新築戸建て住宅への地デジ、衛星放送テレビアンテナ設置工事費用の相場とは? 可能な工事の種類についても徹底解説(前編)

2023年03月05日

新築戸建て住宅へとお引越しされる前に行うべきテレビアンテナ設置工事で、ご視聴になる地デジやBS放送、CS放送の衛星放送などテレビ放送に合わせたアンテナ工事の種類。必要なアンテナ機種や設置方法の選び方。またお引っ越し前に行うべきアンテナ工事のお見積もりや各種お手続き、工事費用の総額の目安などを本記事で解説いたします。

 

新築戸建て住宅のマイホームを建てられた際には、お引越しされる前に、快適な新生活のために行っておくべき、さまざまな工事や手続きがございます。そのひとつが、テレビアンテナ工事になります。

現在では地デジ(地上波デジタル放送)、衛星放送(BS放送、CS放送)の各チャンネルをご覧になるにも、新居へのアンテナ取り付け工事以外に、ケーブルテレビ(CATV)、光回線の開設による光テレビといった方法もございます。

ただこれらの方法でテレビを視聴するためには、いずれにせよ初期工事が必要となるため、新居へとお引越しする前に、テレビをご視聴になるための工事を完成させておく必要がございます。

 

当コラムでは、新築戸建て住宅で、テレビ放送を視聴するための準備を考えておられるお客様のために、テレビアンテナ設置工事をはじめ、ケーブルテレビ、光テレビなどテレビ放送の視聴方法を選ぶポイントから、新築物件でアンテナ本体の設置以外に必要となる配線の基本、そして各種機器の設置工事とそれらの費用など、新築住宅で必要となる基本的なアンテナ本体および配線工事について、2023年(令和5年)度の最新情報に基づいてご解説いたします。

なお「新築戸建て住宅へのテレビアンテナ工事」については、必要な事項をすべてご説明すると、情報量が非常に多くなります。

そのため、情報ごとにコラム記事を「前編」「中編」「後編」の3本の姉妹記事に分割してご説明いたします。

当コラムは前編にあたり、初期段階となる、新築住宅でテレビ放送を視聴できる方法と、それらを選択するポイント。そして新築住宅へのアンテナ設置工事で必要となる、基本的な配線や機器などの工事についてご説明いたします。

以下、姉妹記事の中編では、アンテナ取り付け工事に用いる地デジ、衛星放送用BS/CSアンテナ本体の性能や、各アンテナの機種、モデルなど。後編では新築住宅で各種アンテナを設置できる場所や、その特徴についてご説明いたします。

新築戸建て住宅に設置する地デジ、BS/CSテレビアンテナの性能や機種の選び方は? 工事の費用相場も業者別に解説(中編)

新築戸建て住宅への地デジ、衛星放送用テレビアンテナ設置工事でアンテナ取り付けが可能な住宅の位置を全解説!(後編)

これら姉妹記事を一通りお読みいただくことで、新築戸建て住宅へのテレビアンテナ設置について、基礎知識やご判断されるべきポイントについて、ご理解いただけることと存します。

アンテナ工事が実質0円!

ご新居において地デジ、衛星放送のテレビ放送を視聴する方法は?

ご新居にて地デジ、衛星放送などのテレビ放送をご視聴になるためには、まずお引越しの前に、テレビをご視聴になる方法を決めて、工事などの準備を整えておく必要がございます。2023年現在では、テレビ放送を視聴する方法も、従来の地デジ、BS/CSのアンテナを設置して電波を受信する他にも、「ケーブルテレビ」「光テレビ」をご利用になる方法が普及しております。

以下、それぞれの方法の仕組みや特徴、メリット、デメリットをご説明いたします。

 

テレビアンテナ設置

ご自宅に地デジ、衛星放送(BS放送、CS放送)のアンテナを設置することは、2023年現在でも、もっとも一般的なテレビ放送の視聴方法だといえます。新築戸建て住宅の場合には、まず地デジアンテナの取り付けを基本として、衛星放送もご覧になる場合には、BS/CSアンテナも追加設置することになります。

したがって設置するアンテナは基本的に一基か二基ですが、現場で視聴できる地方チャンネルの電波の方向が大きく異なり、一台の地デジアンテナではNHK、広域民放とまとめて受信できない場合や、人工衛星が異なるCS放送の別サービスを利用する場合には、さらに別個の専用アンテナも必要となります。

テレビアンテナによりテレビ放送を視聴する最大のメリットは、地デジ放送やBS放送の無料チャンネルであれば、一度アンテナさえ設置すれば、アンテナの故障や寿命などが発生しない限り、ほぼ永続的に無料で視聴できるという点です。

デメリットは、現場の電波状態や環境によっては、設置できるテレビアンテナの種類が限られ、受信が安定しないケースもあること。台風が多い地域や豪雪地帯、海沿いの地域などでは、自然環境によるアンテナの経年劣化やトラブルが生じやすく、メンテナンスや修理のコストがかさむこと。またアンテナの機種によっては、住宅の外観に影響を与え、設置工事で壁などに穴を開ける場合もあることなどです。

そして新築物件の場合は、住宅内にアンテナ配線などもまったく設置されていないため、アンテナ本体だけでなく、アンテナ配線およびブースター、分配器などの機器の設置も必要となり、初期費用がやや高額になることもデメリットだと言えます。

アンテナ本体の設置費用は、設置アンテナの機種やモデル、設置位置によっても異なってまいりますし、配線部の工事費用も、ブースターの種類(地デジ用とBS/CS対応型)や分配器の分配数などによって変わってまいります。

ただ配線工事や、アンテナ、各種機器の本体価格を含めて、新築戸建て住宅にアンテナ設置工事を行うおおまかな費用の目安としては、地デジアンテナのみの場合は、機種にもよりますがおおむね40,000円から70,000円程度。BS/CSアンテナもセットで設置する場合は、60,000円から100,000円強になってまいります。

 

ケーブルテレビ(CATV)

ケーブルテレビとは、日本各地のエリアにあるケーブルテレビ会社や営業所などのケーブルテレビ局に設置された、大型の地デジ、BS/CSアンテナから、契約した世帯まで、ケーブルを直接、敷設して、テレビ電波を送信するという仕組みのサービスです。

基本的には、主に地デジ電波が届きにくい「難視聴地域」向けのサービスであり、各ケーブルテレビ会社や営業所ごとに、各都道府県内の複数の市町村をまとめたエリアなど、比較的、狭い範囲をカバーするサービスになります。

ケーブルテレビで視聴できるテレビのチャンネルは、そのエリアで受信できる地方チャンネルを含めた地デジおよびBS放送、CS放送のチャンネルですが、他に各ケーブルテレビ局オリジナルで地域情報などを発信する「コミュニティチャンネル」が用意されている場合もございます。また現在ではほとんどのケーブルテレビ局が、衛星放送の「新4K8K衛星放送」に該当する4K8K放送にも対応しております。

ケーブルテレビのメリットは、住宅にテレビアンテナを設置しなくとも、安定したテレビ放送の視聴が可能となる点です。そのため住宅の外観や外装などに影響を与えない他、周辺のテレビ電波状態や環境などにも左右されないため、特に地デジ電波が弱いエリアや、気候などが厳しいエリアでは重宝するサービスと言えます。

デメリットとしては、ケーブルをご自宅に敷設する初期工事およびその費用。さらに毎月の視聴料金が必要となる点です。またケーブルテレビ会社によっては、BS放送、CS放送の一部チャンネルに対応していないこともございます。

ただケーブルテレビ会社では、難視聴地域以外の市街地などでも、ケーブルテレビ放送の他、インターネットや固定電話の回線、格安スマートフォン、電気、保険などの各種サービスをセットで提供していることもあり、これらをまとめてご利用になることにより、ケーブルテレビの視聴料金を含めても、総額料金が割安になるケースもございます。

ケーブルテレビをご契約される場合の初期工事費は、おおよそ20,000円から30,000円です。ただケーブルテレビ会社によっては「2年契約」などの条件が課されることで、初期費用が無料となるケースもございます。ただこのような場合、契約期間外に解約すると違約金などが発生することもございますので注意が必要です。

そして月額料金は、やはりケーブルテレビ業者やご視聴プラン(チャンネル数)。その他のサービスにも加入するかなどで異なってまいりますが、ケーブルテレビご利用のみの場合は、おおむね3,000円から6,000円程度のことが多くなります。

 

光テレビ

光テレビとは、インターネット回線などに使われる「光回線」の光ファイバーケーブルを通して、地デジやBS放送、CS放送などのテレビ信号を送信し、各テレビ放送を視聴できるサービスです。

光テレビの仕組みは、サービスを提供する会社により違いはございますが、主に各社が提供する光回線をご自宅に解説し、ご自宅に「ONU」と呼ばれる回線終端装置を設置する。または光回線に専用モデムやチューナーを接続し、さらにご自宅のテレビなどと接続することでご視聴になれます。

光テレビでも、地デジおよびBS放送、CS放送、4K8Kチャンネルの大半を視聴できます。またサービスによっては、個々の作品をレンタルする形で映画などを視聴できる「ペイ・パー・ビュー」サービスなどもございます。

光テレビのメリットは、インターネットの光回線を開設される住宅であれば、合わせて簡単に設置できる点。またケーブルテレビと同じくアンテナを設置する必要がないため、住宅の外観や外装に影響を与えず、周辺環境や電波状態にも関係なく、安定した各テレビ放送の視聴が可能になる点です。

デメリットは、やはり初期費用に加え、毎月の視聴料金が必要となる点です。また光テレビのサービスによっては、やはりBS放送、CS放送の一部チャンネルに対応していないケースもございます。ただケーブルテレビと同じく、光回線の事業者が提供するインターネットプロバイダやスマートフォンなどの各種サービスとセットにすることで、総額では割安になることもございます。

光テレビに必要となる費用は、初期工事費として、光回線を開設するために20,000円から40,000円程度が必要となりますが、ご自宅にインターネット回線が必要であれば、いずれにせよ光回線の開設が必要となります。また光回線も事業者によっては、やはり「2年契約」などの契約により工事費が無料になる、キャッシュバックなどによって工事費が実質無料となるなどのケースもございます。

月額料金は、チューナーなど機器のレンタル費用(購入される場合は初期費用のみで不要)と、チャンネルの視聴料金になります。毎月の総額料金はやはりチャンネル数などのプランによって変わりますが、おおむね光回線の料金に加えて2,000円から4,000円程度です。ただこれらの月額料金も、キャンペーンなどを利用することで一定期間、割引になる場合もございます。

 

「テレビアンテナ設置」と「ケーブルテレビ」「光テレビ」のうち、テレビ視聴方法ではどれがおすすめ?

これら三通りのテレビ視聴方法の中では、基本的にこの先、長くお住まいになる新築の戸建て住宅であれば、テレビアンテナの設置が適しているといえます。テレビアンテナの設置は、初期費用は必要ですが、その後、何十年にわたって、地デジ放送やBS放送の無料チャンネルであれば視聴料金は無用で視聴し続けることができるため、長い目で見ればお得と言えます。

ただ地デジの電波状態が悪く、安定した受信が難しい。また豪雪地帯などでアンテナトラブルが生じやすいという場所であれば、電波状態に関係なく安定して視聴でき、アンテナの修理、メンテナンス費用なども必要ない、光テレビ、ケーブルテレビがおすすめとも言えます。

前述のようにケーブルテレビ、光テレビとも各種サービスとセットにすることで、総額では割安になるケースもある他、インターネットの光回線を開設される住宅では、多少の初期費用、月額費用で光テレビもご視聴になれます。

総じて、受信環境や周辺の気候などに問題がない多くのご新居では、テレビアンテナの設置がもっともリーズナブルといえます。

ただ受信環境や気候に問題のあるエリアをはじめ、テレビのご視聴以外にも各種サービスをご利用になる。また新築戸建て住宅では考えにくいことですが、長年にわたって住み続ける予定がない。その他、アンテナ設置を避けたい理由がある場合など、さまざまな条件によっては、ケーブルテレビ、光テレビのほうが適していることもございます。

まずはご新居で必要となるテレビ以外の各種サービスとその総額を計算して、ケーブルテレビ、光テレビとセットで利用する場合の費用と比較される。そして現場の電波状態や周辺環境から必要となるアンテナ工事の費用や内容、その他、お住まいの条件を考慮して、視聴できるチャンネルや費用、安定した視聴が可能かなど、総合的にもっともお得になる方法を検討されることがおすすめといえます。

なおテレビアンテナとケーブルテレビ、光テレビおよび、それらの比較については、以下の各コラム記事がご参考になります、

テレビ放送の視聴方法3選・徹底比較!(テレビアンテナ・光テレビ・ケーブルテレビ(CATV)

テレビを視聴する方法「テレビアンテナ」「光テレビ」「ケーブルテレビ」はどう違うの?

 

新築住宅にテレビアンテナを設置する場合に必要な機器と工事

以下は、新築物件にテレビアンテナを設置する場合についてのご説明となります。

新築戸建て住宅では、ハウスメーカーのオプションにテレビアンテナ工事がついている場合などを除き、基本的にアンテナ本体や配線などは設置されていません。屋外から屋内への配線の引き込み線(引き込み口)および各部屋のアンテナコンセントのみになります。

そのため、ハウスメーカーからオーナー様へのお引き渡し後の、オーナー様の側で、まずテレビ放送の視聴方法(テレビアンテナ、ケーブルテレビ、光テレビ)を決め、引っ越し前に各種工事をすませておく必要がございます。

特にアンテナ工事の場合は、屋外にテレビアンテナを設置し、アンテナから屋内、そして各部屋のアンテナコンセントやテレビなどの受信機器まで、各種の機器を経由した配線工事が必要となります。

ここでは、一般的な新築物件でテレビアンテナを設置し、複数の部屋でテレビを視聴する場合に、必要となるアンテナ取り付け、および配線や各種機器の工事について、その内容や一般的な費用などを解説してまいります。

 

地デジ、BS/CSのテレビアンテナ

まずは設置するテレビアンテナ本体です。前述の通り、戸建住宅へのアンテナ設置工事では、基本的に、現場の地デジ電波状態などの条件やお客様のご要望を元に、地デジアンテナの機種やモデル、設置位置を選択します。その上で衛星放送用のBS/110度CSアンテナを設置する場合も、適切なモデルを選択して、地デジアンテナの近くに設置します。

なお戸建て住宅に設置される地デジアンテナ機種は、主に「八木式アンテナ」とその高性能機種(パラスタックアンテナ)。そして「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」の三種類になります。

衛星放送用のアンテナは、基本的に皿状の円盤のような形状を持つパラボラアンテナの、BS/CSアンテナ一種類のみですが、パラボラアンテナにもいくつかのバリエーションは存在します。

また通常、NHK、広域民放と、一部の都府県にのみ存在する独立放送局の地方チャンネルは、すべて同じ地デジアンテナで受信可能です。ただ現場によっては、NHK、広域民放の電波を発信する電波塔と、地方チャンネルを発信する電波塔の位置がほぼ正反対であるなど、大きく異なる場合もございます。

そして地デジアンテナには指向性(特定の方向(角度)のみで受信性能が高まる性質)があるため、このような現場では一基の地デジアンテナですべての電波を受信することが難しくなり、地方チャンネルを受信なさりたい場合には、NHK、広域民放用のメインの地デジアンテナとは別に、もう一基、別個に地方チャンネル専用アンテナを設置する必要がございます。

なおアンテナ工事の専門業者などでは、これらの各種アンテナの設置工費について「基本設置工事費用」などという価格表記を行っておりますが、これは各アンテナ一基のみを取り付け、その配線を直接、テレビなど受信機器に接続する最小限の工事を指します。

したがって新築戸建て住宅に地デジアンテナとBS/CSアンテナの双方を設置する。また設置したアンテナから住宅内にある多数のアンテナコンセント(テレビなどの受信機器)に配線するといった工事を行うには、後述する各種機器の設置工事が必要となります。

これら地デジ、BS/CSアンテナの各機種やモデル、それぞれの設置費用などについては、詳しくは本コラムの姉妹記事にあたる中編で、設置できる位置については後編でご説明いたします。

新築戸建て住宅でのアンテナ設置工事に使用される各種アンテナ機種については、以下の各コラム記事でも詳細を解説しております。

地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?

高利得、高性能な地デジ用パラスタックアンテナ徹底解説

地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!

地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!

台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?

BS/CSアンテナ(衛星放送用アンテナ)の基礎知識

 

混合器

混合器(こんごうき)は、地デジアンテナとBS/CSアンテナ、また地方チャンネル用の地デジアンテナなど、一見の戸建住宅に二基以上のテレビアンテナを設置する場合に、各アンテナから延びる複数のアンテナケーブルを一本にまとめる装置のことです。ケーブルを伝わる複数のアンテナからのテレビ電波を混合することから「アンテナミキサー」とも呼ばれます。

二基以上のアンテナからのケーブルを別々のまま配線すると、ケーブルの長さもアンテナの基数に応じて倍増する他、機器なども別個に必要となるため工事費用がかさむ上、配線の複雑化によりトラブルが発生する危険性も高くなってまいります。

そこで地デジとBS/CSなど複数のアンテナからのケーブルを、混合器に接続して一本のケーブルにまとめ、以降の配線をシンプルにするのです。これにより必要なケーブルの長さや機器などが必要最小限になり、トラブルの危険性も軽減できます。

混合器の設置工事は、本体価格込みで15,000円から20,000円程度になります。ただ地デジアンテナとBS/CSアンテナの二基を設置し、後述するUHF・BS・CS混合ブースターを使用する場合は、混合器の設置は不要となります。

混合器および、対になる機器で後述する分波器については、以下のコラム記事でも詳細を解説しております。

地デジ用と衛星放送用、両方のテレビアンテナ設置で工事コスト軽減のため必要な機器、混合器、分波器とは何なのか?

 

ブースター

ブースター(増幅器)とは、アンテナブースター、テレビブースター、受信ブースターとも呼ばれる機器で、アンテナが受信したテレビ電波を、各住宅で必要なレベルの強度に増幅する装置です。

地デジ電波の場合は、各地域に設置された電波塔からの距離や地形などの影響により、各地域で受信できる地デジ電波レベル(強度)が変わってまいります。このエリアごとの電波レベルの違いで、受信できる電波レベルが80㏈以上のエリアは「強電界地域」。80㏈から60㏈のエリアが「中電界地域」。60㏈以下のエリアは「弱電界地域」に分類されます。

このように特に受信できる電波レベルが低いエリアでは、アンテナが受信した電波を増幅するブースターが必要となります。また住宅内で複数台のテレビなど受信機器を視聴する場合には、アンテナが受信した電波レベルを分配することになるため、現場の電波レベルに関係なく、住宅内に3台以上のテレビを設置する場合には、やはりブースターが必要です。したがって現在では実質的に、戸建住宅のアンテナ設置にブースターはほぼ必須の機器となっております。

基本的にアンテナ設置工事の際に使用されるブースターは、電波の増幅性能が高い屋外用が使用されます。ブースターには電波に混入するノイズも増幅する性質があるため、可能な限りノイズを軽減できるよう、屋外用ブースターはアンテナの真下など近い位置に設置されます。そのため屋外用ブースターは防水加工などがなされた頑丈な構造が多く、設置にはアンテナ工事のプロによる判断が必要となります。

他にもブースターには電波の増幅性能はやや低いものの、設置が簡単になる室内用ブースター。メインブースターの補助となる小型のラインブースターなどが存在し、どれも電波を増幅する電子機器であるため、電源部が必要となります。

またテレビなどの受信機器に届いた時点での地デジ電波レベルが90㏈以上と強すぎる場合や、同じ地デジ電波でもNHK、広域民放と地方チャンネルの電波レベルに差がありすぎる場合には、やはりテレビ映像に乱れが生じることがございます。その場合には、電波を適切なレベルに減衰させる「アッテネーター(減衰器)」を設置することで電波レベルを調整します。

またブースターが対応できるテレビ電波によって、地デジ用の「UHF帯ブースター」。そして地デジと衛星放送の双方に対応でき、前述した混合器の役割も兼ね備える「UHF・BS・CS混合ブースター」、さらにその4K8K対応型もございます。

なお一般的なブースターの設置工事費(本体価格込み)は、UHF帯ブースターで20,000円から25,000円。UHF・BS・CS混合ブースターで25,000円から30,000円程度になります。

ブースターに関しては、以下の各コラム記事でも詳細を解説しております。

テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・前編(基礎知識編)

テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)

テレビ放送の映りが悪い際にアンテナブースターの交換は必要?

 

分配器

分配器(ぶんぱいき)は、アンテナやブースターから延びる一本のアンテナケーブルを入力端子に接続し、複数の出力端子から延びるケーブルへと、電波を均等に分配し、屋内の各部屋にあるアンテナコンセントに送信する機器です。

分配器には「2分配器」から「8分配器」まで、7分配を除く6種類が存在し、分配数ごとに価格が上昇します。また戸建て住宅に設置する場合は、必要な分配数に、予備の一端子を加えたものが使用されます。

分配器の特性は、入力された電波レベルが、分配数で割られる形になって等分に分配されるという点です。例えば160㏈のテレビ電波を4分配器で4等分した場合は、4本の出力先の個々のケーブルでは、電波レベルが約40㏈になります。実際には、電波が分配器や接続端子を通ることで、わずかながら電波が減衰(弱まり)します。

また分配器の性能を示す数値には「端子間阻止量(端子間結合損失)」がございます。これは電波を出力するケーブルから出力端子へ電波が逆流することと、逆流した電波が他の出力端子に影響することを抑える性能を示すもので、数値が大きいほど、信号の逆流やその影響を抑える性能が高く、性能が高いといえます。

また分配器の種類には「一端子電流通過(通電)型」と「全端子電流通過(通電)型」がございます。これは電源が必要となるBS/CSアンテナのコンバーターに給電する方法で使い分けるものです。給電方法はブースターの電源部か、ケーブルに接続された末端のテレビ、レコーダーのチューナー端子から、アンテナケーブルを通じて行われます。

分配器の一端子電流通過型は、複数ある出力端子の中で、一端子のみ通電するもの。全端子電流通過型は、すべての出力端子が通電するものです。かつては一端子電流通過型の分配器により、住宅内にある特定のテレビなど受信機器から、BS/CSアンテナ側へと常に給電する形式が主流でした。そのため給電する受信機器の電源が入っていないと、BS/CSアンテナが作動しないため、他のテレビなど機器にも衛星放送の電波が届かなくなります。

しかし近年では省エネのため、全端子電流通過型の分配器を使用し、各部屋で個々のテレビやレコーダーの電源を入れた際のみ、BS/CSアンテナに給電され、衛星放送の電波が届く形式が主になっております。ただ価格面では一端子電流通過型のほうが廉価なため、ブースターから給電する場合や、住宅内でも特定の一台のテレビなど受信機器だけで衛星放送を視聴する場合では、現在でも一端子電流通過型の分配器を設置することがございます。

ちなみに分配器を使用する電波の分配方式を、分配器から延びるケーブルが星の形に見えることから「スター配線」方式と呼びます。この方式では、各アンテナコンセントへと等分に電波を送ることができ、電波レベルの低下が少ないことがメリットであり、現在では主流の分配方式になっております。

ただ住宅によっては、分配器を使用しない「送り配線」方式の分配法が採用されることもございます、この方式ではアンテナからのケーブルを、一番近い部屋のアンテナコンセントに接続した後、そのコンセントからさらに次の部屋のアンテナコンセントへケーブルを伸ばすという形で、各部屋へと順番にテレビ電波を送ってゆきます。

この送り配線方式は、分配器を使用しない他、ケーブルの長さも最小限で済むため、工事のコストが抑えられることから、一昔前までは主流の分配方法でした。しかし一方で、ケーブルの先に行くほど電波レベルが低下しやすく、特に高周波数帯の電波で減衰しやすい新4K8K衛星放送には向かない。また配線の一か所に問題が生じると、その先のすべてのテレビ機器でテレビ放送を視聴できなくなるなどのデメリットから、最近では採用される例が少なくなっております。

ただ設置されるアンテナコンセントの数が少ない住宅などでは、現在でもときおり採用されることもございます。

分配器の本体価格を含めた設置工事の費用は、分配数や電流の通過型、また住宅の加工工事が必要かどうかなどによっても変わってまいりますが、おおむね5,000円から30,000円程度になります。

分配器、および分波器、混合器についての詳細は、以下の各コラム記事にも詳しい解説がございます。

ご自宅のすべてのテレビに電波を送る「分配器」とは? その種類と選び方を徹底解説!

アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い

「分配器」の設置・交換方法と注意点

 

分波器

これは混合器によって地デジ、衛星放送の電波を一本のケーブルへとまとめている場合に、各部屋のアンテナコンセント部、またはテレビ、レコーダーなど受信機器の前で、再度、それぞれの電波を2本のケーブルに分離するものです。この機器を通して分けた地デジ、衛星放送の電波を、テレビなど機器側の地デジ、BS/CSチューナーにそれぞれ接続することで、双方の放送を視聴できます。

形状は2分配型の分配器に似ておりますが、アンテナケーブルが一体化したものもございます。また当然ながら地デジアンテナのみを設置する住宅では、分波器を設置する必要はございません。

本体価格含む分波器の設置費用は、設置数にもよりますが、800円から3,500円程度になります。

 

アンテナケーブル(同軸ケーブル)

ここまでの機器同士を接続して、テレビアンテナからテレビなど受信機器までの接続するアンテナケーブルには「同軸ケーブル」というものが使われており、このケーブルにも太さや素材、内部シールドの品質などの種類がございます。

そしてこのアンテナケーブルにも品質により、地デジのみ対応やBS/CS放送、4K8K対応などの種類がございます。テレビアンテナから各部屋のアンテナコンセントまでの配線については、アンテナ工事業者が最適な強度と性能のものを選択いたします。

ただアンテナコンセントから各テレビまでを接続するケーブルには、送信する放送に適合しつつ、適切な長さと取り回しのしやすい太さのものを選択する必要がございます。基本的にケーブルが細いほど曲げるなどの取り扱いがしやすくなりますが、一方で断線が起こりやすく、また送信される電波が減衰しやすくもなりますので注意が必要です。

なお各アンテナケーブルの性能は、製品パッケージなどの他に、ケーブル本体に印字された記号によっても判別することができます。

アンテナケーブルの設置費用は、一般的なアンテナ設置工事に必要な一定の長さであれば、アンテナ工事の基本設置費用に含まれることが多くなります。ただ住宅の形状などでそれ以上の長さが必要となる場合には、追加費用が発生してまいります。

アンテナケーブルの性能や特性などについては、以下の各コラム記事でも詳細を解説しております。

テレビ放送や機器に合わせたアンテナケーブル(同軸ケーブル)の種類と選び方、徹底解説!

アンテナとテレビを結ぶアンテナケーブル、その種類と性能を徹底解説!

 

まとめ

新築戸建て住宅で、地デジ、衛星放送(BS放送、CS放送、新4K8K衛星放送)のテレビ放送を視聴する方法を選択するポイント。そして各種テレビアンテナを設置する場合に、アンテナ配線を含めて必要となる機器、工事については以上の通りです。

冒頭でもご説明いたしましたが、設置するテレビアンテナの性能や各種アンテナごとのモデルなどについては、本コラム(前編)の姉妹記事に当たる、以下の「中編」を。戸建住宅でアンテナを設置できる場所については「後編」をご確認ください。

新築戸建て住宅に設置する地デジ、BS/CSテレビアンテナの性能や機種の選び方は? 工事の費用相場も業者別に解説(中編)

新築戸建て住宅への地デジ、衛星放送用テレビアンテナ設置工事でアンテナ取り付けが可能な住宅の位置を全解説!(後編)

新築戸建てのご新居を建てられた方で、テレビを視聴する方法について迷っておられる方。または新居に最適なテレビアンテナの設置方法がわからないという方がおられましたら、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)かメールフォームLINEアカウントまで、お気軽にご相談くださいませ。

当あさひアンテナでは、アンテナ設置にこだわらず、ご新居やお客様のご要望に最適となるテレビのご視聴方法をご提案いたします。

その上でテレビアンテナ設置をお選びになった場合には、完全無料の綿密な電波調査とお見積もりにより、現場の条件で可能な限り、お客様のご要望に沿うアンテナ工事を、業界最安に挑む価格でご提案いたします。

実際のアンテナ工事については、地デジアンテナ、BS/CSアンテナ、また各種機器のすべてについて、国産一流メーカー製の最新高性能モデルをご用意し、大量仕入れによるスケールメリットを生かした、機器の本体価格を含む低価格の工事費用でご提供いたします。

また業界最長クラスとなる、工事完了後から「10年間」の長期保証もご用意しており、アンテナ設置後も、万が一のトラブルに対してご安心をお約束いたします。この長期保証は、弊社のアンテナ施工技術に対する自信の証とも申せます。

ご新居におけるテレビ放送の視聴方法、またアンテナ工事に関するご相談は、まずは当あさひアンテナにお寄せいただければ幸いに存じます。

トップページに戻る

無料見積もり

無料見積もり


LINE見積もりバナー

LINE見積もりバナー


フリーダイヤルバナー

フリーダイヤルバナー


アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 20,000円(税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。