【初心者向け】BS/110度CSアンテナの向きを自分で調整する方法は?無料アプリで簡単方向チェック&角度調整の手順を解説
2025年(令和7年)現在では、一般のご家庭で視聴できるテレビ放送として、地上デジタル放送の他に、衛星放送も広く普及しています。
特にBS/CSアンテナを設置すれば多くのチャンネルを無料で視聴できるBS放送を、お住まいで楽しんでいる方も多いことと思われます。
ただBS放送などの衛星放送は、地デジ放送とは異なる放送の形式やアンテナの性質から、独自の理由で受信トラブルが発生することもあります。
「自宅で急にBS放送が映らなくなってしまった」
「でも、業者にアンテナ調整を頼むと料金が高そうで不安」
急なBS放送の受信トラブルで、このようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
日常的に楽しんでいたBS放送のチャンネルが急に見られなくなってしまうと、さぞご不便を感じられることと思います。
そこでこの記事では、BS放送(衛星放送)や、BSアンテナ(BS/CSアンテナ)に関して専門的な知識がない方でも、ご自身でBS/CSアンテナの調整ができるよう、その手順を写真付きで分かりやすく解説していきます。
便利な無料のスマートフォンアプリを使えば、アンテナを向けるべき正しい方向も一目でわかるため、適切な準備と手順で行えば、BS/CSアンテナは意外と簡単に調整できるのです。
この記事をお読みいただければ、不要な出費を抑え、業者を待つこともなく、いますぐBS放送の問題を解決できるでしょう。
そもそも衛星放送(BS放送、CS放送、4K8K放送)の仕組みとは?
BSアンテナ、またはCSアンテナの調整を始める前に、まずは衛星放送が、どのような仕組みで私たちのテレビに届いているのかを簡単に理解しておきましょう。
基本的な仕組みを知ることで、なぜアンテナの向きが重要なのか、トラブルの原因がどこにあるのかを推測しやすくなります。
この項目では「衛星放送の仕組みや電波の性質」「BS放送とCS放送の違い」「従来の衛星放送と4K8K衛星放送との違い」の3点について解説します。
衛星放送の仕組みと受信の方法は?
衛星放送は、宇宙空間にある放送衛星や通信衛星など、地上から見れば空の一点に静止して見える「静止衛星」から送られてくる電波を使って、テレビ放送を各家庭に届ける放送サービスです。
この衛星放送の電波は、その周波数帯(12GHz前後)から「12GHz帯」と呼ばれる、非常に高い周波数帯の電波(マイクロ波の中のSHF(センチメートル波))が使われています。
この12GHz帯の電波の特性は、主に以下の通りです。
※上記は12GHz帯を受信する際の主な特性になります。
衛星放送用のBS/CSアンテナは、この静止衛星からの電波を効率よくキャッチするためのパラボラアンテナです。
お皿のような形の部分(ディッシュ・放物面反射器)で、静止衛星から12GHz帯の電波を受け止めて反射させ、ディッシュ前方の中央に固定された一次放射器へと電波を集中させた後「コンバーター(変換器)」という部分に電波を集めます。
コンバーターには、周波数帯が高すぎて扱いにくい12GHz帯の電波を、ケーブルを通じてテレビまで送ることができる低い周波数帯(MHz帯)に変換する重要な役割があります。
このような受信の仕組みから、衛星放送の電波をBSアンテナで安定して受信するためには、以下の点が非常に重要になります。
- アンテナディッシュの向き(仰角・方位角)を、静止衛星のある方向(東経110度・南西上空)にミリ単位で正確に合わせる必要がある。
- アンテナと衛星の間に、建物、木、電線、洗濯物など、電波を遮る障害物が一切ない場所に設置する必要がある。
- アンテナのコンバーターを動作させるため、配線にあるブースター電源部から、テレビやレコーダーの電源設定により、アンテナ側に電源を供給する設定が必要になる。
上記の注意点が整っていないと、アンテナで十分に電波が受信できない、または12GHz帯の電波がテレビ電波へと変換されないため、衛星放送を視聴できなくなります。
特にBS/CSアンテナで生じやすい受信トラブルの要因が、風雨や雪などの影響、またアンテナの老朽化などが重なることで、アンテナの角度がズレてしまい、12GHz帯を十分に受信できなくなるという問題です。
このBSアンテナの角度のズレを調整し、安定して受信できる状態に戻す方法をご紹介することが、本コラムのテーマでもあります。
BS放送とCS放送の違いは?
衛星放送には「BS放送」と「CS放送」の二種類があることはよく知られています。
どちらも人工衛星(静止衛星)を利用した放送ですが、BS放送とCS放送には、以下のように利用する人工衛星や放送内容に違いがあります。
※上記はBS放送、CS放送の主な違いになります。
基本的にBS放送、CS放送の違いは、日本の放送法に基づく、人工衛星の用途の違いに基づいたものになります。
またBS放送の放送衛星、主なCS放送である110度CS放送の通信衛星は、どちらも東経110度の上空に位置しており、使用される電波も同じ12GHz帯であるため、一基のBS/CSアンテナで双方の放送を受信できるようになっています。
ただ日本のCS放送には、東経124度、128度の放送衛星を使用する放送(スカパー!プレミアムサービス)も存在し、こちらを受信するためには、対応のアンテナ(プレミアムサービス専用アンテナ、110度BS、CSも受信できるマルチアンテナ)と専用チューナー、そして該当サービスとの契約が必要になります
新4K8K衛星放送と従来の2K衛星放送との違いは?
2018年(平成30年)12月1日から始まった「新4K8K衛星放送」は、従来の2K(フルハイビジョン)放送に比べて、より高画質・高精細な映像(4K、8K)を楽しめる放送です。
この放送は、従来のBS放送やCS放送のチャンネルの中に、4Kや8Kに対応したチャンネルが追加された形になります。
この4K8K衛星放送と、従来の衛星放送との大きな違いは、使用する電波の種類です。
BS放送、CS放送にそれぞれ4K8K放送のチャンネルを追加するために、従来の2K衛星放送で使われていた「右旋円偏波(うせんえんへんぱ)」では、使用できる周波数帯が不足したため、新たに「左旋円偏波(させんえんへんぱ)」という電波が導入され、多くの4K8Kチャンネルに割り当てられました。
また上記の通り、右旋円偏波、左旋円偏波とも、BS/CSアンテナで受信された後はコンバーターで周波数帯を変換されますが、このとき、右旋の電波は1032MHzから2072MHzまでに変換されるのに対し、左旋の電波は2224MHzから3224MHzまでに変換されます。
以下、右旋円偏波と左旋円偏波(右旋放送、左旋放送)の主な違いになります。
右旋、左旋双方の電波を受信するためには、2018年以降のBS/CSアンテナである、2K4K8K(右旋・左旋)対応型のアンテナが必要となります。
もし2018年以前に設置したアンテナで、「4K、8K放送の一部チャンネルが映らない」といった場合は、アンテナや周辺機器が左旋円偏波に対応していない可能性があります。
ただ2025年現在、これまで4Kチャンネルを提供していた放送局が、普及率や採算性の低さにより、4Kチャンネルからの撤退を続け、残った4Kチャンネルの多くが右旋放送に再編されています。
2025年現在、左旋放送に当たるのはBS放送の8Kチャンネル「BSNHK 8K」のみになっています。
したがってお住まいのBS/CSアンテナや配線部などのシステム設備が左旋円偏波に対応していなくても、上記の左旋チャンネルをご覧にならない場合は、いますぐBS/CSアンテナや設備を左旋放送対応に交換する必要はないといえます。
調整の前に!BS放送が映らない時にまず確認すべき3つの簡単チェックポイント
お住まいで急にBS放送(またはCS放送)が受信できなくなって「BS/CSアンテナの向きがズレたのかも」と、すぐにBSアンテナの調整作業へと取り掛かる前に、注意すべきことがあります。
BS/CSアンテナのズレは、衛星放送が映らなくなる大きな要因のひとつですが、他にも衛星放送が映らなくなるトラブルの要因はいくつがあり、非常に単純な原因であるケースも多いのです。
まずは、もっと簡単な原因で衛星放送が映らなくなっている可能性を確認してください。意外と見落としがちなポイントをチェックするだけで、問題があっさり解決することもあります。
テレビアンテナの修理やBSアンテナの角度調整に乗り出す前に、まずは以下の3つのポイントを、工具を使わずに確認してみてください。
チェック1:アンテナケーブルの抜け・緩みはないか
テレビの裏や壁のアンテナコンセント端子に接続されているアンテナケーブルが、緩んだり抜けたりしていないかを確認してください。
特に、掃除や模様替えでなどでテレビを動かした後に映らなくなった場合は、このようなケースがよくあります。対処の方法は以下の通りです。
- テレビやレコーダーの「BS/CSアンテナ入力」端子にケーブルがしっかり刺さっているか確認する。
- 壁にあるテレビ端子にケーブルがきちんと接続されているか確認する。
- 分配器などを使用している場合は、その接続部分もすべて確認する。
ケーブル接続部を指で軽く押し込むだけで、あっさり直ることもあります。
またケーブルそのものを、設定された曲げ半径より急角度に折り曲げている、また家具などの下敷きになっている場合も、ケーブルそのものの歪みによる受信不良、内部断線などの原因になります。
この場合は、ケーブルの状態を正しく配線し、断線などで破損しているケーブルは交換してください。
チェック2:テレビの電源設定でアンテナへの電源供給が「オン」になっているか
BS/CSアンテナは上記の通り、アンテナのコンバーターを動作させるためにテレビやレコーダーなどのチューナー端子から電気を供給してもらう必要があります。コンバーターが作動していないと、12GHz帯の電波が変換されないため、衛星放送が視聴できません。
この電源供給は、テレビなど本体の「BS電源設定」を「オン」「オート」などに合わせることで可能になります。しかし何かの拍子にこの設定が「オフ」になってしまうと、コンバーターが動作しなくなり、衛星放送が映らなくなります。
まずはテレビのリモコンで「設定」などのメニューを開き、「アンテナ設定」や「放送受信設定」といった項目から、BS/CSアンテナの電源供給が「オン」または「オート」になっているか確認してください。
設定方法はテレビのメーカー、モデルによっても異なるため、テレビの取扱説明書、メーカー公式サイトなども参考にしてください。
特にお住まいにて複数のテレビで衛星放送を視聴している場合には、特定の一台のテレビから常時BS/CSアンテナに給電しているか、各テレビで衛星放送を見る際のみに随時給電するなど、現場によって給電方法も異なっています。
この給電方法の違いによって、特定のテレビの主電源を切るとすべてのテレビで衛星放送が映らなくなる、また複数のテレビからの過給電でケーブルがショートするなどの問題も起こり得ますので、お住まいの状況に適した電源設定を選んでください。
また配線部にある分配器の種類(1端子給電型/全端子給電型)の違いでも、BS/CSアンテナへの給電方法が変わってきますので、ご注意ください。
チェック3:B-CASカードは正しく挿入されているか
テレビの側面や背面に挿入されている「B-CASカード(またはmini B-CASカード)」が、正しく認識されていない可能性もあります。
B-CASカードとは、現在の地デジ放送やBSデジタル、CSデジタルなどのデジタル放送で、著作権保護や有料チャンネルの情報を記録するために使われるICカードです。このB-CASカードがテレビ本体に挿入されていないと、デジタルテレビ放送を映し出すことができません。
テレビ本体にこのB-CASカードが挿入されていない、またはカードの接触不良や、ICチップ部分の汚れ、カードそのものの不具合などで、テレビがB-CASカードを認識できないことが、BS放送が映らない原因かもしれません。
なおB-CASカードの問題でテレビ放送が映らない場合、多くの場合、テレビ画面に「E100」「E101」「E102」などのエラーコードが表示されます。
この場合の対処としては、まず一度テレビの電源を切り、テレビ本体からB-CASカードを抜いてください。そして、ICチップ部分を乾いた柔らかい布で優しく拭き、正しい向きで奥までしっかりと差し直してから、再度テレビの電源を入れてみてください。
B-CASカードの接触不良などが原因であれば、この手順でトラブルが解決する可能性が高くなります。
また、最近の4K8Kテレビには、B-CASカードの代わりに、同様の機能を持つ「ACASチップ」が内蔵されています。
このACASチップの不具合の場合は、まずテレビ本体の主電源を切り、電源プラグをコンセントから抜き、数分待ってから再度プラグを差し込んで電源を入れる「再起動(リセット)」を試すと、改善することがあります。
このテレビの再起動は、テレビ本体の一時的な不具合でテレビが映らない、その他の問題が生じている場合にも有効な対処法になります。
BSアンテナ調整に必要な道具リスト|便利な無料アプリも紹介
上記の簡単なチェックでBS放送が映らない問題が解決しなかった場合、いよいよBS/CSアンテナの角度調整に進みます。
まずは作業をスムーズに進めるために、事前に必要な道具を揃えてください。高価な専門機材がなくても、ほとんどはスマートフォンアプリやホームセンターで手に入るもので代用できます。
【必須】方向確認用のスマホアプリ(無料)
BSアンテナ調整でもっとも重要な「静止衛星の方向」を調べるには、スマートフォンの無料アプリが非常に役立ちます。
静止衛星の位置は、常に同じ「東経110度の上空」ですが、日本国内の各地によって、BS/CSアンテナを調整すべき仰角(上下)、方位角(左右)の角度の数値は異なってきます。
この地域ごとのBS/CSアンテナの角度を確認する上で、このような無料アプリの利用、特に、日本三大アンテナメーカーの一社、日本アンテナが提供する「BSコンパス」は、初心者の方におすすめです。
以下、「BSコンパス」の主な特徴、機能をご紹介します。
このアプリを使えば、難しい計算をしなくても、BSアンテナを調整して向けるべき方向が一目でわかります。
お住まいの地域を設定すれば、地域に応じた東経110度の仰角、方位角も画面上のコンパスで表示されるため、BSアンテナにスマホをあてがって角度調整を行うことで、作業の手間を大きく省くことができます。
【あると便利】受信レベルを確認する道具
BS/CSアンテナの角度調整は、お住まいの地域の仰角、方位角に合わせるだけでなく、各現場で受信レベルが最大になるよう、角度の微調整を行う必要があります。この微調整には、実際に受信できている電波の強さ(受信レベル)を確認する必要があります。
これはテレビ本体の設定画面(アンテナレベル画面)でも確認できますが、より正確かつ効率的に作業したい場合は、専用の「レベルチェッカー」があると便利です。
まずはテレビ本体の機能で試してみて、難しいと感じたら簡易型レベルチェッカーの購入を検討するのがおすすめです。
簡易型レベルチェッカーは、アンテナケーブルに接続することで、送られる電波レベルのみを確認できる機器です。角度調整を行いながら、手元で即座に電波レベルが確認できるため、BSアンテナ調整の作業が簡単になります。またネットショップなどでは、1,000円台からで購入できます。
プロ仕様のデジタルレベルチェッカーは、電波の品質も確認できるなど多機能ですが、専門知識のない一般の方には利用が難しく、本体価格も高価なため、購入はおすすめできません。
【作業用】アンテナを固定・調整する工具類
実際にBS/CSアンテナの角度を調整し、アンテナをしっかり固定するためには、以下のような基本的な工具がいくつか必要です。
- スパナ:アンテナを固定しているボルトを緩めたり締めたりするのに使います。10mmと13mmのサイズがセットになったものがあると便利です。
- 軍手:手を保護し、滑り止めにもなります。
- 脚立:アンテナが高い位置にある場合に使用します。必ず安定した場所で、ぐらつかないものを使用してください。
- 安全のための道具:高所での作業になる場合は、ヘルメットや安全帯を用意し、万が一の事故に備えてください。
【写真付き】BSアンテナ調整の簡単4ステップ|初心者でも自分でできる!
必要な道具の準備が整ったら、いよいよBSアンテナ調整作業の開始です。
ここでは、初心者の方でも失敗しないよう、4つのステップに分けて手順を解説します。
各ステップで写真や図を参考にしながら、あせらず慎重にBSアンテナ調整の作業を進めてください。
ステップ1:自宅の「仰角」と「方位角」を調べる
まず、ご自宅のある場所から見て、BS放送の放送衛星がどの方向(東経110度)にあるのかを、正確に知る必要があります。これには前述の通り、BS/CSアンテナを調整する「仰角(ぎょうかく)」と「方位角(ほういかく)」という2つの角度が重要になります。
- 仰角: アンテナの上下の角度。地面に対してどれくらいアンテナを上に向けるか。
- 方位角: アンテナの左右の向き。真南を基準にして、どれくらい西にアンテナを向けるか。
これらの角度は、「BSコンパス」アプリを使えば簡単に調べられます。
また、参考として日本国内の主要都市における仰角、方位角の目安を以下に示します。
ご自身の地域に近い都市の数値を参考にしてください。
前述した日本アンテナの公式サイトでは、より多い地域の仰角、方位角を掲載しています。またBS/CSアンテナ製品には、角度調整部に、日本の主要地域での適切な角度が表示されている製品もあります。
ステップ2:アンテナの「仰角(上下の角度)」を合わせる
次に、BSアンテナ本体の上下の角度(仰角)を調整します。
アンテナを取り付けている金具の側面に、角度を示す目盛りが刻まれています。
以下の手順で、BSアンテナの仰角をおおよそ東経110度の方向に仮調整してください。
- スパナを使って、仰角を固定しているボルトを少しだけ緩めます。
- アンテナのディッシュ部分をゆっくりと上下に動かし、ステップ1で調べた仰角の目盛りに合わせます。
- 角度が合ったら、ボルトを軽く締めて仮固定します。この時点では多少、力を入れれば角度がズレる程度の締め方で、完全には締め付けないでください。
ステップ3:アプリを参考に「方位角(左右の向き)」を合わせる
続いて、アンテナの左右の向き(方位角)を調整します。
東経110度は、日本から見るとおおよそ南西方向の上空にあたります。
その手順は、以下の通りです。
- 方位角を固定しているボルトを少し緩めます。
- 「BSコンパス」アプリのAR(拡張現実)機能を起動し、スマートフォンのカメラを空にかざします。
- 画面に表示される衛星の方向に、アンテナの正面が向くように、ゆっくりと左右に動かします。
ここではやはり仮調整で、大まかな方向が合っていれば大丈夫です。
最終的な微調整は、次のステップでテレビの受信レベルを見ながら行います。
ステップ4:テレビのアンテナレベルを見ながら最大値で固定する
最後に、もっとも重要な微調整の作業です。
テレビの受信レベルが最大になる「ベストポジション」は各現場によって微妙に異なるため、その最適な角度を、以下の手順で探し出します。
- テレビの設定メニューから「アンテナレベル」や「受信設定」の画面を表示させます。
- アンテナの方位角(左右の向き)を1mm動かすくらいの感覚で、非常にゆっくりと左右に動かします。
- テレビ画面のアンテナレベルの数値がもっとも高くなる位置を探します。
- もっとも高い数値が見つかったら、仰角(上下の角度)も同様に微調整し、さらにレベルが上がらないかを確認します。
- 受信レベルが最大になったことを確認したら、アンテナが動かないように慎重に全てのボルトをスパナでしっかりと締め付けて固定します。
この作業は、アンテナを動かしてからテレビの数値が反応するまでに、少し時間がかかるため「5秒ルール」を意識して焦らず行うのがコツです。
またこの作業は、手元で即座に受信レベルを確認できる簡易型アンテナレベルチェッカーがあれば、手間を大幅にカットすることができます。
BSアンテナ調整の成功率を上げる5つのコツと注意点
上記の手順通りにBS/CSアンテナの角度調整を進めても、うまくいかないこともあります。
この項目では、BSアンテナ調整の成功率を格段に上げるための専門家からのアドバイスと、見落としがちな注意点をご紹介します。
これらのポイントを押さえることで、初心者の方でもより確実なBSアンテナ調整が可能になります。
コツ1:作業は電波が安定している「晴れた日」に行う
衛星放送の人工衛星から送られてくる電波は、前述の通り雨粒や雪に吸収され、乱反射を起こしやすい性質があります。
そのため、雨や雪が降っている日は12GHz帯の電波が弱くなり、正確な受信レベルを測定することが難しくなります。
また雨や雪の中では作業中に事故を起こす危険性も格段に高まるため、BS/CSアンテナの調整作業は、安全で電波の状態も安定している、よく晴れた日の日中に行うのがベストです。
コツ2:角度は「1mm単位」でゆっくり動かす
BS/CSアンテナは、ディッシュで反射した電波を一次放射器の一点に集めるため、非常に指向性(特定の方向に対する感度)が高いという特徴があります。
これは、ほんの少しディッシュの向きがズレただけで、電波の焦点が一時放射器から外れてしまうため、受信レベルが大きく低下してしまうことを意味します。
したがってBS/CSアンテナの角度を調整する際は、決していきなり大きく動かさず、「1mmずつ、じっくりと」を心がけてください。
コツ3:アンテナを動かしたら「5秒待って」レベルを確認
BS/CSアンテナを角度調整で動かしても、テレビのアンテナレベル表示が即座に反応するわけではありません。
受信した電波をテレビが処理し、アンテナレベル画面に対応する数値を表示するまでには、数秒のタイムラグが発生します。
したがって、BS/CSアンテナをミリ単位で少し調整したら、5秒ほど待ってからレベルを確認する「5秒ルール」を徹底してください。
あわててアンテナ角度を動かし続けると、最適なポイントを通り過ぎてしまいます。
なお、前述した簡易型アンテナレベルチェッカーがある場合は、角度を動かすごとに受信レベルが即座に反応するため、5秒ルールが必要ありません。そのため作業の手間を大幅に省くことができます。
コツ4:アンテナとテレビが離れているなら「二人」で作業する
ベランダなどに設置されているBS/CSアンテナを調整しながら、リビングのテレビ画面を確認するのは一人では非常に困難です。
可能な限り、家族や友人に手伝ってもらってください。
一人がアンテナを動かし、もう一人がテレビの前でレベルの変化を声で伝えるか、スマートフォンのビデオ通話などで画面を見せながら連携すると、作業が格段にスムーズになります。
またこの場合も、簡易型アンテナレベルチェッカーがあれば、角度調整を行っている手元で受信レベルを確認できるため、一人でも作業が簡単になります。
注意点:衛星方向にある「障害物」をチェックする
BS/CSアンテナの向きを静止衛星の方向へと完璧に調整しても、アンテナと静止衛星との間に障害物があると電波が遮られてしまいます。
「BSコンパス」アプリのAR機能を使って、静止衛星のある南西方向の空を見上げてください。
- 建物や電柱、電線
- 近隣の家の屋根や壁
- 大きく育った木の枝葉
- 物干し竿や洗濯物
そして静止衛星(東経110度)の方向に、これらの障害物がないかを確認してください。
もし障害物がある場合は、障害物を避けられるようBS/CSアンテナの設置場所を変えるか、高さを調整する必要があります。
アンテナの種類別|4K8K対応・ベランダ設置の調整ポイント
ご家庭に設置されているBS/CSアンテナが、最新の4K8K放送に対応したもの(2K4K8K・右旋左旋対応型)であったり、ベランダに設置されていたりする場合、BSアンテナ角度調整にあたって、一般的なアンテナとは少し異なる注意点が出てきます。
ここでは、アンテナの種類、設置位置に応じた特別な調整のポイントを解説します。
4K8K対応アンテナの調整で注意すべきこと
上記の通り、新4K8K衛星放送で使われる「左旋円偏波」は、コンバーターで変換された周波数帯が従来の右旋の電波よりも高いため、古いタイプのケーブルでは電波の減衰、漏洩が生じやすいほか、配線部の機器が対応できない場合があるなどの特性があります。
そのため4K8K対応BSアンテナの角度調整は、よりシビアな精度が求められます。
- より精密な角度調整:わずかなズレでも4K8K放送の受信品質に影響が出やすいため、アンテナレベルが最大になるポイントをより慎重に探してください。
- 周辺機器の確認:BS/CSアンテナ本体だけでなく、ケーブル、分配器、壁のテレビ端子なども4K8K放送の周波数(~3224MHz)に対応した製品であるどうかを確認してください、ひとつでも未対応の機器があると、4K8K放送が正しく映らなくなるケースがあります。
ベランダ用アンテナの調整で注意すべきこと
ベランダへのBS/CSアンテナ設置は手軽でDIYでも行いやすいのが利点ですが、屋根の上などに比べると設置位置が低くなるため、以下のような特有の注意点があります。
- 障害物の影響:周囲の建物や樹木、さらには隣家のベランダや洗濯物などの影響を受けやすくなります。静止衛星の方向に障害物がないか、より注意深く確認してください。
- 設置金具の強度:ベランダの手すりに取り付ける際は、手すりに金具をしっかりと固定でき、アンテナの重みや風圧に耐えられる強度があるかをあらかじめ確認してください。
- 防水対策」ケーブルの接続部分は雨水が入り込むと故障の原因になります。接続部分には自己融着テープを巻いたり、防水キャップを被せたりして、しっかりと防水処理を施してください。
調整しても映らない…考えられる原因と最終手段
手順通りに丁寧にBSアンテナの角度を調整したにもかかわらず、衛星放送がまったく映らない、またはアンテナレベルが上がらない場合は、アンテナの向き以外の場所に原因がある可能性が高くなります。
ここでは、自力でのBSアンテナ調整が難しい場合の、考えられる原因と最終的な対処法について解説します。
原因1:アンテナ本体やコンバーターが故障している
BS/CSアンテナの寿命は、設置環境にもよりますが、一般的に10年から15年程度と言われています。
長年使用しているアンテナは、雨風や紫外線にさらされることで、ディッシュ部分が変形したり、電波を変換するコンバーター部分が故障したりすることがあります。
特にご家庭用の45型BS/CSアンテナの場合は、コンバーターの交換費用とアンテナ本体価格にほとんど差がないため、コンバーターの故障でも、アンテナ本体ごとの交換が必要になります。
原因2:ケーブルの劣化や断線
屋外に配線されているアンテナケーブルも、アンテナ本体と同様に劣化します。
ケーブルの被覆が破れて内部に水が浸入したり、強風で引っ張られて内部で断線が生じたりすると、電波が正しくテレビに届かなくなります。特に周波数帯の高い左旋の電波は、ケーブル劣化の影響を受けやすくなります。
ケーブルにひび割れや傷がないか、目視で確認してください。
原因3:ブースター(増幅器)の不具合
住宅内の複数の部屋にテレビを設置している、また地デジ電波が弱い地域にお住まいの場合「アンテナブースター」という、アンテナが受信した電波を増幅する機器が設置されていることがあります。
このブースター本体や、屋内に設置された電源部などが故障すると、住宅内のすべてのテレビに送る必要な電波レベルが確保できなくなり、すべてのテレビでBS放送(CS放送)が映らなくなります。
ブースター電源部がある屋根裏、天井裏などを確認して、電源部のランプが消えていないか確かめてください。
【重要】自分でアンテナ調整を行うリスクと安全対策
ご自分でBS/CSアンテナを調整することは可能ですが、特に高所での作業には大きな危険が伴います。
作業を始める前に、作業に伴うリスクを正しく理解し、安全対策を万全にすることが何よりも重要です。
ここでは、DIYでのアンテナ調整に伴うリスクと、必ず守ってほしい安全対策について解説します。
特に、傾斜のある屋根の上での作業はプロの領域です。絶対には個人で行わないでください。
高所作業での転落事故のリスク
お住まいのBS/CSアンテナが、ベランダや屋上フロアなど、足場が安定した場所に設置されている場合は比較的、安全に作業できます。
しかし、はしごを使って2階の壁面や屋根の近くで作業する場合は、転落の危険性が非常に高くなります。
少しでも「危ない」「怖い」と感じられる場合は、絶対にご無理をなさらず、作業を中断してください。わずか数万円の修理費用を惜しんだ結果、重大な事故につながっては元も子もありません。
必ず守りたい3つの安全対策
安全な場所でBSアンテナ調整の作業を行う場合でも、以下の3つの対策は必ず守ってください。
- 二人以上で作業する:万が一の事故に備え、必ず家族や友人に立ち会ってもらってください。一人が下で脚立を支えたり、周囲の安全を確認したりするだけでも、安全性は大きく向上します。
- 安全な服装と道具を準備する:滑りにくい靴を履き、動きやすい服装で作業しましょう。ヘルメットや軍手を着用することも重要です。安定した脚立を使用し、最大荷重などを確認してください。
- 悪天候時や体調不良時は作業しない:雨や風が強い日は、足場が滑りやすくなったり、煽られたりして非常に危険です。また、ご自身の体調が優れない時も、集中力が低下し思わぬ事故につながる可能性があるため、作業は延期してください。
どうしても無理ならプロに依頼!アンテナ工事業者の選び方と費用相場
BS/CSアンテナを自分で調整しても不具合が直らない場合や、作業に危険を感じる場合は、迷わずプロのアンテナ工事業者に依頼してください。
アンテナ工事の専門家であれば、プロ仕様の電波測定器などを使って原因を正確に特定し、高い技術で安全かつ確実にBSアンテナの調整を行ってくれます。
ここでは、テレビアンテナの修理や工事はどこに頼むべきか、業者に依頼する際の費用相場と、適正価格で高品質な工事を行ってくれる優良業者の選び方について解説します。
BSアンテナ調整・修理の費用相場
BSアンテナ調整をはじめとするアンテナ工事の費用は、作業内容によって大きく異なります。
以下は一般的な料金の目安です。見積もりを取る際の参考にしてください。
※上記はあくまで目安です。現場の状況などによっては、高所作業費や出張費などが別途かかる場合もあります。
後悔しない!信頼できる業者の選び方5つのポイント
安心して工事を任せることができる優良業者を見つけるためには、以下のようないくつかのチェックポイントがあります。
- 料金体系が明確か:見積もり無料はもちろん、出張費や追加料金の有無など、料金体系が公式サイトに明記されているかを確認してください。
- 豊富な施工実績と口コミ:年間の工事件数や、写真付きの具体的な施工事例が公開されているかチェックします。Googleマップや口コミサイトなどの評判も参考にしてください。
- 長期保証があるか:施工後のトラブルに対応してくれる保証制度があるかを確認します。保証期間が長いほど、自社の施工技術に自信がある証拠といえます。
- 工事は完全自社施工か:すべてのアンテナ工事を自社スタッフで行う「完全自社施工」の業者であれば、余計な中間マージンがかからないため、工事料金が適正価格になります。さらに工事を担当するスタッフも、経験豊富で高い技術力を期待できます。
- 問い合わせ時の対応が丁寧か:お電話やメールでの問い合わせに対して、専門用語を避け、分かりやすく丁寧に説明してくれるかどうかも、業者の姿勢を判断する重要なポイントです。
要注意!悪徳業者のよくある手口
残念ながら、アンテナ工事業者の中には、質の低い工事で高額料金を請求する悪質な業者も存在します。
以下のような手口には十分注意してください。
- 不当な高額請求:「基本工事費5,000円」などと安さを謳い、作業後に「追加工事や機材が必要だった」などと言って、当初の見積もりや説明にない高額な料金を請求する。
- 不要な工事の強要:「このままでは地デジ放送も見られなくなる」「最新のアンテナにしないとダメだ」などと不安を煽り、必要のない高価な工事や商品を契約させようとする。
- 虚偽の説明:電波状況について嘘をつき、高性能なアンテナやブースターが必須であるかのように説明する。
その業者に対して、少しでも「おかしい」「信用できない」と感じられたときは、決してその場でご契約なさらず、複数の業者から「相見積もり」を取るようにしてください。
相見積もりは、複数の業者の見積りを比較することで、工事の適正価格や、適切な工事の内容を判断するためにも最適の方法です。
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もし、お客様が関東・関西エリアにお住まいで業者選びにお迷いの際は、アンテナ工事のプロ集団である「あさひアンテナ」がおすすめです。
あさひアンテナは年間約6,000件という豊富な施工実績を誇り、多くの顧客から高い評価を得ています。
- 完全自社施工:下請け業者を使わず、経験豊富な自社の専門スタッフが責任を持って施工するため、品質が安定していることはもちろん、適正な工事費用でご提供できます。
- 業界最長クラスの10年保証:すべての工事に10年間の長期保証が付いており、万が一のトラブルにも迅速に対応してくれます。
- 明朗会計:見積もり後の追加料金は原則なく、料金体系が非常に分かりやすいのが特徴です。
あさひアンテナの強みと料金プラン
あさひアンテナでは、住宅の外観を損なわないデザインアンテナやユニコーンアンテナの設置にも力を入れています。
BS/CSアンテナをはじめ、各種アンテナ工事の料金プランも、国内大手メーカー製のアンテナ本体と基本設置具、同軸ケーブルをセットにした価格であるため、非常にリーズナブルです。
以下、あさひアンテナにおける各種設置工事費用の一例を挙げます。
本記事の主題である、BS/CSアンテナや地デジアンテナの角度がズレた場合の方向調整については、あさひアンテナでは8,000円(税込み8,800円)からで対応しています。
また上記の一般住宅向けのBS/CSアンテナ設置に使われる標準モデルは、日本三大アンテナメーカーの一社、DXアンテナ製の45型2K4K8K対応モデル「BC45AS」になります。(価格は地デジアンテナと同時設置の場合)
他にも、台風などが多くアンテナに厳しい環境の現場でも、角度のズレや故障などのトラブルが起りにくくなる、やはりDXアンテナ製45型、2K4K8K対応で業界最高クラスの高耐風モデル「BC453SG」の設置も「特別価格」で対応しています。
アンテナ工事に伴う現場の電波調査、工事費用の見積もりについては、あさひアンテナでは出張料やキャンセル料などを含む完全無料で対応しています。またもちろん他業者との相見積もりや、工事をお急ぎの場合には即日工事にも対応が可能です。
さらに現在、あさひアンテナでは、アンテナ工事と光回線開設との同時申し込みで、アンテナおよび光回線の工事費から、最大85,000円がキャッシュバックされるお得なキャンペーンも実施中です。
総じてあさひアンテナは、信頼性と工事品質、価格のコストパフォーマンスを両立したいお客様に、自信を持っておすすめできるアンテナ工事業者といえます。
BSアンテナ調整に関するよくある質問(Q&A)
最後に、BS/CSアンテナの調整に関して、多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q. マンションやアパートでも自分で調整していい?
賃貸物件にお住まいの場合、アンテナは個人の所有物ではなく、建物の共用設備である可能性が高くなります。
ベランダなどにご自分で設置したアンテナであれば問題なく調整可能ですが、屋上などに設置されている共用アンテナは絶対に触らないでください。
共用アンテナの場合は、まずは管理会社や大家さんに連絡し、BS放送が映らない旨を伝えて対応を相談してください。
個人で勝手に共用アンテナであるBSアンテナの調整を行うと、他の部屋の受信状況にも影響を与えてしまい、大きなトラブルの原因となることがあります。
まとめ:BS/CSアンテナ調整は自分でできる!無理せずプロに頼る判断も大切
この記事では、BSアンテナの調整を自分で行うための手順やコツ、必要な道具について詳しく解説しました。
無料のスマートフォンアプリなどを活用すれば、専門知識がない初心者の方でも、費用をかけずに問題を解決できる可能性があります。
まずは、ケーブルの接続やテレビの設定といった簡単なチェックから始めてみてください。
それでも直らない場合は、この記事で紹介した4つのステップに沿って、安全に十分ご配慮の上で、調整作業にチャレンジしてみてください。
しかし、お住まいのアンテナが屋根の上にある場合など、作業に少しでも危険を感じられたり、調整しても映りが改善しないなどの場合は、決して無理をしないでください。
特に高所での作業は、重大な事故につながるリスクがあります。
そのような時は、信頼できるプロのアンテナ工事業者へとご依頼になるのが、もっとも安全で確実な解決策です。正しいご判断で一日も早く快適なBS放送、CS放送の視聴環境を取り戻してください。
また、業者へとご相談になる場合は、相見積もりも含めて、まずはあさひアンテナまでお問い合わせになることをオススメいたします。あさひアンテナではお問い合わせ先として、フリーダイヤル、公式サイトのメールフォーム、LINEアカウントなどを用意しており、いつでもお気軽にお問い合わせが可能です。