BS/110度CSアンテナで安定して衛星放送を受信できる設置の場所とアンテナの向きや角度を正確に調整する方法
指向性の高い衛星放送用BS/110度CSアンテナで安定したBS放送、CS放送の受信を実現するため、戸建住宅においてBS/CSアンテナを設置できる主な場所から、アンテナの向きや角度の調整に必要な情報。実際に正確な向き、角度でしっかりとアンテナを設置する方法について解説する記事です。
今日では、ご家庭に設置されるテレビアンテナも、地上デジタル放送(地デジ)を受信するための地デジアンテナだけでなく、衛星放送を受信するためのBS/CSアンテナもセットで設置されることが多くなっております。
2023年(令和5年)現在の衛星放送には、地デジ放送と同じくNHK、各広域民放などの無料放送チャンネルおよび、複数の有料チャンネルがあるBSデジタル放送。そして80チャンネル以上の有料チャンネルから好きなチャンネルを選んで契約、視聴できるCSデジタル放送の二種類がございます。
このような各チャンネルでは、ドラマ、バラエティなど衛星放送のオリジナル番組から、最新の映画作品、珍しい海外ドラマや懐かしのテレビ番組など、地デジ放送では視聴できないさまざまな番組を楽しむことができます。
さらに2018年(平成30年)には、衛星放送の4K8K放送である「新4K8K衛星放送」が、BS放送、CS放送にそれぞれ4K8K放送を追加する形でスタートしており、地デジ放送にはない衛星放送独自の魅力は、より大きくなっております。
ただ地上に設置された電波塔から、各種地デジアンテナによって地デジ電波を受信する地デジ放送とは違い、衛星放送は地球の上空、約36,000キロの赤道軌道上に位置する人工衛星から放射される電波を受信するため、アンテナを設置できる位置や方角、設置する角度などの制約が、地デジアンテナよりはるかに厳しくなります。
そのためお客様がご自宅で「ここに地デジアンテナとBS/CSアンテナをまとめて設置したい」と想定されていた設置位置が、実際には衛星放送の受信に適さないため、設置できないというケースもございます。
またBS/CSアンテナの設置は、ご自宅の条件が整っていれば、専門業者に工事を依頼せずご自分でのDIY設置も可能となります。しかしその場合も、衛星放送を的確に受信できる設置位置の確保、およびBS/CSアンテナを正しい向きに向けて、精密な角度調整を行うことが最重要課題となります。
当コラムでは、2023年度の最新情報に基づいて、戸建住宅などで衛星放送用のBS/CSアンテナを設置できる主な位置と、各位置における受信感度など設置のメリット、デメリットや注意点。そして衛星放送を適切に受信するための、BS/CSアンテナを向ける方向や、正確な角度調整の方法について解説いたします。
当コラムをご参考にしていただくことで、ご自分でBS/CSアンテナを設置される場合、またご自宅で手が届きやすい位置にあるBS/CSアンテナの角度がずれた際などの角度調整も、適切に行っていただけることと存じます。
BS/CSアンテナを設置できる位置、角度の条件とは?
現在、日本で衛星放送を受信するために設置されるBS/CSアンテナは、いわゆる「パラボラアンテナ」として知られています。
これは内側が放物局面を描く大きな皿のような反射器、またはディッシュ(dish:英語で「皿」の意)をもち、このディッシュを人工衛星からの電波が届く方向へと向け、正確に正面から電波を受け止められるよう角度を調整して、放物面に反射させた電波をディッシュの中心部に集中させ、その位置に設置された「コンバーター」の一時放射器に集めるという方法で電波を受信するアンテナです。
そして衛星放送とは、地上から約36,000キロ上空の宇宙空間、赤道の周回軌道上で地球の自転に合わせて周回するため、地上から見れば常に上空でも特定の位置に静止しているように見える人工衛星のことです。
日本の衛星放送には、使用される人工衛星の種類別に、BS放送、CS放送がございます。
BS放送は「放送衛星」を使用した衛星放送で、地デジ放送と同じく、不特定多数に向けた放送を行う衛星放送です。現在は東経110度に位置する人工衛星を使用しており、放送されるチャンネルには、地デジと同じNHK、各広域民放をはじめとする無料放送チャンネル。そして「wowow」その他の有料チャンネル、合わせて28チャンネル(2023年現在)になります。
CS放送は「通信衛星」を使用する放送衛星で、契約を行った世帯を対象にした放送を行う衛星放送です。CS放送の通信衛星には東経110度、124度、128度に位置するものがございます。放送内容は大半が有料チャンネルになりますが、BS放送に比べて多チャンネルが特徴で、個々のチャンネルと契約することにより、お好みに合わせたさまざまなコンテンツがご視聴いただけます。
なおCS放送のサービスには、使用する通信衛星ごとに、約80チャンネルの110度CS放送「スカパー!」。すべてハイビジョン放送の約140チャンネルと100のラジオチャンネルがある、124度128度CS「スカパー!プレミアムサービス」がございます。
これらの衛星放送は、住宅などの建造物にBS/CSアンテナを設置して衛星からの電波を受信し、ケーブルで屋内のテレビ、レコーダーなどのBS/CSチューナーに送信することでご視聴いただけます。
BS/CSアンテナ、および衛星放送については、以下の各コラム記事に詳しい解説がございますので、よろしければご確認ください。
衛星放送用BSアンテナ設置工事と基礎知識。自分で設置する方法とは? CS放送とは?
衛星放送用BS/CSアンテナの種類と性能とは? 地デジテレビアンテナとの違い、設置工事の方法から機種の選び方まで徹底解説!
BS/CSアンテナを設置する上での注意点
衛星放送は、宇宙空間にある人工衛星から電波を送信する形式のテレビ放送であるため、地デジ放送にない多くの特性がございます。
そのため電波の受信および、BS/CSアンテナの設置に関してもさまざまな制約が生じてまいります。
以下、BS/CSアンテナを設置する際の主な注意点、5点について解説してゆきます。
1:BS/CSアンテナの種類によって受信できる放送に違いがある
現在の一般的なBS/CSアンテナといえば、主にBS放送、および110度CS放送を受信することができる、BS/110度CSパラボラアンテナのことになります。これはどちらも人工衛星が東経110度の方向に位置するため、一基のBS/CSアンテナで受信できるためです。
ただ前述した、124度128度CS放送(スカパー!プレミアムサービス)については、衛星の角度が異なるため、ご視聴になるためには別個に専用のプレミアムサービス専用アンテナを設置する。またはBS放送および110度、124度、128度CS放送、そして後述する新4K8K衛星放送のすべてを受信できるマルチアンテナを設置する必要がございます。
他にも2018年(平成30年)にスタートした衛星放送の4K8K放送「新4K8K衛星放送」は、BS放送、CS放送にそれぞれ新しく4K、8K対応のチャンネルを複数、追加したものです。ただ4K8Kチャンネルの追加にあたり、従来の2K衛星放送に使用されていた電波「右旋円偏波」では、チャンネルに割り当てられる周波数帯が不足しました。
そのためBS放送のNHK、広域民放の4Kチャンネルを除く、大半の4K8Kチャンネルのために新しく「左旋円偏波」という電波を導入し、各チャンネルに割り当てました。しかし新4K8K衛星放送のスタート以前に使われていた2K放送対応のBS/CSアンテナでは、この左旋円偏波は受信できなくなっております。
新4K8K衛星放送のすべてのチャンネルを受信するためには、4K8K対応のBS/CSアンテナが必要となります。今日、市販されるBS/CSアンテナは、ほぼすべてが4K8K対応型になっておりますが、住宅などに設置されたBS/CSアンテナの時期が古く、2K対応型のままである場合は、新4K8K衛星放送のチャンネルがほとんど視聴できなくなります。
また2K4K8K対応型BS/CSアンテナで受信した12GHz帯の電波は、コンバーターでテレビ電波に適したMHz(メガヘルツ)帯の周波数に変換されますが、このときも左旋の電波は右旋より周波数帯が高くなります。そのため新4K8K衛星放送のご視聴には、アンテナ本体だけでなく、アンテナケーブルの途中に設置されるブースター、分配器などの機器も、4K8K(3442MHz)対応型を使用する必要がございます。
新4K8K衛星放送と、受信のために必要となる機材については、以下の各コラム記事をご確認ください。
「新4K8K衛星放送」ご視聴に必要な機器・完全チェック解説! テレビで全4K8Kチャンネルを見るための機材とは?
「新4K8K放送」を視聴するためのアンテナ工事、配線について徹底解説!
2:BS/CSアンテナは人工衛星の方向へと正確に向け、角度調整を行う必要がある
BS放送、CS放送それぞれの人工衛星から送信される衛星放送の電波には、波長の短さから直進性が強い高周波数帯が用いられます。
正確には「マイクロ波」の一種である「SHF(センチメートル波)」が使われており、周波数帯は12GHz(ギガヘルツ)前後です。
このような高周波数帯の電波は、エネルギーを集中させやすく、人工衛星から地上までまっすぐ届くため、戸建住宅に設置される45型(直径45センチ)のBS/CSアンテナでも受信しやすくなります。
ただ人工衛星から直進的に送信する電波をディッシュで反射させ、中央部のコンバーターに集めるというBS/CSアンテナ(パラボラアンテナ)の性質上、アンテナの角度は人工衛星の方向、つまり電波を正面から受け止められる方向へと正確に向けなければなりません。この角度がずれてしまうと、反射した電波の焦点がコンバーターからずれ、正しく受信できなくなります。
この角度の調整は非常に厳しく、ミリ単位のズレでも、衛星放送がまったく受信できなくなることもございます。アンテナを向ける方向は東経110度(プレミアムサービス専用アンテナは東経124度、128度)ですが、この東経110度は日本国内でも微妙に角度が異なります。
3:BS/CSアンテナを人工衛星の方向へと向けた側に障害物があると受信できない
前項でもご説明した通り、衛星放送の人工衛星から送信される電波は、周波数が高く直進性の強い電波になります。
そして電波は周波数が高い、つまり波長が短いほど、障害物にぶつかった場合、その向こう側に回り込む性質が弱くなり、障害物に遮断されやすいという弱点が生じます。
特に衛星放送の電波は波長の幅が25ミリ前後と短いため、障害物に影響を受けやすくなります。BS/CSアンテナを東経110度の方向へと向けて、アンテナと人工衛星を結ぶ直線状に高層建築物や山地などがある場合はもちろん、樹木が伸びる、また葉が茂る。その他、電柱やクレーン車、洗濯物などの障害物が重なっただけでも、十分な電波が受信できなくなることもございます。
そのためBS/CSアンテナの設置については、いま現在、人工衛星の方向に障害物がないだけでなく、設置後に建築物が建てられる、樹木が伸びて葉が茂る、洗濯物が干されるなど障害物が発生するリスクが低い位置を選ぶ必要がございます。
なおアンテナを向ける方向に建築物などの障害物が見える場合、アンテナの位置を基準とした障害物の高さより、アンテナと障害物の距離が1.5倍以上、離れていれば影響は受けません。例えばアンテナ位置より6メートル高い障害物が見える場合、障害物とアンテナとの距離が9メートル以上離れていれば、受信に関して特に問題は生じません。
4:衛星放送は日本国内の一部地域では受信レベルが低くなり、悪天候でも受信できなくなる場合がある
衛星放送の人工衛星は、直進性の高い電波を、日本国内の全域に送信しております。例えるなら宇宙空間から地球上に懐中電灯を向け、丸い光によって日本全体を照らし出しているようなイメージになります。
つまり光の中心部にあたる日本の中心部では、人工衛星との距離が短いため受信できる電波レベルは強くなりますが、光の端にあたる日本国内の北部、南端部、離島部などでは、衛星からやや距離ができる分だけ、電波レベルも弱くなってしまいます。
なおBS/CSアンテナはどれも構造が同じ分、基本的な受信性能はメーカー、モデル問わず大差はございません。ただディッシュ部の直径が大きくなるほど、受け止められる電波の量が多くなり、受信性能が高くなります。
日本国内でも中心に近いエリアであれば、前述した45型(ディッシュ直径が45センチ)のBS/CSアンテナで十分に衛星放送が受信できます。ただ北部、南端部など電波が弱くなるエリアでは、十分な受信のために、50型や60型、75型など、ディッシュ部がやや大型のBS/CSアンテナを使用することが多くなります。
なおディッシュ直径の大きなBS/CSアンテナは、その大きさに応じた規模の集合住宅で共同受信用としても使用され、大型マンションなどでは90型、120型なども用いられます。
また衛星放送の電波はその波長の短さから、波長の幅に近い強い雨や雪や降った際には、電波が吸収され、乱反射なども発生して、BS/CSアンテナで十分な電波の受信ができなくなります。これは「降雨減衰」「降雪減衰」と呼ばれる現象です。この減衰はやや大型のBS/CSアンテナを使うことである程度、抑えられますが、基本的には天候の回復によって解消されます。
5:BS/CSアンテナには電源の設定が必要となる
BS/CSアンテナは、人工衛星から送信された12GHz帯の高周波数の電波を受信した後、電波を集めたコンバーター部にて、右旋円偏波は1032MHzから2072MHz、左旋円偏波は2224MHzから3224MHzの周波数帯に変換して、ケーブルでテレビ、レコーダーなど受信機器のBS/CSチューナーへと送信します。これは12GHz帯の電波をケーブルで送信すると、減衰量が激しくなってしまうためです。
このコンバーターが作動しない限り、BS/CSアンテナから電波を送信できないことになりますが、その作動には電源が必要となります。
BS/CSアンテナ(コンバーター)の電源は、電波レベルを増幅するためアンテナのすぐ近くに設置され、やはり電源を必要とするブースター。またはテレビやレコーダーなど受信機器のチューナー端子から、アンテナケーブルを通じて供給されます。
なおテレビなど受信機器からBS/CSアンテナ側に電源を供給する場合は、機器側でBS/CSアンテナの電源設定を行う必要がある他、ケーブルの途中に設置される「分配器」も、電源の供給方法に合わせたモデルが必要となります。
BS/CSアンテナへの電源供給や設定の方法については、以下のコラム記事で詳しくご説明しております。
BS/CSアンテナには電源が必要? テレビから衛星放送用アンテナに電源設定を行う方法
戸建て住宅などでBS/CSアンテナを設置する位置の条件
戸建て住宅などにBS/CSアンテナを設置する場合には、上記した衛星放送やBS/CSアンテナの特性、その他さまざまな条件を踏まえて、最適となる設置場所を決めることになります。その目安となる要素には、主に以下の4点が挙げられます。
1:衛星放送の受信感度
上記の項でご説明した通り、BS/CSアンテナを設置する場所の必須条件は「アンテナを東経110度(南西)または東経124度、128度(南南西)の方向へと正確に設置できる」「アンテナを向ける方向に電波を遮断する障害物が存在しない」の二点になります。
この二点をクリアでき、なおかつアンテナをしっかりと固定できて、アンテナ本体のブレや角度のズレなどが生じにくい、また将来にわたってアンテナを向けた方向に障害物が発生する可能性が低いことで、安定した衛星放送の受信を実現できる場所が、BS/CSアンテナ設置に適しているといえます。
2:地デジアンテナと合わせたアンテナや配線の整理
戸建て住宅にテレビアンテナを設置する場合は、まず地デジアンテナの設置を前提として、BS/CSアンテナを追加設置するかどうかを決めることになります。そして地デジとBS/CSアンテナの双方を設置する場合は、アンテナ配線を「混合器」で一本化して施工をシンプルにするため、できるだけ近い位置に設置されます。
現在の主な地デジアンテナには、屋根の上に立てる昔ながらの「八木式アンテナ」の他、薄型で壁面などに設置できる「デザインアンテナ」や、ポール状で屋根の上などに立ててもスタイリッシュな「ユニコーンアンテナ」がございます。
八木式アンテナ、ユニコーンアンテナであれば、それぞれを立てるマスト(支柱)にBS/CSアンテナも設置できます。また壁面に設置されるデザインアンテナの場合は、BS/CSアンテナも近い位置の壁面やベランダ、屋根の上など、地デジ、BS/CSアンテナとも、それぞれの受信条件を踏まえつつ、アンテナ機種の特性を生かせるという前提で、双方の設置位置を決めることになります。
地デジ、BS/CSアンテナのセット設置に関しては。以下のコラムにも解説がございます。
地デジアンテナとBS/CSアンテナをセットで設置する工事とは? 地デジ用、衛星放送用テレビアンテナの種類とその違いを解説
3:風雨などの避けやすさ
風雨や雪などの気候、自然環境は、屋外に設置されるテレビアンテナに負担を与え、経年劣化を進行させる大敵となります。
特にBS/CSアンテナはディッシュの形状から風などに影響されやすく、さらにわずかな角度のズレが受信性能を大きく低下させてしまうとから、風雨などを避けうる位置への設置も重要となります。
主な設置位置としては、BS/CSアンテナを南西方向に向けることができて障害物がないという点を大前提に、ベランダの内外、また風雨を避けやすい側の壁面などが選ばれます。
他にも風雨などへの対策には、アンテナ本体に撥水加工を施す。防雪カバーを取り付ける。さまざまな工夫を凝らした高耐風モデルを使用するなどの対策がございます。
中でもBS/CSアンテナの高耐風モデルについては、以下のコラム記事で詳しくご紹介しております。
台風対策に最適! 究極の高耐風BS110度CSアンテナ「BC453SG」(DXアンテナ)
4:住宅の外観性
近年ではデザイン性の高い住宅が多くなり、お住まいの方は、アンテナ機種や設置位置の選択により、住宅の外観性を乱さないことにこだわる方もおられます。特に地デジアンテナと異なり、BS/CSアンテナはパラボラアンテナの一種類のみとなるため、住宅の見た目にこだわる場合には、外部から見えにくい場所への設置が必要となります。
主な設置位置としては、やはり衛星放送を受信を確保できる位置を大前提に、ベランダの内側、屋根の中央部や差し掛け屋根の段差部分など、外部からアンテナ本体が見えにくい場所が選ばれます。
またBS/CSアンテナの本体色は、太陽光の影響を抑えられる白色系が主ですが、近年では太陽光に影響されにくい塗料を用いたカラーバリエーションも登場しております。そのため黒など目立たない色のBS/CSアンテナを選ぶという方法もございます。
戸建て住宅における主なBS/CSアンテナの設置位置とそのメリット、デメリット
ここでは戸建住宅でBS/CSアンテナを設置できる主な5点の場所について、その特徴やメリット、デメリットなどを解説いたします。
1:住宅の屋根の上
一般的にテレビアンテナの設置位置として選ばれることが多いのは、やはり屋根の上になります。
屋根の上であれば、360度を見渡せるため設置場所の制約が少なくなり、どこに設置しても角度調整が行いやすく、また周辺の障害物の影響も受けにくくなります。総合的に、衛星放送の受信には有利な場所と言えます。
また地デジアンテナが八木式アンテナ、ユニコーンアンテナである場合は、同じマストにBS/CSアンテナを設置することもできます。
デメリットとしては屋根の上で目立ちやすく、住宅の見た目を乱しやすい点ですが、この点は現場の条件によっては、設置位置の工夫である程度、カバーすることも可能です。
ただ屋根の上では台風などをはじめとする風雨の影響を受けやすく、BS/CSアンテナの大敵である角度のズレもやや生じやすくなります。また屋上にテラス空間がある住宅などを除けば、屋根の上でのアンテナ角度の調整には大きな危険が伴うため、お住まいの方による作業は難しく、アンテナ工事の専門業者に依頼する必要が生じます。
2:住宅の壁面
住宅の壁面に専用の設置具を設置し、そこにマストを立ててBS/CSアンテナを設置する方法です。
設置位置は、BS/CSアンテナを東経110度などに向けられる側の壁面に限られますが、比較的、高い位置を取りやすく障害物の影響を避けやすい。また設置場所の工夫によっては外部から目立たない、風雨を避けやすいなどの設置も可能となります。
デメリットは、壁に固定具を取り付けるため、壁面にビス穴を開けなければならない。また屋根の上に比べると設置位置の制約が多く、障害物などに影響される可能性も高まる。またやはりご自宅でのメンテナンスや角度調整が難しいといった点になりますが、設置位置が住宅の窓やベランダなどに近い場合は、ある程度、ご自宅での角度調整も行いやすくなります。
3:住宅のベランダ内外
住宅のベランダの手すり部、内側などにBS/CSアンテナを設置する方法です。やはりこの場合も、ベランダから東経110度などの方向が見渡せ、その方向に障害物が存在しないことが大前提となります。
メリットはアンテナに手が届きやすいやめ、メンテナンスやトラブル時の角度調整などが安全に行える。風雨なども比較的、避けやすい。ベランダ内部への設置であれば外部から見えなくなり、住宅のデザインを乱さないという点になります。またベランダであれば、ご自宅にてご自分でのDIYによるBS/CSアンテナ設置も比較的、行いやすくなります。
デメリットとしては、ベランダが東経110度を向いている必要がある他、設置位置がやや低くなるため、樹木など周辺の障害物に影響を受ける確率が高くなる。またベランダ内に洗濯物が干される。人が立つなどのことでも、アンテナの障害物となって受信に支障が生じる場合もあるなどの点が挙げられます。
4:庭先などに設置したポール
庭先にアンテナ用の高いポールを立て、その先に地デジ、BS/CSのアンテナを設置する方法です。住宅によっては設備としてこのようなポールが付属していることもございます。
メリットは屋根の上と同じくアンテナを高所に設置でき、角度調整が行いやすく周辺の障害物に影響されにくい。住宅そのものに手を入れる必要がない。豪雪地帯でも屋根の上へ設置する場合のような積雪に影響されにくいなどの点がございます。
デメリットは積雪以外の風雨などに影響されやすい。ご自宅でのアンテナ角度調整やメンテナンスが難しく、専門業者に依頼する必要がある。ポール自体が目立つ。一から設置する場合は費用が掛かるなどの点が挙げられます。
5:室内空間の窓際
一定の条件が整った部屋であれば、BS/CSアンテナを専用のスタンドに立てて、室内空間に設置することも可能です。
可能となる条件は、室内に東経110度などの方向を向いて、その方向に障害物などがない窓がある。窓ガラスが一定の大きさで、シンプルな透明ガラスであり衛星放送の電波を通しやすいといった点になります。
そのメリットは、アンテナを室内に置くため風雨などを避けられて経年劣化を大きく抑えられる。設置が比較的、簡単なためご自分によるDIY設置も行いやすく、設置費用を軽減できるという点になります。
デメリットは、そもそも設置できる条件が厳しい。衛星放送の電波が窓ガラスを通るため電波レベルがやや低くなり、場合によっては衛星放送のご視聴時に窓を開ける必要が出る。アンテナが部屋の空間を取り、アンテナに触れてしまうことで角度のズレなどが生じやすい。アンテナを一台のテレビと接続するだけなど、簡単なアンテナ配線しかできないなどの点が挙げられます。
BS/CSアンテナの室内設置に関しては、以下の各コラム記事でも詳細を解説しておりますので、ご参照ください。
室内に衛星放送用のBS/CSアンテナを設置してBS放送、CS放送のテレビ番組を観る方法、5大チェックポイント解説!
BS/CSアンテナの向き、角度を正確に調整する方法
BS/CSアンテナをご自分でDIY設置される場合や、ベランダなど安全な位置にあるアンテナで角度のズレが生じた場合など、ご自分でBS/Csアンテナの向き、角度調整を行われる場合の手順は、以下の方法になります。
なおここでは、東経110度に向けて設置するBS/110度CSアンテナの設置を前提にお話ししますが、東経124度、128度に向けるプレミアムサービス専用アンテナや、すべての衛星に合わせるマルチアンテナも、角度が異なるだけで基本は同じです。ただこれらのアンテナは向ける衛星の数が多い分、角度の調整がより厳しくなりますのでご注意ください。
まずBS/CSアンテナを、衛星放送を受信しやすい好天の日に、角度調整ができる状態にする必要がございます。
ご自分でDIY設置を行われる場合は、まずBS/CSアンテナを設置位置に取り付け、角度調整部のボルトを軽く緩め、角度を微調整しやすい状態にしてください。その状態で、テレビ、レコーダーなど受信機器との配線を行い、テレビなど受信機器側から、設定画面で「電源設置」を行い、アンテナのコンバーター部に通電して、テレビ側で衛星放送の電波が受信できるようにします。
また既設のBS/CSアンテナの角度調整を行う場合も、アンテナとテレビなどの配線はそのままで、ブースターに通電して、テレビなどの側に衛星放送の電波が届く状態で、角度調整部の固定を軽く緩めてください。配線部が正しく接続されず、アンテナ側に電源が供給されない、テレビ側に電波が届かない状態では、正確な角度調整が行えませんのでご注意ください。
そしてBS/CSアンテナの角度調整では、仰角(アンテナの上下角)と方位角(左右角)の双方を調整する必要がございます。また前述のように東経110度と言っても、実際には日本国内の各地域により、角度に微妙な違いがございます。
各地域における角度の確認を行う方法には、まず国内大手アンテナメーカーのひとつ「日本アンテナ」さんが提供する、国内の各地域において、東経110度の正確な角度を確認できるスマートフォンアプリ「BSコンパス」がございます。このアプリでは、各地域におけるBS放送衛星の角度を示すコンパスが表示され、地域を設定して設置するBS/CSアンテナに添わせる形にして角度を確認することで、アンテナが角度ごとに正確な仰角、方位角を向いているか、一目で確認できます。
他にも、インターネット上には日本の各地域での東経110度の仰角、方位角の一覧を表示しているサイト。またアンテナ本体の角度調整部分に、各地域の東経110度の方向を示している製品もございますので、これらも利用して、東経110度の方向にアンテナを向けるとよろしいでしょう。
ただBS/CSアンテナを各地域の東経110度に向けることで、衛星放送の電波を受信できる状態になっても、それだけでは不十分です。
衛星放送が受信できる角度であっても、受信できる電波レベルはわずかな角度の差で変わってまいります。そのため、受信できる電波レベルがもっとも高くなる角度に、アンテナを微調整する必要がございます。この微調整が不十分であると、衛星放送の受信が安定しない、またわずかな角度のズレで受信できなくなるといった事態も考えられます。
そして受信できる電波レベルを確認する、もっともシンプルな方法は、BS/CSアンテナに接続したテレビ側で「アンテナレベル」画面を表示することです。アンテナレベル画面はテレビなどの設定画面から表示可能ですが、正確な表示方法や数値の基準などは機器によって異なりますので、テレビなどに付属のマニュアル、またはメーカーの公式サイトなどでご確認ください。
テレビ側でアンテナレベル画面を表示した後は、BS/CSアンテナ角度の微調整を行います。仰角、方位角ごとに、それぞれ少しずつ角度を調整して、テレビ側のアンテナレベルの変化を確認します。そしてそれぞれの角度でアンテナレベルがもっとも高くなる角度を見出して、その角度でボルトを締め込み、アンテナをしっかりと固定します。
手順そのものは簡単に思えますが、ただアンテナの角度を少しずらした後、テレビ側で調整したアンテナレベルが反映されるまでには数秒かかります。そのため、アンテナの角度を少し動かすごとに数秒待ち、アンテナレベルの数値を確認することを繰り返して、もっとも高くなる角度を見出すという、時間のかかる作業になります。またBS/CSアンテナとテレビの設置位置が遠い場合は、一人で双方を確認することは難しくなりますので、二人以上で作業を行う必要も出てまいります。
ただテレビ画面でアンテナレベルを確認する他にも、BS/CSアンテナとテレビなどをつなぐケーブルの間に接続することで、衛星放送の電波レベルを一目で確認できる「BS/CSインジケーター(レベルチェッカー)」と呼ばれる機器もございます。
この機器であれば、ケーブルを通る電波レベルが素早く反映され、一目で確認できるため、アンテナ角度の調整作業が簡単に行えます。価格も1,000円台で購入できる品もございますので、角度調整に備えて購入されておくのもよろしいでしょう。
なおBS/CSアンテナのDIY設置と、その際の角度調整の方法については、以下のコラム記事でも詳しくご説明しております。
自分でDIY取り付けも可能? 衛星放送用BS/CSテレビアンテナのさまざまな設置方法と工事を行う際の注意点
まとめ
BS/CSアンテナの角度調整は、衛星放送の受信環境を決める重要な要素です。そのためDIY設置を行われる場合も、綿密に調整しておく必要がございます。
またある程度、老朽化が進んだBS/CSアンテナでは、ときに角度のズレによる受信不良が生じることもございます。BS/CSアンテナの設置位置が、ベランダなどの作業が安全に行える場所であれば、ご自分での角度調整により、お手軽に復旧できます。
その他、BS/CSアンテナやその設置に関する情報については、以下の各コラム記事でもそれぞれご説明しております。
地デジ・衛星放送のテレビアンテナ設置で、受信性能や見栄えが最適の場所や位置は? 設置場所による工事の方法や費用も徹底解説
テレビアンテナ設置場所のポイント(地デジ・BS/CSアンテナ編)
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