地デジ用テレビアンテナ工事にて設置する電界地域に最適な受信性能は「何素子数」タイプか? アンテナ機器の選び方を徹底解説!
八木式アンテナなど地デジテレビ放送用のUHFテレビアンテナで、地デジ電波の受信性能を決定する「素子(エレメント)」ついて、日本アンテナのなど有名メーカーが運営する公式サイトの情報を元に、各電界地域向けで必要な素子数をもつ高性能UHFアンテナ機器やタイプの選び方を解説いたします。
2023年(令和5年)現在、日本におけるテレビ放送の基本となるものは、地上波デジタル放送(地デジ)です。基本的に住宅におけるテレビアンテナ設置では、まず地デジアンテナである「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」の中から一台を選んで設置し、ご要望によっては衛星放送用のパラボラアンテナであるBS/CSアンテナも追加設置する形になります。
しかし、日本国内の各地に設置された電波塔から、周辺の一帯に地デジ電波を送信する、現在の「地上波放送」である地デジ放送は、電波塔からの距離や地形などの条件によって、各地域で受信できる地デジ電波の強度(電波レベル)が変動してまいります。そのため設置する地デジアンテナも、現場の電波レベルに適した受信性能を選択する必要がございます。
そして地デジアンテナの受信性能を決定する、もっとも重要な要素が、アンテナに設置される、地デジ電波を受信する部品「素子(エレメント)」の数です。基本的に地デジアンテナはこの素子数が多いほど、受信性能が高くなります。
地デジアンテナの素子に関する基礎知識、および各地デジアンテナモデルごとに可能となる素子数やその特徴については、本コラムの姉妹記事である、以下のコラムでご説明しておりますので、よろしければご参照ください。
UHFテレビアンテナ設置の性能を決める「素子」とは? 地デジアンテナ取り付け工事で高性能になる素子数の選び方を徹底解説
地デジ用テレビアンテナ(UHFアンテナ)のモデルによる素子数の違いは? 高性能モデルは何素子数か?
しかし地デジ電波の受信を安定させるためには、ただ素子数が多い地デジアンテナを選べばよいというものでもございません。
的確な地デジ電波の受信により、安定した地デジ放送の視聴を実現するためには、素子数を含めて現場の電波状態や周辺環境に最適となる地デジアンテナモデルを選択する必要がございます。さらに現在では地デジアンテナに求められるものも、受信性能だけではなく、住宅の外見を乱さないデザイン性や、風雨に強い耐久力など、多岐にわたっております。
そのため地デジアンテナの設置に関しては、お客様のご要望に応えられるアンテナ機種や設置位置と、受信性能を両立するアンテナモデルを的確に選択する必要がございます。
そこで当コラムでは、上記の姉妹記事にある基礎知識を前提に、主に現場の電波レベル(電界地域)を中心に、現場のさまざまな条件に適した地デジアンテナの素子数およびアンテナモデルを、2023年度の最新情報に基づいてご紹介してまいります。
地デジアンテナの「素子(エレメント)」と地デジアンテナ各モデルのまとめ
上記のように当コラムの姉妹記事として、まず地デジアンテナの「素子」がどういうものかについては、
UHFテレビアンテナ設置の性能を決める「素子」とは? 地デジアンテナ取り付け工事で高性能になる素子数の選び方を徹底解説
そして各地デジアンテナモデルの素子数については、
地デジ用テレビアンテナ(UHFアンテナ)のモデルによる素子数の違いは? 高性能モデルは何素子数か?
の各記事でご説明しております。
詳しい情報は各コラムをご参照いただければおわかりになると存じますが、以下、本コラムをご理解いただくため、必要となる要点のみをまとめておきます。
・地デジアンテナにおける「素子」とは、地デジ電波を受信する部品のことで、設置されている数が多いほど受信性能が高くなる。
・素子数による受信性能は、地デジアンテナのモデルごとに、魚の骨のような形状をして外見で取り付けられた素子が見える「八木式アンテナ」では、素子の数に合わせて「20素子」など。外部から素子が見えない薄型ボックス状の「デザインアンテナ」とポール型の「ユニコーンアンテナ」では、八木式アンテナを基準とした「20素子相当」などの数値で表される。
・素子が露出した「素子アンテナ」である八木式アンテナは、同じ素子数(相当)のモデルでも、デザインアンテナ、ユニコーンアンテナに比べると受信性能がやや高くなる。
・2023年現在、アンテナ機種ごとに存在する素子数のモデルは、八木式アンテナは4素子から20素子まで幅広く、パラスタックアンテナと呼ばれる高性能モデルでは、個々の素子の性能が高まる上、27素子や30素子も可能。デザインアンテナは主に20素子と26素子。ユニコーンアンテナは20素子のみ。
・地デジの受信感度は、アンテナ本体の受信性能の他にも、設置位置の高さにも左右される。設置位置が高いほど周囲の障害物などに影響されにくく、受信感度が高まる。
また各地デジアンテナモデルの詳細については、以下のコラム記事でも解説しております、
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各電界地域に適した素子数の地デジアンテナとは?
そして地デジ受信に関して、現場の環境でもっとも重要になるのが、その現場で受信できる地デジ電波のレベルを示す指針である、強・中・弱の「電界地域」の違いです。
電界地域については、当コラムの姉妹記事および、以下のコラムで詳細を解説していります。
地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
あらためて簡単にご説明すると、電界地域とは、地デジ電波を送信する距離や、地形などの周辺環境によって、日本国内の各地域において、受信できる地デジ電波レベルの強度ごとにエリアを分類したものになります。
一般的には、地デジ電波レベルを示す「㏈(デシベル)」の単位で、受信できる電波レベルが「80㏈以上」のエリアが強電界地域。「80㏈から60㏈」のエリアが中電界地域。「60㏈以下」のエリアが弱電界地域となります。
以下、各電界地域に適した地デジアンテナの素子数と、設置可能な位置、周辺環境などの影響についてご説明してまいります。
各電界地域における地デジアンテナ設置の基礎知識
姉妹記事でも解説している通り、ある現場で受信できる地デジ電波のレベルは、各電界地域の他にも、周辺に高層建築物などが存在する、住宅密集地であるなどによって、地デジ電波が遮断されやすい周辺環境。また一年を通した季節や天候の影響によっても変動が生じます。
したがって環境によるさまざまな影響を想定して、現場で考えられるもっとも低い地デジ電波レベルに合わせたアンテナ機種や機器の設置が必要となります。
設置位置に関しては、基本的に地デジアンテナは指向性が高いため、基本的に電波塔の方向など、電波が届く方向に向ける必要がございます。受信性能が高まるアンテナの方向としては、八木式アンテナでは矢印側の先端とは反対の方向(リフレクター(反射器)がない側)。デザインアンテナでは平面の表側。ユニコーンアンテナでは裏面(円筒状の一面のみ平面になった部分)の反対側になります。
そのため地デジアンテナの設置位置が屋根の上のマストなどであれば、360度への方向調整が可能ですが、住宅の壁面やベランダなどに設置する場合は、電波が届く方向の壁面などを選ぶ必要がございます。またデザインアンテナの壁面設置でも、扉を開くような設置で、地デジ電波の方向へと正確に向けるケースもございます。
また戸建て住宅へのテレビアンテナへの設置では、アンテナから電波を送信するケーブルを、多くの場合は電波レベルを増幅するブースターに設置し、その後、各部屋のアンテナコンセントへとケーブルを分配する分配器に接続します。
この分配器を通す時点で、アンテナやブースターから届く電波レベルは、分配数で割る形になって、個々の分配先で低下します。そのために個々の分配先でも十分な電波レベルとなるよう、アンテナの受信性能やブースターの増幅レベルを計算する必要がございます。
地デジ電波がテレビやレコーダーなど受信機器のチューナーに届いた時点で、地デジ放送が視聴できる電波レベルは、34dBから89dBの間になります。地デジ電波レベルが33㏈以下の場合、また逆に90㏈を超える場合も、地デジ放送の画面の乱れや、映らないといったトラブルの原因になります。
そして実際的には気候や季節による電波レベルの変動もあるため、アンテナから各部屋のテレビなどに届く時点での電波レベルは、最低でも40㏈以上。基本的には47dBから81dBの間になるように調整されます。
各電界地域に適した地デジアンテナモデルや分配器についての解説は、以下の各コラム記事に詳細がございます。
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強電界地域:4素子から14素子
強電界地域では、基本的に室内アンテナを含め、各種の地デジアンテナモデルがすべて使用可能です。
使用される地デジアンテナの素子数は、実際の各現場の電波状態にもよりますが、電波塔の直近など電波が強いエリアでは4素子から8素子、80㏈に近くなるエリアでは14素子程度が適しております。
これは前述のように、テレビなどに届く時点での電波レベルが90㏈を越えて画面の乱れなどが生じないよう、強電界地域ではやや受信感度の低いテレビアンテナが使用されるためです。ただ必ずしもこの範疇の素子数でなければ設置できないわけではなく、住宅に設置されるテレビの台数が多い(分配数が多い)場合は、20素子程度の高性能な地デジアンテナでも対応可能です。
またテレビなど機器に届く時点での電波レベルが高い場合は、テレビの前に、適度に電波レベルを減衰(弱める)させるアッテネーターという機器を設置する。また近年のテレビなどに内蔵させるアッテネーター機能をオンにするといった対応がございます。
設置位置については、周辺の建築物などの環境も関係してまいりますが、高層建築の直近や住宅密集地などでない限り、デザインアンテナをはじめとする壁面やベランダなど、やや低い位置への設置も可能になります。
またデザインアンテナを屋根裏、天井裏空間などに設置できるケースもございますが、この工法に関しては、地デジ電波状態だけでなく屋根裏空間の広さや、住宅の建材、屋根材、断熱材などが電波を通しやすいか。屋根の上に太陽光パネルや冬場の積雪などがないかといった条件も関係してまいります。
デザインアンテナの屋根裏設置に関する詳細は、以下のコラムでご確認ください。
徹底解説!屋根裏や天井裏にテレビアンテナは設置できる?
中電界地域:14素子から20素子
中電界地域では、現場ごとの実際の電波レベルや周辺環境にもよりますが、14素子から20素子の地デジアンテナが適しております。
高所に設置できる八木式アンテナやユニコーンアンテナであれば、20素子(相当)のモデルで中電界地域のほとんどをカバーできますが、設置位置が低くなるデザインアンテナに関しては、高層建築物の付近や住宅密集地などでは十分な受信性能が確保できないこともございます。そのため、デザインアンテナを使用する場合には、26素子相当のモデルが採用されるケースや、屋根の上のマストに設置する工法が選ばれるケースもございます。ただ屋根の上への設置では、外観性などデザインアンテナのメリットが失われるというデメリットも生じます。
その他の地デジアンテナでも、強電界地域に比べると設置位置がやや高い位置に限られるなどの制約が生じてまいります。
弱電界地域:20素子から28素子以上の高性能モデル
弱電界地域では、素子数の多い地デジアンテナを高所に設置することが基本となります。
比較的、電波レベルがよいエリアであれば、20素子相当の八木式アンテナ、ユニコーンアンテナでも対応可能です。特に20素子の八木式アンテナは、十分に高い受信性能を持ち、強、中の電界地域から、弱電界地域の一部でも使用できます。
デザインアンテナに関しては、26素子相当のモデルであれば、壁面の高めに設置することで使用できるケースもございますが、地デジ電波レベルが低くなってくると、設置は難しくなります。
そして弱電界地域でも電波塔からより遠いなど、電波レベルが低いエリアでは、パラスタックアンテナと呼ばれる、個々の素子が高性能の八木式アンテナを、高いマストの先に設置する以外の選択肢がなくなってまいります。
パラスタックアンテナには27素子や30素子などのモデルもあり、地デジ電波がかなり弱くなるエリアや、本来では受信困難な、他地域の電波塔からの電波を受信できるケースもございます。ただパラスタックアンテナは受信感度が高い半面、大型化して指向性も高くなるため、わずかな角度のズレでも十分な地デジ受信ができなくなるというデメリットもございます。
ブースターの設置に関して
テレビアンテナで受信できる電波レベルが低いエリアでは、ブースターを設置することにより電波レベルを増幅することになります。
ブースターは主に中電界地域以下のエリアで、十分な電波レベルを確保するため必要となる他、強電界地域でも三台以上のテレビを設置する住宅では、アンテナで90㏈以上の電波を受信していても、分配先では約30㏈を下回るため設置が必要となります。
したがって現在では、ほとんどすべての電界地域において、設置がほぼ必須の機器ともいえます。
ブースターについての詳細は、以下のコラムをご確認ください。
テレビアンテナの「ブースター」は必ず必要なのか? 【地デジ設置・あさひアンテナ】
テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)
地デジアンテナは「20素子(相当)」が基本モデル
上記の解説でもおわかりの通り、20素子(相当)の地デジアンテナは、平均よりやや受信性能が高いモデルになるため、幅広いエリアで使用できます。特に20素子の八木式アンテナであれば、強電界地域でも、実際にはアンテナで受信した地デジ電波を複数のケーブルに分配することが多いため適している他、弱電界地域であってもブースターの設置により対応できることが多くなります。
デザインアンテナ、ユニコーンアンテナも八木式アンテナほどではないものの、20素子相当であれば、強電界地域から中電界地域にかけて幅広いエリアで使用が可能となります。
そのため現在では20素子(相当)のモデルが多くのアンテナメーカー、アンテナ工事業者において標準機種とされております。
ただ20素子モデルであっても、強電界地域であれば受信できる電波が90㏈以上で、設置するテレビなど受信機器が一台のみ。弱電界地域であれば受信レベルが40㏈以下など低いエリア、また分配数が多い住宅などでは、20素子モデルでは対応できないことが多く、このような場合に、それぞれ素子数が少ない、または多い高性能モデルが採用されることになります。
まとめ
各電界地域をはじめとする、設置現場の環境に適した地デジアンテナのモデル、および素子数は以上のような形になります。
ただ実際のテレビアンテナ取り付け現場では、現場で受信できる正確な地デジ電波レベルや周辺環境、また住宅内で地デジ電波が分配される数などによって、適した地デジアンテナモデルや素子数はさまざまに異なってまいります。
各現場の条件に適した地デジアンテナの設置方法については、以下のコラム記事も参考になるかと存じます。
徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方とは?
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ご要望別・地デジアンテナの機種と設置の方法
新築戸建て住宅向けテレビアンテナ工事の種類と費用は? 設置から相場、業者選びまで解説!【地デジの事ならあさひアンテナ】
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