地デジ用テレビアンテナ各種類の違いと選び方とは? 戸建て住宅への設置や交換する方法、工事費用はいくらかの相場も解説!
21世紀、令和の現在でも、戸建て住宅など一般のご家庭で、地デジ放送(地上デジタル放送)や衛星放送(BS放送、CS放送、新4K8K衛星放送)などのテレビ放送を視聴する方法としては、自宅に地デジアンテナ、BS/CSアンテナのテレビアンテナを設置する方法が主流です。
現在では戸建て住宅、集合住宅などで地デジ、衛星放送のテレビ放送を見るにも、ケーブルテレビ(CATV)、ひかりTVをご利用になるといった方法もございます。しかしテレビアンテナの設置では、BS放送、CS放送の有料チャンネルや、NHK受信料を除けば、長期に渡ってテレビ放送を無料で受信、試聴し続けることができます。
また現在のテレビアンテナは、機種や設置位置などにもよりますが、優秀なプロのアンテナ工事業者が設置したものではあれば、設置から長年にわたって、安定した受信性能を発揮し続けます。そのため、長きにわたって暮らすことを前提にしたマイホームをお持ちの方にとっては、テレビアンテナの設置こそが最適のテレビ視聴方法と申せます。
ただ一方で、テレビアンテナによるテレビ放送の視聴では、現場のテレビ電波受信環境や、電波障害の元になる周辺環境。アンテナ本体の老朽化や自然災害の影響などによるトラブル。また設置を担当した業者の現地調査、施工技術が不十分などといった要因によって、ときに受信不良が発生することもございます。
このような要因からアンテナトラブルが発生すると、地デジ、衛星放送のテレビの映りが悪くなる。現在のデジタル放送であれば、例えば映像に四角いノイズが入って見づらくなる「ブロックノイズ」や、真っ黒い画面の中央に「E201」「E202」「E203」などのエラーコードと同時に「現在放送を受信できません」などのエラーメッセージが表示され、テレビ放送が映らないなどの問題が生じてまいります。当コラムをお読みの皆様も、ご自宅にてこのような不調でお悩みになったことはございませんでしょうか?
特に、それまでは正常に視聴できていたテレビで突然、このような不調、トラブルが発生した場合は、その原因はテレビアンテナに、なんらかのトラブルが発生しているというケースがほとんどになります。例えば激しい台風や豪雨などが過ぎた後、また強風警報が発令された、ある程度の震度の自信が発生したなどの後には、屋根の上に立てられているテレビアンテナがアンテナが折れる、角度や設置位置がずれるなどの要因で、テレビ電波を正常に受信できなくなるケースもよくございます。
このようにアンテナの向き、角度などが、本来、向いているべき方向からずれている場合は、アンテナ本体の老朽化により、本来ならズレが発生しない頑丈さ、耐久力が低下していることが多く、他にも軽度の故障、補修すべき箇所が見つかることが多く、修理してそのまま設置していても、トラブルが再発する可能性が高いため、せっかくですので、交換することがおすすめといえます。
テレビアンテナの耐用年数(寿命)は、機種にもよりますが、近年のモデルでも耐用年数は6年程度とされています。ただこれは自然環境が厳しいエリアを基準とした最低ラインの年数であり、実際の戸建て住宅に設置されたテレビアンテナの多くは、10年以上にわたって使用され続けられるものが多くなります。
実際に戸建て住宅はじめ、さまざまな現場へ設置されたテレビアンテナは、その設置場所や周辺環境などによっても使用できる年数は大きく変わってくることが多く、特に海沿いの地域では、潮風の影響によってアンテナをはじめ、金属製品や部品の錆が進行しやすくなる、いわゆる塩害によって、耐久年数を下回る5年以内に錆が進行して、アンテナを立てるマストことぽっきりと折れてしまう、といったケースも起こり得ます。
このように大きなトラブルが生じたアンテナでは、修理はまず不可能であり、基本的にアンテナ交換の必要性が出てまいります。その場合、お住まいの地域および、住宅の周辺環境など、さまざまな条件に見合ったアンテナ保内や設置位置を選定する必要が出てまいります。
今日の主な地デジアンテナ機種としては、アナログ放送の昔から戸建て住宅の屋根の上などでよく見らける、魚の骨のような形状をした「八木式アンテナ」。また21世紀になって、新築住宅への外観を損ねないよう、また風雨などに強くトラブルを避けて耐用年数が伸びるように開発された、住宅の外壁やベランダに取り付けができるスタイリッシュなデザインアンテナ、円筒型のユニコーンテナなど、様々な特色や形状をもつテレビアンテナが販売されています。
また地デジ電波の強い地域では、室内に設置して地デジ電波を受信できる卓上アンテナ(室内アンテナ)や、それよりはやや大型になるものの、室内と室外のどちらにもせっちできる屋外屋内兼用アンテナなども使用可能であり、総じて地デジアンテナが、本体のモデルやメーカーから、材質、カラーバリエーションなど選択肢が数多いため、お客様にとってが、どの機種、モデルを選べば良いのか、お悩みになることも多いのではないでしょうか?
他にも衛星放送を受信するためのBS/CSアンテナは、アウトドア用や車載用などの特殊なモデルを除けば、基本的には大きな円盤状のディッシュを備えた、パラボラアンテナ一種類のみになります。ただこのBS/CSアンテナにも、受信性能を決めるディッシュの直径から、カラーバリエーション。設計に工夫を凝らした高耐風モデルなどの、さまざまなモデルが存在します。
そこで当コラムでは、特に本体のバリエーションが多い地デジアンテナの種類と、ご自宅に設置されている地デジアンテナが老朽化、故障した場合の、アンテナ交換方法について詳しく解説してまいります。
ご自宅のアンテナの老朽化などにより、アンテナを交換する際には、現在のモデルより受信感度やデザイン性、風雨などへの強さが高く高寿命を望めるモデル、設置位置などへ変更するという選択肢もございます。ご自宅に地デジアンテナを新しく設置する、老朽化したアンテナを交換するなどの場合には、よりよい地デジアンテナ設置を実現するため、当コラムを参考にしていただければ幸いです。
地上波デジタル放送の仕組みと電波の概要とは?
まずは現在の地デジアンテナの機能や性能についてご理解いただくため、地上デジタル放送(地デジ)の仕組みと、使用される電波の種類についてご説明いたします
アナログ放送と地上デジタル放送の違いについて
現在の地デジ放送(地上デジタル放送)は、2003年(平成15年)12月1日の午前11時よりはじまりました。地デジ放送以前のテレビ放送のうち、衛星放送を除く地上波放送は、アナログ放送(アナログテレビ放送)といい、テレビ放送の映像、音声の信号を、そのまま電波の強弱に変換して送信し、各住宅のテレビアンテナで受信した後、テレビなどに内蔵したアナログチューナーで、電波の強弱をふたたび映像信号へと変換し、テレビ画面に映し出している仕組みでした。
ただアナログ放送、地上波放送というのは、のちに地デジ放送や衛星放送が登場した後、区別のために使用されるようになった呼称、いわゆる「レトロニム」で、アナログ放送が唯一のテレビ放送であった当時は、単にテレビ放送と言われることが多かったようです。
このアナログ放送で使用されていたテレビ電波は、日本のほぼ全国で放送されていたNHK、広域民放には、VHF波(超短波)のうち90MHz(メガヘルツ)から108MHzのローバンド、また170MHzから222MHzのハイバンドの周波数帯。そして一部の都府県で別個に存在し、その都府県を放送エリアとする独立放送局の地方チャンネルには、UHF波(極超短波)のうち470MHzから770MHzの周波数帯が使われていました。
地デジ放送は、同じ地上波放送であったアナログ放送からの転換を目的にスタートしたもので、放送されるチャンネルや番組内容は、アナログ放送と同じNHK、広域民放、地方チャンネルでまったく変わりはありませんでした。
ただ一般のご家庭などで、アナログ放送から地デジ放送へと転換するためには、多くの場合、アナログ放送時代のVHFアンテナから、地デジアンテナ(UHFアンテナ)などへの交換。またテレビなど受信機器も地デジ対応型の機器や、地デジチューナーが必要となりました。
そのため、2003年の地デジ放送の開始後も、しばらくの間は移行期間として、地デジ放送とアナログ放送が並行して放送されておりました。この移行期間は約7年半続き、2011年(平成23年)7月24日の正午、一部地域を除いてアナログ放送が完全停波(終了)したことで、日本の地上波放送は、地デジ放送に一本化されたのです。
ちなみの現在の地デジ放送では、送信する電波として、UHF波のうち470MHzから710MHzまでの周波数帯のみを使用しています。したがってアナログ放送の時代に比べて、大幅な周波数帯の削減を実現したことになります。
この地上波テレビ放送におけるアナログ放送から、デジタル放送(地デジ放送)へ転換された理由は、当時、世界的にアナログ技術からデジタル技術への転換が進んでいたこと。さらに携帯電話の爆発的な普及にあります。
それまでのアナログ放送時代では、社会で電波に対する需要が、テレビ、ラジオ放送の他には少なかったため、テレビ放送が実用性のある周波数帯の大部分を使用しても特に問題はなかったのです。
ただ1990年代から携帯電話が大きく普及してきたことにより、社会全体での電波の周波数帯に対する需要が高まってきました。そこで、アナログ放送から地デジへの転換により、地上波放送で使用される周波数帯を大きく削減。主にVHFの周波数帯を開放して、携帯電話用の電波に転用したことで、それまでよりさらに携帯電話の普及を促進させたのです。
地デジ放送がアナログ放送に比べて、使用する周波数帯を大きく削減できた理由は、それまで電波の強弱として送信されていた映像信号を、無駄な部分を省略して「0」「1」の信号で表した「デジタル信号」に変換し、圧縮された映像信号を電波の波長に変換して送信しています。
このデジタル化により、地デジ放送では使用する周波数帯を大幅に圧縮しながら、アナログ放送よりも格段に大容量の情報を送信することが可能になっております。
現在の地上デジタル放送の特徴としては、アナログ放送の時代に比べると、住宅内のテレビなどのチューナーが電波を受信した際、電波のデジタル信号を映像に切り替えるため、テレビの電源をオンにしたり、チャンネルを切り替えたりした際に、テレビ映像が映し出されるまでに1秒程度の遅れが生じる半面、電波に混入するノイズの影響が少ないなどのメリットから、安定した画質で視聴することが可能になっております。
これはデジタル放送では、映像信号がデジタル化されているために、もしも無関係な電波などのノイズが混入しても、テレビ機器などのチューナーで受信した際に、信号の修復が可能になるためです。
アナログ放送の時代は、電波の強弱そのもので映像信号を送っていたため、電波にノイズが混じると画面のちらつきや乱れが起こった他、同じ電波が建物などに反射してアンテナで二重、三重に受信された際に、テレビ画面も二重、三重にぶれて見える「ゴースト」などの映像の乱れが起こりやすくなっていました。また電波が弱まると映像の乱れが激しくなり、まったく受信できなくなると、砂のような画面が激しく乱れる、いわゆる「砂嵐」と呼ばれる画面になりました。この画面の乱れは、正式にはスノーノイズと呼ばれ、福井県の方言では「じゃみじゃみ」とも言われます。
一方、地デジ放送では、電波が正常に受信できる限りは、どのような現場でも、テレビ映像はクリアに表示されます。半面、電波の受信レベルが一定以下に弱まると急激に受信画質が悪化し、テレビ映像が映らなくなります。
地デジ放送で受信不良が発生した場合は、テレビ画面に四角いブロック状のノイズが入りモザイク状に見えるモザイクノイズ(ブロックノイズ)が発生し、また地デジ電波の受信レベルが一定以下になると、前述のように画面が暗転してテレビ放送がまったく映らなくなり「E201」などのエラーコードと、その意味を示す「現在受信できません」などのメッセージが表示されます。
他にも地デジ放送では、送信できる情報が大容量化したことによって、ただテレビ放送を視聴できるだけだったアナログ放送に比べて、さまざまな機能が追加されています。
中でも最大の特徴は、やはり映像の高画質化です。地デジ放送の画質は一般に「フルハイビジョン」と呼ばれます。現在の地デジ用フルハイビジョンテレビ(2Kテレビ)は、画面アスペクト比16:9。画素数1920×1080で、フルハイビジョン(FHD)画質の表示が可能です。
ちなみに2Kとは水平の画素数が約2000であるため、1000を表す記号「K」が2個分であることに由来する名称です。最近の4K、8Kと呼ばれるテレビは、4Kが3840×2160。8Kが7680×4320で、2Kのそれぞれ4倍、16倍の画素数であり、やはり横の画素数に由来します。
ただ地デジ放送は、実際には1920×1080画質の映像から水平方向を圧縮し、1440×1080の画素数で放送しております。そしてテレビなど受信機側にて、映像の左右を1920に引き延ばして表示しています。
すなわち個々の画素を長方形にすることで、16:9の画面を構成しています。そのため1920×1080の画質をそのまま送信しているBSデジタル放送に比べると、やや画質は落ちてしまいます。ただアナログ放送時代の映像を画素数に換算すると640×480であり、この画質をSD画質(標準画質)と呼びます。このSD画質に比べると格段の向上であることは違いありません。
音声に関しても、地デジ放送では2.0chステレオによる二か国語放送や、5.1chサラウンドによる放送も実現しており、人間の視野に合った見やすいワイド画面と、5.1サラウンド放送で臨場感あふれる音声を楽しめるようになったのも特徴のひとつです。
他にも、放送する画質をSD画質に下げることで、ひとつの放送局から同じ時間帯に2番組以上(最大3番組)を放送できる「マルチ編成」や、テレビから各チャンネルで放送される番組表。またリモコン操作ひとつでニュースや天気予報などさまざまな情報を確認できる「電子番組表・番組情報」「データ放送」。リモコンの4色ボタンから、番組内で提供されるアンケートやクイズ、プレゼントなどに参加できる「双方向サービス」などの機能も実現しています。
「ワンセグ放送」も地デジ化により実現した機能のひとつです。地デジ放送では、各チャンネルに割り当てられた電波の周波数帯は、さらに14の細かいセグメント(周波数帯)に分割されています。
このうち隣接するチャンネルとの混信や干渉を防ぐための隙間として、使用されない1セグメントを除いたうち、12セグメントを使用して、2Kフルハイビジョンに当たる地デジ放送「フルセグ放送」を送信しています。
そして余ったもう1セグメントで、フルセグ放送と同内容ながらQVGA(320×240、320×180)画質を放送しており、これが「1セグメント」から「ワンセグ放送」と呼ばれているのです。
ワンセグ放送は、地デジ放送が開始された時期に主流であった携帯電話、いわゆるガラケー端末や携帯型ゲーム機などを受信器に、いつでもどこでも地デジ放送が視聴できるサービスです。当時のガラケーなど端末は、液晶画面が小さく解像度も低かったことから、QVGAの解像度でも十分な画質を確保できました。
しかし近年では大画面のスマートフォンなどが一般化し、2Kフルハイビジョン以上の解像度や、4K画質にも対応できる製品が多くなっているため、ワンセグ放送に対応する携帯端末はほとんど見られなくなっています。現在ではワンセグ放送は、使用される周波数帯の少なさから、フルセグ放送より受信しやすいメリットを生かして、主に通常の地デジ放送が受信しにくい環境や、災害などの非常時に向けた予備的なテレビ放送として利用されております。
これら地デジ放送の特性や、アナログ放送時代との違いなどについては、以下の各コラム記事でもご紹介しております、
・現在の地上波テレビ放送で地上デジタル放送が開始されたのはいつ? デジタル放送とか何か、その仕組みや特徴も全解説!
・UHFアンテナとは地デジテレビアンテナのこと? VHFアンテナとの違いや設置方法、古いアンテナや端子の交換方法も解説!
・VHFアンテナとは? UHFアンテナとは? 基礎知識とアナログテレビアンテナの問題点
地デジ電波の性質と種類とは?
現在の地デジ放送、およびかつてのアナログ放送は、日本国内の各地に設置された数多くの電波塔(送信塔)から、周辺地域にテレビ電波を送信する形で、日本国内の大半をカバーしています。このように地上の電波塔から電波を送信する形であるテレビ、ラジオなどの放送は、地上波放送と呼ばれます。
現在の地デジ放送では、東京都墨田区押上の東京スカイツリーはじめ、広範なエリアに地デジ電波を送信する大型の送信所。および送信所からの電波が届きにくいエリアに向けて、送信所からの地デジ電波を受信し、増幅して周辺エリアや他の中継局へ送信する中継局などの電波塔が、日本国内に地デジ電波を送信しています。
地デジやテレビ放送の電波に限らず、前述のように電波の周波数帯には種類があり、それぞれ超長波(VLF)、長波(LF)、中波(MF)、短波(HF)、超短波(VHF)、極超短波(UHF)などと、波長によって分類されております。そして地デジ電波に使用されるUHF波の種類は、波のような波長を描くため「直線偏波」とされます。
この直線偏波は大地に対して水平の波を描けば「水平偏波」。垂直の波であれば「垂直偏波」にあたります。そして区分分けがされており、日本国内の電波塔から送信される地デジ電波の9割以上は、この「水平偏波」となります。
ただこの水平偏波では、周波数帯の近い携帯電話やスマートフォンの電波を送信する基地局の付近では、電波が入り混じって電波障害の原因となる「混信」が生じやすくなります。そのため、混信が発生するリスクのあるエリアの電波塔では、垂直偏波を利用することで、混信を避けているのです。
なお水平偏波、垂直偏波で放送の内容に違いはなく、また地デジアンテナ側は、基本的に設置位置を90度、変えることで双方の電波に対応できます。ただデザインアンテナのように設置角度を変えることが困難なアンテナ機種の場合は、水平偏波用と垂直偏波用のモデルが存在する他、ユニコーンアンテナは、2023年現在は水平偏波専用のモデルになっております。
また地デジ電波のレベル(強度)は、主に「㏈(デシベル)」の単位で表され、電波塔から離れるに従い、徐々に電波レベルが下がります。地形や障害物などの影響で電波が遮断されることなどの影響もうけて、各地域で受信できる地デジ電波レベルが変わってまいります。
他にも、地デジ電波は雨や雪などの悪天候時でも通常時より電波レベルが低下する。一年を通した季節の気候などの影響により、6㏈程度の変動が生じるなどの性質もございます。
このような性質も踏まえ、あくまで大まかな分類ながら、受信できる地デジ電波レベルで日本国内を地域分けしたものを「電界地域」と呼びます。電界地域はおおむね、電波塔からの距離と山地など地形の影響によって決まり、受信できる地デジ電波が80㏈以上のエリアを強電界地域。80㏈から60㏈のエリアを中電界地域。60㏈以下のエリアは弱電界地域とされる他、45㏈から35㏈以下のエリアを微弱電界地域と分類することもあります。ただ電界地域は法律、学術などで正式に定義されているものではないため、場合によっては分類法や基準となる電波レベルが異なることもありますのでご注意ください。
また地デジ電波には、地面から高度が上がるにつれ、波のように受信できる電波レベルが上下するという性質もございます。これをハイトパターンといい、一般的には地上高7メートルから9メートルの位置が、もっとも安定したレベルで地デジ電波を受信できるとされています。ただ地デジのチャンネルごとに電波の強さも異なるため、地域によって各チャンネルのレベル差が生じないベストの高さを確認する必要がございます。
これら地デジ電波の性質については、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・地上デジタル放送の「地デジ電波」基礎知識
・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
・徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方は?
・地デジ電波の強さと品質を示す「dB」「MER」「BER」とは何か?
・地デジの「水平偏波」「垂直偏波」の違いとは?
・地デジアンテナを設置する高さの設定で重要となるハイトパターンとは? 地デジ電波を受信するために適切なアンテナの高さとは?
地デジアンテナの概要とは?
現在、戸建住宅などの建築物に設置される地デジアンテナには「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」の三機種がございます。それぞれ形状や特徴は大きく異なりますが、地デジ電波を受信する上での構造は基本的には同じとなります。
以下、矢印状の骨組みに、短い横棒がいくつもついた、よく魚の骨に例えられる形状の八木式アンテナを例に、地デジアンテナの基本的な構造を解説いたします。
地デジアンテナの構造は大きく分けて「導波器」「ダイポール」「反射器」の三つに分けられます。
導波器(ディレクター)は、ダイポールへと地デジ電波を導く役割を果たしており、八木式アンテナで言えば、魚の骨の形をしたアンテナの背骨にあたる部分となります。
反射器(リフレクター)は、前から来た電波をダイポールの方向へ跳ね返す働きと、後方からのノイズとなる阻害電波を遮る働きをします。矢印マークの先端部にあたる部分です。
給電部(ダイポール)は、反射器の少し手前に位置しており、地デジ電波を受信し電波を取り出す働きをする部分です。
導波器、反射器、給電部は、いずれも複数の短い横棒であり、地デジ電波を受信するパーツ「素子(エレメント)」で構成されており、導波器は給電部より少し短め、反射器は給電部より少し長めのエレメントで形成されています。原理上、導波器の素子を増やすことで地デジ電波の利得(ゲイン)を上げることができ、地デジ放送を視聴する上で安定した品質の電波を受信できるようになります。
なお、近年になって登場したデザインアンテナ、ユニコーンアンテナでは、厳密には外部に露出した素子がないため、受信性能を八木式アンテナの「素子数」に換算した「素子数相当」という数値で表記しています。受信性能を比較する際には「素子数」「素子数相当」を同じものとして比較していただいてかまいませんが、同じ数値でも、八木式アンテナの素子数に比べると、素子数相当のアンテナはやや低めになる傾向がございます。
またこれら地デジアンテナの主な機種には、基本的に「指向性」というものが存在します。地デジアンテナにおける指向性とは、アンテナの正面側の方向のみで受信性能が高まり、それ以外の方向からの電波はほとんど受信しないという性質を指します。
またこの指向性が高い(受信できる範囲が狭い)地デジアンテナほど、その範囲内での受信性能が高くなる特性があります。また指向性には、アンテナの正面以外から届く、無関係な電波(ノイズ)を排除する役割もございます。
いずれにせよ地デジアンテナは、この指向性が働く正面側を、現場に地デジ電波が届く方向、主に地デジ電波塔の方向へと正確に向けて設置する必要がございます。
これら地デジアンテナの特性については、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・地デジのテレビアンテナで受信できる方向は指向性で決まる? アプリでアンテナの方向調整に最適な角度を調べる方法も徹底解説!
・地デジアンテナや無線通信用アンテナの性能を示す利得、動作利得とは何か? 素子数との違いなど地デジアンテナ基礎知識も解説
・テレビアンテナの性能を決める「素子」とは何か? 地デジアンテナ工事で重要な「素子数」を徹底解説!
・地デジ用テレビアンテナ工事にて設置する電界地域に最適な受信性能は「何素子数」タイプか? アンテナ機器の選び方を徹底解説!
・地デジ放送用テレビアンテナ、UHFアンテナ機種による素子数の違いとは? 高性能モデルや現場ごとに必要な素子数の機種を解説
地デジアンテナ:八木式アンテナとは?
八木式アンテナとは、戸建住宅の屋根の上によく観られる、前述の通り魚の骨のような形をしたテレビアンテナのことです。開発されたのは今から100年近く前、大正時代と非常に歴史の長いアンテナで、テレビアンテナとしてはアナログ放送の時代から使用され続けています。その名称は、同アンテナの特許を取得した八木秀次博士の名前に由来しており、八木アンテナとも呼ばれる他、共同開発者であった宇田新太郎博士の名前も含め、八木・宇田アンテナの正式名称で呼ばれることもございます。
八木式アンテナは、地デジ電波を受信するパーツ「素子(エレメント)」を増やすことにより受信性能が向上し、この素子数によって8素子、14素子、20素子など、さまざまな受信性能のモデルが存在します。そのため弱電界地域など電波の弱いエリアでは、素子の数に比例して全長の長い八木式アンテナを取り付けている住宅がほとんどとなります。またさらに高性能型となる、Ⅹ字型などの部品を使い、一か所に複数の素子パーツを並べた「高性能素子」を使用するパラスタックアンテナという進化形態の八木式アンテナも存在し、通常モデルより受信晴雨が高いことに加え、27素子、30素子などのモデルがあるため、より受信感度が高めることができます。
素子が露出した素子アンテナである、主な設置位置が屋根の上などの高所で、受信感度が確保しやすいなどの要因もあり、アンテナ本体が持つ基本的な受信性能では、現在でももっとも受信性能に優れた地デジアンテナ機種であると言えます。
また八木式アンテナは、テレビアンテナとしては古典的な機種であり完成度が非常に高く、大量生産も行いやすいシンプルな構造となっているため、現在では本体価格は非常に安価です。実売価格としては、14素子モデルであれば3,000円程度から存在する他、もっとも一般的なモデルである20素子の通常モデルでも、4,000円から7,000円程度で購入できます。
その廉価さや、テレビアンテナの代表格として知られていることに加え、特に電波の弱いエリアでは、使用できる地デジアンテナは、八木式アンテナの一択となることが多いため、国土のうち山地の割合が約75パーセントを占め、電波状態が悪いエリアが多いこの日本の国内では、普及率が一番高い地デジアンテナになります。
一方で八木式アンテナのデメリットとしては、機器部が露出したシンプルな形状と、設置位置が屋根の上など高所になることから、台風などの風雨や積雪、海沿いは潮風、雪や鳥害など自然の影響を非常に受けやすい点があげられます。鳥害では主にカラスなどがアンテナに留まった際、落としていった糞による腐食。また飛び立つときにアンテナが曲がる、位置がずれるなどのトラブルが考えられます。
特に海沿いの地域では、潮風によるアンテナの錆が進行しやすく、アンテナ本体の全体的なサビによる受信感度の低下。またマスト(ポール、支柱)をはじめとする固定部の腐食により、最悪の場合にはアンテナが折れてしまうなどの恐れもあり、内陸部と比べて寿命は短くなる傾向がございます。
なおこれら自然環境の影響については、素材や設計の改良により軽量化し、耐水性や防錆性を高め、雪が積もりにくくするなど、それぞれの気候に対する対策を施した、軽量モデル、雪害用モデル、塩害用モデルなどが存在するため、現場の環境に合わせたモデルを使用することで、ある程度はトラブルの不安を軽減することが可能になります。
他にも、八木式アンテナは、やはりその外観と設置位置から、近年ではデザイン性の高い住宅の外観性を損ねることもあるため、新築住宅では、八木式アンテナではなく、デザインアンテナを選択されるケースも多くなっております。
八木式アンテナに関しては、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
・高利得、高性能な地デジ用パラスタックアンテナ徹底解説
八木式アンテナの設置場所
上記のように、八木式アンテナのメリットは受信性能の高さと設置費用が安くなる点であるため、広範な地域で人気が高いモデルになりますが、特に地デジ電波の弱い地域(中、弱、微弱電界地域)や、アンテナ設置費用を抑える目的で選ばれるケースが多くなります。
したがって設置位置については、受信性能が確保できる上、取り付け工事の方法も確立しているため、設置費用が抑えられることが多い住宅の屋根の上、または同等の高さを確保できる屋根の張り出し板(破風板)が基本となります。
高所に設置することで、周辺の高層ビルや樹木、住宅密集地など、地デジ電波の遮蔽物に影響されず、受信感度が良くなるため、基本的にはハイトパターン(高さ7メートルから9メートル前後の位置が良いとされる)を意識し設置されることがほとんどです。
またまわりの見晴らしが良い、電波塔に対して遮蔽物が無いなど電波条件が良い場合は、住宅の壁面やベランダの手すり部にサイドベースという金具を取り付けて、マストを立てて八木式アンテナを設置する。ベランダ内部に設置する。また軒先用モデルを使用して、軒先からの吊り下げ設置も可能となります。しかしこのような設置方法は、設置できる方角(電波塔や反射波が届く方向)が限られる他、八木式アンテナは全長サイズも大きくなり、重量がある上にスペースも取ってしまうため、実際に選ばれることは少なくなります。
さらには受信環境の良い強電界地域で、電波塔への見渡しが良ければ、庭先などに据え置き型の自立マストを立て、八木式アンテナを設置しての受信も可能となります。雪の多い地域ではやや費用は掛かりますが、屋根の上の積雪に影響されないよう、住宅の敷地内に、屋根の高さとほぼ同じ長さのマストを立てて、その先に八木式アンテナやBS/CSアンテナなどを設置することもございます。
いずれにせよ、屋根の上に八木式アンテナを設置する場合、瓦屋根や三角屋根では、その頂点部に屋根馬という、マストを固定する四脚の金属台を設置し、マストの先にアンテナ本体を固定した後、風や雪で動かないよう、四方からステンレスワイヤーなどの支線(ステー)を用いて、テントを張るイメージで固定する形になり、専門の部材とそれらを扱える専門の知識、経験が必要となります。また差し掛け屋根など、屋根の形状によっては屋根馬を置くことができず、設置できないケースもございます。
八木式アンテナ設置のデメリットとしては、前述のように、自然環境の影響による経年劣化や破損が起こりやすい。また住宅の外観や景観を乱しやすい点。また屋根の上に太陽光パネルを設置している住宅では、太陽光パネルへの悪影響を避けるため、設置の環境が限られてくる。景観地域では条例などにより設置できないケースがある。住宅密集地などではアンテナの一部が隣家の敷地にはみ出す越境問題が起こりやすいなどの点が挙げられます。
八木式アンテナの設置方法や、それに伴う問題点については、以下の各コラム記事でもご説明しております。
・地デジ「八木式アンテナ」に適した住宅の条件とは? アンテナ設置工事の特徴や種類を徹底解説!
・テレビアンテナの隣家への「越境問題」対策
・「景観地区」「美観地区」などでテレビアンテナは設置できる?
地デジアンテナ:デザインアンテナとは?
デザインアンテナとは、アナログ放送から地デジ放送への転換期であった2009年(平成21年)頃より広く普及しはじめた、八木式アンテナに続く地デジアンテナの第二世代モデルです。
外観はアンテナ本体部を、縦長の長方形型で、奥行きも20ミリ以下と薄型のケースに収めた、極めてシンプルなデザインが特徴です。
近年ではブラックやグレーを基調とした、落ち着いた外観の新築戸建て住宅やリフォームなどの施工が多くなっているため、デザインアンテナもそれに合わせてブラック、ブラウンなどを中心にしたカラーバリエーションも豊富になっております。
デザインアンテナはその形状から、住宅の壁面やベランダへの設置を前提とされていますが、八木式アンテナと同じく屋根の上のマストに設置されることもある他、現場の電波状態や建材などの条件がよければ、住宅内の屋根裏空間、天井裏空間などに設置できることもございます。
デザインアンテナはその形状と設置位置から、見た目がスタイリッシュで住宅の外観や景観を損ねず、住宅や周辺の風景に調和する受信スタイルを実現しております。同じく形状的に風雨や雪、鳥害や塩害など自然環境の影響も受けにくく、屋外に設置されるアンテナの中では経年劣化が進みにくいため、長寿命でトラブルも発生しにくく、安心できる機種になります。
それに伴い、メンテナンスやトラブル時の修理箇所などもチェックしやすい。景観地域などでも問題なく設置でき、越境問題なども起こりにくい。太陽光パネルにも悪影響を与えないなどのメリットも数えられ、このようなメリットの豊富さから、現在では一番の人気を誇る地デジアンテナ機種になっております。
一方でデメリットとしては、受信性能に関する面が挙げられます。デザインアンテナの受信性能は前述の通り、八木式アンテナに換算した「素子数相当」で表され、強電界地域専用で屋外屋内兼用のコンパクトモデルなどを除けば、20素子相当、26素子相当のモデル(およびそれぞれのブースター内蔵型)しか存在しません。
さらに素子が露出しないため、同素子数相当でも八木式アンテナより受信感度が低めになる。何より設置位置が低いため、現場の周辺で電波を遮断する建築物など、障害物に影響を受けやすく、八木式アンテナに比べて総合的な受信感度が低くなりがちです。
したがって、デザインアンテナは主に強電界地域、中電界地域向けの地デジアンテナ機種となり、弱電界から微弱電界地域など、電波の弱い地域。また強電界、中電界地域でも周辺の高層マンションなどの障害物や住宅密集地などの影響で、壁面などの低い位置で電波状態が悪くなる現場では、取り付けが難しいモデルとなります。
また八木式アンテナの次世代型であるため、本体価格、設置費用も八木式アンテナに比べるとやや割高になります。通常の販売価格は、20素子モデルで7,000円から10,000円程度。26素子モデルは9,000円から15,000円程度。ブースター内蔵モデルでは、この価格よりさらに上乗せされます。
総じてデザインアンテナと八木式アンテナは、そのメリット、デメリットが対称的な機種であると言えます。
デザインアンテナについての詳細は、以下の各コラム記事でも解説しております。
・地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!
・この最小デザインアンテナがすごい!スカイウォーリーミニ(マスプロ電工)
デザインアンテナの設置場所
デザインアンテナはその形状から、前述の通り、住宅の壁面やベランダの手すり部などに設置されることが基本となります。
もともと高さは意識しなくても良い地域に設置されることが大前提のモデルであるため、壁面の目立たない位置や、軒下、ベランダなど比較的、設置しやすい場所が適している設置場所といえます。特にベランダなど安全に作業が行える位置であれば、柱やベランダの手すりなどを挟み込む形で台座となり、ビスなどによる固定が必要ない固定金具も存在するため、アンテナ工事の素人である一般の方でも、アンテナを正しい方向に向けて設置できれば、DIYによる設置も不可能ではございません。
ただ壁面の高所や軒下などの設置であれば、専用の取付金具を壁にビスで固定する必要があり、作業の危険や失敗のリスクなども生じるため、アンテナ工事の専門業者へ依頼することがおすすめとなります。
デザインアンテナ設置のメリットは、上記の通り住宅のデザイン性や景観を乱さずに設置できる点。風雨などの自然環境に影響されにくくなり、経年劣化を軽減できてアンテナの耐用年数(寿命)が延び、トラブルも起こりにくくなる点です。
ただ一方で、壁面やベランダなど低い位置の場合、屋根の上に比べると受信できる地デジ電波のレベルが低くなる傾向がございます。
そのため弱電界地域の他、強電界地域や中電界地域などでも、電波塔など電波の届く方向に高層建築がある、住宅密集地であるなどの環境では、低い位置で受信できる地デジ電波レベルが極めて弱くなるため、デザインアンテナが設置できないケースも多くなります。例えばアンテナと電波塔の間に、新しく住宅や建築物に建てられた場合、それだけで地デジの受信不良や不具合が生じる恐れもございます。
アンテナ本体格や設置費用も、八木式アンテナよりやや値段が高くなります。ただ設置部材が少ないため大きな価格差ではなく、かつアンテナが経年劣化しにくく、トラブルを避けやすく長寿命となる分、コストパフォーマンスは高いともいえます。
他にも、壁面設置ではまず壁に取付金具を設置しなければならないため、住宅の壁にビス穴を開ける必要が出てまいります。
デザインアンテナを屋根の上のマストに設置する方法では、受信感度はやや安定する半面、デザインアンテナのメリットである外観性、自然環境への強さなどがやや損なわれてしまいます。
その他の設置方法としては、強電界地域であればコンパクトモデルのデザインアンテナを、室内の窓際に設置できることもございます。また上記のように、通常のデザインアンテナを住宅の屋根裏空間や天井裏空間に設置できる場合もございます。
屋根裏空間などにデザインアンテナを設置するメリットは、住宅の外観や外装にいっさい影響を与えない。さらにアンテナ本体も自然環境の影響を受けなくなるため、アンテナの経年劣化が大きく抑えられん、寿命が大幅に伸びることです。
デザインアンテナを屋根裏空間などに設置できる条件としては、強電界地域などの地デジ電波レベルが高いエリアで、住宅の屋根や壁などの素材に、金属など地デジ電波を通しにくい素材が使われていない。また屋根の上に太陽光パネルや冬場の積雪などがなく、地デジ電波が屋根や壁を透過して屋内に十分なレベルが届く。屋根裏などデザインアンテナを設置する場所に通じる点検口などの出入口と、設置作業が行えるスペースがあるといった点になります。
なお八木式アンテナは、本体の大きさから屋根裏な蘇に設置できる条件が厳しく、専用の設置具などを使用するため、設置費用もデザインアンテナの場合と大差がなくなります。そのため八木式アンテナが屋根裏などに設置される例は少なくなります。後述するユニコーンアンテナも本体の受信面積が狭いため、屋根裏空間への設置には適しません。
なおデザインアンテナ設置の方法や注意すべきポイントについては、以下の各コラム記事でも詳しく紹介しております。
・デザインアンテナ工事の失敗例とは? メリット、デメリットから取り付け費用まで解説
・デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説
・徹底解説!屋根裏や天井裏にテレビアンテナは設置できる?
・徹底解説・地デジテレビアンテナを屋根裏設置する工事のメリットとデメリット、施工費用、取り付け可能な条件と対応業者は?
地デジアンテナ:ユニコーンアンテナとは?
ユニコーンアンテナとは、2017年(平成29年)に、日本の大手アンテナメーカー「マスプロ電工」社が発売した地デジアンテナ機種で、第三世代モデルにして、現在ではもっとも新しいタイプの地デジアンテナ機種になります。
その外観は、ほぼ円筒状のアンテナ本体をマストの先に固定する、秋田県の名物料理「きりたんぽ」のような形状で、非常にスタイリッシュです。カラーバリエーションも落ち着いたウォームホワイト、ブロンズブラックの二色になります。
ユニコーンアンテナは主に屋根の上などの高所に設置され、そのメリットはデザインアンテナと同じく、スタイリッシュな形状で住宅の外観や景観を乱しにくい。風雨などを受け流す形状で経年劣化が進みにくく、耐用年数が長くなり、トラブルも生じにくい点です。それと同時に、八木式アンテナと同じく高所に設置されるため、本体の受信性能は20素子相当ながら、受信感度が確保しやすくなります。
総じてユニコーンアンテナは、八木式アンテナとデザインアンテナのメリットを融合した新モデルといえます。
ただユニコーンアンテナのデメリットとしては、最新機種であるため本体価格や設置費用がもっとも高価格な点がございます。一般的な販売価格は、店舗によっても差がありますが。8,000円から15,000円程度になります。
また受信性能に関しても、受信環境のよい壁面に20素子相当のデザインアンテナを設置した場合と同程度であり、同じ設置位置に同素子数から高性能機種の八木式アンテナを設置した場合には及びません。そのためユニコーンアンテナは、基本的には強電界地域から中電界地域での使用が推奨されます。
ユニコーンアンテナについては、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
・台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
ユニコーンアンテナの設置場所
ユニコーンアンテナは基本的に、八木式アンテナと同じ方法で、高層ビルなど周辺の障害物に影響されにくい屋根の上に設置される他、屋根の上への設置が難しい場合には屋根の張り出し部(破風板)や壁面でも屋根に近い位置など、ほぼ同じ高さの位置に設置されます。
アンテナ本体の特性から、それ以下の位置に設置されることはまずございません。ユニコーンアンテナの特性は、受信性能は20素子相当ながら、設置位置を高く取れるため、受信性能が高まる点です。
そのため、周辺に高層建築物がある。住宅密集地などで地デジ電波が遮断され、壁面など低い位置にデザインアンテナが設置できない現場でも、ユニコーンアンテナであれば設置できるケースが多くなります。
またデザインアンテナは、屋根の上のマストへの設置も可能とはいえ、壁面などへの設置を前提とした長方形で平面上の形状から、マストなどで高い位置に設置する前提の設計、開発が行われておらず、風雨などの影響を受けやすいため、高さ調整を苦手とするアンテナ機種と言えます。その点、ユニコーンアンテナはその形状から、高い位置に設置しても雨風などに影響を受けにくく、安定した設置や地デジ受信が可能となります。他にも住宅の装飾のようなデザイン性でどこに設置しても家の外観、景観を乱しにくいのも特徴です。
一方でデメリットとしては、設置費用がやや割高になる点。弱電界地域などでは使用できないこともある点。また純和風建築など、住宅のデザインによっては、そのデザイン性がミスマッチになるケースもある点などです。
地デジアンテナを交換する必要性とは?
ご自宅にすでに設置されている地デジアンテナを交換する必要が出るケースとしては、主なものとしては、アンテナの故障で地デジ放送がまったく映らなくなった。また屋根の上で八木式アンテナが倒れているなど、明白な故障が見られる場合の他、以下でご紹介するようなケースが考えられます。
基本的には、明確な故障の場合を除けば、以下の3つのケースに絞られてきますが、いずれにせよ地デジアンテナを交換する場合には、設置だけでなく既設アンテナの撤去、処分も必要になるため、専門のアンテナ工事業者に依頼することがおすすめです。
1:八木式アンテナ本体がさび付いて見える場合。
特に屋根の上などの高所に八木式アンテナが設置されている現場では、外からアンテナを確認したとき、アンテナ本体やマストなど、全体が茶色に近い状態になっており、さび付いている場合は、交換時期が近づいているといえます。
このようなアンテナでは同時期やそれ以前に設置された屋根馬などの土台、金具。またステー(支線)なども同程度にさびがすすみ、経年劣化によって、万が一の大きな台風や地震などの際に、倒壊や屋根から落下する危険性も生じている状態だからです。
他にもこのような老朽化したアンテナでは、素子などの各部や配線の接続部などが、部分的に破損していることも考えられ、地デジ電波の受信感度が若干、低下していることもございまます。地デジ電波が弱まりやすい季節や気候、悪天候の日などには、受信感度が落ちることで、地デジ画面にノイズが発生することもございます。したがって早期の交換がおすすめといえます。
前述のように近年の八木式アンテナは、アンテナの材質や表面加工の品質が向上して、京葉で風雨などに強くさびにくいモデルも多く、耐久性は飛躍的に上がっております。ただこのような場合、アンテナ本体はともかく、屋根馬など土台金具や設置具の経年劣化が進んでいることも考えられます。
したがってこのような場合も、事故につながるリスク軽減の観点から、アンテナ本体はともかく、設置や固定具の部分だけでも、早期に交換することをおすすめいたします。
2:設置後に地デジ放送の特定チャンネルなどが映らない場合。
デザインアンテナや14素子以下の八木式アンテナなど、やや受信性能が低い地デジアンテナを設置した場合には、設置時点での受信性能に問題はなくとも、季節や天候の変化などで、特定のチャンネルが正常に視聴できなくなるケースもございます。
これは気候、天候などの影響で、もともと正常な受信に必要最小限のレベルであった電波レベルが、そのレベルを下回ってしまう。またアンテナの周辺に建築物が建てられる。樹木が伸び、葉が生い茂るなどの要因で、地デジ電波が遮断されるなどの要因によるものです。
このような場合は、素子数(相当)が高く、受信性能が高いアンテナ機種、特に高性能タイプのパラスタックアンテナへの交換。また受信感度が安定しやすいアンテナ設置位置への変更などが必要となります。
3:住宅の外観やアンテナ強度の改善をしたいなどの場合。
現状の地デジアンテナに大きな問題はなくとも、設置から年月が経ち、耐用年数が近づいたか、やや過ぎた八木式アンテナの場合は、台風や強風の際などに方向がずれやすくなり、ノイズが生じる。特定のチャンネルが映らないなどのトラブルが起こりやすくなります。
またアンテナの経年劣化に加え、現在のアンテナを設置した時点では存在しなかったデザインアンテナ、ユニコーンアンテナなどへの交換を検討するケースもございます。
前述のようにどちらのアンテナ機種も、八木式アンテナに比べて自然環境の影響が低く、経年劣化が進みにくいため、的確な設置であれば長期にわたって安定した受信を実現でき、また外観性も高くなるといったメリットがあるため、現在のアンテナである程度の年数を経ている場合、トラブルが発生する前に交換しておくのも、ひとつの選択肢と言えます。
4:その他の場合。
上記のように、季節や気候による地デジ電波状態の変化。また周辺環境の変化により、地デジ受信感度が低下することがございます。
特に、現場であるご自宅の地デジアンテナと、電波塔との間に、高層マンションなどの建物が建設された場合には、電波が遮断されてしまい、地デジの受信感度が著しく低下して、ご自宅で地デジ放送が視聴できなくなくなることもございます。
このように電波障害の原因が明確に特定できる場合では、ほとんどのケースで、民法709条「原因者負担の原則」に基づき、その建物のオーナーや建築責任者に、正常に受信できるアンテナへと交換する費用を請求できます。
他にも、電波障害の範囲が広範囲で、アンテナの交換による対処が難しい場合には、建築物のオーナーや責任者が費用を負担し、その建物の屋上に大型の共同受信アンテナを設置して、電波障害の影響を受けている個々の住宅にアンテナケーブルを敷設する工事を行い、テレビを視聴できる環境を整える。またやはり責任者が、影響を受けた各世帯がケーブルテレビ(CATV)などを利用する初期費用を負担するなどの対処を要求することができます。
その他、電波障害については、以下の各コラム記事でも詳細を解説しております。
・地デジ、衛星放送で起こりえる電波障害の種類とその対処法
・電波障害? テレビが映らない原因はアンテナトラブル? 確認と対処法
ご自宅の地デジアンテナを同種のモデルに交換する手順。
例えばご自宅に設置されている古い八木式アンテナ、デザインアンテナなどを、最新型の同機種に交換する場合には、モデルによって交換方法はやや変わるものの、工程はほぼ変わりません。特に屋根の上の作業では、作業者の滑落、落下事故などのリスクが発生するため、経験と技術が豊富で、安全装備も万全なアンテナ工事の専門業者に依頼することが基本となります。
以下、アンテナ工事業者が行う、実際のアンテナ交換の工程を、八木式アンテナを例に挙げ、簡単にご紹介いたします。
1:八木式アンテナなどが屋根の上をはじめ、高所に設置されている場合は、まず三連梯子や高所作業車で、交換対象のアンテナまで近づきます。なお業者や3階建て以上など設置位置の高さによっては、この作業に高所作業費が発生する場合もございます。
2:八木式アンテナはマストに対して、コの字の形状をした蝶ねじ金具2点で取り付けられているケースが多いため、これを緩めます。
アンテナ本体が外れたら、最後に、給電部(アンテナの後部)あたりに接続されているケーブルの、黒い防水キャップを取り外した後、六角レンチを使用してケーブルを取り外します。なお、ケーブルはマストに対して接着テープなどで取り付けられていますので、設置部やケーブルを流用する場合は、そのままにしておきます。
3:アンテナの設置部であるマストや屋根馬も金属製であるため、経年劣化で折れる、強風で外れるなどのリスクも考えられます。そのためアンテナを取り外した後、マストに少し力を加えて、明らかにぐらつくようであれば、これら設置部も交換します。
4:設置部までの安全を確保した後は、同機種の新品アンテナを、取り外したときとは逆の手順で設置します。この場合は、現場に電波を送信する電波塔の方向や電波の状態を確認し、もっとも受信角度が高くなるようアンテナの角度調整を行い、固定します。
5:アンテナ設置の完了後、屋内のテレビで受信状態を確認します。屋内に設置されているテレビ機器で、各チャンネルの映り具合やアンテナレベルを確認して、問題がなければ作業は終了です。
この際、アンテナは正常に取り付けているにも関わらず、正常に受信できない場合は、アンテナと各部屋のテレビを接続するアンテナ配線部の同軸ケーブル、およびブースター、分配器などの周辺機器の故障、断線などが考えられますので、それらの機器も交換が必要となります。
これらの作業の費用としては、アンテナ本体及び必要な機器の設置、交換費用。その他特殊作業費。また既設アンテナの撤去、処分費が必要となります。古いアンテナを処分するには、粗大ごみ回収費などの費用が発生してまいりますが、工事業者に依頼すれば、撤去と処分をセットで行ってもらうことができます。
特にケーブル配線や、配線部機器の一式を取り換えるとなると、費用の総額が高額になります。ただアンテナ工事業者には、現地出張しての見積りを、出張料、キャンセル費などを含む完全無料で行ってくれる業者が多いため、あらかじめ複数社による相見積もりを取り、低価格で施工品質が高い業者に依頼されることをおすすめいたします。
また、最初にアンテナを設置した時期が昭和期やアナログ放送時代など、アンテナ機器や配線部が極端に古いお住まいでアンテナ交換を行う場合は、配線部を含めて流用できる部分がほとんど存在しませんので、基本的にアンテナ配線部を含めて、一式すべて交換するものとお考えください。
ベランダに設置されたデザインアンテナの場合、作業の安全を確保できれば、上記とほぼ同様の手順にて、ご自分でDIYでの交換が可能なことも多くなります。
デザインアンテナは、基本的にベランダの手すりなどに固定された設置具からアンテナ本体を取り外し、新しいアンテナをはめ込むだけの作業になります。また新しいデザインアンテナと設置具が適合しない場合も、設置具の交換も簡単に行えます。
ただこの際の注意点として、デザインアンテナの場合は、アンテナ本体にブースターを内蔵している場合がございます。ブースターとは、受信した地デジ電波を増幅する装置です。特に受信感度が低くなりがちなデザインアンテナでは、内蔵されている機種が多くなります。
ブースターでは、電波の増幅レベルを現場の環境に合わせて調整する必要がございます。そのためブースター内蔵のデザインアンテナを交換する場合には、既設アンテナのブースター設定値を必ずご確認された上、新品のアンテナを同様に設定する必要がございます。
ご自宅の地デジアンテナを別モデルや別の設置位置に交換する手順。
受信性能が高く、さまざまなエリアで使用できる八木式アンテナをご自宅に取り付けている場合、設置エリアによっては、やや受信性能が限られるデザインアンテナやユニコーンアンテナへの交換は、難しくなるケースもございます。
同じように以下、季節の八木式アンテナなどを、別モデルのアンテナや、別の設置位置へと交換する場合に、アンテナ工事業者が行う実際の工程を簡単にご紹介いたします。
1:地デジ電波状態の確認。
地デジアンテナの種類を変更したい場合は、まずはお住まいの地域の電波状況をインターネット上のサイト、主に「一般社団法人放送サービス高度化推進協・A-PAB」公式サイト内の「放送エリアの目安」にて、現場の大まかな電界地域を割り出し、使用できる地デジアンテナ機種を判断します。
さらにアンテナ工事業者に現地の電波調査を依頼すれば、レベルチェッカーという専用の機器を用いて、住宅の各位置で地デジ電波の強さや方向、電波の品質などを確認し、条件に適したアンテナ機種や設置位置を提案してもらえます。
なお多くのアンテナ工事業者は、電波調査と見積もりをセットで、完全無料で対応してくれることが多くなります。
2:アンテナ設置現場の周辺確認。
アンテナを設置する予定の位置で、周辺確認を行うことも重要です。現場に地デジ電波を送る電波塔の位置は、周辺のアンテナの方向を確認しても、アンテナ設置予定の位置から、その方向に電波を遮断する建物などないかを確認します。
注意すべきは、やはり地デジ電波の受信レベルは、季節や気候などの影響もうけて、現状より低下する場合もあること。またアンテナを向けた先で、樹木の葉が生い茂る。また建築物が建てられるなどして、受信状態が悪化することも考えられます。
そのため現状の電波状態だけでなく、気候や天候による電波状態の変化や、将来にわたる周辺環境の変化も考慮して、設置位置の周囲を確認する必要がございます。
3:既設アンテナ撤去と新規アンテナ取り付け。
以下、季節のアンテナを撤去し、新しいアンテナ機種を、決定した設置位置に設置する作業を行います。
アンテナ撤去の詳細は前項でご説明した内容と違いはなく、また新規アンテナ設置に関しても、アンテナ配線部の流用などを除けば、一からアンテナ設置を行う場合と変わらないため、詳細は省略します。
なお既設アンテナから別のアンテナ機種、設置位置へ変更する場合は、アンテナを取り付ける金具や土台関係のパーツも変更される可能性が高くなります。例えば八木式アンテナを屋根の上に立てている場合に、同じ位置にデザインアンテナを設置する施工は、デザインアンテナのメリットを生かせなくなるため、基本的に採用されません。特にデザインアンテナを屋根の上のマストに設置すると、風や着雪の影響を正面から受けてしまい、土台となる金具などにも風力の荷重を強く与えてしまうことになります。
その場合は、デザインアンテナに適した安全な壁面などに設置位置を変更しますが、新しい設置場所での地デジ受信感度の確認をした後、アンテナケーブル配線を設置し直すなどの作業も必要となり、場合によってはブースターなど接続機器の交換なども必要となってきます。
他にも、これら接続機器を屋外か屋内、どこに設置しているのか確認する作業や、専門機器(レベルチェッカー)での地デジ電波テストなど、専門知識が必要な作業が不可欠となるため、アンテナ機種変更の場合は、DIYでの作業は難しいケースが非常に多くなります。
まずは、お住まいのエリアに対応するアンテナ工事の専門業者に、電波調査、見積もりの依頼をしてみると良いでしょう。
地デジアンテナ機種と交換方法・まとめ
現在の主な地デジアンテナ機種と、季節のアンテナを、新しいものへと交換する場合の手順は、以上の通りになります。
各種テレビアンテナの設置位置ごとの詳しい解説。設置作業について必要となる各種工事の費用相場、また作業を依頼できる業者については、以下の各コラム記事もご確認ください。
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・地デジ放送、衛星放送(BS/CS)テレビアンテナ工事の現場で必要な「電波調査」の方法とは?
・地デジや衛星放送のテレビアンテナ工事費用がいくらかわかる「見積もり」とは? 業者、会社ごとの設置費用の相場や選び方を解説
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当あさひアンテナでは、地デジアンテナをはじめ、各種アンテナの設置や交換など工事のご相談に対して、電波調査、お見積もりとも出張費、キャンセル費なども含めた完全無料で実施しております。
アンテナ工事の基本価格についても、国産大手メーカーの高性能アンテナ本体と基本設置部材、防水加工などをセットにして、業界最安に挑む低価格でご提供しております。さらに工事の完了後には、工事完了日からの「10年保証」のご用意もございます。
現在の地デジアンテナが老朽化している、その他の問題でテレビアンテナの交換をお考えのお客様におかれましては、まずは当あさひアンテナまで、どうかお気軽にお問い合わせください。