度、工事費用に加算されることになります。

また衛星放送用のBS/CSアンテナも追加で設置する場合には、BS/CSアンテナの機材費含む基本設置工事費や、対応する機材の費用なども発生します。

当あさひアンテナでは、八木式アンテナの基本設置工事に、日本アンテナ等と並ぶ日本三大アンテナメーカーの一社である国内大手メーカー、DXアンテナ製・高品質20素子モデル「UA20」本体に、基本的な設置具、同軸ケーブルと、本体やマストの防水処理をセットにして、15,000円(税込み)よりの価格でご案内いたしております。

ブースターに関しても機材代金込みで、地デジアンテナのみの設置に必要な「UHF帯ブースター」設置は15,000円(税込み)。地デジアンテナとBS/CSアンテナを設置する場合に、双方の電波を増幅すると同時に、一本のケーブルにまとめる「UHF/BSCS混合ブースター」設置は20,000円(税込み)でご案内しております。

その他、八木式アンテナでは、各素子数モデルや、後述する高性能モデル、ローチャンネル用モデル。ステンレス製、塩害用、雪害用モデルなどもご用意しておりますので、より受信環境や自然環境が厳しいエリアでも、現場に最適となる八木式アンテナ設置にご対応いたします。

八木式アンテナの基礎知識については、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。

・地デジテレビアンテナ界の最長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?特長や設置位置、メリット・デメリットまで解説!

・地デジ「八木式アンテナ」に適した住宅の条件とは? アンテナ設置工事の特徴や種類を徹底解説!

・屋外用地デジアンテナは八木式アンテナが最強? 人気のデザインアンテナ、ユニコーンアンテナと特徴比較&おすすめの選び方紹介

・新築戸建てのテレビアンテナ工事費用を安くできて高性能の八木式アンテナとは? アンテナ種類の選び方や業者の料金相場を解説

八木式アンテナ取り付けの弱点、デメリットの理由とは?

上記のように八木式アンテナは、受信性能に特化した構造をもつ、機器部がむき出しのアンテナを、屋根の上のマストなど高い位置に設置することで、低価格ながら高い受信感度を確保しやすい、地デジアンテナとしては非常に優れた機種になります。

ただ、八木式アンテナのメリットに直結するこれらの特性が、デメリットになる面もございます。

具体的に八木式アンテナのデメリットは「設置の外観性」「自然環境への耐性」になります。

昭和のアナログ放送時代は、住宅街の屋根の上に八木式アンテナが立ち並ぶ風景は、珍しいものではありませんでした。ただ現在ではシンプルでデザイン性の高い戸建て住宅が多く、そのような住宅の屋根の上に、独自の形状の八木式アンテナがマストで固定されると、住宅のデザインを崩してしまうという不評も多くなっております。

さらに住宅周辺の眺めにも影響し、特に景観地域などでは景観条例によって、八木式アンテナなど一部のアンテナ機種や、一定以上の高さへのアンテナ設置が制限されることもあり、屋根の上への八木式アンテナ設置ができないケースもございます。

さらに八木式アンテナが、吹きさらしの屋根の上に立てられることで、風雨や積雪をはじめ、海沿いの潮風による塩害。野鳥がアンテナに止まり、酸性のフンをする鳥害など、自然環境の影響を受けた劣化が進みやすくなります。結果、他の機種に比べて耐用年数(寿命)が短くなります。

八木式アンテナの耐用年数は、屋根の上への設置では、約10年が目安になります。自然環境の穏やかな地域では、10年を過ぎても安定して使用できるケースも珍しくはありませんが、耐用年数を過ぎると耐久力が低下して、アンテナトラブルが生じやすくなります。

逆に海沿いや台風、積雪が多い地帯など、自然環境が厳しい地域では、10年未満でアンテナの破損が生じることもあります。特に豪雪地帯で、屋根の上へ八木式アンテナを設置すると、屋根の上の積雪によるダメージですぐに破損するケースもあるため、雪の多い現場での八木式アンテナ設置では、住宅の壁面や敷地内のマストなど、設置位置を工夫する必要がございます。

特に八木式アンテナの場合、指向性が高く受信性能が高い半面、老朽化による角度の狂いで受信性能が低下しやすい。さらに固定するマストごと老朽化することで、アンテナの傾き、ひいては倒壊などが起こりやすく、屋根材の破損や、アンテナが屋根から落下して大きな事故を起こすなどのリスクも想定されます。

他にも八木式アンテナでは、本体の大きさからアンテナの一部が隣家の敷地に割り込む「越境問題」のリスクがある。太陽光発電システムを採用しているお住まいでは、太陽光パネルにアンテナの影が落ち、発電効率を低下させることもある、などのデメリットも考えられます。

これらデメリットへの対策では、まず設置位置を屋根の上でも外部からの死角、また壁面やベランダの内外など、外部から目立たず風雨なども避けやすい位置に設置する方法がございます。

ただ特に設置位置を低くする場合、周辺の障害物に影響されやすくなり、八木式アンテナのメリットである受信性能がやや弱まってしまう場合もあるのでご注意ください、

もうひとつの対策として、設計などの工夫で自然環境への耐久性を高めた、塩害用、雪害用などの八木式アンテナを採用する方法もございます。これらの機種について、詳細は後述いたします。

その他の主な地デジアンテナ機種である、壁面などに設置される薄型パネル状のデザインアンテナ、八木式アンテナと同じく屋根の上などのマストに固定される最新モデル、ユニコーンアンテナ等の他機種は、どちらも受信性能では八木式アンテナには及びません。

現状で、八木式アンテナ以外のデザインアンテナ、ユニコーンアンテナなど、室内アンテナのカテゴリを除く主な地デジアンテナ機種は、受信性能をやや犠牲にすることで、設置の見た目や、自然環境への耐久性の高さなど、八木式アンテナの弱点をカバーしたモデルといえます。

なお当あさひアンテナは、通常は屋根の頂点部にしか設置できない、屋根馬による八木式アンテナの屋根上設置について、水平器という機器によって、現場の屋根の角度に合わせて正確に屋根馬の脚を加工することで、屋根の斜面部への八木式アンテナ設置を実現する技術をもっております。

この技術により、差し掛け屋根や片流れ屋根など、通常は屋根馬を置けない屋根にもマストによるアンテナ設置を実現できる他、屋根の上の八木式アンテナをできるだけ目立たなくする施工にも対応できます。

また八木式アンテナはじめ、屋根馬を使用した設置では、屋根の四方よりマストまでバランスよくステーを伸ばして固定し、さらに各ステーの途中からもう一本のステーを伸ばし、屋根馬の脚を固定する工法で、アンテナのマストをしっかりと固定する工法を実施しております。

戸建て住宅におけるテレビアンテナの各設置位置の比較については、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。

・なぜテレビアンテナは屋根の上に設置される? 新築戸建て各位置に取り付けるアンテナ種類や工事の流れ、費用の相場について解説

・地デジや衛星放送用BS/CSテレビアンテナのベランダ設置や壁面取付の方法は? デザインアンテナ失敗例や必要な端子も解説

・壁面に設置できる地デジ用テレビアンテナとは? デザインアンテナなど壁に取り付けられる全アンテナと工事費用、失敗例など解説

・地デジ、BS/CSテレビアンテナを住宅の壁面に設置する方法とメリットや注意点とは? 壁面取付に適したアンテナ機種も解説!

・戸建て住宅のテレビアンテナ取り付け工事で、アンテナを設置できる場所とは? その費用からメリット・デメリットまで徹底解説!

・一戸建て住宅へのテレビアンテナ設置工事で、アンテナ取り付けができる場所とは? 工事の費用や流れ、適した工事業者を解説!

八木式アンテナの高性能素子モデルとそのスペックとは?

八木式アンテナには各素子数モデルの他にも、導波器部分の素子に、Ⅹ型の固定部の上下左右に素子パーツを設置した高性能素子を使用する、高性能UHFアンテナも存在します。

高性能モデルでは例えば20素子モデルなら、通常モデルへの換算で実質74素子になるなど、受信性能が非常に高くなる上、28素子、30素子などの多素子モデルもあるため、通常モデル4基分程度の、超ハイレベルな受信性能を発揮します。

また逆に高性能素子であれば5素子程度でも、通常モデルの14素子程度と遜色ない受信性能を発揮するため、設置スペースを確保しにくい住宅密集地などで、アンテナ本体の小型化にも利用されます。

このようなモデルは、メーカーによって高性能アンテナ、パラスタックアンテナ、高性能導波器モデルなどと呼ばれ、微弱電界地域など地デジ電波レベルが非常に弱い現場でも安定した受信を実現でき、集合住宅の共同受信用にも使われる品になります。

一方でこのような高性能モデルは、特に素子数が多いほど、本体の長さが2メートルから3メートル近くなどとても大型になり、また半値幅も非常に狭くなるため、角度調整が難しく、自然環境などに影響を受けやすくなる。本体価格も高価になるなどのデメリットも生じます。

また高性能モデルに限らず、例えば強電界地域で20素子モデルを使用するなど、現場の地デジ電波レベルに対して性能が高すぎるモデルを使用すると、地デジ電波だけでなくノイズも受信してしまい、かえって地デジ放送の画面が乱れることもあるため、現場の電波状態に適したモデルを使用することが重要になります。

高性能型の八木式アンテナ、および地デジアンテナの受信性能を決める素子、素子数(相当)については、下記の各コラム記事でも詳しく解説しております。

・高利得、高性能な地デジ用パラスタックアンテナ徹底解説

・テレビアンテナの性能を決める「素子」とは何か? 地デジアンテナ工事で重要な「素子数」を徹底解説!

・地デジ用テレビアンテナ工事にて設置する電界地域に最適な受信性能は「何素子数」タイプか? アンテナ機器の選び方を徹底解説!

・地デジ放送用テレビアンテナ、UHFアンテナ機種による素子数の違いとは? 高性能モデルや現場ごとに必要な素子数の機種を解説

ローチャンネル用八木式アンテナの性能とおすすめ地域とは?

上記のように地デジ放送は、UHFでも470MHzから710MHzまでの周波数帯を、6MHzずつ13ch.から52ch.の40の物理チャンネルに分配し、上記の広域放送、県域放送の電波塔ごとに、各チャンネルをエリアごとの各放送局(テレビ局)に分配しています。

この物理チャンネルは、近い位置の電波塔で、周波数帯の近い別々のチャンネルの電波が入り混じる「混信」が生じないよう、計算して配分されていますが、日本のほとんどの電波塔では、34chから36ch程度までの比較的、周波数帯の低い物理チャンネルが優先的に使用される傾向がございます。

これは周波数帯の低い電波の方が扱いやすいためですが、八木式アンテナにも、この周波数帯が低い物理チャンネルのみを受信できる「ローチャンネル用」を中心に、地デジ電波でも一部の物理チャンネルのみを受信できるモデルが存在します。

これに対し、13chから52chまですべての物理チャンネルを受信できる通常の地デジアンテナを「オールチャンネル用」と呼びます。

ローチャンネル用などの八木式アンテナは、外観や素子数モデル、価格帯などはオールチャンネル用と違いはございません。このようなアンテナが存在する理由は、同じ素子数でもオールチャンネル用に比べると、対応するチャンネルの受信性能が向上するためです。

したがって、使用される地デジ電波の物理チャンネルがローチャンネル帯の、国内の多くの地域では、ローチャンネル用八木式アンテナを使うことで、より受信性能が向上するのです。

ローチャンネル用とオールチャンネル用の受信性能の違いは、アンテナが受信できる電波レベルに対し、出力できる電波レベルの比であり、アンテナ前方の受信性能を示すともいえる数値「動作利得(利得、ゲイン)」で判断できます。

八木式アンテナは使用する素子の長さや間隔などで、受信できる周波数帯を微調整できるため、ローチャンネル用などのアンテナも比較的、簡単に製造できるのです。そのためローチャンネル用のモデルは、八木式アンテナ以外の他機種には存在しません。

このようなモデルの存在も、八木式アンテナの受信感度が高まる要因のひとつと言えます。

なお、このローチャンネル用アンテナを使用するためには、まずスペック表などでアンテナが対応しているチャンネル帯を確認(機種によって異なりますが、13chから34ch~36ch程度)し、現場で受信している地デジ電波塔が送信している物理チャンネルに、それ以上のチャンネルが使われていないかを確認する必要がございます。

なお日本各地の電波塔が送信する物理チャンネルについては、総務省やアンテナメーカーなどのサイトに一覧表が掲載されております。

また当あさひアンテナなどアンテナ工事の専門業者であれば、各エリアで受信できる物理チャンネルについても熟知しているため、お任せいただければ、ローチャンネル用、オールチャンネル用など、現場に適したオススメの八木式アンテナをご提案いたします。

ローチャンネル用アンテナや、その受信性能を判断するための「動作利得」については、下記の各コラム記事に詳しくご紹介しております。

・地デジUHFアンテナのオールチャンネル対応とローチャンネル用とは? テレビが映らない原因と受信レベルを上げる対処を解説!

・地デジアンテナや無線通信用アンテナの性能を示す利得、動作利得とは何か? 素子数との違いなど地デジアンテナ基礎知識も解説

雪害用、塩害用、ステンレスなどの八木式アンテナとは?

前述の通り、八木式アンテナの弱点は、自然環境に影響されやすく、老朽化が進みやすい点です。

その弱点をカバーするのが、ステンレス製や高耐食、塩害用、雪害用などと呼ばれる八木式アンテナのモデルになります。

これらモデルはメーカーによっても名称や設計が異なりますが、サビに強いステンレス製などの素材を採用し、耐食性の高い表面加工を施す。軽量化による耐風性能の向上。また潮風や雪の付着などにも強い設計の八木式アンテナになります。

これら高耐候モデルは通常モデルに比べると、価格は少し割高になりますが、現場の自然環境に適した機種を採用することで、八木式アンテナでもある程度、自然環境に強く、寿命が長くなることが期待できます。

また鳥害に対しては、アンテナ本体に結束バンドをいくつも巻き付ける、鳥よけグッズを使用数Rなどの対策で、アンテナに鳥が留まることを避けることができます。

他にも、対候性とは別になりますが、一部メーカーでは、本体の全体を黒色に塗装した八木式アンテナも販売しており、黒色系の屋根に使用することで、外観性への影響を抑えることができます。

お客様満足を大切に あさひアンテナ

デザインアンテナとユニコーンアンテナの性能と感度とは?

アナログ放送時代の主なテレビ電波だったVHF(超短波)に比べ、地デジ電波では波長の幅が短くなったため、アンテナの小型化も実現し、八木式アンテナ以外にも、オススメできる各種の地デジ用UHFアンテナが登場いたしました。

ここでは八木式アンテナに並ぶ主な地デジアンテナ、デザインアンテナとユニコーンアンテナについて簡単にご説明いたします。

デザインアンテナは、メーカーによって薄型アンテナ、平面アンテナ等ともいう、2009年(平成21年)頃より普及し始めた、地デジアンテナ第二世代と言える薄型のパネル状アンテナです。

八木式アンテナに比べると本体は高さ60センチ前後、横幅は20センチから25センチ程度とコンパクトで、カラーバリエーションも豊富なため、主に住宅の外壁やベランダの手すりなどに設置されます。

デザインアンテナのメリットは、壁の色合いに合わせて設置することで、家の見た目や景観が整う。また風雨などにも影響されにくく、寿命が15年から20年程度と長くなる点です。

一方、本体の受信性能は主に20素子相当、26素子相当ながら、指向性の低さから八木式アンテナより受信性能が低くなる。さらに設置位置も低いため、周辺の障害物により受信レベルが低くなりやすいデメリットもございます。

そのためデザインアンテナは基本的に強・中電界地域向けで、また該当する電界地域でも、高層ビルの付近や住宅密集地など、地デジ電波が遮られる環境では使用できない場合もございます。

総じてデザインアンテナを壁面などに設置する場合には、綿密な電波調査で、すべてのチャンネルで余裕をもって受信できる設置位置の特定が重要になります。

ユニコーンアンテナは、2017年(平成29年)に、日本三大アンテナメーカーの一社、マスプロ電工より発売された、地デジアンテナ第三世代と言える最新モデル「U2CN」のことです。

ユニコーンアンテナは、長さは約67センチ、直径は12センチから14センチほどの、ほぼ円筒形の本体をもつ地デジアンテナです。本体色にはマットな質感の「ウォームホワイト(WW)」「ブロンズブラック(BB)」の二色がございます。

ユニコーンアンテナは、八木式アンテナと同様、基本的に屋根の上や破風板(屋根の張り出し部)、壁面の高い位置などに、本体が屋根の上に出るよう、マストの先に固定されます。

ユニコーンアンテナの特性は、スタイリッシュで風雨を受け流せる形状から、設置の外観性、風雨などへの強さや寿命も、デザインアンテナとほぼ同等になる点です。

さらに20素子相当モデルながら設置位置が高所のため、デザインアンテナに比べると受信感度が良い状態になり、住宅密集地などでも設置できるケースが多くなります。

総じてユニコーンアンテナは、デザインアンテナのメリットを保持しつつ、その弱点である受信性能の弱さをある程度、カバーしたモデルと言えます。

デザインアンテナのデメリットは、八木式アンテナに比べるとやや受信性能が弱く、やはり強・中電界地域向けになること。最新モデルのため本体の値段や設置を頼む費用の相場が、アンテナ本体や基本部材の費用を合わせて30,000円から40,000円程度と、他の機種より高額になることです。

当あさひアンテナでは、デザインアンテナの基本設置工事に、DXアンテナ製20素子相「UAH201」。または強電界地域専用コンパクトモデルにマスプロ電工製「U2SWLC3(スカイウォーリーミニ)」の各本体色をご用意し、アンテナ本体と基本部材。白黒2色の同軸ケーブルなどの費用も含め、20,000円(税込み)からでご案内しております。他にも26素子相当モデルもご用意しており、現場で可能な限りデザインアンテナ設置にご対応いたします。

またユニコーンアンテナの基本設置工事は、アンテナ本体や基本の金具、部材などの費用も含め、現在、業界最安に挑む「キャンペーン価格」でご案内しております。

ここでご紹介した各機種については、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。

・地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!

・業界最小デザインアンテナ!マスプロ電工「スカイウォーリーミニ」のメリット・デメリットとは? 失敗しない取り付け例も解説!

・新築戸建てテレビアンテナ設置におすすめのデザインアンテナとは? アンテナ種類の比較と選び方、業者の工事費用の相場まで解説

・デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説

・地デジ用テレビアンテナ「デザインアンテナ」の失敗しない取り付け工事とは? 価格や工事費用、料金の相場や業者選びも徹底解説

・デザインアンテナ取り付けでテレビ視聴の失敗例とは? 工事の費用やメリット・デメリット、失敗しない設置方法の選び方まで解説

・新築戸建てで人気のテレビ用デザインアンテナのメリット・デメリットは? 種類や工事費用の相場、失敗しない注意点まで全解説!

・地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!

・外見、寿命、性能すべて優れるテレビアンテナ・ユニコーンアンテナとは? 特徴とメリットデメリットから設置工事の料金まで紹介

・ユニコーンアンテナの特徴と評判、設置工事の費用とは? 地デジ用アンテナ各機種のデザインとメリット、失敗を避ける方法を解説

・台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?

低価格で受信性能の高い地デジアンテナ・まとめ

八木式アンテナは、日本の大半の地域にて、低価格で安定した受信感度を実現できる、現在でも優れた地デジアンテナ機種です。

ただ、住宅の見た目にこだわりがあるお客様や、自然環境などの条件によっては、デザインアンテナ、ユニコーンアンテナなどの方が、ご要望に適応でき、寿命の長さなどでコストパフォーマンスが高くなるケースもございます。

当あさひアンテナはアンテナ工事のプロとして、戸建て住宅をはじめとするアンテナ設置工事で必要な配線部とブースター、分配器など周辺機器の新規工事。またお客様のご要望に応じたオプション工事についても、国内一流メーカーの高品質機材と、明確な価格体系でご案内しており、各種アンテナ工事の総額を、業界でも最安値に挑む価格でご提供いたします。

また事前の電波調査、お見積りも、出張費やキャンセル料などを含む「完全無料」で実施しております。さらに他業者との相見積もりおよび、見積もり金額にご満足いただければ、見積当日の即日工事にもご対応が可能です。

弊社の電波調査は、お住まいのさまざまな位置でチェッカーによる綿密で安全なチェックにより、受信感度の確保が重要なデザインアンテナなどの場合も、ピンポイントで受信感度が高い位置を割り出し、現地の状況でできる限りお客様のご要望に応じたアンテナ工事をご提案いたします。

アンテナ工事の作業では、弊社社員スタッフである、経験、実績とも豊富な弊社社員スタッフのアンテナ職人による、下請けを使わない完全自社施工でコストを抑えつつ、アンテナの受信感度、頑丈さ。さらに設置や配線も見栄えの整った丁寧な施工を実践しております。

工事完了後、料金のお支払いも、お客様のお手数を省くべく、現金だけでなく、各種クレジットカード、電子マネーなどにもご対応しております。

さらに工事後のアフターフォローでは、業界最長クラスとなる、施工日からの「10年保証」長期サポートをご用意しており、お客様には末永くご安心していただけます。

さらに現在、弊社では、弊社アンテナ工事と同時に、弊社を通じて、超高速の光回線にお申込みいただくことで、最大85,000円のキャッシュバックにより、アンテナ工事費用が実質「無料」になるキャンペーンも実施中です。

受信性能や設置費用の安さを含めて、アンテナの新設や交換、修理など各種アンテナ工事のご相談は、まずは当あさひアンテナのフリーダイヤルへのお電話。またはインターネットで公式サイトのメールフォーム、弊社のLINEアカウントまで、まずはどのようなことでもお気軽にご連絡、お問い合わせください。

アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 25,000円(27,500円税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 22,000円(24,200円税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 18,000円(19,800円税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。