テレビアンテナとテレビを結ぶアンテナケーブル(同軸ケーブル)とは? ご家庭向けケーブルの種類と性能の違いを徹底解説!
通常、一般住宅に設置されているテレビアンテナは、地上波デジタル(地デジ)用、BS、CSの衛星放送用のアンテナとも、さまざまな機器を経由して、テレビなどの機器に接続されています。
まずアンテナのすぐ近くには、多くの場合、受信したテレビ電波を必要な強度にまで増幅する「ブースター(電波増幅器)」が設置されます。そして屋内に複数台あるテレビなどの機器に、受信したテレビ電波を分配する分配器。また地デジとBS、CSの両方をご覧になるご家庭では、双方の電波を一本にまとめる混合器と、機器への接続時にその電波を分ける分波器。また地デジ電波が強すぎて受信不良が起こる場合には、電波を適切なレベルに弱めるアッテネーター(減衰器)など……
これらひとつひとつの機器が、安定したテレビ電波の受信、テレビのご視聴において、重要な役割を果たしております。ただ、他にももうひとつ、テレビアンテナからテレビまで電波を送るために、もっとも重要な役割を果たすものがございます。
それがアンテナと各機器を経由して、テレビ本体までテレビ電波を送信する「アンテナケーブル」です。
ご家庭で使われるアンテナケーブルには「同軸ケーブル」と呼ばれるものが使用されています。その基本的な構造は、アンテナから各機器を経由して、テレビにいたるまで同じものが使われています。ただ設置する位置や用途に応じて、その性能や接続するプラグなど、さまざまな種類のものがございます。
当コラムでは、アンテナケーブルの種類、および各種の用途に最適となるケーブルの選び方や、お住まいの室内に適したケーブルの種類や長さなどの情報を、一覧でご説明いたします。ご自宅で必要となるアンテナケーブルの種類がわからない場合には、当コラムを参考にすることで、適切なものを選んでいただけると存じます。
アンテナケーブルの主な種類
前述のように、テレビアンテナは、接続されたアンテナケーブルから、ブースター、分配器などの機器を経由して、ご自宅の各部屋にあるアンテナ端子(テレビコンセント)へと接続されます。そして各部屋のアンテナ端子と、室内にあるテレビ、レコーダーなどの受信機器にある地デジ、衛星放送のチューナーを接続することで、各機器がテレビ電波を受信し、テレビ放送が視聴できることになります。
これらのケーブルは、基本的な構造は同じものですが、使われる場所や用途によって、主に以下の3種類がございます。
・室内用テレビケーブル
これは主に、室内に設置されているテレビコンセントから、テレビ本体などの機器へと接続するために使われるケーブルです。
室内用テレビケーブルには両端にプラグが付いており、1メートルから5メートル程度の長さで市販されているため、特に加工の必要もなく、テレビコンセントからテレビなどの機器への接続に使用できます。他にも短いケーブルを用いて、テレビコンセントに接続されたレコーダーなどの機器にあるテレビ電波の出力端子から、テレビ本体の入力端子に接続する使い方もございます。
また室内用テレビケーブルには、端子の形が「F形」「L形」「ストレート」など各種ございますが、基本的にはどれも同じ形状であり、違う端子では適合しないことはございません。端子の形状は、接続する環境によって使い分けられます。
・室内引き込み用フラットケーブル(薄型ケーブル)
これは住宅のベランダや窓の外などに設置されたテレビアンテナから、引き込み口を通して屋根裏に配線を行うような、大掛かりな配線工事を行わず、窓やサッシの隙間を通して屋内にケーブルを引き込む。またある部屋からドアなどを通して別の部屋にケーブル配線を行う場合などに使われるケーブルです。
そのため窓やサッシ、扉の隙間を通せるよう、ケーブル本体が非常に薄型となっております。長さはベランダなどに設置されたアンテナと室内のテレビを直接、接続するための10メートル近いものがある他、通常の同軸ケーブルの間に挟み込むように接続し、窓などの隙間を通すためだけに使われる、数十センチ程度の短いものも存在します。
ただこのようなケーブルは、通常の同軸ケーブルに比べて、テレビ電波を伝える際の減衰量が大きくなるため、アンテナとテレビを直結するだけの、シンプルかつできるだけ短い配線。または窓やドアから引き込む部分のみの短いものを使用する必要がございます。
・長尺ケーブル
地デジやBS/CSアンテナなどの本体から、住宅の外壁などに設置されている引き込み口までをつなぎ、屋内へとテレビ電波を導くものが長尺ケーブルです。基本的に、住宅全体のアンテナ配線用として、アンテナ工事の業者などが用いる屋外用のケーブルになります。
長尺ケーブルは両端にプラグが付いておらず、接続の際には加工が必要となります。長さは数十メートルから100メートル程度までのものが、束で販売されております。
テレビケーブルの端子とプラグについて
室内用テレビケーブルは、室内のアンテナコンセント、およびテレビやレコーダー側についている「アンテナ端子」に接続して使用します。
特にアンテナコンセントの端子部分は、主に円形の枠の中心に、小さな穴が開いた形になっています。ただ古い住宅などでは、壁側の端子部分が円形になっていないものもあります。
そしてケーブル側の接続部である「プラグ」にも、それぞれの端子に適合する形があります。アンテナケーブルの基本的な構造は同じであるため、プラグと異なる端子でも加工を行うことで接続は可能ですが、端子とプラグの形状が合わないものを接続すると、接続がゆるくなってしまうために外れやすくなる。またテレビの映りが不安定になるなどの事態が起こりえるため、できるだけプラグと端子は適合する形状のものを選びましょう。
アンテナ端子の種類
テレビコンセント側のアンテナ端子には、主に下記の3種類がございます。
・F型端子
このF型端子は、近年の住宅に用いられる、もっとも主流といえる形式です。接続部にねじ切り(ねじ山)加工が施されているため、いったん接続すれば抜けにくくなっております。ケーブル側のプラグでは「F型プラグ」「スクリュープラグ」「プッシュプラグ」のものが適合します。
・プッシュ型端子
F型端子とほぼ同じような形状ながら、ねじ切り加工がなく、すべらかな形をしているのがプッシュ端子です。
少し前までは主流の端子形状で、現在でもやや古い住宅ではよく見られます。プッシュ型端子、プッシュ式ジャックとも呼ばれ、ケーブルではプッシュプラグのものが適合します。
・同軸直付端子
アナログテレビ時代から使われている、テレビコンセントにおけるテレビ端子の中ではもっとも古いタイプになります。現代でも築数十年クラスの古い住宅などには、ときに見られます。
接続にはケーブルの先端部を、周辺のカバーなどを切り落として、中心の針金状になった部分(導線)をむき出しにしたものが使われます。接続の際には、このケーブル先をさらに加工する必要がございます。
ただ現在のテレビ放送、特に衛星放送や新4K8K衛星放送では、導線部から電波の漏洩やノイズの混入が起こりやすく、携帯電話や無線LANなどの電波との干渉で電波障害が起こるリスクもあるため、もし現在でもこのようなアンテナ端子を使用している場合は、早急な交換がオススメとなります。
またより古いアンテナ配線部としては、同軸ケーブルではなく細いケーブルを二本並べたような形状のフィーダ線(メガネ線)を使用し、先端の銅線を露出させる、またはY字型の小さな金具を取り付けた「フィーダ端子」も存在します。
現在ではフィーダ配線や端子を使用している住宅はほとんど見られませんが、この配線はさらに電波の漏洩、混入が起こりやすくなるため、もし使用されている場合は、やはり早急な交換が必要です。
アンテナケーブル側のプラグの種類
次に、アンテナケーブル側の接続部分にあたる「プラグ」の形状についてご説明いたします。ケーブル側のプラグの形状には、端子側に合わせたものと、接続する場所の形状に合わせたものがございます。
端子側に合わせたプラグの形状は、主に以下の3種類になります。
・プッシュプラグ
プッシュ型端子に合わせた、ねじ切りが施されていないプラグです。端子側、プラグ側とも接続部が滑らかなため、やや抜けやすいという欠点がございます。
・スクリュープラグ
F型端子に合わせた、内側にねじ切りが施されているプラグです。差し込むのにやや力がいる半面、いったん差し込めば抜けにくいという長所がございます。
・F型コネクター(F型接栓)
F型端子に合わせたプラグでも、先端に回転するねじ部分がついており、ねじ部分を回しながら接続することで、端子側としっかり接続され、引っ張っても抜けなくなるプラグです。簡単には抜けず、接触不良が生じにくい接続が可能になる他、接続部からの電波の漏洩や混入を防ぐなどの性能も備えるプラグになります。
また端子ではなくプラグの形状による分類は、以下の2種類になります。
・S型(ストレート)
ケーブルと同じ方向に、まっすぐにプラグがついている、ごく一般的な形状のケーブルになります。
・L型
プラグ部分の形状がL字型に曲がっており、ケーブルの方向と直角になる形でプラグがついているものです。差し込み口に対して直角に曲がっているため、ケーブルを壁に沿わせたい、壁とテレビなどの隙間をできるだけなくしたいといった場合に使用されます。
壁に寄せたテレビなどの機器の裏、狭い空間でストレート型のケーブルを用いると、ケーブル部を極端に折り曲げるような形になるため、曲げられた部分に負荷がかかり、ケーブルの劣化や断線の原因にもなります。他にもケーブルを無理に押し込む形になり、配線が引っかかるなどのトラブルも発生しやすくなります。L型プラグのケーブルを使えば、そのような問題は大きく軽減されます。
プラグ部分の材質について
アンテナケーブルに限らず、ケーブルのプラグ部分には金属部にメッキ加工が施されています。材質による違いは一般的に以下のものがございます。金メッキのものはやや高価になりますが、実際的なメリットが大きいため、ご自宅用のアンテナケーブルとしてはおすすめの品になります。
・ニッケルメッキ
ケーブルのプラグに限らず、一般的に使われることが多いメッキです。表面色が銀色のものは、その大半がニッケルメッキになります。ニッケルメッキの品は使用している間に、徐々に酸化や腐食が進んでいくことがございます。
・金メッキ
文字通り、プラグ部分に金メッキを施し、金色になっているケーブルです。金メッキ加工は見栄えのためではなく、腐食に強く安定した物質で、酸化が起こらないというメリットから施されます。ケーブルのプラグ部分は酸化が進むことにより、電気信号の伝達を阻害する酸化膜を作ります。金メッキはこの酸化を防止する効果があるため、長期間、使い続けても、画像の乱れなどのトラブルを防止できます。
他にも金メッキには比較的、柔らかいというメリットもございます。金メッキ加工の端子と他の端子を接続する場合、コーティングされた金がクッションとなって相手側の端子と密着するため、信号の伝達がスムーズになるのです。
アンテナケーブルの太さについて
アンテナケーブルの太さは「2C」から「10C」までの数字で表されます。戸建住宅など一般のご家庭用で使われるのは、ほとんどの場合が「5C」までです。「7C」以上のものは主に業務用のものとなります。そのため、当コラムでは5Cまでを中心にご説明いたします。
基本的にアンテナケーブルの太さとしては、細い方が束ねやすく、接続後に余った部分をまとめることで配線を整理しやすくなりますが、一方で細いものは断線や信号の減衰(弱まり)が起きやすいという弱点もございます。逆にケーブルが太くなるほど断線や画像の乱れなどのトラブルは少なくなりますが、一方でかさばり、まとめにくくなるという問題も生じます。
アンテナケーブルの構造と太さの関係ですが、アンテナケーブルは一般的に、電気信号(電波)送信する中心部の銅製の芯線である「導線」を電波を遮断するポリエチレンなどの「絶縁体」が囲み、その周囲を筒状になった細い針金製の網のような形をして、電波の漏洩を防ぐほか、外部からの電波の混入を遮る「外部導体」が覆っている形になります。外部導体は、ケーブルを通る電気信号の外部への漏洩や、外部からの電波の侵入を防ぐシールドの役割を果たしており、さらにその上、ケーブルの表面部分は「保護皮膜」で包まれています。
アンテナケーブルとして使われるケーブルは、切断した際の断面が、円筒を入れ子にしたように見えることから「同軸ケーブル」とも呼ばれます。同軸ケーブルの太さは絶縁体の厚さに比例し、太ければ太いほど、絶縁体の層が厚くなっています。絶縁体の層が厚くなると、中心の導線が周囲の雑音から守られることなり、信号の減衰が起こりにくくなります。
以下、ケーブルの太さごとの主な用途や特徴についてご説明いたします。
・2C
直径4ミリのケーブルです。細いため配線しやすく、余った部分もまとめやすくなります。一方で強度が弱く、ケーブルの上にものを置いただけでも断線するケースもございます。また信号の減衰も起こりやすいので、壁とテレビの間など、ごく短い距離の接続に向いています。推奨される長さは3メートル程度までです。
・3C
直径5.4ミリのものです。2Cよりはやや丈夫ですが、こちらもテレビ本体の付近など、短い距離での接続を推奨されています。推奨は5メートル程度までです。ただしこの太さのものは、既製品としてはさほど出回っておりません。
・4C
直径6ミリのものです。この太さになると信号の減衰を抑えやすくなり、伝送距離が10メートルを超えても、テレビ画面の画質を保持することが可能です。そのため画像の乱れなどが発生しやすい地域でも重宝されています。基本的には屋内用として、壁の端子からテレビまでの距離が遠い場合などに使用されるケースが多くなります。推奨される長さは10メートル以内です。太さと強度、性能のバランスがもっともとれており、家庭用として非常に便利なため、既製品はこの太さのものが多くなっております。
・5C
直径7.7ミリのものです。4Cよりもさらに太いため、信号の減衰やノイズなどは非常に少なくなります。耐久性も高いため、アンテナ本体から各室のアンテナコンセント間の接続や、屋外からの引き込みなどにも使用されることもございます。この太さになると、10メートル以上の長さで使われることも多くなります。
・7C
参考までに、7Cになるとその太さは10.0ミリになります。20メートルから50メートル程度の長さで使用され、主にマンションやアパートなどの共用配線用に使われます。
・10C
10Cは15.5ミリの太さになり、建物間の配線など、50メートル以上の長さに用いられます。
また数字で表されないタイプのケーブルには、前述の薄型ケーブル(フラットケーブル)がございます。前述の通り、屋外のアンテナとテレビをつなぐ場合などに、窓枠の隙間を通して屋内に配線できる平たい形状になっています。その多くは、別のケーブルと接続して窓枠の前後だけカバーする短いものになっています。さほど一般的ではありませんが、壁面の端子を介さずアンテナ本体とテレビ本体を直接、接続するための長尺の薄型ケーブルも存在します。
アンテナケーブルの性能の見分け方
アンテナケーブルは、その性能を記号で表示するように定められています。
特にBS放送、CS放送の衛星放送に関しては、地デジ放送とは周波数帯と伝送帯域が変わってまいります。そのため地デジと衛星放送の双方を視聴する場合は、BS、CSに対応するケーブルを使用する必要がございます。
さらに2018年(平成30年)12月よりスタートした「新4K8K衛星放送」と呼ばれる4K、8K放送に関しては、高画質である分、データ量も増加しているため、一部のチャンネルでは従来のテレビ電波より周波数が高いものを利用しています。そして同軸ケーブルは、周波数の高い電波ほど減衰の度合いが大きくなります。そのため4K8K対応型のテレビで4K、8K放送をご覧になる場合には、4K8K放送に対応するアンテナケーブルを用いる必要がございます。
BS、CS放送、または4K、8K放送に対応しているかどうかは、パッケージの表示で確認できます。またケーブル本体に印字されている記号で見分けることもできます。
以下、ケーブルに直接、印字されている記号から「S-5C-FB」というものを例に、その読み方をご説明いたします。
・「S」
最初にある「S」の記号は、BS/CS放送に対応するケーブルであることを表しています。近年ではほとんどのアンテナケーブルが対応しておりますが、対応していないものには表記がございません。また4K8K放送に対応できるかは、後述するケーブルの太さ、絶縁体や編組線の材質などで決まってまいります。基本的に4K8K放送に対応できるケーブルは、パッケージにその旨が明記されております。
新4K8K衛星放送に対応するアンテナケーブルはじめ、アンテナ機器については、以下の各コラム記事に詳しい解説がございます。
・新4K8K衛星放送とは? 4K、8Kテレビの購入後に必要なアンテナ工事と費用の相場、おすすめ業者の選び方まで徹底解説!
・「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
・「新4K8K衛星放送」のご視聴に必要な機器・完全チェック!
・「5」
この数字は、前述したケーブルの太さを示す「5C」などの数字部分であり、ケーブルの太さを意味します。
・「C」
これはケーブルの太さを表す「5C」などの記号と混同されがちですが、それとは異なり、ケーブルの「インピーダンス」を表すものです。
インピーダンスとは少し説明が難しくなりますが、交流回路におけるフェーザ表示された電圧と電流の比率、つまり電流の流れにくさを表すもので、単位は「Ω(オーム)」で表されます。基本的にケーブルに関しては、「C」がアンテナケーブル用である75Ωのもの。「D」は無線などに用いられる50Ωのもので、アンテナケーブル用のものではないと把握しておけば特に問題はございません。
・「F」
これは絶縁体の材質を表す記号です。「F」は発泡ポリエチレンを示し、周辺からの電波などの遮断性が高く、性能が高いケーブルになります。この部分が「2」のものがポリエチレン製で、一般的なケーブルです。「HF」は高発泡ポリエチレン製で、特に高性能なケーブルに使用されます。
・「B」
最後の記号は、外部導体にあたる編組線の種類を表しています。「B」はアルミ箔テープ付銅編組を表します。この編組線はノイズが起きにくく、断線しにくいという特徴がございます。他にも「V」は編組一重。「W」が編組二重。「T」が編組三重を表します。一般的に編組が増えると中心軸がより守られることになるため、ノイズや画像の乱れがより軽減されることになります。
用途による長さと太さの決め方
室内用のアンテナケーブルを選ぶ際には、まずアンテナコンセントとテレビ側の端子のタイプを確認し、適合するプラグのケーブルを選ぶことが必要となります。さらに使用する場所の長さを測り、少しだけ余裕を持たせた長さにします。
これはケーブルが必要以上に長すぎると送られる信号の減衰も大きくなるため、減衰を最小限に抑えつつも、長さの不足による引っ張りや抜けなどのトラブルも予防するためです。ケーブルの長さと太さを決める場合の目安は、以下の通りです。
・アンテナコンセントの近くにテレビを設置する場合。
ケーブルの長さは設置する場所に合わせて、1.5メートルから2メートル程度のものを選びます。太さは「2C」のものが、取り回しがしやすく便利になります。
・6畳間の場合。
一般的に6畳の部屋は3.6メートル×2.7メートルの広さとなっております。壁側のアンテナコンセントから離れてテレビを置く場合、直線上の角であれば5メートルのケーブル、対角線上の角に置くときは8メートルから10メートルのケーブルを選びます。太さは4Cで対応可能ですが、長くなる場合は5Cのケーブルを使った方が、信号の減衰が少なく抑えられます。
・8畳の部屋の場合。
8畳の部屋は、基本的に3.6メートル×3.6メートルの広さになっております。6畳と同じ方法でケーブルの長さ、太さを選びますが、アンテナコンセントから対角線上にテレビを設置する場合は、10メートル程度のケーブルを選ぶのがいいでしょう。
分配器一体型のアンテナケーブルについて
現在の住宅では、テレビ本体だけでなく、テレビにブルーレイ/HDDレコーダーなどを設置して使用することも多く、その双方にアンテナケーブルを接続する必要がございます。アンテナコンセントに接続した一本のアンテナケーブルで送受信できる信号はひとつのみになりますが、テレビとレコーダーを併用するためには、どちらの機器にもアンテナケーブルを接続する必要が生じます。
そこで必要となるのが「分配器」です。分配器は通常、アンテナ本体からブースターなどを経由したアンテナケーブルを、その入力端子に接続し、複数の出力端子から数本のアンテナケーブルを通じて、屋内の各部屋のアンテナコンセントへとテレビ電波を等分に分配する装置のことです。分配器について詳しくは、以下のコラムをご参照ください。
・ご自宅のすべてのテレビに電波を送る「分配器」とは? その種類と選び方を徹底解説!
・アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い
・テレビアンテナへの分配器の設置で、現場の電波レベルや条件に適した選び方と注意点を徹底解説。分波器や分岐器との違いとは?
・テレビアンテナの電波を各部屋に分岐する方法は? 分配器と分波器の違い・接続方法や選び方
分配器には、各部屋のアンテナコンセントにテレビ電波を分配するための、出力端子が多いものから、アンテナコンセントに接続して、室内のテレビとレコーダーなど二台の機器に分配するための、ケーブルと分配器が一体となったものなどもございます。このケーブル一体型の分配器を用いることで、ひとつのアンテナコンセントから二台の機器に、テレビ電波を送ることができます。
ケーブル一体型の分配器は、単体型に比べ、ケーブルの接続部からの電波の減衰が起こらないというメリットがございます。ただ室内でも機器の設置場所によっては、それぞれ必要なケーブルの長さが異なることもあり、ケーブル一体型ではかえって不便となることもございます。その場合は単体型の分配器を使用するといいでしょう。
ただご自宅のテレビアンテナが受信したテレビ電波レベルは、アンテナ配線部に設置された分配器にして各部屋へと等分に分配されています。例えば四分配であれば、アンテナが受信した電波レベルを、各部屋へ四分の一ずつ分配していることになります。
したがって室内のアンテナコンセントの先で、分配器(分配器一体型ケーブル)を使用すると、部屋ごとに分配された電波レベルを、さらに二分の一に分配することになるため、テレビやレコーダーに届く電波レベルが不足して、受信不良につながる場合もございます。
このような場合は、不足する電波レベルを補足する、室内用ブースター、ラインブースターなどを設置する必要もございます。
なおブースターに関しては、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・前編(基礎知識編)
・テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)
・テレビアンテナに「ブースター」は必須の機器なのか? その種類と性能、必要なケースを解説【地デジ設置・あさひアンテナ】
・テレビの映りが悪い時に使うアンテナブースターとは? 屋外用・屋内用ブースターの違いと症状別の選び方を徹底解説!
・地デジ用テレビアンテナの受信レベルが低くなる原因とは? ブースターによる対処法など受信レベルを改善する工事の方法を解説!
・テレビ放送の映りが悪い際にアンテナブースターの交換は必要?
またテレビやレコーダーには、アンテナの入力端子の他、出力端子もついていますので、例えばアンテナコンセントからのケーブルをまずレコーダーの入力端子に接続し、レコーダーの出力端子から、短いアンテナケーブルでテレビの入力端子に接続する、あるいはその逆を行うといった接続方法もございます。
ただこのような接続方法では、途中で機器を介する分だけ、その先のテレビ電波が減衰してゆきますので、ブースターの出力や、使用するケーブルの太さや品質などを考慮する必要も生じます。
アンテナケーブルの用途によるプラグの選び方
アンテナケーブルを接続する際は、使用する場所や用途に合わせて、プラグのタイプを選ぶことが必要です。適切に使うことができる、用途ごとのプラグの組み合わせは以下の通りになります。
・壁のアンテナコンセントとテレビを接続する場合は「L型/S型複合型」。
この場合は細いケーブルを選んだ方が、長さが余った場合もまとめやすく、配線を整理することができます。電波の減衰やノイズを避けることを考慮すれば、本来はあまり余らないよう、適切な長さにすることが理想です。また細いケーブルを使用する際には、ケーブルの上に物を置かない、誤って踏むことのないように配線をするなどの工夫も必要となります。
・テレビとブルーレイ/HDDレコーダーなどの機器を接続する場合は「S型/S型」。
この場合は、細いケーブルでもいいので、必要な長さがある、できるだけ短いものを選ぶのが理想となります。
・接続部の抜けなどのトラブルを防ぎたい場合は「F型/F型」。
接続プラグにねじ切り加工がされているので、しっかりと接続することでき、テレビ本体を動かした際などに抜けてしまうといったトラブルを防止できます。小さなお子様やペットがいる家庭では特に便利な端子となります。なおアンテナコンセントやテレビ側がF型のプラグに対応しているか確認が必要となります。
・新しい住宅に引っ越す場合は「F型/L型複合型」。
比較的、新しい住宅には、F型の端子が使われていることが多いため、この形状のケーブルが推奨できます。アンテナコンセントの端子にL型のプラグを使い、壁からまっすぐに床に下ろしてから床を這わせるようにすると、レイアウトがシンプルになります。またテレビなどの機器側はストレートのF型で接続することにより、しっかり固定されるため安心です。
アンテナケーブルの種類・まとめ
アンテナケーブルの種類とその用途について、概要はおわかりいただけたでしょうか。
アンテナケーブルも、構造などは同じ品であっても、その品質は製品によって異なってまいります。そのため、できれば「マスプロ電工」「DXアンテナ」「日本アンテナ」「サン電子」など、国内の大手メーカーと呼ばれる会社の製品をご使用になることがオススメです。
アンテナケーブル(同軸ケーブル)やアンテナ配線部の詳細については、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
・戸建ての家へのテレビアンテナ設置と配線、周辺機器の取り付け工事を行う費用の相場とは? 料金の安い業者の選び方も解説
・戸建て住宅で地デジテレビアンテナを取り付ける工事に必要な配線とは? 設置にかかる費用の相場、料金や業者選びの方法も解説!
・室内のテレビアンテナケーブルを延長する方法とは? アンテナ線なしのワイヤレスで地デジ、衛星放送を見る方法も解説!
・テレビ放送(地デジ、衛星放送BS/CS、4K8K)に合わせたテレビアンテナケーブルの種類と選び方、徹底解説!
・テレビ放送や機器に合わせたアンテナケーブル(同軸ケーブル)の種類と選び方、徹底解説!
・地デジアンテナとテレビを接続するケーブル(同軸ケーブル)とは? 衛星放送でも使えるケーブルの種類や市場や通販の価格も解説
・アンテナコンセントとは?その種類や耐用年数、交換法などを徹底解説!
アンテナ関係の機器では一見、地味な存在であるアンテナケーブルですが、その選択を誤ると、テレビの視聴に不具合が生じる他。接続が外れやすくなる、ケーブルそのものが劣化しやすくなるなど、さまざまなトラブルにもつながってまいります。
当コラムを参考に、ご自宅のアンテナプラグや機器に適合する、またご自宅のお部屋やテレビの設置位置などの環境にも最適となり、長く快適に使うことができるアンテナケーブルをお選びいただければ幸いです。