エアコン2027年問題でアパート、マンションなど賃貸の古いエアコンはどうなる?エアコン交換対策・大家さんへの交渉術も解説
現在、賃貸のマンションやアパートにお住まいの方は、最近、毎月の電気代の高騰が気になっていませんか。
2026年(令和8年)も6月になって蒸し暑い日々が続き、すでにエアコンを使用している方もおられるでしょう。しかし電気代のことを思うと、エアコンの利用に罪悪感を覚える方も多いのではないでしょうか。
とくに賃貸物件では、入居時から備え付けられている古いエアコンでは、効きが悪く感じることもあるでしょう。
さらに最近では、テレビやネットのニュースで「エアコン2027年問題」という言葉を見かけた方もおいででしょう。
2027年(令和9年)度以降、エアコンの機種に規制がかかる、エアコン価格が高騰するといった情報に、「うちにある古いエアコンが使えなくなるの?」「買い替え費用がすごく高くなるのでは?」とご不安に思われる方もいるはずです。
そこで今回の記事では、このエアコン2027年問題が、特に賃貸物件にお住まいの方の生活にどう影響するのかを分かりやすく解説します。
本記事の執筆は、家電製品やエアコン2027年問題について詳しい専門のライターが担当しています。さらにアンテナ工事専門業者でエアコン設置工事にも対応し、エアコン工事や2027年問題に正確な知識を持つ「あさひアンテナ」の担当者に取材を行い、より信頼性の高い記事を追求しました。
本記事では、2027年問題の正しい知識から、賃貸物件にお住まいの方が、備品である古いエアコンを交換するにあたって、大家さんへの上手な交渉術までを網羅しています。
記事内では主に現在、賃貸物件にお住まいの方のための情報をまとめていますが、エアコン2027年問題についての情報は、賃貸住まいの方以外にも広く役立つ内容になっています。
2027年問題について、ネット上に飛び交う不確かな情報と漠然とした不安を解消し、快適な生活を手に入れてください。
本記事をお読みいただくことで、エアコン2027年問題の基礎知識から、賃貸物件での適切な対応、また家計の負担を減らすための具体的なアクションが分かります。
「エアコン2027年問題」とは?賃貸・持ち家で何が起きるのか分かりやすく解説
「エアコン2027年問題」とは、2027年を境に、エアコンを取り巻く周辺状況が大きく変わる問題です。
一言で言えば、日本の国策レベルで、環境保護のための新しいルールが本格的にスタートする年と言えます。
法律的な根拠や具体的な環境問題などを詳しく解説すると長くなりますが、一般の方のエアコン購入・買い替えについては特に専門的な知識がなくても、以下の2つのポイントさえ押さえておけば大丈夫です。
この問題は、私たちのエアコンによる電気代などの生活費や、万が一エアコンが故障したときの対応に直結します。
まずは、なぜこのような問題が起きているのか、その背景を簡単に整理しましょう。
以下は、エアコン2027年問題の原因となる主なポイントをまとめた一覧です。
※上記はエアコン2027年問題を起こす主な要因です。
以下、各要因について詳しく解説していきます。
冷媒ガスの規制強化:古いモデルは修理不能になるかも
エアコン2027年問題の1つ目の背景は、「フロン排出抑制法」による冷媒ガスの規制強化です。
エアコンが空気を冷やしたり温めたりするには、室内機と室外機を循環し、室内の熱を吸収して室外へと追い出す(暖房の場合はその逆)「冷媒ガス」という物質が必要です。
しかし、10年以上前の古いエアコンには、オゾン層を破壊するフロンガスをはじめ、地球温暖化を進めやすい古いガスが使われています。
近年では国際的な約束により、この冷媒ガスは、かつてのフロンガスから、オゾン層への影響が少ない代用フロン、そして地球温暖化への影響も少ない次世代ガスへの転換が段階的に進められています。
したがって、少し前のエアコンに使われていた代用フロンなど、古いタイプの冷媒ガスの生産と流通は2027年以降の今後、大幅に減少する予定です。
そのため、代用フロンを使用している古いエアコンが故障してガス漏れなどを起こすと、深刻な事態になります。
具体的には、修理やメンテナンス時に必要な古い冷媒ガスや部品が手に入りにくくなり、修理・修繕の費用が高騰するのです。
最悪の場合、修理対応業者に「部品がないので修理できません」と言われるリスクが高まります。特に賃貸物件のリビングにある使用年数が10年前後になるエアコンは、まさにこの対象かもしれません。
以下の一覧表で、エアコンに使われている新旧ガスの違いを確認してみましょう。
※上記は世代別のエアコン冷媒ガスの主な種類です。
省エネ基準の強化:安価なエアコンが市場から消える?
エアコン2027年問題の2つ目の背景は、国が主導する「トップランナー制度」による省エネ基準の強化です。
これは日本独自の制度で、自動車やエアコン、テレビ、冷蔵庫など、エネルギー消費量が高い製品を対象に、現在の市場でもっとも省エネ性能が高い製品を基準にし、ある年度より、すべての製品に同等の省エネ性能を義務付け、製品全体の省エネ性能レベルを引き上げる目的をもつ制度です。
そのため2027年度には、家庭用エアコンに求められる省エネ性能のハードルが格段に上がるのです。
これにより現在、流通している、省エネ性能を抑えることで低価格化を実現した安価なエアコンモデルは、新しい省エネ性能基準を満たさないため、販売できなくなります。
メーカー側としては、より高度な技術や部品を使った、高性能な省エネエアコンを製造せざるを得ません。
その結果、現在、消費者が家電量販店などで見かけるエアコンのラインナップが大きく変わります。
これまで手頃な価格で買えていた、性能を簡略化して冷暖房機能のみを重視した、低価格帯のスタンダードなエアコン機種が、市場から消えるかもしれません。
現状では、2027年以降は、高機能な部品が必要となるため、エアコン本体の価格が全体的に高騰すると予想されています。
エアコン買い替えの際の初期費用が跳ね上がることは、一般のお客様にとっても大きな痛手となるでしょう。
トップランナー制度による省エネ基準の強化がもたらす影響を、以下の一覧表にまとめました。
※上記は2027年問題(省エネ規制強化)で想定されるエアコン市場への影響です。
2027年以降のエアコン機器は、本体の高価格化が予想される一方で、その後の電気料金は低下することが予想され、長期の視点では必ずしも悪いことばかりではありません。
ただ、いずれ退去する予定の賃貸物件など長年暮らし続けることを想定していない住宅にお住まいの方にとっては、何かと難しい問題も出てきます。
エアコン2027年問題で賃貸住宅への影響は?備え付けのエアコンはどうなる?
2027年問題についての解説が終わったところで、ここからは賃貸マンション・アパートなどの物件に住む方にとって、この問題がどのような影響を及ぼすのかを詳しく見ていきましょう。
賃貸物件の場合、賃貸契約を更新する際にも、現行のエアコンなどは物件に備え付けの備品であるため「自分たちで勝手に買い替えるわけにはいかない」というのが悩ましいところです。
もし賃貸物件で真夏にエアコンが故障してしまったら、しばらくは暑い部屋で過ごすことになりかねません。
したがって、現在の物件に備え付けの古いエアコンについて、今のうちから状況を把握しておくことが大切です。
賃貸住まいの方によくある、エアコン2027年問題についての疑問を、以下の箇条書きにまとめました。
- 今のエアコンは突然使えなくなるの?
- 故障したときの修理や買い替えは誰が費用を出すの?
- 大家さんに「新しいものに交換してほしい」と頼めるの?
- 交換の工事中、家を空けなければならないの?
本項目では、これらの疑問点についてひとつひとつお答えしていきます。
今あるエアコンが急に「使えなくなる」わけではない
まず最初に安心していただきたい点を挙げます。2027年になった途端に、これまでの古いエアコンが止まる、使えなくなるわけではありません。
もちろん「古いエアコンは法律違反になるから使ってはいけない」という罰則もありません。
エアコン2027年問題の根拠となる法令「省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)」は、エネルギーを消費する、またはエネルギー消費の多い製品を生産する事業者を対象とする法令であり、個人は対象外だからです。
したがって、賃貸含むご自宅で使用しているエアコンが古いモデルだからと言って、今すぐ慌てて廃棄し、買い替える必要はありません。しかし古いエアコンを長く使い続けることには実害も伴います。
たとえば、10年前のモデルは最新機種と比べて消費電力が大きく、使い続けることで電気代が高くつきます。
エアコン2027年問題は決して嘘ではありませんが、ネット上の情報には、一部分を誇張・曲解したものも多いため、以下の表で正しい事実を確認しておきましょう。
※上記はエアコン2027年問題でよく聞かれる誤った情報と、正確な訂正情報になります。
賃貸のエアコンは誰の負担?大家さんに交換を交渉するコツ
さて、話を本題である賃貸物件の問題に戻しましょう。
賃貸物件の備え付けエアコンが寿命を迎えた場合、その交換費用は原則として大家さんの負担です。
まずは賃貸借契約書を確認し、エアコンが「設備」として記載されているか確認しましょう。「残置物(前の住人の忘れ物)」となっている場合は、自己負担になるため注意が必要です。
設備であれば、故障した場合はもちろん、現状で冷暖房の効きが悪い、異音がするなどの不具合や電気代の負担を理由に、交換を交渉することが可能です。
管理会社や大家さんに対して、角が立たないようにエアコン交換を相談するためのステップを、以下に紹介します。
- 契約書の確認:エアコンが「設備」であることを明確にする。
- 現状の記録:製造年(本体下部にシールあり)と、効きの悪さをメモする。
- 管理会社へ連絡:「10年以上前の機種で効きが悪く、夏場の故障が不安」と伝える。
- 大家さんのメリットを提示:最新機種への交換が物件の価値向上に繋がることを匂わせる。
大家さんにとっても、真夏にエアコンが壊れて住人からのクレームになるのは避けたい事態です。
ここまででご説明した、2027年以降はエアコン製品の値上がりが予想されることや、現在のモデルは省エネ性能が高く物件の価値が向上することなどを交えて、「今のうちに交換した方が大家さんにとってもお得ですよ」というスタンスで話してみてください。
以下の一覧のように大家さん側のメリットを理解しておき、住人と大家さんがWIN-WINになることを意識し、その点を強調することで、交渉がスムーズに進みやすくなります。
※上記は物件の大家さんにとっての、2026年中にエアコンを交換する主なメリットの例です。
エアコン2027年問題に向けて賃貸で新機種を選ぶなら?気になる値段の動向と選び方
この項目では、もし大家さんからエアコン交換の承諾を得て「予算内であれば機種を選んでいい」と言われた、または自分で買うことになった場合の対策をご紹介します。
賃貸物件に限らず、今後はどのようなタイミングで、どのようなエアコンを選定すべきかを知っておいてください。
エアコンの価格が高騰する前に賢く動くことで、大きな出費を抑えることができます。
ここでは新しいエアコン選びの基準となる、主に以下のような値段の動向と性能のチェックポイントを解説します。
- いつ買うのが一番お得なのか?
- 2027年以降はどれくらい値段が上がるのか?
- 電気代を確実に安くするにはどこを見ればいいのか?
- 自分の部屋に合う適切なサイズはどう決めるのか?
2027年に向けてエアコンの本体価格はどうなる?
省エネ基準が強化される2027年に向けて、エアコン市場は大きく揺れ動きます。
多くの専門家が、2026年後半の近い将来に「駆け込み需要」が発生すると予想しています。
価格が上がる前に低価格帯のエアコンを買おうとする人が殺到し、在庫の製品不足や工事の予約待ちが起きて、エアコン製品や工事業者の確保が難しくなるでしょう。
エアコン市場や工事の閑散期である春や秋に合わせて計画的に動くことが、諸費用をもっとも安く済ませるコツといえます。
今後の市場動向の予想を、以下のカレンダー表にまとめました。
※上記は2026年時点で今後予想されるエアコン市場の変化です。
電気代を抑える!省エネ性能を重視したエアコンの選び方
新しくエアコンを選ぶ際は、本体の安さだけでなく「省エネ性能」を重視して判断しましょう。
特に持ち家や今後、長くお住まいになる物件の場合、エアコンの初期費用が少し高くても、毎月の電気代が安くなれば、数年で元が取れるケースが多くなります。
とくに、共働きで家にいる時間が長い休日や、夏・冬の夜間の電気代、また在宅勤務が多い方などにとっては、電気代の面で大きな差になります。
まずはエアコンの性能を見極めるためのチェックポイントを、以下の箇条書きでご紹介します。
- 統一省エネラベルの確認:星の数が多いほど、省エネ性能が高いことを示します。
- APF(通年エネルギー消費効率)を見る:この数値が大きいほど、効率よく冷暖房ができます。
- 適用畳数を部屋に合わせる:部屋より小さい能力のエアコンは、常にフル稼働になり電気代が無駄にかかります。
- 年間目安電気料金の比較:カタログに載っている目安料金を見比べて、ランニングコストを計算します。
これらを基準に選ぶことで、結果的に家計への負担を最小限に抑えられます。
エアコン性能でとくに重要な指標については、以下の表で詳しく解説します。
※上記はエアコン省エネ性能で特に重要なポイントの解説です。
お得に快適な暮らしを!エアコンで家計の負担を減らす補助金と引っ越し時の注意点
現在では省エネ性能の高いエアコンの買い替えには、国や自治体の補助金制度を活用できる場合があります。
経済的な負担を減らすためにも、購入前に必ずお住まいの地域の制度を調べましょう。
また、今後お引っ越しを考えている方は、物件選びの基準を少し変える必要があります。
「家賃の安さ」だけでなく、「備え付け設備の若さ」が結果的に生活費や満足度を左右する時代です。
そこで、引っ越し時の内見で省エネ(電気代軽減)のためにチェックすべきポイントを、以下の箇条書きにまとめました。
- エアコンの製造年シールの確認:内見時に下から覗き込んで、製造年を必ずチェックする。
- 10年以上前の機種なら交渉:入居の条件として、新品への交換をお願いしてみる。
- 照明器具のチェック:古い蛍光灯も順次製造終了になるため、LED照明かどうかも確認する。
- 建物の断熱性:窓が二重サッシになっているかなど、冷暖房が効きやすい部屋を選ぶ。
また、エアコンを新調する際に使えるかもしれない国や各自治体の補助金制度の例を、以下の表に示します。
※これらの制度は年度や地域によって変わるため、最新情報は自治体のホームページ等でご確認ください
まとめ:正しく備えてエアコン2027年問題を乗り切ろう
今話題の「エアコン2027年問題」の本質は、CO2の排出を減らして温室効果を抑える自然環境保護のための、冷媒ガスの規制と省エネ基準の強化による複合的な変化です。
そのため2027年以降は、従来の省エネ性能を抑えた安価なエアコンが減り、冷媒ガスの不足により古い機種の修理も困難になることが予想されます。
しかし、だからといってネット上の不確かな情報に怯えたり、今あるエアコンを急いで捨てて買い替えたりする必要はありません。
この問題についての正しい知識を持ち、冷静に準備を進めることで、家計への影響は最小限に抑えられます。場合によっては、省エネ性能の高いエアコンで電気代を軽減できるようになるチャンスとなるかもしれません。
最後に、読者の皆様が、今日からできる3つのアクションプランをまとめました。
- 自宅のエアコンの製造年と、契約書の「設備」の項目を今すぐ確認する。
- 効きが悪い場合は、真夏が来る前に管理会社へ「事前の点検と交換」を相談する。
- 今後引っ越す際は、備え付けエアコンの省エネ性能を物件選びの条件に加える。
これらを実践することで、エアコンの急な故障や高い電気代に悩まされるリスクを回避できます。
これから健康にかかわる猛暑が予想される季節、電気代を抑え、夏も冬も快適に過ごせるお部屋の環境をしっかり守っていってください。




