自分でDIY取り付けも可能? 衛星放送用BS/CSテレビアンテナのさまざまな設置方法と工事を行う際の注意点
衛星放送であるBS放送、CS放送を受信するためのパラボラアンテナ、BS/CSアンテナの設置方法について、業者への依頼から自分で取り付けをやってみる場合まで、地デジアンテナとのセット設置から、風雨を避けやすい、外観性の重視など、目的に応じた設置の位置などを解説してゆきます。
近年ではいわゆる地上波デジタル放送(地デジ)だけでなく、いわゆるBS放送、CS放送の「衛星放送」の普及も広まっております。
近年の調査結果では衛星放送の普及率は、日本国内の全世帯のうち7割近くに到達しているともいわれております。衛星放送の魅力は、住宅などに専用のBS/CSパラボラアンテナを取り付けることで、地デジでは視聴できないさまざまなコンテンツを視聴できることです。
チャンネルもBS放送のNHK、広域民放チャンネルなどであれば無料(NHK受信料は除く)でご視聴いただける他、BS、CSともさまざまな有料チャンネルが存在し、最新の映画やドラマ、アニメやスポーツなどから、懐かしの作品、オリジナルコンテンツなどを選択することができます。
さらに近年では「新4K8K衛星放送」もスタートし、ご自宅に4K、8Kテレビと4K8K放送に対応できるBS/CSアンテナやアンテナ設備を用意することで、従来の2Kフルハイビジョンよりも格段に精細で鮮やか、動きもなめらかな映像を楽しむことができます。
現在のテレビ、レコーダーなどのテレビ放送受信機器には、その大半に衛星放送用BSCSチューナーが内蔵されていることもあり、基本的には住宅にBS/CSアンテナを設置するだけで、ご自宅にてBS、CS放送の各種チャンネルをご視聴いただけます。
ただBS/CSアンテナには、地デジのアンテナに比べて、設置できる位置や角度が厳密になる、障害物や悪天候、角度のズレなどで視聴が困難になるなど、さまざまな条件もございます。そのため快適な衛星放送のご視聴のためには、設置後のトラブル回避なども考慮して、最適となる設置位置や方法を選ぶ必要がございます。
当コラムでは、BS/CSアンテナの設置に当たって、受信性能の安定はもちろん、風雨などを避けてアンテナ寿命を延ばす、住宅の外観性を重視する、またDIYでの設置など、さまざまなご要望に対応する設置方法と、その注意点について、2023年(平成5年)の最新情報に基づき、ご説明してまいります。
衛星放送(BS/CS放送)の基礎知識
衛星放送とは、地上からおよそ36,000キロ離れた宇宙空間で、地球の自転と同じ速度で衛星軌道上を周回するため、地上から見れば空の一点に静止しているように見える「静止衛星」から、地上に向けてテレビ電波を送信する形式のテレビ放送です。
人工衛星から地上の広範囲に向けてテレビ電波を送信するため、地上の中継局(電波塔)から地デジ電波を送信する地デジ放送と違って、地上の地形や建築物、また災害などにも影響されにくく、広範囲に向けて効率的に電波を送信できる特徴がございます。
一方、日本における衛星放送の電波は、直進力が強い高周波数の電波を使用しております。この電波はマイクロ波の一種である「SHF(センチメートル)波」のうち、12GHz(ギガヘルツ)前後の電波であることから「12GHz帯」と呼ばれ、その波長の長さは25ミリ前後と非常に短くなります。
12GHz帯の電波は、波長の幅が大きい雨粒や雪の大きさに近くなるため、地上で豪雨や降雪の際には、雨や雪に電波が吸収されてしまい、さらに電波が乱反射するなどによってアンテナで受信できる電波状態が悪化し、衛星放送用のアンテナでは電波が十分に受信できなくなり、画面の乱れや受信不良が生じます。これを「降雨(降雪)減衰」と呼びます。
また地上から見て放送用の人工衛星の位置が一定であるため、人工衛星の位置から地上まで距離が出る日本国内の北部や南端部、離島部などでは、テレビ電波のレベルがやや弱まります。このような衛星放送の降雨減衰、また地域による電波の弱さに関しては、一般的な45型よりやや大きめのBS/CSアンテナ(パラボラアンテナ)を使用することで解消できます。
なお日本の衛星放送については、使用する人工衛星の違いにより「BS放送」「CS放送」の2種類がございます。さらに2018年(平成30年)には、BS放送、CS放送にそれぞれ、従来の2K(フルハイビジョン、FHD)より格段に高画質となる4K放送、8K放送のチャンネルが追加された「新4K8K衛星放送」もはじまっております。
衛星放送については、以下のコラム記事にも詳細がございます。
衛星放送(BS放送・CS放送)の「テレビ電波」基礎知識
衛星放送「BS放送」の基礎知識
BS放送とは、日本の衛星放送でも「放送衛星」を用いた放送です。放送されるチャンネルはNHK、広域民放などの無料(NHK受信料を除く)で視聴できるチャンネルと、「WOWOW」「スターチャンネル」など月額契約方式で視聴できる有料チャンネルがございます。
BS放送の放送衛星は、東経110度の軌道上に位置しております。
衛星放送「CS放送」の基礎知識
CS放送とは、「通信衛星」を使用した日本の衛星放送です。主に「スカパー!」として知られる、東経110度の人工衛星を用いる放送と、東経124度、128度の軌道上に位置する人工衛星を用いた「スカパー!プレミアムサービス」の放送がございます。
放送されるチャンネルは、どちらのサービスも大半が有料チャンネルであり、邦画や洋画、時代劇、テレビドラマ、海外ドラマ、文化、教養など、さまざまなジャンルの専門チャンネルが存在し、視聴者の好みに合わせたチャンネルを選択できることが魅力です。
衛星放送「新4K8K衛星放送」の基礎知識
「新4K8K衛星放送」は、前述のように2018年にスタートした衛星放送の一種ですが、従来のBS放送、CS放送と別個ではなく、それぞれに4K8K対応のチャンネルが追加されたものです。
従来の放送を示す「2K」や「4K」「8K」とは、テレビ放送の画面解像度です。4K放送は、従来の2K放送の4倍の画素数、8Kは2K放送の16倍の画素数があります。この画素数が多いほどより精細な映像を視聴できます。さらに4K、8K放送では、表現できる色彩や色調、動画のなめらかさ、音質なども向上しており、より臨場感あふれるリアルな映像を楽しむことができます。
衛星放送を視聴できる環境であれば、新4K8K衛星放送は、有料チャンネルの視聴料を除けば、追加料金などは不要でご視聴いただけます。ただ新4K8K衛星放送のご視聴には、4K、8Kテレビは勿論、4K8K対応型のBS/CSアンテナおよび、ブースター、分配器などの配線に使用する機器も4K8K対応型が必要となります。
これは、衛星放送で4K8Kチャンネルを追加するにあたり、従来の2K衛星放送に使用されていた電波「右旋円偏波」では、新しく追加される4K、8Kのチャンネルに割り当てられる周波数帯が不足したため、BSの一部4Kチャンネルを除き、新しくより周波数の高い「左旋円偏波」を使用するようになったためです。そのため旧来の2K対応BS/CSアンテナでは、右旋の電波を使用するBSのNHK、広域民放の各4Kチャンネルしか受信できないため、ご注意ください。
なお現在のBS/CSアンテナは、大半が4K8K対応型になっております。
新4K8K衛星放送については、以下のコラム記事もご参照ください。
「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
2K放送と4K、8K放送の違い
超高画質!4K・8K放送の魅力と工事について
衛星放送用のアンテナの種類と特徴
衛星放送を受信するためのBS/CSアンテナは、いわゆるパラボラアンテナとして知られております。
パラボラアンテナは、皿のような形状で電波を受け止め、反射させて中心部に集めるディッシュと、電波を集め、ケーブルで送信するのに適した周波数帯に変換するため、その中心部に置かれるコンバーター、それを支えるアームで構成されるアンテナです。
なお電子機器であるコンバーターを作動させるため、BS/CSアンテナには電源が必要となります。この電源は、アンテナの配線部に設置され、やはり電源に接続されるブースター。またはテレビなど受信機器のチューナー端子から、アンテナ配線を通じて給電されます。
この給電設定については、テレビからの給電では、テレビ機器側で設定を行う必要がある他、アンテナ配線部の分配器も、この給電方法に合わせた機種を使用する必要がございます。
一般的なBS/110度CSアンテナは、同タイプであればメーカー、モデルによる大きな受信性能の差はございません。ただいくつかのバリエーションはございます。
前述のようにBS、CSの電波は、一部地域でやや電波が弱くなることを除けば、基本的に日本全国で受信が可能です。ただ衛星放送用のパラボラアンテナは指向性が高いため、人工衛星が位置する方向へと正確に向ける必要があり、ミリ単位のズレでも受信感度が低下して受信不良に至るケースもございます。
またアンテナから見て人工衛星の方向に山地や建築物、樹木などの遮蔽物がある場合も、電波受信の妨げとなるため、障害物がない位置にアンテナを設置する必要がございます。
BS/CSアンテナについての詳細は、以下の各コラム記事でもご説明しております。
BS/CSアンテナ(衛星放送用アンテナ)の基礎知識
衛星放送用バラボラアンテナ・BS/CSアンテナの種類と選び方とは? 地デジテレビアンテナとの違い、家屋への設置工事を解説
衛星放送用BS/CSアンテナの種類と性能とは? 地デジテレビアンテナとの違い、設置工事の方法から機種の選び方まで解説!
BS/CSアンテナには電源が必要? テレビから衛星放送用アンテナに電源設定を行う方法
衛星放送の種類別BS/CSアンテナ
ここでは受信できる衛星放送別に、BS/CSアンテナの種類をご紹介いたします。
・2K対応BS/CSアンテナ
これは前述の通り、新4K8K衛星放送がはじまる2018年以前に設置されたBS/CSアンテナです。そのため右旋の電波を使用する一部のBS放送4Kチャンネルを除いて、基本的に4K8K放送は受信できません。
・BS/CS(4K8K)アンテナ
2018年以降に使用されている、左旋の電波を受信できるBS/CSアンテナで、新4K8K衛星放送もすべて受信できます。現在では使用されるBS/CSアンテナの大半がこのタイプです。
・BS/124度128度CSアンテナ/マルチアンテナ
前述したCS放送のうち、東経124度、128度の人工衛星を用いるCS放送には、その角度に合わせた専用のパラボラアンテナが必要となります。またこれらの放送に加え、東経110度のBS、CS放送、新4K8K衛星放送もすべて受信できるマルチアンテナも存在します。
大きさ別のBS/CSアンテナの種類
前述の通り、BS/CSアンテナは、ディッシュ部の直径が大きいほど、電波を受信する能力も上がります。
一般住宅向けのディッシュの直径は45型(ディッシュ直径が45センチ)であり、このタイプでも十分な受信性能はございます。
ただ前述のように、アパートなど小規模の集合住宅での共同受信用の他、衛星放送の電波がやや弱いエリア向け。また降雨(降雪)障害への対策としても使用できるBS/CSアンテナとして、50型、60型、75型などのサイズ展開もございます。しかし大型アンテナでは、風雨による影響を受けやすくなるという弱点もございます。
また90型、120型などのBS/CSアンテナもございますが、これらはマンションなど大型集合住宅における共同受信用になり、戸建て住宅ではまず使用されず、価格も10万円以上と高額になってまいります。
BS/CSアンテナの大きさに応じた設置場所
前項でご説明した通り、BS/CSアンテナはディッシュが大きくなるほど受信感度も向上しますが、一方でアンテナの重量も重くなり、取り回しにも手間がかかるなど、設置作業が難しくなります。また設置した後も風雨の影響を受けやすくなります。
一方、戸建て住宅向けとして一般的な45型のBS/CSアンテナは、一般的に1.5キロ前後の重量になりますので、ベランダの手すりなどにDIY設置することも可能です。
半面、50型以上の大型BS/CSアンテナは、設置作業が難しくなる上、風雨の影響を受けてトラブルが発生しないよう、しっかりと固定する必要がございます。そのため大型のBS/CSアンテナは、屋根の上などに固定されたマスト(支柱)に、頑丈な施工で設置する必要があります。屋根の上に八木式アンテナなどの地デジアンテナを設置している場合は、同じマストにBS/CSアンテナも設置できます。
ただ大型で重量のあるBS/CSアンテナを、屋根の上などの高所に設置する作業には大変な危険が伴います。大型のBS/CSアンテナを設置する場合は、専門の技術と知識、そして装備を備えたアンテナ工事の専門業者にご依頼ください。
BS/CSアンテナを設置するときの注意点
BS/CSアンテナで安定した衛星放送の受信を実現するためには、これまでの項にも記しましたが、人工衛星の方向に向けて正確にアンテナを向けること。人工衛星の方向に障害物のない位置に設置すること。そして風雨による位置のズレなどが生じないよう、しっかりと固定することの3点になります。
前述のようにBS/CSアンテナは指向性が高いため、ミリ単位のアンテナ角度のズレでも、受信感度の低下が起こり、その場合にはアンテナ角度の再調整が必要となってまいります。また現場の状況にもよりますが、基本的には周辺の障害物を避けるため、戸建て住宅であれば屋根の上や外壁の高い位置など、なるべく高い位置に設置することが望ましいといえます。
なお障害物に関しては、例えばアンテナを向けた側にアンテナより10メートル高いビルなどの障害物がある場合、そのビルからアンテナが15メートル以上離れているなど、障害物の高さより1.5倍の距離があれば、衛星放送の受信に悪影響は発生いたしません。
また特にBS/CSアンテナは角度のズレなどが生じないよう、しっかりしたアンテナの固定も重要です。強風や台風が多い地域でBS/CSアンテナを設置する場合は、後述する「高耐風モデル」がおすすめと言えます。
地デジアンテナBS/CSアンテナをセットで設置するケース
前述のように、BS/CSアンテナは高所に設置することで、障害物などの影響を避けやすくなります。
また地デジアンテナ機種のうち、魚の骨に似た古典的機種の八木式アンテナ。ポール状の最新機種であるユニコーンアンテナは、屋根の上のマストに設置されることが多いため、このマストの下部にBS/CSアンテナを設置することで、配線などもシンプルにまとまった扱いやすいテレビアンテナ設置を実現できます。
なお地デジ、BS/CSアンテナをセットで設置する場合、住宅内のアンテナコンセントまでの配線には、以下の機器が必要となります。
・混合器/分波器
混合器とは地デジとBS/CS、それぞれのアンテナからのケーブル(電波)を、一本のケーブルにまとめる装置です。この装置でケーブルを一本化することにより、以降の配線や機器をシンプルにして、必要なコストやトラブルのリスクを軽減できます。
なお混合器によって二種類の電波が混合されたケーブルは、各部屋のアンテナコンセント部か、テレビなど受信機器の前で再度、双方の電波を二本のケーブルに分離する分波器に節即します。
こうして再度、分けられたケーブルを、テレビ側の地デジ、衛星放送のチューナー端子にそれぞれ接続することで、地デジ、衛星放送それぞれが視聴できるようになります。
新4K8K衛星放送をご覧になる場合は、4K8Kの電波に対応できる「3442MHz対応型」の混合器、分波器が必要となります。なお近年では混合器とブースターを一体化した機器が使われるケースが多くなります。
・ブースター
ブースターとはアンテナの真下、または屋根裏などに設置される、アンテナが受信したテレビ電波のレベルを増幅する装置のことです。
主に地デジ放送の電波レベルが低い中電界地域から弱電界地域などで使われる機器ですが、現在の戸建て住宅では、屋内に複数のテレビなど受信機器が設置されることが多く、地デジ、BS/CS放送とも、すべてのテレビにいきわたる電波レベルを確保するため、ブースターの設置はほぼ必須となっております。なおブースターには電源が必要となります。
またやはり受信するテレビ電波に合わせて、地デジのみのUHF対応ブースターや、地デジと衛星放送に対応して混合器の機能も持つUHF・BSCS混合ブースター。その3442MHz(4K8K)対応型などの機種がございます。
・分配器
分波器はブースターの先に設置され、一本のケーブルから複数のケーブルへとテレビ電波をタコ足型に分配する装置のことです。
この分配器を通すことで、住宅の各部屋にある複数のアンテナコンセントへと、地デジ、BS/CSの電波を送信します。分配器には2分配器から8分配器まで(7分配を除く)が存在し、通常は必要な分配数に予備の1端子を加えたものが使用されます。
ただ分配器を通すことで、個々の分配先の電波レベルは、例えば3分配であれば3分の1など、分配数で割った形で電波レベルが低くなります。このためまずブースターで、各部屋に十分なレベルの電波が届くよう、電波レベルを増幅する必要があるのです。
なお分配器にも、地デジ対応タイプや、BS/CS、4K8K放送にも対応するタイプなど、対応する電波ごとの違いが存在します。ご自宅で受信するテレビ放送、また将来のアンテナ追加などを考慮した機種を選択する必要がございます。
上記の機器についての詳細は、以下のコラム記事もご参照ください。
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住宅の外観性を重視する場合のBS/CSアンテナの設置方法
BS/CSアンテナは、大きなディッシュに全体が白色系で目立つ外観です。そのため和風建築などの場合、住宅の外観性とマッチしないこともございます。住宅の外観性を重視するBS/CSアンテナ設置方法としては、まず住宅でも目立たない位置に設置する方法と、目立たない本体カラーのBS/CSアンテナを選択する方法がございます。
(目立たない位置へのBS/CSアンテナ設置)
住宅内でもできるだけ目立たない位置にBS/CSアンテナを設置することで、住宅の外観性を保つことができます。
具体的には、屋根でも中心の部分や、段違い屋根の陰。また屋根のすぐ下や見えにくい角度の壁面など、外回りから見えない位置。ベランダの奥、ベランダ下などの位置などが考えられます。
ただ前述のように、BS/CSアンテナには設置する方向や障害物の影響など、設置できる位置に多くの条件が存在するため注意が必要です。
(目立たない色のBS/CSアンテナを選択する)
BS/CSアンテナは基本的に白色系統のパラボラアンテナになります。これはアンテナ本体が太陽光にさらされるため、熱による金属部の歪みや紫外線による劣化を避けやすい色を選んでいるためです。
ただ近年では紫外線に影響されにくい塗装による、黒をはじめとしたBS/CSアンテナのカラーバリエーションも存在します。
ご自宅の外観に適した色のアンテナをお選びいただくことで、住宅の外観性を保つことができます。当あさひアンテナでもブラックのBS/CSアンテナをご用意し、アンテナ本体価格をセットにしたBS/CSアンテナ工事価格でご提供しております。
一部屋でのみ衛星放送を視聴する場合のBS/CSアンテナ設置
すでに地デジアンテナが設置されている戸建て住宅などで、一部屋のみでBS/CS放送をご覧になる場合は、その部屋の近くの窓やベランダなどに、簡単な工事でBS/CSアンテナを設置することもできます。窓の外側やベランダにBS/CSアンテナを設置し、配線を一部屋に引き込んでテレビなどの受信機器と接続するだけですので、ご自宅でのDIY設置も可能となります。
ただ、お住まいが借家や賃貸マンションなどの場合は、無断でアンテナ設置などの工事を行うことは契約違反になるケースもございますので、まずは住宅のオーナー様や管理会社に対して、事前にご相談の上、許可を得るようにしてください。
ご自分でBS/CSアンテナを設置される場合、その設置場所は、自分の足元が確保できるベランダの手すり。また安全に作業できる窓の手すりなどが望ましいといえます。屋根の上や外壁など、高所に設置するしか選択肢がない場合は、危険を伴いますので、アンテナ工事の専門業者へとご依頼ください。
(DIYでのBS/CSアンテナ設置方法)
ここでは、ベランダの手すりにBS/CSアンテナを設置し、室内にあるテレビ一台に接続する場合を例に、DIYでBS/CSアンテナ設置を行う手順をご説明いたします。
・1:ベランダの手すりなどに、BS/CSアンテナの取付金具をしっかりと設置します。アンテナ本体と取付金具がセットになったBS/CSアンテナもございますが、ご購入前にあらかじめ取付金具がご自宅で設置する場所に対応するかをご確認ください。
・2:特に高所での設置の場合は、アンテナ本体を設置する前に、丈夫なロープをアンテナの金具部分などに通し、一方を手すりなどにしっかり結び付けるなどして、アンテナ落下の防止対策を行ってください。
・3:BS/CSアンテナ本体を取付金具に仮留めして、おおよそ東経110度(南西から南南西方向)に向けます。このときは、のちにアンテナ角度の微調整を行うため、アンテナが外れない範囲で、多少、角度を動かせる程度のゆるめに固定してください。
・4:アンテナケーブルを壁にあるエアコンのダクト穴などから、室内に引き込みます。ダクト穴などが存在しない場合は、窓のサッシなどを通せるフラットケーブル(薄型ケーブル)を利用してください。
・5:室内に引き込んだケーブルをテレビに接続し、テレビ側で設定画面などから、BS/CS放送の「アンテナレベル」画面を表示してください。ご自宅のテレビでアンテナレベルを表示する正式な方法は、テレビなどに付属のマニュアル、メーカーの公式サイトなどでご確認ください。
・6:テレビ側でアンテナレベルが十分な高さになるように、アンテナの仰角(上下の角度)、方位角(左右の角度)を1度ずつ調整してください。地域ごとのおおよその角度は、スマートフォンのアプリやアンテナメーカーの公式サイトなどで確認できます。ただ、正確な角度は現場によって違いが出るため、微調整によってアンテナレベルがもっとも高くなる角度を見出す必要がございます。
・7:十分なアンテナレベルを確保できる角度を見出せたら、その角度でボルトなどを閉めて、アンテナをしっかりと固定すれば工事は完了です。
DIYでBS/CSアンテナを設置する場合に、もっとも難しいのは「6」のアンテナ角度調整になります。
前述の通り、BS/CSアンテナは、ミリ単位の角度が受信感度を大きく左右いたします。そのため正確な角度調整が必須です。
ただアンテナ角度を1ミリずらした後、テレビ側のアンテナレベルに反映されるまでには、数秒程度のタイムラグが生じます。
したがってBS/CSアンテナ角度の調整は、1ミリ調整した後に10秒ほど待ち、テレビ側のアンテナレベルを確認する、非常に根気のいる作業となります。またアンテナとテレビの位置が離れている場合は、双方の確認で二人の作業者が必要となることも考えられます。
アンテナ業者の使うアンテナレベルチェッカーがあれば、テレビ電波の方向やレベルを確認することが可能ですが、安いものでも数千円程度になる他、正確な使用のためには専門知識も必要となります。
ただ、アンテナからのケーブルに接続するタイプの簡易的なチェッカーであれば、1,000円強のものもございますので、設置後に再調整の必要が出た場合に備えて、購入されるのもいいでしょう。
またアンテナ角度調整の他にも、室内にケーブルを引き込む作業などが難しいと思われる場合は、アンテナ工事の専門業者へ工事を依頼されることが安心といえます。
風雨などでアンテナトラブルを避けるBS/CSアンテナ設置
前述のように、BS/CSアンテナは、パラボラアンテナの形状から風雨や雨などに影響されやすいアンテナになっております。
BS/CSアンテナが雨などによって受ける影響は、大きく2点になります。
ひとつは、雨や雪などの天候により、衛星放送の電波が弱まり、乱れることで受信が困難になる「降雨減退」「降雪減退」です。
もうひとつは、風雨や雪によってアンテナ本体がダメージを受ける、また角度がずれるなどで、衛星放送の受信が困難になることです。
角度のズレであれば、再調整によって受信性能を回復できますが、台風などの激しい風雨や、豪雪でアンテナが埋もれるといった場合には、アンテナ本体にダメージが蓄積し、やがては本体の大きな損傷や、配線やコンバーター部の故障。さらにはアンテナ本体が外れてしまうなどの大きなトラブルにいたることもございます。
このようなトラブルへの対策は、大きくわけて2つあります。ひとつは設置場所を工夫すること、もうひとつは風雨の影響を受けにくい製品を選ぶことです。以下、その対策についてご説明いたします。
(BS/CSアンテナの風雨トラブル対策:設置場所の工夫)
台風をはじめとする強い風雨や積雪による、BS/CSアンテナのトラブルを避けるための設置場所としては、前述のように、軒下や外壁、ベランダ内部などが考えられます。
また風雨や雪のダメージを避けるために、BS/CSアンテナにかぶせるカバーも市販されており、このようなカバーを併用することで、アンテナへのダメージを大きく軽減できます。
(BS/CSアンテナの風雨トラブル対策:高耐風モデルの採用)
BS/CSアンテナには、風雨の影響を受けにくくなる工夫を凝らしたモデルもございます。一般的なパラボラアンテナの耐風水準は「風速が20m/s(秒速20メートル)」程度ですが、この水準を超える強風に対応した「高耐風モデル」も存在します。
その代表的な製品としては、日本の大手アンテナメーカー、DXアンテナさんの「BC453SG」がございます。「BC453SG」は一般住宅向けの45型BS/110度CSアンテナで、4K8K放送にも対応しております。
「BC453SG」に施された強風対策としては、まずはディッシュ部に、風を通すための小さなパンチングホールが数多く設置されている設計がございます。また押さえ金具部や、ディッシュ部とアーム部の固定なども強化されており、風によるアンテナ角度のズレや、本体の歪みなどを大きく軽減できます。
「BC453SG」は、受信可能風速では「50m/s(秒速50メートル)」。アンテナ本体が耐えられる耐風速では「70m/s」の性能を誇ります。これらの風の強さは外出が困難な水準であり、台風のなかでも「猛烈な台風」「スーパー台風」水準にあたるものです。
つまり「BC453SG」は、かなりの強風でも受信性能を維持できる他、アンテナを設置した屋根や手すりなどが根こそぎ吹き飛ばされるような事態でもない限り、かなり大型の台風後も、引き続き受信できる、または角度の再調整で受信性能を回復できるモデルになります。
「BC453SG」については、以下のコラム記事でもご紹介しております。
台風対策に最適! 究極の高耐風BS110度CSアンテナ「BC453SG」(DXアンテナ)
電波の弱い現場や「降雨減衰」「降雪減衰」対策となるBS/CSアンテナ
前述の通り、一般ご家庭に設置されるBS/CSアンテナは、大半が45型(ディッシュの直径が45センチ)のものになります。
45型のBS/CSアンテナは十分な受信性能を持つ上、大きさから取り扱いやすく、比較的、風雨の影響を避けやすい特徴がございます。
しかし日本国内でも、北部や南端、離島部などは衛星との距離から、やや衛星放送の電波が弱まるため、45型よりやや大きめのBS/CSアンテナが必要となってまいります。
戸建て住宅向けで45型以上のBS/CSアンテナには、50型、60型、75型がございます。これらのアンテナは受信性能が高くなることで、悪天候時の「降雨減衰」「降雪減衰」等への対策にもなります。またあくまで使用された個人の感想ですが、45型より大型のBS/CSアンテナを用いることで、衛星放送の画質、音質が向上するという意見もございます。
ただ一方、BS/CSアンテナのサイズが大きくなることで、以下のようなデメリットも生じてまいります。
・設置場所に制約が生じる。
45型より大きなBS/CSアンテナを設置するためには、それだけ広いスペースが必要となります。たとえばベランダ内への設置が難しくなる他、大きさにより住宅の外観性に影響を与えることも考えられます。
・重量が増加するため、固定する難易度が高くなる。
アンテナのサイズが大きくなるほど、その重量も増加します。したがって重いアンテナを落下しないよう設置するためには、その重量に耐えられる設置場所を確保する必要があります。
例えば一般住宅のベランダ柵などは、大型のBS/CSアンテナの重量を想定した強度をもっていないことが考えられます。
さらに同様に、大型のBS/CSアンテナを支える取付金具も強度が高いものが必要となります。このようなBS/CSアンテナをしっかりと固定するためには、DIYでの設置ではなく、アンテナ工事の専門業者に依頼する必要も出てまいります。
・価格が高くなる。
BS/CSアンテナが大型になるほど、アンテナの本体価格も高くなります。
2K対応BS/CSアンテナから4K8K対応型への交換が必要なケース
前述のように、2018年に「新4K8K衛星放送」がスタートする以前に設置されたBS/CSアンテナは、大半が2K対応型であり、新4K8K衛星放送は、使用される電波の違いから、BSの一部4Kチャンネルを除いて受信できません。
またBS/CSアンテナで受信された12GHz帯の電波は、そのままケーブルで送信する減衰が非常に大きくなるため、MHz帯の電波に
電波は、BS/CSアンテナのコンバーターでMHz帯に変換する際に、従来の2K放送の電波である右旋円偏波は「1032MHzから2072MHz」の周波数に変換されておりました。しかし左旋円偏波は「2224MHzから3224MHz」の周波数帯に変換されます。
2023年現在のBS/CSアンテナは基本的に4K8K対応になっておりますが、2K対応型のBS/CSアンテナを設置しているご家庭で、新4K8K衛星放送のすべてのチャンネルを受信するためには、4K8K対応BS/CSアンテナへの交換が必要となります。
また4K8K放送の電波は、従来の衛星放送の電波より高周波数になるため、アンテナだけでなく、配線部の機器も交換が必要となるケースがございます。
「新4K8K衛星放送」をご視聴になるために必要な機器類は、以下の通りです。
・4K8Kテレビ、または4K8Kチューナー。
従来の2K放送の4倍(4K)、16倍(8K)の解像度を持つ「新4K8K衛星放送」をご視聴になるためには、まずその画質に対応できる4K、8Kテレビ。または4K8K対応テレビが必要となります。なお4K8K対応テレビとは、4Kや8Kの映像を表示できるだけで、4K8K放送のチューナーは内蔵していないため、新4K8K衛星放送のご視聴には、別途4K8Kチューナーも必要となります。
・ブースター、分配器、分波器/混合器。
BS/CSアンテナからアンテナコンセントまでの配線部に設置される、ブースターや分配器、分波器、混合器などの機器も、4K8Kの電波を通すため、その電波に対応できる「3442MHz対応型」が必要となります。なおこれらの機器は、パッケージや本体に「4K8K対応」と明記されているので、確認の目安となります。
・アンテナケーブル。
BS/CSアンテナからテレビなど受信機器にいたる配線のアンテナケーブルも、旧式で細いものの場合は交換が必要となります。
アンテナケーブルの性能は、パッケージやケーブル表面に記号で表示されていますが、新4K8K衛星放送に対応できるケーブルとしては、太さは「4C」か「5C」。芯線を包む絶縁体は「F」か「HF」。外皮の中を覆う外部導体は二重シールドの「B」か三重シールドの「BL」以上のものになります。
4K8K放送に対応できるアンテナ機器やケーブルについての詳細は、以下の各コラム記事および、前述した各機器についてのコラム記事をご確認ください。
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BS/CSアンテナの室内設置について
BS/CSアンテナは、アンテナ本体を設置する形の自立スタンドを使うことで、室内の窓際などに床置きすることもできます。
室内への設置であれば、強風など自然環境の影響も受けなくなり、自然災害や老朽化によるトラブルの可能性もなくなります、さらに建物の外観性を気にする必要もございません。ただ衛星放送の電波は、障害物によって遮られる性質があるため、室内へのBS/CSアンテナ設置には、以下のような多くの条件やデメリットも生じてまいります。
(BS/CSアンテナを室内に置くための条件)
・基本的に衛星放送を視聴できるのは、アンテナを設置した部屋のみになる。
・設置する室内に南西方向を向いた窓がある。
・その窓から南西方向に高層マンションや山地、樹木などの遮蔽物がない。
・窓ガラスがシンプルな一枚のフロートガラス(透明ガラス)で、多層ガラスや模様、色彩、また鉄線などの電波を遮断する素材が入っていない。
・雨戸がない、または雨戸が金属製ではない。
・窓側にアンテナを置くスペースがある。
・人の出入りが少なくアンテナのズレが生じにくい。
・BS/CSアンテナが倒れないよう自立スタンドで設置できる、もしくは室内の壁に金具で固定できる。
(BS/CSアンテナを室内に設置するデメリット)
・衛星放送を視聴する際には、受信のため雨戸やカーテン、ブラインド。場合によっては窓そのものを開ける必要が生じる。
・BS/CSアンテナを室内に置くため、部屋が狭くなる。
・人の出入りなどでBS/CSアンテナに接触して角度が変わると、再調整が必要になる。
衛星放送用BS/CSアンテナの室内設置については、以下のコラムでもご説明しておりますの。
BS/CSアンテナ(衛星放送用)を室内に設置する方法
BS放送、CS放送を視聴する衛星放送用テレビアンテナを室内に設置する方法とその条件、おすすめの設置用製品とは?
室内に衛星放送用のBS/CSアンテナを設置してBS放送、CS放送のテレビ番組を観る方法、5大チェックポイント解説!
まとめ
衛星放送用のBS/CSアンテナは、南西方向を向いて適したベランダがあるなど、ご自宅の条件が整っていればDIYでの設置も可能です。
ただ安定した受信性能をはじめ、住宅内にある複数のテレビで衛星放送を視聴したい。BS/CSアンテナで住宅の外観性を崩したくない。また風雨などに影響されにくいアンテナ設置などをお求めの場合は、専門の知識と技術が豊富なアンテナ工事の専門業者にご依頼されることをおすすめいたします。
当あさひアンテナでは、BS/CSアンテナについても、標準機種である「DXアンテナ」さんの45型最近モデル「BC45AS」をはじめ、前述の高耐風モデル「BC453SG」。また50型以上の大型モデルなど、すべて国産メーカーの高性能モデルをご用意し、標準機種であればアンテナ本体価格込みの標準設置費用15,000円からでご提供しております。
もちろんアンテナ工事も優秀な職人により、お客様のご要望を最優先にした、高品質、低価格な施工をお約束いたします。
保障に関しても業界最長クラスとなる「10年保証」で、万が一の工事後のトラブルにも万全のご対応をご用意しております。
BS/CSアンテナ設置をはじめとする各種テレビアンテナ設置工事のご相談は、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)、またはメールフォーム、LINEアカウントまで、どうかお気軽にお寄せください。