【プロが解説】CS放送が映らない原因は?BSは映る?アンテナの状態は?テレビのエラーを自分で直す対処と簡単チェックリスト
現在ではお住まいでのテレビ放送として、衛星放送もご覧になるお宅が多くなっています。特にCS放送で、映画、アニメ、スポーツ、時代劇など、ご家族それぞれのお好みに合わせて、地上波では観られないさまざまな番組を楽しんでいる方もおられるでしょう。
しかし、そんな専門チャンネルが、急に映らなくなってしまうこともあります。
「楽しみにしていたCS放送のスポーツ中継が、突然映らなくなった」
「いつも見ている映画やアニメ、時代劇などの専門チャンネルが映らない」
「エラーコードが出ているけど、どうすればいいか分からない」
楽しみにしていたCS放送のチャンネルや番組が突然映らなくなると、さぞお困りのことと思います。特にCS放送は有料チャンネルが大半のため、せっかく契約したのに見たい番組が見られないのでは、損をした感覚もあるでしょう。
そこでこの記事では、専門知識がない方でも、CS放送や各チャンネルが映らない原因を特定し、ご自身で解決するための具体的な手順を分かりやすく解説します。
本記事の執筆は、技術系の知識を持ち、自身で設置したBS/CSアンテナにより長年、BS放送、CS放送を視聴しており、自身で受信トラブルを解決した経験も多い、衛星放送に強いライターが担当しています。
さらに技術的な面では、アンテナ工事の大手専門業者「あさひアンテナ」に所属するアンテナ職人より、豊富な専門知識と現場経験に基づく監修を受けていますので、記事の正確性も折り紙付きだと言えます。
まずはCS放送や衛星放送の基礎知識に基づき、CS放送のトラブルに際して、誰でもすぐに試せる6つの簡単なチェックリストからご紹介します。
業者を呼ぶ前にこのリストを試すだけで、意外とあっさり問題が解決することも少なくありません。
そのチェックで解決できない場合は、より踏み込んだトラブル原因と対処法から、ご自分での対処が難しい場合の、優良な業者の選び方まで解説しています。
この記事をお読みいただければ、まずはCS放送が映らない原因の切り分けができ、ご自身での対処から業者への依頼まで、最速で問題を解決する道筋が見えるはずです。
BS、CSの違いは何?衛星放送の基礎知識を解説!
お住まいにBS/CSアンテナを設置してCS放送を視聴している方ならご存知でしょうが、CS放送とは衛星放送の一種です。そして衛星放送には、大きく分けてCS放送の他にもBS放送と呼ばれる放送もあります。
そのため、CS放送が映らない原因を探る前に、まずは衛星放送の基本的な仕組みを理解しておくことが肝要です。
例えば「BS放送は映るのにCS放送だけ映らない」といった特定の状況の原因は、BSとCSのちょっとした違いにあるからです。
さらに、電波状態やアンテナの不具合でCS放送が視聴できないケースの場合は、BS放送も映らないことが多く、不具合への対策はCS、BSで共通するものになります。
ここでは、衛星放送の基本的な仕組みから、BS放送、CS放送、そして最近よく聞く「新4K8K衛星放送」まで、それぞれの放送の違いや特徴を分かりやすく解説します。
この知識が、後のトラブル解決のヒントや基礎知識にもなります。
衛星放送の仕組みとは?地デジとはここが違う!
私たちが普段見ているテレビ放送には、大きく分けて「地上デジタル放送(地デジ放送)」と「衛星放送」の2種類があります。
これらの放送は放送の仕組みや使用される電波が根本的に異なるため、地デジ放送には八木式アンテナ、デザインアンテナなどの地デジアンテナ(UHFアンテナ)が、衛星放送にはパラボラアンテナであるBS/CSアンテナが必要です。
そしてCS放送とは、BS放送と並ぶ「衛星放送」の一種です。
地デジ放送は、地上の日本各地に設置された地デジの電波塔から、周辺エリア一体に電波を送ることで、日本国内のほぼ大半をカバーしています。このような地上の設備と空間を用いた放送形式から「地上波(テレビ)放送」とも呼ばれます。
一方、衛星放送では、地球上の赤道軌道上、約36,000キロ上空で、地球の自転と同期して周回しているため人工衛星「静止衛星」から、日本の全域に向けて電波を送っています。この静止衛星は、地上からは常に空の一点に静止しているように見えます。
この衛星放送の電波は、地デジ電波のUHFよりもはるかに周波数帯が高い「12GHz帯(12GHz前後の周波数帯)」という電波が使われています。
12GHz帯は光のように直進性が高く、エネルギーを集中させやすいため、静止衛星から地上まで、長距離の送信に適しています。
この12GHz帯が、静止衛星から日本の全域まで、ライトを当てるような形で送信されていることになります。
一方で12GHz帯にはその光のような性質から、光がものに当たると影ができるように、わずかな障害物にも遮られやすく、その向こう側では受信しにくくなるという性質もあります。
この衛星放送、地デジ放送の仕組みや電波の性質の違いが、それぞれの受信方法(アンテナ)や受信トラブルの原因にも影響します。
衛星放送と地デジ放送の主な違いは、以下の一覧の通りになります。
※上記は衛星放送、地デジ放送の主な特徴になります。
衛星放送を受信するBS/CSアンテナの仕組みとは?
上記した衛星放送の電波(12GHz帯)を受信するために必要なのが、皿のような円盤を持つことで知られる「パラボラアンテナ」ことBS/CSアンテナです。
衛星放送でこのようなアンテナが必要になる理由は、やはり放送の形式や電波の性質によるものです。
宇宙空間の静止衛星から日本全域まで、まっすぐ光のように届いてくる12GHz帯をキャッチするために、皿状の部分「ディッシュ・放物線反射器」が必要なのです。
このディッシュの内側で12GHz帯を、正面の一点に集まるよう反射させます。電波が集まる場所には「一次放射器」が固定されており、この部分が電波を吸収することで、衛星放送が受信できる仕組みになります。
また12GHz帯は周波数の高さから、そのままではアンテナケーブル(同軸ケーブル)で送信することができないため、アンテナの一次放射器に内蔵されるコンバーターで、MHz帯へと変換した後、ケーブルへと送信されます。
このコンバーターを作動させるため、BS/CSアンテナには、ケーブルを通じてテレビやブースター電源部から電気を送る形で、電源が必要となります。
このような受信の仕組みから、BS/CSアンテナでの受信(アンテナ設置)には、以下のような注意点があり、守られないと受信不良につながります。
- 正確な角度調整:ディッシュで12GHz帯を正確に一次放射器へと反射させるため、ディッシュの仰角と方位角(上下、左右の角度)を、静止衛星の位置する南西上空(東経110度)へと正確に合わせることが重要です。この角度がミリ単位でもずれると、電波の焦点が一次放射器から外れ、衛星放送が受信できなくなります。
- 障害物の排除:上記の角度調整を正確に行った上で、ディッシュを向ける方向に、山や建物はもちろん、電柱や電線、樹木やその枝、洗濯物などわずかな障害物もないことが重要です。12GHz帯はこのような障害物にも遮られてしまい、アンテナの受信レベルが大きく低下してしまうからです。
- 電源設定:上記のようにBS/CSアンテナでは、コンバーターで12GHz帯を適切な周波数帯に変換するため、テレビなど受信機側(またはブースター電源部)で「BS電源設定」を行う必要があります。この設定が適切でないとコンバーターが作動せず、衛星放送の電波が届かなくなります。
- 降雨・降雪減衰:12GHz帯は波長が短いため、雨や雪が大粒になる豪雨、大雪でも、空間に無数の障害物が待っている状態になり、12GHz帯が吸収され、乱反射も生じてアンテナで受信できなくなります。このような場合の対策は、天候の回復を待つことが基本になります。
CS放送に限らず、衛星放送が受信できない場合は、まずこれらの要因について注意することが必要です。
なお、BS/CSアンテナは基本的にパラボラアンテナ一種類のみですが、一般家庭用や集合住宅の共同受信用など、必要な受信レベルに応じたサイズの違いがあります。
主なモデルでは、ディッシュ受信部の有効直径(センチ)を表す、45型、50型、60型、75型、90型、120型があり、大型モデルほどキャッチできる電波が強くなります。
他にも一般住宅向けの45型BS/CSアンテナモデルには、日光の影響を避ける通常の白色系のほかに、日光に強い塗装を施したブラックやゴールドなどのカラーバリエーション。また設計の工夫で台風などの強風にも耐久性を高めた高耐風モデルなどが存在します。
衛星放送の「BS放送」とは何か?
衛星放送の種類の内、BS放送とは「Broadcasting Satellite(放送衛星)」を使って送られてくる衛星テレビ放送のことです。
日本の衛星放送では、東経110度の上空に位置する放送衛星を使用しています。
BS放送(現在はBSデジタル放送)は基幹的な衛星放送です。したがってBS/CSアンテナを設置すれば、特に契約や料金などは不要で、NHKや民放キー局系、その他の無料チャンネルを視聴できるのが大きな特徴です。(NHK受信料を除く)
他にも、各チャンネルと個別契約を行う「wowow」「J-sports」など有料の専門チャンネルも何局かあります。
いずれにせよ「衛星放送を視聴する」というと、まずはこのBS放送をイメージする方が多いでしょう。
専用アンテナさえ設置すれば、地デジ放送とは異なる基本的なチャンネルを無料で楽しめる、これがBS放送の魅力です。
衛星放送の「CS放送」とは何か?
本記事の主要テーマでもあるCS放送は、衛星放送でも「Communications Satellite(通信衛星)」を使って送信される衛星テレビ放送です。BS放送と同様、現在はCSデジタル放送になっています。
BS放送との大きな違いは、特定の放送事業者が運営する有料放送であり、現在は「スカパー!」サービスが知られています、
CS放送(スカパー!)は、まず放送事業者と契約して毎月の基本料金を支払うことで視聴が可能となり、映画、スポーツ、アニメ、音楽など、特定のジャンルに特化した多彩な専門チャンネル(有料チャンネル)から、お好きなチャンネルを選んで有料契約を結ぶことで、月単位で視聴できます。
現在のCS放送サービスには、110度CS放送「スカパー!」と、124・128度CS放送「スカパー!プレミアムサービス」の二種類があり、それぞれ個別の契約が必要です。
また、110度CSはBS放送と同じく東経110度に位置する通信衛星を利用しているため、一基のBS/CSアンテナでどちらも受信でき、テレビなど受信機器も110度CS放送のチャンネルに対応していることが多くなります。
一方、124・128度CS放送は、その名の通り東経124度、128度に位置する通信衛星を利用しているため、視聴には対応するパラボラアンテナや専用チューナーが必要です。
特に110度CS放送は、BS放送とアンテナが共通しているため加入しやすく、よりマニアックで専門的な番組(チャンネル)を楽しみたい方向けの、追加の有料放送サービスといえるでしょう。
なお、本記事における「CS放送」は、基本的にBS/CSアンテナでBS放送とまとめて受信できる、もっとも一般的な「110度CS放送(スカパー!)」を前提に話を進めていきます。
新4K8K衛星放送はBS、CSとどう違う?
2018年(平成30年)にスタートした「新4K8K衛星放送」は、従来のハイビジョンよりも格段に高画質な映像(4K、8K放送)を楽しめる放送です。
これはまったく新しい放送のカテゴリではなく、BS放送、CS放送の中に4Kや8K画質のチャンネルがいくつか追加されたものになります。
したがって、基本的にはBS/CSアンテナを設置している現場であれば、有料チャンネルを除けば、特に工事や追加料金は不要で、多くの4K8Kチャンネルを視聴できます。
ただし、注意点がひとつあります。
4K8K放送がスタートする以前の2K衛星放送では、12GHz帯として「右旋円偏波」という電波が使われていました。
しかし4K8Kチャンネルの追加に必要な周波数帯が右旋の電波だけでは不足したため、一部の4K8Kチャンネルのために、新しく「左旋円偏波」という電波を導入し、その周波数帯を割り当てたのです。
つまり衛星放送の4K8Kチャンネルには、右旋のチャンネルと左旋のチャンネルの2種類があることになります。
そして右旋のチャンネルは2018年以前の従来のBS/CSアンテナ(2K・右旋対応)や配線設備でも受信できますが、左旋のチャンネルを受信するには、2018年以降の2K4K8K・右旋左旋対応のBS/CSアンテナが必要になるのです。
また左旋の電波はBS/CSアンテナで受信され、コンバーターで変換された後も、従来の右旋よりも高い周波数帯になります。
そのためBS/CSアンテナからテレビ(受信機器)までを結ぶアンテナケーブル(同軸ケーブル)やブースター、分配器、コンセントユニットなどの機器も、4K8K(3442MHz)に対応した機器でなければ、電波を正常に送信できません。
以下、右旋・左旋の電波の違いを、一覧でまとめました。
※上記は右旋円偏波・左旋円偏波の概要になります。
なお従来の衛星放送では、右旋に当たるのはBS放送のNHKおよび民放キー局の4Kチャンネルのみで、それ以外のすべての4K8Kチャンネルは左旋放送でした。
しかし近年、民間放送局が4K放送から撤退する動きがあり、周波数帯の再編にともない、多くの4Kチャンネルが右旋に移行し、左旋チャンネルは数が少なくなっています。
したがって現状、左旋放送の4K8Kチャンネルで、特に視聴したいチャンネルがなければ、2K右旋のみ対応のBS/CSアンテナ設備をお使いの住宅でも、いますぐあわててアンテナや設備を交換する必要はないと言えます。
【まず試して】CSが映らないときにすぐ確認できる5つのこと
お住まいで衛星放送、特にCS放送や特定のチャンネルが正常に映らない、また全体的にテレビの映りが悪い場合、専門的な原因を探る前に、まずはご自身で簡単に確認できる「6つのポイント」を本項目でご紹介します。
CS放送や衛星放送が映らない原因の多くは、アンテナの故障などではなく、テレビ周りの不具合など、意外とささいな原因である場合もあるのです。
CS放送初め、テレビ放送が正常に映らない場合には、まずは以下の手順をひとつずつ試してみてください。
業者を呼ぶ前にこれらの点をチェックするだけで、問題があっさり解決する可能性は十分にあります。
チェック1:B-CASカードの抜き差しと清掃
CS放送をはじめとするデジタル放送(BSデジタル、CSデジタル、地上デジタルの各テレビ放送)の視聴には、テレビなど受信機器本体に「B-CASカード」というICカードが正しく認識されている必要があります。
B-CASカードは主にデジタル放送信号の暗号化(著作権保護)を解除する役割を持っており、このB-CASカードが受信機器に挿入されていないか、機器が認識できないと暗号化が解除できないため、デジタル放送を視聴できません。
このB-CASカードが接触不良を起こすことが、CS放送をはじめとするデジタルテレビ放送が映らなくなる原因として非常に多いケースです。
なお、B-CASカードの問題でデジタル放送が映らない場合、大半のケースではテレビ画面に「E100」「E101」「E102」のエラーコードが表示されます。
このB-CASカードのトラブルに対しては、以下の対処が有効になります。
- テレビやレコーダーの主電源を完全に切ります。
- 本体の側面や前面にあるB-CASカードをゆっくりと引き抜きます。
- カード裏面の金色のICチップ部分を、メガネ拭きのような乾いた柔らかい布で優しく拭きます。
- カードの向きを間違えないように、カチッと音がするまで奥までしっかりと挿し直します。
- 本体の電源を入れ直し、1分ほど待ってからCS放送が映るかリモコンを操作して確認してください。
なお、2018年以降に発売された4K8Kテレビの多くは、B-CASカードと同じ機能を持つ「ACASチップ」を内蔵しているため、B-CASカードは使っていません。
このような機器で上記のエラーコードが出た場合は、後述するテレビなど本体の再起動がおすすめできる対処になります。
チェック2:アンテナケーブルの接続確認
急にテレビが映らなくなる原因として、アンテナコンセントからテレビまでを結ぶアンテナケーブルの緩みや抜けも、よく考えられるケースのひとつです。
ごく単純なことですが、掃除や片付けの際に、うっかりケーブルに触れて端子が抜けてしまう、時間とともに徐々に端子部が緩んでしまうなどのことがあります。
テレビやレコーダーの背面にあり、衛星放送のアンテナケーブルを接続する「BS/CS入力」と書かれた端子を確認してください。
また、壁側にあるアンテナコンセントの端子も同様に確認します。
それぞれのケーブルが、しっかりと奥まで差し込まれているか、指で軽く押して確認してください。一度抜いてから、再度「グッ」と奥まで差し込み直すと、接触不良が改善されることがあります。
またレコーダーなどの機器を経由してテレビにアンテナケーブルを接続している場合は、すべてのケーブル接続部を確認します。
アンテナコンセントの端子が地デジとBS/CSで別々になっている、またはケーブルの途中で、地デジと衛星放送の電波を二本のケーブルに分離する「分波器」を設置している場合は、ケーブルや接続する端子について、地デジとBS/CSの接続を間違えていないかを確認してください。
他にも、ケーブルを途中で急角度に折り曲げている、家具の下敷きになっているなどのけーすも、電波の送信不良や断線の原因になります。ケーブルが必要以上に長い場合も電波が弱まる原因になり、特にCS放送の電波は減衰しやすいため注意が必要です。
チェック3:テレビ・レコーダーの再起動
パソコンやスマートフォンの動作がおかしいときに再起動するように、テレビやレコーダーも再起動(リセット)することで、一時的な内部エラーが解消されることがあります。
テレビなどを再起動する操作は、メーカーやモデルを問わず共通しており、とても簡単な手順になります。
まずテレビやレコーダー本体の主電源ボタンで電源を切り、コンセントから電源コードを抜きます。
そのまま数分ほど待ってから、再度コンセントにプラグを差し込み、本体の電源を入れ直してください。
この「リセット」により、内部基盤などが初期化され、生じていた一時的な不具合があっさり解消されることも少なくありません。
またテレビなどの機器によっては、独自の初期化・リセット方法を持っている場合もあり、こちらも一時的な不具合に効果を発揮します。
一方でこのような方法の場合、ユーザーが独自に行った機器の設定や、録画内容なども初期化されてしまうケースがあるため、初期化の結果がどうなるか、本体の取扱説明書などできちんとご確認の上、問題がない場合のみ実行してください、
チェック4:チャンネルの再設定(スキャン)
テレビなどの機器は、最初に使用する前に、受信できているテレビ電波のすべてのチャンネルを確認し、チャンネル番号に当てはめていく「チャンネルスキャン(チャンネル設定、チャンネルサーチ)」を行う必要があります。
この作業は、テレビの設置後、初期設定画面などから行い、スタートすればテレビが自動的に作業を進めてくれます。
その後、受信できる電波(チャンネル)に変化がなければ特に問題はありません。
ただ引っ越しで受信できる地デジ電波(電波塔)が変わる、放送局側でチャンネル(周波数帯)の再編があった、テレビのトラブルでチャンネル設定が消えてしまったなど、受信できる電波とチャンネル設定に齟齬が生じると、テレビ本体がチャンネル情報を正しく認識できず、一部、またはすべてのチャンネルが映らなくなる場合があります。
そんなときは、あらためてチャンネルスキャン(再スキャン)を行うことで、最新のチャンネル情報を取得し直すことができます。
このトラブルは、地域(電波塔)ごとに電波内容が変わる地デジ放送で起こりやすいものですが、CS放送でもチャンネル追加などに伴う周波数帯の変更や、テレビの不具合が生じた場合に考えられます。
具体的な手順は、リモコンの「設定」や「メニュー」ボタンから、地デジまたはBS/CSの「放送受信設定」に該当する項目を探し、「チャンネルスキャン(チャンネル設定)」または「再スキャン」などの項目を実行してください。
詳しい操作方法はメーカーやモデルによっても異なるため、詳しくはテレビ本体の取扱説明書やメーカー公式サイトなどをご確認ください。
チェック5:天候や障害物の確認と放送障害情報
ここまでの項目は、CS放送に限らずテレビ放送全般やテレビそのものの不具合に適用できる方法でしたが、本項目以降は衛星放送特有の問題になります。
衛星放送で静止衛星から送られる12GHz帯は、波長が25ミリ程度と短く直進性が高いため、障害物の影響に弱いことは、上記で解説した通りです。
BS/CSアンテナを設置した時点では、受信環境について特に問題はなくとも、のちに電波が送られてくる静止衛星の方向に、ビルなどが建てられる、樹木が伸びる、洗濯物が干されるなどの要因で、12GHz帯の電波が遮られてしまうこともあります。
また、雨や雪の粒が25ミリに近い大雨や大雪の場合には、空間に無数の小さな障害物がばらまかれたような状態になり、水分に電波が吸収される、乱反射が生じるなどして、BS/CSアンテナでの受信が難しくなることが多くなります。この現象を「降雨減衰」「降雪減衰」といいます。
もし外が激しい雨や雪など悪天候の場合は、天候が回復するまで待ってみてください。また一般住宅の場合は、通常(45型)よりやや大型のBS/CSアンテナを使用することが、雨や雪による減衰への対策になるケースもあります。
また、ご自身のお住まいだけでなく、放送局側で放送休止や、機材トラブルや緊急メンテナンスなどの障害による放送中断が発生している可能性もあります。
ご契約している「スカパー!」などの公式サイトにアクセスして、サイト内に「障害情報」が掲載されていないかを確認してみるのも有効な方法です。
チェック6:BS放送の電源設定を確認する
引き続き、この項目も衛星放送に特有の現象をご紹介します。
上記の通り、BS/CSアンテナで衛星放送を受信する際には、アンテナのコンバーターで12GHz帯の周波数帯を変換して送信するため、アンテナへの電源供給が必要です。
BS/CSアンテナへの電源供給は、主にテレビなどの「BS電源設定」を行うことでチューナー端子からを通じて供給されるか、ケーブル配線に設置されるブースター電源部から行われます。
テレビからBS/CSアンテナに電源供給を行う場合は、テレビの設定画面から「BS電源設定」などの項目を選び、電源設定を「オン(常時給電)」または「オート(随時給電)」に設定する必要があります。設定の名称は「BS電源設定」でも、CS放送にも共通するため特に問題はありません。
また電源供給の方法は、一台のテレビから常に給電する(オン)か、複数台のテレビで衛星放送を見るときだけ給電する(オート)かによって異なります。基本的には「オート」がおすすめです。
ただこの給電方法に応じて、配線部に設置される分配器の種類も「一端子通電型(出力端子のうち特定の一個のみアンテナ側に通電する)」か「全端子通電型(すべての出力端子か通電する)」か、対応している必要があります。
いずれにせよ、ご自宅に適切なBS電源設定が行われているか、テレビなどの機器の設定をご確認ください。
またブースター電源部から給電している場合は、天井裏の点検口近くなどに設置されているブースター電源部を確認し、電源ケーブルがコンセントに刺さっているか、本体の電源ランプがオンになっているかなどの点をチェックしてください。
【原因を特定】テレビのエラーコードからわかること
上記の簡単なチェックでトラブルが改善できない場合は、テレビ画面に表示されているエラーコードが、トラブル原因を特定する重要な手がかりになります。
「E202」や「E201」などの無機質な文字列は、受信不良など各種のトラブルに際して、テレビが園原因を自己診断し「いま、どんな状態で困っているか」を、対応するコードで教えてくれるサインです。
現在のテレビなど機器は、エラーコードと同時にメッセージでトラブルの原因も示してくれます。
CS放送が映らないトラブル時に、ご自宅のテレビに表示されているコードと照らし合わせて、原因をさらに深く探ってみてください。
「E202」が表示された場合:電波が届いていないサイン
「E202」は「信号が受信できません」というメッセージとともに表示されることが多く、テレビに放送電波(映像信号)がまったく届いていない状態を示しています。
これは、静止衛星からBS/CSアンテナ、またはアンテナからテレビまでのケーブル配線部など、電波の通り道に深刻な問題が発生している可能性が高いサインです。
以下、「E202」が表示される場合に考えられる主な原因と、その対処法のヒントを一覧で解説します。
※上記は考えられる主な原因です。
アンテナの向きやケーブルの損傷などは、目視で確認できる場合もあります。
ただし、屋根の上など高所にあるアンテナやケーブルの確認は非常に危険ですので、絶対に無理はしないでください。
「E201」「E203」が表示された場合:電波が弱い・契約がない
「E202」以外のエラーコードにも、それぞれ意味があります。
特に多いのが「E201」と「E203」です。それぞれの意味と対処法は以下の通りです。
※上記は各エラーコードで考えられる主な要因です。
このように、表示されるエラーコードによって原因の切り分けが可能です。
特に「E203」が表示される場合は、機器の故障ではなく、放送局側や契約の問題である可能性が高くなります。
他に「E103」「E200」も、BS放送、CS放送で未契約の有料チャンネルを選んだ場合に表示されることがあります。
契約しているはずのチャンネルでこのようなエラーコードが表示される場合は、契約時のミスで契約を解除したか、料金支払い用のクレジットカードが期限切れなどで契約が解除になっているケースもあるので、契約状態を確認してください。
その他にも、トラブルの要因によって各種のエラーコードが存在するため、ここで解説のないエラーコードが表示された場合は、インターネットで検索してその意味をご確認になると、正確な原因の特定につながります。
「BSは映るのにCSだけ映らない」特有の原因と解決策
同じ衛星放送でも「BS放送は問題なく視聴できるのに、なぜかCS放送だけ映らない」というケースも起こり得ます、
この現象は、衛星放送でBS放送、CS放送の双方をご覧になっている多くの方が経験されるトラブルですが、どちらも受信設備は同じなのに、不思議に思えることもあるでしょう。
しかし、これにはBS放送とCS放送の放送特性や契約形態の違いに起因する、はっきりとした理由が存在します。
ここでは、CS放送だけが映らない場合の、特有の原因と解決策を解説します。
原因1:アンテナレベルがCSの基準に足りていない
CS放送は、BS放送よりも周波数帯がやや高くなるため、安定した受信のためにより強い電波(高いアンテナレベル)を必要とする場合があります。
つまりBS放送がギリギリ映るレベルの電波強度では、同じアンテナで受信するCS放送が映らないことがあるのです。
まずは、テレビの設定メニューから「BSアンテナレベル」などの項目を確認してみてください。名称はBSでも、CS放送と共通したレベルになります。
多くのメーカーでは、アンテナレベル画面におけるBS/CS放送の安定視聴の目安を「50以上」としています。
もしこのアンテナレベルの数値が目安より低い場合は、アンテナの向き(方向)が、BS放送および110度CS放送の静止衛星が位置する東経110度より少しズレて、アンテナで受信している電波のレベルが低下いるのかもしれません。
ベランダなど安全な場所にBS/CSアンテナが設置されている場合は、テレビのアンテナレベル表示を見ながら、アンテナの向きを上下左右に1ミリ単位でゆっくり動かし、数値が最も高くなる位置で固定してみてください。
なお、BS/CSアンテナの場合、仰角(上下)と方位角(左右)を正確に調整する必要があるほか、調整からアンテナレベルへの反映までに数秒かかるため、大変に根気のいる作業となります。
ただ、1,000円台からで購入できる、BS/CS放送用の簡易型アンテナレベルチェッカーがあれば、角度の調整にあわせて、手元で即座にアンテナレベルが確認できるため、作業の手間を大幅に省くことができます。
原因2:CS放送の契約ができていない・切れている
これは非常に基本的なことですが、見落としがちなポイントです。
BS放送には無料チャンネルが多くありますが、CS放送のチャンネルは、そのほとんどが「スカパー!」などの有料サービスとの契約を必要とします。
その上で、多数ある個別の有料チャンネルから、お好みのチャンネルを選んで契約することになります。
そのような形式のため、CS放送では、契約時や支払い設定のミスで、契約したつもりのチャンネルと契約できていない、支払いが行われず解約になっているといった例も、比較的多く見られるのです。
CS放送のチャンネルが映らない場合は、まずは以下の点をご確認ください、
- 視聴したいチャンネルの契約をしていますか?
- 契約期間が終了していませんか?
- 支払い方法に問題はありませんか?
前の項でも少しご説明しましたが、支払いに使っているクレジットカードの期限切れ、近郷口座の残高不足などで、支払いが行われず、気づかない間に解約扱いになっている例があります。
またチャンネルの新規契約や解約の際に、選択を間違えて、観たいチャンネルを契約できてない、解約する気のないチャンネルを解約していた、という例もあります。
いずれにせよ有料放送であるCS放送で、ご希望通りのチャンネルが映らない場合は、機材の不具合や技術的な問題を疑う前に、一度ご自身の契約状況を、サービス提供元の公式サイトやカスタマーセンターで確認してみてください。
マンション・アパートでCSが映らない場合の注意点
マンションやアパートなどの集合住宅でCS放送が映らない場合、戸建て住宅とは異なる注意点があります。
お住まいの方が勝手に屋上のBS/CSアンテナを調整したり、業者を呼んだりする前に、必ず確認すべきことがあります。
多くの集合住宅では、屋上に設置された「共用アンテナ」で受信した電波を、各部屋に分配しています。BS/CSアンテナの場合は、建物の規模に合わせて、前述した大型のBS/CSアンテナが設置されています。
この場合、アンテナの所有者・管理者は物件の大家さんや管理会社になります。
もしCSが映らない原因が、この共用アンテナや関連設備にある場合、個人で対処することはできません。
まずは大家さんや管理会社に連絡し「CS放送が映らない」と伝えてください。
他の部屋でも同様の症状が出ていれば、建物全体の設備に問題がある可能性が高くなります。
個人でベランダなどにBS/Csアンテナを設置している場合を除き、まずは管理会社への連絡が、集合住宅におけるテレビ視聴トラブル解決の第一歩となります。
自力で解決できないときはアンテナ専門業者へ相談を
ここまでの対処法をすべて試しても改善しない場合、BS/CSアンテナ本体の故障や向きの大きなズレ、信号を増幅するブースターなど周辺機器の不具合が考えられます。
特に、アンテナが屋根の上など、ご自身で確認できない場所に設置されている場合は、無理は決して禁物です。
専門知識や装備のない一般の方が、屋根の上など高所での作業を行うと、転落などの大変な危険を伴います。
少しでもご不安を覚えられたら、迷わずアンテナ工事の専門業者にご相談ください。
専門業者に依頼すべきケースとは?
テレビアンテナに不具合があると思われる場合、どのような状況になったら専門業者を呼ぶべきか、具体的な判断基準を以下にまとめました。
ひとつでも当てはまる場合は、専門家による点検・修理をご検討ください。
- アンテナを設置してから10年以上経過している(寿命の可能性)。
- 台風や強風、地震の後に急に映らなくなった(物理的な損傷やズレの可能性)。
- 屋根の上など、ご自身で安全に確認できない場所にアンテナがある。
- テレビでアンテナレベルを確認しても「0」のままでまったく改善しない。
- アンテナケーブルに目に見える損傷(断線、裂け目など)がある。
これらのケースでは、部品の交換や専門的な調整が必要になる可能性が高くなります。
失敗しない!信頼できる業者の選び方3つのポイント
安心してテレビアンテナの修理を任せるためには、信頼できる優良な業者を選ぶことが非常に重要です。
業者選びで失敗しないために、その業者の実績や料金、サービスについて、以下の3つのポイントを必ず確認してください。
※上記は業者を選ぶ際の主なチェックポイントになります。
例えば、本記事にご協力いただいた優秀なアンテナ職人も所属し、関東・関西エリアで年間6,000件以上の施工実績を誇るアンテナ工事の専門業者「あさひアンテナ」は、これらの条件をすべて満たしています。
完全自社施工による高品質な工事、明朗会計、そして業界最長クラスの10年保証を提供しており、顧客満足度調査でも高い評価を得ています。
どこに頼めばいいかお迷いの際は、まずはあさひアンテナのフリーダイヤル、メールフォーム、LINEアカウントまでお問い合わせになるなど、全般的に信頼できる業者を基準に選ばれると良いでしょう。
上記の条件を満たす業者、複数に見積もりを依頼して、その内容を比較検討する「相見積もり」も優良業者を選ぶため有効な方法になります。
まとめ
お住まいでCS放送やそのチャンネルが急に映らなくなるというトラブルは、けっしてあせらず、ひとつずつ原因を確認していくことが、結果的には解決への近道です。
まずは、本記事で紹介した「6つの簡単チェックリスト」から試してみてください。
- B-CASカードの抜き差し
- アンテナケーブルの接続確認
- テレビ・レコーダーの再起動
- チャンネルの再設定
- 天候や障害物の確認
- BS電源設定の確認
これだけで解決することも少なくありません。
それでも直らない場合は、画面の状態やエラーコード、また「BS放送は映るか」といった状況から原因を絞り込みましょう。
アンテナ本体の調整や修理が必要だと判断した場合は、安全を第一に考え、あさひアンテナなどの、信頼できるアンテナ専門業者に相談することをおすすめします。
落ち着いて状況を判断し、考えられる要因を確認していけば、必ず原因の特定に至り、解決策も見つかります。
無事にCS放送が復旧して、お気に入りの専門チャンネル、楽しみにしていた番組を心ゆくまで満喫できることを、同じくCS放送を楽しんでいる筆者からも願っております。




