DIYで自宅に地デジ用のテレビアンテナを取り付ける方法は? 自分でできるアンテナ設置の工事と必要な費用、情報を解説!
近年ではDIY(Do it yourself)が流行しており、ご自宅内で必要な、さまざまな種類の工事や家具などの制作をご自分で行われる方も多いといわれます。中には地デジ(地上デジタル放送)用や衛星放送用などのテレビアンテナをDIYで新規に設置、または既設のアンテナを新品に交換する作業に挑戦される方もおられます。
今日の地デジ放送(地上デジタル放送)では、東京都墨田区押上に位置し、東京都だけでなく、神奈川県、埼玉県、千葉県の多くのエリアから、栃木県、群馬県、茨城県の一部まで、幅広いエリアをカバーする東京スカイツリーとはじめ、日本各地の要所に設置された大規模な送信所。また層陣所ではカバーできない細かいエリアを補足する役割を持つ、大小の中継局などの電波塔によって、日本国内の大半のエリアに地デジ電波が送信されております。
そのため、日本国内でも大半のエリアであれば、地デジアンテナを設置することにより、地デジ放送のチャンネルを視聴できるのです。日本国内でも山間部や離島部、過疎地域など一部のエリアを除けば、地デジ電波が受信できないことは特にありません。
テレビアンテナの種類でも、衛星放送(BS/CS放送)用のパラボラアンテナであるBS/CSアンテナであれば、DIYでの設置や交換も比較的、簡単だといわれております。ただ、住宅でも屋根の上などの高所に設置されることが多い地デジアンテナを、新規にDIY設置することは難しいのではないか、と思われる方も多いでしょう。
ただ地デジアンテナのDIY設置も、現場の電波状態やお住まいの形状によっては、適切なアンテナ機種や設置位置を選ぶことで、必ずしも不可能ではないケースもございます。
当コラム記事では、地デジアンテナのDIY設置に関して、可能となる条件や適した地デジアンテナ機種と設置位置、必要となる費用の相場。アンテナ機種や設置位置の選び方。大まかな作業の流れや具体的な作業の事例。またそのメリット、デメリットについて、2023年(令和5年)度の最新データを元に、徹底的にご説明いたします。
地デジに限らずテレビアンテナのDIY設置は、アンテナ工事の専門尾業者に依頼する場合に比べて、必要な費用を抑えることができます。一方で、取り付け工事の方法を誤ると、地デジ放送が正しく映らず、費用が無駄になる、また新築住宅の壁面などに傷をつけてしまう可能性などもございます。
ご自宅にて、ご自分で地デジアンテナのDIY設置をお考えの方は、当コラムの内容を元に、可能であるかどうかをご判断いただければ幸いです。
地デジアンテナをDIYで設置できる条件
まずはDIYの作業において、現場の環境に適切な地デジアンテナを選んで設置するために、現在の地デジアンテナの主要な商品である3機種について、その性能の違いや機種の選び方などを一覧でご説明いたします。
なお地デジアンテナは、地デジ放送に用いられるUHF波(極超短波)を受信するためのアンテナであることから「UHFアンテナ」と呼ばれることもございます。
八木式アンテナ
これは主に、戸建て住宅の屋根の上などに見られる、魚の骨に似た形状と構造を持つ地デジアンテナです。
アナログテレビ時代から使用されている歴史あるアンテナで、戸建て住宅への設置では、主に屋根の上で「屋根馬」という固定用の金具にられたマスト(支柱、ポール)の先に取付られて、マストや屋根馬ごと、ステンレス製のワイヤーなどの支線(ステー)でしっかり固定されます。
八木式アンテナは主に屋根の上に設置されることから、地デジ電波を遮断する周辺の障害物に影響されにくい。また地デジ電波を受信する複数のパーツ「素子(エレメント)」が露出した素子アンテナに当たること。さらに素子数も通常モデルで8素子、14素子、20素子などモデルによってバリエーション豊かなほか、複数の素子パーツを用いた高性能素子を使用し、素子数も27素子や30素子などになる高性能モデル「パラスタックアンテナ」も存在することから、主な地デジアンテナ3機種の中ではもっとも受信性能や利得が高く、強電界地域から弱電界地域まで、電波レベルが弱い現場を含め、さまざまな電界地域のエリアでも使える便利な地デジアンテナになります。
また古典的なモデルであるため、本体価格や業者に依頼した場合の設置工事費も、地デジアンテナの中ではもっとも低価格になります。
さらに壁面やベランダの内外にも設置が可能であり、強電界地域向けの小型モデルであれば軒先やベランダの屋根からの吊り下げ設置も可能です。そのためDIYでのアンテナ設置についても、費用を抑えられ、受信感度を確保しやすいというメリットはございます。
ただ八木式アンテナの通常モデルは、地デジアンテナの中では比較的、大きくて重さもあり、形状も複雑となるため、実際の設置作業が難しくなるというデメリットもございます。
一般的な八木式アンテナのメリット、デメリットとしては、主に屋根の上などの高所に設置されることから、受信性能が高い半面、風雨などの影響により経年劣化が進みやすく、寿命が短くなる。また目立つ形状から、住宅の外観性が悪くなり、周辺の景観も乱してしまうことが挙げられます。
この八木式アンテナ本体や設置方法の詳細については、下記の各コラム記事にもそれぞれ情報がございますので、ご確認ください。
地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
地デジ放送用テレビアンテナ「八木式アンテナ」に適した住宅の条件とは? アンテナ設置工事の特徴や種類を徹底解説!
デザインアンテナ
デザインアンテナは、主に住宅の壁面などに設置される、主に長方形の薄型ケースにアンテナ本体部を収めた構造で、軽量かつカラーバリエーションも豊富なモデルの地デジアンテナです。
戸建て住宅への主な設置位置は、住宅の外壁やベランダの手すりなどに、専用の設置具(金具)を取り付けてアンテナ本体を取り付ける形になります。他にも八木式アンテナと同様に、屋根の上のマストに設置する方法。また周辺の地デジ受信環境や住宅の屋根や壁などの素材、屋根裏や天井裏空間の条件などが整っていれば、屋根裏空間をはじめとする屋内への設置も可能となります。
デザインアンテナはその形状や設置方法から、住宅に設置しても目立たないため外観性や景観を乱すケースが少ない。さらに風雨や雪などにも影響されにくいため、経年劣化を抑えることができて、耐用年数(寿命)が長くなるといったメリットがございます。
このように外観性や耐用年数の問題を解決できることから、近年では、地デジアンテナ機種の中ではもっとも人気の高い機種になっております。また一般の方でも取り回しが非常に扱いやすく、DIYでのアンテナ設置にもっとも適した機種であるといえます。
一方でデザインアンテナ受信感度は、八木式アンテナの素子数に換算した「素子数相当」で、主に20素子相当、26素子相当の二種類が中心となります。さらに形状から素子が露出していないこと。また基本的な設置位置が、住宅の外壁やベランダなどで低くなるため、周辺の障害物などに影響されやすくなるなどの違いから、八木式アンテナに比べると受信感度や利得は低くなってまいります。
そのためデザインアンテナの設置は、主に強電界地域や中電界地域が推奨され、弱電界地域では使用できない可能性もございます。特に住宅の壁面など低い位置での地デジ電波が遮断されやすい、高層マンションなどの近隣、住宅密集地など電波の遮蔽物が多い現場では、強電界地域であっても、デザインアンテナでは十分な地デジ電波が受信できず、地デジ放送が映らないため、設置できないことも考えられます。
また基本的な設置位置のひとつである壁面設置では、住宅の壁にビス穴を開ける必要がある。アンテナ本体価格や、業者に依頼した場合の設置工事費などの相場も、八木式アンテナに比べるといくらか高価になるといった点もデメリットになります。
デザインアンテナ本体や設置方法についての詳細は、下記のコラム記事にも詳しい解説がございますので、ご確認ください。
地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!
この最小デザインアンテナがすごい!スカイウォーリーミニ(マスプロ電工)
デザインアンテナ工事の失敗例とは? メリット、デメリットから取り付け費用まで解説
デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説
ユニコーンアンテナ
ユニコーンアンテナは、高さ60センチ程度の、ほぼ円筒形のアンテナ本体を、ポールの先に固定する形状の、現在では最新鋭の地デジアンテナです。2017年(平成29年)に「マスプロ電工」社から発売された同社独自のモデルであり、名称も同社の登録商標となります。
ユニコーンアンテナの主な設置位置は、八木式アンテナと同じく、屋根馬やマストを使用しての、住宅の屋根の上。またサイドベースという設置具を使用して、屋根の張り出し部(破風板)、壁面の高所など、屋根の高さに近い位置に設置されます。
ユニコーンアンテナ本体の受信性能は20素子相当で、素子が見えない分、やや受信感度が低くなりがちの面はございます。
ただ設置する位置が八木式アンテナと同じ高度になるため、周辺の障害物などに影響されにくく、地デジ受信の感度が高くなります。そのため前述のように、高層建築の近隣や住宅密集地などに電波が遮蔽されるという理由で、デザインアンテナが設置できない現場でも、ユニコーンアンテナであれば設置できるケースが多くなります。
またそのスタイリッシュなデザインから、住宅の高所に設置しても、家のデザイン性や景観を乱さない。さらに風雨などを受け流せる形状から、厳しい自然環境でも経年劣化が進みにくく、アンテナ寿命が長くなるという点です。
総じてユニコーンアンテナは、八木式アンテナとデザインアンテナのメリットを兼ね備えた地デジアンテナ機種であるといえます。
ただDIYでの設置に関しては、取り扱いやすさから設置作業そのものは難しくないものの、基本的に高所への設置を前提としたモデルであるため、陸屋根で屋上フロアなどがある住宅でない限り、作業に危険が伴うという問題もあり、DIY設置にも適しているかどうかは、設置する現場や位置の条件によって分かれます。
また一般的なユニコーンアンテナのデメリットとしては、八木式アンテナでも20素子以上の高性能機種には受信感度が一歩及ばないため、弱電界地域など地デジの電波レベルが弱いエリアでは使用できるとは限らない場合もある。さらに最新機種であることから、本体価格や設置工事費の相場が高額になる点などがございます。
なおユニコーンアンテナの詳細な情報については、下記の各コラム記事に解説がございます。
地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
地デジアンテナで地デジ電波を的確に受信するための条件とは?
上記それぞれの地デジアンテナ機種をDIYによって住宅に取り付ける場合には、ご自宅の立地条件が大きく影響します。
地デジ放送の電波状態に関しては、主にその地域に地デジ電波を送信している近くの電波塔からの距離や、地形、障害物などの影響により、地デジの電波状態が強い順番に「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」にわけられます。ただ「強電界地域」など本来は電波状態のいいエリアであっても、ご自宅の近隣、中継局の方向に山地や高層マンションといった背が高い建物などがある状況では、電波状態が悪化するケースもあるのでご注意ください。
これら電界地域や、それぞれの地域に適したアンテナ機種、設置方法については、詳しくは以下の各コラム記事をご確認ください。
地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方は?
ご自宅のエリアがこの電界強度のどれに該当するか、あらかじめ調べておくことで、的確な地デジアンテナを選択して設置することが可能となります。ご自宅の電界地域がどこに該当するかは「一般社団法人放送サービス高度化推進協会(a-pab)」の公式サイトで提供されている「放送エリアのめやす」ページをチェックすることにより確認できます。
このサイト内で自宅の住所や郵便番号などを入力すると、地図上に近隣にある中継局の、強電界地域にあたるエリアが色付きで表示されるため、わかりやすく確認することができます。ただしこのサイトでは、近隣の建物など障害物によって局地的に電波状態が悪化するエリアまでは確認できないため、あくまでおおよその目安であるということを把握しておく必要がございます。
基本的にはDIYでの地デジアンテナ設置を行うには、現場が中電解地域以上であることが理想的といえます。そして現場の電界地域に合わせた適切なアンテナ機器を購入する必要がある。現場の電波状態やご自宅でご視聴になるテレビの数によっては、受信したテレビ電波を適切な強度に増幅する周辺機器「ブースター」の設置も必要となります。
また近隣の住宅に設置されている地デジアンテナの機種や形状を確認する。お付き合いのある近所の方に、その家の地デジアンテナや工事の際の話を聞く、といったことも、電界地域を確認する上で有効となります、
その他、詳細な電界地域の確認方法は、上記の電界地域に関するコラムでご確認できます。
また地デジアンテナをご自分で設置する場合には、ご自宅内のどこに分配器やアンテナケーブルなどが設置されているか、また新しく設置する必要があるかなどを判断する必要もございます。
新築の戸建て住宅によっては、屋内の屋根裏、天井裏などに、すでにケーブル配線や分配器などが設置されていることもあり、DIYで設置した地デジアンテナと、住宅の外から屋内へケーブルを引き込む引き込み線(引き込み口)を接続することで、アンテナ配線が問題なく完了することがございます。
ただこのような配線が配備されていない住宅の場合は、DIYによる屋根裏空間へのケーブル配線、機器の設置などは難しくなり、基本的に地デジアンテナを設置した位置にある部屋のテレビ一台のみ。または分配器を使ってその部屋に周辺にある2,3台のテレビに接続する工事が限界となるケースが多くなります。
DIYでの地デジアンテナ設置に適した設置場所とアンテナ機種
ご自宅で地デジアンテナをDIYによって設置する際には、その設置位置を確定することが重要です。
現場の電波強度、電波の方向などの電波状態から、住宅の位置や形状、周辺環境などの状況。また各アンテナ機種によって適した設置位置がある反面、設置位置によっては作業に大きな危険が伴うこともあり、DIYでの設置は避けた方が無難となるケースもございます。
以下、主な地デジアンテナの設置位置について、使用できる地デジアンテナ機種や設置方法、またDIYに適しているかどうかを中心にご紹介してまいります。
屋根の上
基本的に戸建て住宅の屋根の上は、住宅内でもっとも高い位置になるため、周辺の障害物などに影響されにくい上、一般的には高い指向性(アンテナの正面側のみで受信性能が高まり、それ以外の方向ではほとんど受信できない性質)をもつ地デジアンテナを、360度の方向へ角度調整が行いやすいといったメリットがあり、地デジ電波の受信感度をもっとも確保しやすく、アンテナ取り付けには最適の位置になります。
屋根の上に設置される地デジアンテナは、八木式アンテナ、またはユニコーンアンテナが主になります。特に八木式アンテナであれば、素子数により強電解地域向けから弱電界地域向けまでのさまざまなモデルがあるため、どのような現場でも、電界地域に適した機種を選ぶことができます。
ただし屋根の上でのアンテナ設置作業は、ご自宅の屋根が陸屋根などであり、屋上にテラススペースが設置されているなどで、安全に作業できる場合を除けば、作業する方が赤や待って転落することをはじめ、アンテナ本体や機材を落下させてしまうなどの事故も想定され、大変な危険が伴います。
プロのアンテナ工事業者でも、屋根の上でのアンテナ設置工事の際には、ヘルメットや命綱、安全ベルト、安全靴など十分な装備を整え、最低でも二人体制で行うなど、万全の安全対策を整えております。
屋根の上に屋上スペースがあるなど、安全に作業できる条件が整っている場合を除けば、DIYで屋根の上に地デジアンテナを設置する作業は、絶対に避けるべきであるといっても過言ではございません。
ベランダ
ご自宅のベランダの手すり、ベランダ内部の空間や壁面などに地デジアンテナを設置することもできます。
この場合は、それぞれのアンテナ機種に対応する、専用の器具などの部品を使ってベランダの手すりにデザインアンテナや八木式アンテナを設置できる他、ベランダの内側空間に八木式アンテナを設置する。壁面にデザインアンテナを取りつけるなどの方法もございます。
ベランダ内への地デジアンテナ設置は、足場を確保できるため、比較的、安全に作業を進めることもできますが、ただベランダの手すりなどに設置を行う場合は、誤ってアンテナを落下させたり、作業者自身が転落したりしないよう、アンテナ本体に命綱を結んで設置の完了まで固定しておく。また転落の期限がある体制は決して取らないなどの工夫も必要になります。
また前述した地デジアンテナの指向性から、現場の電界地域だけでなく、そのベランダの方向が、現場に地デジ電波を送っている電波塔の方向を向いていること。またその方向に高層マンションなどの建築物がない。住宅密集地でもないなどの条件も必要となってまいります。
他にもベランダに設置した地デジアンテナから屋内にケーブルを引き込むには、引き込み線の利用の他、エアコンのノズル穴を利用する。サッシの隙間に平面型のケーブル(フラットケーブル)を通すなどの方法がございます。ただこの方法ではノズル穴のパテなどを除去してケーブルを通した後、再度、コーキング剤で埋める工事や、窓のサッシ等を通すことができるフラットケーブルのご購入などが必要となります。
壁面
住宅のベランダ以外でも、住宅の壁面で、アンテナを電波塔の方向へと向けることができ、そちらに障害物などのない側の、高い位置に、地デジアンテナを設置する方法がございます。
この場合は、壁面に設置具を取り付けて、基本的にデザインアンテナを設置しますが、サイドベースの使用により、八木式アンテナ、ユニコーンアンテナを設置することもできます。
壁面でも高い位置への設置であれば、屋根の上に次いで高度を確保できるため、地デジの受信感度が安定するというメリットがございます。
ただ半面、ハシゴなどを用いて高所に昇る。また上階の窓から身を乗り出すなどの作業となるため、危険が伴うことになります。
さらに壁面にビスで設置具を固定して、そこにアンテナを取り付けるため、住宅の壁に穴を開ける作業が必要となります。そのため特に設置に失敗した場合には、壁面に傷を残すことになります。またしっかり設置具を固定しないと、アンテナが設置具ごと脱落し、落下してしまうこともございます。
室内
地デジアンテナには「室内アンテナ」という機種も存在します。室内アンテナは2,000円程度の価格から存在し、小型の本体を窓際に置く、フィルム型の機器を窓に貼るなどして、テレビと接続するだけで使用できる、設置も非常に手軽なアンテナです。
またデザインアンテナの小型機種を設置台に立てて二階の窓際などにおき、室内アンテナとして使用することもできます。
他にも、一般的な室内アンテナに比べるとやや大型になりますが、その分、受信性能が高く、またベランダなどへの設置も可能な、屋外屋内兼用型の地デジアンテナも存在します。
ただし一般的な室内アンテナは、基本的に一台のテレビにしか接続できない上、受信感度も非常に低いため強電界地域でしか使用できず、受信が安定しないこともございます。屋外屋内兼用型のアンテナも、素子数換算では3素子から5素子程度であり、これらのアンテナはあくまで簡易的な地デジアンテナであると考える必要がございます。
室内アンテナについての詳細は、以下の各コラム記事の情報もご参照ください。
面倒な工事も不要!2,000円で地デジ放送を楽しめる「室内アンテナ」について!
地デジアンテナをDIYで設置するメリットとデメリット
地デジアンテナをDIYに取り付ける場合のメリットは、何といっても「設置費用を抑えられる」という点に尽きます。
DIYでのアンテナ設置に必要となる費用は基本的に、アンテナ本体と設置具、ケーブルなど、必要な機材の購入費のみであり、工具類は自宅に工具箱などがあれば、ほとんどの場合は手持ちのもので賄えます。
地デジアンテナに関しては、インターネットの通販サイトなどを確認すれば、もっとも安い価格帯で、
・八木式アンテナ:3,000円程度。
・デザインアンテナ:5,000円程度。
・ユニコーンアンテナ:8,000円程度。
で購入することが可能です。ケーブルや設置具の費用も、設置する場所の条件によってやや異なりますが、おおむね3,000円程度もあれば十分なことがほとんどです。つまり機種別でもおおよそ6,000円から11,000円程度で設置できることになります。
一方、業者への依頼の場合は、もっとも工事費用が安くなる八木式アンテナで、アンテナ本体やケーブル、設置具などがセットになった価格であっても、15,000円程度からになっており、その価格差は明白だといえます。
また機材の購入から実際の設置まで、すべて自身の責任によって行うため、アンテナの機種から設置位置まで、まったくのお好み通り、ご自身の納得できる形で設置できるという点も、メリットのひとつといえます。
一方で、地デジアンテナのDIY設置にはデメリットも多く存在します。
第一に、ご自身での地デジアンテナ設置には、さまざまな危険が生じるという点です。
前述のように、例えば屋根の上など、明らかに危険を伴う場所への地デジアンテナ設置は決しておすすめできませんが、低い位置の壁面や、ベランダの内外など、比較的、低い位置への地デジアンテナ設置であっても、さまざまな危険が生じてまいります。
ハシゴや脚立を使う、またベランダ内の作業であっても、高所である以上、常に危険は伴います。アンテナ設置に集中して、つい危険な体制を取ってしまい、ハシゴやベランダから転落してしまうこともございますし、このような事故でも十分、命にかかわる事態になりえます。
また人身事故ではなくとも、ベランダからアンテナ本体や機材などを落としてしまうこともございます。アンテナ本体を落としてしまえば、まず確実に壊れてしまい、購入費が台無しになります。それだけでなく、アンテナなどを落とした下に物品があった、人がいた場合には、さらなる損害の発生だけでなく、大怪我をさせてしまうなど、取り返しのつかない事態にもなりかねません。
またDIYでの地デジアンテナ設置には、アンテナ機器の基礎知識を身に着け、現地の条件をしっかり調査することも重要となります。
基礎知識や調査が不足のまま地デジアンテナを設置してしまうと、例えば現場に地デジ電波を送る中継局とは正反対の方向にアンテナを設置してしまう。現場は弱電界地域であるのに、強電界地域向けのアンテナを購入してしまうなど、初歩的なミスにより、アンテナを設置しても地デジ電波が受信できず、地デジ放送も映らない。そのため費用も手間もすべて無駄になるというケースも起こり得ます。
他にも、価格だけで判断して安い地デジアンテナを購入、設置したところ、無名なメーカーの粗悪で性能の低いものであったため、すぐにトラブルが発生する。作業中にアンテナ機材だけでなく、住宅の壁などを無駄に傷つけてしまう。アンテナ設置が完了しても、なぜか地デジ電波が受信できず、何が原因なのかもわからない。また成功したように見えても、その後、受信不良などのトラブルが頻発して、修理に大変な手間がかかるなど、失敗のパターンはさまざまに考えられます。
そしてDIYアンテナ設置の場合、それらの失敗の責任はすべて、設置した自分自身で負うことになります。費用と多くの手間をかけても結局はうまく地デジ受信ができず、骨折り損のくたびれ儲けというケースも十分に想定できます。
地デジアンテナに関する知識や、各種の工事経験が少なく、確実なDIY設置に自信が持てない場合は、多少は割高な費用となっても、アンテナ工事の専門業者に地デジアンテナ設置を依頼されることが、無難だといえるでしょう。
DIYで地デジアンテナを設置する手順
どのような機種、設置位置であっても、地デジアンテナをDIYで設置する際には、さまざまなポイントを押さえて作業を進めていくことが必要となります。事前にこのポイントを押さえて対処を考えておかないと、作業に危険が伴う、安定した地デジ受信ができなくなるなどの問題が生じてまいります。
まず基本としては、前述したように、現場に地デジ電波を送信する中継局の正確な方向、および現場の電界強度を確認しておく必要がございます。お手元にアンテナチェッカー(電波測定器)があれば、現場に届く地デジ電波の方向や強度を正確に測定することもできますが、ある程度の価格となるため、購入すると低価格でアンテナを設置できるというメリットが失われてしまいます。そのため無料でアンテナチェッカーを借りることができる伝手があるなどの場合を除き、難しい方法だといえます。
また八木式アンテナの先端(全体が矢印状になっている形状の、矢印の反対側の先端)や、デザインアンテナの表面、ユニコーンアンテナの前方を、地デジ中継局(地デジ電波)の方向へ向けることが必要です。
同じテレビアンテナでも、近年の新4K8K衛星放送に対応できる2K4K8K対応モデル等、BS/CSアンテナの場合は、電波を送信する静止衛星の方向、東経110度の方角へと、仰角、方位角とも、ミリ単位で正確に角度の向きを調整することが必須となり、わずかな角度のズレでも受信不良につながってまいります。
しかし地デジアンテナの場合は、ミリ単位までの正確さは必要なく、おおよその電波塔の方向へと向けるだけで十分となります。しかしそれでも確実なアンテナレベルを確保する必要はございます。
十分なアンテナレベルを確保できる地デジアンテナ設置のためには、まず地デジアンテナ設置の際、ある程度、アンテナ本体を動かせる状態で仮止めしたまま、屋内のテレビとケーブル配線を接続します。
そしてテレビの電源を入れ、テレビ側でアンテナレベルを確認できる画面に合わせます。その後にアンテナ側で角度を調整し、アンテナレベルの数値が高い値で安定する位置を確認して、その角度でアンテナを固定します。
ただしアンテナの角度調整から、その角度でのアンテナレベルが反映されるには、数秒のタイムラグがあるため、アンテナ本体を少しずつずらして数秒まち、そのアンテナレベルを確認するといった根気のいる作業が必要となります。できればアンテナ調整役とアンテナレベルの確認役の、二人一組で作業を行うことをおすすめいたします。
なお、このようなポイントを守って作業を進めることに不安を覚える場合には、DIYでの設置をあきらめて、アンテナ工事の専門業者に設置を依頼することもご検討ください。
前述のように、DIYによる地デジアンテナ設置は、失敗すれば労力が無駄になるだけでなく、機材費用などの損失、住宅の破損、その他の不具合やトラブル等にもつながります。不安がある場合には、決して無理をしないことも重要だといえます。
アンテナ工事の専門業者へ地デジアンテナ工事を依頼する場合の一般的な費用とそのメリット
アンテナ工事の専門業者に地デジアンテナ設置を依頼する場合の一般的な価格としては、アンテナ本体と基本的な設置具、ケーブルなど、設置に最低限、必要なものがセットとなった「基本工事価格」で、
・地デジアンテナ:約15,000円から25,000円程度。
・デザインアンテナ:約20,000円から30,000円程度。
・ユニコーンアンテナ:約30,000円から40,000円程度。
となります。当然ながらDIY設置よりは高額になりますが、そのぶん、アンテナ工事のプロである専門の会社ならではのさまざまなサービスも存在します。
第一に、業者による地デジアンテナ設置は、技術が確実で施工が丁寧であり、一般の方が起こしうる失敗はまず考えられないという点です。
当然ながらアンテナ工事業者はプロであるため、現場の電波状態や周辺環境をしっかりと確認し、的確なアンテナのタイプや機材を選択することで、確実な受信性能だけでなく、自然環境などに強く故障のリスクを避けてアンテナの高寿命が望める。さらに外観性も整っているなど、高品質の施工を期待することができます。
アンテナ工事費とセットになったアンテナ本体、周辺機器などの機材も、多くの場合は日本三大アンテナメーカーである「マスプロ電工」「DXアンテナ」「日本アンテナ」など国産有名メーカー製の高品質な機器を採用しております。万が一、アンテナ設置の工事中に何らかの想定外のトラブルが起きた場合も、業者が責任を持って対応してくれるため、お客様が損をなさることはまず考えられません。
さらに一般の方では難しい、屋根の上など危険な位置へのアンテナ設置工事はもちろん、条件が整っていれば屋根裏空間への設置。またオプション工費は必要となりますが、混合器・分波器を用いたBS/CSアンテナとセットの設置。屋外用ブースターや分配器を設置して、十分な電波強度で住宅内の各部屋に地デジ電波を届けるなど、周辺機器を使用する複雑な工事にも対応が可能です、
さらにアンテナ業者は、多くの場合、アンテナ工事の終了後も長期のアフターフォロー体制を用意しております。
たとえば当あさひアンテナでは、業界でも最長クラスとなる、アンテナ工事の施工日から10年間の長期保証をご用意しております。その間に万が一、補償範囲内のトラブルが発生した場合は、弊社フリーダイヤルへのご一報で即座に現場へと急行し、完全無料で責任をもって復旧いたします。
ただ注意点としては、これらはすべて優良なアンテナ工事業者である場合の話であるという点です。アンテナ業者も数が多いため、中にはアンテナ工事の基本価格では低価格を謳いながら、粗悪なアンテナなどの機材を使った粗雑な工事に加え、お客様に無断で必要のない工事費、機材費などを加算して、不当に高額な工事費を請求する悪質な業者も存在します。
このような業者を避け、優良な業者をお選びになるポイントとしては、
・業者の公式サイトを確認し、使用するアンテナ機材などの機種、型番。また各オプション工事などの料金体系が明確でわかりやすい業者を選択する。
・現場に出張しての電波調査や見積もりが無料の業者をいくつか選択し、相見積もりを行う。
・相見積もりの結果を確認して、工事の内容や費用に極端な差がない業者を確認する。
・さらに見積もり時に、工事の内容から価格に関してまで、業者に納得できるまで質問をし、誠実にわかりやすく答えてくれるかどうかで、業者の質を見極める。
などになります。
総じて、相見積もりでも、単に価格が安いだけで業者を選ぶのではなく、真摯な対応や説明のわかりやすさなどで、総合的に信用がおけると思われる業者をお選びになることが重要だといえます。
地デジアンテナのDIY設置・まとめ
地デジアンテナのDIY設置について、ご自分でも可能であるかどうか、ご参考になりましたでしょうか?
他にも地デジアンテナのDIY設置に関しては、以下のコラムがご参考になると思われます。
テレビアンテナ設置場所のポイント(地デジ・BS/CSアンテナ編)
地デジ・BS/CSテレビアンテナ設置工事の手順
地デジアンテナに限らず、DIYでの作業は、業者に依頼する費用がかからない他、ご自分のお好み通りに作業を進められるというメリットがございます。ただしその一方で、たとえ失敗しても、すべては自分の責任になるという問題もございます。
特に地デジアンテナ設置に失敗した場合は、高所からの転落など、大変な事故を招くリスクもございます。また大事故にはいたらずとも、作業の手間やアンテナ機材が無駄になり、外壁への加工によりお住まいに傷を残してしまうだけという残念な結果になることも考えられます。
DIYでの地デジアンテナ設置に難しさを感じられる場合は、損害が生じる前に断念されて、テレビアンテナ工事の専門業者に、まずは電波調査や見積りをご依頼になるのも、賢明なご判断といえるでしょう。その場合には、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)かメールフォーム、LINEアカウントまで、ご相談いただければ幸いです。