地方チャンネル(独立放送局)とはどういうものか?
2022年(令和4年)現在も、日本国内のテレビ放送の主流と言えば、やはり地上デジタル放送(地デジ)です。
近年はテレビ番組のインターネット配信も進んでいますが、やはり地デジ放送は、NHK、広域民放と多数のチャンネルにて、最新のテレビドラマやアニメ作品、バラエティ番組や情報番組などを視聴できる、もっとも身近な方法になります。ご自宅に地デジアンテナ取り付けを行い、テレビ機器などを設置すれば、実質的に無料で視聴し続けることができる手軽さも魅力です。
さて、現在の地デジ放送で視聴できるチャンネルといえば、基本的にNHK(総合、eテレ)の他、民間放送局として「TBSテレビ(TBS)」「テレビ朝日(テレ朝、EX)」「フジテレビジョン(フジテレビ、CX)」「日本テレビ放送網(日テレ、NTV)」の在京キー局および、日本の各道府県に存在し、キー局とネットワーク関係を結んで日本全国に系列番組を放送する各局系列のローカル局。もしくはそこに、日本各地の主要エリアのみに系列局をもつ「テレビ東京(テレ東、TXN、12チャンネル)」とその系列局を加えた、いわゆる広域民放がございます。
ただその他にも、日本の各地には、主に県名などを冠したテレビ局が多くあることを、ご存じの方も多いでしょう。
実際にご覧になれるエリアの方はもちろん、インターネットでテレビ関連の掲示板などを眺めると、例えば「東京MX」「千葉テレビ」「サンテレビ」など、お住まいの地域では見られないチャンネルの話題が出ていることもございます。
当該チャンネルをご覧になったことのない方でも、一部地域のみで視聴できるチャンネルであることはご理解できるでしょうが、中には地元では視聴できないチャンネルで、古いドラマの再放送や最新のアニメ作品が放送されていることについて、うらやましく思われることもあるのではないでしょうか。
特定の県などに存在して、いわゆる広域民放のネットワークに属していない、このような放送局は「独立放送局」といい、一般的には「地方局」「地方チャンネル」などとも呼ばれます。
当コラムでは、こういった地方チャンネルについて、いわゆる広域民放局との違いや、全国に存在する地方チャンネルの数や種類。地方チャンネルで放送される主な番組内容。また放送対象エリアやその周辺で地方チャンネルをご視聴になる方法などを、2022年現在の最新情報に基づき、徹底的にご説明いたします。ご自宅が地方チャンネルの放送エリア内や近隣にあたる場合は、当コラムをお読みいただくことで、地方チャンネルをご視聴になる方法がわかるかもしれません。
【地方チャンネル(独立放送局)と広域民放(キー局および系列局)の違い】
まずは地方チャンネルとはどういうものかを、日本全国で放送されている広域民放と比較してご説明いたします。
・広域民放(キー局、準キー局、系列ローカル局)
広域民放とは、前述した東京都内に位置する「TBS」「テレビ朝日」「フジテレビ」「日本テレビ」などのキー局を中心に、日本各地に存在して、主に各道府県のテレビ放送を担うテレビ局がネットワーク関係を結んでいる放送局の系列を指します。
例えば岡山県であれば、県域を担う民放テレビ放送局(チャンネル)として、「西日本放送(日本テレビ系列)」「瀬戸内海放送(テレビ朝日系列)」「山陽放送(TBS系列)」「岡山放送(フジテレビ系列)」「テレビせとうち(テレビ東京系列)」の5チャンネルが存在します。
同じように日本のほとんどの地域には、各キー局の系列局(系列ローカル局)が存在し、キー局や準キー局が制作したテレビ番組を、ほぼ日本全国で放送しています。これが、いわゆるテレビ番組の「全国ネットワーク放送」になります。
ただ、例えば福井県では、民放テレビ局が「福井放送(日本テレビ系列)」「福井放送(テレビ朝日系列)」「福井テレビ(フジテレビ系列)」しか存在せず、TBS系列、テレビ東京系列の局が存在しないなど、放送局が少ないケースもございます。
このような地域の場合は、例えば福井県の一部地域では、隣接する県のTBS系列局を受信しているなどの他、県内の他系列局がTBS系列のテレビ番組を購入して放送するなどの措置を行っている場合もございます。
なお「テレビ東京」に関しては、TXNネットワークとして、系列局が「テレビ東京」「テレビ北海道」「テレビ愛知」「テレビ大阪」「テレビせとうち」「TVQ九州放送」の6局しか存在しませんが、この6局で日本の総世帯数のうち約70パーセントをカバーしているといわれます。
「ローカル局」とは、広義には特定の放送エリアにおけるテレビ局の総称のことで、例えば在京キー局を「東京(関東)ローカル」と呼ぶこともございますが、通常はキー局の対義語となり、主にキー局や準キー局が制作した番組を放送する「受け手」としての系列地方局を指します。
また各ネットワーク系列局の中でも、大阪府に本社が所在する近畿広域のテレビ局「MBS毎日放送(TBS系列)」。「ABC朝日放送テレビ(朝日テレビ系列)」。「KTV関西テレビ・カンテレ、(フジテレビ系列)」。日本テレビ系列「ytv読売テレビ(日本テレビ系列)」では、キー局に次ぐ数のテレビ番組を自社制作して、全国ネット番組として日本各地に送り出していることから「準キー局」とも呼ばれます。
他にも、前述した大阪府のテレビ東京系列局「テレビ大阪・TVO」や、愛知県名古屋市に所在し、中京広域圏を放送対象範囲とするフジテレビ系列の「東海テレビ放送(フジテレビ系列)」。「中京テレビ放送(日本テレビ系列)」。「CBCテレビ(TBS系列)」。「名古屋テレビ放送・メ〜テレ(テレビ朝日系列)」。「テレビ愛知(テレビ東京系列)」も、数は少ないながら全国ネットのテレビ番組を送り出していることから、準キー局に含まれることもございます。
・独立放送局(地方チャンネル)
そして本コラムのテーマである、テレビ局における独立放送局とは、上記の広域民放とネットワークを持たない、独立したテレビ放送局のことを指します。日本国内では首都圏、中京圏、近畿圏の主な都府県に存在し、主に所在する都府県域を放送対象とすることから「地方チャンネル」「地方局」とも呼ばれます。
広域民放とのネットワーク関係を持たないことから、放送される番組は、主に自社制作のローカルニュースや情報番組。イベントやスポーツの中継。地元を題材としたバラエティ番組などの地域密着型番組。番組購入による広域民放局のテレビ番組。また古いテレビドラマや海外ドラマ、深夜向けのアニメ作品などを放送しています。
また複数の地方チャンネルが、いわゆる制作委員会形式や、広域民放のネットワーク関係に似たテレビ番組の共同製作機構や協力体制をとり、各局が自社制作した番組をネットワーク放送することや、共同で製作したテレビ番組を各局で放送することもございます。
2022年現在では、「とちぎテレビ」「群馬テレビ」「テレビ埼玉」「千葉テレビ放送」「テレビ神奈川」の関東独立5局会による協力体制「5いっしょ3ちゃんねる」と、「テレビ埼玉」「千葉テレビ放送」「テレビ神奈川」「三重テレビ放送」「京都放送」「サンテレビジョン」による共同製作機構「東名阪ネット6」が存在します。
(「UHF局」とはどういう意味?)
いわゆる地方チャンネルのことを「UHF局」「UHFチャンネル」や、それを略して「Uチャンネル」などと呼ぶこともございます。またそこから、広域民放ではなく地方チャンネルを中心に放送される新作アニメやテレビドラマは「UHFアニメ」「UHFドラマ」とも呼ばれます。
この通称の由来は、テレビ放送が地上アナログ放送だった時代にさかのぼります。地上アナログ放送の当時は、NHK、広域民放のテレビ電波は「VHF(超短波)」。地方チャンネルは「UHF(極超短波)」の電波で送信されていました。そのためご家庭のテレビアンテナも、地方チャンネルをご視聴になる場合はVHF用とUHF用の二台が必要でした。
そしてアナログ放送時代でも古いテレビは、今日の薄型液晶テレビとは異なる箱型のブラウン管式であり、広域民放などVHFの番組は、ダイヤル式のテレビチャンネルをガチャガチャと回して、各チャンネルの番号に合わせて視聴していました。
一方、UHFのチャンネルを視聴したい場合は、番号のないUHF用のダイヤルを細かく回して、もっともテレビ電波が受信しやすい(画面がはっきりと映る)周波数に合わせることで視聴できました。
このようなタイプのテレビは、昭和でも末期の1980年代より徐々に姿を消し、ボタン式チャンネルやリモコン式のテレビへと変わってゆきますが、今日でもときに聞かれる「(テレビの)チャンネルを回す」という言葉に、その名残を残しています。
昭和から平成中期、2000年代初頭にいたるまで、アナログテレビ放送の時代は、地方チャンネルの通称として「UHF局」という言葉は、一般でも広く使われていました。しかし平成も中期になると、急激な携帯電話の普及などによって、社会で必要とされる電波の周波数帯が不足してきました。
そのため2003年(平成15年)12月1日より、デジタル化により使用される電波の周波数帯を大きく削減した地デジ放送がスタートします。その後しばらくは移行期間として、地デジとアナログ放送を並行して放送していましたが、2011年(平成23年)7月24日の正午にアナログ放送は終了し、地デジ放送へと完全に移行されました。
今日の地デジ放送では、NHKや広域民放、各地方チャンネルと、すべてのチャンネルでUHFの電波が使われており、本来なら「UHF局」という言葉は意味をなさなくなっております。ただその歴史的な経緯から、令和の現在でも地方チャンネルの通称として「UHF」という言葉は使われ続けています。
余談ですが、アナログ放送時代に地方チャンネル用として利用されたUHFアンテナは、同じUHFの電波を用いる地デジ放送用のアンテナへの流用も可能でした。そのためアナログ放送時代から地方チャンネルが放送されていたエリアでは、当時のUHFアンテナを現在でも使用し続けているご家庭も見られます。
【日本全国の独立放送局(地方チャンネル)】
2022年現在、全国独立放送協議会に属する独立放送テレビ局、いわゆる地方チャンネルは。日本全国に13局存在します。
所在地としては主に首都圏や近畿地方、中部地方の三大都市圏に集中しています。なお独立放送局には、実際にはテレビ局だけでなくラジオ局も含まれますが、ここではラジオ局については省略いたします。
現在、日本各地の各都府県に存在する独立放送局(地方チャンネル)の名称と通称、そして各テレビ局が視聴可能となる大まかなエリアは以下の通りです。
・栃木県:とちぎテレビ(とちテレ・GYT)
※視聴可能エリア:栃木県のほぼ全域と、茨木県南西部、埼玉県北東部、群馬県南東部の先端、いわゆる鶴の首の一部地域。
・群馬県:群馬テレビ(群テレ・GTV)
※視聴可能エリア:山間部などを除く群馬県の多くと、埼玉県北部、群馬県南部の一部地域。
・埼玉県:テレビ埼玉(テレ玉・TVS)
※視聴可能エリア:埼玉県全域と群馬県、栃木県、茨城県、東京都のうち、埼玉県に接する、または近い一部エリア。
・千葉県:千葉テレビ放送(チバテレ・CTC)
※視聴可能エリア:山間部などを除く千葉県のほぼ全域と、東京都、埼玉県東部、茨木県南部の、千葉県に接する一部エリア。
・東京都:東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX・MX)
※視聴可能エリア:東京都でも西部の一部山間部などを除くほぼ全域と、千葉県の北西側の多く、埼玉県の西部を除く多く、神奈川県の西部を除く多く、茨城県、栃木県の南部、群馬県の東部の先端部一帯。
・神奈川県:テレビ神奈川(tvk)
※視聴可能エリア:神奈川県の山間部などを除く大半と、東京都南部、静岡県の神奈川県に接する一部地域。
・岐阜県:岐阜放送(ぎふチャン・GBS)
※視聴可能エリア:岐阜県でも山地を除く各務原市、大垣市その他の中心部や、恵那市、土岐市その他の主な市街地。また愛知県でも犬山市西部など岐阜県に隣接するエリア、三重県でも岐阜県に接する一部エリア。
・三重県:三重テレビ放送(三重テレビ・MTV)
※視聴可能エリア:三重県でも山間部を除く、志摩市や鳥羽市などをはじめ、主に東部から南部の海沿いや主要市街地。また愛知県南部の三重県に近いエリアや知多市、常滑市など西側の海沿い。和歌山県新宮市の三重県に近い一部エリア。奈良県北東部、宇陀市、山辺郡山添村の三重県に接する一部エリア。
・滋賀県:びわ湖放送(BBC)
※視聴可能エリア:山間部などを除く滋賀県の多くと、京都府京都市でも北東の一部エリア。
・京都府:京都放送(KBS京都・KBS)
※視聴可能エリア:京都府内の山間部を除く市街地などの大半と、大阪府の北東部一帯。奈良県奈良市北端の一部エリア。兵庫県丹波市で京都府に接する一部エリア。
・兵庫県:サンテレビジョン(サンテレビ・SUN)
※視聴可能エリア:兵庫県でも淡路島を含み、山間部を除いた大半のエリア。大阪府の臨海部を中心とする西側の多くのエリア。京都府福知山市で兵庫県に接する一部エリア。
・奈良県:奈良テレビ放送(奈良テレビ・TVN)
※視聴可能エリア:奈良県でも南部の山間部などを除く、市街地の大半。大阪府でも奈良県市街地に接する一部エリア。和歌山県北部、吉野川沿い一帯のエリア。
・和歌山県:テレビ和歌山(テレわか・WTV)
※視聴可能エリア:和歌山県でも山間部を除く主要市街地の一帯。大阪府泉南郡岬町の大半と阪南市の南部。奈良県五條市でも和歌山県に接する吉野川沿いの一部エリア。
なお、前述した広域民放の系列局の中にも、北海道の「札幌テレビ放送(日本テレビ系列)」。「可愛い」を意味する地元の方言を交えた岩手県の「岩手めんこいテレビ(フジテレビ系列)」。社名は県花に由来し、地元出身の漫画家、なもりさん原作の人気アニメ「ゆるゆり」を放送したこともある富山県の「チューリップテレビ(TBS系列)」など、ローカル色を交えたチャンネル名が多く見られますが、これらはキー局に対するローカル局に該当しますが、独立放送局ではないため、地方チャンネルにはあたりません。
【地方チャンネルが放送する主な番組】
地方チャンネルで放送されるテレビ番組には、主に以下のようなものがございます。
・地方局オリジナル番組
(報道、地域密着型番組)
地方チャンネルは基本的に、所在する都府県を放送エリアとするため、番組内容も放送エリア内の情報が中心になります。
放送エリア内のローカルニュースや天気予報をはじめ、朝や日中にはエリア内の情報番組などが流されることもございます。他にもエリア内の各地域で行われる伝統的な祭礼や恒例イベントなどの中継。エリア内の自治体(市町村)のPR番組。スポーツでは地元をホームタウンとするプロ野球、サッカーなどの試合の完全中継や、地元の高校野球選手権中継。その他、地元のプロ、アマのスポーツ大会中継など。
他にも都府県政に関して、知事の定例会見や議会中継。また地域の有識者や財界人などが対談を行う番組なども制作、放送されることが多くなります。
(バラエティ)
比較的、低予算で製作可能な地方局制作の番組として、放送エリアを舞台に、地元出身、ゆかりのタレントなどがMCを務める旅番組や街歩き番組。またスタジオで撮影される、地元の情報バラエティ番組や教養番組、歌番組、カラオケ番組などが多く見られます。
主な番組としては、東京MX制作の、マツコ・デラックスさんや作家の岩井志麻子さん、女優の中尾ミエさんなどの歯に布着せぬトークにより、全国的な人気を誇る情報番組「5時に夢中!」。イラストレーターのキン・シオタニさんが神奈川の街歩きを行う、テレビ神奈川制作の「キンシオ」。栃木県出身で知られるお笑いコンビ「U字工事」さんが栃木の名所や人々と触れ合う、とちぎテレビ製作「U字工事の旅!発見」。千葉テレビ制作で約40年の歴史を誇る素人参加型カラオケ番組「カラオケ大賞」などがございます。
また複数の地方局による共同制作番組としては、戦国時代や幕末を題材にした歴史バラエティ番組として人気を博しシリーズ化された「戦国鍋TV~なんとなく歴史が学べる映像〜」「TV・局中法度!」や、最新劇場版「シン・ウルトラマン」などでも知られる人気特撮シリーズ「ウルトラシリーズ」を題材にしたバラエティ「ウルトラゾーン」などがございます。
(テレビドラマ)
いわゆるテレビドラマは制作費用が高額になり、放送エリアが限られる地方局ではスポンサーが集まりにくいなどの理由から、地方局単体で製作されることは少なくなります。
ただ前述した「東名阪ネット6」「5いっしょ3ちゃんねる」や製作委員会方式での制作により、主に各地方チャンネルで放送されたテレビドラマとしては「ねこタクシー」「猫侍」「柴公園」などの動物ドラマシリーズ。戦隊ヒーローもののパロディで、戦隊ヒーローによる打ち上げの飲み会を描く「乾杯戦士アフターV」。鉄道を題材にしたキャラクターコンテンツをドラマ化した「ドラマ 鉄道むすめ〜Girls be ambitious!〜」。市原隼人さん主演で、給食にこだわる中学教師の姿を描き、劇場版も制作された「おいしい給食」などがございます。
またサンテレビ制作で、兵庫県の元町や大阪府のいわゆる新世界などを舞台やロケ地にした深夜ドラマとして「元町ロックンロールスウィンドル」「惑星スミスでネイキッドランチを」などがあり、いずれも広域民放で製作される大掛かりなドラマとは違った、低予算を逆手に取った独自の切り口による作品が多く、いわゆる「UHFドラマ」として愛好するファンも多くなっています。
・他局制作番組
(テレビドラマ)
近年では地デジ放送が定着したこともあり、広域民放の系列局で、日中や深夜帯に再放送されるテレビドラマ旧作も、大半は地デジ化以降、ハイビジョン映像で撮影された比較的、近年のドラマ作品ばかりになっております。
地デジ化以前、アナログ映像で撮影された平成中期以前、昭和の名作ドラマを地上波で観る機会はすっかり少なくなりました。そのような懐かしい作品のファンの方には、ご視聴のためにDVDソフトを購入される。CSの専門チャンネルやインターネットの映像配信サイトと契約されるなどの例も珍しくはございません。
しかしそのような古い名作ドラマ作品も、地方チャンネルでは比較的、再放送の機会が多くなっております。
基本的に地上波で放送される新作テレビドラマは、その多くが広域民放の放送局とドラマ制作会社(映画会社)の共同製作であり、放送局側は作品の「放映権」を得て、一定の年数か回数だけ、そのドラマ作品を自社系列で独占的に放送できます。
この放送権が切れた後、作品の権利は制作会社のものとなり、地方チャンネルやCSチャンネルなどでの放送が行いやすくなります。
地方チャンネルで昭和や平成の名作ドラマが放送される機会が多いのは、古い作品のため放送権料が安いという理由もございますが、結果的に懐かしのドラマファンにはうれしい番組編成となっております。
地方局で頻繁に放送されて人気のドラマ作品としては、近年では新作の制作が少なくなった、主に昭和期のテレビ時代劇がございます。
特に昭和期、許せぬ悪のみを葬る殺し屋たちの生き様を描いて一世を風靡したテレビ時代劇「必殺シリーズ」は、現在でも東山紀之さん演じる渡辺小五郎、松岡昌宏さん演じる経師屋の涼次などの活躍を描く新作「必殺仕事人」が定期的に制作される。また最近もシリーズ屈指の人気仕置人である念仏の鉄や土左ェ門を演じた名優、山﨑努さんをはじめ、昭和期の製作スタッフなど30名に徹底取材を刊行した高鳥都さんの研究書「必殺シリーズ秘史 50年目の告白録」が刊行され、好調な売れ行きを見せるなど、根強い人気を誇っております。
この必殺シリーズは、その人気と面白さは勿論のこと、20世紀の作品だけで全30作に昇って個々の作品を放送しやすいこと。光と影の映像美をベースに、硬派なアウトロードラマを追求した前期、奇想天外な娯楽を追求した後期作と作風がバラエティに富んでいることなどから、地方チャンネルでは常にどこかの局で放送されており、専門の放送枠を設置する局もあるほどの人気コンテンツになっております。
他にも、近年では「マツケンサンバ」でも知られる松平健さん主演の人気作「暴れん坊将軍」シリーズや、加藤剛さんの名作「大岡越前」。千葉真一さんのアクション時代劇「影の軍団」シリーズなど、テレビ時代劇は地方局の人気コンテンツといえます。
時代劇以外では、刑事ドラマ「太陽にほえろ!」「あぶない刑事」。松田優作さんの伝説的ドラマ「探偵物語」など往年の名作ドラマが放送される他、2000年代に入ってから制作された比較的、近年の作品が放送されることもございます。
・海外ドラマ、映画
地方チャンネルで人気のコンテンツのひとつに、いわゆる「韓流ドラマ」と呼ばれる韓国製作のドラマや、中国製作の歴史ドラマなどがございます。これらのアジア系海外ドラマも、放送権料が安いことから各地方チャンネルで頻繁に放送され、韓流ドラマブームを引き起こすなど、社会的にも大きな影響を与えています。
現在、各地方チャンネルで放送される海外ドラマとしては、韓国ドラマに、中島健人さん、小芝風花さんによる日本版リメイクも話題となった「彼女はキレイだった」や、神尾葉子さんによる日本の人気漫画が原作の「花より男子~Boys Over Flowers」。また「病院船~ずっと君のそばに~」「秘密」など。中国ドラマでは、歴史ドラマ「武則天‐The Empress‐」「王朝の謀略 周新と10の怪事件」などがございます。
また地方局によっては、映画放送枠、また年末年始の特別編成で映画作品を放送することもあり、往年の洋画、邦画の名作から、広域民放ではあまり放送されないB級作品などを放送することもございます。
・他局制作ローカル番組
広域民放系列のローカル局が制作し、主に地元エリアで放送される、いわゆるローカル番組が、系列局による全国ネット放送ではなく、番組販売により他地域の地方チャンネルで放送される例もございます。
地方局でよく放送される有名なローカル番組としては、北海道テレビ(テレビ朝日系列)制作で、俳優の大泉洋さん、鈴井貴之さんたちが過酷な旅ロケに挑む「水曜どうでしょう」「おにぎりあたためますか」や、ABC朝日放送(テレビ朝日系列)で、お笑い芸人などによる探偵が、視聴者からの依頼を解決すべく奮闘する人気長寿番組「探偵!ナイトスクープ」など、全国的にも知名度の高い番組がございます。
・アニメ作品
地方チャンネルで放送される新作アニメ作品は、いわゆる「UHFアニメ」として知られています。
これは地方チャンネルの深夜帯は放送権料が安いこと、表現に対する制約が少ないことから、1990年代後半よりアニメ作品の放送が増え、アナログ放送時代に定着した通称が現在も続いているものです。またUHFアニメの定着や録画機器の普及により、広域民放でも深夜帯にアニメを放送することが増え、現在ではアニメ番組は局を問わず、深夜帯の有力コンテンツとして知られています。
現在の主なUHFアニメには、平成仮面ライダーシリーズでも屈指の人気作「仮面ライダーW」の正統続編をアニメ化した「風都探偵」。なまむぎさんの漫画を原作に、お笑い芸人を目指す女子たちの青春ストーリー「てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!」。友達のいない人見知りの少女がロックバンドに参加する姿を描く、はまじあきさん原作の漫画をアニメ化した「ぼっち・ざ・ろっく!」などがございます。
他にも地方チャンネルでは朝や夕方などの時間帯に、テレビドラマと同じく昭和から平成の名作アニメや、近年の作品の再放送も多く行われています。
またアニメ作品はその人気の高さから、東京MXなど、主力コンテンツとして力を入れる地方チャンネルも多く、アニメ作品の他にも、人気声優によるバラエティ番組やアニメ情報番組など、アニメ関連番組なども放送されています。
【放送対象エリアやその近隣で地方チャンネルをご視聴になる方法】
以上のように、独立放送局の地方チャンネルは、地デジアンテナによって受信できる地デジ放送のひとつですが、基本的に放送対象エリアを、そのテレビ局が存在する都府県に限っています。しかし実際には、その都府県に隣接するエリアであれば受信可能であるケースが多くなります。
ただ、地方チャンネルの放送エリア内、または近隣のエリアであっても、該当の地方チャンネルが受信できないというケースもございます。
これには中継局(電波塔)からの距離が離れすぎていて電波を受信できない、また中継局との間に障害物があって電波が遮断されるなどの要因も考えられますが、地デジアンテナについて対策を取ることで、受信可能になるケースも多く見られます。
以下、各地方チャンネルの放送エリア内やその近隣で、地デジアンテナを設置していても該当の地方チャンネルをご視聴になれない場合、的確に受信するための対策をご説明いたします。
・地デジアンテナの方向調整。
ご自宅の地デジアンテナでNHK、広域民放など通常の地デジ放送は視聴できるのに、周辺エリアの地方チャンネルだけが受信できないという場合は、そのエリアにNHK、広域民放を送信する中継局と、地方チャンネルを送信する中継局が別個であり、それぞれの電波が現場に届く方向が異なるといったケースが考えられます。
地デジアンテナは基本的に、地デジ電波が送られてくる方向に向ける必要があり、一定方向以外から届く電波は受信できなくなっております。これを指向性といいます。通常の地デジアンテナ取り付けでは、アンテナの方向はNHK、広域民放の電波に優先して向けられるため、地方チャンネルの電波の方向が大きく異なる場合は、現場に電波が届いていても同じアンテナでは受信できなくなります。
これを解決する方法としては、まず地デジアンテナの方向調整が挙げられます。地デジ電波の中には、高層ビルなどの障害物にぶつかることで方向を変える「反射波」というものもあり、この反射波を利用して、一台の地デジアンテナで、NHK、広域民放と地方チャンネル、双方の電波を受信できる角度を発見できれば、NHK、広域民放、地方チャンネル、すべてのチャンネルをご視聴いただけるようになります。
ただ実際には、現場によっては反射波が好都合な角度で受信できるとは限らず、確実に可能といえる方法ではございません。
・地方チャンネル専用の地デジアンテナ取り付けを行う。
現場にNHK、広域民放と、地方チャンネル双方の電波は届いているものの、それぞれの方向が大きく異なり、地デジアンテナの角度調整でも双方の受信が叶わない場合には、ご自宅にもう一台、地方局専用の地デジアンテナを設置するという方法もございます。
この場合、やや費用はかかりますが、受信可能なエリアであればまず確実に地方チャンネルがご視聴になれます。
八木式アンテナであれば、地方局用のアンテナを同じポールに設置することも可能となります。どちらも同じ地デジ電波であるため、あとは混合器によって双方のケーブルを一本にまとめることで、NHK、広域民放、地方チャンネルのすべてがご覧になれます。
またこれから地デジアンテナを設置されるご新居であれば、アンテナ工事の際に、そのエリアの地方チャンネルが受信できるかを確認して、電波の方向によっては地方チャンネル用の地デジアンテナも設置されることをお勧めいたします。
・ブースターや高性能アンテナを設置する。
設置されている地デジアンテナで地方チャンネルの電波が受信できるにもかかわらず、テレビ放送が映らない、また画面が乱れるなどの場合は、放送エリア外で中継局からの距離が多い、また現場付近の建築物などの障害物によって地方チャンネルの電波が非常に弱くなっているという可能性が考えられます。
その場合には、地デジアンテナの交換。例えば八木式アンテナをより高所に設置する、また素子数の多い高性能アンテナに交換するなどの方法で、受信状況が改善できることもございます。
またアンテナブースターを設置することで、アンテナで受信できる電波は微弱であっても、安定した視聴レベルにまで増幅できることがございます。近年の住宅では、屋内に設置されるテレビの台数が多くなり、その分だけ高い電波レベルが必要となるため、東京スカイツリーが望めるエリアなど、よほど電波状態がよいエリアを除いて、多くの場合、テレビアンテナにはすでにブースターが設置されていることが多くなります。すでにブースターが設置されているご自宅の場合が、ブースターを調整して電波の増幅レベルを高める。また室内のアンテナコンセントと、テレビ本体をつなぐケーブルの間に設置する屋内型ブースター、ラインブースターを利用することで、地方チャンネルがご視聴になれることもございます。
(地デジアンテナ取り付け以外で地方チャンネルを視聴する方法)
地方チャンネルの放送エリア内、また近隣エリアでも、電波状態の悪さから地方チャンネルをご覧になれない場合には、ケーブルテレビ(CATV)をご利用になることで、ほとんどの場合はご視聴になれます。
ケーブルテレビとは、各CATV局が設置した大型アンテナによって受信した地デジ、BS/CSのテレビ電波を、契約した各ご家庭に直接、ケーブルを引いて送信するサービスで、基本的にエリア密着型であり、主に山間部などで地デジ電波が届かない難視聴地域向けのサービスになります。契約料金や月額料金は必要となりますが、周辺の地デジおよびBS/CS放送をまとめて、安定して視聴できるのがメリットで、インターネット、スマートフォンなどのサービスと一体になっている例もございます。
また放送対象エリアとは異なるエリアで、各地方チャンネルの制作番組をご視聴になる方法としては、インターネット配信をご利用になる方法がございます。
地方チャンネルにおける、インターネットとの連携では、東京MXがスマートフォンアプリ「エムキャス」を利用して、放送番組のうち権利が許諾されたものについて、インターネットを通じて日本全国で視聴できる体制を整えております。
他にも各地方チャンネルごとに、公式サイトや「YOUTUBE」などの動画サイトの利用や、テレビ番組配信サイト「TVer」への参加などにより、インターネットを通じた自社制作番組の放送を行っております。
これらのサイトで視聴される番組は限られますが、日本全国で気軽に視聴できる点では非常に利便性の高いサービスだといえます。
【まとめ】
いわゆる「地方チャンネル」の各局とその放送エリア、放送番組などについては、以上になります。
当あさひアンテナでは、各地方チャンネルについて、視聴エリア内でも地デジアンテナでは受信できない。また受信エリアの近隣地域にお住まいで、受信できるかどうか確認したいといったご相談にも対応していります。
地方チャンネルに関するお問い合わせも、当あさひアンテナのフリーダイヤル(0120-540-527)や、メールフォーム、LINEアカウントまで、お気軽にお寄せいただければ幸いです。