デザインアンテナの魅力とメリットとは
テレビのアンテナというと、屋根の上に設置されている、金属製で魚の骨を組み合わせたような形状のものを連想する人が大半でしょう。この形のアンテナは、一般的には「八木式アンテナ」と呼ばれていて、まだテレビが白黒だった昭和の昔から、地デジになった現在でも、住宅の屋根にいくつも見られるものです。
しかし近年のデザイン性が高い新築住宅には、このタイプのアンテナが見当たらないこともあります。といってももちろん、その家では地デジのテレビ番組が観られないわけではありません。このような住宅では、地デジ工事にあたって、最近の流行であるデザインアンテナを採用しているのです。
デザインアンテナとは、主に薄型の平面状で、壁面に設置するアンテナのことです。デザインアンテナは小型で見栄えがよい上に、壁面に設置するため、八木式アンテナのように強風などで倒れる可能性がほとんどなく、アンテナ修理やメンテナンスも簡単にできるという利点があります。反面、デザインアンテナは八木式アンテナに比べて、価格が高いわりに性能が低いとも言われています。
ここでは、八木式アンテナとデザインアンテナの違い、それぞれの基礎知識と、メリットとデメリットを解説していきます。今後、アンテナ交換や設置を考えておられる方は、このコラムを参考にして、どちらのアンテナがいいかを決めていただければと思います。
一世紀近い伝統と信頼性を誇る「八木式アンテナ」
一見、魚の骨に似た、いかにもアンテナらしいテレビアンテナは、一般に「八木式アンテナ」「八木アンテナ」と呼ばれるものです。
八木式アンテナとは、1926年に東北帝国大学工学部の八木秀次博士が特許を取得したアンテナで、横の支柱から平行に並ぶ形で、電波をキャッチして輻射管に送る複数の導波管、電波を受信してテレビに送る輻射管、輻射管をすり抜けた電波を反射させる反射管のアンテナ素子が並んでいます。そのため、一見すると魚の骨のような形になるのです。
八木式アンテナには、アンテナ素子を増やすことで電波の利得(ゲイン)が高まり、また一定方向からの電波を受信する指向性が高まるという特徴があります。現在では、八木博士と共同でアンテナを発明した宇田新太郎博士の名前も取って、正式には「八木・宇田アンテナ」と呼ばれることが多くなっています。。
ちなみに八木式アンテナの特許が認められた1926年といえば昭和元年、2018年現在から数えて92年前で、小説「鬼龍院花子の生涯」で知られる作家、宮尾登美子さんや、ショートショートで有名なSF作家の星新一さん、また先ほど亡くなられた名女優、菅井きんさんが生まれた年でもあります。当時、八木アンテナは日本よりもアメリカやイギリスなどで高く評価され、軍部におけるレーダーの性能を飛躍的に向上させました。そのため現在でも海外で「Yagi-antenna」の名はよく知られてます。
テレビアンテナとしての八木式アンテナは技術の進歩につれ、形状が洗練され、性能や耐久性も高いものへと変わってきていますが、基本的な仕組みは現在でもほとんど変わっていません。それだけ優れた基本構造を持つアンテナだと言えるのです。
新たなニーズに応えて誕生した「デザインアンテナ」
デザインアンテナとは、主に薄型の平面状で、壁面に設置するアンテナのことです。住宅の外観を損ねたくない、アンテナが倒れる事故のリスクを避けたい、といったお客様のニーズから開発されたアンテナで、平面アンテナ、壁面アンテナ、フラットアンテナなどと呼ばれることもあります。
デザインアンテナは小型、薄型で見栄えがよい上に、カラーバリエーションも多く、ご自宅の外壁とほぼ同じ色を選ぶことができます。形状も四角形や六角形などさまざまなものがあり、一見、壁の装飾にも見えるため、住宅のデザイン性を損ねることがありません。また壁面に設置するため、八木式アンテナのように強風などで被害を受ける可能性が低く、アンテナ工事も簡単になり、メンテナンスや修理も楽にできるという利点があります。一方、八木アンテナに比べると、価格が高いわりに性能が低いとも言われています。
当あさひアンテナでは、デザインアンテナの設置を、本体価格とアンテナ工事費用を合わせて20000円からで行っております。もちろんご相談から即日で設置作業に取り掛かることも可能です。八木式アンテナに比べるとやや割高になりますが、価格よりデザイン性にこだわるお客様であれば、選ぶ価値がある製品になっております。
八木式アンテナのメリットとデメリット
デザインアンテナと比較した八木式アンテナのメリットは、やはり確実な電波の受信が望めることです。日本のテレビ放送の黎明期から、細かい改良はあっても、基本構造は同じ八木式アンテナが一貫して使われているという事実が、その信頼性の証といえるでしょう。
特に八木式アンテナは素子数によって電波の利得や指向性が高まるため、電場状態が悪い環境であっても、設置する高さや角度を調節することによって確実に電波をキャッチし、地デジ放送を視聴することができます。またアンテナの製作や設置の技術も確立されているため、比較的リーズナブルに設置することが可能です。当あさひアンテナでは、最新型の八木式アンテナの料金と工事費を合わせ、15000円からの価格で設置を請け負います。
八木式アンテナのデメリットとしては、ほとんどの場合は屋根の上に設置するため、プロの業者でないと設置工事やメンテナンス、故障時の修理などが難しくなる点です。また雨風や雪などの影響を受けやすいため、経年劣化は避けられず、激しい台風や竜巻などに見舞われれば、アンテナが倒れるリスクが生じるといった弱点もあります。八木式アンテナの寿命は平均でおよそ十年程度ですが、設置される環境によって平均より短くなる場合もあれば、より長持ちする場合もあります。
当あさひアンテナでは、テレビアンテナ工事で八木式アンテナを設置するに際しては、アンテナマストから屋根の四隅に、四本の支線(ステンレス製のワイヤー)を伸ばしてアンテナを確実に固定し、さらにその四本の支線から、別の支線を屋根馬(アンテナを設置する台座)にバランスよく張ります。こうして合計8本の支線でアンテナをしっかり支える工事を行います。さらに熟達した職人の技術と、防水テープの巻き方ひとつにもこだわった丁寧な工法により、強風にもびくともしない、堅牢で長持ちするアンテナ設置の技術に長じております。
しかし台風などで家屋が破損するほどの強風が起こった場合は、どれだけしっかり設置したアンテナでも倒れることはあります。八木式アンテナを設置している住宅では、台風などで強風が吹いた後は、アンテナが倒れていないかを確認する必要があります。
そしてご自宅のデザイン性にこだわられるお客様の場合、八木式アンテナでは外観に不満を覚えられることもあります。近年、ご自宅のデザイン性にこだわるお客様は、設置費用は八木式アンテナより割高になっても、家屋に調和して目立たないデザインアンテナを選ぶ方が多くなっております。
デザインアンテナは性能が低い?
デザインアンテナのデメリットとしてよく言われるのが、八木式アンテナに比べて性能が低く、うまく電波が受信できないこともあるという点です。アンテナが電波を受信する感度は、素子数によって決まります。八木式アンテナでは、並んでいる横棒の数が素子数になります。デザインアンテナでは外見から素子の数を確認できないため、例えば「20素子相当」などの言い方で受信感度を表します。
そしてこの素子数の上限は、構造上、デザインアンテナより八木式アンテナのほうが多くなるのは事実です。ただ、実際にテレビアンテナを使用する上では、多くても20素子以上あれば十分なことが大半です。現在ではデザインアンテナでも26素子相当のものもあり、実質的な受信感度は八木式アンテナとほぼ変わらないと考えていいでしょう。
ただ、地デジアンテナ工事では、より高い位置にアンテナを設置したほうが、受信感度が高くなります。そのため屋根の上に設置する八木式アンテナのほうが電波を受信しやすくなります。また八木式アンテナは志向性が高いため、電波が来る方向に合わせて、アンテナを設置する位置や角度を調節することで、受信感度を最大限に高めることができます。
一方、デザインアンテナは基本的に壁面に設置するという制約上、八木式アンテナに比べると設置位置が低くなり、またご自宅の壁の方向や形状によって、アンテナを設置する位置や角度に制約が生じます。そのため、八木式アンテナでは問題なく電波を受信できる環境でも、デザインアンテナでは受信感度が劣ってしまい、地デジ工事にアンテナブースターの設置が必要になるケースもあります。これがデザインアンテナは八木式アンテナに比べて性能が低いと思われる要因になっています。
お客様がテレビアンテナ工事に際して、デザインアンテナの設置を要望されても、現地の電波状況や、ご自宅の壁の角度などのかねあいによっては、壁面への設置ではどうしても電波を受信できないこともございます。ただ、その場合でも、当あさひアンテナでは、屋根裏にデザインアンテナを設置するなどの工夫により、デザイン性の維持や風雨による故障のリスクを避けたいなど、お客様のご要望に可能な限り沿う形での工事を用意しております。
デザイン性を重視してデザインアンテナを選ぶなら
お客様がデザインアンテナを求められるのは、やはりデザイン性を重視するという理由が多くなっております。当あさひアンテナでは、お客様のご要望に応じて、ご自宅の外観を損ねないよう、電波状態に問題がなければ、デザインアンテナを屋根裏に設置する工事にも対応しております。基本的に屋根裏への設置工事でも、特別なオプション料金は必要ありません。弊社では「見えないところも綺麗に」をモットーに、屋根裏にも丁寧な施工を行っております。
また、外壁にデザインアンテナを設置する場合は、現場の職人のセンスも重要になります。壁面でも電波の受信に最適な位置を選びつつ、ご自宅との調和を重視して、壁面の色にあったカラーのデザインアンテナを選び、違和感のない形に設置するのが肝要になります。またあえて壁と異なる色のアンテナを選び、ご自宅の装飾の一環にするという方法もあります。
あさひアンテナでは、デザイン性を重んじてデザインアンテナを選ばれたお客様のために、豊かな現場経験とセンスに秀でた職人が、壁面への設置の他、ベランダの内部に設置するなど、お客様のご要望に応じるべく、さまざまな提案をさせていただきます。
八木式アンテナよりデザインアンテナをお勧めするケース
デザインアンテナで問題なく電波が受信できることを大前提として、デザイン上の問題以外で、八木式アンテナよりデザインアンテナの設置をお勧めするケースとしては、以下のような条件が考えられます。
現場の条件などにより、八木式アンテナを設置するにあたって、通常の住宅より作業に困難が伴う場合や、追加の機材が必要になる場合は、基本のアンテナ工事費用に加えて諸費用がプラスされることになります。その場合、デザインアンテナを選ばれたほうが割安になるケースもあります。
またご自宅が、海沿いや雪の多い地帯、台風や強風に見舞われやすい地域など、八木式アンテナでは寿命が短くなりやすい環境や、アンテナが倒れる事故が起こりやすい場合も、デザインアンテナをお勧めします。
当あさひアンテナでは、アンテナ設置技術への自信から、どのような種類のアンテナであっても、アンテナの設置日から10年間の無料アフターフォローを用意しております。アンテナ修理やメンテナンスに関しては、保障範囲の条件に該当する限り、お客様にはいっさい金銭的なご負担をおかけいたしません。
とはいえ、苛酷な環境下でアンテナの不調が頻発すれば、それだけお客様にご不便やお手数をおかけする結果になってしまいます。また、もし倒れたアンテナが屋根から落下し、人や物にぶつかる事故が起これば、お金では取り返しのつかない事態にもなりかねません。
設置環境を踏まえて、八木式アンテナの場合に想定される様々なリスクを考慮すれば、アンテナ工事費用はやや割高でも、倒れる危険性がなく、設置後のメンテナンスも簡単なデザインアンテナのほうが、安心感やコストパフォーマンスが高いという場合もございます。
あさひアンテナでは、お客様のご要望を尊重しつつ、経験豊富な職人が、アンテナを設置する現場の状況を綿密にチェックして、長期的な視点でもっともお得と思われるプランをご提案させていただきます。ご要望やご不明な点があれば、何でもお気軽にご相談ください。