戸建住宅におけるテレビアンテナ配線を徹底解説!
2023年(令和5年)現在でも、一般の戸建住宅において地デジ(地上デジタル放送)や、衛星放送(BS/CS放送)をご視聴になる方法としては、住宅へのテレビアンテナ設置が主流となっております。
テレビアンテナの設置では、地デジの電波状態が悪い一部のエリアや、受信のための周辺環境が悪いエリアを除いて、日本国内の大半で地デジ、BS/CS放送のテレビ電波を受信することができます。さらにBS/CSの有料チャンネルを除けば、基本的にいつまでも無料でテレビ放送をご視聴になれるという点も、大きな魅力です。
現在ではテレビアンテナを設置されている多くの住宅で、住宅内の主要な各部屋に「アンテナコンセント」が設置されており、そのアンテナ端子とテレビなどの受信機器をケーブルで接続することにより、お気軽にテレビ放送がお楽しみいただけます。
その仕組みが、ご自宅に設置されたテレビアンテナから、各部屋のアンテナコンセントまで配線を行うことによって、テレビ電波を送信しているものであることは、皆様もよくご存じでしょう。ただ、それではご自宅にある、地デジ、BS/CSともそれぞれ一台のテレビアンテナから、具体的にどのようは配線や機器を経て、複数のアンテナコンセントにテレビ電波を届けているか、具体的に把握しておられる方は、意外と少ないのではないでしょうか?
当コラムでは、現在の一般的な戸建住宅における、地デジ、BS/CSのテレビアンテナから各部屋のアンテナコンセントまでの配線について、実際的な配線の形式から、使用されている機器まで、具体的、かつ徹底的にご説明してまいります。
当コラムをお読みいただき、ご自宅のアンテナ配線の仕組みについてご理解いただくことで、今後、ご自宅でのアンテナ交換やBS/CSアンテナの追加などの工事、またテレビ画面のトラブルの際などにも、適切なご対応が可能になることと存じます。
【1:戸建住宅のテレビアンテナから屋外に設置されるアンテナ配線】
ここでは、地デジアンテナとBS/CSアンテナの両方が、屋根の上にまとめて設置されており、住宅内の各部屋にあるアンテナコンセントに、双方のテレビ電波が送信されているケースを前提として、アンテナ本体から複数のアンテナコンセントにいたるまでの、配線方法や設置される機器についてご説明いたします。
以下、同じ条件でも、住宅によって機器や配線の方法にいくつかパターンが見られる場合や、設置されているアンテナの種類、設置の方式が根本的に異なる場合については、その都度、補足として解説してまいります。
(テレビアンテナのすぐ近くに設置される「混合器」と「屋外用ブースター」」)
現在、戸建住宅に設置される地デジアンテナの機種には、主に屋根の上に設置される魚の骨に似た古典的な機種「八木式アンテナ」。壁面やベランダなどに設置される平面薄型でスタイリッシュな「デザインアンテナ」。屋根の上や破風板、壁面などに設置でき、ポール状でやはりデザイン性の高い「ユニコーンアンテナ」の三種類があり、ご自宅の条件やご要望に適した機種を選んで設置することになります。
衛星放送用のBS/CSアンテナは、大きさや本体色、高耐風型などのバリエーションはございますが、基本的には同タイプのパラボラアンテナ一種類のみです。
基本的に、戸建住宅に地デジアンテナとBS/CSアンテナの双方を設置する場合は、例えば八木式アンテナやユニコーンアンテナであれば、同じマスト(支柱)にBS/CSアンテナを設置するなど、できるだけ近い位置に設置することで、配線などもシンプルにする工夫を行います。
このコラムでも、屋根の上の同じポールに地デジアンテナとBS/CSアンテナを設置している前提で、お話を進めてまいります。
なお各種テレビアンテナの詳細については、以下のコラムをご参照ください。
地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
・「混合器」とは?
住宅に地デジアンテナとBS/CSアンテナの双方を設置する場合は、まず双方のアンテナから延びる、受信したテレビ電波を送信するアンテナケーブルを「混合器」に接続することで、一本のケーブルにまとめます。
混合器とは文字通り、地デジとBS/CSの電波(ケーブル)を一本にまとめるための、2個の入力端子と1個の出力端子を持つ装置です。
この装置がないと、屋内の各アンテナコンセントまで、地デジとBS/CSの配線を別個に配置しなければならないため、必要なケーブルの長さや機器がほぼ2倍になり、コストや手間が増してしまいます。混合器を使うことでケーブルの配線などを最小限にして、シンプルでトラブルなどにも対応しやすく、コストも軽減できる配線になるのです。
また混合器は地デジアンテナとBS/CSアンテナをまとめて設置する場合に必要となるため、住宅に設置するのが地デジアンテナのみ。またはBS/CSアンテナをベランダなどに設置し、ベランダ内の付近にある一台、または限られた機器でのみBS/CS放送をご視聴になる。つまりBS/CSアンテナと地デジアンテナの配線がまったく別系統である場合には、混合器は設置いたしません。
混合器について詳しくは、以下のコラムをご参照ください。
アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い
・「屋外用ブースター」とは?
アンテナブースター(増幅器)とは、アンテナが受信したテレビ電波を増幅する装置のことです。
地デジ放送の場合、地デジ電波を送信している中継局(電波塔)からの距離や周辺環境によって、周辺の電波環境が「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」に分けられ、エリアによってはそのままではテレビのご視聴に十分な地デジ電波が受信できないこともございます。
また住宅内に多数のテレビ、レコーダーなどのテレビ受信機が設置される現在では、機器の台数に応じた高い電波レベルが必要となります。
そのため現在の住宅では、よほど地デジ電波が強力なエリアを除いて、ほとんどの場合はブースターの設置が必須となります。
ブースターにもいくつか種類がございますが、基本的に設置されるものは、主にテレビアンテナの真下、同じマストなどに設置される「屋外用ブースター」になります。屋外型ブースターは風雨にも耐えうる頑丈な作りで、増幅できる電波レベルも強力になります。
屋外用ブースターは、後述する分配器などの近くに設置すると、互いの電波干渉により混信などが起こるリスクもあるため、できるだけアンテナの近くに設置されます。ただブースターには電源が必要なため、電源部を屋根裏などに設置する必要がございます。
そして電源部の配線の都合などによっては、屋根裏などの屋内にブースターが設置されることもございます。
ブースターにはUHF帯ブースター(地デジ用)と、UHF・BS・CS混合ブースター(地デジ、BS/CS兼用)の種類がある他、ブースターと混合器を一体化した機種などもございます。
この屋外用ブースターで電波の増幅レベルが足りない場合には、必要に応じて室内用ブースター、ラインブースターなども設置しますが、これらについては後述いたします。
なおブースターについての詳細は、以下のコラムでもご確認いただけます。
テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)
(テレビアンテナからの配線を屋内に引き込む「引き込み線」とは?)
地デジ、BSCSのテレビアンテナから、混合器、ブースターを経たアンテナケーブルは「引き込み線」によって屋内に引き込まれます。
「引き込み線」とは、壁に設置された「引き込み口」を通じて、屋外から屋内に通じるアンテナ線のことで、多くの場合、戸建住宅を建築する際、ハウスメーカーなどが住宅設備としてアンテナを設置しやすい場所の付近に、配線ごと設置しております。
戸建の新築物件の場合、住宅のオプションに含まれる場合などを除いてテレビアンテナは設置されておらず、住宅のお引き渡し後に、オーナー様がご自身でアンテナ工事業者などを手配して、お求めのテレビアンテナを設置することになります。
このとき、アンテナ業者は屋根の上に設置された各種アンテナからの配線を、この引き込み線の外部に接続します。引き込み線は屋内の天井裏などに通じているため、アンテナ業者はそこからまた、屋内への配線を行うことになります。
またハウスメーカーによっては、住宅の屋根に最初からアンテナを設置するためのポール(支柱)が設置されており、そのポールの中から屋内にアンテナ配線を行うことのできる、商品名「スッキリポール」などの設備が設置されていることもございます。
逆に古い住宅などで引き込み線などの設備が存在しない場合は、エアコンのダクト穴などからアンテナケーブルを屋内に引き込む、または壁に新しく引き込み口を開けるなどの工事が必要となってまいります。
【2:住宅の屋内から各部屋のアンテナコンセントまで電波を分配するアンテナ配線】
テレビアンテナからの配線を住宅内に引き込んだ後は、各部屋にあるすべてのアンテナコンセントへとケーブルを配線する作業になります。
そしてアンテナから延びる一本のケーブルを、複数の部屋に配線する方法には「スター配線」「送り配線」の二種類がございます。
以下、これら配線法の違いについてご説明いたします。
・「分配器」を使う「スター配線」とは?
スター配線とは「分配器」という機器を使って、一本のケーブルを必要な数まで分配し、各部屋のアンテナコンセントに配線する方法です。
分配器とは、一個の入力端子と、機種によって2個から8個(7個除く)までの出力端子を持つ装置です。スター配線方式では、必要な出力数の分配器を用意して、アンテナからのケーブルを入力端子に接続し、出力端子からタコ足状に伸びる複数のケーブルで、各部屋のアンテナコンセントまで電波を分配します。使用される分配器は、分配するアンテナコンセント数に予備の1個を足したものが選ばれます。
スター配線と呼ばれるのは、分配器から延びる複数のケーブルが星の輝きのように見えるためです。
また分配された先でも、必要に応じて2分配器など小型の分配器を設置することもございます。ただし分配器を通した場合、大本の電波レベルから分配される数で割る形になり、個々の分配先の電波レベルは数分の一になります。そのため過度な分配には注意が必要です。
なお分配器が設置される位置は、主に一階や二階の天井部に設置される、屋根裏、天井裏の点検港の付近。または住宅の中心部などに置かれる、アンテナや電話回線、インターネットルーターや有線LAN配線などを集約、配分するマルチメディアボックス(情報配電盤、情報分電盤、情報ボックス、弱電盤)などに設置されます。
分配器についても、前述のコラムで詳細が確認できます。
アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い
・アンテナコンセントを一筋のケーブルで接続する「送り配線」とは?
送り配線とは、分配器などの機器を使わず、テレビアンテナから送られるアンテナケーブルを、屋内の各部屋のアンテナコンセントへ、順繰りに接続していく方法です。
具体的には、アンテナから延びるケーブルを、一番近い部屋のアンテナコンセントに直接、接続して、必要なレベルの電波を供給した後、そのコンセントから出力用のアンテナケーブルを伸ばして、近い部屋のアンテナコンセントに接続する。以下、末端の部屋までそれを繰り返す配線方法です。
つまりアンテナから屋内のすべてのアンテナコンセント、末端にいたるまでほぼ一筋のアンテナケーブルを通す形になり、ケーブルおよびテレビ電波を順番に送っていくことから、送り配線と呼ばれます。
(「スター配線」と「送り配線」の違い、そのメリットとデメリット)
上記の配線方法のうち、スター配線は近年の住宅で多く採用されている、主流と呼べる配線方法になっています。一方、送り配線はひと昔前の住宅で多く見られた、やや古い形式の配線方式と言えます。ただ今日の住宅で、送り配線方式が採用されることもございます。
送り配線のメリットは、分配器を必要とせず一筋の配線で済むため、工事の手間や費用のコストがかからないという点が第一です。
一方、デメリットは、配線の先に行くほど電波レベルが低下しやすい点になります。これは各アンテナコンセントで使用する電波レベルを消費することに加え、アンテナコンセントの機器を通すことでも電波レベルの損失が生じるため、末端部のアンテナコンセントほど届く電波レベルが低下します。さらにアンテナ配線が長いことも、先に行くほどテレビ電波レベルを減衰(弱める)させる要因になります。
そのため送り配線の場合は、末端までの電波レベルの低下を、電波レベルを示す「㏈(デジベル)数」で計算して、大本のブースターで十分な㏈のレベルまで電波を増幅しておく必要がございます。ただ場合によっては、アンテナに近い部屋では電波レベルが強すぎる、末端の部屋では弱すぎるといった事態が生じることも考えられます。
また送り配線の一か所でトラブルが生じた場合、その先のすべてのアンテナコンセントに電波が届かなくなり、テレビ放送が視聴できなくなるといったケースも考えられます。
スター配線のデメリットは、分配器および各部屋へ分配するアンテナケーブルが必要となるため、送り配線に比べると工事や機材費のコストが高くなる点です。
一方で、分配器を通すことでわずかなテレビ電波の損失は生じるものの、各部屋のアンテナコンセントへ、均等なレベルの電波を配分できるというメリットがございます。送り配線と比べると電波レベルの減少も少ないため、ブースターの利用などにより、各部屋にほぼ均等かつ、十分なレベルのテレビ電波を配分することが可能になります。
その結果、例えば一部の部屋だけテレビの映りが悪いといったトラブルも生じにくくなり、メンテナンスの手順も簡単になります。
今日の住宅でスター配線が主流になっている理由は、主に「屋内に設置されるテレビコンセント(テレビなど受信機器の台数)が多くなった」「BS/CS放送の普及」の二点が挙げられます。
屋内のテレビコンセントやテレビ機器の数が多くなると、送り配線では必然的に、配線の先端部に近づくほど、電波レベルの弱まりによるテレビ映像のトラブルが多くなります。特にテレビ電波には、周波数が高いものほど、送信中に弱まりやすい性質がございます。
そしてBS/CS放送の電波、特に近年の「新4K8K衛星放送」の電波は、地デジ放送の電波よりも周波数が高いため、電波の弱まりによるトラブルも生じやすくなります。
そのためBS/CSアンテナが設置されることの多い近年の住宅では、アンテナ配線の方法として、スター配線が選ばれることが多くなっているのです。一方で、住宅内に設置されるアンテナコンセント数が少ない。衛星放送用のBS/CSアンテナを設置しないか、一部の部屋のみで視聴する場合などには、現在でもコストのかからない送り配線が選ばれることもございます。
アンテナコンセントや配線方法については、以下のコラムでもご説明しております。
部屋にあるテレビアンテナ用コンセントの交換、増設方法は? 工事の方法から耐用年数、端子の種類まで徹底解説!
住宅の部屋にテレビコンセント(アンテナコンセント)を増設する工事の方法は? 設置されるアンテナ用端子の種類も解説
(地デジとBS/CS放送の両方を受信するためには「分波器」が必須)
これで住宅に設置されたテレビアンテナから、各部屋のアンテナコンセントまで、配線のご説明はほぼ完了いたしました。
あとはアンテナコンセントとテレビなどの機器を、ケーブルで接続するだけと思われますが、前述の「混合器」によって、地デジとBS/CSの電波を一本のケーブルに混合している場合が、その前に「分波器」が必要となります。
分波器とは、一本のケーブルに混合された地デジとBS/CSの電波をあらためて二本のケーブルに分配する、2分配器に似た機器のことです。この機器により分けられた地デジとBS/CS電波のケーブルを、テレビ側のそれぞれのチューナーに接続することで、地デジ、BS/CS放送とも、正しく受信できることになります。この分波器を使用しないと、テレビなどの機器にケーブルを接続しても、どちらか一方、レベルが高い方のテレビ電波しか受信できません。
なお分波器は、アンテナコンセント部分に設置されており、コンセントに地デジとBS/CS、ふたつのアンテナ端子が設置されている場合と、アンテナコンセントに接続したケーブルの先に設置して、地デジとBS/CSの電波を分ける場合がございます。
分波器についても、混合器の項で記載したコラムによって詳細をご確認いただけます。
【3:戸建住宅のテレビアンテナ配線に関する注意点】
戸建住宅に設置される一般的なテレビアンテナ配線は、以上の通りです。ただ受信するテレビ放送の種類によって、必要となる機器が異なる場合。また配線の形式などによって、アンテナからテレビに届くまでに電波レベルの低下が起こる場合がございます。
以下、アンテナ配線に関して、各放送の種類に対応する機器、また電波レベルの低下に関する注意点についてご説明いたします。
(地デジ、BS/CS、4K8K放送によって必要なアンテナ機器)
前述のように、テレビアンテナから各部屋のアンテナコンセントまでに設置される、ブースターや分配器などの機器には、地デジ電波であるUHF帯対応型。また地デジとBS/CSの双方に対応できる、UHF・BS・CS対応型がございます。そのためご自宅に設置されるテレビアンテナが地デジのみか、BS/CSアンテナも設置するかによって、使用すべき機器の種類も変わってまいります。
また2018年(平成30年)には、BS/CS放送における4K8K放送の「新4K8K衛星放送」がスタートしています。従来のBS/CS放送では「右旋円偏波」という電波が使われていましたが、新4K8K衛星放送の開始で新しく4K8Kチャンネルを追加するにあたり、右旋の電波では周波数帯が不足したため、4K8Kの多くのチャンネルで、新しく「左旋円偏波」という電波が使用されることになりました。
そのため従来の右旋電波のみに対応する古いBS/CSアンテナでは、右旋で送信される4Kチャンネルの一部しか受信できません。すべての4K8Kチャンネルを受信するためには、4K8K(左旋電波)対応型のBS/CSアンテナに交換する必要がございます。
また左旋の電波は、従来のBS/CS放送の電波よりもさらに高周波数帯となります。そのため、やはり従来のアンテナ配線では対応できず、ブースター、分配器なども、左旋電波の周波数が含まれる「3224MHz対応型(4K8K対応型)」に交換しなければなりません。アンテナケーブルも種類が古くて細いものの場合は、3224MHzに対応できないため、対応可能な太いケーブルに交換する必要が出てまいります。
総じてBS/CS放送や新4K8K衛星放送など、ご自宅でこれまで対応していなかったテレビ放送のアンテナを設置する場合には、アンテナ本体だけでなく、ブースター、分配器などのアンテナ配線機器も交換しなければならない場合がございますので、ご注意ください。
新4K8K衛星放送やその電波については、以下のコラムもご参考になります。
「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
「新4K8K衛星放送」ご視聴に必要な機器・完全チェック解説! テレビで全4K8Kチャンネルを見るための機材とは?
(アンテナ配線で電波レベルを弱める要因とその対策)
テレビアンテナから各アンテナコンセントやテレビ機器まで、テレビ電波を送信する配線の間でも、電波レベルは徐々に弱まってゆきます。
アンテナ配線の中でも特に電波を弱める要因には、以下のものが挙げられます。
・分配器を通すことにより、元の電波レベルが分配される数で割られる形の電波レベルの減少。
・電波が各アンテナ機器やケーブルの接続部を通過するたびに、少しずつ生じる電波レベルの「損失」。
・電波が長いケーブルを伝送されることによって、徐々にレベルが弱まってゆく「減衰」。
前述のように、特にBS/CSや新4K8K衛星放送の電波は高周波数になるため、これらの要因から電波レベルの弱まりがより大きくなります。
基本的にテレビアンテナから、分配や損失、減衰などによる、分配先での電波レベルの弱まりに対しては、まずアンテナの近くに設置された屋外用ブースターで、大本のテレビ電波を十分なレベルまで増幅することにより対応いたします。
ただ前述した送り配線で、配線の先端部にいたる場合をはじめ、スター配線(分配器)による分配であっても、アンテナからテレビコンセントが設置された部屋まで距離がある。また分配先でさらに分配器を使っている、テレビとレコーダーなど複数の受信機器に接続しているなどの状況によっては、テレビなどで受信できる電波レベルが低下し、その部屋のみテレビ映像に乱れが生じることもございます。
その場合には、電波レベルが弱い部屋において、アンテナコンセントとテレビなどの機器を接続する間に、室内用ブースター、ラインブースターなどを設置して、テレビ電波を適切なレベルまで増幅することで対応いたします。
室内用ブースターは前置型ブースターとも言い、文字通り室内に設置されるブースターです。電波の増幅量は室外用ブースターほどではございませんが、ご自宅でも設置しやすいというメリットがあり、テレビ電波の増幅レベルがさほど高くなくてもいい場合に使用されます。
ラインブースターは、アンテナケーブルの途中に接続する形で使用されるより小型のブースターであり、主に室外用ブースターの補助として用いられます。
またテレビ電波は、テレビなどの機器に届いた時点での㏈数が「90㏈」以上と、電波レベルが強すぎる場合も、映像の乱れや画面が映らないといったトラブルの要因になることがございます。この場合は、ラインブースターとほぼ同じ形で、電波レベルを適切なレベルにまで減衰させる「アッテネーター(減衰器)」という機器を設置することで対応が可能です。
他にも前述した「分波器」の設置でも、電波レベルの損失が起こってまいりますが、この場合は、分波器の本体とケーブルが一体型のタイプを利用することで、ケーブル接続部による電波の損失を軽減できます。
【まとめ】
当ゴラムをご参考に、ご自宅のテレビアンテナ配線がどのようなものであるか、ご判断いただけたでしょうか?
ご自宅にあるアンテナ配線の仕組みを把握しておくことで、テレビ画面の乱れなどが生じた際に、ご自宅でもある程度の対処が可能となってまいります。ただブースター、分配器などのアンテナ機器には、約10年程度の寿命があり、それを過ぎるとトラブルが起こる可能性も高くなってまいります。そして屋根の上にある屋外用ブースターの交換や調整、屋根裏などに設置された分配器の交換については、ご自宅では難しい作業になってまいります。
ご自宅では対処が難しいアンテナ機器トラブルへの対応。またご自宅にあるテレビアンテナの交換、4K8K対応を含むBS/CSアンテナの追加設置と、それに伴うアンテナ配線や機器の交換、整備などをお求めの際には、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)か、メールフォーム、LINEアカウントまで、お気軽にご相談ください。