アンテナ設置工事の台風対策。テレビが映らない、アンテナが倒れるなどの原因と対策、予想される風災トラブルへの対処方とは?
日本は世界的に見ても、地震や台風、豪雪や火山の噴火などが多い「災害大国」として知られております。中でも台風は、毎年のように日本を訪れ、ときには猛烈な暴風雨で、大変な被害を巻き起こすこともございます。
そして住宅設備の中でも、台風の影響により影響を受けやすいのが、地デジ(地上デジタル放送)や衛星放送(BS/CS)のテレビアンテナです。テレビアンテナは基本的に屋外に設置されることから、激しい風雨や、飛ばされてきたものが当たるなどでダメージを受けやすい他、アンテナ角度のズレが生じても、テレビ電波の受信に大きな支障が出ることがございます。
当コラムでは、台風の多い地域などで、強風などによるアンテナトラブルの原因や、その対処法。また台風、強風などによるアンテナトラブルを避けやすいアンテナ工事の方法などについて、2023年(令和5年)の最新データーを元にご説明してまいります。
特にアンテナが倒れることについての原因や対処法については、以下のコラム記事にも包括的な対策がございます。
・屋根の上の地デジテレビアンテナが強風などで倒れる原因と対処。修理や対策の取り付け工事と費用を相場より安くする方法は?
地デジ放送、衛星放送の基本的な仕組みとは?
各種テレビアンテナについてご理解いただくには、まず地デジ放送、衛星放送(BS放送、CS放送)の基本的な仕組みをご説明する必要がございます。ここではまず、各放送についての基礎知識をポイントごとに解説してまいります。
(地デジ放送の基礎知識)
地デジとは、正式には地上デジタルテレビ放送と呼ばれるものです。日本国内の各地、地上に設置されている電波塔から送信している、UHF(極超短波)帯のうち470MHz(メガヘルツ)から710MHzの周波数帯である地デジ電波を、建築物の屋根の上など、高所に設置された各種の地デジアンテナ(UHFアンテナ)で受信。
そしてアンテナからケーブルを通じて屋内のテレビなど受信機器に送信し、内蔵されたチューナーがテレビ映像に変換し、表示します。地デジ放送は、かつての地上アナログ放送と同じく、地上の中継局などの施設から電波を送信しているため「地上波放送」とも呼ばれます。
この地上波放送のチャンネルには、公共放送であるNHKと、日本国内全域でネットワーク放送を行う広域民放各社。そして東京都の東京MX、埼玉県のテレビ埼玉(テレ玉)など、各都市圏にあたる都府県に存在し、その都府県内と近隣エリアを放送範囲とする、独立放送局のいわゆる地方チャンネルがございます。地上波放送の各チャンネルは、受信料が必要となるNHKを除き、地デジアンテナを設置することにより基本的に無料で視聴できます。
また地デジの電波塔は全国各地に設置されていますが、中継局からの距離が遠くなるほど、受信できる地デジ電波レベル(電波強度)が弱くなります。また山地や窪地などの地形、高層建築物の付近などでも、その影響から電波状態が悪くなります。
日本国内での各地域にて、中継局からの距離や地形の影響などにより、受信できる地デジ電波強度のレベルに合わせて、地域ごとに「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」および「難視聴地域」に分けられております。
各電界地域に正式な定義はございませんが、一般的には、電波強度の単位「㏈(デシベル)」にて、その地域で受信可能な地デジ電波レベルが「80㏈」以上であれば強電界地域。「80㏈から60㏈」であれば中電界地域。「60㏈」以下になると弱電界地域とされております。
また「難視聴地域」とは、地デジ中継局からの距離が通い、また山間部にあたる地域などで、地デジ電波がほとんど届かない地域です。その多くは民家の少ない山地や原野、過疎地域などになります。
地デジ放送のUHF電波には、中継局から発信された先で、山や高層ビルなどの遮蔽物によって阻まれ、その先には届かない。または電波が弱まるという性質がございます。またエリア的には強、中などの電界地域に含まれる場所でも、近隣にマンションなどの高層建築物が位置する。地形が複雑でくぼんでいるなどの要因で、局地的に受信できる地デジ電波レベルが低くなることもございます。
各電界地域でも地デジ電波のレベルは、一年の間の気候、季節の変動などの影響により、およそ「6㏈」前後の違いが生じてまいります。また悪天候でもやや地デジ電波レベルは低下いたします。
そのため地デジ電波の受信レベルは、テレビなどの受信機器に到達した時点で「47㏈から81㏈」程度が適切とされています。
地デジ電波がテレビなどの機器に届いた時点で、電波レベルが「90dB」以上と強すぎる場合も、画面の乱れなどの原因になります。この場合は、受信感度を落とした強電界地域向けの地デジアンテナを使用する。電波レベルをやや弱める「アッテネーター」という機器を設置する、また受信機器のアッテネーター機能をオンにするなどの対処がございます。
お住まいのエリアなど、特定の地域が「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」のどれに該当するかは、一般社団法人「放送サービス高度化推進協会」の公式サイト内にあるページ「放送エリアの目安」で、おおよその目安ながら確認することができます。
・地デジ放送や電界地域についての詳細は、以下のコラム記事でもご説明しております。
地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
地デジ受信に重要な「ハイトパターン」とは? 地デジアンテナは高いところに設置すべきとは限らない?
(衛星放送(BS/CS放送)の基礎知識)
衛星放送とは、地球でも赤道軌道上の上空、およそ36,000キロの宇宙空間、静止軌道上に位置し、地球の自転に合わせて半球を捕捉し続ける人工衛星から、地上へと放送用の電波を送信するテレビ放送の方式です。
衛星放送の特徴は、人工衛星から地上の広範囲へと効率的にテレビ電波を送信しているため、地上の地形や建築物、災害などに影響されにくい点です。
日本国内の衛星放送は、放送衛星を用いた「BS放送」と、通信衛星を用いた「CS放送」の2種類になります。
BS放送(BSデジタル放送)は、東経110度に位置する放送衛星からテレビ電波を送信しており、NHKの受信料を除けば基本的に無料で視聴できるNHK、広域民放などの各チャンネルと。個別契約で視聴料金を支払って視聴するWOWOWなどの有料チャンネルがございます。
CS放送には、同じく東経110度に位置する通信衛星からテレビ電波を送信する110度CSデジタル放送、いわゆる「スカパー!」サービス。そして東経124度、128度に位置する通信衛星を利用する124度・128度CSデジタル放送「スカパー!プレミアムサービス」がございます。どちらもほとんどがチャンネル別、またはチャンネルパックによる契約方式の有料チャンネルですが。さまざまなジャンルのチャンネルが存在する特色がございます。
BS放送および110度CS放送は、人工衛星の角度が同じであるため、一台のBS/110度CSアンテナでどちらも受信でき、現在の主な衛星放送となっております。
124度・128度CSデジタル放送「スカパー!プレミアムサービス」は衛星の方向が異なるため、受信のためにはBS/CSアンテナとは別個に専用アンテナを設置するか、すべてのBSおよびCS放送を受信できるマルチアンテナを設置する必要がございます。
衛星放送の電波は、日本国内の全域で専用のアンテナを設置することにより受信可能です。ただ送信する人工衛星の位置が一定であるため、日本国内でも北部や南端、離島部などではやや電波レベルが低くなります。
衛星方法の電波は人工衛星から送信され、受信に用いるBS/CSアンテナ(パラボラアンテナ)も指向性(一方向からの受信感度)が高くなるため、アンテナを衛星の方向(東経110度など)へ正確に向ける必要がございます。場合によってはミリ単位のずれが生じても衛星放送の受信感度が大きく低下するケースがございます。
またBS/CSアンテナを人工衛星の方向に向ける際、その方向に山地や建築物、樹木などの障害物があると受信が困難になります。そのためBS/CSアンテナは障害物のない方向へと設置する必要がございます。
衛星放送の電波は波長が短い高周波のため、大粒の雨や雪などの際には、電波が雨や雪に吸収されて減衰や乱反射が起こり、衛星放送の受信レベルが低下して、画面の乱れや受信不良が起こる「降雨(降雪)減衰」も発生いたします。
衛星放送に関しては、以下のコラム記事でも詳細をご説明しております。
衛星放送(BS放送・CS放送)の「テレビ電波」基礎知識
【現在の主要な地デジ、BS/CSのアンテナ機種】
一般住宅などで前述の地デジ放送、衛星放送を受信するためには、それぞれ別個の「地デジアンテナ」「BS/CSアンテナ」を設置する必要がございます。
2023年現在の地デジアンテナの主要機種には「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」の3種類がございます。
また衛星放送用のBS/CSアンテナは、いわゆるパラボラアンテナの一種類のみですが、その中にもいくつかの分類がございます。
以下、各アンテナモデルの特徴について解説してまいります。
(地デジアンテナの種類:八木式アンテナ)
八木式アンテナは、主に戸建て住宅の屋根の上などに見られる、矢印か魚の骨のような形状をした古典的な地デジアンテナです。大正時代の1920年代に開発された歴史のある機種で、名称は開発者に由来し、八木アンテナ、八木・宇田アンテナとも呼ばれます。
矢印状の主な骨組みに、いくつも設置された短い横棒は「素子(エレメント)」と呼ばれ、この素子数が多いほど地デジ電波を受信する性能が高くなります。
八木式アンテナは、製品ごとにこの素子数の異なるモデルがある他、素子数の上限が多く、高性能素子を用いたモデルなどもあるため、現在の地デジアンテナでももっとも高い受信性能を誇り、また強電界地域から弱電界地域まで、幅広いエリアに対応できます。
戸建て住宅向けの八木式アンテナには、強電界地域向けの4素子から8素子。中電界地域向けの14素子から20素子など、電波状態に合わせたさまざまなモデルが存在します。
さらに素子を設置する部分に「Ⅹ」字型の金具を設置し、上下に素子パーツを設置した高性能素子を使用するパラスダックアンテナという高性能モデルもあり、このタイプのアンテナでは30素子などの高素子数化も可能です。半面、指向性が非常に高くなる問題もございます。
八木式アンテナは本体の受信性能に加え、屋根の上などの高所に設置されるため、周辺の障害物などの影響を受けにくく、高い受信性能を誇り、電波状態の悪いエリアにも適しております。特に弱電界地域などでは、地デジアンテナ設置は高性能の八木式アンテナを屋根の上に設置する以外の選択肢がないケースもございます。
また古典的な機種であり、現在の地デジアンテナではもっとも低価格なモデルになります。
主な設置位置は屋根の上のマスト(ポール、支柱)への設置ですが、現場の電波状態が許せばベランダの内外、また壁面や設置具を固定しての取り付け、軒下に設置具を固定して吊り下げるような取り付けも可能です。このような設置では風雨などを避けやすくなるという特徴がございます。
基本的に屋根の上に設置されるため、風雨や雪などの影響を受けやすく、そのため経年劣化が進行しやすい。またダメージの蓄積によりアンテナトラブルも生じやすくなるデメリットがございます。
また屋根の上に設置されて目立つため、住宅の外観や景観を乱すというデメリットもあり、景観地域や高さ規制のある地域では、条例などにより設置できないケースもございます。
なお八木式アンテナについての詳細は、以下の各コラム記事もご参照ください。
地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
(地デジアンテナの種類:デザインアンテナ)
デザインアンテナとは、アンテナの本体部分をコンパクトにまとめ、主に長方形などの、薄型のケースに収めた地デジアンテナです。2009年(平成21年)頃に普及しはじめたアンテナ機種で、主に住宅の壁面などに設置されることもあり、平面アンテナ、壁面アンテナ、薄型アンテナ、ボックスアンテナ、フラットアンテナなどとも呼ばれます。
住宅への設置位置は壁面の他、ベランダの手すりなどになります。また現場の電波状態が良好。住宅の建材などが地デジ電波を遮断しないという条件が揃った住宅では、屋根裏、天井裏空間への設置も可能です。
スマートな外観でカラーバリエーションも豊富なため、住宅の壁などに設置しても目立たず、家屋のデザインや景観を乱さない。さらに風雨などの影響も受けにくいため、経験劣化が進みにくく寿命が長くなるといったメリットから人気の高い地デジアンテナ機種です。
半面、受信性能は主に20素子相当、26素子相当までで、同素子数の八木式アンテナに比べるとわずかに受信感度が低くなる。一般的に設置位置が低くなるなどの点から、八木式アンテナに比べると受信性能は低くなり、主に強電界地域から中電界地域での使用が推奨されます。
価格的にも、同性能の八木式アンテナに比べるとやや高くなる傾向がございます。
デザインアンテナについての詳細は、以下の各コラム記事もご参照ください。
地デジ用テレビアンテナの一番人気「デザインアンテナ」とは? 特徴から本体価格、工事費用や料金相場、業者選びまで徹底解説!
台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
この最小デザインアンテナがすごい!スカイウォーリーミニ(マスプロ電工)
(地デジアンテナの種類:ユニコーンアンテナ)
ユニコーンアンテナとは、2017年(平成29年)に、大手アンテナメーカー「マスプロ電工」が開発したオリジナルの地デジアンテナです。マストの先にほぼ円筒状のコンパクトなアンテナ本体が設置された、スタイリッシュなデザインの地デジアンテナです。名称は登録商標ですが、ポール型アンテナと呼ばれることもあります。
設置位置は屋根の上に立てる。また専用の設置具(サイドベース)を用いて、屋根の張り出し部(羽目板)や壁面などに設置される形で、高い位置を取れて周辺の障害物に影響されにくくなるため、受信感度が高まります。
カラーバリエーションは落ち着いたブロンズブラックとウォームホワイトで、その外観性から、純和風建築など一部の住宅を除いて、住宅の外見や景観を乱さない、見栄えのいいアンテナ設置が可能となります。
形状から風雨などを受け流して影響されにくいため、経年劣化を抑えられてトラブルが生じにくく、アンテナ寿命も長くなります。
受信性能は20素子相当ですが、デザインアンテナより高所に設置できるため受信感度が高くなり、デザインアンテナが使用できないエリアでも設置できることがございます。
半面、同素子数から高性能機種の八木式アンテナに比べると受信性能は低くなるため、基本的には強電界地域から中電界地域での使用が推奨されます。
価格的にも最新機種であるため、八木式アンテナ、デザインアンテナよりも高価格になります。
なおデザインアンテナについての詳細は、以下のコラム記事もご参照ください。
地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
【BS/110度CSアンテナ(パラボラアンテナ)の種類】
BS/110度CSアンテナは、東経110度に位置するBS放送およびCS放送の人工衛星からの電波を受信するためのアンテナです。
衛星放送用のアンテナは、衛星からの電波を受け止めて中央部に集める皿状の「ディッシュ」と、電波を集める「コンバーター」およびそれを支える「アーム」から構成されています。
コンバーターは、人工衛星から送信される高周波の電波を、テレビ電波に適した周波数へと変換する装置です、そのため電源が必要となります。電源はブースター部、または接続されたテレビなど受信機器からケーブルを介して給電されます。
BS/CSアンテナの基本的な構造、受信性能は、どのメーカー、モデルでも同一サイズであれば大きな差はございません。
主な設置位置は屋根の上やベランダの内外、設置具を固定した壁面や軒下ですが、条件が許せば専用スタンドに立てて室内の窓際にも設置可能です。八木式アンテナ、ユニコーンアンテナでは、同じマストの下部にも設置できます。
ディッシュ部の大きさは、家庭用では直径を示す45(センチ)型が主ですが、50型、60型などのやや大型もあり、90型以上は集合住宅向けの共同受信用になります。大型のBS/CSアンテナは受信性能が高まり、小規模の集合住宅で使われる他、悪天候時でも安定した受信が可能となりますが、半面、風雨などに影響されやすくなる問題もございます。
2018年(平成30年)にスタートした「新4K8K衛星放送」では、多くの4K8Kチャンネルで従来の衛星放送とは異なる「左旋」の電波を使用しているため、左旋の電波を受信できる4K8K対応のBS/CSアンテナが必要です。現在のBS/CSアンテナは大半が4K8K対応型ですが、2018年以前に設置された旧来の2K対応BS/CSアンテナでは、新4K8K衛星放送のうち、従来の右旋の電波を使用するBSの一部4Kチャンネルしかご視聴いただけません。また合わせて配線部のブースター、分配器なども4K8K対応型を使用する必要がございますので、ご注意ください。
前述のように、CS放送には東経110度の他、東経124度、128度の人工衛星を使用するものもあり、これらを受信するためには、別個の専用パラボラアンテナ、または110度を含めてすべての衛星放送を受信できるマルチアンテナの設置が必要です。
その他のバリエーションには、主な本体色は太陽光に強い白色ながら、紫外線に強い加工を施したカラーバリエーション。ディッシュ部のパンチングホールや各部の強化により耐風性能を高めた高耐風モデルなどが存在します。
なおBS/CSアンテナについての詳細は、以下のコラム記事もご参照ください。
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【日本国内で強風や台風が多い地域は?】
地デジ、BS/CSのテレビアンテナは、特に屋根の上に設置されている場合、激しい風雨や雪など、天候や自然環境の影響によりダメージを受けます。そして強い風雨を伴う自然災害の代表といえるものが「台風」です。
また日本は世界的にみても、台風の上陸数が多いことで知られており、その他、地勢や自然環境などから、地震をはじめ豪雨、豪雪、津波、火山噴火なども起こりやすいため「災害大国」と呼ばれることもございます。
日本国内でも、特に台風の上陸数が多い都道府県は、九州の南端で人気若手女優、大原優乃さんの出身地でもある鹿児島県。四国の南西端で、坂本龍馬で知られる高知県。ミカンの産地であり「暴れん坊将軍」こと徳川吉宗の出身地でもある和歌山県。お茶の産地や清水次郎長で知られる静岡県などです。
特に台風が通過することが多い「台風銀座」と呼ばれる地区としては、沖縄県宮古島、鹿児島県枕崎市、高知県の室戸岬や和歌山県の潮岬などが知られています。
また豪雨が多い地域は、北海道、岩手県、秋田県、福島県、新潟県、長野県、岐阜県、静岡県、兵庫県、宮崎県、鹿児島県などをはじめ、全国各地にわたります。
強風が多い地域は、静岡県、鹿児島県、沖縄県などです。強風は同じ地域でも、地形などの影響で強さが変わってきます。より詳細には、国土交通省が定める「基準風速」を確認すると、各市町村単位での最大風速を調べることができます。
【アンテナに起こり得る風雨の影響】
テレビアンテナが台風など風雨の影響を受けた場合、台風などの最中やそれ以降、テレビ放送が映らない、映像が乱れるなどのトラブルが発生します。台風などが収まった後もテレビ放送の不調がそのままの場合は、アンテナ機器に大きなトラブルが発生したと考えられます。
以下、風雨により発生しうるテレビアンテナ、テレビ放送のトラブルについてご説明いたします。
(雨によるテレビアンテナや放送への影響)
地デジアンテナでも八木式アンテナは、ステンレスなど金属製の部品で構成され、素子部をはじめアンテナ機器がむき出しになっております。そのため長年にわたって風雨などにさらされ続けることにより、各部にサビが発生する、金属疲労が生じるなど、徐々にアンテナ本体が劣化してゆきます。
BS/CSアンテナについては、前述のように雨や雪の場合、衛星放送の電波が雨により吸収され、降雨減衰、降雪減衰による受信トラブルが生じることがございます。この問題は基本的に天候の回復を待つか、ディッシュが大型のBS/CSアンテナを使うことで解消できますが、大型化で風雨などによるトラブルが生じやすくなる難点もございます。
またBS/CSアンテナもディッシュ部で風雨を受けやすい、コンバーターは電源が必要などの構造であるため、長年の使用で風雨を受け続けた金属部品や電子機器部が劣化するなどの影響が生じます。
(風によるテレビアンテナや放送への影響)
雨の場合と同じく、八木式アンテナ、BS/CSアンテナは、素材や形状、屋根の上の設置位置などから、風の影響も受けやすくなります。
八木式アンテナは、特に長年の風雨などで老朽化、金属疲労などが進んだ場合、強風をはじめ豪雨や大雪、また地震などの際に、角度のズレや傾きで十分な地デジ電波が受信できなくなる。またアンテナが屋根の上で倒れ、受信不良だけでなく屋根材を傷つける。さらにはアンテナが屋根から落下することで、重大な人身事故、物損事故を起こす危険性もございます。
BS/CSアンテナも、ディッシュ部が風を受けやすいことから、アンテナ角度のズレが生じやすい他、各部がダメージを受けやすいアンテナになります。特にBS/CSアンテナはミリ単位のズレで受信感度が大きく低下することがございます。
またBS/CSアンテナも屋根の上に設置されている場合、八木式アンテナと同じく、倒壊、落下などのリスクが生じます。総じて屋根の上に年数を経たテレビアンテナが設置されている場合は、台風や地震などの災害のあとには、倒壊などが起こっていないか確認することが重要です。
【屋根の上に設置されている八木式アンテナ、BS/CSアンテナの風雨対策】
地デジ放送、衛星放送とも、電波が送られてくる方向に、山や建物などの障害物があると電波の受信状態が悪くなります。
そのため、より遮蔽物の影響を受けにくい高い位置への設置として、戸建住宅などでは屋根の上などが望ましくなります。特に弱電界地域などでは、屋根の上に高性能の八木式アンテナを設置する以外の方法では、必要な地デジ受信レベルを確保できないこともございます。
ただ屋根の上に、特に八木式アンテナやBS/CSアンテナを設置している場合は、アンテナが風雨の影響にさらされ続け、老朽化やトラブルのリスクが高くなるという難点もございます。
ここでは、八木式アンテナ、BS/CSアンテナを主に屋根の上に設置する場合の、強風や雨への対策をご説明いたします。
(八木式アンテナの風雨対策)
弱電界地域などで使用される高性能の八木式アンテナは、電波が弱い地域でもしっかり地デジ電波を受信してくれる半面、素子数の多さから大型化し、設置位置も屋根の上が基本となるため、風雨などに影響されやすくなります。
ただ周辺の受信環境によっては、風の影響を受けにくい軒下の外壁やベランダ内部などに設置することも可能です。
屋根の上でも風雨などに強い八木式アンテナ設置には、プロの技術によりアンテナ本体をしっかりと固定することが基本です。
八木式アンテナを屋根に設置する場合は、まずマストを立てる器具「屋根馬」を適切な場所に置き、マストとその先端にアンテナ本体を固定。そして屋根の四方からステンレスワイヤーなどの支線でマストや屋根馬を固定します。
当あさひアンテナでは、マストから屋根の四方に向かって4本の支線を張り巡らせ、さらにそれら支線の途中から屋根馬に向け、4本の支線をバランスよく張るという、合計8本の支線による頑丈な固定を実践しております。
ただこれらのマスト、屋根馬、支線なども長年の使用により劣化します。八木式アンテナの寿命は設置工事の後、10年から15年程度といわれます。環境の穏やかなエリアではそれ以上の寿命も望める半面、厳しい環境下では寿命が10年を切ることもございます。
そのため八木式アンテナを設置した場合は、定期的にアンテナの状態を確認してメンテナンスを行う必要がございます。
また八木式アンテナ本体には、ステンレス素材などで軽量化を進め、さびにくく耐風性能を高めたモデル。防水コーティングを施したモデル。また八木式アンテナにカバーを設置したモデルも存在します。このようなモデルを採用する、またアンテナ設置時に防水加工を施しておくことなどにより、八木式アンテナでも耐風、防水、防サビ性能を高めることができます。
(BS/CSアンテナの風雨対策)
前述のようにBS/CSアンテナはパラボラアンテナであるため、ディッシュが風雨の影響を受けやすく、雪が積もることもございます。
さらに雨や雪がBS/CSアンテナに付着すると水の膜ができ、衛星電波を吸収することで受信レベルが低下します。
BS/CSアンテナの雨や雪への対策には、設置場所を風雨を避けやすいベランダ内外や軒下、壁面にする。アンテナ本体へ防水スプレーを塗布する。アンテナ本体を覆うアンテナカバーをかけるなどの方法がございます。
(八木式アンテナ、BS/CSアンテナで風雨などによるトラブルが起こった場合は?)
八木式アンテナ、BS/CSアンテナともに、屋根などの高所に設置されることが多くなります。
そのため、激しい風雨などによる破損。また角度のズレなどでテレビ放送が映らなくなった場合の対処は、ご自宅での修理は大変な危険が伴うため、アンテナ工事の専門業者など、プロの業者へ修理を依頼されることをおすすめいたします。
専門業者であれば、アンテナチェッカーを用いた電波レベルや方向の測定。またプロの技術により頑丈に再固定するなどで、以降のトラブルを抑えらえる修理が可能となります。
【BS/CSアンテナの高耐風モデル「BC453SG」を使用する】
BS/110度CSアンテナの強風対策には「高耐風モデル」を選ぶ方法がございます。このようなモデルは、パラボラアンテナながら多くの工夫により、強風にも影響されにくい設計になっております。
おすすめの製品としては、国内の大手アンテナメーカー「DXアンテナ」の「BC453SG」がございます。
BC453SGは一般家庭用の45型BS/110度CSアンテナで、4K8K放送にも対応しております。強風対策としては、ディッシュに細かなパンチングホールを数多く配置して風を通す構造の他、押さえ金具の強化で、アンテナ角度のズレを抑えるなどの工夫がなされております。
BC453SGの受信可能風速は、一般的なパラボラアンテナの2倍以上である50m/s(秒速50メートル)、耐風速では70m/sの性能を誇ります。そのため「猛烈な台風」「スーパー台風」水準の強風でも、大きなアンテナトラブルを避けられる可能性が高まります。
「BC453SG」の詳細については、以下のコラム記事もご確認ください。
台風対策に最適! 究極の高耐風BS110度CSアンテナ「BC453SG」(DXアンテナ)
【デザインアンテナを設置する台風対策】
前述のように、デザインアンテナは形状や設置位置から、台風対策にも適した地デジアンテナと言えます。
デザインアンテナには台風対策の他にも多くのメリットがございますが、設置に際してはデメリットも検討し、ご自宅の現場に適しているかを確認しておく必要がございます。
(デザインアンテナのメリット)
主に薄い長方形の箱状で、壁面やベランダの手すりなどに設置できるため、建物の外観を損ないません。また台風など強風や豪雨の影響も受けにくくなります。
強電界地域など地デジ電波が強いエリアであれば、住宅の屋根裏などに設置することで、住宅の外観への影響や、風雨などの影響をほぼカットすることも可能です。
景観地域や高さ規制などにより、屋根の上にアンテナを設置できない地域でも対応可能です。
(デザインアンテナのデメリット)
最大でも27素子相当で、設置位置もやや低くなるため、地デジ受信感度も低めとなり、弱電界地域や周辺に高層建築物などの障害物がある現場では設置できない可能性もございます。
まや住宅壁面への設置では、壁にビス穴を開けて固定具を取り付ける必要がございます。設置費用も八木式アンテナに比べると、やや高価になります。
【ユニコーンアンテナを設置する台風対策】
ユニコーンアンテナも、その形状的から台風対策に効果がございます。
ユニコーンアンテナのメリット、デメリットは、以下の通りになります。
(ユニコーンアンテナのメリット)
シンプルでスマートな形状から建物の外観を損ないにくい上、強風を受け流すため風雨などの影響も受けにくくなります。一方で高所に設置できるため地デジの受信感度を確保でき、壁面へのデザインアンテナ設置ができない現場でも、設置できる可能性が高くなります。
(ユニコーンアンテナのデメリット)
八木式アンテナの高性能機種に比べると受信性能が低く、弱電界地域などでは設置できないこともございます。またデザインアンテナに比べても、さらに設置料金が高額になります。
【アンテナ設置位置の工夫による台風対策】
テレビアンテナは一度設置すると長期間、固定され続けるため、設置位置の工夫も、台風対策に大きな効果を発揮いたします。
設置位置によるアンテナの台風対策では、風雨に影響されにくい方向になる壁面やベランダ内外、軒下、屋内などへの設置が考えられます。ただ地デジアンテナは地デジ電波が届く方向、BS/CSアンテナは東経110度へ正確に向ける必要があり、その方向に障害物がない条件も必要になるため、設置場所が受信条件に適応するかも重要となります。
屋根の上以外へのアンテナ設置が可能かどうかは、周辺の電波状態でも大きく左右されるため、十分なテレビ電波の受信が可能かどうかを確認しながら、設置場所とアンテナ機種の組み合わせを選択します。
特にデザインアンテナは壁面への設置が基本である他、現場の電波状態がよく、住宅の屋根裏、天井裏空間に十分なスペースがある。屋根材や断熱材などの素材が地デジ電波を遮断しない、電波を遮断する太陽光パネルなどがない、などの条件が整っていれば、屋根裏や天井裏をはじめ、屋内への設置も可能となります。
この設置方法では風雨などを完全に遮断する他、住宅の外観にもまったく影響を与えないメリットがございます。
なお八木式アンテナも屋根裏への設置は不可能ではございませんが、本体のサイズから条件が厳しくなる上、別途、設置具が必要で工事費がデザインアンテナと変わらなくなるなど、使用するメリットがないため、通常は屋根裏などへの設置には用いられません。
ユニコーンアンテナも、受信面積が小さいことから屋根裏への設置には不向きです。
BS/CSアンテナも、障害物のない東経110度向きであれば、、外壁の軒下やベランダなどに設置することで、目立たない上に風雨なども避けやすくできます。
なおBS/CSアンテナは、周波数の高い衛星放送からの電波が外壁に遮断されるため、屋内設置には向きません。ただ住宅の窓際で、窓の素材が電波を遮断しにくいものであれば、専用スタンドに立てて室内に設置できることもございます。
ただBS/CSアンテナの室内設置は、風雨などを避けやすくなる半面、室内でスペースを取る、触れてしまうことで角度がずれやすい、などの問題があるため、ご注意ください。
また地デジアンテナであれば、小型の据え置き型、壁や窓に貼りつけるペーパー型などの室内アンテナも存在します。
このような機種であれば気候の影響は受けなくなりますが、受信性能が非常に低いため強電界地域でしか使用できず、受信が安定しないこともございます。室内アンテナは基本的に簡易的なテレビアンテナであるとご理解ください。
なお現場の電波状態の確認や適切なアンテナ設置については、基本的にはアンテナ工事の専門業者に依頼されることがおすすめです。専門業者であれば電波状態の測定から、適切なブースターの設置や調整。高所での作業などを、十分な技術と装備で確実に遂行できるためです。
アンテナ工事の専門業者だけでなく、アンテナ本体を販売している家電量販店やホームセンターなどでも工事を請け負っております。
ただ業者によっては工事やサービスの内容などが変わってくるため、インターネットのホームページなど多くの情報を比較し、可能な限り相見積もりを行って、その内容を確認する必要もございます。
各種のアンテナ工事業者については、以下の各コラム記事でもご説明しております。
地デジ・衛星放送テレビアンテナ工事の費用がいくらかわかる「見積もり」の方法は? 会社ごとのアンテナ工事相場と優良業者の選び方を徹底解説!
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【ケーブルテレビ(CATV)、光テレビなどを利用する風雨対策】
近年ではテレビアンテナによる地デジ、衛星放送のご視聴だけでなく、ケーブルテレビ、光テレビによって各種のテレビ放送視聴することができます。このようなご視聴方法ではテレビアンテナが必要ないため、当然、風雨など自然環境をはじめとするアンテナトラブルのご心配はいっさいなくなります。
以下、ケーブルテレビ、光テレビについて、その仕組みやメリット、デメリットを解説してゆきます。
(ケーブルテレビ(CATV)とは?)
ケーブルテレビとは、各地域に存在する事業者と契約して、ケーブルテレビ局に設置された大型の地デジ、BS/CSアンテナで受信したテレビ電波を、契約者の住宅まで直接、ケーブルを敷設して送信する方式のテレビ放送です。
元来は難視聴地域向けのサービスでしたが、インターネット回線やスマートフォンなどの複合型サービスとして、都市圏などでもサービスを提供する事業者が存在します。
ケーブルテレビのメリットには、電波の受信が難しい「難視聴地域」内でもテレビ放送を視聴できる。地デジ、BS/CSの各チャンネルの他、ケーブルテレビ局オリジナルのチャンネルなども視聴できる。各家庭まで有線でつなぐため、電波の劣化が少ない。インターネット、スマートフォンその他のサービスとセット利用もでき、総額で割安になるケースもある、などの点が挙げられます。
一方、ケーブルテレビのデメリットには、初期工事費用や月額料金が必要となる。事業者によっては一部のチャンネルに対応していないことがある、などの点がございます。
(光テレビとは)
光テレビは、インターネット回線に使われる光通信回線を利用し、テレビ放送の映像信号を送るテレビ放送形式です。事業者により「ひかりTV」「フレッツテレビ」「auひかりテレビサービス」などのサービスがございます。
光テレビのメリットには、すでに光回線を開設している住宅であれば、簡単な機器の設置などで地デジ、BS/CSの各チャンネルを視聴できる。難視聴地域などでも安定してテレビ放送を視聴できる。デメリットはやはり一定の初期費用や月額料金が必要となる。サービスによって一部のチャンネルに対応していない場合もあるといった点になります。
【まとめ】
今日ではアンテナ本体の改良や施工技術の改良などにより、大きな台風の場合も、アンテナの被害をかなりのレベルまで抑えることか可能となっております。ただ弱電界地域などでは、屋根の上に八木式アンテナを設置する以外の選択肢がない場合もあり、ときに台風や強風などによる被害が生じることもございます。
当あさひアンテナでは、強風による急なアンテナトラブルについても、弊社フリーダイヤル(0120-540-527)かメールフォーム、LINEアカウントまでご一報いただければ、早急にご対応いたします。
また強風などによるアンテナトラブルでお困りの方にも、現場の状況に合わせた最適の強風対策となるアンテナ工事をご提案いたします。
耐風、強風対策をはじめ、さまざまなトラブルに対処できるテレビアンテナ工事をお求めのお客様は、まずは当あさひアンテナにご相談いただければ幸いに存じます。