テレビアンテナケーブル延長ガイド:足りない線の長さを自分で延長、接続できる!テレビの画質を落とさない方法と注意点を解説
お住まいのリフォーム、お部屋の模様替えなどで、部屋にあるテレビの配置を変えたいけれど、テレビの位置を変えると、壁のアンテナ端子からテレビまでを接続するアンテナケーブル(同軸ケーブル)が届かない。
そんな経験はございませんか?
そのような場合「ケーブル線を長いものに取り換えるだけだし、業者に頼むと費用も手間もかかる。できれば自分で安いケーブルを購入して、手軽に解決したい」と思われる方も多いでしょう。
確かに、室内用のアンテナケーブルを延長、交換する作業は、さほど難しいものではなく、基本的には一般の方でも簡単に行える作業になります。
しかし、この室内のアンテナケーブルを延長や交換する作業は、お部屋の広さやご視聴になるテレビ放送に合わせた、適切なケーブル製品、配線の方法があります。
この製品の選択や配線の手順を間違えると、これまで問題なく映っていたテレビ放送が正常に映らなくなる、さらにはせっかく買ったばかりのケーブルが破損してしまい、使えなくなることもあるのです。
というと急にアンテナケーブルの取り扱いが難しく思えるかもしれませんが、心配はありません。本コラムでご紹介するアンテナケーブルの基礎知識や、交換する際のポイントさえ理解されていれば、一般の方でも問題なくアンテナケーブルを取り換える、または延長する作業を行うことができます。
具体的な内容では、豊富な施工実績と専門知識を持つアンテナ工事の専門業者が、2025年(令和7年)度の最新情報に基づき、お住まいに設置されている地デジや衛星放送のテレビアンテナから、各部屋にあるテレビまでの配線部の構造、電波を送信する仕組み、性質などの基礎知識などをご紹介。
そしてケーブルを自分で延長するための具体的な方法から、画質の劣化を防ぐための重要なポイントまで必要な情報を、専門知識がない方でも分かりやすく解説します。
この記事をお読みいただければ、最適なケーブル商品の選択から、お部屋の状況に最適な方法で適切にケーブルを延長する作業までを確実に行い、ストレスのない快適なテレビのご視聴環境を手に入れることができるでしょう。
テレビアンテナケーブルは自分で延長できる!3つの方法を徹底比較
結論から申し上げると、テレビのアンテナコンセントから、室内にあるテレビなどの受信機器までを結ぶテレビアンテナケーブルは、長さが足りない場合には、専門業者でなくても自分で延長、交換することが可能です。
室内のテレビアンテナケーブルを延長する主な方法としては、以下の3つが挙げられます。
- 方法①:長いケーブルに丸ごと交換する。
- 方法②:延長コネクタ(中継接栓)でつなぐ。
- 方法③:同軸ケーブルを自作する。
どの方法が良いかは、ご予算やテレビの画質、またお客様の技術によっても異なります。
まずは、それぞれの特徴を比較して、自分に合った方法を見つけてください。
方法①:長いケーブルに丸ごと交換する【手軽さNo.1】
これは単純に、現在お使いのケーブルを、より長い製品へ交換する方法です。
このもっともシンプルで、初心者の方でも間違いなく行える確実な方法と言えます。
メリット
- 接続部分がないため、電波レベル(映像信号)の劣化がもっとも少なくなる。
- 部品選びで迷うことがない。
デメリット
- 新しいケーブルを丸ごと購入するため、他の方法よりもやや費用がかかる。
- いままで使っていたケーブルが余って無駄になってしまう。
この方法は「とにかく作業を簡単に済ませたい」「テレビ映像の画質劣化が少しでも心配」という方に特におすすめです。
手順
- 壁のアンテナ端子からテレビまでの必要な長さを測ります。
- 測定した長さより、配線を行う際にやや余裕のある長さのアンテナケーブル製品を購入します。
- 古いケーブルを取り外し、新しいケーブルを壁のアンテナ端子とテレビのチューナー端子に接続するなど、適切な配線を行えば作業は完了です。
方法②:延長コネクタ(中継接栓)でつなぐ【安さNo.1】
やや長さの足りない現在のケーブルのプラグに「中継接栓《ちゅうけいせっせん》」や「延長アダプタ」と呼ばれる小さな部品を接続して、そのケーブルに、適切な長さの新しいケーブルをつなぎ合わせるという方法です。
必要な費用をもっとも安く抑えたい方に最適な方法です。
必要なもの
- 延長コネクタ。(中継接栓)
- 延長したい長さ分のアンテナケーブル。
手順
- 既存のケーブルのプラグの一方を、テレビまたはアンテナコンセントから取り外し、その先に延長コネクタを取り付けます。
- 延長コネクタの反対側に、新しく用意したケーブルのプラグを接続します。
- 新しく接続したケーブルのもう一方の端を、テレビまたはアンテナコンセントに接続すれば作業は完了です。
メリット
- 延長コネクタは数百円で購入できるため、非常に安価。
- 既存のケーブルを無駄なく活用できる。
デメリット
- ケーブルの途中に接続部分が1箇所増えるため、その部分での抵抗や電波の漏洩、混入などが生じ、電波レベルや映像信号がわずかに劣化する可能性がある。
- ケーブル同士の太さや品質が違うと、その劣化が大きくなることがある。
- ケーブルの長さや品質、販売店などによっては、ケーブルをすべて交換する場合と、必要な費用があまり変わらないケースもある。
方法③:同軸ケーブルを自作する【自由度No.1・上級者向け】
同軸ケーブルと「F型接栓《えふがたせっせん》」というプラグの部品をご自分で加工して、お部屋などに適した、好きな長さにぴったり合わせてケーブルを作る方法です。
DIYに慣れている方や、市販品にはない特殊な長さが必要な方に適したの方法です。
この方法はケーブルの長さの調整などで自由度が高い反面、専用の工具(圧着ペンチやケーブルストリッパー)が必要で、作業には知識と技術が求められます。
そのため、初心者の方にはあまりおすすめできません。
自作に必要な道具・材料と手順の概要
もし自作に挑戦する場合は、以下のものが必要になります。
必要な道具・材料
- 同軸ケーブル。(必要な長さ)
- F型接栓。(ケーブルの太さに合ったもの)
- 圧着ペンチ。
- 同軸ケーブルストリッパー。
- カッターナイフ。
手順の概要
- 同軸ケーブルを必要な長さにカットします。
- ケーブルストリッパーでケーブルの被覆を決められた長さに剥ぎ取ります。
- ケーブルの中心導体にF型接栓を取り付けます。
- 圧着ペンチでF型接栓をケーブルに固定(圧着)します。
正しい手順で作業しないと、テレビ映像がうまく映らなかったり、アンテナケーブルでショートが発生する原因になったりする可能性もあります。
そのため作業を行う際は、安全に十分な注意を払ってください。
失敗しない!延長用アンテナケーブル・部品の選び方【重要】
上記のように、アンテナケーブルの交換や、中継接栓などを用いた延長を行う際に、一般の方がよく戸惑われる点が、
「どのケーブルや部品を買えばいいのか分からない」
「間違ったものを買って失敗したくない」
といった点になります。
そんなご不安を解消するために、この項目では、購入前に必ず確認すべき4つのポイントを解説します。
これらのポイントさえ押さていれば、どなたでもご自宅の環境に最適なアンテナケーブルなどの製品を選ぶことができます。
ポイント① :ケーブルの「太さ」で画質が変わる?4C・5Cの違い
一般的なテレビのアンテナケーブルには「同軸ケーブル」と呼ばれる被覆電線の一種が使われています。
この同軸ケーブルとは、中心に電気や電波を伝達する銅線などの「内部導体」が通っており、その周囲を、電気や電波の漏洩を防ぐ「絶縁体」が筒のように覆っています。
さらに絶縁体の周りは、細い銅線を編んだ網である編組線、金属箔などの「外部導体」が覆っており、これが内部からの電波の漏洩や、外部からのノイズ(余計な電波)の混入を防いでいます。この外部導体の表面を、ケーブルそのものを保護するビニルなどの表皮が覆っています。
同軸ケーブルという名称は、ケーブルの断面がそれぞれの層で同心円状になっていることに由来します。
この同軸ケーブル(アンテナケーブル)の品質としては、伝送効率がいい、つまり送信される電波の漏洩、減衰や、外部からのノイズの混入が起こりにくいという点になります。品質のいいケーブルを使用するほど、テレビなど受信機器まで、安定した強さの電波(映像信号)を送り届けることができます。
ケーブルの品質は、主に電波の漏洩、混入を防ぐ「絶縁体」「外部導体」の品質や構造、そしてその太さで決まります。
一般的に、住宅の室内で使われるアンテナケーブルには、外部導体までの太さの別で「2C(約4ミリ)」「3C(約5.4ミリ)」「4C(約6ミリ)」「5C(約7.7ミリ)」といった規格があります。実際の太さは表皮部も含まれるため、この数値よりもやや太くなります。
この数値が大きくて太いアンテナケーブルほど、外部のノイズに強く、電波の損失(減衰)が少なくなります。そのため長いケーブルでも問題なく使用できることが多くなります。半面、太いケーブルはやや曲げにくくなり、折り曲げなどの際に制約が出るため、注意が必要となります。
逆に細いケーブルは、減衰やノイズ混入は生じやすい半面、曲げやすく取り扱いやすいという利点もあるため、テレビやレコーダーを接続するなど、短いケーブルが必要な際に重宝します。
以下、各太さのケーブルの特徴や主な用途、使用に適した長さを一覧でご紹介します。
お部屋で使われるアンテナケーブルの太さ、製品に迷っている場合は、一般的な「4C」と表記されたケーブルを選べばまず間違いはありません。
ポイント②: テレビと壁の端子に合う「プラグ形状」を選ぶ
室内用アンテナケーブルの製品には、本体部である同軸ケーブルの両端に、アンテナコンセントやテレビのチューナー端子に接続するためのプラグ(接続端子)がついていますが、その形状も重要です。
昭和から平成初期に建てられたかなり古い住宅を除いて、近年の住宅にあるアンテナコンセントや、テレビ側のチューナー端子の形状は、ほぼ同じになっています。
現在のテレビやアンテナコンセントの端子は、短い筒状で、先端の中心に小さな穴が開いているものになっています。現在の端子は、筒状の横の部分にネジ切りが入っているものが多くなりますが、少し古いタイプでは、ほぼ同じ形ながらネジ切りのない、なめらかな筒状の「プッシュ端子」と呼ばれるものが多くなります。
そしてケーブル側のプラグも、この筒状の部分を覆う形で重ねる短い管上の中心に、電波を通す芯線がある形で、プラグ側の穴に合わせて差し込む形で接続します。
ケーブル側のプラグにも、この端子の形や、お部屋での設置方法に合わせたいくつかの形状があります。
まずはご自宅の壁のアンテナコンセントの端子と、テレビの入力端子の形を確認してください。またアンテナコンセントからテレビまでの配線も想定して、最適と思われるプラグの種類、形状を選んでください。
以下、現在の主なアンテナケーブル製品についている端子の形をご紹介します。
- F型プラグ(ネジ式):テレビなどの端子に接続する部分の内側にネジ切りがあり、同じくネジ切りのある端子に固定するタイプ。端子との接続が抜けにくくなり安定するため、もっともおすすめです。一方で接続する際にやや力がいるという難点もあります。
- F型接栓:F型プラグにリング状のネジが設置されたもので、リング部を回しながら接続することで、テレビなどの端子にしっかりと固定されて抜けなくなります。また電波の漏洩、混入なども生じにくくなるため、特に4K8K衛星放送用にも適しています。
- プッシュプラグ(ストレート型):ネジ式のプラグとほぼ同じ形ながら、ネジ切りがないタイプのプラグで、プッシュ端子に合わせてそのまま抜き差しします。接続に力がいらず手軽に接続できる半面、ケーブルを引っかけるなど、何かの拍子に抜けやすい弱点もあります。
- Ⅰ型/L型プラグ:これは上記のプラグそのものの形ではなく、プラグがついている角度になります。プラグがケーブルの方向と垂直についているタイプをⅠ型と呼ぶのに対し、ケーブルの先に小さな箱型の端子があり、端子部がケーブルの方向から見て直角に曲がる形でついているのがL型のプラグです。L型のプラグは、アンテナコンセントやテレビの裏側など狭い場所でも、プラグ付け根部分のケーブルを折り曲げずに接続できるためスッキリと配線できて、折り曲げによるケーブルへの負担もなくなります。
なお実際のケーブル製品では、ケーブルの両端にあるプラグが同じ形とは限らず、例えば一方がF型プラグでもう一方はプッシュプラグ。また一方はI型でもう一方がL型など、さまざまな組み合わせの製品があるので、テレビなどの端子の形や、配線の流れなど、お住まいの状況に応じた製品をお選びください。
ポイント③: 4K/8K放送を見るなら「対応品(品質)」が必須
2025年現在、日本のテレビ放送で、アンテナからテレビまでケーブルで送信される際の、電波の周波数帯は、以下の通りになります。
- 地デジ放送:470MHzから710MHz。
- 2K衛星放送(右旋放送):1032MHzから2072MHz。
- 4K8K衛星放送(左旋放送):2224MHzから3224MHz。
電波は周波数帯が高いほど、ケーブルでの送信時に減衰や混入が生じやすくなります。
したがって地デジ放送だけでなく、2K衛星放送や4K8K衛星放送をご覧になるお住まいでは、その周波数帯に対応できる、絶縁体や外部導体がより高品質なアンテナケーブルが必要になります。
現在、市販のテレビアンテナケーブルは、大半が地デジ放送および、2K衛星放送の周波数帯までに対応できる製品になっています。しかし4K8K衛星放送については、スタートしたのが2018年(平成30年)と比較的、近年のこともあり、4K8K衛星放送を視聴するには、その周波数帯に対応したアンテナケーブルが必要となります。
4K8K衛星放送用のアンテナケーブルを購入する際には、パッケージに「4K8K対応」「3224MHz対応」という記載や、4K8K含む衛星放送に対応できる性能を持つ受信機器や関連機器に付与される「SHマーク」が表示されている製品を選んでください。
4K8K衛星放送に非対応のアンテナケーブルを使うと、ケーブル送信中の減衰量が大きくなるため、4K8K放送が映らない、ブロックノイズで映像が乱れるなどの原因になります。
他にも、4K8K 放送の周波数帯に含まれる2.4GHz帯の電波が漏洩することにより、無線LANやスマートフォン、電子レンジへの電波干渉が発生することもありますのでご注意ください。
なお、アンテナケーブルの品質は、パッケージの記載の他、ケーブルの表面にも印字されている「S-4C-FB」などの記号でも判断できます。
この記号の意味ですが、冒頭の「S」は2Kまでの衛星放送に品質に対応できるものになります。次の欄の数値は、前述した「4C」「5C」などのケーブルの太さ。「C」はインピーダンス(電気抵抗の値)を示すもので、テレビ用のケーブルは基本的に「C」になります。
最後の欄の「FB」などは、前段の「F」などは絶縁体、後段の「B」は外部導体の品質を示すものです。アンテナケーブルの絶縁体はポリエチレン製が多くなりますが、空気が含まれるほど絶縁性能が高くなります。「F」は発泡ポリエチレン製、「HF」は高発泡ポリエチレン製を示します。
外部導体の「B」は、アルミなど金属箔の上に編組線を重ねた二重シールドを示します。基本的にアンテナケーブルは、この「FB」以上の性能であれば、地デジから4K8K衛星放送までのすべての周波数帯に対応できます。
ポイント④: 100均(ダイソーなど)の製品は使える?注意点を解説
近年ではダイソー、セリアなどの100円ショップも日本各地で見られ、その品揃えもとても豊富になっています。
店舗によっては、本記事でご紹介しているアンテナケーブルや中継接栓、また分配器など、テレビのアンテナケーブル配線に使用する機材を、安く購入できることもあります。
お客様にとっても、ケーブル配線や延長の際の費用を「できるだけ安く済ませたい」という思いから、100円ショップでこれらの製品をご検討になる方もいるでしょう。
結論から申し上げますと、100円ショップのアンテナケーブルや関連製品を利用しても、ケーブルの延長は可能です。
ただし、以下の点には注意が必要となります。
- シールド性能が低い:百円ショップのアンテナケーブルなどは、コストを抑えるために製造工程などが簡略化されており、精度などの品質がさほど高くはありません。そのため外部からの電波を遮り、漏洩も防ぐシールド性能が低くなり、使用中に外部のノイズを拾いやすく、テレビ映像が乱れる可能性があります。
- 耐久性が低い:同様の理由から、ケーブルの強度もやや低く、断線しやすいことがあります。
- 4K8K非対応が多い:同じくコストを抑えるため、前述した「S-4C-FB」などの記号で表される品質のうち、絶縁体や外部導体の品質が高い製品が少なく、高画質な放送には向いていません。
したがって、100円ショップのアンテナケーブル類は、比較的、周波数帯の低い地デジ放送用で、さほど画質の安定にこだわらず、ごく短い距離を延長する場合であれば選択肢になり得ます。
しかし衛星放送や特に4K8K放送で、安定した視聴環境を求めるなら、家電量販店や専門店などで、大手メーカー製で製造の精度も高く、品質の確かなケーブルを選ぶことを強くおすすめいたします。
なぜ?ケーブル延長でテレビの映りが悪くなる原因と対策
アンテナケーブルの延長や交換を行った後、テレビのアンテナレベルが低下し、映像にブロックノイズなどが混じり、映りが悪くなったというトラブルも、ときに聞かれます。
このようなトラブルを避けるため、この項目では、アンテナケーブルが原因で、テレビの画質が劣化する主な原因と、その対策をご説明いたします。
原因をご理解いただくことで、事前に問題を避ける対策を打つことができ、安心してケーブル延長の作業に臨むことができます。
原因①:電波の減衰にご注意!ケーブルは「太く」「短く」が基本
アンテナで受信した電波のレベルは、アンテナケーブル(同軸ケーブル)を通るうちに少しずつ弱くなっていきます。電波レベルが弱くなるということは、電波の波長に変換された、テレビの映像信号も弱まるということです。
これを「減衰《げんすい》」と呼び、送信されるケーブルが長ければ長いほど、電波はより多く減衰します。
室内で使用するアンテナケーブルには、模様替えの場合なども考慮して、必要最小限よりある程度、余裕がある長さも必要です。しかしその一方で、最小限の長さより何メートルも長いなど、過度に長すぎるケーブルを使ってしまうと、ケーブル伝送時の電波の減衰が大きくなり、テレビに到達する頃にはレベルの低下やノイズの影響により、テレビ映像の乱れが生じる要因になるのです。
以下、アンテナケーブルの長さによる電波レベルの減衰を抑え、テレビ画面を安定させるための、具体的な対策をご紹介します。
対策
- 必要な長さのケーブルを使う:上記の通り、ケーブルの長さに多少の余裕は必要ですが、余裕は長くとも1、2メートル程度に抑え、できるだけご使用に適切な長さのケーブルをお選びください。
- 太く高品質なケーブルを選ぶ:前述の通り、「4C」や「5C」といった太いケーブルは減衰が少ないため、画質劣化のリスクを抑えられます。アンテナコンセントからテレビまでを結ぶメインのケーブルは太めのものを使ってください。また絶縁体が発泡ポリスチレンや高発泡ポリエチレン、外部導体は二重や三重シールドなど、高品質なケーブルを利用することも減衰の軽減に役立ちます。
原因②:ノイズの混入:「シールド性能」が高いケーブルを選ぶ
アンテナケーブルは、Wi-Fiルーターや電子レンジ、スマートフォンなど、他の家電が発する電波(電磁波)を拾ってしまうことがあります。
これが「ノイズ(雑音)」となり、テレビ電波(映像信号)を乱してしまい、テレビに届いた際に、ブロックノイズなど映像の乱れを引き起こします。
アンテナケーブルにノイズの混入を防ぐには、主に以下の対策が考えられます。
対策
- 高シールドケーブルを選ぶ:上記の減衰対策と同じく、絶縁体や内部導体の品質が高く、特に外部導体がケーブル内部がアルミ箔と編組線などで二重、三重に覆われている「二重シールド」「三重シールド」構造の製品は、外部ノイズの侵入を防ぐ効果が高くなります。なおノイズはアンテナケーブルの接続部から混入しやすいため、中継接栓などを使用する場合は、これらの機器もシールド性能の高い製品が必要です。
- ノイズ源から離す:アンテナケーブルを、電子レンジやWi-Fiルータなど、電磁波や電波を発する他の製品の本体、電源タップなどから、できるだけ離して配線してください。
原因③:接続部の不良|プラグはしっかり奥まで差し込む
ケーブルとテレビなどの機器、またケーブル同士を中継接栓などで接続して、延長する際に、プラグの差し込みが甘かったり、延長コネクタの接続が緩んでいたりすると、そこから電波の漏洩による損失やノイズの混入が起こりやすくなります。
これは、テレビの映像が乱れる原因として、非常によくあるケースです。
以下、プラグの接続不良などで、テレビ画面が乱れる場合の主な対策をご説明します。
対策
- プラグを奥までしっかり差し込む:壁のアンテナコンセント端子、テレビのチューナー端子など、すべてのケーブル接続部をもう一度、確認してください。ケーブル接続部が汚れている場合は、乾いた柔らかい布などで汚れを落とし、あらためてプラグを置くまでしっかりと接続してください。
- ネジ式のF型プラグを使う:緩みにくく、接触不良が起きにくいF型プラグ、特にネジ式でしっかり固定できるF型接栓のご利用が、ノイズ対策も含めて、もっとも確実な方法になります。
原因④:ケーブルの不適切な扱い:極端な折り曲げや加重は厳禁!
アンテナケーブル(同軸ケーブル)で安定して電波を送信するためには、ケーブルの断面が円の状態を保つことが必要です。
ケーブルを強く折り曲げる、ものの下敷きになってケーブルが歪むなどして、断面の円形が保たれなくなると、その部分から電波の減衰や漏洩、ノイズの混入、信号の乱れなどが生じやすくなります。
また、ケーブルを直角など極端に折り曲げる、ケーブルの上に家具を乗せる、その他、衝撃を与える扱いをすると、内部導体の断線をはじめ、ケーブルそのものが破損してしまい、電波を送信できなくなることにもつながります。
これら、ケーブルの不適切な扱いによるトラブルを避ける対策には、以下の方法が挙げられます。
対策
- アンテナケーブルに家具やものを乗せない:室内のアンテナケーブルでは、アンテナコンセントからテレビの位置まで、主に部屋の端を這わせてケーブルを伸ばすことになりますが、この際、ケーブルの上に家具を乗せる、物を落とすなどのことがあると、ケーブルが断線するなど、破損の原因となります。室内でキャスターのある家具を移動する場合も、ケーブルを踏んでしまわないよう注意が必要です。
- ケーブルは「曲げ半径」に合わせて曲げる:アンテナケーブルを部屋のコーナーに沿わせる際など、ケーブルを曲げる必要がありますが、このときもケーブルを角に合わせて直角に曲げたりすると、送信不良やケーブル破損の原因になります。コーナーのケーブルは「曲げ半径」に合わせて緩やかに弧を描く形で曲げてください。曲げ半径とは、そのケーブルを90度、適切に曲げた際、曲げた部分の弧にぴったり当てはまる円形の半径を示したものです。ケーブルの曲げ半径は、ケーブルの太さや品質によって異なるため、ケーブル別に確認してください。
原因⓹:分配による信号低下|「分配器」を使っている場合は注意
壁のアンテナコンセント端子から、テレビやレコーダーなど複数の受信機器に電波を分けている場合には、テレビアンテナ用の「分配器」という機器が使われるケースがあります。
分配器とは、電波を入力する一個の入力端子と、出力する複数の出力端子があり、それぞれにケーブルを接続して、電波を等分に分配する機器です。
そのため分配器を通して電波を分配する場合、例えば三分配であれば、入力された電波レベルを三分の一ずつ、等分に分けて各出力端子から送り出すことになります。
したがって個々の端子に出力された電波は、入力された電波の数分の一のレベルになります。また電波が分配器を通る際に、接続端子の抵抗などで多少の減衰も生じます。
そのため、室内で分配器を通した先では、電波の受信レベルが、安定したテレビ画面を維持するのにギリギリのレベルである場合があります。その状態でケーブルを延長すると、ケーブル送信時の減衰により、テレビ電波レベルの低下、信号不足で、テレビ画面が正常に映らなくなってしまう可能性があります。
この場合の主な対策には、以下の方法が考えられます。
対策
- ブースター(増幅器)の利用:この場合は、テレビ電波のレベルを増幅するテレビアンテナ用「ブースター」という機器の設置を検討する必要があります。室内用のブースターであれば一般の方でも比較的、簡単に設置できます。また室内用の分配器には、ブースターを内蔵した製品もあります。
- ケーブル配線方法の工夫:室内でテレビ、レコーダーなど複数の受信機器を利用する場合、分配器を使用せず、例えばテレビのチューナー入力端子にアンテナケーブルを接続、さらにテレビの出力端子とチューナーの入力端子を短いケーブルを接続するといった方法で、大きな電波レベルの減衰がなく、各機器にテレビ電波を送ることができます。
【困ったときには】ケーブル延長後にテレビが映らないときのトラブルシューティング
実際にケーブル延長の作業を終えてテレビをつけた結果、正常にテレビ放送が映らないと、テレビアンテナの問題で映らないのかもと、あわててしまうこともあるかもしれません。
しかし、そのようなときは決してあわてず、以下のステップの順に、冷静に原因をご確認していってください。
Step1. まずは基本の接続を確認
トラブルの多くは、単純な接続ミスが原因であるケースがほとんどです。
以下のポイントを、もう一度チェックしてみてください。
- 壁のアンテナ端子にプラグはしっかり刺さっていますか?
- テレビの「アンテナ入力」端子に正しく刺さっていますか?(「出力」と間違えないようにしてください)
- 延長コネクタを使っている場合、接続は緩んでいませんか?
- テレビのリモコンで入力切替が正しいチャンネル(地デジ、BS/CSなど)になっていますか?
Step2. ケーブル本体の損傷・劣化をチェック
次に、ケーブルそのものに問題が生じていないか確認していきます。
- ケーブルが家具の下敷きになって、潰れていませんか?
- どこか極端に折れ曲がっている箇所はありませんか?
- ペットを飼っている場合、かじった跡などはありませんか?
- 長年使っている古いケーブルの場合、経年劣化している可能性もあります。
Step3. 信号レベルが足りない場合は「ブースター」を検討
上記を確認しても改善しない場合、ご自宅の電波が弱く、ケーブルを延長したことで受信に必要な信号レベルを下回ってしまった可能性があります。
この場合は、アンテナとテレビの間に「ブースター(増幅器)」を設置することで、信号を強くして受信を安定させることができます。
ブースターを選ぶ際も、衛星放送や4K8K放送を視聴される場合は、対応する製品を選ぶ必要があります。
もっと知りたい!アンテナケーブル延長に関するQ&A
この項目では、アンテナケーブルの延長や交換に関して、お客さまからのよくあるご質問にお答えしてゆきます。
Q. ケーブルは何メートルまで延長できる?長さの限界は?
A. アンテナケーブルに「何メートルまで」という明確な限界はありません。
受信している電波の強さやケーブルの品質にも大きく左右されますが、一般的に室内での配線で、4Cのケーブルを使う場合であれば10メートル程度がひとつの目安とされています。
ただし、ケーブルは長くなるほど電波の減衰やノイズの混入による画質の劣化リスクが高まるため、必要最低限の長さにすることが基本です。
Q. アンテナ端子1つでテレビを2台見る方法はある?(分配器)
A. 可能です。
「分配器」という部品を使って、1つのアンテナ端子からの信号を2本以上のケーブルに分けることができます。分配器と、テレビやレコーダーなど2台分のアンテナケーブルを用意すれば接続できます。
ただし、元の電波レベル(信号)は等分のレベルに分けられるため、テレビ1台あたりの電波は弱くなってしまい、元の電波レベルが弱いとテレビの2台とも画面の映りが悪くなるケースがあります。その場合は、電波を増幅する機器「ブースター」の設置が必要になります。
他にも前述の通り、アンテナコンセントからのケーブルを一台のテレビの入力端子に接続した後、テレビの出力端子と、もう一台のテレビの入力端子を別のケーブルで接続するという方法もあります。しかしこの方法も、先に行く機器ほど電波レベルが低下していきますのでご注意ください。
Q. 延長したケーブルを綺麗に配線するコツは?
A. 長いケーブルが部屋を横切ると、見栄えも悪く、足を引っかけたり、ケーブルを破損したりする危険もあります。
以下のような配線グッズを活用すると、スッキリとまとめることができます。
- ケーブルモール:壁や床に貼り付けて、中にケーブルを隠すカバー。
- ケーブルステップル:ケーブルを壁に沿って固定する小さな留め具。
- カーペットの下を通す:薄型のフラットケーブルを選ぶと、カーペットの下に隠しやすくなります。
Q. 屋外でケーブルを延長する場合の注意点は?
A. ベランダを経由して別の部屋へ配線するなど、屋外でケーブルを使用する場合は注意が必要です。
雨風や紫外線にさらされるため、必ず屋外用の耐候性が高いケーブルと防水タイプのF型接栓を使用してください。
感電や漏電のリスクもあるため、屋外での配線は基本的には専門業者に依頼することを強くおすすめします。
DIYは不安…そんな時はプロのアンテナ工事業者に相談しよう
ここまで記事をお読みになり「自分で作業を行うのはやっぱり難しそう」「失敗してテレビが映らなくなったら困る」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
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プロに依頼するメリットと失敗しない業者の選び方
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良い業者を選ぶには、以下の3つのポイントをご確認ください。
- 料金体系が明確か:工事の際に、当初の見積もり料金以外の追加料金が発生しないかを確認する。
- 施工実績が豊富か:ホームページなどで過去の工事例を確認する。
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まとめ:正しい知識でケーブルを延長して、快適なテレビ視聴環境を実現してください
テレビのアンテナケーブルの延長や交換は、今回ご紹介したポイントを押さえれば、ご自身で行うことも十分に可能です。
まずはご自身の状況に合わせて、「ケーブル交換」「延長コネクタ」「自作」のどれが最適かを選んでください。そして、ケーブルの「太さ」「プラグ形状」「4K8K対応」を確認して、適切な部品を選ぶことが成功の鍵です。
正しい知識と方法で、ケーブルの長さに縛られない自由で快適なテレビ視聴環境を手に入れてください。
もし、少しでも作業に不安がある、またはより確実で綺麗な仕上がりをお求めの場合、またはケーブルの延長、交換後に画面トラブルは生じた場合は、当あさひアンテナなどの専門業者に相談してください。
当あさひアンテナでは、アンテナケーブルを含めた、各種アンテナ工事や、関連する工事のご相談、受信トラブル時のお問い合わせなどを、弊社フリーダイヤルへのお電話、また当サイトのメールフォーム、弊社LINEアカウントで受け付けております。
ケーブル延長・交換の後にテレビ画面が乱れるなどトラブルのご相談に関しては、弊社フリーダイヤルまでお問い合わせいただければ、現場の知識も豊富な弊社オペレーターが、まずはお住まいの状況などをおうかがいして、考えられる原因と、お住まいでも可能な対処法をご案内いたします。もしお電話でのご説明だけでトラブルが解消された場合には、料金は1円もいただきません。
そしてお住まいでの原因の特定や、対処が難しいトラブルの場合は、そのままご依頼いただければ、弊社のアンテナ職人が即座に現場へと駆け付け、原因の特定と、復旧に必要な工事、およびその費用をご提案いたします。
これらの作業に関しても、お客様が弊社スタッフのご説明に納得されて、正式に工事のご契約を結ばない限りは、料金は1円も発生いたしませんのでご安心くださいませ。
アンテナに関する各種工事から、トラブルのご相談まで、先ずはお気軽に当あさひアンテナまでお寄せいただければ幸いです。