1基のアンテナから家にあるすべてのテレビに電波を送る「分配器」とは? その種類と選び方、分波器などとの違いを徹底解説!

2022年12月03日

その昔、昭和の時代は「テレビは一家に一台」といわれ、家族間で一台しかないテレビを取り合う「チャンネル権争い」も日常的な風景でした。しかしその後、時代の流れにつれ、テレビは住宅内の主要な部屋で、一部屋に一台、設置されるものになりました。
現代ではテレビ放送の地デジ(地上デジタル放送)化や、衛星放送であるBS/CS放送、新4K8K衛星放送の普及。ブルーレイ/HDDレコーダーの一般化。さらにテレビ本体だけでなく、スマートフォンやタブレットなど携帯機器でもテレビ放送が視聴できる。インターネットを利用した配信サイトも普及するなど、テレビ視聴を巡る環境は多様化しております。

そんな令和の現代でも、一般の戸建住宅においてテレビ放送を視聴する方法としては、衛星放送の有料チャンネルを除いて、基本的に無料でテレビ放送を視聴し続けることができる、テレビアンテナの設置が主流となっております。
そして「一家にテレビ、レコーダーが複数台」という、現在のテレビ視聴環境を支える重要な機器が、ご自宅のテレビアンテナから、各部屋のアンテナコンセントまでの間の、アンテナケーブル(同軸ケーブル)によるアンテナ配線に設置される「分配器」になります。

当コラムでは、ご自宅のテレビアンテナ配線における心臓部ともいえる、重要な機器「分配器」について、その性能や種類から、種類それぞれの製品の使用法、具体的な配線方法。設置時の注意点から交換の必要性まで、2023年(令和5年)度の最新情報に基づいて、概要から詳細まで徹底的にご説明いたします。

複数台のテレビに電波を分配する「分配器」とは?

テレビアンテナにおける分配器とは、一般的にはアンテナケーブルに接続する、複数の端子をもつ機器になります。小さな箱のような分配器本体にある複数の端子の内、一ヵ所は入力端子、それ以外の2つ以上の端子はどれも出力端子になります。
今日の一般的な戸建て住宅では、住宅内の複数の部屋に、アンテナからのテレビ電波を届けるアンテナコンセント、またはマルチメディアコンセントが設置され、コンセントのアンテナ端子と、テレビなどの受信機器をアンテナケーブル(テレビケーブル)で接続することにより、テレビ放送が受信できます。
このような住宅のアンテナ配線では、設置されるテレビアンテナから延びるアンテナケーブルは多くの場合、必要なレベルまで電波を増幅する機器「ブースター」を経由して、分配器の入力端子に接続されます。そして分配器の出力端子に接続された複数のケーブルから、住宅内のアンテナコンセントに接続されることで、住宅の各部屋までテレビ電波が分配されるのです。
分配器の分配数に関しては、ふたつの出力端子をもつ2分配器から、最大で8分配器まで、7分配型を除く6種類の製品が存在します。
なお分配器を通した電波は、例えば出力先が4カ所(4本のケーブル)であれば、個々のケーブルの電波レベルは、入力端子から送られる電波レベルのほぼ4分の1など、等分のレベルに分配されます。ただそれとは別に、分配器を通すこと自体や、接続端子を通ることで、おおよそ3㏈(デシベル)から4㏈程度の、わずかな電波レベルの減衰(弱まり)も生じます。
分配器やブースターについての詳細情報は、以下のコラム記事もご参照ください。
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分配器の性能を示す「結合損失」と「端子間結合損失」

分配器の性能を示す主な数値には「結合損失」と「端子間結合損失」がございます。
以下、それぞれについてご説明いたします。

・結合損失

前述したように、分配器の入力端子から個々の出力端子に送られる電波レベルは、分配される数で割られる形で数分の一に減少する他、分配器本体や接続端子を通ることでの減衰も生じます。
これら入力される電波レベルに比べて、出力端子から出力される電波レベルの減少量を「分配損失」といい、分配器の性能を示す重要な指標のひとつになります。数分の一に減少した分配先の電波レベルが、テレビ放送を視聴するために十分なレベルでないと、テレビ放送の視聴に支障が生じます。そのため多くの住宅ではブースターを設置して、大本の電波レベルを必要なレベルまで増幅するのです。

・端子間結合損失

端子間結合損失とは、簡単に言うと、複数の出力端子間を逆流する電波を抑えられる性能のことです。出力端子に余計な電波が混入して他の出力端子にも流れてしまうと、テレビ画面が乱れる要因になります。これを防ぐ性能を示すのが端子間結合損失で、この数値が高いほど分配器として高性能ということになります。

対応できるテレビ電波における分配器の種類

一言でテレビ放送と申し上げても、現在では「地デジ」「衛星放送(BS/CS放送)」。また2018年(平成30年)にスタートしたBS/CS放送における4K8K放送「新4K8K衛星放送」の種類があり、それぞれの受信のためには対応するテレビアンテナが必要です。
これは地デジと衛星放送では、電波の送信元が地上の中継局(電波塔)と宇宙空間の人工衛星という違いや、送信される電波の周波数の違いによるものです。また同じ衛星放送でも、新4K8K衛星放送では、従来の2K衛星放送の電波「右旋円偏波」では周波数帯が不足したことから、多くのチャンネルで新しく「左旋円偏波」の電波が使用されるようになりました。
そして地デジより衛星放送の電波は周波数が高く、特に新4K8K衛星放送の左旋の電波は、従来の右旋の電波よりもさらに高周波数帯になっております。周波数の高い電波は、テレビアンテナで受信してから、ケーブルや機器を通じてテレビなど受信機器に届くまでに減衰しやすいという性質がございます。
そのため、ご自宅で地デジだけでなくBS/CS放送、新4K8K衛星放送に対応する衛星放送用のアンテナを設置される場合は、アンテナ本体だけでなく、分配器などの機器やケーブルも、BS/CS放送、4K8K放送に対応する機器を使用する必要がございます。
分配器については、現在の機器はほとんどが地デジとBS/CS放送の双方に対応できるものとなっております。ただスタートが比較的、近年である新4K8K衛星放送については、4K8K放送の周波数帯に適応する「3224MHz対応(4K8K対応)」の分配器が必要となるため、ご自宅の分配器が対応していない場合は、対応型の分配器に交換する必要がございます。
他にも分配器の種類には、通電する接続端子の違いである「1端子通電型」「全端子通電型」。また他の機器と一体化した「ケーブル一体型」「ブースター内蔵型」などの製品がございます。これらの機器について、詳しくは後述いたします。
新4K8K衛星放送に対応できる分配器その他の機器については、以下のコラムの情報もご確認ください。
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戸建て住宅で各部屋にテレビ電波を配分する方式「スター配線」「送り配線」の違いは?

上記の通り、分配器とは、アンテナケーブル配線を、屋内の複数のアンテナコンセントに分配する装置のことです。
そして現在の戸建て住宅で、テレビアンテナからのケーブルを複数のアンテナコンセントに分配する方法には、分配器を使用する「スター配線」と、使用しない「送り配線」の二種類の方式がございます。

分配器を使用する「スター配線」方式とは?

分配器を使って、屋内の各部屋にある複数のアンテナコンセントまでテレビ電波を分配する方法を「スター配線」方式と呼びます。
この配線は、テレビアンテナから主にブースターを経由して送られるケーブルを、分配器の入力端子に接続し、複数ある出力端子に節即されたケーブルを、屋内の各部屋にあるアンテナコンセントまで配線するという方式です。
スター配線とは、分配器から何本ものケーブルが延びる形が、輝く星のように見えることに由来する呼び名です。分配器は、現場ごとに分配されるアンテナコンセント数に、予備の一個を足した数の出力端子数のものが使われます。
ただ前述のように、分配器を通した電波は、アンテナとブースターから送られた電波レベルが分配される数で割られる形で、分配された個々の電波レベルは数分の一に低下します。そのため個々の部屋に届く電波レベルが必要十分になるよう、ブースターによる電波増幅量を調整する必要がございます。
スター配線方式は、現在の戸建住宅では主流となっている配線方式です。そのメリットは、各部屋にあるアンテナコンセントまで、ほぼ均等なレベルのテレビ電波を配分できる点です。そのためブースターの増幅レベルを調整することで、すべての部屋に、テレビ視聴に十分なレベルのテレビ電波を均等に送信することができます。特に高周波数帯であるため、ケーブルへの送信中に減衰しやすいBS/CSや新4K8K衛星放送の電波も、各部屋まで十分なレベルを届けることができます。
一方、スター配線のデメリットには、分配器の設置や、各部屋までのアンテナケーブルが必要となるため、後述する送り配線に比べると、工事や機材費のコストがやや高くなる点がございます。
なおスター配線方式で分配器が設置される場所は、一階の浴室や二階の押し入れ、クローゼットなどの天井に設置される、屋根裏や天井裏の点検口の近く。あるいは住宅のほぼ中心部に置かれる、アンテナ配線や電話回線、インターネットルーターや有線LAN配線などの各種配線を集約し、配分する「マルチメディアボックス(弱電盤、情報配電盤、情報分電盤、情報ボックス)」などが多くなります。

分配器を使用しない「送り配線」方式とは?

住宅内にある複数のアンテナコンセントに配線するもうひとつの方法として「送り配線」方式がございます。
これはテレビアンテナやブースターから延びるアンテナケーブルを、分配器に接続せず直接、もっとも近い部屋のアンテナコンセントまで伸ばし、接続する方法です。さらにそのアンテナコンセントに必要な電波を供給した後、近くにある部屋のアンテナコンセントに出力ケーブルを伸ばしてテレビ電波を送り、そこから出力ケーブルで次の部屋へと電波を送る。それを末端の部屋まで繰り返す配線方法です。
送り配線方式のメリットは、分配器を使用せず、スター配線方式に比べてケーブルの量も少なく済むため、工事費用が安く手間もかからないという点です。
一方、デメリットとしては、ほぼ一本のケーブルで各部屋へと順番にテレビ電波を送ってゆくため、各アンテナコンセントでの電波の消費や抵抗、長いケーブルを使うことによる電波の減衰により、先に行くほど電波レベルが低下してゆき、場合によっては先端に近い部屋では、電波の弱さによりテレビ画面の乱れが生じることもあるという点です。
そのためブースターで末端の部屋まで十分なレベルの電波が届くよう、テレビ電波を増幅する必要もございますが、その場合、送り配線方式では、逆にブースターからもっとも近い部屋の電波レベルが強くなりすぎ、テレビ画面が乱れることもございます。
また送り配線方式では、アンテナケーブルの一か所でトラブルが生じると、その先のすべてのテレビなどの機器で、受信に問題が生じてしまうことも考えられます。
送り配線方式は少し前の時代の住宅に多く採用された分配方式であり、今日では減衰しやすいBS/CSや新4K8K衛星放送の高周波数帯の電波には適さないこともあり、スター配線方式に押されて、採用されることは少なくなっております。
ただコストがかからないというメリットから、住宅内のアンテナコンセント数が少ない場合や、BS/CSアンテナを設置しない場合。またはBS/CSアンテナをベランダなどに設置し、その一部屋や周辺でしか視聴しないなど、配線が地デジアンテナとは別系統になっている場合などには、現在でも屋内のメインのアンテナ配線に送り配線方式が採用されることもございます。

分配器と混同されやすい「分波器/混合器」「分岐器」とは?

テレビアンテナ配線の途中で用いられる機器には「分配器」の他に「分波器/混合器」と「分岐器」がございます。これらは名前が似ていることから分配器と混同されやすい機器ですが、まったく異なる機能と役割をもっています。
以下、それぞれの機器についてご説明します。

・分波器/混合器

分波器(ぶんぱき)と混合器(こんごうき)は、ご自宅に地デジやBS/CSなど、2基以上のアンテナを設置する場合に使用される機器です。
基本的にはどちらも、2分配型の分配器のような形をしており、機器としてもほぼ同じものになります。ただ分配器と混合器は、接続の方向がまったく逆になります。
その役割は、まず混合器を使用して、地デジとBS/CS、双方のアンテナから延びるケーブルを2カ所の入力端子に接続し、1か所の出力端子に接続した一本のケーブルから地デジ、BS/CSの電波を送り出す、つまり地デジ、BS/CSの電波を一本のケーブルに混合する装置です。
混合器によりケーブルを一本化することで、その先の配線や分配器など機器の設置が簡略化され、工事のコストや手間を大きく軽減することができます。
しかしテレビなど受信機側では、地デジとBS/CSのチューナー入力端子が別個になっているため、アンテナコンセントから延びるケーブルの先に、混合器を逆に接続した形の分波器を設置して、再度、地デジとBS/CSの電波を2本のケーブルに分け、機器側の地デジとBS/CSそれぞれの端子に接続する必要がございます。なお分波器がアンテナコンセント内に設置され、コンセントのアンテナ端子が地デジ、BS/CSの二か所に分かれている場合もございます。
分波器、混合器とも、ご自宅で「新4K8K衛星放送」をご覧になる場合には、分配器と同じく、4K8K放送に対応できる「3224MHz対応」の品を選ぶ必要がございます。また混合器の側には、ブースターと混合器が一体化したタイプ。分波器の側には、分波器から直接、ケーブルが伸びており、アンテナコンセントからテレビなどの受信機器にそのまま接続することで、機器のアンテナ端子を通すことによる電波の減衰を抑えられるタイプの商品がございます。

混合器、分波器については、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
地デジ用と衛星放送用、両方のテレビアンテナ設置で工事コスト軽減のため必要な機器、混合器、分波器とは何なのか?

・分岐器

分岐器は、外観はアンテナケーブルを接続する複数の端子がついた、分配器とよく似た機器で、その役割もテレビアンテナから届いた電波を複数の端子に分けるという、ほぼ同じに思える機能を持ちます。
しかし分配器と分岐器は、分けられた電波の電波レベルに大きな違いがございます。分配器は前述のように、例えば4分配器であれば、入力端子から送られる電波レベルを、4個の出力端子から、それぞれ4分の1の電波レベルへと等分に分配します。
一方、分岐器には「IN」と呼ばれる電波の入力端子が1個と、「OUT」という主な出力端子が1個。そして「BL(分岐端子、枝分かれ)」と呼ばれる1個から4個の出力端子がついています。
そして分岐器のINから入力された電波の強さが100とすれば、BLからは10など、そのうちの一部の強さの電波のみを分けることができるのです。そしてOUTから、残りの90の電波をそのまま流します。
分岐器にはBL端子の数により、1分岐器、2分岐器、4分岐器の3種類の商品が存在します。例えば4分岐器のBL端子から10ずつ電波を分岐させた場合は、OUTから流される電波は60になります。
この分岐器は、一般の戸建て住宅ではまず使われることはなく、大型のビルやマンションなど、一棟の中にある多数の部屋にテレビ電波を分配する場合に使用されます。このような建物でテレビ電波を受信する場合は、まず建物の屋上に大型の共用アンテナを設置し、屋上から一階まで太い同軸ケーブルを通します。そしてそのケーブルから各階ごとにケーブルを分岐し、さらにそのケーブルから各居室に電波を配分する必要がございます。
建物の屋上から一階までに伸びる長い同軸ケーブルでは、先に行くほど電波が弱まってゆくことや、各階に細かく電波を分けなければならないこともあり、各階や部屋ごとに必要な電波レベルを緻密に計算して、一階にまで十分な電波が届くよう、中心となるケーブルから、無駄なく必要なレベルの電波のみを分配してゆく必要がございます。
そのためマンションなどの各階で、中心のケーブルから、フロアごとに必要なレベルの電波だけを分岐させることができる、分岐器が利用されるのです。

分配器の一般的な耐用年数、および交換が必要な場合とは?

スター配線方式で設置された大本の分配器は、設置後、ほぼ毎日のようにテレビ電波を通して各部屋に配分する他、後述するようにBS/CSアンテナを設置している場合は、特定の一端子または全端子からアンテナ側に電気を通すことにもなります。そのため分配器の内部回路は日々、徐々に消耗し続けていくことになります。
分配器の一般的な耐用年数は10年程度とされていますが、分配器で電波の分配や通電がうまく行われず、テレビ放送の視聴に支障が出た場合には交換が必要となってまいります。
他にも
・ご自宅で新4K8K衛星放送を視聴するため、4K8K対応型のBS/CSアンテナを導入し、分配器が4K8Kに対応していない場合。
・ご自宅に2か所以上のアンテナコンセントを増設して、現在の分配器では予備含めて分配数が足りなくなった場合。
に、分配器を交換する必要が出てまいります。

分配器の一般的な価格とおすすめメーカーの紹介

分配器の価格については、分配数や対応するテレビ放送の電波、ケーブル一体型などのタイプによっても変わってまいりますが、一般的な商品であれば、価格には100円程度から17,000円程度まで、大きな開きがございます。
シンプルな分配器で比較的、分配数が低い製品であれば、いわゆる100円ショップなどで、100円程度で購入することもできます。ただこのように廉価な商品は、品質や耐久性などに心もとない部分もあり、簡易的、一時的な使用の場合のみにおすすめいたします。
アンテナ本体からの電波を各部屋に分配する大本の分配器で、高寿命と安定した性能を求めるには、品質が確かな国産有名メーカーの製品を選ぶといいでしょう。具体的には、日本三大アンテナメーカーと呼ばれる「マスプロ電工」「DXアンテナ」「日本アンテナ」をはじめ「サン電子」など大手メーカーの商品がおすすめといえます。
なお、大手メーカーによる分配器の標準的な価格は、
・2分配:4,000円程度。
・3分配:5,000円程度。
・4分配:6,000円程度。
・5分配:7,000円程度。
・6分配:8,000円程度。
・8分配:16,000円程度。
になります。ただメーカーやモデル、小売店によって多少の価格の変動もございます。
なお分配器にはブースター内蔵型のモデルもございますが、このような機器は上記の価格よりも高価となります。

分配器の「1端子通電型」「全端子通電型」の選び方は、BS/CS放送の視聴方法で決まる

住宅にパラボラアンテナであるBS/CSアンテナを設置する場合は、アンテナ側に電源を供給する必要がございます。
これは静止衛星から送信された非常に周波数の高い電波(12GHz帯)を、BS/CSアンテナの「コンバーター」によって、テレビ電波に適した周波数へ変換する必要があるためです。
このBS/CSアンテナへの電源供給は、アンテナケーブルを通じてアンテナ側へと、テレビ電波とは反対の方向に電気を送る形で行われています。そしてその電源元は、ブースターの電源部である場合と、屋内にあるテレビ、レコーダーなどの受信機器のチューナー端子である場合がございます。
ここで重要となるポイントが、使用されている分配器のタイプが「1端子通電型」か「全端子通電型」であるかです。
「全端子通電型(全端子電流通過型)」の分配器とは、分配器のすべての出力端子から入力端子へと通電するタイプの分配器です。つまり分配器に接続されたすべてのテレビ、レコーダーなど受信機器から、アンテナ側へ電気を供給することができます。
「1端子通電型(1端子電流通過型)」の分配器は、複数ある出力端子のうち、一か所しか通電しないタイプの分配器です。つまり通電できる端子に接続されている特定のテレビなどの機器からしか、アンテナ側に電気を供給できないことになります。
この違いは、BS/CSアンテナへの給電方式の変化によるものです。ブースターから電源を供給している場合を除き、少し古いタイプのBS/CSアンテナでは、テレビなどの機器から給電する場合、機器側の主電源がオンになっていれば、常に給電される「常時給電」のタイプが多くなっていました。
この場合、住宅内のすべてのテレビでBS/CS放送をご覧になるご家庭では、1端子通電型の分配器を使用して、特定のテレビなど機器からアンテナ側に常時給電することで、住宅内のすべてのテレビにBS/CS放送が視聴できることになります。
しかし近年のBS/CSアンテナは、節電のため、各部屋にあるテレビやレコーダーなどでBS、CS放送を視聴、録画するときのみ、BS/CSアンテナ側に通電するタイプが多くなっております。この場合は、テレビ、レコーダー側の、アンテナへの「電源設定」を、機器側で判断して必要な場合(主にBS、CS放送の視聴、録画時)のみアンテナに給電する「オート」に設定する必要がございます。
しかしこの場合、1端子通電型の分配器では、通電する端子に接続したテレビなどの機器の電源からBS/CSアンテナから給電されていない限り、アンテナの電源がなくなるため、他のテレビやレコーダーでは、BS、CS放送を視聴、録画できなくなります。
そのため、現在のBS/CSアンテナにおいて、接続されたすべてのテレビ、レコーダーなど機器側でBS、CS放送を視聴するためには、全端子通電型の分配器を設置する必要がございます。
ただ価格的には1端子通電型のほうが廉価になるため、BS/CSアンテナを設置しない。ブースターから給電するか常時給電を行う。一部のテレビでしかBS/CS放送を視聴しないなどの場合には、1端子通電型の分配器がおすすめになります。
BS/CSアンテナへの給電方法の詳細については、以下のコラムの情報をご確認ください。
BS/CSアンテナには電源が必要? テレビから衛星放送用アンテナに電源設定を行う方法

分配器の「カスケード接続」用に適した「ケーブル一体型」「ブースター内蔵型」モデル

前述のように、テレビアンテナ本体およびブースターから延びるアンテナケーブルは、送り配線の場合を除いて、大本の分配器により各部屋のアンテナコンセントまで分配されております。
ただ、必要に応じて、その先のアンテナコンセントに、さらに分配器を設置することもございます。このような配線方法を、いわゆる「タコ足配線」の意味で「カスケード配線」と呼びます。
このような配線方法は、アンテナコンセントのない部屋でテレビを視聴したい場合に、アンテナコンセントのある部屋から分配してアンテナケーブルを伸ばす。またアンテナコンセントからテレビとレコーダーなど、複数台の機器に接続したい場合などに使用します。
ただ何度もご説明しているように、アンテナを分配器に接続すると、分配された先の電波レベルは、分配された数に応じて数分の一に低下いたします。したがって分配器の先に分配器を設置すると、さらに個々の分配先の電波レベルが低下してしまうことになります。
したがってカスケード接続は、基本的にはあまりおすすめできることではございません。必要な場合は、2分配器など必要最小限の部の相木を使用して行うのがよいでしょう。
またひとつの部屋にテレビ、レコーダーなど複数の受信機器を置く場合は、一方の機器のアンテナ入力端子に接続した後、その機器のアンテナ出力端子と、もう一方の機器の入力端子をケーブルで接続する、送り配線と同じ方式で、一か所のアンテナコンセントから二台以上の機器にテレビ電波を供給することができます。このような方法も活用してください。

またこのような使用法に適した分配器として「ケーブル一体型」と「ブースター内蔵型」の製品もございます。
ケーブル一体型部の分配器は、分波器の項でご説明したのと同様の、分配器本体から直接、ケーブルが伸びている、主に2分配型の分配器です。ケーブル一体型であれば、ケーブル接続端子の抵抗による電波の減衰が起こらないため、カスケード接続が必要な場合はこのような商品を使用することがおすすめです。
またブースター内蔵型の分配器とは、分配器に小型のブースターが内蔵されており、分配される電波レベルを増幅できるという製品です。このような機器は、室内用ブースターと同様、電波の増幅レベルはやや低いものの、カスケード接続でも必要な電波レベルを確保できることが多くなります。
ただブースター内蔵型は、ブースター機能の分だけ価格が高価になります。さらにブースターは、電波と同時にノイズを増幅してしまう性質があるため、ご自宅の受信環境によっては、ご利用によってテレビ画面が乱れることもございますのでご注意ください。

分配器と「ダミー抵抗器」の必要性について

前述のように、地デジ、BS/CS放送、新4K8K衛星放送では、テレビ電波として使用される電波の周波数帯が異なるため、特に最も高周波数帯となる新4K8K衛星放送をご視聴になる場合には、周波数帯「3442MHz」対応型の分配器を使用する必要がございます。
また大本となる分配器は、通常、分配するアンテナコンセントの数に、予備の1個を足した分配数のものを使用しますが、この場合、ケーブルを接続しない予備の出力端子には「ダミー抵抗器(終端抵抗器)」を接続して栓をする必要がございます。
分配器で使用しない出力端子をむき出しのままにしておくと、そこから電波が漏れる、また外部の電波が入り込むなどして、テレビ映像の乱れや、無線LANなどその他の機器に電波障害が生じることがございます。そこでこのダミー抵抗器を設置して、電波の流出や混入をカットすることにより、安定したテレビ放送のご視聴が可能になるのです。
特に周波数が高い新4K8K衛星放送の電波は、スマートフォンなどの携帯端末や、無線LANの電波と競合しやすいため、4K8K放送をご覧になるご家庭では、使用しない出力端子にダミー抵抗器を取り付けることが必須となりますので、どうかご注意ください。

分配器の種類・まとめ

分配器についての基礎的な知識は、以上の通りです。ご自宅に分配器を設置しておられる方は、一度、その設置位置や設置されている製品の種類をご確認されておくと、もしものトラブルや、アンテナ交換の際などの作業がスムーズになると思われます。

テレビ受信のトラブルをはじめ、ご自宅の分配器を交換する必要が出た場合。テレビアンテナ新規設置、交換などに伴う、適切な分配器の設置。またアンテナコンセントから分配器を使ってテレビ電波を分配したいというご希望など、分配器その他のアンテナ機器に関するご相談、ご質問については、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)かメールフォームLINEアカウントまで、お気軽にお寄せください。アンテナに関する専門知識の豊富な弊社スタッフが、実際の工事に至るか否かに関わらず、お客様の疑問や問題を解決できるよう、誠心誠意ご案内いたします。

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アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 20,000円(税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。