デザインアンテナ設置にデメリット? 工事の失敗例、費用や特徴、選び方、ユニコーンアンテナとの比較を解説
外観性から人気の地デジテレビ用デザインアンテナについて、メリットとデメリット、設置工事の方法や機種の選び方、2017年に登場した同じくスタイリッシュなユニコーンアンテナとの見た目、形状、特徴の比較を、実例付きでわかりやすく解説した記事です。
地上波のテレビ放送が地デジ(地上デジタル放送)化された現在、地デジアンテナにもさまざまな機種が登場しております。
中でも人気が高いアンテナモデルといえば、スタイリッシュな外観を誇るデザインアンテナになります。平面型で住宅の壁面などに設置できるデザインアンテナは、住宅の見た目を美しく保つだけでなく、風雨や雪などに影響されにくく、アンテナの寿命が延びトラブルも発生しにくいと言った、非常にメリットの多い地デジアンテナです。
そのため現在では、ご自宅でのアンテナ設置にデザインアンテナを選ばれるお客様も非常に多くなっております。しかしデザインアンテナは優れたアンテナ機種である一方、その形状や設置位置に基づく、意外な弱点もございます。この弱点を充分に把握しないままデザインアンテナ設置された場合、想定外のアンテナトラブルが生じてくることもございます。
そこで当コラムでは、デザインアンテナについて、他の主要な地デジアンテナ機種である八木式アンテナ、ユニコーンアンテナと比較しての特徴やメリット、デメリット。そしてデザインアンテナ特有の弱点と、その対処方法をご説明してまいります。
当コラムをお読みいただき、デザインアンテナの弱点を把握されておくことで、ご自宅でのデザインアンテナ設置に関しても、そのメリットを生かして安定した受信を実現できるアンテナモデルや設置位置など、適切な選択をしていただけることと存じます。
デザインアンテナとは?
デザインアンテナとは、日本で地デジ放送がスタートした2003年(平成15年)から、地上アナログ放送が終了して、日本の地上波テレビ放送が地デジに統一された2011年(平成23年)までの間、アナログ放送終了の直前にあたる2009年(平成21年)から2010年(平成22年)にかけて急激に普及した地デジアンテナの機種です。
アナログ放送時代は、テレビ電波として、主にNHK、広域民放では「VHF(超短波)」のうち、90MHz(メガヘルツ)から108MHzのローバンドと、170MHzから222MHzのハイバンドの周波数帯が。東京MXや千葉テレビなど、独立放送局の地方チャンネルでは「UHF(極超短波)」のうち、470MHzから770MHzの周波数帯が使われており、その波長は最大で1メートル強でした。したがってアナログ放送用のテレビアンテナ(VHFアンテナ)も、電波の波長に合わせて、一メートル以上になる大型の八木式アンテナを屋根の上に設置することが主でした。
しかし地デジで利用される電波は、UHF(極超短波)のうち470MHzから710MHzの周波数帯、波長の長さは40センチから60センチ程度のものになりました。そのため地デジ放送では、テレビアンテナの小型化も実現したのです。
地デジ放送では八木式アンテナも全長1メートル程度のUHFアンテナになった他、新しく登場したのがデザインアンテナです。
デザインアンテナとは、一般的にはアンテナの本体部分を、縦長の長方形で薄型のケースに収めたテレビアンテナです。その形状や設置位置から、平面アンテナ、フラットアンテナ、壁面アンテナ、ボックスアンテナなどの別名もございます。
主な設置は住宅の壁面いやベランダの手すり部、内部などですが、電波状態や周辺環境、モデルによっては室内設置、屋根裏空間などへの設置も可能となります。
また「デザインアンテナ」の名称は、壁面設置用の薄型モデルの他にも、広義にはデザイン性に配慮したスタイリッシュなアンテナの総称として使われることもあり、後述するユニコーンアンテナや、八木式アンテナにカバーを施したモデル、デザインに工夫を凝らした屋外屋内兼用モデルなども、デザインアンテナに含まれることがございます。
なお地デジ放送の詳細に関しては、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
デザインアンテナ(平面アンテナ)の種類とメリット
ここでは一般的なデザインアンテナである、平面アンテナ(壁面アンテナ)についてご説明してまいります。
デザインアンテナとは、それ以前のテレビアンテナ機種であった、主に屋根の上に設置される八木式アンテナに比較して、住宅の壁面に設置することを前提に、デザイン性を重視した地デジアンテナです。そのため目立たない薄型の形状だけでなく、メーカーやモデルごとのカラーバリエーションも豊富です。
デザインアンテナのメリットは、第一に、住宅に設置しても目立たず、デザイン性の高い昨今の戸建て住宅でも、その外観性を乱さないことです。さらに周辺の景観にも影響を与えないため、いわゆる「景観地域」などで、条例により設置できるテレビアンテナに規制がある地域でも、ほとんどの場合、問題なく設置できます。
他にもテレビアンテナの一部が隣家の敷地にはみ出してしまう「越境問題」もまず発生しない。屋根の上に太陽光パネルを設置している住宅でも、太陽光パネルに影響を与えない、といった点も利点と言えます。
そしてデザイン性と並ぶデザインアンテナの大きなメリットは、風雨や雪などにも影響を受けにくい、耐候性の高さです。デザインアンテナはその設置位置や形状から、台風などの激しい風雨でも大きな負担がかからず、また雪が積もることも少ないため、自然環境によるアンテナの老朽化や、それに伴うトラブルなどを大きく軽減できます。従来の一般的な八木式アンテナ、BS/CSアンテナの寿命が10年程度とされていたのに対し、デザインアンテナの寿命は、まだ実際のデータは少ないものの、おおむね15年から20年程度と言われております。
特にデザインアンテナは、その地域で受信できる電波レベルが高い、いわゆる「強電界地域」において、住宅の建材や屋根材、断熱材が金属素材などではなく、地デジ電波を通しやすい。点検口などから屋根裏空間に出入り可能で、設置に充分なスペースがある。屋根の上に、電波を遮断する太陽光パネルや冬場の積雪がないといった条件が揃っていれば、屋根裏空間への設置も可能です。
この場合、住宅の外見や外装にはまったく影響を与えないだけでなく、アンテナ本体も風雨、積雪や直射日光、厳寒などの自然環境から守られるため、経年劣化が抑えられ、さらなる寿命の長期化も望めます。
デザインアンテナは、このようにメリットが豊富であることから、現在では地デジアンテナの人気ナンバーワン機種となっております。
一方でデザインアンテナにも、いくつかのデメリットは存在します。それらの点に関しては、後の項で詳しくご説明いたします。
デザインアンテナの種類
屋外設置用のデザインアンテナも、メーカーやモデルによって、デザインやカラーバリエーションなどに、多彩なものがございます。ただここでは、主に性能面でのデザインアンテナの種類をご説明してまいります。
デザインアンテナに限らず地デジアンテナの受信性能は、主に地デジ電波を受信するパーツである「素子(エレメント)」数によって表されます。ただデザインアンテナやユニコーンアンテナなど、外部から素子が見えない機種では、受信性能を素子数に換算した「素子数相当」という単位で表されます。
そしてデザインアンテナの素子数は、屋外屋内兼用のコンパクトモデルなどを除けば、主に20素子相当、26素子相当の二種類に分かれます。もちろん素子数が多い機種のほうが受信性能は高く、地デジの電波状態がやや悪いエリアで主に使用されます。他にも26素子相当のモデルは、やや大型になる傾向があり、価格も多少、割高になってまいります。
またデザインアンテナの場合、設置位置の低さから地デジ受信に関してはやや不利になることが多いため、本体に、受信した地デジ電波を増幅するブースターを内蔵しているモデルが多くなります。ブースター内蔵モデルも、価格ではやや高めになる他、電源の供給が必要となってまいります。
他にもデザインアンテナには、コンパクトモデルも存在します。一般的な20素子相当のデザインアンテナは、やや小さめの機種でも幅22センチ、高さ60センチ、厚さ12センチ程度になりますが、コンパクトモデルには幅は約15センチ、高さ約36センチ程度のモデルもございます。
このようなモデルは、コンパクトな分、受信性能もやや低くなり、基本的には強電界地域専用のモデルになりますが、本体に室内設置用のスタンドが付属しており、室内の窓際に設置することなども可能となります。
デザインアンテナおよびそのモデルについては、以下の各コラムでも詳しくご紹介しております。
・地デジ用テレビアンテナ一番人気のデザインアンテナとは? 価格から工事費用、料金相場、失敗しない業者の選び方まで徹底解説!
・この最小デザインアンテナがすごい!スカイウォーリーミニ(マスプロ電工)
旧来の八木式アンテナとデザインアンテナとの違いは?
デザインアンテナが登場する以前の一般的なテレビアンテナといえば、屋根の上に設置される、魚の骨に似た八木式アンテナでした。アナログ放送の時代は、テレビアンテナといえば八木式アンテナほぼ一種類であったため、令和の現在でもテレビアンテナと言えば、この形をイメージされる方が多いのではないでしょうか。
現在の地デジ受信に使用される八木式アンテナは、アナログ放送時代、VHFアンテナとは別に、地方チャンネルの受信に使用されたUHFアンテナとほぼ同じものです。その形状は、矢印状の骨組みに短い横棒である素子をいくつも設置したものになっております。
八木式アンテナはモデルによってさまざまな素子数があり、強電界地域向けの8素子から、中電界地域向けの14素子、20素子。またⅩ字型の部品に複数の素子パーツを使用した高性能素子を使用し、素子数も30素子などで非常に受信性能が高い、弱電界地域向けの高性能機種(パラスタックアンテナ)など、受信性能のバリエーションが豊富です。したがって強電界地域から弱電界地域の、かなり受信レベルが弱い地域まで、さまざまな現場で使用できるのが特徴です。
さらに屋根の上など設置位置が高いため、周辺の障害物に影響されず地デジ電波を安定して受信できる。素子が露出した「素子アンテナ」の構造から、同素子数の他機種と比べても受信性能が高レベルで安定するなどの特徴から、現在の地デジアンテナの中でも、実質的にもっとも受信性能が高いモデルになります。
またアナログ放送時代から使用されているアンテナ機種であるため、製造や設置の工法が完成されており、本体価格、設置工事費用とも地デジアンテナではもっとも低価格となっております。
一方、デメリットとしては、屋根の上に設置されるため、風雨や積雪などを受けて経年劣化が進みやすく、寿命が短くなりトラブルなども発生しやすくなる。また屋根の上で目立つ形状から、住宅のデザイン性や景観を乱してしまう。そのため景観地域などで条例により設置できないこともある。また越境問題が生じやすく、太陽光パネルの邪魔になることもあるなどの点が挙げられます。
総じてデザインアンテナ以前の機種であるため、デザインアンテナで解決されたデメリットが残っている機種といえます。
ただ現在では、アンテナ本体の素材、設計の改良により、八木式アンテナでも一定の耐風性や対候性を備え、雪害、塩害モデルなども存在します。設置位置も、サイドベースという器具を用いた壁面への設置。またベランダの手すりやベランダ内部に設置するといった工法も存在します。そのため、設置位置によりある程度、外観性や対候性に配慮することも可能です。
総じて、低価格で受信性能が確かであること。特に弱電界地域などでは八木式アンテナを高所に設置する以外に、地デジアンテナの選択肢がないなどの点から、現在でもまだまだ使われることが多い地デジアンテナ機種となっております。
八木式アンテナやパラスタックアンテナについては、以下の各コラム記事でも詳しくご説明しております。
・地デジテレビアンテナの長老「八木式アンテナ(八木アンテナ)」とは?
デザインアンテナの弱点1:受信感度がやや低くなる
前述のように、デザインアンテナの受信性能は、主に20素子相当。26素子相当の2種類となります。
20素子と言えば、八木式アンテナでは、強電界地域や中電界地域、また弱電界地域でも比較的、受信環境が良いエリアであれば使用できる、十分な受信性能のモデルになります。
ただデザインアンテナの場合は、素子が外部から見えない構造上、同素子数の範疇でも、やや受信性能が低めになってまいります。さらに最大の特徴である、壁面やベランダなどへの取り付けでは、屋根の上に比べると設置位置が低くなり、電波を遮ってしまう周辺の建築物に影響されやすくなります。
したがって八木式アンテナに比べ、本体の受信性能に大きな差はなくとも、デザインアンテナでは、実際の受信性能はやや低くなってまいります。そのため電波状態や周辺環境など受信環境が悪いエリアでは、26素子相当やブースター内蔵モデルが使用されます。
ただ強電界地域、中電界地域であっても、住宅密集地などの周辺環境によっては、壁面やベランダに設置されるデザインアンテナでは、屋根の上に同素子数の八木式アンテナを取り付ける場合よりも、受信感度が低下することもございます。場合によっては十分な受信感度を得られず、デザインアンテナを設置できないケースもございますので、ご注意ください。
なおデザインアンテナを八木式アンテナと同じように、屋根の上のマスト(ポール、支柱)に設置するという方法もございます。この工法ではデザインアンテナでも、八木式アンテナと大差のない受信感度を実現できますが、その一方、デザインアンテナ特有のメリットが薄れてしまうという問題も生じてまいります。
地デジアンテナの受信性能に関しては、詳しくは以下のコラム記事をご参照ください。
・UHFテレビアンテナ設置の性能を決める「素子」とは? 地デジアンテナ取り付け工事で高性能になる素子数の選び方を徹底解説
・地デジアンテナや無線通信用アンテナの性能を示す利得、動作利得とは何か? 素子数との違いなど地デジアンテナ基礎知識も解説
・地デジのテレビアンテナで受信できる方向は指向性で決まる? アプリでアンテナの方向調整に最適な角度を調べる方法も徹底解説!
デザインアンテナの弱点2:使用できる電界地域エリアが限られる
受信感度の問題にも関係してまいりますが、基本的にデザインアンテナは強電界地域、中電界地域向けのモデルとなります。
そもそもこの電界地域とは、地デジ電波を送信している大規模な送信所、または大小の中継局など、日本の各地に設置されている地デジ電波塔からの距離。および山地など電波を遮る大まかな地形により、受信できる地デジ電波の強度別に、日本国内の地域を分類したものです。
一般的な電界地域の分類としては、電波強度のレベルを示す㏈(デシベル)数を基準に、「強電界地域(80㏈以上)」「中電界地域(80㏈から60㏈)」「弱電界地域(60㏈以下)」に分類されることが多くなります。ただ電界地域に公式な定義はないため、場合によっては基準となる㏈数値がやや異なることや、強電界地域と弱電界地域の二分類のみになるケースもございます。
また地デジ電波レベルは、一年を通した気候の変化や天候によってもある程度は変動する他、例えば強電界地域でも、電波を遮ってしまう高層建築の近隣などでは、局地的に電波状態が低下するといったこともございます。そのため電界地域とは、あくまで大まかな目安に過ぎないと考えておく必要がございます。
そしてデザインアンテナに関しては、設置位置の低さなどから、弱電界地域での使用には適さないことが多くなります。
弱電界地域でも、中電界地域に近いエリアで、壁面の高所や屋根の一部など、設置位置を高所にとれる場合には、デザインアンテナの26素子相当やブースター内蔵型であれば使用できるケースもございますが、設置できるかどうかの確認は、前もって綿密に電波調査を行う必要がございます。
なお電界地域と使用できる地デジアンテナについては、以下の各コラム記事に詳しい解説がございます。
・地デジアンテナ設置に重要となる「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」とは
・徹底解説!強・中・弱の地デジ電界地域に適したテレビアンテナ工事の選び方、調べ方とは?
デザインアンテナの弱点3:住宅内で好きな場所に設置できるとは限らない
デザインアンテナの魅力と言えば、前述のように壁面やベランダなどに取り付けることができ、住宅の外観を崩さないことです。デザインアンテナをお求めのお客様には、ご自宅でアンテナを設置する壁面や取り付け位置を、すでに想定されている方も多いことと思われます。
ただデザインアンテナも、お客様の好きな位置へ思うがままに取り付けることは難しいのが実情です。これにはもちろん周辺の電界地域などの地デジ電波レベル。また建築物などの周辺環境も関係してまいりますが、主に現場へ地デジ電波が届く方向の問題となります。
デザインアンテナに限らず、地デジアンテナには「指向性」というものがございます。指向性とは、アンテナ本体でも一定方向(正面側)のみで受信性能が高まる性質のことです。アンテナは受信性能が高いほど、その指向性も高くなる性質がございます。また指向性の高さには、地デジ電波以外の余計な電波をカットするという側面もございます。
いずれにせよ地デジアンテナは、その現場に電波が届く方向、主に近隣の電波塔の方向へと、アンテナの正面を正確に向けて設置する必要がございます。地デジアンテナでは、BS/CSアンテナほどミリ単位の正確な調整は必要なく、主に方位角(左右の角度)の調整のみで受信が可能となります、特にデザインアンテナの場合は、平面的な形状もあって、左右の角度にはやや余裕がございます。
ただ八木式アンテナを屋根の上に設置する場合などでは、360度への角度調整が可能なため、特に問題が生じませんが、デザインアンテナを壁面に設置する場合には、まずその壁面が電波塔(電波の届く方向)を向いている必要がございます。ただ現場によっては、地デジ電波が建物などにぶつかって方向が変わった「反射波」を受信することで、設置位置に選択の幅が出ることもございます。
デザインアンテナを壁面に設置する場合には、壁面に設置具を取り付け、左右へと扉のように開く形で角度調整を行うことになります。
デザインアンテナに限らず、地デジアンテナ設置に当たっては、アンテナ工事の専門業者に電波調査を依頼すれば、住宅内の各場所での地デジ電波状態、およびその方向を確認して、デザインアンテナの設置位置をはじめ、安定した地デジ受信が可能となる工法を業者側よりご提案することになります。ただお客様が設置したい場所への設置が可能になるとは限りませんので、その点はご理解ください。
デザインアンテナの弱点4:設置のため壁にビス穴を開ける場合もある
デザインアンテナは、まず取り付ける位置にアンテナの設置具を固定し、そこにアンテナ本体をはめ込む形で設置されます。この設置具は、ベランダの手すりなどであれば、手すりを前後から挟んで、ボルトで固定する形の設置具が使用されます。
しかし壁面への設置では、まず壁にビス穴を開けて、ビスで設置具を固定した後、アンテナ本体をはめ込むことになります。つまり住宅の壁面にビス(ネジ)穴を開ける必要が出てまいります。また設置位置も、壁面のビスでしっかり固定できる位置を選ぶ必要がございます。
そのため、新築物件などで壁面に傷がつくことを気にされる場合は、デザインアンテナは不向きということになってまいります。また施工に関しても、壁面の穴にしっかりと防水処置などを施し、壁の腐食を防ぐ、施工技術の高い業者を選ぶ必要がございます。
当あさひアンテナでは、デザインアンテナの壁面設置にあたっては、丁寧な施工で壁に必要以上の傷をつけないことはもちろん、ビス穴にシリコンを注入し、穴からのひび割れや水の浸み込みを防止する作業を徹底しております。
デザインアンテナの弱点5:BS/CSアンテナは別途に設置する必要がある
ごく基本的なことですが、デザインアンテナだけでなく、八木式アンテナ、ユニコーンアンテナなど、地デジアンテナで受信できるのは地デジ放送のみであり、BS放送、CS放送などの衛星放送は受信できません。
衛星放送では、地上から約36,000キロ上空の赤道軌道上を周回し、地上から見れば東経110度の方向に静止して見える人工衛星(静止衛星)から、地デジ電波とはまったく周波数帯が異なる、マイクロ波の「SHF(センチメートル波)」のうち、およそ12GHz(ギガヘルツ)帯、波長の長さは25ミリ前後の電波を送信しております。
したがって衛星放送の受信には、地デジアンテナとは別に、マイクロ波の受信に適したパラボラアンテナで、受信した後、テレビ電波に適した周波数へと変換するコンバーターを内蔵しているBS/CSアンテナが必要となります。
BS/CSアンテナは地デジアンテナ以上に指向性が鋭く、人工衛星が位置する東経110度の方向へとミリ単位で正確に向ける必要がございます。またアンテナを向けた方向に、建物はもちろん、樹木などわずかな障害物も存在しないことも重要となります。
地デジアンテナとBS/CSアンテナの双方を設置する場合には、配線などをまとめるため、できるだけ近い位置に取り付けることが基本となります。八木式アンテナやユニコーンアンテナであれば、同じマストの下部にBS/CSアンテナを取り付けることもでき、この場合は、それぞれのアンテナの角度調整も行いやすくなります。
ただデザインアンテナを壁面などに設置する場合には、BS/CSアンテナをその近くで、障害物などに邪魔されず東経110°へと正確に向けられる場所に固定する必要がございます。そのため現場の条件などによっては、デザインアンテナとBS/CSアンテナの距離がやや離れてしまい、配線などが少し複雑になるケースもございます。
衛星放送、およびBS/CSアンテナの詳細に関しては、以下の各コラム記事でもご説明しております。
デザインアンテナの弱点6:水平偏波、垂直偏波に合わせたモデルが必要となる
地デジの電波塔から送られる地デジ電波の大半、約90パーセントは、地面から見て水平の波長を描く「水平偏波」になっております。ただ一部、約10パーセントの電波塔からは、地面から見て垂直な波長を描く「垂直偏波」が使用されております。
この波長の違いは、電波の「混信」を避けるために使い分けられております。現在の携帯電話、スマートフォンなどでは、地デジ電波と周波数帯の近い電波が使われることがあり、この電波と地デジ電波が入り混じる混信が発生すると、互いの電波に悪影響を与え、受信不良や通信障害を引き起こす恐れがございます。
しかし混信は、周波数は近くとも、波長の角度が違う電波同士では起こりにくくなるため、携帯電話などの基地局と近い場所にある電波塔では、垂直偏波が使用されているのです。
そして通常は水平偏波を受信する地デジデジアンテナで垂直偏波を受信するためには、アンテナ側でも対応が必要となります。具体的にはアンテナの設置角度を電波の波長に合わせるという非常に単純な対応であり、八木式アンテナの場合は、アンテナ設置の角度を90度傾けるだけで対応できます。
デザインアンテナの場合も、本来は縦に設置される水平偏波用のアンテナを、横に設置するだけで垂直偏波にも対応できます。ただデザインアンテナの場合は、横に設置することで特徴であるデザイン性を損なってしまうため、垂直偏波を使用するエリア向けに、縦に設置できる垂直偏波用のデザインアンテナが用意されております。
ちなみにユニコーンアンテナは、2023年(令和5年)現在では、水平偏波専用の地デジアンテナになります。
したがって地デジアンテナにデザインアンテナをお選びになる場合には、現場で受信できる地デジ電波が、水平偏波であるか垂直偏波であるかをご確認の上、対応するアンテナモデルを用意される必要がございます。この点も、アンテナ工事の専門業者に依頼すれば、適したアンテナ機種を用意してもらえるため、安心だといえます。
垂直偏波、水平偏波に関しては、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
デザインアンテナの弱点7:設置費用がやや割高になる
前述の通り、古典的モデルであり本体や設置の価格を低く抑えられる八木式アンテナに比べると、新しいモデルであるデザインアンテナの本体価格および設置工費は、割高になってまいります。
八木式アンテナの場合、20素子モデル、特に塩害、雪害用などではない通常型でアンテナ本体のみの場合、実売価格が4,000円から6,000円程度。アンテナ工事業者に設置工事を依頼した場合の工事費用は、アンテナ本体や必要な設置具、ケーブルなどをセットにした基本設置費用で、15,000円から22,000円程度になります。
対してデザインアンテナの場合、20素子相当のモデルで、ブースターの有無などの性能により、実売価格が7,000円から15,000円程度とさまざまです。またアンテナ本体や機材をセットにした業者の設置工事費用も、20,000円から30,000円程度となります。
もちろんデザインアンテナには、外観性や対候性など、価格に見合ったメリットもございますが、低価格で十分な受信性能を重視成されるお客様にとっては、八木式アンテナのほうが適しているとも言えます。
地デジアンテナの新世代、ユニコーンアンテナとは?
目立たず住宅の見栄えを良くし、風雨や雪などの自然環境にも強い半面、設置位置などから受信感度がやや低くなることもあるデザインアンテナ。古典的モデルであるためデザイン性が低く、風雨などの気候にもやや弱いものの、現在でも高い受信性能を誇る八木式アンテナ。この2機種の長所を兼ね備えるのが、2017年(平成29年)に登場した、地デジアンテナの第三世代にあたる最新モデル「ユニコーンアンテナ」です。
ユニコーンアンテナとは、日本三大アンテナメーカーのひとつ「マスプロ電工」が開発した独自の地デジアンテナモデルで、名称も同社の登録商標になっております。型番名は「U2CN(BB/WW)」になります。
その形状は高さ672ミリ、横幅143ミリ、奥行き123ミリのほぼ円筒形で、本体のカラーバリエーションも、つやのない落ち着いたブラックブロンズ(BB)とウォームホワイト(WW)の2種類になります。
本体の受信性能は20素子相当で、この円筒形のアンテナ本体をマストの先に固定し、八木式アンテナと同じく屋根の上に立てる他、サイドベースを使用して、屋根の張り出し部(破風板)や、壁面の高所などにマストで固定することも可能です。
なおその形状は、正確には一面が平面になった、カマボコやロールケーキに近い形であり、平面側がアンテナの裏側に当たります。したがって平面とは反対側の正面を、電波塔など電波の方向に向けて設置することになります。
この独創的なデザイン性の高さにより、ユニコーンアンテナは2018年(平成30年)度の「グッドデザイン賞」も受賞しております。
なおユニコーンアンテナについては、以下の各コラム記事でも詳しくご紹介しております。
・地デジアンテナの最先端、ユニコーンアンテナとは? 特徴、メリット、工事費用の相場まで徹底解説!
・台風対策に最適!地デジ「デザインアンテナ」と「ユニコーンアンテナ」とは?
ユニコーンアンテナのメリットとは?
ユニコーンアンテナの第一のメリットは、デザインアンテナにもひけを取らないコンパクトでスタイリッシュなデザイン性です。屋根の上などに設置しても、装飾物のように調和し、住宅のデザイン性を乱しません。
さらに受風面積の狭い形状から風雨や雪などを受け流すことができ、自然環境の影響を受けにくく、台風にも耐えるほどの対候性を誇り、経年劣化が進みにくくアンテナ寿命が長くなる点も、デザインアンテナと同様です。
その一方で、屋根の上をはじめ高所に設置できるため、電波を遮断しやすい周辺環境にも影響されず、受信性能が安定しやすいという、八木式アンテナと同じメリットも備えております。
デザインアンテナの場合、強電界地域や中電界地域であっても、高層建築の付近や住宅密集地などの周辺環境では、壁面など低い位置では十分な受信感度を得られず、設置できないこともございます。しかしそのような現場であっても、ユニコーンアンテナであれば、十分な受信性能を発揮し、設置できるケースが多くなります。
他にも、同じマストにBS/CSアンテナも設置できる。太陽光パネルがある住宅でも発電の邪魔になりにくい。景観地域でも設置できることが多く、越境問題も発生しにくい。またアンテナ本体の素材などは、EU(欧州連合)の有害物質使用規制「RpHS指令」に適合しており、環境にも優しいなどの点が、メリットとして挙げられます。
ユニコーンアンテナのデメリットとは?
ユニコーンアンテナのデメリットとしては、受信性能が20素子相当であり、やはり八木式アンテナの同素子数モデルから、高性能モデルには受信性能が及ばない点が挙げられます。設置位置の高さからデザインアンテナに比べると使用できる現場は多くなるものの、基本的には強電界地域から中電界地域向けの機種となり、弱電界地域では使用できないケースも出てまいります。
他にも、現時点での最新鋭モデルであることから、地デジアンテナとしては、本体価格、設置工事費用がもっとも高額になります。
ユニコーンアンテナの実売価格は、店舗にもよりますが、10,000円弱から20,000円程度です。アンテナ工事の専門業者に依頼した場合は、本体価格や設置具など込みで、30,000円から35,000円程度の設置工費となります。
また壁面に設置する場合は、やはり壁にビス穴を開ける必要がある。水平偏波専用モデルで、垂直偏波を受信するエリアでは使用できない。純和風建築など住宅の形状によっては、アンテナのデザインが不似合いになるなどの点も弱点といえます。
まとめ
外観性、耐候性などメリットが多いデザインアンテナにも、弱点はございます。そのためデザインアンテナの取り付けを検討される場合には、その弱点をもきちんと把握し、ご自宅などの設置現場で使用できるかどうか、またご自宅の環境に適したアンテナモデルや設置位置などを、きちんと確認されておく必要がございます。
当あさひアンテナにデザインアンテナ取り付けの電波調査、およびお見積もりをご依頼いただければ、綿密な電波調査によりデザインアンテナに適した現場の取り付け位置、およびさまざまな設置方法を、国産大手メーカーの高品質デザインアンテナ本体、設置部材をセットにした、業界最安値に挑むお見積もり費用でご提案いたします。
ただ現場の受信環境、周辺環境などによっては、十分な受信レベルを確保できず、デザインアンテナの設置ができないケースもございます。ただその場合も、弊社では、できるかぎりお客様のご要望に対応できるご提案をいたします。
もちろん電波調査、お見積もりに関しては、出張賞、キャンセル料などを含む完全無料でご対応しております。さらにアンテナ工事の完了後には、業界最長クラスである、アンテナ工事完了日からの「10年保証」をご用意しております。
もちろん、八木式アンテナ、ユニコーンアンテナ、BS/CSアンテナの取り付けについても、まったく同じご対応をいたしております。デザインアンテナをはじめ各種アンテナ設置のご相談は、まずは当あさひアンテナにお寄せいただければ幸いです。