テレビアンテナ不調時に行うべき設置場所の調整はどこがいい? アンテナ取り付け場所や位置を調整する工事費用の相場も解説!
2023年(令和5年)の現在、新築のマイホームをはじめ、一般のご家庭で地上デジタル放送(地デジ)や衛星放送(BS/CS放送)のテレビ番組をご視聴になる方法にも、さまざまなものがございます。
例えば、ケーブルテレビ局に設置された大型の地デジ、BS/CSアンテナから直接、契約したご家庭まで同軸ケーブルを敷設し、テレビ電波を送信する「ケーブルテレビ(CATV)」は、テレビ電波の受信に支障が出るエリアでも安定してテレビ放送を視聴できることから、特に地デジ放送の難視聴エリアなどで重宝されております。
他にも、インターネットの光回線を利用して、同様にご家庭へとテレビ放送の信号を送る「光テレビ」。またインターネット上では「TVer」「AbemaTV」など、テレビ番組を配信するサイトも多くなっており、現在ではテレビ放送のご視聴方法も多様化しているといえます。
しかし、そんな21世紀、令和の現在でも、家の中でのテレビのご視聴方法の主流といえば、やはりご自宅にテレビアンテナを設置して、地デジ、BS/CSの電波を受信する方法になります。この方法には、単に昔からなじみ深い方法というだけではなく、いったんテレビアンテナを設置すれば、その後はBS/CSの有料チャンネルを除き、ご自宅にテレビアンテナが存在する限り、基本的に無料でテレビを視聴し続けることができる、という非常に大きなメリットがあるためです。
そしてテレビアンテナは、一度、設置すれば多くの場合、その後は10年以上、ときには20年以上の長期にわたって、特に何もせずとも、安定してテレビ電波を受信してくれるケースもございます。このようにテレビアンテナは非常に便利であり、また基本的に丈夫で長持ちするといった利点もございます。
ただ現実的には、世の中に永遠に壊れないものなど存在しません。どんなに丈夫なものでも、長い間、存在し続けることで、徐々に自然環境の影響などによる経年劣化が進行し、素材の劣化が発生するものです。そしていずれは耐久力が限界を迎え、致命的な崩壊にいたることもございます。もちろんテレビアンテナも例外ではございません。
特に一般ご家庭のテレビアンテナは、住宅の屋根の上などに設置され、長年にわたって風雨や雪などにさらされながら、黙々とテレビ電波を受信し続ける、いわば「屋根の上の力持ち」といった存在です。
しかしどれだけ頑丈なテレビアンテナであっても、長年の風雨や積雪、またときに起こりうる地震などの要因の前には、金属部のサビ、ネジやケーブルなど接続部の腐食やゆるみ、金属疲労などが蓄積されてゆくものです。そしてテレビアンテナも経年劣化が限界を超えたときには、致命的な破損、故障が発生して、その寿命を終えてしまいます。
テレビアンテナが寿命を終える形にも、さまざまなものがございます。屋根の上に設置されてから何十年と使われ続け、老朽化で耐久性を失ったアンテナの場合は、やや強めの台風や地震などに見舞われた際に、屋根の上で倒壊してしまうこともございます。この場合は、屋根材を傷つけてしまうだけでなく、重量のあるアンテナ本体が屋根から落下し、物品や人に当たることで取り返しのつかない事故にいたる危険性もあるため、早急な撤去が必要となります。
しかし実際にはここまで大事になる例は少なく、多くの場合は、アンテナの受信性能をつかさどる部分が破綻し、受信性能を失うことでテレビアンテナとしての役割を終えるといったパターンが多くなっております。
さらに、ときには設置から10年未満と、比較的、新しいテレビアンテナであっても、台風や大雪、地震などの自然災害に見舞われた際に、突然、テレビ放送が受信できなくなるといったケースが起こり得ます。
これは、極端に台風が多い、豪雪地帯である、激しい地震が発生したなど、自然環境の厳しいエリアであれば、通常よりもアンテナの経年劣化が早く進行し、部分的な故障などが発生して寿命を迎えた、というケースも考えられます。
ただ自然災害の影響による、アンテナ角度のズレ、ゆがみなどで、アンテナ本体にはさほど大きなダメージがないまま受信感度だけが低下したというパターンも多くなります。この場合はアンテナの位置を修正さえすれば、ふたたび受信感度は回復し、その後も長くにわたって、同じアンテナを使い続けることができるケースも多くなっております。
当コラム記事では、2023年度の最新データに基づき、アンテナの位置がずれる、ゆがむなどの軽微なトラブルが発生し、テレビ放送が受信できなくなったトラブルに際して、アンテナの取り付け位置や設置場所を修正して受信性能を回復する方法。また日ごろからメンテナンスを行って、トラブルを事前に防止し、アンテナの長寿命を実現する方法についてポイントごとに解説いたします。
さらに、風雨や雪などに強く、老朽化を抑えて寿命が長くなりやすい、おすすめの地デジ、衛星放送用のテレビアンテナ機種、種類についてもご紹介いたします。
アンテナ角度のズレが生じる要因と、ズレが生じやすいアンテナ機種
ご家庭に設置されているテレビアンテナにズレが生じ、テレビ電波の受信に支障が生じる、といった事態の原因は、ほとんどの場合が「自然環境などの外的影響」と「アンテナ本体の経年劣化」になります。実際にはこのふたつの要因が重なり、負の相乗効果が起こることで発生するパターンが多くなっております。
テレビアンテナにダメージを与える外的環境の要因として挙げられる、主なものには、
・台風をはじめとする激しい雨や風でアンテナ本体に負担がかかる。また水の浸透による各部のサビや劣化。
・雪がアンテナ本体につもることで起こるアンテナへの荷重や。水の浸透。特に屋根に積もる大雪がアンテナを圧迫するなど。
・季節ごとの厚さ、寒さによる金属の膨張と収縮の繰り返しが招く金属疲労やネジなど接続部のゆるみ。
・地震の発生でアンテナが揺れることによる、各部のダメージや接続部のゆるみ。
・海沿いに位置する場合、潮風による塩分が促進する金属部分のサビ。
・風雨による飛来物や、雹、隕石、より高所からの落下物などがアンテナに衝突することによる物理的ダメージ。
・アンテナ本体に鳥が留まることや、そのフンによる本体の腐食。いわゆる「鳥害」。
などがございます。
実際にはこれら個々のダメージは、よほど大きな災害などでない限り、一度でテレビアンテナに決定的なダメージを与えることは、まずございません。ただこれらのダメージは、長年の積み重ねにより蓄積されてゆき、わずかなズレを徐々に進行させていく他、アンテナの耐久性を徐々に低下させてゆきます。
そしてそこに、ある程度、激しい台風や地震その他、最後の一押しになるダメージが重なることで、アンテナに決定的なズレが生じて、受信不良にいたる、というパターンが多くなります。
各種の視線災害によるアンテナトラブルの詳細は、以下の各コラム記事をご確認ください。
台風や大雪、地震により起こりえるテレビアンテナのトラブルとその対策
地デジ、BS/CSテレビアンテナの落雷や積雪、鳥の糞害対策は? 映らなくなる原因と防止法、対策となる設置工事
地デジ放送、衛星放送の仕組みと電波の種類
当コラムのテーマである、アンテナ角度のズレとその修正、防止方法についてご説明する前に、まずは地上デジタル放送(地デジ)、衛星放送(BS放送、CS放送、新4K8K衛星放送)の仕組みや電波の種類についての知識を解説いたします。
これらの電波の性質について、正しい知識をご理解いただくことで、それぞれのアンテナ角度のズレによって起こるトラブルや、その対処法についてもおわかりいただけることでしょう。
地デジ放送の基礎知識
現在の地上デジタル放送、いわゆる地デジ放送は、東京都墨田区押上に位置し、東京都や神奈川県、埼玉県、千葉県の多くの地域や、栃木県、群馬県、茨城県の一部などに地デジ電波を送信する東京スカイツリーをはじめ、大阪府や京都府、兵庫県、奈良県などの近畿地方。三重県や愛知県など日本国内の要所に設置されて、広範なエリアをカバーする大規模な中継局。
また送信所の電波が届かないエリアをカバーすべく、日本各地に設置された大小の中継局など、日本各地に設置された地デジ電波塔から、周辺エリアに地デジ電波を送信することで、日本国内のほぼ全域を放送エリアとするテレビ放送です。地上の電波塔から電波を送信するため、地上波放送とも呼ばれます。
この地デジ電波塔から送信される地デジ電波は、UHF(極超短波)のうち470MHz(メガヘルツ)から710MHzの周波数帯で、波長の長さは約40センチから60センチです。そのため、地デジ放送を受信する地デジアンテナは、UHF受信用である「UHFアンテナ」になります。
地デジ電波の性質としては、高層ビルなどの障害物にぶつかっても、ある程度はその向こう側に回り込むことができる。また電波を反射させる金属の素材などでない限り、戸建て住宅の屋根や壁などであれば、一定の減衰(電波レベルの弱まり)は生じるものの、透過して屋内にも届くなどの性質もございます。
ただ、地デジ電波がビルなど大きな障害物にぶつかった場合には、電波が反射して遮られてしまい、向こう側に回りにくくなり、その影に当たる一帯では電波レベルが弱まる。同じように住宅密集地などでは、壁面など低い位置での電波レベルが弱くなる。また大きな障害物にぶつかることで、電波の方向が変わった「反射波」が発生しやすい、といった性質もございます。
また地デジ電波は電波塔から遠ざかるほど電波レベルが弱まるため、日本国内でも電波塔からの距離や、電波を遮る地形などの影響から、エリアによって現場で受信できるに届く地デジ電波レベル(強度)に差が出てまいります。
この受信できる地デジの電波レベル差で、国内の地域を分類したものが「電界地域」と呼ばれます。
電界地域に正式な定義は存在しないため、場合によって基準が異なることもございますが、一般的には、電波レベルを示す「㏈(デシベル)」の基準で、受信できる地デジ電波レベルが80㏈以上であれば強電界地域。80㏈から60㏈であれば中電界地域。60㏈以下のエリアでは弱電界地域とされます。
そして地デジアンテナの側も、各電界地域向けとされるモデルや、電界地域ごとに適した設置位置が存在します。一般的には、強電界地域ではアンテナ機種や設置位置に制限は少ないものの、電波が弱いエリアになるにつれ、電波を遮断する高層建築や住宅密集地などの影響を受けやすくなるため、できるだけ高い位置に受信性能の高い地デジアンテナを設置する必要が出てまいります。
また日本国内でも、一部には地デジ電波がほとんど届かない山間部や離島、過疎地域などが存在し、地デジの難視聴地域となっております。
地デジ電波のUHF波そのものも、一年を通して季節や気候の影響で、約6㏈程度の変動が出るほか、雨や雪などの悪天候でも、電波状態が悪化してまいります。
他にも前述した高層建築、住宅密集地などの環境も、地デジ受信レベルに大きな影響を与えるため、
電界地域とは、明確に分類できるものではなく、おおよその目安にすぎない点を注意しておく必要がございます。
地デジ放送や電波の詳細については、以下の各コラム記事でも詳しく解説しております。
地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
地デジ電波の強さと品質を示す「dB」「MER」「BER」とは何か?
・地デジアンテナを設置する高さの設定で重要となるハイトパターンとは? 地デジ電波を受信するために適切なアンテナの高さとは?
衛星放送の基礎知識
衛星放送とは、地上から約35,786キロ上空の宇宙空間で、赤道軌道上を地球の自転に合わせて周回するため、地上からは空の一点に静止して見える人工衛星の静止衛星から、地上に向けて電波を送信する形の放送です。
日本の衛星放送の電波は、マイクロ波の一種、SHF(センチメートル波)のうち、周波数帯が12GHz(ギガヘルツ)前後で、波長の長さは約25ミリ前後の「12GHz帯」が使用されております。
12GHz帯の電波は周波数帯が非常に高いため、性質が光に近く、非常に直進性が強くなります。そのため静止衛星から地上までの長距離を送信される衛星放送に適しているのです。
衛星放送のメリットは、静止衛星より地球上の広範囲へと、効率的に大容量の情報を送信できる点。また地上の山地や建築物などの障害物。また地上の災害などにも影響を受けず、安定した放送が可能な点です。
逆に衛星放送の弱点は、12GHz帯の電波は波長が短いため、その波長の幅に近い豪雨や降雪では、電波が雨や雪に吸収され、電波の減衰や乱反射などで受信障害が発生する「降雨減衰」「降雪減衰」が起こる点がございます。
他にも日本の衛星放送では、BS放送、CS放送の各放送の種類ごとに、一基の静止衛星から日本全域に12GHz帯の電波を送信しているため、国内でも北部や南端部、離島部など、静止衛星からの距離が長くなる地域では、距離による電波の減衰が生じ、電波レベルがやや弱まってしまいます。
また静止衛星から光のように直進的に送信される12GHz帯の電波が、地上のアンテナに届くまでの直線の経路に、山地や建築物などはもちろん、電柱や樹木、その枝葉、洗濯物などのわずかな遮蔽物が存在するだけでも、電波が遮られてしまい、受信障害が起こってまいります。
そのため12GHz帯の電波は、透明な窓ガラスなどを除けば、基本的に住宅の屋根や外壁で遮断されるため、屋内にはほとんど届きません。
なお日本の衛星放送には、放送衛星(Broadcast Satellite)を利用するBS放送。通信衛星(Communication Satellite)を利用するCS放送の区分がございます。
この区分は放送法の規定によるもので、現在では双方の放送内容に実質的な差はなくなっております。またどちらの放送も、CS放送の一部サービスを除いて、東経110度に位置する放送衛星、通信衛星を使用しているため、一基のBS/CSアンテナ(BS/110度CSアンテナ)で受信可能です。
他にも2018年(平成30年)12月1日には、「新4K8K衛星放送」もスタートしています。これは従来のBS放送、CS放送に、従来の2Kフルハイビジョン(FHD)放送より格段の高画質となる、4K、8Kのチャンネルが追加されたものです。
ただこの4K、8Kチャンネルの追加に際して、それまで衛星放送の12GHz帯の電波として使用されていた、右回りの螺旋を描く「右旋円偏波」では、4K8Kの各チャンネルに割り当てることのできる余剰の周波数帯が不足しました。
そのため、残りの右旋円偏波の周波数帯には、BS放送のNHK、広域民放の4Kチャンネルを割り当て、その他の4K8Kチャンネルには、左回りの螺旋を描く「左旋円偏波」を新しく導入し、その周波数帯を割り当てました。
2023年現在のBS/CSアンテナは、ほぼすべてが右旋と左旋の双方を受信できる2K4K8K対応BS/CSアンテナとなっており、配線部のケーブルや機器にも、すべての4K8Kチャンネルに対応できる、4K8K(3442MHz)対応型の機材が使用されております。
ただ2018年以前に設置された旧式のBS/CSアンテナやアンテナ配線部では、左旋円偏波に対応できず、すべての4K8Kチャンネルを視聴できないこともあるため、ご注意ください。
衛星放送の仕組みや12GHz帯の電波、新4K8K衛星放送の電波や対応できる機器については、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
新4K8K衛星放送とは? 4K、8Kテレビの購入後に必要なアンテナ工事と費用の相場、おすすめ業者の選び方まで徹底解説!
「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
自然環境などによるズレが生じやすいアンテナ機種
現在、一般ご家庭に設置される主なテレビアンテナ機種には、地デジ放送を受信するための「地デジアンテナ」である「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」と、衛星放送用の「BS/CSアンテナ」であるパラボラアンテナがございます。
詳しくは各機種にもさまざまなモデルがございますが、基本的に一般ご家庭では、特別なケースを除いて、地デジ用の地デジアンテナ機種が一基と、衛星放送(BS放送、CS放送、新4K8K衛星放送)もご覧になる場合はBS/CSアンテナの、主に一基が屋外に設置されることになります。
以下、それぞれのテレビアンテナ機種の特徴と選び方、各機種のズレやすさの比較について一覧でご説明してまいります。
・八木式アンテナ(地デジ)
八木式アンテナは、主に屋根の上に設置される、魚の骨に似た形状の、古くから使われ続けいるテレビアンテナです。
シンプルな設計で、短い横棒部分で、電波を受信するパーツに当たる「素子(エレメント)」が異なるモデル(8素子、14素子、20素子など)が数多い。さらに一か所に複数の素子パーツを用いた高性能素子を使用し、27素子、30素子モデルなどもある高性能機種「パラスタックアンテナ」も存在することから、モデルによってさまざまな受信性能を選ぶことができ、現在でも強電界地域から弱電界地域まで、地デジ電波状態のよしあしを問わず十分な受信感度を確保できるため、幅広いエリアで利用されます。
設置位置も基本的には、高さから安定した受信感度を確保できる屋根の上に、屋根馬という器具を用いて立てたマスト(ポール、支柱)の先になりますが、他にも住宅の壁面やベランダ内外に設置されること、軒先からつるす形で設置されることもございます。
総じて、八木式アンテナは現在の地デジアンテナでもっとも高い受信性能を誇る上、本体価格や設置工事の料金がもっとも低価格であるといったメリットから、現在でも根強い人気を持ち、幅広く使われているアンテナです。ただ半面、昔ながらの形状から住宅の外観を悪くするなどのデメリットもございます。
そして最大のデメリットが、主に屋根の上に設置されるため、風雨や雪などの影響をはじめ、周辺の環境や状況の影響を如実に受けて、アンテナのズレや経年劣化が進行しやすいという点です。八木式アンテナは、受信性能の面では安心できる半面、前述したアンテナのズレ、経年劣化のすべての要因を受けやすいアンテナ機種であり、もっともズレが発生しやすいアンテナであるともいえます。
八木式アンテナの詳細については、以下の各コラム記事をご確認ください。
地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
・デザインアンテナ(地デジ)
デザインアンテナとは、アンテナの本体部を薄い箱状のケースに収めた、薄型で平面型、軽量の地デジアンテナです。主に住宅の外壁やベランダの手すりなどに設置されることから、平面アンテナ、壁面アンテナ、フラットアンテナ、ボックスアンテナとも呼ばれます。また現場の電波状態や住宅の建材、屋根材、設置可能なスペースなどの条件が整っていれば、住宅の屋根裏空間などへの設置も可能になります。さらに強電界地域専用のコンパクトモデルでは専用スタンドを用いて、室内への設置が可能な機種もございます。
デザインアンテナは薄いパネルのような外観に加え、モデルごとのカラーバリエーションも豊富です。その形状と設置位置から、住宅の見た目や景観を乱さない。さらに風雨や雪などの影響を受けにくく、経年劣化が進みにくく寿命が延びるといったメリットも大きな特徴になります。これらの理由から、最近の地デジアンテナでは設置のご希望が多い人気ナンバーワンの機種になっております。
ただ受信性能は主に20素子相当、26素子相当となり、八木式アンテナに比べると設置位置の低さから受信性能が落ち、弱電界地域などの他、強電界地域でも高層建築物の近隣や住宅密集地などでは、壁面設置に使えないケースもある。本体価格や設置工事の料金が八木式アンテナよりやや高いなどの点になります。
ただデザインアンテナは、基本的に風雨やその影響によるアンテナ角度のズレなどに対しては非常に強く、安心を提供してくれるアンテナ機種であるといえます。
デザインアンテナ、および後述のユニコーンアンテナについては、以下のコラムをご確認ください。
地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!
この最小デザインアンテナがすごい!スカイウォーリーミニ(マスプロ電工)
台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
・ユニコーンアンテナ(地デジ)
ユニコーンアンテナは、ポール型アンテナとも呼ばれる2023年現在、最新鋭の地デジアンテナです。大手アンテナメーカー「マスプロ電工」社独資のモデルであり、マストの先に、ユニコーン(一角獣)の角に似た、細身のほぼ円柱形の形状を持つアンテナ本体を装着する、非常にスタイリッシュなアンテナです。
基本的には八木式アンテナと同じく、屋根の上のマストに設置されますが、片流れ屋根、段違い屋根など、設置しにくい屋根の形状では、屋根の張り出し部である破風板や、壁面にサイドベースなどの設置具を固定して取り付けることもございます。いずれの場合も、アンテナ本体の高さは、屋根の上と大きな違いはなくなります。
ユニコーンアンテナには、その形状から住宅の見た目のデザインや景観を乱さず、風雨なども受け流せるため耐風性が高く、アンテナのズレや経年劣化などが起こりにくく、アンテナ寿命が延びる。さらに本体の受信性能は20素子相当のみながら、高所に設置でき、受信感度を確保できる。そのため周辺環境の影響から壁面などにデザインアンテナを設置できない現場でも、使用できるケースが多くなる。また太陽光パネルの邪魔にならないなどのメリットがございます。
一方でデメリットとしては、八木式アンテナの同素子数から高性能機種に比べると受信性能はわずかに低くなり、弱電界地域などでは使用できないこともある。また最新機種であることから、アンテナ設置費用がもっとも高額になるという点です。
総じてユニコーンアンテナは、八木式アンテナとデザインアンテナのメリットを融合したアンテナ機種であり、デザインアンテナと並んで、アンテナ位置のずれに関しては非常に強いアンテナであるといえます。
ユニコーンアンテナについては、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
・BS/CSアンテナ(衛星放送)
衛星放送用のBS/CSアンテナは、皿状のディッシュ部と、下部から延びるアームでその中央に固定され、ディッシュ部に反射した電波を集めるコンバーター部からなる、いわゆるパラボラアンテナになります。
BS/CSアンテナは、日本の地上から見て、東経110度(南西方向)に位置する、BS放送、CS放送の人工衛星(静止衛星)の方向に向けて正確に設置されます。そのためBS/CSアンテナの設置位置は東経110度を向けやすい方角に当たる、住宅の屋根の上やベランダの内外、壁面などが主になり、配線をまとめるため、地デジアンテナと同じマストや近くの位置に設置されることが多くなります。
BS/CSアンテナは基本的にどれも同じ構造のパラポラアンテナですが、ディッシュ部の大きさで受信感度が変化し、いくつかのサイズがある他、太陽光に強い基本色の白以外のカラーバリエーション。ディッシュ部に風を通す多くのパンチングホールを設置している他、各部の強化で耐風性能を高めた高耐風モデルなどが存在します。なお一般的なご家庭では、主にディッシュ部の直径サイズが45センチ型のものが使用されますが、主にアパート、マンションなど集合住宅向けで、受信感度が高い50センチ型、60センチ型、75センチ型、90センチ型、120センチ型などのモデルもございます。また前述した降雨減衰や降雪減衰への対策。衛星放送の電波レベルが弱まるエリアでは、戸建て住宅でもやや大型のモデルが使用されることもございます。
BS/CSアンテナもその形状から、高耐風モデルでない限りは特に風の影響を受けやすく、自然環境によるズレや経年劣化がやや進みやすいアンテナであるといえます。特にBS/CSアンテナは指向性の高さから、衛星放送用の人工衛星の方向へ正確に向ける必要があり、ミリ単位のズレで大きく受信性能が低下する他、静止衛星の方向とBS/CSアンテナを結ぶ間に、樹木などのわずかな障害物が発生した場合も、電波が遮られて受信できなくなることがございます。
そのためBS/CSアンテナも、八木式アンテナに次いで、アンテナ角度のズレによるトラブルが生じやすいアンテナであるといえます。
BS/CSアンテナについての詳細は、以下のコラムをご確認ください。
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BS/CSアンテナの角度調整に重要な「指向性」とは? 人工衛星の方向を確認できるスマホアプリ「BSコンパス」も徹底解説!
角度がズレたアンテナの位置調整をご自宅でできるケースとその方法
ご自宅に設置されたテレビアンテナで、角度のズレによるトラブルが生じやすいのは、地デジの八木式アンテナと、BS/CSアンテナになります。そしてこれらのアンテナでズレが生じた場合、ご自宅でのDIY作業で位置調整を行い、修正できるケースは限られています。
と申しますのも、特にこれらのアンテナは、屋根の上に設置されるケースが多くなります。そのためプロの専門業者ではない一般の方が屋根の上に登って、アンテナ角度の修正作業を行うことは、屋根の上に人が出られるスペースがあり、安全に作業できる陸屋根。設置されている場合を除いて、大変な危険が伴います。他にもベランダの内外やその近くの壁面など、比較的、安全に作業が行える場所にアンテナが設置されている場合は、ご自宅での位置修正も可能であるといえます。
以下、安全な場所に各種アンテナが設置されており、ご自宅で角度の修正作業を行う場合について、その手順の流れをご説明いたします。
・八木式アンテナ
八木式アンテナの場合は、基本的に、ご自宅の近辺にあり、現場一帯に地デジ電波を送信している中継局(電波塔)の方向へと向けられております。そのため、A-PAB(一般社団法人 放送サービス高度化推進協会)の公式サイト「視聴エリアのめやす」などを参考にして、最寄りの中継局がどこにあるか、その方向や位置を調査、確認して、その方向へ八木式アンテナを向け直してください。
具体的には、八木式アンテナに接続したテレビを、設定画面から「アンテナレベル」の画面に合わせ、一定以上のアンテナレベルとなる角度に調整して、アンテナを固定します。なお八木式アンテナは、魚の骨のような短い横棒が数多くついた長い棒のどちらか一方に「リフレクター(反射器)」と呼ばれる、矢印の先端か魚の頭のような部分がついています。八木式アンテナの先端はその反対側にあたりますので、中継局の方向へ、矢印を正反対に向けるつもりで角度を調整するといいでしょう。
八木式アンテナには一定の指向性(特定の方向のみで電波を受信できる性質)がございますが、それほど厳しいものではないので、仰角(縦方向)への調整はさほど必要なく、おおむね横方向への調整のみで調整が完了します。
ただ場合によっては、中継局の方向に高層建築などの障害物が存在するため、中継局とはやや方向が異なる、建物などに反射した地デジ電波を受信している場合もございます。この場合は、アンテナチェッカー(電波測定器)などの機器がない限り、一般の方に正確な地デジ電波の方向を調査するのは難しくなってまいります。そのため、プロのアンテナ工事業者に電波調査と見積りなどお任せになることが無難といえます。
・BS/CSアンテナ
前述のように、BS/CSアンテナは、衛星放送用の人工衛星の方向(東経110度)へとミリ単位で正確に向ける必要がある、非常に指向性の強いアンテナです。そのため仰角と横の角度を正確に東経110度(南西から南南西方向)へと向ける必要がございます。この東経110度の角度も、日本各地において、実際の角度は微妙に違ってまいります。
地域ごとのBS/CS静止衛星のの方向(角度)がどこかを正確に調査、測定するには、前述のアンテナチェッカーがあれば簡単になりますが、ある程度の価格がするため、一般の方のご購入はコストが高くなるといえます。そのため、人工衛星の角度を割り出せるスマートフォンのアプリである「BSコンパス」などを利用して、角度を判断するのが的確といえます。
ご自分での角度調整の際は、一般的には仰角から決めて、その後、横の角度の順番で調整を進めてゆきます。ディッシュの裏側、BS/CSアンテナを固定している部分のネジをわずかにスパナで緩めると、少しずつ動かせるようになります。この状態で角度を調整して、的確な角度を特定できた時点で、ネジをしっかり締め直してアンテナを固定してください。
アンテナチェッカーなしでBS/CSアンテナの角度を調整するには、八木式アンテナと同じように、テレビ側で「アンテナレベル」の画面を確認しながら調整を進めてゆきます。
ただし前述のように、BS/CSアンテナはミリ単位の違いが受信感度に大きく影響するため、1度ずつ調整しては、5秒から10秒ほど待って、反映されたテレビ側のアンテナレベルを確認し、アンテナレベルがもっとも高くなる角度を特定するといった、根気のいる作業となります。
そのため角度調整を進めるには、BS/CSの電波状態がよくなる晴天の日を選んで、アンテナ調整を行う係と、テレビのアンテナレベルを確認する係を別にした、二人体制で作業を進めるとスムーズに運びます。
アンテナ工事業者にアンテナ位置調整を依頼する場合と、必要な工事費用は?
屋根の上に設置されたアンテナなどで、ご自分では位置調整に危険が伴う場合や、作業が難しくなる場合など、ご自宅では対応できないケースも多くございます。その場合は、アンテナ工事専門の会社に角度の調整を依頼する必要が出てまいります。
一例として、アパート、マンションなど、集合住宅に設置された共同受信用のアンテナは、一般家庭用よりもかなり大型になるため、トラブル時の角度調整は、専門業者への依頼が必要となります。
なお集合住宅の共同受信用アンテナの管理は、物件のオーナー様や管理会社などが行う場合がほとんどになります。共同受信用アンテナにズレが生じた場合は、居住者が個人の判断で勝手に調整することはできないため、まずはオーナー様や管理会社などに連絡し、業者に依頼してもらうように要請するといいでしょう。
その際の費用はオーナー様や管理会社などが負担することが多くなり、居住者の個人負担になることはほとんどございません。
他にも前述のように、高所などでアンテナの角度調整に危険が伴う場合。BS/CSアンテナの正確な角度調整が煩瑣である場合。八木式アンテナと中継局の間に障害物がある場合など、ご自宅での調整が難しいケースでは、アンテナ工事の専門業者に依頼することが一番の方法であるといえます。その場合、角度調整の作業にかかる費用の相場は、まず見積りが必要となりまますが、5,000円から12,000円程度となっております。
ご自宅、または業者に依頼してアンテナのメンテナンスを行う方法
テレビ放送の受信不良は、テレビアンテナの角度のズレ以外にも、アンテナ配線機器などに関係するさまざまな原因で発生することがございます。その場合、ご自宅において、簡単な作業でメンテナンスを行い、復旧できるケースもございます。
ご自宅のメンテナンスで解決できるケースとしては、アンテナ自体には問題がないことも多くあります。
よく見られるケースとしては、
・アンテナケーブル(同軸ケーブル)やHDMIケーブル、電源ケーブルなどがきちんと接続部に接続されていない。
・部屋の中のHDMIケーブルなどの接続部に汚れがたまり、接触不良が発生している。
・誤ってリモコンなどからテレビ画面の「入力切替」を行なってしまい、機器などが何も接続されていない画面を表示している。
・テレビやレコーダーなど、テレビ放送受信機器に挿入される「B-CASカード」のトラブル。
などがございます。
そのため、アンテナトラブルを疑って専門業者に連絡されるより先に、まずは各種ケーブルや電源。リモコンの入力切替。テレビ画面のエラーコードなどをご確認ください。
具体的には、ケーブルが緩む、抜けているなどの場合は、しっかりコンセントに差しなおす。接続部などが汚れている場合は汚れを落とす。リモコンやテレビ本体で「入力切替」を正しく設定し直す、などの対処になります。
またテレビ画面にエラーコード「E101」が表示されている場合は「B-CASカード」に原因がある可能性がございます。その場合は「B-CASカード」をいったん外して、端子部の汚れを落とすなどして、正しい方向にしっかり差し直すなどしてください。
どうしても復旧できない場合は、ご自宅で正常に映るテレビなどの「B-CASカード」を外して、問題のあるテレビに挿入し、確認してください。それで正常に映るようであれば、「B-CASカード」そのもののトラブルですので、カードの交換が必要となります。
その他、アンテナ本体の経年劣化や自然環境による破損の場合はアンテナの撤去と交換。周辺の電波が弱い場合はブースターの設置や、すでに設置されている場合は、本体の調整や故障の確認が必要となってまいります。その場合はご自宅での対処は難しいため、専門業者に依頼してください。
各種メンテナンス費用は、業者によっても異なってまいりますが、大まかな相場としては、新規アンテナへの交換が、機種にもよりますが一台につきアンテナ本体価格を含めて15,000円から40,000円程度。古いアンテナの撤去と処分は5,000円から10,000円程度。ブースターの設置、交換は、対応できる電波によっても異なりますが、10,000円から30,000円程度になります。
他にもアンテナ配線の交換や分配器の工事には10,000円から30,000円程度かかる他、屋根の上などの高所作業については、業者によっては高所作業費として、追加で10,000円から30,000円ほど発生するケースもございます。
アンテナ工事業者へのメンテナンス依頼は、費用はかかるものの、安全かつ確実で信頼できるのがメリットと言えます。
また、テレビアンテナは住宅の設備に含まれるため、アンテナトラブルの原因が、台風や竜巻、落雷、積雪、雹や隕石、外部からの落下物など各種の自然災害である場合は、火災保険に付帯する「風災保障」で、アンテナの修理費用が補償されるケースもございます。
詳しくは保険商品の契約によっても異なりますので、まずはご自宅の保険の契約内容を確認し直してください。
ただし、地震によるアンテナトラブルについては、付帯する「地震保険」に加入している場合を除いて、基本的には火災保険の補償対象外となるためご注意ください。
天災によるテレビアンテナのトラブルで、火災保険(風災保証)を適用する方法の詳細は、以下のコラムをご参照ください。
火災保険の適用範囲と天災時のアンテナ修理
アンテナの設置位置、角度調整・まとめ
以上がテレビアンテナの角度のズレ、またその他のアンテナトラブルが生じた場合の、基本的な対処方法になります。
なお老朽化が進んだアンテナの撤去と交換。またアンテナが屋根の上で倒壊するなどの危険なトラブルが発生した場合には、以下のコラムをご参照の上、適切な対策をお取りください。
屋根の上でテレビアンテナが倒れたときのアンテナ修理工事(前編・原因と対処)
屋根の上でテレビアンテナが倒れたときのアンテナ修理工事(後編・修理と対策)
テレビアンテナ(地デジ、BS/CS)の交換・撤去(前編・時期編)
テレビアンテナ(地デジ、BS/CS)およびアンテナ機材の交換・撤去(後編・手順編)
また当あさひアンテナでは、ご自宅のテレビアンテナにズレが生じた際の角度調整をはじめ、さまざまなアンテナトラブルへの対処から、各種メンテナンスまでに対応しております。また風災保障が適応される自然災害でアンテナトラブルが生じた場合には、アンテナ修理だけではなく、火災保険の請求についても、修理に並行して保険会社に提出すべき修理報告書、見積書、施工前後の写真などの補償請求書類をすべてご用意する。保険会社との交渉も、専門知識を持つスタッフが全力でサポートするなど、万全の体制をご用意しております。
軽微な問題から渋滞な事態まで、各種テレビアンテナトラブルに関するご相談は、豊富な実績を誇る当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)。もしくはメールフォーム、LINEアカウントまで、お気軽にお寄せください。