衛星放送用BS/CSテレビアンテナの寿命は何年? 取り付けから約10年後の交換工事の時期や映らなくなった時の対処法を解説

2023年04月28日

住宅の外部に設置され、BS放送、CS放送など衛星放送を受信するBS/CSテレビアンテナの寿命について、設置からおよそ何年で寿命を迎えるのか? どのような状態ならアンテナ交換が必要なのか? またたった今、衛星放送が見られなくなった、映らなくなった場合の対処方法など、実際の事例を参考に、状況に応じた適切な対処の方法を紹介、解説いたします。

21世紀、令和の現在でも、地デジ(地上デジタル放送)や、衛星放送(BS放送、CS放送)のテレビ番組を視聴する方法としては、やはり各種テレビアンテナの設置が、もっとも一般的な方法になります。
地デジやBS/CSアンテナをいったん取り付ければ、無料チャンネルであれば毎月の視聴料金なども必要なく、アンテナが機能する限り、長年にわたって安定して、無料でテレビ放送を視聴し続けることができる点が、テレビアンテナ最大の魅力です。

ただそこで気になるのは、それではテレビアンテナの寿命とは、およそ何年程度になるのか、といった点だと思われます。
そこで当コラムでは、テレビアンテナの中でも、BS、CSの衛星放送を受信するパラボラアンテナ、BS/CSアンテナの寿命についてご説明してまいります。

BS/CSアンテナの寿命の目安となる一般的な耐用年数から、寿命を過ぎて老朽化が進んだアンテナで発生しやすいトラブル。またアンテナの寿命を延ばすために有効な対処法。さらにBS/CSアンテナの寿命とは直接的な関係がない要因で、衛星放送の受信トラブルが発生する主な原因と、その対処法についてご説明いたします。
当コラムをご参考に、BS/CSアンテナの寿命を長く保ち、またその他のトラブルについても適切に対処していただければ幸いに存じます。

目次

衛星放送用BS/CSアンテナ交換の目安となる寿命は何年か?

BS/CSアンテナと衛星放送の基礎知識

現在、一般住宅などで使用される衛星放送の受信用、いわゆるBS/CSアンテナは、アウトドア用などの特殊なモデルを除けば、基本的にパラボラアンテナの1種類のみです。
なお当記事では基本的に、4K8Kチャンネルを含むBS放送と110度CS放送「スカパー!」を一基で受信できる、現在の一般的な衛星放送用アンテナ、2K4K8K対応型BS/110度CSアンテナを前提にご説明してまいります。
その他のBS/CSアンテナには、4K8Kチャンネルの多くに対応できない旧式の2K対応BS/110度CSアンテナ。124度128度CS放送「スカパー!プレミアムサービス」に対応するプレミアムサービス専用アンテナ。一基で前述したすべての放送を受信できるマルチアンテナなどもございますが、基本的な構造はどれも同様のパラボアアンテナになります、
パラボラアンテナとは、お皿に似た円盤状の「反射器(放物面反射器)」が本体の多くを占める形のアンテナです。なお「パラボラ(parabola)」とは「放物線」を意味し、反射器の内側が放物曲面を描いていることが由来です。BS/CSアンテナでは反射器を、英語で皿を意味する「ディッシュ(dish)」と呼ぶことが多く、ディッシュアンテナの別名もございます。
BS/CSアンテナの場合は、ディッシュの裏側中心、アンテナ本体を固定する金具の下から延び、ディッシュの真下を経由して、表側の中央に「コンバーター(変換器)」を固定するアームが設置されております。
衛星放送の仕組みは、宇宙空間の赤道軌道上を地球の自転に合わせて周回し、地球上からは空の一点に静止して見える人工衛星「静止衛星」から、地球上の広範囲に放送電波を送信するというものです。
日本の衛星放送には、放送法の区分により、放送衛星を用いるBS放送。通信衛星を用いるCS放送の二種類がございます。ただBS放送と110度CS放送は、どちらも東経110度に位置する静止衛星を利用するため、一基のBS/110度CSアンテナで双方を受信できるのです。
ただCS放送でもプレミアムサービスは、その正式名称の通り、東経124度、128度に位置する静止衛星を利用しているため、こちらを受信するためには、通常のBS/110度CSアンテナとは異なる、プレミアムサービス対応のパラボラアンテナが必要となります。
これら日本の衛星放送では、それぞれの静止衛星から、光に近い直進的な性質をもつ高周波数帯である、マイクロ波の「SHF波(センチメートル派)」でも12GHz(ギガヘルツ)帯の電波を、人工衛星から日本国全域を照らすスポットライトのような形で照射しております。
この12GHz帯の電波を、地上に設置されたBS/CSアンテナのディッシュ部で受け止め、内側の放物局面に反射させて、コンバーターの一次放射器へと集めます。コンバーターでは12GHz帯の電波を、ケーブルでの送信に適したMHz(メガヘルツ)の周波数へと変換して、同軸ケーブル(アンテナケーブル)へと電波を送信します。
この電波を、アンテナの配線部を通じて屋内の各部屋にあるテレビなど受信機器のチューナーへと送ることで、電波の波長が映像信号へと変換され、BS放送、CS放送のテレビ番組が視聴できるのです。
パラボラアンテナは、地デジ放送でも使用されるUHF波(極超短波)より周波数の高いSHF波などの電波に適するため、衛星放送の受信にも利用されます。またBS/CSアンテナは、ブースター内蔵型などを別にした一般的な地デジアンテナとは異なり、コンバーターを作動させるために、配線部のブースターやテレビ機器のチューナー部から給電される電源が必要となります。
なおBS/CSアンテナおよび衛星放送の詳しい解説は、以下の各コラム記事にもございますのでご参照ください。
・衛星放送(BS放送・CS放送)の「テレビ電波」基礎知識

・BS/CSアンテナ(衛星放送用アンテナ)の基礎知識

BS/CSアンテナの寿命とは?

BS/CSアンテナは、一般住宅では、主にディッシュの有効部(電波を受信できる部分)の直径が45センチである45型が使用されます。より高い受信性能が必要な場合や、集合住宅向けの共同受信用BS/CSアンテナとしては、50型、60型、75型、90型、120型など大型のモデルも存在します。
パラボラアンテナであるBS/CSアンテナは、衛星放送の安定した受信のため、屋外でも直射日光を受けやすい南西方向(東経110度)に設置し、人工衛星の方向へとミリ単位で正確に角度を調整する必要がございます。
しかしパラボラアンテナの形状から、風雨や雪など自然環境の影響を受けて劣化しやすい性質もございます。長年、使用したBS/CSアンテナは、自然環境の影響などによるダメージや老朽化が蓄積され、経年劣化による問題を抑えることは難しくなります。
いずれにせよ長年の使用による劣化から、BS/CSアンテナの各部に、受信性能を大きく低下させる不可逆的な劣化が発生した。またはいつ受信性能の低下が生じてもおかしくないほど劣化した状態であれば、すでに寿命と言えます。
特別な耐候性能などがない、一般的なBS/CSアンテナの寿命は、平均して「10年」程度が目安とされております。もちろんこの寿命は、使用するアンテナや施工の品質。また設置する現場の自然環境などにも大きく左右されるため、アンテナによっては、設置から20年以上が過ぎても、大きなトラブルもなく、安定した受信が可能である例も見られます。
ただ設置から10年以上が過ぎたBS/CSアンテナで、受信性能やアンテナの固定に関わる大きなトラブルが発生した場合には、アンテナ本体の老朽化が進行していると見られ、補修を行っても再度のトラブルが頻発する可能性が高いため、アンテナ本体を交換することがおすすめとなります。
ただ一方で、衛星放送の受信不良などトラブルが生じたとしても、その原因はアンテナや配線部の設置方法、また衛星放送の視聴設定などの不具合によるもので、アンテナ自体の寿命は十分にあり、簡単なアンテナ各部の調整などで受信性能が回復する場合もございます。
BS/CSアンテナが寿命を迎えているかどうかは、実際のアンテナの状態を確認しない限り判断できないのが実情といえます。
以下の項では、アンテナが不可逆的な寿命を迎えた場合のトラブル。また逆に寿命前のアンテナで、簡単な修理や調整により受信性能を回復できる軽度のトラブル。さらにアンテナの経年劣化を抑え、BS/CSアンテナの寿命を延ばすことができる工夫について、それぞれご紹介してまいります。

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命と劣化が原因の故障1:アンテナ本体のズレや傾き、倒壊

通常、地デジアンテナ、BS/CSアンテナともに、戸建住宅などへの設置に関しては、屋根の上や壁面、ベランダなどに専用の設置具をしっかりと固定し、そこに頑丈な金属製のマスト(ポール、支柱)を立て、アンテナ本体を強力な金具とボルトで、角度のズレや傾きなどが生じないよう、正確かつ頑丈に取り付けます。このように設置されたテレビアンテナは、激しい風雨や雪、また多少の地震などでも、そう簡単に影響を受けるものではございません。
ただ設置から10年近くが過ぎた各種アンテナでは、アンテナ固定部やボルトの緩みやサビつき、またアンテナ本体や設置具の全体的なサビ、金属疲労などの老朽化により、アンテナ角度のズレや傾き、また設置具そのものが傾くなどの状態も考えられます。特に劣化が進んだアンテナが激しい地震や台風などに見舞われた際には、アンテナ本体や設置具の破損、脱落などから、アンテナの倒壊も考えられます。
地デジアンテナにも指向性(アンテナの特定方向のみで受信性能が高まる性質)があり、地デジアンテナ本体の正面を、電波塔など地デジ電波の方向へと向ける必要がございます。そしてBS/Cアンテナは特に指向性が鋭く、ディッシュ部の正面を、人工衛星の方向である東経110度へと正確に向ける必要がございます。このアンテナ角度がミリ単位でずれた場合でも、ディッシュ部に反射する衛星放送の電波の角度が狂い、コンバーターへと集められなくなるため、衛星放送の受信ができなくなります。
そのため特にBS/CSアンテナの角度調整は重要であり、アンテナ本体や設置具の老朽化によって、角度のずれが生じやすくなった場合には、新しいものへの交換が必要となります。
そしてアンテナそのものだけでなく、マストや設置部の老朽化により、アンテナ全体の傾きが見られる。さらに屋根の上で倒壊しているような場合には、アンテナの落下により重大な物損、人身事故が発生する恐れもございますので、こちらも早急な撤去および、新しいアンテナの再設置が必要となります。
なおアンテナ本体が傾く、倒れるなど大きなトラブルへの対策や、発生した際の対処の方法については、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・屋根の上でテレビアンテナが倒れたときのアンテナ修理工事(前編・原因と対処)

・屋根の上でテレビアンテナが倒れたときのアンテナ修理工事(後編・修理と対策)

・アンテナが倒れたときの対策

・地デジや衛星放送のテレビアンテナが折れた、倒れたといったトラブルが起こる原因と早急な修理を行うための工事方法を徹底解説!

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命と劣化が原因の故障2:コンバーターの故障

前述の通りBS/CSアンテナでは、人工衛星から送信される12GHz帯の電波を、アンテナのコンバーター部で適切な周波数の電波に変換して、ケーブルで送信しております。これは波長が短い12GHz帯の電波をそのままケーブルで送信すると、減衰量が大きくなり、テレビなど機器側まで十分に届かないためです。
そしてこのコンバーターは、電波の周波数を変換する電子機器であるため電源が必要であり、衛星放送の受信時には常に作動していることになります。電子機器は、通電して作動することによって徐々に負荷かかかり、回路などに劣化が生じてまいります。
したがって設置から長年を経たBS/CSアンテナは、コンバーターが機能的な寿命を迎え、通電しても作動しないことがございます。そうなると12GHz帯の電波を変換できず、適切な周波数の電波を送信できなくなるため、テレビ側に衛星放送の電波が届かないことになります。
このコンバーターの寿命に関しては、一基が100,000円以上のものもある、マンションなどの共同受信用、大型BS/CSアンテナであれば、コンバーター部のみの交換修理を行うこともできます。ただ通常の家庭用45型BS/CSアンテナでは、実売価格が本体のみであれば7,000円程度から購入できることもあり、コンバーターが故障した場合には、アンテナそのものを交換することで対応いたします。

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命と劣化が原因の故障3:ケーブルや接続部の劣化

コンバーターから伸びて屋内の配線部へと通じるアンテナケーブル(同軸ケーブル)も、歳月によって老朽化してまいります。特に劣化することが多いのは、負担のかかりやすいコンバーターとの接続部になりますが、ケーブルの途中でも風雨、気候の影響や折れ曲がりによる断線。また表皮部の劣化による水分などの浸み込みなど、さまざまな劣化の要因がございます。
このように劣化したケーブルでは、断線などにより電波が送信できなくなるだけでなく、ケーブルに外部からのノイズとなる電波が混入して衛星放送の画面が乱れる。また漏洩した衛星放送の電波が、ご自宅のスマートフォンや無線LANなどの電波障害を引き起こすリスクもあるため、できるだけ早期に適切な対処が必要となります。
ケーブルの劣化については、BS/CSアンテナ本体ではなくケーブル交換のみで対応できることもございます。ただやはりBS/CSアンテナの設置から10年以上が過ぎている場合には、アンテナの経年劣化の度合いを確認した上で、場合によってはアンテナごと交換する方が、その後のアンテナトラブルを予防でき、コストパフォーマンスではお得となるケースも多くなります。
またアンテナ本体部のケーブルではなく、アンテナと屋内のテレビなど機器を接続する、ケーブル配線部のブースター、分配器などの機器に老朽化などのトラブルが生じているケースもございます。この場合には該当の機器を交換することで対応いたします。

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命を長持ちさせる方法1:アンテナの対候性を高める

ここからは、BS/CSアンテナの寿命を延ばすポイントをご説明してまいります。
地デジ、BS/CSアンテナともに、経年劣化を進行させて寿命を縮める最大の要因は、やはり気候、天候などの自然環境になります。特にBS/CSアンテナは風雨などを正面から受けやすいパラボラアンテナの形状もあり、台風や大雪が多いエリアでは、毎年のように大きな負担がかかり、通常より老朽化が早まることになります。また海沿いなどのエリアでは潮風による塩害が発生し、アンテナ各部のサビによる劣化が進行しやすくなります。
このように環境が厳しいエリアでは、設置から10年に満たないBS/CSアンテナでも経年劣化が進行し、大きな台風や積雪、また地震などの際には、アンテナ本体が不可に耐えられず吹き飛ばされる、押しつぶされる、倒壊するといったこともございます。
特にこのような自然環境が厳しいエリアで、BS/CSアンテナの劣化を抑えて寿命を延ばすためには、アンテナ本体を含め、さまざまな製品を使用した対候性を高める対策を取る方法がございます。
台風などの風雨に関しては、ディッシュ部がメッシュ仕様などの高耐風BS/CSアンテナの使用で、風によるダメージを大きく抑えることが可能となります。
特にDXアンテナ社製の高耐風2K4K8K対応BS/CSアンテナモデル「BC453SG」は、ディッシュ面に多数のパンチ穴をもつ「パンチングメタル仕様」で風を通して風圧を抑える。さらに適合マストや設置部も強力に改良。設置部やコンバーターアームなど各部の固定も強化することで、従来モデルをはるかに上回る「耐風速70m/s」の耐風性能を実現しており、台風の多い地域などでもおすすめのモデルです。
また雨や雪に関しては、アンテナ表面を防水、離雪スプレーでしっかり加工する。雪であれば、BS/CSアンテナに雪除けの専用カバーを設置する方法もございます。特に雪は、水分や凍結でアンテナ本体にダメージを与えるだけでなく、アンテナ表面に雪が付着することで、電波を吸収して受信不良の原因にもなりますので、対策が重要となります。集合住宅向け共同受信用の大型BS/CSアンテナでは、熱による融雪装置を内蔵したモデルもございます。
塩害に関しても、素材の工夫などでサビが進みにくい塩害用のアンテナ本体や設置具などがございます。このような製品によりアンテナ本体の対候性を高めることで、アンテナに蓄積するダメージを軽減し、アンテナ寿命を延ばすことにもつながります。
なお高耐風BS/CSアンテナ「BC453SG」のご紹介をはじめ、各種アンテナの自然環境への対策、またトラブル時の対処については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・台風対策に最適! 究極の高耐風BS110度CSアンテナ「BC453SG」(DXアンテナ)

・アンテナ設置工事の台風対策。テレビが映らない、アンテナが倒れるなどの原因と対処方は?

・雪の影響でテレビ放送が映らない対策となる地デジ、BS/CSアンテナ工事

・地デジ、BS/CSテレビアンテナの落雷や積雪、鳥の糞害対策は? 映らなくなる原因と防止法、対策となる設置工事

・台風や大雪、地震により起こりえるテレビアンテナのトラブルとその対策

・雷で起こりえるテレビアンテナのトラブルとその対策

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命を長持ちさせる方法2:アンテナの設置場所を工夫する

BS/CSアンテナ本体や設置部材に対候性を高める工夫を施す他にも、住宅内でアンテナの設置位置を工夫することで、風雨や雪などを避けやすくなり、アンテナ寿命の長期化につながることもございます。
ただ地デジ放送の地デジ電波は、波長が40センチから60センチとある程度の長さを持ち、音にやや近い性質から、建物などの障害物にぶつかっても、ある程度は向こう側に回り込むことができる他、金属など電波を通しにくい素材でなければ、減衰は生じるものの、ある程度は住宅の屋根や壁を透過して室内にも届きます。
そのため地デジアンテナは電波の方向さえ向いていれば、比較的、設置位置の自由度は高く、また強電界地域で建材や屋根材などの条件が整っていれば、屋根裏空間へのデザインアンテナ設置。室内アンテナや屋外屋内兼用アンテナの室内設置による受信も可能となります。
ただ衛星放送の12GHz帯の電波は波長が25ミリ程度と短く、前述のように性質が光に近く直進性が高いため、障害物にぶつかった場合には、向こう側に回り込む力が弱く、その時点でほとんど遮断されてしまいます。
そしてその電波を受信するBS/CSアンテナの側も、直進的な電波を送信する人工衛星の方向、主に東経110度(南西)の方向へと正確に向ける必要がある他、アンテナを向けた方向に、12GHz帯の電波を遮断する障害物が存在する場合は、電波を十分に受信できず、衛星放送を視聴できなくなります。
つまりBS/CSアンテナは、電波を遮る障害物のない東経110度の方向へ正確に向けることができる位置に設置する必要があるため、設置できる場所の条件が、地デジアンテナよりも厳しくなるのです。
地デジアンテナで屋根の上などの高所に八木式アンテナやユニコーンアンテナを採用する場合には、同じマストにBS/CSアンテナを設置することが多くなります。この場合、地デジアンテナ、BS/CSアンテナとも、180度と上下への角度調整が自由で、周辺の障害物にも影響されにくいメリットもございますが、一方で風雨などに影響されやすくなるデメリットもございます。
BS/CSアンテナを設置可能で、風雨などを避けやすくなる位置としては、住宅でも東経110度を向けやすい南側、西側の壁面、特に屋根の軒下や、そちらにあるベランダの内外が挙げられます。特にベランダ内部への設置では、空間をやや占有してしまう反面、風雨を避けられる他に、外部からBS/CSアンテナが見えない外観性の高さや、メンテナンスが行いやすくなるメリットもございます。
また設置の条件はやや厳しくなりますが、住宅内に東経110度を向き、その方向に障害物がない窓があり、その窓ガラスが十分な大きさを持つ、シンプルな一枚板の透明ガラスである。窓の前にBS/CSアンテナを据え置きできるスペースがあるなどの条件が揃っていれば、BS/CSアンテナの室内設置も可能になります。
この場合は、屋外用のBS/CSアンテナを専用の自立スタンドに設置して、室内にアンテナを据え置きします。BS/CSアンテナの室内設置も、アンテナが風雨など自然環境にほとんど影響されなくなる他、住宅の外観や外装に影響を与えない。また設置作業が比較的、簡単になるため、DIYでの設置も行いやすいといったメリットがございます。
一方で室内設置の場合は、アンテナから複数のテレビに接続するなど、複雑な配線がやや難しくなる。屋外用のBS/CSアンテナを使用するため、室内のスペースを圧迫する。アンテナを固定せず床に置くだけになるため、アンテナに触れることで角度のズレによる受信不良が生じやすい。またガラスを透過するため、電波レベルがやや弱くなるなどのデメリットもございます。
特に一見、透明の窓ガラスに見えても、金属など電波を遮断する素材が含まれている。また二重、三重などの複層ガラスである場合には、電波がガラスを通過できず、室内のBS/CSアンテナでは受信できないこともございますので、注意が必要となります。
なお、戸建て住宅でBS/CSアンテナを設置できる、さまざまな住宅内の位置。また特に室内設置については、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・BS/110度CSアンテナで安定して衛星放送を受信できる設置の場所とアンテナの向きや角度を正確に調整する方法

・自分でDIY取り付けも可能? 衛星放送用BS/CSテレビアンテナのさまざまな設置方法と工事を行う際の注意点

・BS放送、CS放送を視聴する衛星放送用テレビアンテナを室内に設置する方法とその条件、おすすめの設置用製品とは?

・室内に衛星放送用のBS/CSアンテナを設置してBS放送、CS放送のテレビ番組を観る方法、5大チェックポイント解説!

BS/CSアンテナ(衛星放送用)を室内に設置する方法

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命を長持ちさせる方法3:定期的なメンテナンスを行う

地デジアンテナ、BS/CSアンテナともに、その寿命を長期化させるためもっとも有効な方法は、定期的なメンテナンスになります。
メンテナンスにより、アンテナの劣化が大きく進行しないうちにその兆候を確認し、適切な補修や部品交換を行うことで、アンテナの強度や品質を保ち、平均よりも大きく寿命を延ばせる他、故障や倒壊などの大きなトラブルも予防できます。
BS/CSアンテナのメンテナンスを行う目安としては、特に大きなトラブルがなくとも、一般的な寿命とされる10年程度の時点で、一度行っておくといいでしょう。この際に補修などを行いつつアンテナの状態を確認し、周辺環境なども考慮して、また劣化の兆候が出る時期を想定し、次のメンテナンスの時期を決めることをおすすめいたします。
アンテナ工事業者にメンテナンスを依頼した場合の費用は、業者や補修作業、部品交換などの必要によっても変動しますが、おおむね3,000円から10,000円程度です。特にアンテナの設置を担当した業者に依頼する場合は、保証期間中のサービスとして低価格で実施してくれることもございますので、まずはメンテナンスについてお問い合わせされるとよろしいでしょう。

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命前に多い不具合1:アンテナ角度のズレ

前述のようにBS/CSアンテナは、人工衛星が位置する東経110度などの方向へと正確に向ける必要があり、ミリ単位の角度のズレが生じても受信できなくなることがある、非常に指向性が鋭いアンテナです。もっとも技術力が確かなアンテナ工事の専門業者が設置したBS/CSアンテナであれば、長年の使用によって老朽化が進んだか、想定外に激しい台風などの災害を受けた場合でもない限り、そう簡単に角度のズレが生じるものではございません。
ただアンテナ工事が専門ではない、技術の低い業者が設置したBS/CSアンテナや、ご自宅でDIYにてBS/CSアンテナを設置された場合は、設置時のアンテナ角度の微調整や、アンテナの固定が万全ではなく、些細なことでも角度のズレが生じ、受信不良に陥ることもございます。
このような場合は、あらためてアンテナ角度の再調整を行い、しっかりと固定し直すことで、受信性能も回復いたします。
なおアンテナ角度のズレが生じた場合、ご自宅のBS/CSアンテナが、ベランダなど安全に作業できる場所に設置されていれば、ご自宅での角度調整も難しくはございません。ただBS/CSアンテナが屋根の上などの高所に設置されている場合は、角度調整や再固定の作業に大変な危険が伴いますので、アンテナ工事の専門業者にご依頼ください。
またBS/CSアンテナの角度調整については、難しい作業ではないものの、ケーブルに接続して電波状態を確認できるインジケーターなどの機器がない限りは、テレビ側で設定画面などから、BS/CSアンテナのアンテナレベル画面を表示し、受信レベルがもっとも高くなる角度を確認しながら、アンテナ角度を微調整する作業が必要となります。
特にテレビのアンテナレベル画面では、アンテナ角度をミリ単位で微調整した後、その角度の受信レベルが反映されるまでに数秒のタイムラグが生じます。そのため正確な角度調整は、非常に根気がいる作業となります。
この場合もアンテナ工事の専門業者に依頼すれば、専用のアンテナチェッカーなどで正確な電波の方向を割り出し、手早く最適な角度調整を行った上、固定もプロの技術により、滅多なことでは角度のズレが生じないしっかりした施工が期待できます。作業の手間を省き、品質の高いアンテナの再設置を望まれる場合は、いずれにせよアンテナ工事の専門業者に依頼されることが確実と言えるでしょう。
なおBS/CSアンテナの角度調整については、前述の各コラム記事の他、以下の記事も参考になるかと思われます。
・BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命前に多い不具合2:障害物による受信不良

衛星放送の電波は、高周波数の12GHz帯で性質が光に近く、わずかな障害物でも遮断されやすいことはすでにご説明いたしました。
そのためBS/CSアンテナを、東経110度など人工衛星の方向へ向ける場合、その方向に建物や山地をはじめ、歩道橋などの建造物。電柱や樹木をはじめ、樹木の枝や葉、また洗濯物などのささいな障害物が発生しただけでも、受信障害の原因となってまいります。
そのためBS/CSアンテナの設置では、人工衛星の方向へと正確に向けることはもちろん、その方向に電波を遮断する障害物がないこと。さらには季節や状況の変化により、障害物の発生が予想されないことが重要となります。
なおBS/CSアンテナを向けた南西方向に、住宅などの障害物がある場合、アンテナの位置を起点としたその高さに比べ、アンテナと障害物との間の距離がおよそ1.5倍以上、開いていれば、その建物は衛星放送の受信に対して影響はございません。
例を挙げれば、BS/CSアンテナを向けた南西の方向に、アンテナの設置位置より10メートル高い建築物が見える場合、その建築物とアンテナとの間に15メートル以上の距離があれば、衛星放送は問題なく受信できることになります。

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命前に多い不具合3:降雨減衰、降雪減衰やエリアの電波状態による問題

電波には水分に吸収されやすい性質があるため、例えば豪雪地帯などでアンテナに雪がこびりつく、屋根の上の積雪に埋もれるなどすると、テレビ電波の受信性能が低下し、受信障害が発生してまいります。
特に衛星放送に使われる12GHz帯の電波は、波長が25ミリ程度と短いため、地上で雨粒や雪の大きさが25ミリに近くなる激しい豪雨や積雪があると、電波が空中で雨や雪に吸収されてしまい、電波の乱反射も発生して、BS/CSアンテナの側で十分なレベルの電波が受信できず、受信障害が発生してまいります。これが衛星放送の「降雨減衰」「降雪減衰」と呼ばれるものです。
降雨や降雪による減衰は、衛星放送の性質的なものであり、アンテナや機器の不具合とは関係なく発生いたします。
一般のご家庭であれば、通常の45型BS/CSアンテナではなく、50型、60型、75型など、ディッシュがやや大型な分、受信性能が高まるBS/CSアンテナを使用することで、降雨減衰、降雪減衰の影響を抑えることも可能ですが、基本的に降雨や降雪の影響は、天候の回復を待つことが対策となります。
また前述の通り、衛生放送では宇宙空間の静止衛星から、日本国内の全域をライトで照らすような形で、直進的な電波を送信しております。そのため日本国内でも、北部や南端、離島部など、照らされる部分の端に当たり、衛星からの距離がやや遠くなるエリアでは、距離の分だけ電波の減衰が生じ、受信できる衛星放送の電波レベルがやや弱くなります。
このようなエリアでは、一般住宅でもやはり50型から75型など、やや大型のBS/CSアンテナを使用することで、安定した衛星放送の受信が実現できます。
ただいずれの場合も、大型のBS/CSアンテナでは受信感度が高まる分、本体の重量が重くなり、風雨などの影響も受けやすく、アンテナ本体や設置部などの負担が大きくなり、経年劣化も進行しやすくなりますのでご注意ください。
なお降雨減衰、降雪減衰については、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
・雨や雪が降るとBS、CSの衛星放送が映らなくなる原因と衛星放送用テレビアンテナを調整して映るようにする対処方法とは?

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命前に多い不具合4:コンバーターの電源設定ミス

前述の通り、BS/CSアンテナには、人工衛星から送信される12GHz帯の電波を、コンバーターで適切な周波数の電波に変換しているため、電源からの給電が必要となります。その主な電源部は、アンテナ付近の配線部に設置され、電波を増幅するためやはり電源に接続されているブースター。またはテレビ、レコーダーなど受信機器側のチューナー端子から、ケーブルを通じてアンテナ側へと給電される形になっております。
そしてブースター側からBS/CSアンテナに給電する場合には大きな問題はございませんが、テレビやレコーダー側から電源を供給する場合には、二種類の給電方法があり、それぞれ設定の方法や対応できる機器、注意点が変化しますのでご注意ください。
給電方法のうち「常時給電」は、住宅内にある特定の一台のテレビ、レコーダーなどから、アンテナ配線を通じてBS/CSアンテナ側へ常に給電し続ける方法です。
この場合は、電源となるテレビなどの設定画面から「BSアンテナ電源設定」を選択し、設定を「オン」にします。なおこの電源設定の方法や名称などは、機器のメーカー、モデルによって異なるため、機器に付属するマニュアルやメーカーの公式サイトなどをご確認ください。
常時充電の注意点としては、アンテナへ給電する機器の主電源を切ってしまうと、アンテナ側への給電もオフになるため、コンバーターが作動せず、その状態で住宅内の他のテレビなどで衛星放送のチャンネルに合わせても、電波が送信されず衛星放送が視聴できなくなります。
またアンテナ配線部では、アンテナ側からのケーブルを複数のケーブルに分配し、各部屋へと等分の電波レベルに分けた電波を送信する「分配器」に、複数の出力端子の中でも一端子のみで通電(電気を送る)できる「一端子通電型」を使用し、通電できる端子に電源となるテレビなどを接続する必要がございます。
もうひとつの給電方法「オート給電」は、BS/CSアンテナに接続したすべてのテレビ、レコーダーから、衛星放送を視聴する際など、必要なときのみアンテナ側へと給電する方法です。
かつてBS/CSアンテナへの給電方法は常時給電が主流でしたが、この場合は常にアンテナ側へと給電されるため、近年では節電のため、必要なときのみアンテナへと給電するオート給電が主流になっております。
このオート給電の場合は、やはり住宅内で衛星放送を視聴するテレビ、レコーダーなどの機器で、BSアンテナ電源設定から、設定を「オート」などに合わせます。こちらも正確な方法は機器のマニュアルやメーカー公式サイトなどでご確認ください。
またオート給電の場合は、すべての機器から必要な際のみアンテナ側に給電するため、分配器もすべての出力端子で通電できる「全端子通電型」のものを使用する必要がございます。
そしてこの給電方法の設定ミス。またオート給電の設定なのに一端子通電型の分配器を使用しているなど、方式に合わせた設定や機器にミスがあると、BS/CSアンテナに正しく給電されず、テレビ側で衛星放送が受信できないことにもつながります。
この場合は、ご自宅で採用している給電方法を再確認し、方法に合わせた正しい設定や配線、機器を整えることで、BS/CSアンテナ側へと適切に給電でき、衛星放送も視聴できるようになります。
BS/CSアンテナの給電設定や、給電で重要となる分配器の詳細については、以下の各コラム記事をご確認ください。
・BS/CSアンテナには電源が必要? テレビから衛星放送用アンテナに電源設定を行う方法

・ご自宅のすべてのテレビに電波を送る「分配器」とは? その種類と選び方を徹底解説!

・アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い

・テレビアンテナへの分配器の設置で、現場の電波レベルや条件に適した選び方と注意点を徹底解説。分波器や分岐器との違いとは?

・テレビアンテナの分配器の設置・接続、交換方法と注意点

・テレビアンテナの電波を各部屋に分岐する方法は? 分配器と分波器の違い・接続方法や選び方

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命前に多い不具合5:ケーブル配線部やテレビ側のトラブル

すでに少しご説明いたしましたが、地デジ、BS/CSアンテナともに設置する場合には、住宅内の各部屋まで電波を送信するアンテナの配線部に、いくつかの必要な機器が設置されます。
戸建て住宅にBS/CSアンテナを設置する場合、多くは地デジアンテナとセットでの設置になりますが、その場合は、アンテナの付近にまず双方からの電波を送るアンテナケーブルを一本にまとめ、配線をシンプルにする「混合機」という機器。または混合器の機能も備えた「UHF/BSCS混合ブースター」を設置することになります。
「ブースター」とは受信した地デジや衛星放送のテレビ電波を、その住宅で必要な電波レベルに増幅する装置のことで、主に地デジ電波が弱い中電界地域から弱電界地域にかけて。また住宅内で3台以上のテレビなど受信機器を設置する場合に必要となります。
次に、一本化され地デジと衛星放送の電波を送るケーブルを入力端子に接続し、複数の出力端子に接続されたケーブルに、電波レベルを養分に分配して送り出す「分配器」を設置することで、各部屋のアンテナコンセントへとテレビ電波を送信します。
その後、各部屋のテレビなど受信機器の前で、地デジと衛星放送の電波を二本のケーブルに再度、分離する「分波器」を設置し、それぞれのケーブルを地デジと衛星放送のチューナーに接続することで、アンテナ配線は完了します。
これら配線部の機器も、ブースターは電波を増幅する電子機器であるため電源が必要な他、分配器はコンバーターへの給電経路となるため、それぞれの機器で内部の回路に経年劣化が生じてまいります。
ブースターや分配器の寿命もやはり10年程度と言われており、これらの機器にトラブルが生じると、テレビ側に十分なレベルの電波が届かず受信不良の原因となります。そのためこれら機器も、設置からおよそ10年を過ぎた時点で、メンテナンスや必要に応じた交換などが必要となってまいります。
またテレビ本体も、平均的な寿命は10年程度とされており、10年以上にわたって使い続けると、内部基板の劣化などから、テレビ画面が映らないことをはじめ、さまざまなトラブルにいたることもございます。
また地デジ放送やBS/CSデジタル放送の受信機器には、放送番組の著作権保護などを目的とした「B-CASカード」が同梱されており、これを機器のスロットに差し込まないと、地デジや衛星放送のテレビ放送を視聴できません。このB-CASカードの接触不良や、カード本体およびスロットの劣化によっても、機器がB-CASカードを認識できず「E100」「E101」「E102」などのエラーコードが表示されて、テレビ放送が視聴できなくなることもございます。
B-CASカードの不調については、いったんカードを抜いて接触部の汚れを落とし、しっかりと差し直す。またカード自体が故障している場合は、「B-CAS公式サイト」に連絡して交換するなどの対処が必要となってまいります。
総じて、ご自宅のテレビなど機器で突然、BS放送、CS放送などが視聴できなくなった場合は、必ずしもBS/CSアンテナのトラブルとは限らず、これら機器のトラブルである可能性も考慮する必要がございます。
ここでご説明した各機器などの詳細については、前述の記事の他、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・前編(基礎知識編)

・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)

・テレビアンテナの「ブースター」は必ず必要なのか? 【地デジ設置・あさひアンテナ】

・地デジ用と衛星放送用、両方のテレビアンテナ設置で工事コスト軽減のため必要な機器、混合器、分波器とは何なのか?

・テレビ放送(地デジ、衛星放送BS/CS、4K8K)に合わせたテレビアンテナケーブルの種類と選び方、徹底解説!

・テレビ放送や機器に合わせたアンテナケーブル(同軸ケーブル)の種類と選び方、徹底解説!

・戸建住宅におけるテレビアンテナ配線を徹底解説!

・「B-CASカード」の基礎知識とテレビ画面のトラブル

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命前に多い不具合6:新4K8K衛星放送に非対応のアンテナや機器である

新4K8K衛星放送とは、2018年(平成30年)12月1日にスタートした、衛星放送における4K、8K放送です。4K8K放送とは、従来のフルハイビジョン(FHD)である2K放送に対して、4Kは4倍、8Kは16倍の解像度を持つ高精細画質に加え、色彩や色調、動画表現や音質などもさらに向上させて、4K、8Kテレビで受信することで、よりリアルな映像を楽しめるようになったテレビ放送です。
新4K8K衛星放送は、従来のBS放送、CS放送に、それぞれ4K、8K放送のチャンネルが追加されたものです。したがってすでに衛星放送が視聴できる環境であれば、有料チャンネルの契約を除き、特に新たな手続きなどは不要で視聴できます。
ただ注意点として、日本の衛星放送では、従来の2K衛星放送では、右回りの螺旋を描く電波「右旋円偏波」が使われていました。しかし新4K8K衛星放送の導入にあたり、右旋の電波では新しく追加される4K8Kチャンネルに割り当てられる周波数帯に不足が生じました。
そのため、右旋電波の残り周波数には、基幹的な放送であるBS放送のNHK、広域民放の各4Kチャンネルを割り当て、その他の4K8Kチャンネルには、新しく左回りの螺旋を描く「左旋円偏波」を導入し、その周波数帯から割り当てたのです。
この左旋円偏波を受信するには、2018年頃より普及し、現在では市販されるほぼすべてのBS/CSアンテナが該当する、2K4K8K対応型BS/CSアンテナを使用する必要がございます。逆に2018年以前の2K対応BS/CSアンテナでは左旋円偏波を受信できないため、4K8Kチャンネルのうち、BS放送の一部4Kチャンネルを除き、その大半を受信できません。
さらに2K4K8K対応BS/CSアンテナのコンバーターで人工衛星からの12GHz帯の電波を変換する際、右旋の電波は1032MHzから2072MHz帯に。左旋の電波は2224MHzから3224MHz帯に変換されます。
そのため、2K4K8K対応BS/CSアンテナから、住宅内の4K、8Kテレビに4K8Kチャンネルの電波を送る配線部のブースター、分配器などの機器。また場合によってはケーブルそのものが2K衛星放送時代のもので、左旋の電波が変換された周波数に対応していない場合は、やはりテレビなどの受信機器側で、左旋電波のチャンネルを受信できなくなります。
したがって新4K8K衛星放送をすべて受信するためには、BS/CSアンテナも2K4K8K対応型である他、アンテナ配線部のブースター、分配器などの機器、ケーブル類も、すべて4K8K(3224MHz)対応型である必要がございます。
もしご自宅にBS/CSアンテナを設置されていても、新4K8K衛星放送のすべてのチャンネルをご視聴いただけない場合は、アンテナ本体および配線部の設備が、4K8Kチャンネルの多くを占める左旋の電波に対応していない可能性が考えられます。
この場合は、アンテナ本体や配線部をあらためてご確認の上、必要な機器を4K8K放送対応のものに交換することで、すべての4K8K衛星放送チャンネルをご視聴いただけるようになります。
なお新4K8K衛星放送および、BS/CSアンテナ本体はじめ新4K8K衛星放送の電波に対応できるアンテナ機器については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!

・「新4K8K衛星放送」ご視聴に必要な機器・完全チェック解説! テレビで全4K8Kチャンネルを見るための機材とは?

・超高画質!4K・8K放送の魅力と工事について

・2K放送と4K、8K放送の違い

衛星放送用BS/CSアンテナの寿命前に多い不具合7:衛星放送チャンネル契約などのミス

衛星放送であるBS放送、CS放送の特徴のひとつが、有料チャンネルの多さです。BS放送では、NHK、各広域民放などの無料チャンネルの他にも「wowow」「J-sports」などの有料チャンネルがございます。CS放送では約80チャンネルの大半が有料チャンネルであり、多彩なジャンルに細分化された数々の専門チャンネルから、お好きなチャンネルを選んで月額契約することで視聴できます。
ただこれらのチャンネルの契約ミスにより、これまで視聴できていた有料チャンネルが、解約となり視聴できなくなることもございます。
もし解約した覚えのない有料チャンネルが急に視聴できなくなった場合は、支払いに使っていたクレジットカードの期限切れで視聴料金が振り込まれず、解約になった。公式サイトなどの手続きミスで誤って解約してしまった。これまでの無料視聴期間が終了して、有料契約が必要になった、などの要因をご確認ください。
その他、BS/CS放送のチャンネルのみが映らないトラブルに関しては、以下の各コラム記事がご参考になるかと存じます。
・BS・CS放送がテレビで正しく映らない原因と対処法・アンテナの受信から工事を解説

・地デジ放送は映るのにBS/CS衛星放送が映らない場合の対処法

まとめ

どれだけ高い品質を持ち、プロの業者による高い施工技術で強固に設置されたBS/CSアンテナでも、長い年月の間に積み重なる自然環境の影響の前には、確実に経年劣化が進み、いつかは必ず寿命が到達いたします。
ただアンテナを設置する際の、経年劣化を抑える工夫や、設置後のメンテナンスなどを心得けることにより、アンテナの寿命を可能な限り伸ばし、また突発的なアンテナトラブルのリスクを可能な限り抑えることは可能です。
これらアンテナ寿命を延ばすための工夫は、長い目で見れば、長期にわたって安定し、かつ安全にアンテナを利用することができる、コストパフォーマンスの高い対処だといえます。

ご自宅の条件や周辺環境に応じて、BS/CSアンテナや地デジアンテナの経年劣化を抑え、耐用年数を延ばせるアンテナ取り付け工事をお求めのお客様は、まずは当あさひアンテナへとご相談をお寄せください。
弊社では、国産一流メーカーの高性能アンテナや各種部材、防水加工などをセットにして、業界最安に挑む低価格で、各種アンテナ工事をお引き受けいたします。また現地の電波調査、お見積もりも、その他諸費用を含め完全無料でご対応し、気候や経年劣化の対策を含め、現場の条件が許す限り、お客様のご要望に対応できるご提案をいたします。
またアンテナ施工技術への自信の証として、アンテナ工事完了日から数えて業界最長クラスとなる「10年保証」もご用意しておりますので、万が一、想定外の災害などによってアンテナトラブルが発生した際にも、ご安心いただけます。
各種テレビアンテナ設置に関する様々なご相談は、すべて当あさひアンテナにお任せいただければ幸いです。

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アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 25,000円(27,500円税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 22,000円(24,200円税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 18,000円(19,800円税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。