徹底解説・地デジテレビアンテナを屋根裏設置する工事のメリットとデメリット、施工費用、取り付け可能な条件と対応業者は?
屋根裏など屋内空間への地デジ、BS/CSテレビアンテナ設置について、見栄えや外観性の向上などのメリットや、十分なテレビ電波が受信できる工事が可能な条件とは? また工事を頼める業者の選び方や設置費用の相場など、とこの会社なら屋内設置が可能かお悩みの方のために、室内設置の方法からおすすめの事業者までをご紹介いたします。
2023年(令和5年)の現在、一般的な戸建て住宅で、地デジ(地上デジタル放送)や衛星放送(BS放送、CS放送、新4K8K衛星放送)をご視聴になる方法としては、ケーブルテレビや光テレビなどもございますが、やはり主流となるのは地デジアンテナ、BS/CSアンテナの設置により、テレビ電波を受信するという方法です。
テレビアンテナの設置であれば、NHKの受信料や、衛星放送の有料チャンネルなどを除けば、いったん住宅に設置すれば、その後、十年以上の長期にわたって、無料でテレビを視聴し続けることができるという点が、最大のメリットです。
一般的にテレビアンテナといえば、地デジ用のUHFアンテナ(地デジアンテナ)、衛星放送用のパラボラアンテナであるBS/CSアンテナともに、屋根の上に立てたマスト(支柱、ポール)に固定するものというイメージがございます。
ただ現在では、これらのテレビアンテナでも専用の設置具を使用して、住宅の壁面やベランダなどに設置することも可能となっております。さらに平面状の薄型で壁面などへの設置を前提としたデザインアンテナ。円筒形のポール状で屋根の上に設置しても風雨などに影響されにくいユニコーンアンテナなど、地デジアンテナの新式モデルも登場しております。
これら住宅に設置されたテレビアンテナの寿命は、設置する機種や設置の位置、周辺環境などによっても変わってまいりますが、八木式アンテナやBS/CSアンテナでおよそ10年。デザインアンテナやユニコーンアンテナでは、15年以上はもつと考えられております。
特に平面上で薄型で住宅の壁面やベランダなどに設置できるデザインアンテナは、カラーバリエーションも豊富で住宅の外観を乱さない。風雨や雪など厳しい気候の影響を避けやすく、アンテナの経年劣化が進みにくい。設置価格も比較的、手頃といった数々のメリットから、現在では地デジアンテナとしては人気ナンバーワンの機種になっております。
しかし、いずれにせよテレビアンテナが屋外に設置されるものである以上、長年にわたって風雨や積雪、また海沿いであれば潮風など、環境の影響を受け続けることになり、確実に経年劣化が進むことは避けられない問題です。屋根の上に設置される八木式アンテナやBS/CSアンテナなどはもちろん、風雨などに強いデザインアンテナであっても、周辺環境が厳しいエリアであれば、通常より寿命が短くなり、10年未満の使用で思わぬトラブルが発生することも充分に考えられます。
このようにテレビアンテナは、長く使い続けるほど、どうしても老朽化が進行して耐久力が低下し、自然環境との戦いがより厳しくなってゆくという宿命がございます。さらに近年では、個人の方のお住まいでも、デザイン性の高い住宅が多くなっております。そのため昔ながらの形状で、屋根の上で目立つ八木式アンテナや、パラボラアンテナのBS/CSアンテナなどは住宅に設置したくないと思われる方も多くなっております。
テレビアンテナの天敵ともいえる自然環境、および住宅の外観性を守るための対策として、現在、注目されているのが、テレビアンテナを屋内、特に屋根裏空間に設置するという方法です。
屋内にテレビアンテナを設置できれば、当然ながら雨風や雪、潮風などの影響をカットでき、アンテナの経年劣化を大幅に抑えられるため、アンテナ寿命が大幅に長期化いたします。さらに住宅の外観にも、まったく影響を与えることがなくなります。特に屋根裏空間への設置であれば、住宅内でアンテナが生活空間を圧迫することもございません。
ただテレビ電波を受信するためのテレビアンテナを屋内に設置して、果たして電波を受信できるのか、と疑問に思われる方もおられることでしょう。
そこで当コラムでは、テレビアンテナの屋根裏設置をはじめ、地デジ、BS/CSなどの各種テレビアンテナを住宅の屋内や室内へと設置する方法に関して、詳しくご説明してまいります。具体的には、屋内への設置が可能となるテレビアンテナの機種。またアンテナの屋内設置でテレビ電波の受信が可能となる現場の周辺環境や、住宅の条件。屋根裏などへのアンテナ設置に対応できるアンテナ工事業者。さらにアンテナの屋内施設が難しくとも、それに近いメリットを得られるアンテナの設置方法についても解説いたします。
ご自宅にテレビアンテナを設置なさりたいものの、風雨や積雪などが厳しい地域でアンテナへのダメージが気になる、また住宅の見た目を重視されるお客様には、当コラムをご確認いただければ、最適のアンテナ設置方法をお選びいただけることと存じます。
地デジ放送の仕組みと地デジ電波の性質とは?
現在の地上デジタル放送(地デジ放送)は、東京都墨田区の東京スカイツリーをはじめ、複数の都道府県など広範囲をカバーする大規模な送信所。そして地形や距離などにより、送信所からの電波が届きにくいエリアをカバーするため、日本各地の要所に数多く設置されている、大小の中継局から地デジ電波を送信することで、日本国内のほぼ全域をカバーしております。
地デジ放送は地上の電波塔から電波が送信されるため「地上波放送」にあたり、現在の地デジ電波には「UHF波(極超短波)」のうち470MHzから710MHzの周波数帯のものが使用されております。そのため地デジ受信用のアンテナは「UHFアンテナ」とも呼ばれます。
そもそも電波とは、電場と磁場の影響により光の速さで空間を伝播する波長(波)である「電磁波」のうち、比較的、周波数帯が低いものを指します。周波数とは、電磁波や電波が単位時間(1秒間)に何回の波を描くかを示す数値であり、単位は「Hz(ヘルツ)」になります。
例えば1秒間に1,000回の波を描く電波であれば「1,000Hz」で「1KHz(キロヘルツ)」と表記されます。波長の数がその1,000倍である1,000kHzの電波であれば「1MHz(メガヘルツ)」となり、同じく1,000倍ごとに「GHz(ギガヘルツ)」「THz(テラヘルツ)」の単位で表されます。
日本の電波法では、電磁波の中でも「3THz以下」のものが電波と定義されております。電波の周波数帯を越えた電磁波は、周波数が高くなるにつれて、赤外線、可視光線、紫外線の「光」となり、さらに高周波数帯になるとⅩ線、ガンマ線などの「放射線」になります。
電波は周波数帯が高くなるほど波長の幅が短くなってゆき、その性質は、周波数が低いほど音の性質に近く、周波数が高くなるほど光の性質に近くなってゆきます。
具体的には、周波数が低い電波であれば、波長そのものが広がりやすいため、空間を伝わる電波が建物などの障害物にぶつかっても、その向こう側へと回りやすくなります。一方で、単位時間内の波長の少なさから電波に乗せられる情報量も少なくなります。
逆に周波数が高くなるほど電波は直進性が高くなり、特定の方向へと送信しやすくなります。一方で波長の短さから、直進する途中で障害物にぶつかると散乱しやすくなり、向こう側へ回りこむ力は弱まります。また波長が多い分、電波に乗せられる情報量も多くなります。
前述した地デジ電波のUHF波の周波数帯では。その波長の長さは40センチから60センチ程度となり、空間を送信される途中で建築物などの障害物にぶつかった場合は、ある程度、反対側へと回り込むこともできます。
ただ、地デジ放送がスタートする以前の地上波テレビ放送であったアナログ放送時代には、NHK、広域民放用の主なテレビ電波として、30MHzから300MHzの周波数で、波長の長さは10メートルから1メートルであることから、メートル波とも呼ばれるVHF波(超短波)が利用されておりました。また東京都の東京MXなど、一部の都府県に存在する独立放送局の地方チャンネルでは、UHF波も使用されておりました。UHF波は300MHzから3GHzの周波数にあたり、その波長は10センチから1メートル程度で、デシメートル波とも呼ばれます。
いずれにせよ波長の長さが1メートル程度であったアナログ放送時代の電波に比べると、現在の地デジのUHF波は、マンションなどの高層建築物や山地などにぶつかった場合に比較的、電波が遮られやすくなっております。
このように障害物の影響や、電波塔からの距離によって、日本国内でも地域によって、受信できる地デジ電波の強度に差異が生じます。そのエリアで受信できる、おおよその地デジ電波レベルによって、日本国内のエリアを分けた者が「電界地域」です。
この電界地域とは、法律や学問上で正式に定義されたものではなく、放送やアンテナ機器などの業界で慣習的に用いられる基準であるため、場合によっては異なることもございますが、一般的には電波の強さを表す単位「㏈(デシベル)」を基準に、その地域で受信できる電波の強さが「80㏈以上」のエリアを「強電界地域」。「80㏈から60㏈」のエリアは「中電界地域」。「60㏈以下」のエリアが「弱電界地域」と定義されることが多くなります。ただその基準となる数値が異なることや、60㏈前後を基準に強電界地域と弱電界地域のみに二分される場合もございますので、ご注意ください。
そして特定のエリアで受信できる地デジ電波の強さは、常に一定ではございません。電波は、特に周波数帯が高くなるほど水分に吸収されやすくなる性質があり、一年を通した湿度や気温の変化など、気候の影響でも6㏈程度の電波レベルの変動が生じます。他にも、雨や雪などの悪天候の際にも、電波レベルが弱まってまいります。また強電界地域、中電界地域に含まれるエリアであっても、高層建築物の近隣など、電波が遮られる環境であれば、局地的に受信できる地デジ電波のレベルが、電界地域の基準より悪化することもございます。
総じて電界地域とは、明確にエリアを分類できるものではなく、あくまでおおまかな目安と考えておく必要がございます。
なおテレビなどの受信機器で地デジ放送をご視聴になる場合には、テレビなど機器のチューナーに届いた時点での地デジ電波レベルが34㏈以上から89㏈以下ならば、正常にご視聴いただけます。機器に届く地デジ電波がこの水準以下、または90㏈以上と強すぎる場合にも、地デジ放送の画面が乱れる、映らないといったトラブルが生じてまいります。
ただ実際には、前述のように気候や天候などでも受信できる電波レベルが変動するため、安定した地デジ放送の受信のためには、受信機器に届く時点の地デジ電波レベルは46㏈以上から81㏈以下、最低でも40㏈以上に調整する必要がございます。
他にも、地デジ電波や放送の性質としては。地面から位置が高くなるにつれて、数メートルおきに受信できる地デジ電波のレベルが波のように強弱を繰り返す「ハイトパターン」。また電波塔から送信される地デジ電波の90パーセント強は、地面に対して水平に波長を描く「水平偏波」ですが、一部の地域では、携帯電話の基地局などの電波と入り混じって電波障害が発生する「混信」を防ぐため、地面に対して垂直の波長となる「垂直偏波」を送信しており、地デジアンテナの側も設置角度や機器などで対応する必要がある、などの点が挙げられます。
なお、これら地デジ放送や地デジ電波の基礎知識については、以下の各コラム記事でも詳細をご説明しております。
・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
・地デジ受信に重要な「ハイトパターン」とは? 地デジアンテナは高いところに設置すべきとは限らない?
地デジ電波は住宅の壁を通り抜けることができる?
当コラムのテーマである「テレビアンテナの屋内設置」ですが、上記のように、現在の地デジ電波であるUHF波は、ある程度の波長の長さをもつため、音に近い性質も備えております。
したがって、外で大きな音がすれば屋内にも届くように、ある程度の強さを持つ地デジ電波は、一般的な住宅の屋根や壁などであれば、一定の減衰は生じるものの、屋根や壁を通りぬけて屋内まで到達するのです。特に複層ガラスや特殊な素材が混入されていない一般的な窓ガラスであれば、地デジ電波は通り抜けやすくなります。
室内アンテナや屋内屋外兼用アンテナを室内の窓際などに設置する。または屋外用アンテナを室内に設置できるのは、このようにして住宅の屋根や壁、窓などを通り抜けた地デジ電波を受信しているからです。
ただ、地デジアンテナを屋内に設置して地デジ放送を受信することは、どのような場所や住宅でも可能ではございません。
まず地デジ電波は、住宅の壁や屋根を通り抜けることで、ある程度、電波レベルが弱まってしまいます。そのため屋内に届く地デジ電波でも十分な電波レベルを確保できるよう、基本的に現場は80㏈以上の地デジ電波が届く強電界地域である必要がございます。
また、住宅の屋根材や壁などの建材、断熱材が、地デジ電波を通しやすい素材である必要がございます。屋根裏空間に地デジアンテナを設置する場合には、ほとんどが屋根を通り抜けた地デジ電波を受信することになります。
一般的な瓦屋根や屋根材、木材やモルタル、コンクリートなどの建材、屋根材や断熱材は、ある程度の減衰は生じるものの、比較的、地デジ電波を通しやすい素材だと言えます。一方で、地デジ電波を反射、遮断してしまい通さない素材の代表が「金属」になります。
そのため鉄筋コンクリート製の住宅や、屋根材がガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板。またトタンや銅板、ステンレス、チタンなどの建築物。また屋根の上に太陽光パネルが設置されている、その他、建材や断熱材に金属素材が含まれている場合には、屋根や壁面で地デジ電波が遮断されてしまい、屋内に届く地デジ電波レベルが非常に弱くなるため、強電界地域でも地デジアンテナを屋内に設置することは難しくなります。
もうひとつ、建材とは関係なくとも、電波を吸収して遮りやすい性質をもつ物質として「水」が挙げられます。そのため、普段は屋内に設置された地デジアンテナで十分な地デジ電波を受信できる条件が整った現場であっても、冬場、屋根に積雪があると、雪によって電波が遮断されてしまい、十分な地デジ受信が難しくなるためご注意ください。
また窓際に室内アンテナや屋外屋内兼用アンテナを設置する場合も、窓ガラスが複層ガラスや金網など金属素材の入ったガラスの場合は、受信できる地デジ電波が弱まるケースもございますので、ご注意ください。
戸建て住宅で地デジアンテナを設置するのに適した位置とは?
屋内への設置を除いて、戸建て住宅に地デジアンテナを設置する場合の一般的な位置としては、屋根の上にマストに設置する。またはサイドベースなどの器具を用いて壁面やベランダの手すりに設置する。他にもベランダの内側や軒下に吊り下げる形での設置。また庭に立てた高いポールの先に設置するという方法もございます。
これらの設置方法は、まずは地デジ電波の安定した受信を大前提に、風雨などを避けてアンテナの経年劣化を軽減する。住宅の外観性を重視するなど、お客様のご要望に応じて、適した地デジアンテナの機種と共に選ばれます。
ただ基本的には、地デジ受信に関しては、屋根の上などの高所に設置するほど安定いたします。これは設置位置が高所になるほど、周辺の建物など地デジ電波を遮断する障害物に影響されにくくなり、またアンテナの方向も360度へと自由に調整できるため、安定した受信が可能なアンテナ設置を実現できるためです。
一方で、アンテナ本体が吹きさらしの高所に設置されるため、風雨や雪、海沿いであれば潮風などの影響を受けやすくなり、アンテナの経年劣化が進みやすくなり、寿命が短くなる。アンテナトラブルも発生しやすくなる、といったデメリットも出てまいります。
逆に壁面やベランダなど、比較的、低い位置への設置では、設置場所の選択によりアンテナが風雨などを避けやすくなり、経年劣化を軽減できて、寿命が長くなることを期待できる。またアンテナが目立たず、住宅の外観や景観を乱しにくくなるメリットがございます。
半面、設置位置が低くなることは、それだけ地デジの受信感度が周辺の障害物に影響されやすくなる面もございます。
そのため壁面やベランダへの設置では、まず住宅でも地デジ電波が届く方向(主に電波塔の方向)を向いた側に設置することが必要となる他、弱電界地域など受信状態が悪いエリアや、周辺に障害物となる建物がある。住宅密集地などでは、十分な地デジ電波の受信が難しくなるため、このような位置に設置することが不可能となる場合もございます。
総じて、地デジアンテナの設置に関しては、まず現場の電波状態や周辺環境に基づいて、十分な受信レベルを確保できることを大前提に、住宅の外観性や、風雨に強い対候性など、その他の条件とのバランスを考慮して、使用する地デジアンテナ機種や、設置位置を決定する必要がございます。
このような設置位置の選定に関しては、アンテナ工事の専門業者に電波調査、見積もりを依頼することで、各現場において、さまざまな位置での地デジ受信感度を綿密に確認して、安定した地デジ受信を実現できる、考えられる限りの地デジアンテナ設置の提案を受けることができます。
アンテナ工事業者による電波調査、見積もりや、地デジアンテナの角度調整については、以下の各コラム記事に詳細がございます。
・地デジ放送、衛星放送(BS/CS)テレビアンテナ工事の現場で必要な「電波調査」の方法とは?
・地デジ・衛星放送テレビアンテナ工事の費用がいくらかわかる「見積もり」の方法は? 会社ごとのアンテナ工事相場と優良業者の選び方を徹底解説!
・地デジのテレビアンテナで受信できる方向は指向性で決まる? アプリでアンテナの方向調整に最適な角度を調べる方法も徹底解説!
屋根裏空間や天井裏空間に地デジアンテナを設置できる方法と条件とは?
上記のように一定の条件が整っていれば、住宅の屋内でも地デジアンテナを設置することにより、地デジ電波を受信できます。
そして室内アンテナや屋外屋内兼用のアンテナではなく、屋外設置用のアンテナを室内設置する場合には、基本的に屋根の部屋の間の屋根裏空間。または一階と二階(上階と下階)の間の天井裏空間に設置されます。
屋内に屋外用テレビアンテナを設置するメリットは、第一にアンテナが風雨や積雪、潮風その他の自然環境にさらされなくなるため、経年劣化を抑えられてトラブルも発生しにくくなり、寿命が大幅に伸びること。そして地デジアンテナの配線も屋内で完結するため、住宅の外観や壁面などの外装、また景観などに影響を与えないという点です。
ただこのような位置へのアンテナ設置には、屋根裏空間の地デジ電波状態の確認をはじめ、さまざまな専門知識と技術が必要になるため、基本的にはアンテナ工事業者へ取り付けを依頼されることがおすすめといえます。
・屋内空間へ地デジアンテナを設置する方法とは?
屋根裏など屋内空間への地デジアンテナ設置は、基本的には屋外の壁面などに地デジアンテナを設置する場合と、作業の手順はさほど変わりません。
基本的には、特に屋内に地デジアンテナを設置する場合には、屋外用の地デジアンテナ機種である「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」のうち、省スペースとなるデザインアンテナが採用されます。
まずは屋根裏空間など地デジアンテナを設置する位置にて、屋根や壁を通じて届く地デジ電波が、地デジ放送の視聴に充分なレベルであるか、そして電波が届く方向(主に近隣の電波塔がある方向)を確認します。
そしてその電波の方向へ向けて、天井裏空間の柱や壁面などにアンテナの固定具を設置。アンテナ本体を取り付けます。さらに必要に応じたブースターや分配器の設置などを含め、住宅の各部屋のアンテナコンセントへと地デジ電波を届ける、アンテナ配線工事も行います。
そしてアンテナ本体を、左右の角度(方位角)を調整し、受信できる地デジ電波レベルがもっとも高くなる方向へと向けて、アンテナを固定すれば工事は完了です。
なお、地デジアンテナを屋内、特に屋根裏空間に設置するには、主に以下のような条件が必要となります。
・地デジ電波の受信に関する条件。
ごく基本的な問題として、屋根裏空間に地デジアンテナを設置するためには、屋根裏において、充分な地デジ電波の受信レベルを確保する必要がございます。
そのため第一には、アンテナを設置する現場の住宅が、強電界地域など地デジ電波の強いエリアに位置する必要がございます。また強電界地域であっても、近隣に高層マンションなどの高層建築物がない。住宅密集地ではないなど、地デジ電波を遮りやすい障害物がなく、地デジの受信環境に恵まれている必要もございます。
第二には、住宅の屋根や壁などの建材に、地デジ電波を通しにくい素材が使われていない。また電波を遮断してしまう設備などがない、という点が重要になります。具体的には前述のように、住宅の屋根材や建材、断熱材などに金属素材が使われていない。また屋根の上に太陽光パネルが敷き詰められていない、などの条件が必要になります。
特に地デジ電波の受信環境については、屋根裏に地デジアンテナを設置する時点での条件でなく、将来にわたって受信環境に変化が生じる可能性がないか、を考慮する必要がございます。
これは地デジアンテナの屋内設置に限った話ではございませんが、テレビアンテナの設置後に、周辺環境の変化によって、地デジ電波の受信が難しくなった場合には、アンテナの設置位置を変更する工事などで、余計な手間とコストが生じてしまうためです。
例えば周辺の建築物などについては、現在、電波の障害となる建物が存在しないだけではなく、将来にわたってそのような建物などが建造される可能性が低い。太陽光パネルに関しても、現在、設置されていないだけでなく、将来にわたって設置する予定がないことも考慮する必要がございます。ただ太陽光パネルに関しては、設置されている住宅でも、アンテナの設置位置などを調整することで、屋根裏空間への設置でも地デジ受信が可能となるケースもございます。
なお、このように電波を遮断する素材、設備が使われてなければ、一般的な住宅であれば、屋根や壁の厚さが地デジ電波のレベルに影響を与えることは、ほとんどございません。
また冬場に雪が積もりやすいエリアでは、屋根への積雪で地デジ電波が遮断されることもございますので、雪の多い地域では地デジアンテナの屋根裏設置が難しくなります。行う場合には、屋根に雪が積もりにくい住宅の構造や設備、あるいは頻繁な雪下ろしが必要となりますので、その点はご注意ください。
また前述したハイトパターンの影響により、アンテナを設置する高さによっても、受信できる地デジ電波のレベルが変わってまいります。
ハイトパターンは一般的な地デジアンテナ設置に当たっては、さほど大きな影響を与えることはございません。ただアンテナを設置できる高さの範囲が限られる屋根裏空間への設置で、特に受信できる地デジ電波のレベルが、必要なレベルにギリギリの水準などの場合には、アンテナ設置に影響してくることもございます。その点にもご注意が必要となります。
・設置現場の空間に関する条件。
上記のように、屋根裏空間や天井裏空間で、十分なレベルの地デジ電波レベルが確保できる場合でも、確実に地デジアンテナを設置できるとは限りません。受信環境の他にも、アンテナ設置の作業が可能となる条件が必要となるためです。
屋根裏空間へのアンテナ設置作業を行うための条件としては、まず、作業を担当するアンテナ工事の職人が、アンテナ本体をもって屋根裏空間に入ることができる出入口として、一メートル四方程度の、屋根裏空間への点検口が必要となります。
そして屋根裏にアンテナ本体や配線、ブースターや分配器など必要な機材を設置し、アンテナ職人がそれらの作業を行えるだけの空間が必要です。その条件としては、最低でも屋根裏や天井裏に、1立方メートル程度の空間が存在することになります。
また陸屋根(フラット屋根)や勾配天井など、屋根裏空間が存在しない形式の住宅では、必然的にアンテナの屋根裏設置も不可能となります。ただこのような住宅では、天井に近い位置の壁面にアンテナを設置することで、屋内設置が可能になるケースもございます。
詳しくは、アンテナ工事の専門業者などにご相談ください。
地デジアンテナの種類:デザインアンテナ
上記の項でも、屋根裏や天井裏への設置にもっとも適した地デジアンテナとしてご紹介したのが「デザインアンテナ」というモデルになります。このデザインアンテナとは、主にアンテナ本体の機器部を薄型で長方形のケースに収めた、平面状の機種です。その形状や設置位置などの特徴から、平面アンテナ、壁面アンテナ、フラットアンテナ、ケースアンテナ、ボックスアンテナなどの別名もございます。
デザインアンテナは、それ以前のほぼ一種類であったテレビアンテナ機種、八木式アンテナに続いて、アナログ放送から地デジ放送への転換が進んでいた2009年(平成21年)頃に普及しはじめた、地デジアンテナの第2世代モデルになります。
主に屋根の上に設置されていた古典的モデルの八木式アンテナに対して、デザインアンテナの特徴は、その形状から主に、住宅の壁面やベランダの手すり部などに設置することを前提としており、その形状に加えてカラーバリエーションも豊富なため、住宅の見た目や景観を乱さない点が第一のメリットとなります。
そしてやはり設置位置や形状から、アンテナ本体が風雨や積雪などに影響されにくくなり、経年劣化が進みにくくなるため、アンテナの寿命が延びてトラブルも起こりにくくなるのが、もうひとつの大きなメリットです。
そのため、条例で一定の高所へのアンテナ設置が制限される景観地域。また太陽光パネルが設置されている住宅などでも設置できて、アンテナなどの一部が隣家の敷地へとはみ出す「越境問題」も起こりにくくなります。
このようなメリットの豊富さに加え、価格も八木式アンテナよりはやや割高なものの、お手頃であることから、現在では地デジアンテナとして人気ナンバーワンの機種になっております。
一方で、デザインアンテナの地デジ受信性能については、外部から地デジ電波を受信するパーツ「素子(エレメント)」の数が見て取れない機種になるため、後述する八木式アンテナの素子数による受信性能を基準にした「素子数相当」で表されます。
そして主な受信性能のモデルとしては、強電界地域向けのコンパクトモデルを除いては「20素子相当」「26素子相当」の二種類のみになります。また素子が露出していないため、八木式アンテナの同素子数モデルに比較すると、受信性能がわずかながら低くなります。
そのためデザインアンテナは基本的に、強電界地域から中電界地域用の機種となります。さらに基本的な設置位置が、壁面やベランダなど住宅の中でもやや低い位置になるため、近隣に高層建築物がある。住宅密集地であるなど周辺の障害物にも左右されやすく、強・中電界地域であっても、周辺環境によっては壁面やベランダなどに設置できない場合もございます。
デザインアンテナを屋根の上のマストに設置することも可能で、この場合は周辺環境の悪さを解消できますが、一方でデザインアンテナのメリットである外観性や対候性が、やや減少してしまうという難点もございます。
ただいずれにせよ、設置のスペースが少なくて済むという点は非常に大きなメリットであるため、地デジアンテナを屋根裏、天井裏などに設置する場合には、基本的にデザインアンテナが使用されます。
デザインアンテナやその特徴については、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・地デジ用テレビアンテナの一番人気「デザインアンテナ」とは? 特徴から本体価格、工事費用や料金相場、業者選びまで徹底解説!
・この最小デザインアンテナがすごい!スカイウォーリーミニ(マスプロ電工)
・デザインアンテナ工事の失敗例とは? メリット、デメリットから取り付け費用まで解説
・デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説
・テレビアンテナの性能を決める「素子」とは何か? 地デジアンテナ工事で重要な「素子数」を徹底解説!
地デジアンテナの種類:八木式アンテナ
八木式アンテナとは、アナログ放送の時代から住宅の屋根の上に見られた、骨組みのような形状の、古典的なテレビアンテナです。
現在の地デジ用UHFアンテナは、矢印のような形の骨組みに、短い横棒にあたる「素子」が数多くついているため、魚の骨を思わせる形状になっております。
八木式アンテナは、戸建て住宅への設置の場合は、基本的に屋根の上に「屋根馬」という固定具を置き、そこに立てたポールに先に設置され、屋根馬ごと固定される形が基本になります。その他には、サイドベースと呼ばれる設置具を用いて、住宅の壁面やベランダの手すりに設置する。またベランダの内部や軒下から吊り下げるなどの設置も可能です。
八木式アンテナの第一の特徴は、モデルによって「素子数」が異なり、高い受信性能を備えるという点です。
素子(エレメント)とは前述の通り、地デジ電波を受信するパーツであり、八木式アンテナでは短い横棒にあたります。八木式アンテナは、通常モデルでは8素子、14素子、20素子などの素子数モデルがあり、強、中、弱の各電界地域に対応が可能です。
また高性能モデルとして、Ⅹ字型の固定部に複数の素子パーツを取り付けた高性能素子を使用する「パラスタックアンテナ」と呼ばれる機種もあり、このモデルでは、個々の素子の受信性能が高いことに加え、27素子、30素子などのモデルも存在するため、地デジ電波状態が非常に弱いエリアでも、地デジ受信が可能となります。
さらに、素子が露出しているために受信感度が高まる「素子アンテナ」であること。基本的な設置位置が屋根の上など高所になるため、周辺の障害物などに影響されにくいことなどもあって、八木式アンテナは現在の地デジアンテナでもっとも高い受信性能を誇り、強電界地域から弱電界地域まで幅広く使用することが可能です。特に弱電界地域などでは、屋根の上の高いマストに高性能型の八木式アンテナを設置する他に、安定した地デジ受信の方法がないケースもございます。
また八木式アンテナは古典的アンテナ機種であり、設計や製造、アンテナ取り付けの工法などが完成されているため、現在の地デジアンテナでは本体価格、設置費用などがもっとも低価格になる点も、大きなメリットと言えます。
一方で八木式アンテナのデメリットには、その形状と設置位置から、住宅の外観性や景観を乱しやすい。風雨や積雪など自然環境の影響を受けやすくなり、経年劣化が進みやすく、寿命が短くなる。特に老朽化した八木式アンテナでは、アンテナ角度のズレや倒壊などトラブルのリスクが高まるなどのデメリットもございます。
そのためデザインアンテナとは正反対に、地域によっては景観地域や高さ制限などの条例により設置できないことがある。太陽光パネルを設置している住宅では、発電の邪魔になってしまう。越境問題が起こるリスクもあるなどのデメリットも生じてまいります。
ただ近年の八木式アンテナは、素材の改良による軽量化や抗サビ化。防水加工なども進んでいる他、表面加工で塩分への対策などを施した塩害対策モデル。各部の強化や素子を短くするなどで雪への対策を施した防雪モデルなども存在するため、エリアの自然環境に適したモデルを使用することで、一定の自然環境への対策になります。
このように受信性能の高いモデルであるため、八木式アンテナを屋根裏空間に設置することも不可能ではなく、一部のアンテナ工事業者では、八木式アンテナの屋根裏設置に対応していることもございます。
ただ八木式アンテナは本体が大型になる分、重量や搬入、設置スペースなどの面で、屋根裏空間に設置する場合の条件が、デザインアンテナより厳しくなります。さらに屋内空間で、屋根の上のマストよりも設置位置が低くなる分、八木式アンテナ本来の受信性能を十分に発揮できなくなる。専用の設置具や補強の固定具などが必要となる分、設置コストが高まり、取り付け工事費用の総額がデザインアンテナと大差なくなるなど、屋根裏への設置で特に八木式アンテナを使用するメリットは薄くなります。
したがって、実際には屋根裏空間に八木式アンテナが設置されるケースは、さほど多いものではございません。
八木式アンテナについての詳細は、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
・地デジ放送用テレビアンテナ「八木式アンテナ」に適した住宅の条件とは? アンテナ設置工事の特徴や種類を徹底解説!
地デジアンテナの種類:ユニコーンアンテナ
ユニコーンアンテナとは、2017年(平成29年)に、日本三大アンテナメーカーのひとつといわれる「マスプロ電工」社が発売した地デジアンテナの第3世代モデルにあたる機種で、2023年現在では最新機種に当たります。商品名も同社の登録商標になります。
その形状は、マストの先に、高さ約70センチ程度のほぼ円筒形をしたアンテナ本体が固定されるものになります。
現在、ユニコーンアンテナは20素子相当の「U2CN」のモデルのみで、カラーバリエーションとしては、それぞれ落ち着いた色合いの「ブラックブロンズ(BB)」「ウォームホワイト(WW)」が存在します。
戸建て住宅における取り付け位置は八木式アンテナと同じく屋根の上のマストの先端。またサイドベースを使用して、屋根の張り出し部である破風板や壁面の高所など、ほぼ屋根の上に近い高所に設置されることになります。
ユニコーンアンテナのメリットは、その洗練された形状から、屋根の上などの高所に設置しても、装飾物のように調和し、住宅の外観や景観を乱さない点。そしてその形状から風雨などを受け流せるため経年劣化が進みにくく、トラブルの軽減や高寿命を期待できる点です。
そして本体の受信性能は20素子相当のみながら、八木式アンテナと同じく高い位置に設置できるため、周辺の障害物などにも影響されにくくなり、受信感度を確保しやすくなります。そのため住宅密集地などのため、壁面などへのデザインアンテナ設置では地デジ電波が受信できない現場であっても、ユニコーンアンテナであれば十分な受信感度で設置できることが多くなります。
他にも、景観地域や太陽光パネルを設置した住宅でも設置でき、越境問題も生じにくいなど、八木式アンテナとデザインアンテナのメリットを兼ね備えた地デジアンテナになります。
一方でデメリットとしては、八木式アンテナの同素子数からそれ以上の機種には受信性能が及ばず、弱電界地域では使用できないこともあるため、基本的は強電界地域から中電界地域用の機種となる点。最新鋭機種であるため、本体価格や設置費用が、地デジアンテナの中ではもっとも高額になる点。純和風建築など、住宅のデザインによっては外観にそぐわない場合もある点などが挙げられます。
なお屋根裏空間への設置に関しては、高所に設置することで受信感度を確保するというユニコーンアンテナの特性が損なわれてしまうこと。本体の受信部分が狭いことから、屋根裏空間では受信に不利となることなど、特にメリットが存在しないため、基本的にユニコーンアンテナが屋根裏設置に使用されることはございません。
ユニコーンアンテナに関しての詳細は、以下の各コラムにも解説がございます。
・地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
・台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
地デジアンテナの種類:室内アンテナ/屋外屋内兼用アンテナ
デザインアンテナなどの屋外用地デジアンテナを、屋根裏空間などに取り付ける方法とは別に、元より室内への設置を前提とした地デジアンテナが「室内アンテナ」「屋内屋外兼用アンテナ」になります。
室内アンテナとは、テレビなどの受信機器とケーブルで直接、接続して、室内に据え置く形で地デジの受信が可能になるアンテナです。
この室内アンテナには、コンパクトかつスタイリッシュな形状で、卓上や窓際などに設置できる「卓上型アンテナ」と、0.5ミリほどのプラスチック製のシートであるアンテナ本体を、窓や壁などに貼り付けて設置する「ペーパーアンテナ」がございます。
また屋外屋内兼用アンテナは、室内アンテナに比べるとやや大型になりますが、前述したコンパクトタイプのデザインアンテナ「スカイウォーリーミニ」には室内設置用スタンドが付属しており、室内設置も可能なモデルになります。他にもさまざまな形状の屋外屋内兼用モデルがあり、室内の窓際や室外のベランダなどに、スペースを取らずに設置することが可能となります。
これら室内用アンテナのメリットは、まずテレビなど受信機器と接続して室内に置くだけで使用できるため、ご自宅でも設置が非常に簡単。また本体価格が安いものでは1,000円台から、ブースター内蔵型や屋外屋内兼用アンテナでも10,000円強など、非常に低価格であるという点です。
一方でデメリットとしては、アンテナ一台につき、一台のテレビなど受信機器にしか接続できない。そして屋外設置用の地デジアンテナに比べると、室内向けモデルは受信性能が非常に低くなる点です。室内アンテナの多くは、受信性能は素子数で表すことができないレベルになります。屋外屋内兼用アンテナも、室内アンテナよりは受信性能が高いものの、主な受信性能は3素子から5素子程度になります。
そのためこれらのアンテナは、基本的には強電界地域でしか使用できず、特に室内アンテナは強電界地域でも受信感度が安定しないこともございます。また前述の通り、受信する部屋の周辺に建築物の障害物がある。住宅の屋根や壁の素材、窓ガラスなどが地デジ電波を通しにくい素材であるなどの条件にも、影響を受けやすくなります。
基本的にこれらのアンテナは、普段、テレビを設置しない部屋などで一時的にテレビを視聴する場合。またアパートなどで短期間のみ生活する場合などの、簡易的な地デジアンテナと考える必要がございます。
デザインアンテナの屋根裏設置を依頼できるアンテナ工事業者とは?
現在、新築住宅や既存住宅に、テレビアンテナの新規設置、または追加設置や交換などの工事を依頼できる業者には、主に以下のものがございます。以下、各業者で依頼できる工事の種類なども含めてご説明してゆきます。
・家電量販店やホームセンター。
家電量販店やホームセンターのチェーン店では、各種テレビアンテナの本体も販売されており、アンテナを購入すると同時に、窓口へとアンテナ取り付け工事を依頼することもできます。このような店舗のメリットは、アンテナの実物を店舗で選んでお好みのモデルを購入できる。店舗のスタッフに、アンテナ本体や地域の電波状態などを含めて直接、さまざまな質問ができる。アンテナの購入と工事の依頼を同時に行うことができて手間が省ける、などの点になります。
基本的に依頼できる工事は、その店舗で購入したテレビアンテナの設置工事、およびそれに伴うブースターや分配器などの機器の設置や既設アンテナの撤去など、アンテナ設置の際に必要となる工事となります。
またアンテナを購入せず、各種工事だけを依頼できるかどうかは、チェーン店舗によって異なります。
・ハウスメーカーや工務店。
新築の戸建て住宅を建設した際には、その建築を担当したハウスメーカーや工務店が、オプション工事として各種アンテナの取り付け工事を用意していることがございます。このような工事のメリットは、さまざまな手続きや作業が必要となる新居へのお引越しに当たり、アンテナの購入や設置工事の手続きを簡略化できる。引っ越しの前には確実にアンテナ設置工事が完了している、アンテナ工事の料金を住宅ローンに組み込むことができ、支払いも簡単になる、などの点がございます。
ただし基本的に依頼できるのは、新築住宅の建築を依頼した際のみであり、またハウスメーカーなどの側がアンテナ工事のサービスを用意している場合になります。ただ新築住宅を建てたオーナーの方であれば、その後のアフターサービスとして、建設から年月を得た後でも、アンテナのメンテナンスや交換、追加設置などをハウスメーカーに依頼できることもございます。
・町の電気店。
地元の商店街などにある、昔ながらの町の電気店にアンテナ工事を依頼することもできます。
この場合のメリットは、店舗が身近で工事の完了後も含めて相談を持ち掛けやすい。地元密着型の店舗であるため、現地の環境や電波状態などに詳しい。地元の人脈による紹介などで工事費用を割り引いてもらえることもある、などの点です。
一方で、このような店舗は各種電気工事を全般的に引き受けるものの、アンテナ工事の専門家ではないため、使用する機材や知識が古いこともあり、最新のアンテナ工事技術に疎い場合もある。そのため施工技術も店舗によって差が出る。またアンテナ工事費用の相場にも疎く、工事費用の総額が、かえって割高になることもある。こういった個人経営の店は、地域の商店街の衰退、店主の高齢化などで数が少なくなっており、閉店や廃業によって相談先がなくなるリスクもある、などのデメリットも存在します。
このような店舗には、一般的なテレビアンテナや各種機材の設置。既存アンテナとの交換など、基本的な各種アンテナ工事の多くを依頼できますが、店舗によっては、高い専門技術を要する作業には対応できないこともございます。
・アンテナ工事の専門業者。
これは当あさひアンテナをはじめ、主にインターネットに公式サイト、ホームページを掲載する、アンテナ工事の専門業者です。
このような業者は、アンテナ工事に特化したプロであるため、基本的な工事にあたる、各種アンテナや関連機器の設置、交換。既存アンテナの修理や撤去、廃棄などをはじめ、天井裏や屋根裏空間へのデザインアンテナ設置その他、設置位置を含むさまざまな種類のアンテナ工事に対応できます。また、その施工技術も確かなものになります。
その他、機材の大量仕入れによるスケールメリットや完全自社施工など、業者ゆえに可能なコスト削減の工夫により、高品質なアンテナ本体や部材などをセットにした各種アンテナ工事を、低価格で依頼できる。電波調査と見積もりが、出張料やキャンセル料なども含めて完全無料。即日工事や相見積もりにも対応可能。業者から提案されるアンテナ工事の種類が豊富。工事後の料金のお支払いが、現金だけでなくカードや電子マネーなどにも対応できる。工事後のアフターサービス、保証期間も5年から10年程度など長期にわたるといった点など、メリットが豊富になります。
ただデメリットとしては、上記のサービスは優良な業者のものであり、業者によっては一部のサービスに対応していないこともある他、中には施工技術や使用する機材が低品質で、見積もりにない不必要な工事、機材を追加するなどして、不当な高額料金を請求する悪質な業者も存在するという点が挙げられます。そのため、優良な業者の選択はお客様自身で行われる必要がございます。
その他、アンテナ設置を依頼する方法としては、引っ越し業者に、以前の住まいに設置されているアンテナの移設を依頼する。またいわゆる便利屋やマッチングサイトで個人に依頼するといった方法もございます。
ただ引っ越し業者への移設の依頼では、以前の住まいに設置されていたアンテナしか使用できない。また便利屋やマッチングサイトなどでは、アンテナ工事の専門家ではないため、施工技術や工事の保証に不安があるといった問題も出てまいります。
・屋根裏空間へのアンテナ取り付け工事に最適な業者とその費用とは?
結論から申し上げると、ご自宅の屋根裏空間など、屋内への地デジアンテナ取り付けをご希望される場合は、アンテナ工事の専門業者へと依頼されることが、もっとも確実であると申せます。
と申しますのも、家電量販店やホームセンター、ハウスメーカーや工務店などのアンテナ工事は、実際にはそれぞれの店舗、会社ではなく、下請け業者がアンテナ工事を担当します。そしてその下請け業者は、多くの場合、町の電気店や電気工事会社などになるのです。
これらの下請け業者では、アンテナ工事だけでなく、エアコン取り付け工事や電気配線工事など、住宅におけるさまざまな電気関係の工事を、上記の元請け業者から請け負っております。
つまりこのような下請け業者は、住宅における全般的な電気工事に対応できる半面、アンテナ工事に特化した知識や技術は備えていないことが多くなります。そのため、担当する業者によってアンテナ設置の技術に差があり、地デジ放送や衛星放送を十分に受信できるアンテナ設置は可能であるものの、基本的に一般的なアンテナ取り付け位置で受信可能であるかを確認して、問題がなければそのまま設置するといった形になります。業者によっては施工技術が及ばないため、屋根裏空間へのアンテナ取り付けをはじめ、お客様のご要望に応じた設置位置への対応ができないこともございます。
他にも、業者によってはアンテナの固定や配線の整理といった、施工の丁寧さが確保されないこともある。元請け業者との中間マージンが発生するため工事費用が割高になるといったデメリットもございます。
一方、アンテナ工事の専門業者であれば、前述のようにアンテナのプロとして、まずは綿密な電波調査により、現場で可能となる、あらゆるアンテナ設置の方法を割り出し、お客様のご要望に適したアンテナ工事をご提案いたします。もちろんデザインアンテナの屋根裏設置なども、現場の条件が許す限り対応できます。また施工技術に関しても、優良な業者であれば全般的に高品質となります。
なお屋根裏空間への地デジアンテナ設置の料金については、業者によっては、アンテナ本体や部材をセットにした地デジアンテナ設置の基本料金に加え、特殊作業費などの追加料金が発生することもございます。一方で、必要となる機材費などを除いて、通常の地デジアンテナ設置工費のみで、屋根裏空間への設置に対応する業者も存在します。
例えば当あさひアンテナではデザインアンテナ設置工事の標準機種として、日本三大アンテナメーカーのひとつ「DXアンテナ社」製の「UAH201」をご用意し、通常のデザインアンテナ設置工事の基本価格「20,000円(税込み)」からで、屋根裏や天井裏空間への設置にもご対応いたしております。
アンテナ工事業者に、屋根裏空間へのアンテナ設置を依頼される場合には、まず屋根裏設置に追加費用が発生するかをはじめ、あらかじめ工事費用の目安をご確認されることをおすすめいたします。
衛星放送用BS/CSアンテナの屋内設置は可能か?
ここまでの項では、主に地デジアンテナの屋根裏設置をはじめとする、屋内空間の設置と受信についてご説明してまいりました。それでは、衛星放送用のパラボラアンテナであるBS/CSアンテナを、同じように屋根裏などの屋内空間へと設置することは可能なのでしょうか?
結論から申し上げると、BS/CSアンテナを地デジアンテナと同じように屋内設置することはできません。衛星放送の電波は、地デジ電波とはその性質がまったく異なるためです。
衛星放送とは、地球の上空、約36,000キロの赤道軌道上を、地球の自転に合わせて周回するため、地上からは常に上空の同じ位置に静止して見える「静止衛星」から、日本国内の全域に放送電波を送信しているテレビ放送になります。
日本の衛星放送には、放送衛星を使用するBS放送と、通信衛星を使用するCS放送の二種類がございます。どちらの放送も主な人工衛星は東経110度(南西方向)に位置するため、一基のBS/CSアンテナで双方を受信することが可能です。また2018年(平成30年)には、BS放送、CS放送にそれぞれ4K、8Kのチャンネルが追加される形で「新4K8K衛星放送」がスタートしております。
BS放送、CS放送の静止衛星から送信される電波は、地デジ電波のUHF波よりもさらに高周波数帯となるマイクロ波の一種「SHF(センチメートル波)」のうち、12GHz(ギガヘルツ)前後のものが使用されております。この電波は「12GHz帯」と呼ばれ、波長の長さはおよそ25ミリ前後になります。
この12GHz帯の電波は、性質が光に近くなり直進性が非常に高く、エネルギーを集中させやすい性質もあるため、人工衛星から長距離を送信される衛星放送の電波には適しているのです。
ただその一方で、光に性質が近い12GHz帯の電波は、わずかな障害物にも遮断されやすくなります。そのため、衛星放送の電波を受信するためのBS/CSアンテナは、衛星の位置する東経110度の方向へと、ミリ単位で正確に向ける必要がございます。そしてBS/CSアンテナを向けた方向に、建物や山地などはもちろん、電柱や電線、樹木やその枝、洗濯物などのわずかな障害物があるだけでも、電波が遮断されてしまい、BS/CSアンテナ側で受信不良が生じることもございます。
また雨粒や雪が12GHz帯の波長の大きさに近くなる豪雨や降雪の場合には、衛星放送の電波が雨や雪に吸収されてしまい、電波の減衰や乱反射により受信不良が発生する「降雨減衰」「降雪減衰」が起こることもございます。
このような性質から、衛星放送の12GHz帯の電波は、一般的な住宅の屋根、壁などでは完全に遮断されてしまい、屋内へのBS/CSアンテナ設置は基本的に難しくなります。
ただ唯一の例外として、一定の条件が揃っていれば、室内の窓際にBS/CSアンテナを据え置くことで、衛星放送を受信できるケースもございます。その条件については、次項で詳しく解説いたします。
なお衛星放送やBS/CSアンテナについての詳細は、以下の各コラム記事で解説しております。
・衛星放送用BS/CSアンテナの種類と性能とは? 地デジテレビアンテナとの違い、設置工事の方法から機種の選び方まで解説!
・BS/CSアンテナには電源が必要? テレビから衛星放送用アンテナに電源設定を行う方法
・BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!
・雨や雪が降るとBS、CSの衛星放送が映らなくなる原因と衛星放送用テレビアンテナを調整して映るようにする対処方法とは?
BS/CSアンテナを室内設置する方法とその条件
BS/CSアンテナを室内に設置する方法は、基本的に地デジの室内アンテナや屋外屋内兼用アンテナと同じく、電波を通しやすい窓際に設置する形になります。ただ衛星放送の電波の特性から、適切な設置のためにはいくつかの条件が生じてまいります。
第一の条件は、BS/CSアンテナを設置したい部屋に、東経110度(南西方向)を向いた窓があり、その南西方向に建物や樹木など、人工衛星からの電波を遮断する障害物が存在しないという点です。
この条件に該当する窓の目安は、天気のいい日中の午後2時から3時にかけて、より正確には3月の春分の日、9月の秋分の日の午後2時頃に、直射日光が差し込む窓という点になります。日光が遮られず十分に差し込むということは、衛星放送からの電波を遮断する障害物が存在しないということでもあります。
なおBS/CSアンテナを向ける方向の建物などについては、アンテナの位置を起点とした障害物の高さに対し、アンテナと障害物との間が、1.5倍以上、離れていれれば、受信に対する影響は生じません。例えば東経110度の方向にBS/CSアンテナより5メートル高い障害物が存在しても、アンテナと建物との間に7.5メートル以上の距離があれば大丈夫ということになります。
第二の条件は、該当する窓の窓ガラスが、透明な一枚板のシンプルなフロートガラスであることです。衛星放送の12GHz帯の電波は、光に近く直進性が高いため、透明な一枚ガラスであれば、多少の減衰は生じてもそのまま透過し、室内のBS/CSアンテナで受信できることが多くなります。
ただし窓ガラスが、乳白色のフロストガラスや模様入り、色彩付きガラス。断熱性の高い複層ガラス。鋼入りや金属素材を含むガラス。また二重窓や大きな窓枠がある場合は、衛星放送の電波を通しにくくなるため、室内での受信は難しくなります。
このような条件が揃っていれば、BS/CSアンテナの室内設置が可能となります。設置の方法は、一般的な45型(円盤状のディッシュ部の直径が45センチ)のBS/CSアンテナを、専用の自立スタンドに設置して、ケーブルでテレビなど受信機器と接続します。
そしてテレビ側からBS/CSアンテナへの電源設定を行い、窓際に設置したBS/CSアンテナが、正確に東経110度の方向を向くよう角度調整を行います。テレビ側で十分なBS/CSの受信レベルを確保できれば、設置は完了となります。
なおBS/CSアンテナの室内設置は、屋外への設置作業が必要のない分だけ比較的、簡単な作業となり、DIY設置も行いやすくなります。ただしそれでもBS/CSアンテナの角度調整には手間がかかるためご注意ください。
なおBS/CSアンテナを室内に置く場合の注意点やデメリットとしては、基本的に一台のテレビなど受信機器としか接続できない。衛星放送を受信する際には、窓のブラインドやカーテンなど、場合によっては窓そのものを開ける必要がある。アンテナが室内空間を圧迫する。アンテナが固定されていないため、手などを触れてしまうことでアンテナ角度のズレが生じやすい、などの点が挙げられます。
なおBS/CSアンテナの室内設置に関しては、以下の各コラム記事でも詳細をご説明しております。
・BS放送、CS放送を視聴する衛星放送用テレビアンテナを室内に設置する方法とその条件、おすすめの設置用製品とは?
・室内に衛星放送用のBS/CSアンテナを設置してBS放送、CS放送のテレビ番組を観る方法、5大チェックポイント解説!
・パラボラアンテナ以外のBS/CSアンテナを室内設置に使用できる?
住宅などに設置される一般的なBS/CSアンテナはパラボラアンテナの一種類のみですが、その他には、アウトドア用のボックス型ポータブルタイプや、車載用のドーム型モデルなども存在します。
このうちポータブルモデルを、室内用のBS/CSアンテナに使用できることもございます。ただ基本的にはアウトドア用のアンテナであるため、室内で衛星放送を受信するための条件は、通常のBS/CSアンテナと同じになります。
ただこのような機種は、設置場所を取らないメリットがある一方で、やや古い機種であるため新4K8K衛星放送の大半のチャンネル(左旋円偏波)に対応できない。価格も50,000円程度と高価であるなどのデメリットもございます。
総じて、アウトドア用のBS/CSアンテナは趣味の製品という性質が強く、アウトドアの目的で購入したものを、ご自宅で簡易的なBS/CSアンテナとして使用する場合はともかく、住宅専用のアンテナとしてご利用されるには不向きな製品と言えます。
テレビアンテナの屋内設置・まとめ
地デジアンテナやBS/CSアンテナの屋内空間への設置は、数々のメリットがある反面、設置のためには多くの条件や制約も存在します。
そのため設置に当たっては、まず現場の地デジ、衛星放送の受信条件をはじめ、さまざまな条件を詳しく確認して、屋内への設置で安定したテレビ電波の受信が可能になるか、確認する必要がございます。
なお地デジアンテナの屋内設置や室内アンテナについては、以下の各コラム記事でもご説明しております。
・徹底解説!地デジ放送を受信できる室内アンテナのおすすめ機種、設置する部屋に最適となる室内用地デジアンテナの選び方とは?
・おすすめの地デジアンテナの選び方 ~屋外用から室内用の人気商品まで~
・面倒な工事も不要!2,000円で地デジ放送を楽しめる「室内アンテナ」について!
当あさひアンテナでは、前述の通り、屋根裏空間へのデザインアンテナ設置に関しても、通常のデザインアンテナ設置工事の基本設置価格のみでご対応している他、BS/CSアンテナの室内設置のご相談も承ります。
また現場の受信条件などから屋内空間への設置が難しい場合も、極力、お客様のご要望に対応できる各種テレビアンテナの設置方法をご提案いたします。
各種テレビアンテナの屋内設置をはじめ、各種アンテナ工事に関するご相談は、当あさひアンテナのフリーダイヤルやメールフォーム、LINEなどへ、どうかお気軽にお寄せくださいませ。