地デジ用と衛星放送用、両方のテレビアンテナ設置で工事コスト軽減のため必要な機器、混合器、分波器とは何なのか?

2023年02月18日

2023年(令和5年)現在では、戸建て住宅などの一世帯に、二基以上のテレビアンテナが設置されることも珍しくはございません。

まず最初に考えられるのは、地デジアンテナと衛星放送用のBS/CSアンテナを設置する場合でしょう。屋根の上に一本のマスト(支柱、ポール)に、八木式アンテナなどの地デジアンテナと、パラボラアンテナであるBS/CSアンテナがまとめて設置されている光景は、さほど珍しいものではございません。

他にも現場の条件によっては、同じ地デジアンテナであっても、NHKや広域民放の各局を受信するための主なアンテナと、一部の都府県に存在し、その都府県内で受信できる地方チャンネルを受信するためのアンテナ、合わせて二基が設置されることもございます。

しかしこのように複数のアンテナを設置している現場では、個々のアンテナからケーブルが伸びるため、配線が複雑になるのではと思われる方もおいでではないでしょうか。アンテナ配線に多少の知識がある方であれば、テレビアンテナから延び、屋内のテレビやレコーダーなどの受信機器に接続されるケーブル配線の間には、ブースターや分配器などの機器が設置されることをご存じの方も多いでしょう。

地デジ用と衛星放送(BS/CS放送用)など二基以上のテレビアンテナが設置される現場では、ブースターや分配器などの機器も、アンテナの基数分だけ必要となるのでしょうか?

実は、そのような疑問を解決するアンテナ機器が、本コラムでご紹介する「混合器」と「分波器」なのです。

当コラムでは、混合器と分波器の役割から、その具体的な使い方。また分配器、混合器のさまざまなタイプ。一見、同じような機器に思える「分配器」「分岐器」との違い。その他、アンテナ配線に使われる各機器との関係などを、すべて解説してまいります。

テレビアンテナから屋内のテレビなど受信機器までを接続するアンテナ配線部の構造と、配線部に必要となる混合器、分波器などの各種機器については、以下のコラム記事で詳しくご説明しております。

・テレビの映りが悪い時に使うアンテナブースターとは? 屋外用・屋内用ブースターの違いと症状別の選び方を徹底解説!

「混合器」と「分波器」とはどのような機器か?

テレビアンテナ設置時のアンテナ配線に使用される「混合器」「分波器」とは、主に地デジアンテナと衛星放送用のBS/CSアンテナなど、ひとつの現場(住宅など)に二基以上のテレビアンテナが設置される場合に必要となる機器です。

そして混合器と分波器は、多くの場合、対になって使用される機器となります。

 

「混合器」とは何か?

混合器(こんごうき)は、主に地デジアンテナ、BS/CSアンテナを含む二基以上のアンテナから送信されるテレビ電波を、その名の通り混合する装置のことです。アンテナからの電波を混合することから「アンテナミキサー」とも呼ばれます。

地デジ、BS/CSアンテナとも、テレビアンテナは受信したテレビ電波を、ケーブルによって屋内の機器を経由し、テレビ、レコーダーなどの受信機器へと送信します。

このとき、二基のアンテナから延びるケーブルを、そのまま屋内の受信機器へと接続すると、アンテナが二基の分、ケーブルもほぼ二倍の長さが必要となります。さらにアンテナケーブルの途中に設置される機器なども、アンテナの数だけ別個に必要となります。

結果、機材や配線工事のコストがかさむだけでなく、配線も複雑となり、トラブルが発生するリスクなども高くなってしまいます。

そこで地デジとBS/CSアンテナから延びる二本のケーブルを、まず混合器に接続することで一本のケーブルにまとめ、地デジと衛星放送のケーブルを混合して送信するのです。それにより一本のケーブルで配線や機器をシンプルにし、コストを大幅に軽減する他、トラブルのリスクも抑えることができるのです。

したがって混合器は、地デジアンテナとBS/CSアンテナのすぐ近くに設置される機器になります、その形状は、基本的に地デジ、BS/CSのケーブルを接続する2個の入力端子と、双方の電波をまとめて、一本のケーブルで送信するための、1個の出力端子がついているだけの、コンパクトでシンプルなものとなります。ただ、基本的には屋外に設置されるものであるため、雨などの対策にカバーなどを設置して防水性を高めたもの。ノイズをカットする機能やLEDで通電状態がわかるもの。後述する「ブースター」という機器と混合器が一体化したものなどもございます。

 

「分波器」とは何か?

分波器(ぶんぱき)とは、前述した混合器と対になる機器になります。その役割は、混合器によって一本のケーブルにまとめられた地デジ、BS/CSの電波を再度、二本のケーブルに分配することです。

現在のテレビ、レコーダーなどの受信機器の大半には、地デジ、衛星放送(BS/CS)のチューナーが内蔵されており、それぞれ別個のチューナー入力端子が設置されております。しかし混合器で地デジ、BS/CSの電波を一本のケーブルにまとめたままでは、どちらか一方の端子にしか接続できないことになります。また機器側の端子に接続した場合も、地デジ、BS/CSの電波のうち、電波レベルが高い方しか受信できなくなるのです。

そのため、テレビなど機器の付近に分波器を設置して、一本のケーブルに混合されていた地デジ、BS/CSの電波を再度、二本のケーブルに分離して、テレビ側の地デジ、BS/CSのチューナー端子に正しく接続するのです。したがって分波器はアンテナコンセントのある各部屋や、地デジ、BS/CS放送の双方を視聴するテレビ機器の前に、複数の台数を設置することになります。

分波器の設置位置は、各部屋のアンテナコンセント内に設置し、アンテナコンセントの時点で、アンテナ端子が地デジ用とBS/CS用に分かれている場合。また混合器により地デジとBS/CSの電波をまとめて送信するアンテナ端子に混合器を接続し、各電波を二本のケーブルに分離してテレビなどの機器に接続する場合がございます。

なお分波器の構造は、基本的に混合器と同じで、接続する方向が逆であるだけになります。ただ主にアンテナコンセントとてれびなど機器をつなぐケーブルの間に設置する機器になるため、中にはケーブル一体型になった機種もございます。ケーブル一体型は、ケーブル接続端子で生じる電波の減衰が起こらないというメリットがございますが、アンテナコンセントとテレビなど機器の間の距離に適合するケーブル長のモデルを選ぶ必要がございます。

 

混合器・分波器が必要となるケース

基本的に、テレビアンテナに混合器が必要となるケースは、一見の戸建て住宅で、地デジ、BS/CS双方のアンテナがほぼ同じ場所に設置されており、配線を一体化して住宅内のほとんどのテレビで地デジ放送とBS/CS放送の双方を視聴する場合になります。

また、その現場で受信できる同じ地デジ電波であっても、NHK、広域民放の電波を送信する電波塔と、東京都の東京MX、千葉県の千葉テレビなど、特定の都府県のみを放送エリアとする独立放送局の「地方チャンネル」の電波塔の位置が大きく異なり、一基の地デジアンテナでは双方の電波が受信できない場合がございます。

これは、地デジアンテナは一定の方向のみで受信性能が高まる「指向性アンテナ」であり、一方向から届く地デジ電波しか受信できない性質があるためです。そのため、このような現場で地方チャンネルを受信する場合には、NHK、広域民放用の地デジアンテナと、地方チャンネル用の二基の地デジアンテナを設置するケースがございます。この場合も、混合器により日本のケーブルを一本化することになります。

また、さらにBS/CSアンテナを加えた三基のアンテナを設置する場合は、二個の混合器を用いて、三本のケーブルを一本にまとめることになります。

混合器が必要ないケースとしては、現場に設置されているのが地デジアンテナ一基のみである場合。またBS/CSアンテナも設置されているものの、一部屋、またはアンテナに近い一部の部屋でしか衛星放送を視聴せず、地デジアンテナとは配線がまったく別系統になっている場合になります。

そして分波器を設置するのは、混合器を使用して地デジ、BS/CSアンテナからの電波を一本のケーブルにまとめている場合のみになります。やはり地デジアンテナ一基のみしか設置していない場合。またNHK、広域民放用と地方チャンネル用、二台の地デジアンテナの電波を混合器で一本化している場合も、送信される電波は地デジ電波のみであるため、分波器は必要ございません。

 

混合器、分波器が対応できるテレビ電波

上記のように、混合器、分波器とも、地デジ放送、BS/CSのアンテナを設置している住宅などで、双方の電波のケーブルを接続して、一本のケーブルに混合し、そして再度、二本のケーブルに分離することを前提とした機器になります。したがって当然、地デジ、BS/CS双方の電波に対応する機器になります。

ただ2018年(平成30年に)に、従来の衛星放送である2Kデジタル放送のBS放送、CS放送にチャンネルを追加する形でスタートした「新4K8K衛星放送」では、従来の衛星放送で使用されていた「右旋円偏波」と呼ばれる電波ではチャンネルに割り当てられる周波数帯が不足したため、BSの一部4Kチャンネルの他の大半の4K8Kチャンネルで、新しく「左旋円偏波」を導入しています。

BS/CSアンテナの電波は、衛星から受信した非常に周波数の高い電波を、アンテナのコンバーター部でテレビ電波に適した周波数に変換して、ケーブルや混合器、分波器などを通じてテレビなど受信機器のBS/CSチューナーへと送っています。

このケーブルで受信機器へと送られる時点でのテレビ電波の周波数は、各放送で以下の周波数帯になります。

 

・地デジ放送(UHF):470MHzから710MHz。

・2K衛星放送およびBS放送の一部4Kチャンネル(右旋円偏波):1032MHzから2072MHz。

・大半の新4K8K衛星放送(左旋円偏波):2224MHzから3224MHz。

 

このように、新4K8K衛星放送の大半のチャンネルは、従来の地デジ放送および2K衛星放送より周波数が高くなります。

そのため新4K8K衛星放送をすべて受信、視聴するためには、4Kまたは8Kテレビを導入する。BS/CSアンテナを4K8K対応型に交換するだけでなく、アンテナからの配線やそこに設置する混合器、分配器をはじめ、ブースター、分配器などの機器も、4K8Kの電波に対応できる「3224MHz対応型」の機器に交換する必要がございます。

分配器や混合器、およびその他の機器が新4K8K衛星放送に対応するかを確認する方法としては、まずパッケージや本体部などに「4K8K対応」「3224MHz対応」などの表記があるか、という点が挙げられます。

他にも、電子機器などの業界団体である一般社団法人「JEITA(ジェイタ:電子情報技術産業協会)」の審査により、新4K8K衛星放送の受信用に適した機器として登録された家庭用製品に表示される「SHマーク」がございます。SHマークは、黄緑色のロゴマークに「SH JEITA」の文字が入ったものになっております。

本体やパッケージなどにこれらの表記がある機器を選択すれば、新4K8K衛星放送に問題なく対応できるといえます。

なお、新4K8K衛星放送および対応できる機器についての解説は、以下の各コラム記事にも詳細がございます。

「新4K8K衛星放送」ご視聴に必要な機器・完全チェック解説! テレビで全4K8Kチャンネルを見るための機材とは?

「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!

2K放送と4K、8K放送の違い

超高画質!4K・8K放送の魅力と工事について

 

混合器・分波器と混同されやすい「分配器」「分岐器」とはどんな機器か?

混合器、分波器の他にも、一般の戸建住宅におけるテレビアンテナ取り付けで、ほとんどの工事において使用される機器に「分配器」がございます。他にも集合住宅のアンテナ配線などには「分岐器」という機器が使用されます。

ここでは、名称が似ていることから「分波器」と混同されやすいこれらの機器について、それぞれの役割や分波器との違いを解説します。

 

「分配器」とは何か?

分波器と混同されやすい「分配器(ぶんぱいき)」とは、戸建て住宅などに設置されたテレビアンテナから、ケーブルを通して送信されるテレビ電波を、複数のケーブルへと均等に分配して、住宅内の各部屋にあるアンテナコンセントへと送信する機器のことです。

この機器を経由することで、ご自宅に各一基しかない地デジ、BS/CSアンテナからの電波を、混合器により一本のケーブルにまとめても、屋内の各部屋に設置されたすべてのテレビなど受信機器にテレビ電波を送信することができるのです。

分配器は、アンテナから電波を送信するケーブルに接続される一個の入力端子と、その電波を各ケーブルへと分配する複数の出力端子から成り立っています。分配数は2分配型から8分配型まで、7分配を除いた6種類が存在します。この分配器は、各住宅で必要になる分配数に、予備の一端子を加えたものが選択されます。なお2分配型のものは、シンプルな形状の混合器、分配器とそっくりの形状をしています。

分配器の特徴は、入力された電波レベルが等分に分配される。つまり分配される数による割り算の形で、個々の分配先では地デジ電波レベルが少なくなるということです。例えば3分配器に120㏈(デシベル)のテレビ電波が入力された場合、3本のケーブルに分配された個々の分配先では、電波レベルが40㏈になります。ただ実際には、分配器そのものやケーブルの接続部を通すことで、わずかながら電波の減衰(弱まり)が生じます。

また分配器の性能には「端子間阻止量(端子間結合損失)」というものもございます。

これは複数ある出力端子の間での、電波信号の干渉を抑える能力を示す数値です。簡単に解説すると、出力ケーブルから出力端子への電波信号の逆流および、それが他の出力端子に影響することを抑える性能を表します。したがってこの数値が大きいほど、信号の逆流による悪影響を抑える性能が高く、高品質な製品だといえます。

 

・分配器の種類。

分配器の種類には、主にアンテナ配線部に使用される各分配型のモデルでは「一端子電流通過(通電)型」と「全端子電流通過型」の違いがございます。これはBS/CSアンテナへの給電方法で使い分けるものです。

BS/CSアンテナは、前述した衛星から受信した高周波数の電波を、テレビ電波に適した周波数へと変換する「コンバーター」に給電する必要がございます。給電方法は、同じく電源を必要とするブースター部。または受信機器であるテレビやレコーダーのチューナー端子から、BS/CSアンテナへとアンテナケーブルを逆流する形で行われます。

そして分配器の一端子電流通過型は、複数ある出力端子のうち、特定の一端子のみ通電できるもの。全端子電流通過型は、すべての出力端子で通電できるものになります。

テレビなど機器からBS/CSアンテナへ給電する場合は、かつては一端子電流通過型を用いて、特定のテレビから常に給電する方式が主流でした。そのため給電するテレビの電源が入っていないと、他のテレビで衛星放送を視聴することはできませんでした。

しかし近年では省エネのため、住宅に設置された個々のテレビやレコーダーの電源を入れた際のみ、BS/CSアンテナ側に給電される形式が主流となっています。そのため全端子電流通過型の分配器を用い、各テレビ、レコーダーの電源さえ入れれば、どの機器でも衛星放送が視聴できるようになっております。

ただ価格面では一端子電流通過型のほうが低価格となるため、ブースターから給電する形式を採用している場合や、住宅内の特定のテレビのみで衛星放送を視聴する場合などは、現在でも一端子電流通過型の分配器を使用することがございます。

他にも、アンテナコンセントが設置された各部屋で、コンセントからテレビ電波を複数の機器に配分するためのケーブル一体型分配器。分配による電波レベルの低下を補完するブースター内蔵型分配器などもございます。

 

・分配器を使用しない配線方式。

この分配器は、複数台のテレビやレコーダーの設置が一般的となった現在の戸建て住宅におけるテレビアンテナ配線では、ほとんどの場合、使用される機器になります。そして分配器によるケーブルの分配方法を、その配線の形から「スター配線」方式と呼びます。

スター配線方式は、電波レベルの低下が少なく、各アンテナコンセントへと等分に電波を送ることがメリットになります。

ただこのスター配線の他に、複数のアンテナコンセントへケーブルを配線する方式として、分配器を使用しない「送り配線」方式がございます。これはアンテナから延びるケーブルを、アンテナから近い部屋の順に、各部屋のアンテナコンセントへと直接、接続した後、次の部屋のアンテナコンセントへとケーブルを伸ばす形で、順繰りにテレビ電波を送っていく形式です。

送り配線方式は、スター配線に比べると、分配器やケーブルの長さが必要なく、コストを抑えられるため、一昔前は主流でした。

ただケーブルの先に行くほど電波レベルが低下し、特に電波が高周波数で減衰しやすい新4K8K衛星放送には適さない。また配線の一か所にトラブルが生じると、その先のすべてのテレビ機器で電波が受信できなくなるというデメリットから、近年ではあまり採用されなくなっております。ただ屋内に設置されるアンテナコンセント数が少ない場合などは、ときに採用されることもございます。

 

分岐器とは何か?

分岐器(ぶんきき)は、一個の入力端子と複数の出力端子があるという、一般的な分配器とほぼ同じ形状であり、またその役割も、テレビアンテナなどから届く電波を、複数のケーブルに分配するという、ほぼ同様のものです。

分岐器と分配器の大きな違いは、機器を通して分けられる電波の、分配先での電波レベルの下がり方になります。

分配器は前述の通り、例えば200㏈の電波を4分配器に通した場合、四本に分配された先の、個々の電波レベルはほぼ50㏈になるなど、元の電波レベルを、分配数によって等分に分配する機器になります。

しかし分岐器の出力端子には「OUT(出力端子)」と呼ばれるメインの出力端子が一個と「BL(枝分かれ、分岐端子)」と呼ばれる出力端子が存在します。機器によってBL端子の数は、1個、2個、4個のものがあり、それぞれ「1分岐器」「2分岐器」「4分岐器」と呼ばれます。

そして分岐器による電波の分配は、例えば一個のOUT端子と二個のBL端子を持つ2分岐器であれば、300㏈の電波を通した場合、二個のBL端子からそれぞれ約50㏈ずつ電波を分け、残りの大半である200㏈は、そのままOUT端子から送り出されるような形になります。

つまり分岐器は、入力された電波レベルを等分に分配するのではなく、その一部分を必要な量と数だけBL端子に枝分かれさせ、主な電波はそのままOUT端子から流し出すという機器になります。

この分岐器は、大型のビルやマンションなどで、屋上に設置された大型の共用アンテナから、建物内の各フロアや、フロア内の各部屋にテレビ電波を送信するために使われます。

このような建物のアンテナ配線は、屋上のアンテナから一階や地下階まで、長いケーブルを伸ばし、その途中で各フロア、および各部屋へとケーブルを分配する形になります。そのためケーブルの長さで電波レベルがやや減衰してしまうこともあり、各フロアや個々の部屋ごとに必要となる電波レベルを計算して、受信したテレビ電波をすべてのフロアや部屋へと無駄なく分配する必要がございます。

このような緻密な電波の分配には、等分に電波を分配する分配器は適しません。屋上から一階や地下まで届く、メインケーブルの電波レベルは大きく落とさず、各フロア、各部屋に必要な電波レベルのみを分配するためには、分配する電波レベルを細かく調整できる分岐器が必要となるのです。そのため分岐器は、一般の戸建住宅で使用されることは、まずございません。

なお分波器の性能を示す基準には、BLに電波を分岐した際に生じる、入力と出力間での電波レベルの損失を示す値である「挿入損失」。BL端子に分岐する電波の量を表し、数値が小さいほど分岐出力が高くなる「結合量(結合損失)」。BL端子からOUT端子への信号の逆流を抑える性能を数値で示したもので、大きいほど高性能となる「逆結合素子量」などがございます。

 

なお分配器、分岐器などについて詳しくは、以下の各コラム記事でもご説明しております。よろしければご確認ください。

ご自宅のすべてのテレビに電波を送る「分配器」とは? その種類と選び方を徹底解説!

アンテナ工事の「分配器」とは何?「分波器」「分岐器」との違い

「分配器」の設置・交換方法と注意点

 

戸建て住宅の一般的なアンテナ配線とブースターの役割

混合器、分波器など上記のアンテナ機器を含めて、戸建て住宅に地デジアンテナ、BS/CSアンテナの双方を設置した場合の、一般的なスター配線による配線形式と、設置される機器の順番は、アンテナからはじめて以下の通りになります。

 

・1:屋外の近い位置に設置される地デジアンテナとBS/CSアンテナ。

・2:地デジアンテナとBS/CSアンテナのケーブルを一本にまとめる「混合器」。

・3:混合器によって一本にまとめられたケーブルの電波を受け止め、必要な電波レベルまで増幅する「ブースター」。(混合器とブースターが一体化している機器も存在する)

・4:ブースターから送られた一本のケーブルを、複数のアンテナコンセントへのケーブルと分配する「分配器」。

・5:各アンテナコンセント内、または各部屋のテレビなど機器の前で再度、地デジとBS/CSの電波を二本のケーブルに分配して、それぞれのチューナー端子に接続する「分波器」。

 

地デジやBS/CSの電波を増幅する「ブースター」とは?

ここまでの各機器についての解説で唯一、詳しく説明されていなかった「ブースター(増幅器)」について補足します。

少し記した通り、ブースターはアンテナブースター、テレビブースター、受信ブースターとも呼ばれ、テレビアンテナが受信した電波を、各住宅で必要な電波レベルにまで増幅する装置です。

基本的に地デジの中電界地域から弱電界地域など、地デジ電波レベルが低いエリアで使用されますが、電波が十分な現場であっても、住宅内に三台以上のテレビを設置する場合には、十分な電波レベルを確保するためにブースターの設置が必要となります。そのため現在では実質的に、ほとんどの住宅でブースターの設置が必須になっております。

ブースターには電波の増幅性能が高い屋外用と、増幅性能はさほどでもありませんが設置が簡単な屋内用がございます。また対応できる電波の違いでは、UHF帯(地デジ)用。衛星放送にも対応できるUHF・BSCS用。さらに4K8K対応型がございます。

またブースターには電波に混入するノイズも増幅してしまう性質があるため、屋外用ブースターは、できるだけノイズの影響を受けないよう、アンテナの付近に設置されます。そのため地デジと衛星放送(新4K8K衛星放送含む)の双方に対応できるブースターでは、混合器の役割を兼ね備える機器も存在します。

また地デジ電波は、テレビなどの受信機器に届いた時点で、電波レベルが90㏈以上と強すぎる場合も、受信不良の原因となる他、NHK、広域民放と、独立放送強による地方チャンネルの電波レベルに差がありすぎる場合も、適切な受信ができなくなります。

この場合は、逆に電波レベルを適度な水準に減衰させる「アッテネーター(減衰器)」を設置することで、電波レベルを調整します。

ブースターに関しての詳しい解説は、以下の各コラム記事にもございます。

テレビ放送の映りが悪い際にアンテナブースターの交換は必要?

テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・前編(基礎知識編)

テレビアンテナの「ブースター」徹底解説・後編(機種選び・設置編)

 

まとめ

「混合器」と「分波器」は、地デジアンテナと衛星放送用BS/CSアンテナの双方を設置しているご家庭では、アンテナ配線に必須となる機器であり、それぞれの電波を一本のケーブルにまとめ、またあらためて分離するという、対になる機器です。

この二種類の機器により、二基以上のテレビアンテナを設置している住宅でも、アンテナ配線をシンプルにまとめることができ、工事コストの軽減や、トラブル発生のリスクを抑えることが可能となるのです。

 

あさひアンテナでは、地デジ、BS/CSアンテナ取り付け工事に関しては、国産一流メーカーの高性能機器をご用意し、アンテナ本体価格や基本部材をセットにした、業界最安に挑戦し続けるアンテナ設置工事の基本価格でご提供しております。

さらにさまざまなアンテナ工事に必要となる各種オプション工事も、やはり機器本体を含めた低価格と明確な価格体系でご案内しており、例えば混合器の設置工事は「15,000円(税込)」でご案内しております。

他にも現地出張しての電波調査やお見積もりは、出張費、キャンセル費などの各種費用を含めた完全無料で実施し、現場の条件が許す限り、お客様のご要望に沿える高品質なアンテナ工事を、どのような業者にも負けない低価格でご提案いたします。工事後の保証に関しても、業界最長クラスである、工事完了日からの「10年保証」により、末永いご安心をお約束いたします。

 

地デジアンテナやBS/CSアンテナの新規設置、追加設置や交換などの各種テレビアンテナ工事、またそれらに付随して必要となるオプション工事のご相談は、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)。またはメールフォームLINEアカウントまで、どうかお気軽にお問い合わせください。

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アンテナ本体 型番

  • デザインアンテナ

    型番:UAH201(最新モデル)
    (同軸ケーブル:白か黒の2色のうち、おすすめは外壁になじむ色)

    工事費込み 20,000円(税込)

    カラーバリエーションはオフホワイトライトブラウンスーパーブラックブラックブラウンの4色から現場で選択することが可能です。同じUHF20素子相当のデザインアンテナを比較した場合、業界トップクラスの受信性能、高利得を誇る大手DXアンテナ社製。本体の厚みはわずか119mm、サイズは高さ590mm×幅220mmで業界最小クラス。コンパクトサイズのため狭い屋根裏や天井裏などへの取り付けも最適。壁面に取り付けの場合は、極細のビスを6箇所打ち込んで金具を取り付け、金具にガチャンと本体をはめ込みボルトを締めるだけの簡単施工が可能なため建物へのダメージを極力軽減できます。ブースターが必要な場合はUAH201の背面にスッキリ取り付けられる構造になっており、表にブースターが露出しないので外観もキレイに保てます(弊社では電波状況が悪くない限り、なるべくブースターも屋内の、分配器の近くに隠してしております)。修理の場合、ブースター内蔵タイプのデザインアンテナとは異なり、ブースターだけの交換をできるメリットがあります。太陽光発電システムや片流れ屋根で屋根上に屋根馬を立てられず昔ながらの八木アンテナを設置できない住宅にも最適。耐風速(破戒風速)50m/sですが、屋内や外壁など、強風の影響を受けにくい取り付け位置と形状をしているため、災害にも強いアンテナとなっております。当店人気ナンバー1の地デジアンテナでございます。

  • 八木アンテナ

    型番:UA20(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    その昔、八木秀次博士が発明した形状(魚の骨のような形状)からマイナーチェンジを繰り返し洗練されたフォルムとなり、中・弱電界エリアにも対応可能な安心のDXアンテナ社製。UHF20素子アンテナの性能で、吹きさらしで障害物の少ない屋根上に設置することが多いため利得が高くなっております。万が一、壁面や屋内でデザインアンテナを取り付けられない物件 にも最適。従来の鉄製の太いワイヤーとは異なり、ステンレス製の丈夫で錆びにくいワイヤー(支線)を採用。アンテナマストから屋根の四隅に向けて4本の支線を張り巡らせ、さらに張り巡らせた支線の途中からも屋根馬に向けて4本の支線をバランスよく張り、合計8本の支線で頑丈に設置しております。サイズは51.8cm×34cm×101.4cmとなっており、VHF(アナログアンテナ)と比較して、大幅なサイズダウンと軽量化がなされています。しかも耐風速(破壊風速)50m/s。地デジ放送が始まる前の時代より、屋根上に設置するアンテナは災害に強くなっていると言えるでしょう。当店で人気ナンバー2の地デジアンテナでございます。

  • 2K4K8K対応 BS/CS110度アンテナ

    型番:BC45AS(最新モデル)
    工事費込み 15,000円(税込)

    2018年12月1日以降、実用放送開始予定の4K8K衛星放送(NHKのみ4K&8Kを同時配信)に備えてオールマイティーなDXアンテナ社製のBC453をBS放送、CS放送をご覧になりたいすべての方へ提供しております(大規模な集合住宅は例外)。従来の2K専用BS/CS110 度アンテナと同じでサイズで円盤の直径は45センチ。そうでありながら、電送周波数の帯域が広いため、従来のフルハイビジョン(2K放送・約200万画素)からスーパーハイビジョン(4K放送・約800万画素/8K放送・約3,300万画素)まで受信可能です。「大は小を兼ねる」と言えます。2020年のオリンピックに向けて4K8Kの実用放送がますます拡充されるということが総務省より発表され、各メーカーの4K8Kテレビは増産がはじまり、その価格も落ち着いてきました。そのような状況のなか、あさひアンテナにも2K4K8K対応BS/CS110度アンテナの問合せが数多く寄せられております。最新式のアンテナでも、大量仕入れでコストをおさえて仕入れておりますので、低価格を実現できました。