【初心者向け】BS/CSアンテナとはどんなアンテナか? 種類や選び方から設置の注意点、トラブル解決まで徹底解説
現在では一般のご世帯でも、基本的なテレビ放送である地上デジタル放送(地デジ放送)の他に、衛星放送も広く普及しており、その普及率は7割を越えているといわれます。
そのため、これからBS/CSアンテナの新設や交換をお考えで、適したアンテナの種類や設置位置にお悩みの方もいるでしょう。またすでにBS/CSアンテナを設置されている方で「テレビ画面が乱れる」「映らないチャンネルがある」などのトラブルでお困りの方もおられるではないでしょうか?
そこで今回の当コラムでは、アンテナ工事の年間施工実績6,000件を誇るあさひアンテナが、BS/CSアンテナの基礎知識から種類、受信できる放送の種類まで解説します。アンテナの選び方や設置方法について。さらにBS/CSアンテナのトラブル解決までを徹底解説いたします。
この記事では、まずBS/CSアンテナの基本構造と役割について解説いたします。次に、現在の衛星放送の基礎知識や種類と、放送を受信する仕組みをご紹介。さらにはDIYが得意な方のために、具体的な設置方法まで図解付きでご紹介いたします。
さらに、アンテナの方向調整やトラブルシューティング、よくある質問についても深堀りで解説いたします。最後に、集合住宅でのアンテナ設置についての注意点と対策も網羅的にご紹介しております。
総じて本コラムでは、お住まいでの衛星放送のご試聴がより一段、快適になるよう、専門家の知識と経験を活かした情報をお届けしております。初心者の方でもわかりやすい内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。この機会にBS/CSアンテナについて理解を深めていただければ幸いです。
BS/CSアンテナとは?基本構造と役割をわかりやすく解説
BS/CSアンテナは、大きな皿のような放物面反射器(ディッシュ)を中心とした、いわゆるパラボラアンテナであり、一般の戸建て住宅や集合住宅などで、衛星放送を受信するために必要なアンテナです。
戸建て住宅でテレビアンテナ工事を行う場合、まず基本の工事として、日本各地の電波塔から周辺エリアの一帯に電波を送信している「地上デジタル放送(地デジ放送)」を受信するための「地デジアンテナ(UHFアンテナ)」を基本のアンテナとして設置します。地デジアンテナの設置に当たっては、八木式アンテナ、デザインアンテナ、ユニコーンアンテナなど主要機種の中から、現場の条件とお客様のご要望に適した機器を設置することになります。
これは、地デジ放送が現在の日本国内では、地デジアンテナやフルセグ・ワンセグ受信機器の使用により、不特定多数が無料で試聴(NHK受信料は除く)できる、基幹的な放送であるためです。
そして戸建て住宅に地デジアンテナを設置した後、衛星放送もご覧になる場合には、BS/CSアンテナの追加設置が必要となります。これは地デジ放送と衛星放送では、電波塔と宇宙空間の人工衛星という電波の送信元をはじめ、送信される電波の周波数帯など放送の仕組みがまったく異なるため、衛星放送用のアンテナも、地デジアンテナとはまったく異なる構造と設置方法によるアンテナが必要となるためです。
ここではまず、BS/CSアンテナの基本的な知識として、衛星放送におけるBS放送、CS放送の違い。新4K8K衛星放送とは何かや、BS/CSアンテナの構造、種類について解説してゆきます。
衛星放送の概要、使われる電波とは?
衛星放送が宇宙空間にある人工衛星から、テレビ放送などの電波を地上に向けて送信する形の放送であることは、よく知られています。より正確には、地球上の赤道軌道上、約35,786キロ上空に位置し、秒速およそ3キロで赤道軌道上を周回していることから、地上からは空の一点に静止して見える「静止衛星」から、地球でも同じ半球側の特定エリアに向けて、常に放送電波を送信しています。
地上にある電波塔から電波を送信している地デジ放送では、日本各地に多数の電波塔が必要になる他、電波塔からの距離や障害物の影響で、エリアごとに受信できる電波レベルの差が大きくなり、受信できないエリアも出るなどのデメリットも生じます。
対して衛星放送では上記の放送形式から、一基の静止衛星で日本全域などの広範囲へ、効率的に大容量の情報を送信できて、日本国内の全域でテレビ電波の強さ(レベル)にほとんど差が生じず、また地上の大きな障害物、災害などにも影響を受けにくく、安定した放送を実現できる点が、大きなメリットです。
この静止衛星から日本全域に送信される衛星放送の電波は、周波数帯の高いマイクロ波の中でもセンチメートル波(SHF)と呼ばれる電波にあたり、特に日本ではSHFの中でも12GHz前後の周波数帯が使われています。
したがって日本では衛星放送の電波は「12GHz帯」とも呼ばれ、その波長の幅は25ミリ前後になります。12GHz帯など非常に高い周波数帯の電波は、性質が光に近くなり、直進性がたいへん強くなるため、静止衛星から地上まで、遠距離を送信される衛星放送の電波に適しているのです。
衛星放送のイメージとしては、地球上の日本から見て、常に南西方向の同じ位置に固定されている静止衛星から、日本全体にライトを当てるようにして、12GHz帯の電波を送信している形になります。
一方で、12GHz帯の電波はその光のような性質から、光がものに当たると遮られて影ができるように、わずかな障害物にも遮られやすいという弱点もございます。この点は、地デジ電波(UHF(極超短波)のうち470MHzから710MHzの周波数帯)に40センチから60センチほどの波長があるため、性質が音に近くなり、障害物にぶつかってもある程度は乗り越えて広がることができる、また一般的な住宅の屋根や壁、窓などを通り抜けることができる点とは対照的と言えます。
以降でご紹介する、衛星放送を受信するBS/CSアンテナの形状や特性、設置の条件なども、このような性質をもつ衛星放送の電波に特化したアンテナであるためだといえます。
衛星放送の仕組みや電波の性質については、下記コラム記事でも詳しくご紹介しております。
BS放送とCS放送の違いとは?
日本の衛星放送では、よく「BS放送」「CS放送」といった放送の区分が聞かれます。これらの違いは、主に使用される人工衛星の区分と、そこからくる放送内容に違いになりますは、この項目ではその点について解説します。
BS放送とは「Broadcasting Satellite(放送衛星)」を用いた衛星放送で、衛星放送がスタートした当初の主な放送でした。現在の日本のBS放送では、東経110度に位置する放送衛星が使用されておいます。
BS放送の主なチャンネルは、NHK、広域民放をはじめ、その他いくつかの無料チャンネルがあり、これらのチャンネルは地デジ放送と同様、不特定多数を対象としており、日本国内であればBS/CSアンテナを設置するだけで視聴できます。他にもBS放送には「WOWOW」など、チャンネルと直接、月額契約を結ぶことで視聴できる、有料チャンネルもいくつか存在します。
CS放送は「Communication Satellite(通信衛星)」を用いた衛星放送で、元々は企業や団体を対象にしたサービスを想定していたものが、放送法の改正により、一般世帯での視聴も可能になったものです。日本のCS放送では、主な通信衛星は東経110度に位置するものですが、他に東経124度、128度に位置する通信衛星も使われています。
CS放送は現在、主に「スカパー!」サービスとして知られています。CS放送は基本的に、スカパーなど放送事業者と契約を結んだ世帯を対象にする有料放送サービスで、契約した世帯では、スカパーが提供する多チャンネルの各有料チャンネルから、お好みのチャンネルを個別、複数パックなどで契約して試聴することができます。
総合すると、
- BS放送:アンテナ設置だけで視聴できる無料チャンネル+有料チャンネルを放送。
- CS放送:CS放送事業者との契約と、多チャンネルから選択しての契約が必要な有料放送。
ということになります。
そしてBS放送と主なCS放送である110度CS放送(スカパー!)については、放送衛星、通信衛星が同じく東経110度に存在するため、現在の主な衛星放送用アンテナ「BS/110度CSアンテナ」で、双方を受信できます。またテレビなどの機器についても、現在のモデルは大半がBS放送、CS放送のチューナーを内蔵しています。
ただ、CS放送でも、東経124度・128度の通信衛星を使用している「スカパー!プレミアムサービス」を受信、視聴する場合には、別途にプレミアムサービス専用アンテナ、またはここでご紹介したすべての衛星放送を受信できるマルチアンテナの設置と、プレミアムサービス専用チューナーが必要になります。
衛星放送のBS放送、CS放送の違い、その他、衛星放送やアンテナの詳細については、以下のコラム記事にも詳しい解説がございます。
・教えて!BS、CSやスカパーとは? 視聴料金からアンテナの選び方、業者による設置工事の費用相場、サポートの方法まで全解説
BS/CSアンテナ(パラボラアンテナ)の構造を徹底解剖!
ここでは、上記した衛星放送(BS放送、CS放送)を受信するためのBS/CSアンテナ(BS/110度CSアンテナ)について、その構造を詳しく解説してゆきます。
BS/CSアンテナは、パラボラアンテナという名称でも知られています。このパラボラアンテナとは、円盤状の本体部をメインにしたアンテナを指します。円盤状の部分は「放物面反射器」と呼ばれ、一般的には皿を意味する「ディッシュ(dish)」とも呼ばれます。
パラボラアンテナのパラボラ(parabola)とは「放物線」の意味で、ディッシュの内面が放物曲面になっていることに由来します。この放物局面で、静止衛星から送られる、光のように直進する12GHz帯の電波を反射させ、ディッシュ前面の中央に集める形で反射させるのです。
反射した12GHz帯の電波が集まる焦点には、ディッシュの下部から伸びる金属製のアームに支えられた「コンバーター(変換器)」が設置されており、12GHz帯の電波は一次放射器を経由してコンバーターに集められます。12GHz帯の電波は周波数帯が高すぎ、ケーブルでの送信には向かないため、コンバーターの中でやや周波数帯の低い「MHz帯」の電波に変換した後、屋内のケーブル配線部を通じて、各お部屋のテレビなど受信機器へと送信するのです。なおBS/CSアンテナの設置には、電子機器であるコンバーターを作動させるための電源設定が必要になります。
総合すると、BS/CSアンテナの主な構成要素は以下の通りになります。
- ディッシュ(放物面反射器):12GHz帯の電波を反射させて、前方の一次放射器に集めるアンテナの中心部。
- コンバーター:ディッシュで反射された12GHz帯の電波を集め、ケーブルで伝送できるMHz帯の周波数帯へと変換する機器。
- アンテナ固定・角度調整部:ディッシュの背後でアンテナをマストに固定する部分と、ディッシュの仰角、方位角(上下・左右の角度)を調整する部分。
- コンバーターアーム:アンテナ固定部の下部からディッシュ前方まで伸びて、コンバーターを固定する部分。
BS/CSアンテナの構造は、基本的にどれも同じパラボラアンテナであるため、メーカーやモデルが違っても、受信性能に大きな差が出ることはありません。また静止衛星からの電波を受け止めやすい位置に設置されるため、本体色は太陽光の反射しやすく、熱や紫外線による金属部の歪みや劣化が生じにくい白色系がメインになります。
BS/CSアンテナの受信性能を決めるのは、ディッシュの大きさ、具体的には有効直径(電波を反射する部分の直径)になり、主なモデルには45型(有効直径45センチ)のほか、50型、60型、75型、90型、120型になります。一般戸建て住宅向けのモデルは基本的に45型ですが、電波レベルが弱いエリアでは、75型までのやや大型モデルが使われることもございます。その他の大型モデルはマンション、アパートなどの規模に応じた集合住宅用になります。
以下の各コラム記事でも、BS/CSアンテナについての詳細を詳しく解説しております。
・BS/CSアンテナ(衛星放送用アンテナ)の基礎知識 ~全解説・種類や価格相場、地デジ用テレビアンテナ工事との違いとは?~
・衛星放送用バラボラアンテナ・BS/CSアンテナの種類と選び方とは? 地デジテレビアンテナとの違い、家屋への設置工事を解説
・衛星放送用BS/CSアンテナの種類と性能とは? 地デジテレビアンテナとの違い、設置工事の方法から機種の選び方まで解説!
「新4K8K衛星放送」の詳細と対応できるBS/CSアンテナとは?
上記のBS放送、CS放送に加えて、2018年(平成30年)12月1日に新しくスタートした、衛星放送の新しい放送サービスが「新4K8K衛星放送」です。
従来の衛星放送の画質はフルハイビジョン(2K)でしたが、新4K8K衛星放送は名称通り、4Kは2Kの4倍、8Kは4Kのさらに4倍の高精細画質に加え、色彩や動画の表現、音質などもさらに向上した放送であり、それぞれ4K、8Kに対応するテレビで視聴できます。
そして新4K8K衛星放送とは、従来のBS放送、CS放送に、それぞれ4K、8K対応のチャンネルが複数、追加されたものであり、BS/CSアンテナなどBS放送、CS放送を視聴できる環境と4K、8Kテレビがあれば、有料チャンネルを除けば特に追加料金などを支払う必要もなく視聴できます。
ただ唯一の注意点として、新4K8K衛星放送のうち、すべてのチャンネルを視聴するためには、対応するBS/CSアンテナおよびケーブル配線部が必要になるという点です。
と申しますのも、新4K8K衛星放送の以前、2K衛星放送の時代は、静止衛星から送信される電波に、右回りの螺旋を描いて送信される「右旋円偏波」が使われており、これを「右旋放送」と呼びました。しかし新4K8K衛星放送の開始にあたり、従来の右旋の電波では、BS放送、CS放送に新規追加される4K、8Kチャンネルに配分できる、未使用の周波数帯が不足したのです。
そのため、使用できる右旋放送の残りの周波数帯に、基幹的なチャンネルであるBS放送のNHK、広域民放の4Kチャンネルを割り当てた他、それ以外の4K、8Kチャンネルのために、左回りの螺旋で送信される「左旋円偏波」を新しく導入し、その周波数帯を割り当てたのです。この左旋円偏波を用いたチャンネルの放送は「左旋放送」と呼ばれます。
つまり簡単にまとめると、
- 右旋放送(右旋円偏波):従来の2Kチャンネル、BS放送のNHKおよび広域民放の4Kチャンネル。
- 左旋放送(左旋円偏波):上記以外のBS放送、CS放送の4K、8Kチャンネル。
ということになります。
2025年現在、市販されているBS/CSアンテナは、すべて右旋放送、左旋放送に対応できる「2K4K8K(右旋・左旋)対応型」になります。ただ2018年以前に設置されたBS/CSアンテナは、右旋放送にしか対応できない「2K(右旋)対応型(現在は製造終了)」であるケースも考えられます。
したがってBS/CSアンテナの取り付け工事が2018年以前で、現在でも旧式の2K(右旋)対応型のBS/CSアンテナを使用しているお住まいにおいて、左旋放送に当たるBS放送、CS放送の4K、8Kチャンネルを視聴するためには、2K4K8K(右旋・左旋)対応型BS/CSアンテナへの交換が必要になります。
もうひとつ、2K4K8K(右旋・左旋)対応型のBS/CSアンテナを設置して左旋放送を視聴する場合には、ケーブル配線部にあるブースター、分配器などの機器や、同軸ケーブルそのものも、左旋放送に対応できる機器、機材である必要がございます。
前項のBS/CSアンテナの構造でご説明した通り、BS/CSアンテナでは12GHz帯の電波をコンバーターでMHz帯に変換し、ケーブルで送信しています。この際、右旋の電波は1032MHzから2072MHzに変換されるのに対し、左旋の電波は2224MHzから3224MHzの、やや高い周波数帯に変換されます。
電波は周波数帯が高いほど、ケーブルで送信される際の減衰が大きく、電波の漏洩や混入も生じやすくなります。そのためケーブル配線部で左旋放送をテレビまで正常に送信するためには、ブースターや分配器などの機器、また同軸ケーブルやプラグ部分なども、シールド性能の高い「4K8K(3224MHz)対応型」を使用する必要があるのです。
そのため、2018年以前に設置された2K対応型のBS/CSアンテナを、2K4K8K対応型に交換する場合には、アンテナ本体だけでなく、場合によってはアンテナ配線部の機器やケーブルなども交換する必要があるケースもございますので、ご注意くださいませ。
なお、下記の各コラム記事でも、新4K8K衛星放送と、左旋放送に対応できる機器の詳細について解説しております。
・新4K8K衛星放送とは? 4K、8Kテレビの購入後に必要なアンテナ工事と費用の相場、おすすめ業者の選び方まで徹底解説!
・「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
・「新4K8K衛星放送」ご視聴に必要な機器・完全チェック解説! テレビで全4K8Kチャンネルを見るための機材とは?!
BS/CSアンテナの種類:用途に合わせた選び方
上記の通り、BS/CSアンテナの大きな種類には、設置する現場に合わせたディッシュサイズの違い。また現在の2K4K8K対応型と、旧式の2K対応型の違いが存在します。ただ、一般戸建て住宅向けの2K4K8K対応型・45型モデルについては、需要が高いこともあり、顧客の要望に応じたバリエーションともいえるモデルが存在します。
家庭用BS/CSアンテナの主なバリエーションには、特殊な塗装により、太陽光に対しても本体色が白色系のモデルと遜色のない強さを持ちながら、住宅の外観にも悪影響を与えにくい、ブラックその他のカラーバリエーション。
そして、緻密な角度調整が必要な点と、ディッシュを持つ形状から風などの影響に弱いというBS/CSアンテナの弱点をカバーすべく、風を通す構造のディッシュなどで、通常モデルに比べて耐風性能を高めた高耐風モデルが存在します。
主な種類としては、以下のものがあります。
BS/CSアンテナの種類と特徴
種類 | 特徴 | おすすめの用途 |
---|---|---|
BS/CSアンテナ(2K4K8K対応型) | BS放送と110度CS放送、4K8K(右旋・左旋)に対応するBS/CSアンテナ。 | 現在のBS/CSアンテナすべてに該当する基本モデル。 |
BS/CSアンテナ・カラーバリエーション | ブラックやシルバーなど、メーカーごとに独自の本体色を持つモデル。 | 住宅に設置した外観にこだわりのある方向け。 |
高耐風BS/CSアンテナ | 風を通す構造のディッシュや各部分の強化で耐風性能を高めたモデル。 | 台風が多いエリアなどBS/CSアンテナが風の影響を受けやすい現場でトラブルを抑えたい方向け。 |
BS/CSアンテナの大きな種類には、設置する現場に合わせたディッシュサイズの違い。また現在の2K4K8K対応型と、旧式の2K対応型の違いが存在します。
ただ、一般戸建て住宅向けの2K4K8K対応型・45型モデルについては、需要が高いこともあり、顧客の要望に応じたバリエーションともいえるモデルが存在します。
家庭用BS/CSアンテナの主なバリエーションには、特殊な塗装により、太陽光に対しても本体色が白色系のモデルと遜色のない強さを持ちながら、住宅の外観にも悪影響を与えにくい、ブラックその他のカラーバリエーション。
そして、緻密な角度調整が必要な点と、ディッシュを持つ形状から風などの影響に弱いというBS/CSアンテナの弱点をカバーすべく、風を通す構造のディッシュなどで、通常モデルに比べて耐風性能を高めた高耐風モデルが存在します。
上記モデルの基本は、すべて2K4K8K(右旋・左旋)対応型であるため、受信性能や受信できる放送、チャンネルの種類に違いはございません。カラーバリエーションは住宅の見た目にこだわりがおありの方、高耐風モデルは、台風などが多く、BS/CSアンテナのトラブルが生じやすい地域に適しています。
価格面では、現在のBS/CSアンテナは、本体のみのモデルで7,000円台から10,000円台程度。設置具などの部材が付属するモデルは、内容にもよりますが、この価格に数千円程度、加算されます。
そしてカラーバリエーションは通常のBS/CSアンテナと同程度の価格ですが、高耐風モデルは、メーカーやモデルにもよりますが、おおむね10,000円から15,000円程度になります。ただ高耐風モデルは、一般的な環境でもアンテナのトラブルや老朽化を抑え、耐用年数を伸ばす効果もあるため、コストパフォーマンスは高いと申せます。
なお当あさひアンテナでは、地デジアンテナ各機種と同時にBS/CSアンテナも設置される場合には、DXアンテナ社製の高品質45型・2K4K8K対応モデル「BC45AS」本体に、設置具や同軸ケーブルの料金もセットにした基本設置工事を「18,000円(税込み19,800円)」からでお引き受けしております。
さらに、同じくDXアンテナ製で、ディッシュに無数の小さな穴を開けることで風圧の影響を抑え、軽量化も実現したパンチングメタル仕様。またマスト取り付け金具の強化とより太いマストへの対応。コンバーターアームの強化などにより縦横の揺れに強く、受信可能風速50m/s、復元可能風速60m/s、破壊風速70m/sという業界最高クラスの耐風性能を実現した高耐風モデル「BC453SG」を用いる場合は「特別価格」にて承っております。
この高耐風モデル「BC453SG」については、下記のコラム記事でも詳しく解説しておりますので、ご検討の参考にしてください。
・台風対策に最適のBS/CSアンテナ設置方法とは? 究極の高耐風BS/110度CSアンテナ・DXアンテナ「BC453SG」
BS/CSアンテナで衛星放送を受信する仕組みと設置の注意点
ここまででは、衛星放送の仕組みや放送の種類。そしてBS/CSアンテナの構造やその種類について解説してまいりました。
以下では、BS/CSアンテナがどのようにして衛星放送を受信するのか、その仕組みと、設置の方法、注意点をわかりやすく解説してゆきます。
受信に必要な条件:角度、障害物、電源をチェック
BS/CSアンテナで衛星放送を受信するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
具体的には「ディッシュの上下、左右への角度調整」「ディッシュを向ける方向に障害物がないこと」「適切な電源設定」の三点になります。詳しくは以下の一覧、およびその先の解説をご参照ください。
BS/CSアンテナ設置のための基本条件
条件 | 詳細 |
---|---|
適切な角度調整 | BS/CSアンテナは、電波を送信する静止衛星の方向(東経110度)へと正確に向けて設置する必要があります。この角度がわずかでもずれていると、電波を正常に受信できなくなります。 |
障害物がないこと | アンテナ前方と静止衛星の間に障害物(建物、樹木など)があると、12GHz帯の電波が遮られてしまい、アンテナ側で十分に受信できなくなります。 |
電源設定 | BS/CSアンテナには、コンバーターを作動させる電源が必要です。通常は、テレビやレコーダーのBS電源設定により、チューナー端子から同軸ケーブルを通じて電源が供給されます。 |
BS/CSアンテナ取り付けの際には、これらの条件を満たしているか、設置前にしっかりとご確認ください。
BS/CSアンテナの角度調整が重要な理由
BS/CSアンテナは、静止衛星から直進的に送信される12GHz帯の電波をディッシュ面で受け止め、正面のコンバーターにある一次放射器に集中させる形で反射させ、受信する仕組みです。したがって、まずディッシュの正面を、BS放送の放送衛星、110度CS放送の通信衛星が位置する東経110度(南西方向上空)の方角へと正確に向ける必要があります。
この角度がミリ単位でもずれてしまうと、反射した電波も一次放射器から外れてしまい、受信できる電波レベルが大幅に低下して、衛星放送の映像が乱れたり、まったく映らなくなったりする可能性が高まります。BS/CSアンテナを含むパラボラアンテナは、非常に指向性(特定の方向のみで受信性能が高まる性質)が高いともいえます。
BS/CSアンテナの角度調整は、基本的に以下の2点になります。
- 水平方向(方位角):ディッシュの左右角度(東西)への角度調整。
- 垂直方向(仰角):ディッシュの上下角度(南北)への角度調整。
東経110度のおおよその角度は、地上から見て南西方向ですが、特に東西に長い日本列島では、東経110度の正確な仰角、方位角は地域によっても異なってまいります。主な地域別で、BS/CSアンテナを調整すべき角度については、後述する「BS/CSアンテナの方向調整:最適な角度を見つけるコツ」の章でもご紹介しますので、そちらを参考に、適切な角度へと調整してください。
BS/CSアンテナの角度調整については、以下のコラム記事でもくわしくご説明しております。
・BS/110度CSアンテナで安定して衛星放送を受信できる設置の場所とアンテナの向きや角度を正確に調整する方法
電波を受信しやすい場所と障害物を避けるポイントとは?
上記の通り、静止衛星から送信される12GHz帯の電波は、光のような性質で障害物に遮られやすいため、BS/CSアンテナの設置位置は、ディッシュを向ける東経110度の方向に障害物がないことをはじめ、さまざまな要素を考慮して選ぶ必要がございます。
この設置する場所の選択を誤ると、電波の受信感度やアンテナの寿命にも大きく影響します。以下のポイントをご参考に、最適な設置場所をお選びください。
- 南西(東経110度)方向が開けた場所:BS放送、110度CS放送の静止衛星は、東経110度の方向に位置しています。そのため、静止衛星の方角に当たる、南西方向の上空周辺に、山や建物などの障害物がない場所が理想的です。
- 住宅内の高い場所:BS/CSアンテナは高い場所に設置するほど、周辺の障害物の影響を受けにくくなり、安定した受信を実現しやすくなります。
- 風雨などの影響を受けにくい場所:BS/CSアンテナは強風などでアンテナの角度がずれると、受信感度が大きく低下します。また風雨などの影響でアンテナが老朽化しても角度のズレが生じやすくなるので、できるだけ風雨や雪などの影響を受けにくい場所に設置することがおすすめです。
障害物については、山や建物など、大きくて静止衛星からの電波を完全に遮ってしまうものはもちろん、樹木やその枝葉が季節により伸びて生い茂る、洗濯物が干される、アンテナの設置後に建物が立てられるなど、周辺環境の変化にも注意する必要もございます。
特にお住まいのベランダへの設置を検討している場合は、ベランダの向きや形状も考慮する必要がございます。ベランダが南西方向を向いているか、手すりはコンクリート状か格子状か、曲がっていないかなど、その形状によっても設置のための器具や工具が変わってまいります。
これらの条件をご考慮の上、ご自宅でBS/CSアンテナの設置後も、安定して東経110度上空からの電波を受信できる場所を見つけてください。
戸建て住宅でのBS/CSアンテナはじめアンテナの設置位置については、以下の各コラム記事でもくわしく解説しております。
・なぜテレビアンテナは屋根の上に設置される? 新築戸建て各位置に取り付けるアンテナ種類や工事の流れ、費用の相場について解説
・地デジや衛星放送用BS/CSテレビアンテナのベランダ設置や壁面取付の方法は? デザインアンテナ失敗例や必要な端子も解説
・戸建て住宅のテレビアンテナ取り付け工事で、アンテナを設置できる場所とは? その費用からメリット・デメリットまで徹底解説!
・一戸建て住宅へのテレビアンテナ設置工事で、アンテナ取り付けができる場所とは? 工事の費用や流れ、適した工事業者を解説!
・戸建てのテレビアンテナ工事におすすめの場所は? 特徴の比較やアンテナの選び方を解説。業者に依頼する費用、料金の相場も紹介
BS/CSアンテナの電源設定:ポイントと注意点
ここまでの解説でも何度かご説明した通り、BS/CSアンテナにはコンバーターの電源設定が必要です。BS/CSアンテナの具体的な電源設定の方法は、以下の2通りです。
ブースターの電源部:一般住宅ではテレビアンテナのケーブル配線部に多くの場合、受信した電波を増幅するブースターが設置されますが、ブースターを作動させる電源部からケーブルを通じて供給される電源を、コンバーターの電源にも流用する方法があります。 テレビなどのBS電源設定:テレビなど受信機器には、設定画面から「BS電源設定」を選択し「電源オン」または「オート」にすることで、BSチューナー端子からケーブルを通じてコンバーターに給電されます。
特にテレビなどのBS電源設定で給電する場合には、一台のテレビから常時給電する方法と、複数のテレビから衛星放送を見る際のみに随時給電する方法があります。常時給電の場合、給電するテレビの主電源がオフになっているとコンバーターが作動せず、住宅内のすべてのテレビで衛星放送を視聴できない点と、電力の無駄が出る点から、現在では随時給電が多くなっています。
しかし随時給電の場合は、複数のテレビから一度に給電されることで、コンバーターやケーブルがショートするケースもあるため、各テレビの電源設定は「オート」にするなど、適切な対応が必要です。他にもこの給電方法に合わせて、配線部に設置され、各部屋にテレビ電波(ケーブル)を分配する「分配器」の種類(全端子通電型、一端子通電型)も適切に選ぶ必要がありますので、ご注意ください。
BS/CSアンテナの電源設定、適切な分配器の選びかたについては、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
・衛星放送用のBS/110度CSアンテナには電源が必要? BS/CSアンテナにテレビなどの設定で電源を供給する方法とは
・テレビアンテナへの分配器の設置で、現場の電波レベルや条件に適した選び方と注意点を徹底解説。分波器や分岐器との違いとは?
【図解】BS/CSアンテナの設置方法:DIYで簡単設置ガイド
BS/CSアンテナは、衛星放送を受信する仕組みや設置の注意点、作業の流れさえ把握していれば、ご自宅でのDIY設置も比較的簡単なアンテナです。
この項では、お住まいでBS/CSアンテナのDIYを行う場合に適した条件や、作業に必要な機材、具体的な手順や、作業の注意点などについて解説してまいります。
DIY作業に必要な工具と材料を準備しよう
BS/CSアンテナをDIYで設置するために設置に必要な工具と材料は、おおむね以下の通りです。
BS/CSアンテナ設置に必要な工具・材料
工具・材料 | 用途 | 備考 |
---|---|---|
BS/CSアンテナ本体 | 衛星放送を受信するアンテナ本体。 | 基本的に45型モデルで、カラーバリエーションや高耐風モデルなど、お好みの機器をお選びください。 |
アンテナ固定金具 | アンテナをベランダなどに固定する機材。 | 設置場所に合わせた適切な種類をお選びください。 |
同軸ケーブル | アンテナとテレビを接続するケーブル。 | 長さと4K8Kに対応できる品質に注意してお選びください。 |
防水キャップ | ケーブルの接続部分を雨水から保護するキャップ。 | 必須の部材ですが、アンテナ本体やケーブルに付属することも多くなります。 |
F型接栓 | 同軸ケーブルとアンテナ、テレビを接続する。 | ケーブルや接続端子に合ったものをお選びください。 |
スパナ、レンチ | アンテナの組み立てや固定に使用する工具。 | 機材のボルトのサイズに合うものをご用意ください。 |
ドライバー | ネジを締め、緩める工具。 | 各サイズのプラス、マイナスドライバーをご用意ください。 |
ニッパー、カッター | 同軸ケーブルの加工などに使用。 | ケーブルの被覆を剥く際などに使用します。 |
アンテナレベルチェッカー | アンテナの受信レベルを確認。 | なくても大丈夫ですが、あると作業が楽になります。 |
BSコンパスアプリ | 東経110度の方向を確認する。 | お手持ちのスマートフォンなどにインストールしてご利用ください。 |
脚立 | 高所作業時に使用する。 | 安全に配慮してご使用ください。 |
上記の機材の内、アンテナ本体と設置金具、同軸ケーブル、F型接栓、防水キャップ、場合によってはスパナ、レンチやレベルチェッカーなどがセットになった商品も存在します、ただその場合は、設置金具がお住まいのべLAN他手すりなどに対応できるかを、必ずご確認くださいませ。その他の工具類は、ご自宅にある品でも十分です。
BS/CSアンテナの組み立て手順
製品として購入した時点のBS/CSアンテナは、ディッシュやアーム、コンバーターなどが別々になった状態で梱包されていることが多いため、まずアンテナ本体の組み立てを行う必要がございます。この組み立ては、取扱説明書をよくお読みになり、アンテナ全体の構造や手順を把握した上で行ってください。一般的には、以下の手順で組み立ててゆきます。
- BS/CSアンテナ本体(ディッシュ部)に、反射器やコンバーターを取り付けます。
- アンテナ固定金具に、アンテナ本体を取り付けます。
- 同軸ケーブルにF型接栓を取り付けます。
- アンテナのコンバーターに、F型接栓と防水キャップを取り付けた同軸ケーブルを接続します。
組み立ての際は、ボルトやナットをしっかりと締め、緩みがないか確認しましょう。ただし、あまりにも強く締めすぎると、ボルトなどの頭部を破損し、緩める際の支障になることがありますので、適切な強さで締めてください。
BS/CSアンテナのベランダへの設置方法
BS/CSアンテナのベランダ設置は、足場が確保できて作業を安全になるため、比較的、簡単に行うことができます。
基本的に、以下の手順で設置を進めてください。
- ベランダの手すりに、適切なアンテナ固定金具を取り付けます。
- アンテナ本体を固定金具に取り付け、ある程度、角度調整できるよう仮固定します。
- アンテナから延びる同軸ケーブルを、エアコンのダクト穴や、専用の薄型ケーブルを使って窓のサッシ部などを通して、室内にあるテレビのチューナー端子に接続します。
- テレビの設定画面からBSアンテナレベル画面を表示し、アンテナから届く電波レベルが確認できる状態にします。
- そのエリアの東経110度の方向に合わせて、アンテナレベル画面(またはレベルチェッカーやスマートフォンアプリ)を確認しつつ、仰角、方位角を微調整し、双方ともアンテナレベル画面が最大になる角度を割り出します。
- 受信レベルが最大になる角度を割り出したら、仰角、方位角の調整部分のボルトを締め込み、アンテナ本体を固定します。
以上の手順で、BS/CSアンテナ設置は完了します。ベランダに設置する際は、強風などでアンテナ角度のずれが生じないように、丈夫な手すり部にしっかりと固定することが重要です。
以下の各コラム記事でも、BS/CSアンテナのDIY設置や、アンテナレベルを確認、改善する方法について詳しく解説しております。
・自分でDIY取り付けも可能? 衛星放送用BS/CSテレビアンテナのさまざまな設置方法と工事を行う際の注意点
・4K8Kアンテナは自分で費用を抑えてDIYできる? 衛星放送BS/CSアンテナ設置方法と業者の設置費用、料金の相場を解説
・地デジや衛星放送のアンテナレベルとは? テレビでの受信レベル確認や低下する原因、工事で改善する方法を解説!
BS/CSアンテナの屋根の上への設置方法
お住まいの屋根へのBS/CSアンテナ設置は、高所作業となるため、基本的には安全を確保しやすい形状の屋根に限り、安全に十分な注意を払って実施する必要があります。少しでも危険が考えられる場合は、どうかご無理をなさらずアンテナ工事の専門業者にご依頼ください。
屋根の上にBS/CSアンテナ設置を行う場合の主な手順は、以下の通りです。
- 屋根上の安定した場所に、マストや屋根馬などのアンテナ固定金具を取り付け、固定します。
- BS/CSアンテナ本体を固定金具に取り付け、ディッシュをおおむね南西方向へと向けます。
- ベランダの場合とほぼ同様の手順で、アンテナからの同軸ケーブルをテレビに接続し、スマートフォンアプリなどを参考に、ディッシュをそのエリアの東経110度の方角に調整します。
- テレビのBSアンテナレベル画面、またはアンテナレベルチェッカーで受信レベルを確認しながら、BS/CSアンテナの仰角、方位角を微調整します。
- 受信レベルが最大になるように調整できたら、仰角、方位角の調整部分のボルトを締め、しっかり固定します。
屋根に設置する際は、転落防止のために、安全帯やヘルメットなどの安全愚を必ず着用し、雨天時や強風時は作業を中止し、天候の良い日に行うようにするなどの注意が必要です。
ただ作業の手順や安全愚の使用になれていない一般の方には、やはり屋根上の作業は危険を伴うほか、安全愚を揃える費用もかさむため、基本的に屋根の上への設置は、屋上テラスやバルコニーがある住宅など、作業の安全が確保できる構造の住宅を除き、一般の方が行うことは決しておすすめできません。
BS/CSアンテナの室内への設置は可能?
BS/CSアンテナは、基本的に屋外に設置されますが、条件が揃っていれば室内に設置できるケースもあります。
室内設置が可能な条件としては、
- 室内に南西方向を向いた窓があること。
- その窓のガラスが衛星放送の電波を通しやすいシンプルな一枚板の透明ガラスであること。
- その窓に十分な大きさがあり、窓から見て東経110度のに障害物がないこと。
などが挙げられます。このような窓があれば、窓の前に、室内設置用のスタンドに固定したBS/CSアンテナを据え置きし、上記と同じ手順で同軸ケーブルの接続、角度調整を行うことで、室内への設置が実現できます。
しかし一般的には、BS/CSアンテナの室内設置は、電波が窓を通る分、受信感度が低下しやすい。また誤ってアンテナに触れることで角度が狂いやすいなどのデメリットもあるため、基本的にはあまりおすすめできる方法ではございません。
BS/CSアンテナの室内設置については、以下の各コラム記事でもより詳しい方法をご紹介しております。
・BS放送、CS放送を視聴する衛星放送用テレビアンテナを室内に設置する方法とその条件、おすすめの設置用製品とは?
・室内に衛星放送用のBS/CSアンテナを設置してBS放送、CS放送のテレビ番組を観る方法、5大チェックポイント解説!
BS/CSアンテナの方向調整:最適な角度を見つけるコツ
BS/CSアンテナの受信性能を確保するためには、東経110度の方向に向けた、的確な方向調整が不可欠です。ただ仰角、方位角の双方をミリ単位で正確に調整する必要があり、わずかな角度のずれが生じても、受信感度の低下による映像の乱れにつながってくるため、手間のかかる作業になります。
ここではBS/CSアンテナの設置にあたって、東経110度に向けた最適な角度を手早く見つけるための便利なツールと調整方法を解説してまいります。
スマートフォンアプリで簡単調整
現在ではスマートフォンアプリで、BS/CSアンテナを向けるべき仰角、方位角を示してくれる便利なツールも登場しています。これらのアプリは、スマートフォンのGPS機能などを利用して、アンテナを向けるべき方向を視覚的に示してくれます。その代表的なアプリが、日本アンテナ社が無償で提供する「BSコンパス」です。
このアプリでは、アンテナを設置する地域に合わせて、画面上のインジケーターやコンパスで、BS/CSアンテナを調整すべき仰角、方位角の方向を示してくれるため、画面の指示に合わせてスマートフォンをアンテナのディッシュにあてがうことで、手早く的確な手順でアンテナ角度を調整できます。
以下、BSコンパスを中心に、これらアプリの主な使い方をご説明してまいります。
スマートフォンアプリの使い方:
- スマートフォンなどの端末にBS/CSアンテナ調整アプリをインストールします。
- アプリを起動し、GPS機能をオンにします。
- アプリの指示に従い、現在地の設定を行います。
- アプリの指示に合わせて、画面上に表示されるコンパスなどが示す方向にアンテナの角度を合わせ、受信レベルを確認しながら調整を行ってゆきます。
スマートフォンアプリのメリット:
- 画面を見るだけで手軽に方向調整ができる。
- 調整すべき角度が視覚的に分かりやすい。
- 特別な工具などが不要。
スマートフォンアプリの注意点:
- 現場に最適のBS/CSアンテナ仰角、方位角を示してくれますが、受信感度を最大にするには、そこから現場ごとにより正確な微調整が必要となります。
総じてスマートフォンアプリは、それだけで完璧な角度調整ができるというものではありませんが、お住まいのエリアごとに、角度の微調整にいたるまでの的確な角度を示してくれるため、アンテナ角度調整の手間を大幅に簡略化してくれる非常に便利なツールと言えます。
BS/CSアンテナの角度調整に関係する指向性と「BSコンパス」などのアプリについては、以下の各コラム記事でもくわしくご説明しております。
・BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!
アンテナレベルチェッカーの使い方
もうひとつ、より正確な角度調整に役立つツールが、BS/CSアンテナ用の簡易アンテナレベルチェッカーです。
アンテナレベルチェッカーは、プロ仕様のものでは数万円の価格になる他、使用方法や表示の内容が複雑で、専門知識がない方には扱いが難しいこともございます。
ただ簡易型のBS/CSアンテナレベルチェッカーは、アンテナとテレビをつなぐケーブルの間に接続することで、ケーブルを伝わる電波レベルを即座に確認できます。
BS/CSアンテナの受信レベルはテレビのBSアンテナレベル画面でも確認できますが、角度調整から画面に反映されるまでに数秒のタイムラグがあるため、角度調整ではわずかに角度を動かした後、数秒待ってBSアンテナレベル画面を確認するといった、非常に根気のいる作業が必要となります。またアンテナとテレビの場所が離れている場合は、一人でアンテナレベルを確認しながら角度調整を行うことが難しい場合もございます。
対してアンテナレベルチェッカーでは、アンテナの手元に設置することで、ケーブルを伝わる電波レベルが即座に反映されて確認できるため、受信レベルが最大になる角度を手早く正確に確認しやすくなります。
ここでは、簡易的なBSCSアンテナレベルチェッカーの使い方を解説してまいります。
- 準備: アンテナレベルチェッカーと、BS/CSアンテナに接続するための同軸ケーブルを用意します。
- 接続: BS/CSアンテナから出ている同軸ケーブルを、アンテナレベルチェッカーの入力端子に接続します。そしてアンテナレベルチェッカーの出力端子から、テレビまたはチューナーのBS/CSアンテナ入力端子へ、もう一本の同軸ケーブルで接続します。
- 電源: アンテナレベルチェッカーに電源が必要な場合は、電源を入れます。
- 調整: アンテナの角度(仰角および方位角)を少しずつ動かしながら、アンテナレベルチェッカーの目盛りなどの数値を読み取ります。数値がもっとも高くなる点が、最適な角度といえます。
- 固定: 仰角、方位角とも最適な角度が見つかったら、その角度でアンテナをしっかりと固定します。
ポイント:
- アンテナレベルチェッカーに感度調整機能がある場合は、最初は感度を最大にして、徐々に下げていくと調整しやすくなります。
- アンテナの角度調整は、晴れた日に行うのがおすすめです。悪天候時は電波が減衰し、正確な調整が難しくなる場合があります。
BS/CSアンテナ用の簡易レベルチェッカーは、価格的にも1,000円台で購入できますので、DIYで設置を考えられている方は、設置後の再調整のためにも、ひとつ購入されるのも有効な選択肢といえます。
地域別!BS/CSアンテナの角度調整の目安
BS/CSアンテナを向けるべき東経110度の角度は、日本国内でも地域によって正確な角度が異なってまいります。これは、静止衛星の位置は東経110度にあたる空の一点ですが、日本列島は東西に長く、南北にも幅があるため、各地によって、東経110度を指す角度に差が出てくるためです。
ここでは、日本国内の主要な地域におけるBS/CSアンテナの角度調整の目安をご紹介いたします。
BS/CSアンテナ設置に必要な工具・材料
工具・材料 | 用途 | 備考 |
---|---|---|
BS/CSアンテナ本体 | 衛星放送を受信するアンテナ本体。 | 基本的に45型モデルで、カラーバリエーションや高耐風モデルなど、お好みの機器をお選びください。 |
アンテナ固定金具 | アンテナをベランダなどに固定する機材。 | 設置場所に合わせた適切な種類をお選びください。 |
同軸ケーブル | アンテナとテレビを接続するケーブル。 | 長さと4K8Kに対応できる品質に注意してお選びください。 |
防水キャップ | ケーブルの接続部分を雨水から保護するキャップ。 | 必須の部材ですが、アンテナ本体やケーブルに付属することも多くなります。 |
F型接栓 | 同軸ケーブルとアンテナ、テレビを接続する。 | ケーブルや接続端子に合ったものをお選びください。 |
スパナ、レンチ | アンテナの組み立てや固定に使用する工具。 | 機材のボルトのサイズに合うものをご用意ください。 |
ドライバー | ネジを締め、緩める工具。 | 各サイズのプラス、マイナスドライバーをご用意ください。 |
ニッパー、カッター | 同軸ケーブルの加工などに使用。 | ケーブルの被覆を剥く際などに使用します。 |
アンテナレベルチェッカー | アンテナの受信レベルを確認。 | なくても大丈夫ですが、あると作業が楽になります。 |
BSコンパスアプリ | 東経110度の方向を確認する。 | お手持ちのスマートフォンなどにインストールしてご利用ください。 |
脚立 | 高所作業時に使用する。 | 安全に配慮してご使用ください。 |
※上記はあくまで目安であり、実際の角度は設置場所の環境によっても異なります。
ポイント:
- 上記はあくまで国内でも一部エリアにおける目安の角度です。実際には、各都道府県や都市によっても正確な角度は異なってまいります。さらに現場ごとに、アンテナレベルチェッカーやスマートフォンアプリなども使用して、最適な角度を微調整する必要もございます。
- 周囲に高い建物などの障害物がある場合は、衛星放送の電波が遮られる可能性があるため、角度調整の際に考慮する必要がございます。
- 上記にない都道府県や都市における正確な仰角、方位角の目安は、インターネット上のサイトでも確認できる他、BS/CSアンテナには、角度調整部に各エリアごとの仰角、方位角の目安が記されている製品もございます。
これらのツールや調整方法を活用して、BS/CSアンテナの最適な角度を割り出してください。
BS/CSアンテナのトラブルシューティング:映らない時の対処法
せっかくBS/CSアンテナを設置したのに、テレビが映らなくてお困りの際には、まずはあわてずに原因を特定して、適切な対処を行ってください。ここでは、BS/CSアンテナで衛星放送のテレビ番組が映らない場合に考えられる原因と、その対処法をステップごとに解説してゆきます。
衛星放送の不具合で考えられる原因をチェックリストで確認
まずは以下のチェックリストにて、考えられる原因をひとつずつ確認していってください。
BS/CSアンテナ 受信不良時のチェックポイントと対処法
チェック項目 | 詳細 | 対処法 |
---|---|---|
アンテナの角度 | 強風や老朽化などでアンテナの角度がズレていないか。 | アンテナの角度を再調整する(後述)。 |
ケーブルの接続 | アンテナケーブルが端子にしっかりと接続されているか。 | ケーブルの接続を確認し、緩んでいる場合は締め直す。 |
ケーブルの劣化・損傷 | ケーブルや接続部が劣化、または損傷していないか。 | 新しいケーブルや端子に交換する。 |
ブースターの電源 | ブースターを使用している場合、電源が入っているか。 | ブースターの電源を確認し、入っていない場合は入れる。 |
テレビの設定 | テレビのBS電源設定などが正しく行われているか。 | テレビのマニュアルを確認し、設定を見直す。 |
アンテナの故障 | アンテナ自体が故障していないか。 | アンテナの近くで受信レベルを測る。メーカーに問い合わせる。 |
天候不良 | 大雨や雪などの悪天候ではないか。 | 天候の回復を待つ。 |
電波障害 | 近くに高い建物が建つなど、電波障害が発生していないか。 | アンテナの位置を変更する、または専門業者に相談する。 |
配線、ケーブルの接続確認
BS/CSアンテナでテレビが映らない原因として、最も多いのが配線やケーブルの接続不良です。以下の点を確認し、必要に応じて修正してください。
- アンテナとテレビの接続:アンテナコンセントからテレビまでのケーブルが、しっかりと接続されているか、端子部が汚れていないかを確認し、問題があれば解消します。
- ケーブルの緩み:接続端子の部分が緩んでいる場合は、しっかりと締め直してください。
- ケーブルの断線・劣化:ケーブルに傷や折れ曲がりがないか確認します。もし断線や劣化が見られる場合は、新しいケーブルに交換してください。ケーブルの被膜が破れて内部被膜などが見えてくると、配線のショートやノイズの混入が生じてテレビ放送が映らなくなることがあります。
- ケーブルが衛星放送、4K8K放送に対応しているか:使用するケーブルが、衛星放送の右旋、左旋の周波数帯に対応できない製品では、電波の漏洩、ノイズの混入が生じて衛星放送が映らなくなる場合があります。
- 分波器の確認:テレビの前で分波器(一本のケーブルに混合された地デジ、衛星放送の電波を分離する機器)を使用している場合は、それぞれの接続が正しいかを確認します。
BS/CSアンテナの角度を再調整
ここまででも繰り返しご説明した通り、BS/CSアンテナはディッシュの角度が少しずれただけでも、受信感度が大きく低下し、衛星放送が映らなくなる場合があります。以下の方法で、アンテナの角度を再調整してください。
- アンテナレベルの確認:テレビの設定画面からアンテナレベルを確認し、受信レベルが最大になるようにアンテナの角度を調整します。アンテナチェッカーをお持ちなら、利用されるのもよろしいでしょう。
- 水平方向(方位角)の調整:アンテナを左右に少しずつ動かし、受信レベルがもっとも高くなる位置を探します。
- 垂直方向(仰角)の調整:アンテナを上下に少しずつ動かし、受信レベルがもっとも高くなる位置を探します。
- 固定: 受信レベルが最大値になる位置が見つかったら、アンテナをしっかりと固定しまてくだい。
アンテナの角度調整についての詳細は、ここまででご紹介した関連の各項目もあらためてご確認ください、
ブースターの活用
アンテナレベルが低い場合や、アンテナからテレビまでのケーブルが長く減衰が大きくなる場合は、室内用ブースターやラインブースターなどの機器を使用することで、電波レベルを増幅そて受信レベルを上げることができます。ブースターには電源が必要なため、以下の点を確認してください。
- 電源の接続:ブースターの電源アダプターがコンセントにしっかりと接続されているか、またラインブースターでは、テレビ側のBS電源設定が行われているかを確認します。
- 電源ランプ:ブースターに電源ランプがある場合は、点灯しているか確認します。
- ゲイン調整: ブースターにゲイン(電波の増幅量)の調整機能がある場合は、適切なレベルに調整してください。
ブースターに関する詳細は、以下の各コラム記事にも解説がございます。
・テレビアンテナに「ブースター」は必須の機器なのか? その種類と性能、必要なケースを解説【地デジ設置・あさひアンテナ】
・テレビの映りが悪い時に使うアンテナブースターとは? 屋外用・屋内用ブースターの違いと症状別の選び方を徹底解説!
メーカーへの問い合わせ
上記の方法を試しても状況が改善しない場合は、アンテナ本体の故障や、周辺環境の影響などが考えられます。ご自身で判断なさらずに、アンテナのメーカーや購入店、またはアンテナ工事の専門業者など、アンテナの専門家に問い合わせて、確認してもらうことをおすすめいたします。
BS/CSアンテナのよくある質問:Q&A形式で疑問を解消
ここでは、BS/CSアンテナの取付に関してお問い合わせの多い、いわゆる「よくある質問」について、上記したことのまとめも含めて、完結にお答えしてゆきます。
Q:BS/CSアンテナはどのくらいの種類があるの?
一般的なBS/CSアンテナは、基本的にBS/110度CSアンテナの一種類です。その中でも、一般家庭向けの45型の他、50型や60型から120型まで、集合住宅向けにディッシュが大型で受信性能が高いモデルも存在します。
受信できる放送の種類では、現在のBS/CSアンテナはすべて2K衛星放送と新4K8K衛星放送を受信できる「2K4K8K(右旋・左旋)対応型」ですが、2018年以前の機種には、新4K8K衛星放送に対応できない「2K(右旋)対応型」も存在します。
またCS放送でも、東経124度、128度の静止衛星を使用する「プレミアムサービス」の受信用には、BS/110度CSアンテナとは別個に「プレミアムサービス専用アンテナ」や、BS含む110度、124度、128度、すべての静止衛星からの放送を受信できる「マルチアンテナ」も存在します。
衛星放送初期のアンテナには、BS放送のみを受信する「BSアンテナ」が存在したほか、現在でも集合住宅向けのアンテナには、需要に応じてCS放送のみに対応する「CSアンテナ」も存在します。
一般住宅向けの45型BS/CSアンテナには、太陽光に強い特殊な塗装のカラーバリエーションモデル。設計の工夫により強風対策を施した高耐風BS/CSアンテナなども存在します。
またパラボラアンテナ以外の衛星放送用アンテナとしては、車載用のアンテナやアウトドア用のボックスタイプも存在しますが、このようなアンテナはさほど一般的なものとはも言えません。
ご自宅の環境やご要望、ご覧になりたい放送に合わせて、最適といえるBS/CSアンテナをお選びください。
Q:新4K8K衛星放送を見るにはどうすればいい?
- 新4K8K衛星放送を視聴するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 4K、8Kテレビまたはチューナー:4K8K放送を該当の画質で受信・表示できるテレビ機器が必要です。
- 2K4K8K対応BS/CSアンテナ:現在、市販されているBS/CSアンテナはほとんどすべてが4K8K放送(左旋放送)に対応しております。
- 4K8K(3442MHz)対応ブースター、分配器、同軸ケーブル:アンテナからテレビまでを接続するすべての機器が、4K8K放送(左旋放送)の周波数帯に対応している必要がございます。
これらの条件を満たすことで、高精細な新4K8K衛星放送をすべて楽しむことができます。
ただ2025年現在では、2K衛星放送と主要な4K放送(BS放送のNHK、広域民放4Kチャンネル)は右旋放送に当たるため、旧来の2K(右旋)対応BS/CSアンテナや配線部の設備でも視聴できます。現状の左旋放送は、BS放送の一部無料、有料チャンネルのみなので、これらのチャンネルをご覧にならない場合は、現状では特に新4K8K衛星放送(左旋)対応のアンテナや配線部に交換する必要はないとも言えます。
Q:BS/CSアンテナの寿命や交換時期は?
- BS/CSアンテナの寿命は、設置場所や環境によって異なりますが、一般的な屋外設置では10年程度が目安とされています。ただし台風や豪雪など自然災害の影響を受けやすい現場では、より短い期間で劣化が進むこともあります。
お住まいの衛星放送で以下のような症状が見られる場合は、アンテナの交換を検討しましょう。
- テレビの映りが悪くなった。
- 特定のチャンネルが映らなくなった。
- アンテナ本体にサビや破損などが見られる。
BS/CSアンテナの構造や受信性能は、同じ45型であればどの製品でも大きな違いはありませんが、その品質はメーカーによって違ってまいります。BS/CSアンテナでは、日本三大アンテナメーカーであるDXアンテナ、マスプロ電工、日本アンテナか、この三社に匹敵する大手メーカー、サン電子の製品であれば、品室に信頼が置けます。
BS/CSアンテナの寿命や交換時期については、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
・衛星放送用BS/CSテレビアンテナの寿命は何年? 取り付けから約10年後の交換工事の時期や映らなくなった時の対処法を解説
・テレビアンテナの寿命と交換時期は? 地デジ・衛星放送別に必要な工事を徹底解説!
・BS/CS衛星放送や地デジ用アンテナの寿命と交換時期は何年? 取り付けから約10年でテレビが映らない時の対処法を解説!
・ご自宅に設置されているテレビアンテナを交換する時とは? 工事にかかる費用の相場はいくらか、また工事を進める方法を解説!
Q:BS/CSアンテナのメンテナンス方法は?
- BS/CSアンテナに限らず、テレビアンテナは定期的にメンテナンスを行うことで、その寿命を延ばし、良好な受信状態を維持することにつながります。主なメンテナンス方法は以下の通りです。
- 清掃:アンテナ表面に付着した汚れやホコリを、柔らかい布で拭き取ります。特に降雨後や黄砂の時期などは、汚れが蓄積しやすいので注意が必要です。
- サビ対策:アンテナ本体や固定金具にサビが発生していないか確認し、サビを見つけたら早めに除去してください。市販のサビ止めスプレーなどを塗布するのも効果的です。
- ケーブルの点検:アンテナとテレビを繋ぐケーブルに、亀裂や劣化がないかを確認します。必要に応じて、ケーブルを交換してください。
- 角度調整:強風や地震などでアンテナの角度がずれていないか確認します。角度がずれている場合は、再度調整を行いましょう。
これらのメンテナンスを定期的に行うことで、BS/CSアンテナを長く快適に使用することができます。
なお、BS/CSアンテナのメンテナンスをご自宅で行う場合は、ベランダの手すり部など、安全に作業を行える場合のみに限ってください。屋根の上などに設置されたBS/CSアンテナの場合は、メンテナンスの作業にも危険が伴うため、必ずアンテナ工事の専門業者などにご依頼くださいませ。
Q:悪天候時のBS/CSアンテナへの対策は?
- 豪雨や降雪などの悪天候時は、静止衛星からの電波が乱れてBS/CSアンテナの受信感度が低下し、衛星放送の映りが悪くなることがあります。また雨や雪、強風などは、アンテナ本体にも角度のズレや老朽化などの悪影響を及ぼします。
これら悪天候への対策としては、以下のような方法が挙げられます。
- アンテナの防水対策:アンテナ本体やケーブル接続部に、防水テープや専用の防雪カバーなどを取り付けます。
- アンテナの固定強化:強風でアンテナ角度が狂わないように、固定金具をしっかりと固定します。
- 天候の回復を待つ:悪天候が原因で映りが悪い(降雨減衰・降雪減衰)の場合は、天候の回復を待つのがもっとも確実な方法です。一般住宅で50型、60型、75型などやや大型で受信能力の高いBS/CSアンテナを設置することも、降雨、降雪による受信不良の対策になりますが、大型アンテナは取り扱いが難しく、風雨などによる直接的な影響も受けやすくなるためご注意ください。
他にも、前述した高耐風モデルのBS/CSアンテナを使用することも、悪天候によるアンテナ本体へのダメージ対策になり、寿命の長期化にもつながりますので、交換や新規設置の際にはご検討されるとよろしいでしょう。
なお、BS/CSアンテナの降雨、降雪などへの対策については、以下の各コラム記事でもくわしくご紹介しております。
・雨や雪が降るとBS、CSの衛星放送が映らなくなる原因と衛星放送用テレビアンテナを調整して映るようにする対処方法とは?
・降雪や積雪の影響で地デジ、BS/CSのテレビ放送が映らなくなるトラブル対策になるアンテナ工事の方法とは?
集合住宅でのBS/CSアンテナ設置:注意点と対策
マンションなどの集合住宅や賃貸物件でBS/CSアンテナを設置する場合には、一戸建てとは異なる注意点があります。特に物件の所有者に無許可でのアンテナ設置工事はトラブルの原因となるため、以下のポイントを必ずご確認ください。
管理規約、契約内容の確認は必須!
まず、マンションやアパートの契約内容、管理規約を確認することがもっとも重要です。契約内容には、アンテナ設置など、工事に関する規定が明記されている場合があり、ほとんどの場合、アンテナ設置などの無断で物件を加工する工事は禁止されています。契約や規約を無視して無断でアンテナを設置した場合、撤去を求められるだけでなく、物件の破損部などに関して損害賠償請求を受ける可能性もあります。必ず事前に契約書や管理規約を確認し、アンテナ設置を含む工事に関する規定について確認してください。
共用アンテナの有無を確認
集合住宅によっては、BS/CS放送を受信するための共用アンテナがすでに設置されている場合がございます。共用アンテナが設置されている場合、各部屋で個別にアンテナを設置する必要はありません。共用アンテナの有無は、大家さんや管理会社に確認することがもっとも確実です。
共用アンテナが設置されているにも関わらず、個別にアンテナを設置したい場合は、管理会社に許可を得る必要があります。ただし物件によっては、個別のアンテナ設置が認められない場合もあります。
アンテナ個人設置の許可を得る
管理規約でアンテナ設置が禁止されていない場合でも、必ず事前に管理会社や大家さんにアンテナ取り付けに関して相談し、許可を得ておいてください。許可を得る際には、以下の点を明確に伝えることが重要です。
- アンテナの種類。(BS/CSアンテナであること)
- 設置場所。(ベランダなど)
- 設置方法。(ベランダの手すりに固定するなど)
- 配線方法。(既存の配線を利用するなど)
設置方法によっては、建物の外装を損ねたり、他の入居者の迷惑になったりする可能性もあるため、許可が得られない場合があります。また退去時のアンテナ撤去に関する取り決めも確認しておきましょう。
設置場所の制限と対策
集合住宅では、アンテナの設置場所が制限される場合がございます。例えば、以下のようなケースが考えられます。
- ベランダの方角が悪い。(東経110度に向いていない)
- ベランダに十分なスペースがない。
- 強風の影響を受けやすい場所である。
- 景観を損ねるため、目立たない場所に設置する必要がある。
またアンテナケーブルの配線にも注意が必要です。ケーブルが外壁を這うように配線すると、美観を損ねるだけでなく、雨風による劣化も早まります。できるだけ目立たないように配線し、必要に応じてケーブルカバーなども使用しましょう。
集合住宅、賃貸物件でのBS/CSアンテナ設置は、事前の確認と対策が重要です。契約内容や管理規約を遵守し、管理会社や大家さんの許可を得て、安全かつ住宅の外装などを損ねない設置を心がけてください。
まとめ:BS/CSアンテナで快適なテレビライフを!
この記事では、BS/CSアンテナや衛星放送の基本から受信の仕組み。BS/CSアンテナ各種と受信できる放送の種類や、アンテナの選び方や設置方法。またDIY設置や調整、トラブルシューティングの情報。集合住宅にDIYで設置する場合の注意点まで、幅広く解説してまいりました。
BS/CSアンテナの種類や性質を正しく理解して、適切な方法で設置、調整することで、地デジ放送よりもチャンネル、内容とも豊富なBS放送、CS放送、新4K8K衛星放送を、末永く安定して楽しんでいただくことができます。
本文では紹介できなかったBS/CSアンテナ設置工事の流れや工事費用、注意すべきポイントや、工事業者の選び方などについては、以下の各コラム記事で詳しくご紹介しております。
・衛星放送を視聴できるBS放送、CS放送用アンテナ設置工事とは?工事の選び方をケース別に解説、業者による費用の相場も紹介!
・戸建て住宅で新しくテレビアンテナを取り付ける際に考えるべきポイントとチェックすべき流れとは? 工事の費用相場も解説
・住宅でBS/CSテレビアンテナを屋外の見えない位置に設置する方法は? ベランダ内などに隠して設置できる会社や注意点を解説
・テレビアンテナ工事の専門業者は他の業者とどう違う? 技術から費用の相場まで比較しておすすめ業者の選び方を徹底解説!
もし、BS/CSアンテナの設置や調整にご不明、ご不安な点がおありの場合は、アンテナ工事の専門業者にご依頼になることも、ご検討ください。プロの技術による確実な設置と調整で、最適のアンテナ設置をサポートしてくれます。
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