地デジや衛星放送のテレビアンテナが折れた、倒れたといったトラブルが起こる原因と早急な修理を行うための工事方法を徹底解説!
2023年(令和5年)現在も、テレビアンテナと言えば「屋根の上に立てる」ものというイメージが強くなっております。
これはかつて、昭和から平成初期のアナログ放送時代は、テレビアンテナと言えば、屋根の上に立てる八木式アンテナのみだったイメージが強いものと思われます。
ただ現在、地デジ放送(地上波デジタル放送)を受信する地デジアンテナには「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコ―アンテナ」の三機種があり、これらのうち八木式アンテナとユニコーンアンテナは、屋根の上などに立てられることが多くなります。
そして衛星放送(BS放送、CS放送)用のアンテナである、皿のようなディッシュ部を持つパラボラアンテナのBS/CSアンテナも、多くは地デジアンテナとセットで立てられるため、屋根の上の八木式アンテナ、ユニコーンアンテナと同じマスト(支柱)に建てられることが多くなります。
屋根の上にアンテナを立てるメリットは、第一に、周辺の中継局(電波塔)から送られる地デジ電波、宇宙空間の人工衛星から地上に送られる衛星放送の電波を遮断してしまう、高層建築や山地などの障害物に影響されない。またアンテナの方向をテレビ電波の方向へと正確に向けられることで、アンテナの受信感度が向上することにございます。
半面、屋根の上に立てられたアンテナは、台風などの風雨、雪の多い地域では積雪などの影響を受けてしまい、年月につれて経年劣化が進むことになります。そうして老朽化が進んだアンテナは耐久力が低下し、大きな台風や地震などの際はアンテナが折れて曲がってしまう。さらには屋根の上で倒れる、屋根から落ちるなどの事態により、大きな事故につながることもございます。
当コラムでは、ひとつ間違えれば大変な事故にもつながりかねない、屋根の上でアンテナが折れる、倒れるといった事態について、その原因や、事故が発生しやすいアンテナ、逆に起こりにくいアンテナの機種。発生した場合の修理方法から、倒壊事故を防ぐことのできるアンテナ設置工事まで。アンテナが折れる、倒れる事故の傾向と対策を徹底解説いたします。
なお、アンテナが倒れるトラブルについての原因から修理などの対処法まで、総合的な解説については、以下のコラム記事にも情報がございます。
・屋根の上の地デジテレビアンテナが強風などで倒れる原因と対処。修理や対策の取り付け工事と費用を相場より安くする方法は?
・テレビアンテナで地上デジタル放送が受信できない際の修理とは?E201などが表示されて映らない原因と工事費用の相場を解説
テレビアンテナが倒れる主な要因
基本的に、主に屋根の上に立てられた地デジ、衛星放送などの各種テレビアンテナも、アンテナ工事のプロ以外が施工した、よほど粗雑な施工でもない限り、そう簡単に折れる、倒れるものではございません。
アンテナが折れる、倒れるなどの事故は、基本的に「風雨など自然環境や災害によるアンテナへのダメージ」「アンテナ自体の老朽化」の複合的な要因が積み重なって起こる事態になります。以下、これらの要因について解説してまいります。
台風や大雪などの自然環境、災害
テレビアンテナが屋根の上などに立てられた場合、風雨などをはじめ、海沿いであれば潮風、雪国であれば積雪などの影響により、長年にわたってダメージを受け続けることになります。
もちろんテレビアンテナは一度の台風や大雪などでそう簡単に倒れるものではございませんが、このような災害が重なることで、アンテナ本体のダメージは蓄積してゆきます。設置から何年も歳月が過ぎたアンテナは耐久力が低下し、大きな台風や積雪、また地震などの災害が発生したときに、最後の一押しとなって、アンテナが折れる、倒れるなどの事態が発生することになります。
これを防止するには、日ごろから台風、大雪など災害の後には、事態が落ち着き次第、アンテナに異常がないかを確認する。また日ごろからアンテナ工事の専門業者などに依頼してアンテナの定期的なメンテナンスを行い、老朽化がみてとれたときは早急な修理、交換を行うといった対処がございます。
テレビアンテナや設置部分の老朽化
前述のようひ、日々、厳しい自然環境にさらされ、経年劣化が進行するテレビアンテナには、寿命が存在します。
テレビアンテナの各機種については後述いたしますが、各アンテナモデルの寿命は、八木式アンテナ、BS/CSアンテナで10年程度。デザインアンテナ、ユニコーンアンテナでは10年から15年以上といわれております。ただこの寿命はアンテナの設置位置や周辺環境によっても大きく変動し、一般的な寿命を下回ることもございます。
寿命な過ぎたアンテナは上記のように老朽化が進行し、大きな自然災害の際などには倒れることもございます。
また特に八木式アンテナを屋根の上に設置する場合は、まず適切な位置に四脚型でマスト(支柱)を固定する「屋根馬」という器具を配置し、その中心にマストを固定します。さらにマストの先に八木式アンテナを装着し、BS/CSアンテナも設置する場合は、マストの中ほどに固定します。そして屋根の四方からステンレスワイヤーなどの支線を張り巡らせて、屋根馬やマストを固定するという形になります。
この屋根馬やマスト、ワイヤーなども自然環境などによって老朽化し、アンテナの重量に耐えられなくなる。またワイヤーが切れる、緩むなどの事態でも、アンテナが倒れる要因となります。
これを避けるには、倒れにくいアンテナ機種や設置位置を選択する。また定期的な確認やメンテナンスを欠かさないという対処になります。
ただ屋根の上に設置されたアンテナの確認、メンテナンスには危険が伴うことも多くなります。その場合は無理にご自宅で行おうとはせず、プロのアンテナ工事業者などに依頼されることをおすすめいたします。
テレビアンテナの種類とその倒れやすさ
ここでは今日のテレビアンテナ設置に使用される、地デジの「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコ―アンテナ」と、衛星放送の「BS/CSアンテナ」について、主な設置位置と折れる、倒れる事故の発生しやすさを中心にご説明してまいります。
なお地デジ放送は、地上にある送信所や中継局(電波塔)から送信される地デジ電波を、住宅などに設置された地デジアンテナで受信する形式であるため、中継局からの距離が遠くなると受信できる電波レベルが低下する。また中継局の方向に障害物や山地などの障害物があると、電波が遮られてやはり電波レベルの低下が起こるという性質がございます。
衛星放送は、赤道上空、周回軌道上を移動するため、地上からは常に天空の一点に存在するように見える「静止衛星」から送信される放送電波を、やはり地上の各住宅などに設置される、衛星放送用のBS/CSアンテナで受信する形式のテレビ放送です。
そのため、アンテナを衛星の方向(東経110度)へ正確に向ける必要があり、ミリ単位のズレでも受信感度が大きく低下する。人工衛星とアンテナとの間に、建物だけでなく、樹木などわずかな障害物が生じるだけでも受信障害が発生する。雨や雪の場合には衛星電波の弱まりや乱れが起こり、受信が難しくなる「降雨(降雪)減衰」が発生するなどの特徴がございます。
このような理由から、地デジ、BS/CSアンテナとも、障害物を避けて受信感度が高くなる、屋根の上などの高所に設置されることが多くなります。住宅の壁面やベランダなどやや低めの設置位置は、風雨などを避けやすく外観性が高まるというメリットもございますが、その分、受信感度が低下しやすく、現場の電波状態や周辺環境などによっては設置できないこともございます。
地デジおよび衛星放送の電波やアンテナに関しての詳細は、以下の各コラム記事でもご説明しております。
地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
地デジ「八木式アンテナ(倒れやすさ:高)」
八木式アンテナは、昭和のアナログ放送時代から使われる、魚の骨に似た骨組みを持つ古典的なテレビアンテナ機種です。
その特徴は、短い横棒にあたる「素子(エレメント)」数で、4素子から20素子クラスまで幅広い受信性能のモデルが存在する他、高性能モデルのパラスタックアンテナでは、個々の素子の高性能に加え、27素子や30素子なども存在するため地デジアンテナでもっとも高い受信性能を誇る点です。
そのため素子数のモデルによって受信できる地デジ電波レベルの強度を示す「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」の幅広いエリアで使用できます。
また古典的モデルであるため、設置費用も地デジアンテナモデルではもっとも低価格になります。
設置位置は主に、受信感度が高くなる住宅の屋根の上ですが、他にも専用の設置具により、ベランダの空間や壁面、軒下から吊り下げる設置なども可能となります。
半面、特に屋根の上に設置される場合は、そのアンテナサイズの大きさや、やや重量があるという点から風雨の影響を受けやすく、老朽化も進みやすくなります。同じマストにBS/CSアンテナも設置している場合は、より風雨の影響を受けやすくなります。そのため屋根の上に設置された八木式アンテナは、折れる、倒れるといった事態がもっとも起こりやすいアンテナとも言えます。
その他の設置方法である壁面、ベランダ、軒下などは、風雨を避けやすく、メンテナンスも行いやすくなるため、アンテナが折れる危険性はかなり軽減できますが、基本的にはやはり短いマストに設置する形式になり、BS/CSアンテナとセットで設置されることもあるため、折れて落下する可能性はゼロとは申せません。
八木式アンテナは受信性能をはじめメリットも多いアンテナですが、アンテナの折れ、倒れには注意が必要となるモデルと言えます。
八木式アンテナについては、以下の各コラム記事でも詳細を解説しております。
地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
地デジ「デザインアンテナ(倒れやすさ:低)」
デザインアンテナは、薄型の長方形などの形状をした地デジアンテナです。その形状から、設置位置は主に住宅の壁面、ベランダの柵などに貼り付けるような形になります。他にも屋根の上のマストに設置されること。現場の電波状態がよく、住宅の建材などの条件から屋内でも良好に地デジ電波が受信できる場合は、屋根裏空間などの屋内に設置されることもございます。
デザインアンテナのメリットは、その形状と主な設置位置が壁面などになることから、住宅に設置しても目立たず建物のデザイン性を崩さない上、風雨などの影響も抑えられて、経年劣化やトラブルのリスクも低くなる点です。
その設置方法から屋根の上に設置する場合を除いて、そもそも倒れるといった事態が発生しにくく、老朽化やトラブルに強いアンテナといえます。ただ壁面などへの設置の場合も、設置具の老朽化などにより、アンテナの脱落や落下の危険性もあるため注意は必要です。
デメリットは、素子数が20素子相当から26素子相当までとなり、同素子数でも素子が露出した八木式アンテナに比べると受信性能がやや低下します。さらに主な設置位置が低いため受信感度もやや低くなり、地デジ電波レベルが低い弱電界地域。また高層建築の付近や住宅密集地では使用できないこともございます。八木式アンテナに比べると本体価格や設置費用も、少し割高になります。
デザインアンテナの詳細は、以下の各コラム記事でも解説しております。
地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!
地デジ「ユニコーンアンテナ(倒れやすさ:低~中?)」
ユニコーンアンテナは、マスト(支柱)の先に、高さ約70センチ、直径14センチ程度の円筒形に近いアンテナ本体が設置された地デジアンテナです。大手アンテナメーカー「マスプロ電工」さんが2017年(平成29年)に販売した、地デジアンテナの最新モデルになります。
設置位置は屋根の上。また設置具を用いて屋根に近い壁面や、屋根の張り出し部(破風板)などにも設置されます。
ユニコーンアンテナの受信性能は20素子相当ですが、設置位置が高いため障害物の影響を受けにくく、受信感度が高くなります。したがって現場の環境からデザインアンテナが設置できない場合も、ユニコーンアンテナは設置できるケースが多くなります。
さらに風雨などを受け流せる形状から、高所設置にもかかわらず経年劣化が進みにくく、トラブルのリスクを避けて高寿命が予想されます。
ユニコーンアンテナは新しいモデルであるため寿命のデータなどがまだ少なく、高所にマストで立てる形式から、折れる、倒れるリスクがゼロとは申せませんが、その形状から大きなトラブルが起こる危険性はかなり低いと考えられます。
またそのデザイン性から住宅の外観を乱さないというメリットもあり、総じて八木式アンテナとデザインアンテナのメリットを兼ね備えた地デジアンテナと言えます。
デメリットは、受信性能では八木式アンテナの同素子数から高性能機種には及ばず、弱電界地域などでは設置できない場合もある。また最新モデルのため本体価格、設置費用が地デジアンテナではもっとも高価になる点です。
ユニコーンアンテナの詳細は、以下の各コラム記事でも解説しております。
地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
衛星放送「BS/CSアンテナ(倒れやすさ:高)」
前述のように人工衛星からの電波を受信するBS/CSアンテナは、円盤状のディッシュを持つパラボラアンテナになります。
BS/CSアンテナの構造は基本的には一種類で、現在の4K8K対応型と旧式の2K対応型などの違いを除いて、どのメーカー、モデルでも大きな違いはございません。
主な違いとしては、ディッシュ部の直径(センチ)で、通常の戸建て住宅向けである45型の他、50型、60型、75型の大型モデル。また集合住宅の共同受信用になる90型以上がございます。これらはサイズが大きくなるほど衛星電波の受信性能が高まりますが、その分、風雨などの影響も受けやすくなります。他にも本体のカラーバリエーション、高耐風モデルなどがございます。
BS/CSアンテナは八木式アンテナ、ユニコーンアンテナなどと一緒に、その下部に当たるポールに設置されることが多くなります。そのための二基のアンテナでより風雨などに影響されやすくなり、老朽化や折れる、倒れるトラブルの危険性が高まってまいります。特にBS/CSアンテナはわずかな角度のズレでも受信トラブルが生じやすいため、注意が必要となります。
またBS/CSアンテナ単独で壁面やベランダなどに設置されることもあり、この場合はトラブルのリスクはやや低くなりますが、皆無とも申せません。なお前述の高耐風モデルを使用することで、風雨の影響によるトラブルの可能性はかなり軽減できます。
BS/CSアンテナについての詳細は、以下の各コラム記事でも解説しております。
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テレビアンテナが折れる、倒れることで生じるトラブルと、発生した際の対処
テレビアンテナが屋根の上で折れる、倒れるなどのトラブルが発生した場合には、主に以下のようなトラブルが考えられます。
場合によっては大変な事故を招くリスクもございますので、特にアンテナの倒壊は未然に防止することが肝要となります。
アンテナ本体の角度のズレ、破損などでテレビ放送が受信不能になる
前述のように、地デジ、BS/CSアンテナとも、アンテナが折れる、倒れるなどで電波の側に向けられた方向が変わると、受信性能も大きく低下してしまいます。特にBS/CSアンテナはミリ単位のズレが大きな影響を与えてしまいます。
そのため折れるまでゆかない多少の傾きでも、テレビ放送が受信できなくなることもございます。さらに折れて倒れるリスクが生じるほど老朽化が進んだアンテナは、折れる前からアンテナの各部が破損し、ケーブルも劣化しているなどで、故障する可能性も高くなります。
さらにアンテナが倒れた際には、その衝撃で致命的な破損が発生するケースも多くなります。
アンテナのサビや倒壊などにより屋根材などが傷んでしまう
アンテナ機種や設置位置、周辺環境などにもよりますが、一般的な寿命を過ぎて折れやすくなったテレビアンテナには、全体にサビが生じてまいります。そのため倒壊にいたらずとも、サビが零れ落ちるなどで、住宅の屋根や壁を傷めてしまい、その資産価値を下げてしまうことも考えられます。
このようなアンテナはいつ倒壊してもおかしくないともいえ、倒壊した場合には、屋根材を破壊し、屋根に穴を開けてしまうといった、大きな被害が生じる可能性もございます。
アンテナが倒れたことで他の人や近隣の家に当たってしまう可能性がある
屋根の上でアンテナが倒壊した場合、そのままアンテナ本体が屋根から落下する危険性もございます。そして落下したアンテナの下に家屋や車などがある。また人がいた場合などは、重大な物損事故、人身事故にいたってしまいます。
特にアンテナの直撃を受けたものや人が、お住まいのご家族ではなく第三者やその財産であった場合は、民事による損害賠償や、過失傷害などの刑事事件にいたることも考えられます。
そのため特に屋根の上のアンテナ等では、落下の兆候となる老朽化や傾きが生じた時点で、早急な修理、交換が必要となるのです。
屋根の上などでアンテナが倒れた場合の対処
実際に屋根の上でアンテナが倒れる事態が生じた場合は、アンテナの落下など重大な事態にいたる前に、早急な対処が必要です。
基本的には高所で倒れたアンテナの撤去には、大変な危険が伴うため、アンテナ工事の専門業者などに、撤去やアンテナ新規設置を依頼してください。なお倒壊したアンテナについては、老朽化や破損が予想されるため、再設置には適しません。
アンテナが倒れた際には、倒れたアンテナは処分し、新しいアンテナを設置することが基本となります。
またアンテナ撤去と再設置の際に、受信環境などの条件から可能であれば、風雨などに影響されにくく、倒壊の危険性が低いモデルや設置位置を選ばれるのもひとつの選択肢といえます。
地デジ、BS/CSアンテナの撤去、交換については、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
テレビアンテナ(地デジ、BS/CS)の交換・撤去(前編・時期編)
テレビアンテナ(地デジ、BS/CS)およびアンテナ機材の交換・撤去(後編・手順編)
テレビアンテナの修理には火災保険が適用できる?
意外に思われる方もおられるでしょうが、強風などの天災でアンテナが倒れた場合には、ご自宅で加入されている「火災保険」によって、修理費用が補償されることもございます。
これは、火災保険には、台風や強風、豪雨、豪雪、雹。また隕石や外部からの落下物によって、住宅や建物に含まれる家財が破損した場合に保証を受けられる「風災(雪災、雹災)保証」が含まれるためです。保証を受けられる「家財」は基本的に「住宅に付帯して動かせないもの」になるため、テレビアンテナも含まれます。
また火災保険によって補償される損害の範囲は、保険商品や契約によっても異なりますが、一般的な「火災」「風災」だけでなく「落雷」や「漏水などによる水濡れ」。またガス爆発事故などの「破裂・爆発」。台風や豪雨などに伴う洪水などの「水災」。他にも「盗難」や暴動などに巻き込まれた「騒擾(そうじょう)」。その他「不測かつ突発的な事故」などが含まれます。
ただ地震による被害に関しては、大地震により非常に広範かつ大規模な被害も予想されるため、付帯する「地震保険」に加入している場合を除き、火災保険では基本的に保障されません。また災害などの直接的な影響ではなく、単純な老朽化でアンテナなどが破損した場合。また故意や重過失で自ら起こした火災などの場合も、火災保険は適応されません。
さらにアンテナの落下により、第三者の財産や身体に被害を与えてしまった場合も、火災保険の対象外になります。この場合は、ご自宅で「個人賠償責任保険」などに加入されている場合は、こちらの保険が適用されることになります。
天災でのアンテナトラブルに火災保険を適用する場合の詳細については、以下のコラム記事をご確認ください。
火災保険の適用範囲と天災時のアンテナ修理
風雨などに強いテレビアンテナの設置方法は?
先ほども少し記しましたが、従来は住宅の屋根の上に設置していたテレビアンテナから、使用するアンテナ機種や設置位置を変更することにより、風雨に影響されにくい、耐風性能が高まるなどで、倒壊を避けるアンテナ設置が可能となります。
ただその場合、屋根の上へのアンテナ設置に比べてテレビ電波の受信性能が低下してしまい、住宅の周辺環境によっては設置できない場合もございます。受信性能と耐風性能の兼ね合いから、適切な判断が必要になるといえます。
以下、その具体例についてご説明してまいります。
屋根の上に耐風性能の高いアンテナ機種を設置する
前述のように、戸建て住宅では屋根の上へのアンテナ設置により、もっとも高い受信感度を確保できます。特に弱電界地域の地デジアンテナ設置では、屋根の上に高性能の八木式アンテナを設置する以外の方法がないこともございます。
このように受信性能を重視して屋根の上にアンテナを設置する場合、アンテナが風雨や雪などの影響を受けてしまうことは避けられなくなります。そこで耐風性能の高いアンテナ機種を選択することにより、屋根の上でも一定の耐風性能を確保し、老朽化やアンテナ倒壊といった大きな事故のリスクを抑えることができます。
地デジアンテナでは、ユニコーンアンテナを使用することで、その形状や軽量さから屋根の上に設置しても風雨に影響されにくくなり、折れる、倒れるなどの危険性を大きく回避することができます。
また地デジ電波環境からユニコーンアンテナを使用できない場合には、八木式アンテナの高耐風、防水・防雪モデルもございます。
このようなモデルでは、素材の改良により本体の軽量化や表面の防水コーティング。雪が積もりにくいよう素子部分を短くするなどの工夫により、激しい風雨や雪などへの耐性を高めております。そのため通常の八木式アンテナに比べて、寿命も10年から15年程度と、やや長くなると見られております。
またBS/CSアンテナでは、さまざまな工夫により耐風性能を高めた「高耐風モデル」も存在します。その代表的なモデルが、日本の名門アンテナメーカー、DXアンテナ社「BC453SG」になります。
同モデルでは、ディッシュ部に風を通すパンチングホールを数多く設置。また押さえ金具部をはじめとする、ディッシュ、アームなどの固定も強化されており、強風によるアンテナ本体へのダメージや、角度のズレなどのトラブルを大きく軽減できます。
このようなモデルの採用により、屋根の上への設置で受信性能を確保しながらも、風雨に強く、折れる、倒れるなどの事態が起こりにくいアンテナ設置を実現できます。
なお高耐風BS/CSアンテナ「BC453SG」は、以下のコラムでも詳しくご紹介しております。
台風対策に最適! 究極の高耐風BS110度CSアンテナ「BC453SG」(DXアンテナ)
デザインアンテナに変更する
デザインアンテナは前述のように、現在のテレビアンテナでは、もっとも風雨に強い地デジアンテナだといえます。
住宅の壁面などへの設置により、住宅の外観性の向上と、風雨への強さを同時に実現できることから、人気も高くなっております。
またデザインアンテナであれば、屋根裏空間をはじめとする屋内への設置も可能となるケースがございます。
屋根裏空間への設置であれば、風雨などの影響をほぼ完全に遮断し、住宅の外観にもまったく影響しない施工が実現できます。デザインアンテナの壁面設置に必要となる、設置具を取り付けるため壁にビス穴を開ける作業も必要なくなります。
屋根裏空間にデザインアンテナを設置できる条件としては、点検口などから作業者が屋根裏空間に入り込める。空間内に最低限、1メートル四方の設置スペースがある。そして屋根裏空間内で十分な地デジ電波が受信できるという点です。
逆に設置が難しくなる条件では、屋根材や建材、断熱材に金属素材など、地デジ電波を遮断する素材が使用されている。また屋根の上に太陽光パネルが設置されている。冬場、屋根の上に積雪があるなどで、屋根裏空間に地デジ電波が届きにくいことが挙げられます。
なお八木式アンテナの場合は、本体の大きさから設置できる条件が厳しくなり、設置具などで設置コストかデザインアンテナと大差なくなる。ユニコーンアンテナでは受信部の狭さから適さないという理由で、屋根裏設置には使用されません。
他にも、ユニコーンアンテナを開発したマスプロ電工社製「スカイウォーリーミニ」は、高さ約36センチ、横幅は約15センチ、厚さは約5.5センチから10センチ程度と、従来のデザインアンテナに比べて大幅な小型化を実現したモデルです。
そのため基本的に強電界地域向けのモデルになりますが、このモデルには室内用スタンドも付属しており、地デジ受信環境が十分であれば、窓際などへの室内設置も可能です。
総じてデザインアンテナは、やや受信感度が低くなるため設置条件が限られるデメリットはございますが、設置できる環境であれば、風雨による老朽化、アンテナ倒壊の防止に大きな効果が得られる地デジアンテナモデルといえます。
デザインアンテナのコンパクトモデルや屋根裏、天井裏設置の詳細に関しては、以下のコラム記事もご確認ください。
徹底解説!屋根裏や天井裏にテレビアンテナは設置できる?
この最小デザインアンテナがすごい!スカイウォーリーミニ(マスプロ電工)
アンテナの設置箇所を工夫する
他にも八木式アンテナやBS/CSアンテナを、壁面やベランダなどに設置することも可能です。
そのため例えば、BS/CSアンテナとデザインアンテナを併用するなど、各種アンテナの設置位置を工夫することで、風雨などへの抵抗力やメンテナンス性を高め、倒壊のリスクを避ける設置が可能となります。
このような設置位置の工夫は、現場の電波状態や周辺環境によって、使用できるアンテナ機種や可能な設置位置が千差万別に変わってまいります。ご自宅の正確な電波調査によって可能なアンテナ設置の工法を確認し、その中から受信環境と自然環境への強さを両立できるアンテナ設置をお選びになることをおすすめいたします。
住宅内でテレビアンテナを設置できる位置については、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。
地デジ・衛星放送のテレビアンテナ設置で、受信性能や見栄えが最適の場所や位置は? 設置場所による工事の方法や費用も徹底解説
地デジや衛星放送用BS/CSテレビアンテナのベランダ設置や壁面取付の方法は? デザインアンテナ失敗例や必要な端子も解説
新築戸建て住宅への地デジ、衛星放送用テレビアンテナ設置工事でアンテナ取り付けが可能な住宅の位置を全解説!(後編)
まとめ
地デジ、BS/CSのテレビアンテナ設置に関して、屋根の上へのアンテナ設置で高い受信感度を確保することと、風雨を避けてアンテナの老朽化を抑え、アンテナが折れる、倒れるなどの事態を防止することは、両立が難しい二律背反の条件とも申せます。
ただどのような現場であっても、詳細な電波調査により、安定した受信性能を確保しつつも、ある程度、風雨などへの耐性があるアンテナ設置方法を見出すことは、決して不可能ではございません。
なお、各種テレビアンテナの寿命や自然災害で考えられるトラブルについては、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
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