BS/CSアンテナ(衛星放送用)を室内に設置する方法
##BS/CSアンテナ(衛星放送用)を室内に設置する方法
皆様は、テレビアンテナに室内用のものがあることをご存じでしょうか?
インターネットの各種ショップなどにて「室内アンテナ」で検索すると、さまざまな形状の小型アンテナがヒットします。
当コラムでは室内アンテナについて、以下のコラムで詳しくご説明しておりますが、
基本的に市販の「室内アンテナ」は、テレビなどの機器に直接、接続して、室内でテレビ電波が届く方向の窓際などに設置するもので、設置が非常に簡単、価格も1,000円台から、ブースター内蔵などの高性能機種でも10,000円程度と、非常にリーズナブルです。
一方で、機種により強電界地域から中電界地域と、電波の強い地域でしか使えない。自宅の建材や屋根材、窓ガラスの素材、窓の方向や現場の気候など、使用できる条件が厳しい。そして何より「地デジ」用しか存在しないなど、制約も多くなっております。
ここでおさらいしておくと、2023年(令和5年)現在、日本のテレビ放送は「地デジ」「衛星放送」の2種類です。
地デジ(地上デジタル放送)はご存じの通り、日本各地の設置された中継局(電波塔)から電波を送信するテレビ放送で、日本でも大半の地域にてNHKや広域民放、また都府県によってはその地域の地方チャンネルをご視聴いただけます。
地デジ放送は、ケーブルテレビ(CATV)や光テレビなどを除けば、基本的には住宅に「八木式アンテナ」「デザインアンテナ」「ユニコーンアンテナ」などの地デジアンテナ取り付けにより、無料でご視聴いただけます。
そして衛星放送は、いわゆる「BS/CS放送」です。宇宙空間に位置する人工衛星からテレビ電波を受信するテレビ放送であり、BS/CSアンテナの設置により受信できます。衛星放送の種類には、地上波と同じくNHK、広域民放による無料チャンネルの他、月額契約でご視聴いただける有料チャンネルが存在する「BS放送」。そして大半が有料チャンネルながら、さまざまなジャンルの多チャンネルで知られる「スカパー!」こと「CS放送」がございます。
BS/CSアンテナは基本的にパラボラアンテナ一種類のみであり、形状もやや大きいことから、室内設置は難しいように思えます。
ただ、やはりインターネットで検索すると、BS/CSアンテナの「室内設置セット」がヒットすることもございます。
実はBS/CSアンテナも、室内への設置は不可能ではございません。ただ地デジの室内アンテナと同じく、BS/CSアンテナを室内に設置するには多くの制約が存在し、どのようなお住まいでも必ず可能とは申せないのも事実です。
当コラムでは、BS/CSアンテナを室内設置する方法、そのメリットや、室内設置が可能な条件について、徹底的にご説明いたします。
お読みいただくことで、ご自宅でBS/CSアンテナを室内に設置できるか、また設置の方法についてご理解いただけると思います。BS/CSアンテナの室内設置は比較的、簡単な作業であり、DIYによる設置も不可能ではございません。現在、BS/CSアンテナが設置されていないご自宅で、もし条件に適合するようであれば、室内設置をお考えになるのもひとつの選択肢と申せます。
衛星放送用BS/CSアンテナの種類
まずはBS/CSアンテナの種類についてご説明してゆきます。前述のようにBS/CSアンテナ自体は、パラボラアンテナの一種類のみです。
パラボラアンテナとは、やや縦長の楕円形になる皿のような形の、文字通り「ディッシュ(dish)」部分を本体に、ディッシュの下部からその中央近くまでにコンバーターアーム(支柱)が伸びたものです。アームの先には、電波を集める「一次放射器」と、電波の周波数を変換する「コンバーター」が装着されています。
パラボラアンテナは、まずこのディッシュを電波の方向に向けます。ディッシュの内側は放物面を描いており、反射した電波は中央のコンバーター部分に集中します。そのためディッシュは「反射器」とも呼ばれ、「パラボラアンテナ」の名称も、英語で「放物線」を意味する「パラボラ(parabolic)」に由来します。また別名「ディッシュアンテナ」とも呼ばれます。
パラボラアンテナの特性は、その構造による受信性能の高さになります。一方で受信性能の高いアンテナは、一定方向の電波のみに高い受信感度を示す「指向性」も高くなる性質がございます。
そのためBS/CSアンテナは、BS/CS放送それぞれの人工衛星が位置する「東経110度」へと正確に向ける方向がございます。この角度がミリ単位でズレても、受信感度が大きく低下するという特徴もございます。
BS/CSアンテナ本体は、どれも基本的な形状、構造は同じパラボラアンテナです。そのため同じサイズのアンテナであれば、どのメーカーのものであっても、基本的な受信性能などに大きな違いはございません。
BS/CSアンテナのバリエーションとして、本体色は基本的に白が中心です。これは主に屋外に設置されて太陽光を受け続けるため、その影響によるディッシュの歪みや各部の劣化などを避けるためです。ただ近年では太陽光に影響されにくい塗料を用いた、黒をはじめさまざまな本体色のBS/CSアンテナも存在します。
また台風などが多く、BS/CSアンテナのトラブルが生じやすいエリア向けに、ディッシュ部分をメッシュ仕様やパンチングホール(無数の小さな穴があいている)仕様で風を通しやすくした他、マストやマスト押さえ金具、コンバーターアームなどの強化により高い耐風性能を実現したモデルも存在します。
BS/CSアンテナの大きさ
BS/CSアンテナは、ディッシュの大きさに複数の種類が存在します。主にディッシュの直径(センチ)を示す数値で「45型」「50型」「60型」「75型」「90型」「120型」などがあります。
BS/CSアンテナはディッシュで電波を受け止めるため、ディッシュが大型になるほど受信感度が高くなります。一般のご家庭用モデルは、ほとんどが45型です。45型も十分な受信性能をもち、サイズ的にも扱いやすいのがメリットです。
ただ一方で45型のBS/CSアンテナでは、豪雨や降雪などの際に受信感度が低下し、BS/CS放送の画面の乱れや、受信不能の事態が生じることもございます。これは雨や雪により、衛星放送の電波が乱反射を起こすためです。
50型、60型のBS/CSアンテナは、日本国内でも中央部に比べ、BS/CSの電波がやや弱くなる北海道や東北、九州や沖縄などの南北の両端部や離島部でも安定した受信を実現するため。また高品質かつ悪天候の中でも安定した受信をお求めの方に利用されます。
半面、ディッシュの大きさは、風雨などに影響されやすくなる面もございますので、注意が必要です。
なお75型以上のBS/CSアンテナは、マンションなど集合住宅で用いられる共同受信用の機種です。価格も10万円前後からそれ以上になってくるため、一般のご家庭ではまず使用されません。
受信できる放送の違いによるBS/CSアンテナの種類
現在の主な衛星放送は、それぞれ東経110度の位置に浮遊する、放送衛星を用いた「BS放送」と、通信衛星を用いた「CS放送(スカパー!)」の二種類になります。
ただ近年ではBS/CS放送の一環に「新4K8K衛星放送」のチャンネルが追加された他、CS放送には「スカパー!」の他に「スカパー!プレミアムサービス」が存在し、このサービスの受信には、通常のBS/CSアンテナと異なる専用のパラボラアンテナが必要となります。
以下、現在、使用されるBS/CSアンテナの種類ごとに、対応する衛星放送についてご説明いたします。ご自宅でご覧になりたいチャンネルを確認し、対応するBS/CSアンテナ機種をお選びになる必要がございます。
「2K対応BS/CSアンテナ」が受信できるのは「従来のBS/CS放送」のみ
2018年(平成30年)より前に設置されたBS/CSアンテナの多くは「2K対応BS/CSアンテナ」です。
これは後述する「新4K8K衛星放送」がスタートする以前に設置されたBS/CSアンテナのことで、当然ながら4K8K放送には対応しておりません。したがってBS/CS放送でも、受信できるのは4K8Kチャンネル以外、2K(フルハイビジョン)画質やそれ以下の標準画質(SD画質)のチャンネルのみになります。
「4K8K対応BS/CSアンテナ」では「通常のBS/CS放送」と「新4K8K衛星放送」を受信可能
「新4K8K衛星放送」は、2018年よりスタートした、BS放送内でも4Kおよび8K画質に対応するチャンネルのことです。
4K8K放送の4Kとは、従来の2K放送の4倍。8Kはさらにその4倍、2Kの16倍の解像度を持つ高精細画像の他、色域や色彩、輝度の強化。動画の高速化により、映像の美しさ、動きの細やかなどがよりリアルになった映像になります。
ただ従来のBS/CS放送に新4K8K衛星放送のチャンネルを加えるにあたり、従来のBS/CS放送に使われてきた右旋円偏波(右回りの螺旋を描いて地上に届く電波)ではチャンネルの周波数が不足したため、新しく左回りの螺旋を描く「左旋円偏波」の電波が採用されました。
したがってBS/CSアンテナで新4K8K衛星放送を受信するためには、左旋円偏波に対応できる「4K8K対応BS/CSアンテナ」が必要となるのです。ただBS放送の「NHK-BS」や「BSフジ」「BS日テレ」など、NHKと各広域民放の4Kチャンネルは、従来の右旋円偏波で送信されているため「2K対応BS/CSアンテナ」でも受信できます。
しかし左旋円偏波は、アンテナで受信した後、従来の電波より周波数が高い「2.2GHz」から「3.2GHz」の信号に変換されます。そのためBS/CSアンテナからテレビ機器の間に設置される、混合器、ブースター、分配器、分波器なども「3224MHz対応型」である必要があり、対応しない場合は交換が必要となります。さらに配線のアンテナケーブルも、古くて細いタイプや、芯線が露出した施工では、外部からの電波の影響や漏洩による電波障害の恐れがあるため、交換の必要が出てまいります。
なお2022年現在、一般に販売され、アンテナ工事に使用されるBS/CSアンテナは、ほとんどが4K8K対応型になっております。
「新4K8K衛星放送」「BS/CS放送」「スカパー!プレミアムサービス」を受信するには「マルチアンテナ」が必要
前述のようにCS放送は、日本国内の地上から見て東経110度の宇宙空間に位置する通信衛星からの電波を受信しております。このサービスが「スカパー!」と呼ばれます。
ただCS放送には「スカパー!」の他に「スカパー!プレミアムサービス」というサービスが存在します。こちらは「スカパー!」の通信衛星とは別の、東経124度および128度に位置する人工衛星を用いた「124/128度CSデジタル放送」です。
そのため「スカパー!プレミアムサービス」をご視聴になるには、通常の「BS/110度CSアンテナ」ではなく、専用の「124度/128度アンテナ」と呼ばれるパラボラアンテナが必要となります。ただ現在では他にも「BS/CS(スカパー!)」「スカパー!プレミアムサービス」「新4K8K衛星放送」のすべてに対応できる110/124/128度(BS、スカパー、4K8K)全対応型「マルチアンテナ」も存在し、このアンテナを設置することで、前述のすべての放送をご視聴いただけます。
BS/CSアンテナを室内に設置する方法
ここより本題である、BS/CSアンテナを室内に設置する方法をご説明してまいります。
まず屋外、屋内を問わず、BS/CSアンテナ設置の基本事項として、東経110度(南南西方向)へと正確に向ける必要がございます。「スカパー!プレミアムサービス」対応のマルチアンテナも同じですが、同時に3つの衛星からの電波を受信するため、方向の設定にはより精度が求められます。
またBS/CSアンテナと、宇宙空間の衛星までの方向との間に、山林や高層建築などの障害物があると、衛星電波が遮断されてしまいます。そのためBS/CSアンテナ設置の際には、アンテナを向ける方向に現時点で障害物がないことはもちろん、設置後も建築物の建造や、樹木が伸びる、葉が生い茂る。また洗濯物が干されるなどで障害物が発生する可能性がないかを考慮する必要がございます。
以上の基本を踏まえ、室内にBS/CSアンテナを設置できる条件や、必要な機材、設置の手順を解説してまいります。
BS/CSアンテナを室内に設置するメリットとデメリット
BS/CSアンテナを室内に設置するメリットとデメリットは、以下の通りになります。ご自宅の室内にBS/CSアンテナ設置をお考えの場合は、この双方を勘案する必要がございます。
「BS/CSアンテナ室内設置のメリット」
アンテナ工事業者への依頼が不要で安価に設置できる
BS/CSアンテナの室内への設置は比較的、作業が簡単なため、アンテナ工事業者に依頼せずともご自宅で可能となります。したがって費用はアンテナ本体などの機材費だけになり、設置費用を軽減できます。
住宅を傷つけず外観も損ねない
BS/CSアンテナの設備が室内で完結するため、アンテナによって住宅の外観が変化いたしません。さらに壁面への設置具の固定や、アンテナケーブルを通す穴を開けるなどの必要もないため、住宅を傷つけることもございません。
風雨などによるアンテナの劣化やトラブルが生じない
屋外にBS/CSアンテナを設置した際に生じる、自然環境による影響がほとんどなくなるため、風雨などによるアンテナ角度のズレや、アンテナの老朽化、それに伴うトラブルの発生を大きく軽減できます。
マンションやアパートでも規約に関係なく設置できる
マンションなどの賃貸住宅では、規約でベランダへのBS/CSアンテナ設置などが禁止されていることもございます。しかし室内であれば、規約に抵触せず設置が可能です。
「BS/CSアンテナ室内設置のデメリット」
電波の受信感度が低くなる。
BS/CSアンテナを室内で設置するには、室内で十分なレベルのBS/CS電波を確保できる必要がございます。そのために多くの条件が生じる他、受信可能な場合でも、屋外よりは受信感度が低下するため、常に安定した受信は難しい場合もございます。
基本的に一台のテレビでしかBS/CS放送を視聴できない
BS/CSアンテナの室内設置は、受信感度がやや低下する上、基本的に一台のテレビとBS/CSアンテナを接続するだけのシンプルな工事となります。そのためBS/CS放送を視聴できるのは、アンテナを接続したテレビのみです。
室内に設置スペースが必要となる
前述のようにBS/CSアンテナは、最小でも直径45センチのパラボラアンテナです。そのため室内にアンテナ設置用のスペースが必要で、常に場所を取り続けることになります。
アンテナ角度のズレや障害物が生じやすい
BS/CSアンテナの室内設置は、スタンドに設置する形でアンテナを固定できないため、人や物がアンテナに触れることでズレの原因となります。BS/CSアンテナはわずかな角度のずれで受信感度が格段に低下する他、アンテナの前に人が立つ、窓のカーテンを閉じるなどでも、受信できる電波レベルが大きく低下します。
そもそも設置できないケースもある
BS/CSアンテナを室内に設置できる条件については後述いたしますが、他にも想定外の要因で、十分な受信感度が確保できなくなることもございます。その場合に備えて、ベランダへの設置なども想定しておく必要がございます。
BS/CSアンテナを設置できる室内の条件
BS/CSアンテナを室内設置できる条件は、おおむね以下の通りです。ただ該当する部屋でも想定外の要因により、うまく受信できなくなるケースもございますのでご注意ください。
南南西の方向に窓があり、その方向に建物や樹木などの障害物がない
BS/CSアンテナを室内に設置するには、前述のように、BS/CS放送の人工衛星が位置する南南西の方向にある程度の大きさを持つ窓があり、窓の向こうに建造物や樹木などの障害物が存在しないという条件が必須となります。
BS/CSアンテナを設置できる南西方向の窓の目安としては、午後2時から3時にかけて直射日光が室内に差し込む。より厳密には、三月の春分の日、九月の秋分の日の午後2時に日の差し込む窓になります。日が差し込むということは、電波を遮断する障害物がないという目安になります。
窓ガラスやカーテンがシンプルで電波を遮断する要素がない
南南西に位置する窓の形状やガラスの素材などでも、BS/CSアンテナを設置できる可能性が変わってまいります。
通常の一枚板の窓ガラスや薄手のレースカーテンなどであれば、BS/CS電波の減衰量が低いため、室内にBS/CSアンテナを設置しても受信できることが多くなります。
ただ窓が二重窓、窓ガラスが断熱性の高い複層ガラスや金属製の網入りガラスなどの場合は、窓そのものがBS/CSの電波を遮断してしまいます。また厚手のカーテンや特に金属製のブラインドなども、電波を遮断する要因になります。
このようにBS/CSの電波を遮断してしまう窓で、室内にBS/CSアンテナを設置する場合は、BS/CS放送をご視聴の際に窓やカーテンなどを開ける必要もございます。
窓のそばにBS/CSアンテナを設置できるスペースがある
当然のことながら、南南西を向いた窓の近くにBS/CSアンテナを設置できるスペースが必要となります。BS/CSアンテナは適切な角度で固定する必要があるため、角度調整がしやすく、窓の開閉の邪魔にならない。あまり人が近づく必要がなく、歩く際の振動などの影響も受けにくいなど、アンテナの角度が影響を受けにくい位置である必要もございます。
BS/CSアンテナの室内設置に必要な機材
BS/CSアンテナを室内に設置する際には、最低限、以下の機材が必要となります。
BS/CSアンテナ本体
BS/CSアンテナ本体は、室外型と同じものを用います。基本的には最小の「45型」を使用しますが、前述のように日本の北端や南端近くなど、BS/CSの電波が弱いエリアでは「50型」などが必要なこともございます。現在のBS/CSアンテナは基本的に4K8K対応型ですが、ご覧になりたいチャンネルによっては124/128度CS用「マルチアンテナ」を選ぶ必要もございます。
また室内設置では、室外設置用の金具は必要ございませんが、室内で受信できなかった場合に備え、付属品に設置金具があるものをお選びになるのも選択肢のひとつです。
BS/CSアンテナの本体価格は、メーカーや付属品などでも異なりますが、45型でおおむね6,000円から10,000円程度になります。
お勧めのメーカーとしては、日本三大アンテナメーカーである「マスプロ電工」さん、「DXアンテナ」さん、「日本アンテナ」さんの製品であれば、品質的にも信頼がおけます。
BS/CSアンテナ用スタンド
これはBS/CSアンテナを設置する、ポール(支柱)と土台が一体化したスタンドです。価格は5,000円程度になります。
またBS/CSアンテナ本体とスタンド。アンテナケーブルなどの付属品がセットになった「室内設置用BS/CSアンテナセット」もございます。価格はメーカーや付属品の種類などにより、12,000円から16,000円程度になります。
アンテナケーブル
BS/CSアンテナとテレビを接続する同軸ケーブルです。アンテナ本体や室内設置セットに付属する場合もございますが、特に4K8K放送をご覧になる場合は「4C(直径6ミリ)」で、4K8K対応の品質のものが必要となります。
方位磁石またはスマートフォン(専用アプリ)
BS/CSアンテナの角度調整の際に必要となります。方位磁石でなくとも、日本アンテナさんが提供するスマホアプリ「BSコンパス」を用いることで、設置現場から見たBS放送衛星の位置が簡単にわかります。機材を用意する前にまずダウンロードして、ご自宅の室内でBS/CSの電波を受信できるかを確認しておくといいでしょう。
工具(スパナ、ドライバーセットなど)
BS/CSアンテナの設置に使う工具です。スパナはアンテナ本体に付属することもございます。
BS/CSアンテナを室内に設置する手順
室内にBS/CSアンテナを設置する実際の作業は、おおむね以下の通りです。
1:スタンドとBS/CSアンテナのセットを組み立てる
まずはスタンドとBS/CSアンテナを組み立てます。スタンドは組み立て不要の完成品から、ポールと土台部の簡単な接続が必要なものもあります。アンテナ本体は、ディッシュの裏側にスパナやドライバーでコンバーターアームを固定。そしてコンバーターに同軸ケーブルを差し込み、接続部に防止キャップを設置します。
スタンドとアンテナの設置は、ネジなどで金具を固定する、アンテナを差し込むだけなどさまざまです。ただスタンドとアンテナ本体の固定については、のちに微調整が必要なため、ネジなどをゆるく締めて動かしやすい仮固定にしておきます。
2:方位磁石やアプリで的確な位置にBS/CSアンテナを設置し、角度を決める
スタンドに設置したBS/CSアンテナを、室内の窓際に配置します。このとき方位磁石や「BSコンパス」アプリ、またインターネットのエリア別、BS/CSアンテナ設置角度などを参考に、アンテナの仰角(上下角)と、方位角(左右角)を、おおよその人工衛星の方向に向けておきます。また仰角についてはアンテナの金具を仮固定しておきます。
3:アンテナとテレビの配線を行い、テレビ側で設定する
BS/CSアンテナに接続したアンテナケーブルを、テレビ側のBS/CSチューナーの端子に接続し、テレビの電源を入れます。
テレビの設定(メニュー)画面から「衛星放送」に関する項目を選び、アンテナへ電源供給するようアンテナ電源を「ON」にします。さらにアンテナレベルの確認画面を表示します。この手順はテレビのメーカーなどにより異なるため、付属のマニュアルやメーカーの公式サイトなどを確認してください。
4:テレビのアンテナレベルを確認しながらアンテナの角度を微調整する
テレビ側の「アンテナレベル画面」では、BS/CSアンテナから送られる電波レベルが、帯状のインジケーターや数値で表示されます。
アンテナの方位角、仰角について、1度ずつ調整してゆきます。アンテナの角度を調整してから、その角度の受信レベルになるまで5秒ほど時間差がありますので、1度につき5秒以上をかけて、もっとも受信レベルが高くなる角度を特定してゆきます。
最適な角度を決定したら、アンテナを固定するネジなどをしっかり締めれば、作業は完了です。
BS/CSアンテナ室内設置に関する補足
もし室内へのBS/CSアンテナ設置で十分な電波レベルを確保できない場合は「ベランダなどに設置し直す」「ブースターを設置する」という対処が考えられます。
ベランダへの設置は、アンテナをスタンドごとベランダに置く方法と、設置金具を用いて手すりなどに設置する方法がございます。なお配線については薄型の「フラットケーブル」を用意し、サッシの隙間を通して室内のテレビと接続します。
ブースターとはテレビアンテナが受信したテレビ電波を増幅する装置のことで、屋外にテレビアンテナを設置する工事ではほとんどの場合、設置されます。室内へのBS/CSアンテナ設置では、室内用ブースター、ラインブースターなど室内用の機種を、アンテナとテレビの間のアンテナケーブルに設置します。ただしBS/CSや4K8K放送など、ご視聴になる放送に対応するブースターを選ぶ必要があるのと、ブースターにも電源が必要である点にご注意ください。
BS/CSアンテナの角度調整が難しい場合は、アンテナに接続して直接、電波の受信レベルを測定できる「レベルチェッカー(電波測定器)」を利用する方法もございます。レベルチェッカーの使用によりアンテナの角度調整は簡単になりますが、設置にあたってレベルチェッカーの費用も必要となります。
ただBS/CSアンテナの室内設置は、通常の設置よりもアンテナの角度がずれる可能性が高くなります。BS/CS専用のレベルチェッカーであれば1,000円台から2,000円程度のものもございますので、角度がずれた際の再調整に備えて購入しておかれるのもいいでしょう。
またBS/CSアンテナにも数は少ないながら、地デジの箱型デザインアンテナに設置台を付けたような、アウトドアで使用できるポータブルタイプが存在し、これを室内用BS/CSアンテナに用いることも可能です。ただこのような機種は価格が50,000円前後と、通常のBS/CSアンテナよりはるかに高価という難点もございます。
BS/CSアンテナを室内に設置・まとめ
BS/CSアンテナを室内に設置できる条件、および手順については以上の通りです。
総じてBS/CSアンテナの室内設置は、ご自宅でも可能なためアンテナ工事の費用が軽減され、アンテナの経年劣化も進みにくくなる一方、設置できる条件が限られる、角度のずれが生じやすい、角度調整に手間がかかるなどの難点もございます。
当あさひアンテナでは、45型BS/CSアンテナとして「DXアンテナ社」さん製4K8K対応モデルをご用意し、本体価格と設置工費をセットにした基本工事費用「15,000円(税込み)」からでご提供しております。
またBS/CSアンテナを室内に設置なさりたいとのご希望にも、現場の条件から判断して、可能な限りご対応いたします。
室内設置をはじめ、BS/CSアンテナ設置に関するどのようなお問い合わせも、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)。またはメールフォーム、LINEアカウントまで、どうかお気軽にお寄せください。