テレビアンテナの隣家への「越境問題」対策
住宅街で戸建て住宅にお住まいの方であれば「越境問題」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
越境問題でよく聞かれる例としては、例えば隣家の塀に近い自宅の庭木の枝が成長して、隣家の庭にまで張り出してしまい、隣家の庭に枯れ葉を散らす、また隣家の日差しを遮るなど、さまざまな実害を及ぼしてご近所トラブルに発展するなどの事態です。このようにある家の住宅や設備、施設などの一部が、自宅の敷地をはみ出して隣家の敷地に侵入してしまうケースが「越境問題」と呼ばれています。
越境問題の原因としては、前述した木の枝や根などがもっとも多い他、屋根やひさしなど住宅の一部。エアコンの室外機、そして住宅に設置されたテレビアンテナが原因となるケースもございます。
本コラムでは、主にテレビアンテナが引き起こす住宅の越境問題について、自宅のアンテナが越境問題を起こしている場合、また隣家のアンテナに越境されている場合の双方で、問題を解消、解決する方法についてご説明いたします。
【そもそも住宅の越境問題とは?】
「越境問題」といっても、実際に戸建住宅にお住まいで、お悩みになった人でないとピンと来ないかもしれません。越境とはその名の通り、敷地の境界線を超えることを指し、具体的には、法律上、定められた領界を無視して人や物が立ち入ることを指します。
そして不動産における「越境」とは、隣の敷地との境界線を、地上、空中、地下において、越えてしまうことをそう呼びます。
ご自宅の住宅において、敷地の境界線は登記簿に記載されていますが、隣家の住宅やそれに付随するものによって、境界線が無視された状態になることが、住宅などについての「越境」と呼ばれます。具体的にいえば、住宅の敷地として、塀などを巡らせたエリアの一部が、実際は隣家の敷地に食い込んでいた。また屋根の端など隣家の建物の一部や、植えてある木の枝、根、地下室や埋設されている水道管、ケーブルなどの設備などが、敷地の境界線から隣家側にはみ出している状態のことをいいます。
隣家との間には塀や柵が作られていることが多くなりますが、仮にこの塀を、建物を完全に覆うほど高くする、また地中に深く食い込む形で長く伸ばすとします。隣家との間になにも問題がなければ、理論上は可能になりますが、もし隣家の建物の一部、樹木の枝、または地中の根などが自宅の敷地に延びていた場合、塀は引っかかってしまい伸ばすことができなくなります。
このような状態であれば、隣家からの「越境問題」が生じているといえます。逆に自宅の建物や樹木の一部などが引っかかってしまうのであれば、自宅が隣家に対して越境問題を起こしていることになります。
仮にお住まいの住宅において、この種の越境問題が生じたとしましょう。自分の敷地が越境している側であれ、越境された(被越境)側であれ、建物や庭木のごく一部など、実害のないわずかな越境で、越境された側が気にしない場合は、特に大きな問題にはなりません。
ただ越境された側がどうしても気になる、また越境した部分のせいで、隣家の日当たりが悪化する、隣家の庭に落ち葉などが落ちる、さらには住宅の一部が破損するなどの実害が出る場合は、隣家とのトラブルに発展する危険性もございます。
またご自宅の売却などをお考えの場合、越境、被越境のどちらであっても、隣家との間に越境問題が生じていると、購入者がその問題に対処しなければならない可能性が生じることから、売却価格に大きな影響を及ぼすケースもございます。
【法律上の、住宅の「越境問題」の扱いとは?】
住宅の越境問題については、違反すると犯罪になる刑法ではなく、民法の範疇になります。そのため仮に自宅で越境問題を起こしたとしても、越境された相手側が気にしない限りは、特に問題が生じることはございません。ただ実害が生じるなどして、越境されている側がしている側の住宅に対して、問題の解消を求める場合には、さまざまな法律、条文の兼ね合いから、一定の手続きが必要となります。
まず越境問題の実例として、もっとも発生しやすい、庭木による越境問題を例に挙げて、その解決方法をご説明いたします。
隣家の樹木の枝や根が境界線を越えて自宅の敷地に入り込んでいる場合、民法には以下の規定があります。
「民法233条1項 隣地の竹木の枝が境界線を超えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。」
「民法233条2項 隣地の竹木の根が境界線をこえるときは、その根を切り取ることができる。」
つまり、隣家の敷地から伸びた木の枝が、自宅の敷地に入り込んでいる場合は、樹木の所有者(基本的に隣家の住人)に、その切除を求めることができます。基本的に隣家の人は、この要求に応じなければなりません。
そしてもし隣家の人がこの要求に応じない場合は、隣家の人に裁判を起こして強制履行(裁判による枝の切除の命令)を請求できます。さらに隣人が強制履行にも応じない場合は、代替執行(強制執行)として、自分で植木屋を頼むなどして伸びている木の枝を切除し、その費用を隣人に請求することも可能となります。
ただ注意点として、木の枝が境界線を越えて敷地に侵入していれば、一方的に切除を要求できるというものでもないという点です。越境した枝の切除を求めるのは民法で認められた権利ですが、同じく民法には、以下のように「権利の濫用」を禁ずる規定があるためです。
「民法1条3項 権利の濫用は、これを許さない。」
つまり民法で認められている権利であっても、どのような場合でも好き勝手に行使していいわけではないということです。基本的に隣家に対して、越境している樹木の切除を求めるには「樹木の越境」の事実と、「越境した樹木によって自宅が何らかの被害を受けている」という点が挙げられます。
具体的には、伸びてきた枝によって庭に枯れ葉が散り、排水溝がつまる、虫が発生する。また枝によって住宅の一部が傷つけられるなど明らかが被害が生じている場合に限り、隣家に対して枝の切除を求めることができるということです。
実際の判例としては「枝の越境により明確な被害が生じている」「枝の伐採により依頼者が回復する利益と、樹木の所有者が受ける損失に不当な差がないこと」の条件が挙げられています。つまり枝を切除することで、自宅側が被害を解消できる以上に、樹木の持ち主が大きな損害を受けることがあってはいけない、ということになります。
また前述の「民法233条2項」の規定により、樹木の「根」が自宅の敷地に越境している場合は、自宅側でその根を切除することが認められています。しかも根に関しては、樹木の所有者に許可を得ず切除できることになっています。
ただし、木の根に関しても「権利の濫用」が認められないのは同じであり、その木の根によって、明確な被害が生じていることが条件になります。たとえ無断で根の切除が認められているにしても、その結果、木そのものが枯れてしまうなど、隣家に大きな被害を与えてしまった場合は、隣家から損害賠償を請求されるケースもございます。
同じように、隣家の住宅の軒先などが自宅の敷地に侵入しているが、自宅側にさほどの実害がなく、その解消のためには住宅の建て替えなど、隣家に多大な負担を与える場合には、その解消を求めることは難しくなります。このような状態で、問題を明確にしておきたい場合には、隣家との話し合いで、今後もし住宅を建て替える場合には、越境の解消を約束するなどの内容で「越境に関する協定書」を結んでおくという方法がございます。
また近年、これら隣地との関係にかかわる民法の規定(相隣関係規定)が改正され、その公布日である2021年(令和3年)4月28日から二年以内に施行されることになっております。
この改正民法では、例えば隣家から敷地内に延びてきた木の枝については「樹木の所有者に枝を切るよう求めたが、一定期間内に切除されない場合」「樹木の所有者がわからない。またその所在が不明な場合」「急遽、枝を切らなければならない差し迫った事情がある場合」については、敷地の所有者が枝を切ることを認めています。
他にも、電気、ガス、水道などのライフラインの設置について、それらの敷設でどうしても隣家に越境する場合には、必要最小限な場合に限って、越境(隣地の使用)を認める。それによって隣地の所有者に損害が生じる場合には、越境者が償金を支払うなどの規定が定められています。
このように越境問題の規定は、今後、改正民法の施行と判例の積み重ねによりやや変化する可能性もございますが、いずれにせよ木の枝や根などでも、それ以外の物品でも、越境問題に関しては基本的に、越境している側とされている側がしっかり話し合い、お互いが大きな損害を被らないよう協力して、円満な解決を図ることが重要といえます。
【テレビアンテナの越境問題について】
そしてこのような越境問題が生じやすいもののひとつに、テレビアンテナが挙げられます。
新築住宅の場合、テレビアンテナは基本的に、住宅の完成後、ハウスメーカーの下請けにあたる業者、またはお客様がお選びになったアンテナ工事の専門業者が設置することになります。
特に、昔ながらの横棒にいくつもの素子を並べて、魚の骨に似た形状をしている地デジアンテナの八木式アンテナは、横幅のある形状から、受信しやすい位置を最優先に設置した結果、アンテナの一部が隣家の敷地にはみ出る越境問題を起こすことがございます。また隣家との間が狭いお住まいでは、壁面に設置した衛星放送用のBS/CS110度アンテナの一部によって、越境問題が起きるケースもございます。
これは必ずしも新築物件へのアンテナ設置に限らず、たとえば現在のアンテナが風雨の影響や老朽化などによるトラブルが生じ、新たな八木式アンテナに交換する際、より地デジ電波を受信しやすい、風雨を避けやすい位置に設置した結果、問題が生じることもございます。
基本的に、当あさひアンテナなど多くのアンテナ工事業者は、アンテナ設置工事において、施工技術や電波に関する知識だけでなく、越境問題をはじめ、アンテナ設置で起こりうる諸問題についても熟知しており、アンテナ工事においては、越境問題を起こさない範疇で、もっとも受信に適した設置位置を選定しております。
ただ、お客様がDIYで各種アンテナを設置する、また電波などに関する知識はあっても、アンテナ工事の専門家ではない電気店による施工など、越境問題についての認識が浅い方がアンテナ設置を行った場合、うっかりアンテナを隣家の敷地に越境させてしまうケースが多いようです。
さらには珍しいケースながら、隣家との敷地や隣接具合の問題、住宅の形状や現場の電波状態などの諸条件から、隣家に越境する形でアンテナを設置しないと、確実な地デジ、BS/CSなどの受信が難しくなるケースもございます。
もしご自宅の各種テレビアンテナが越境問題を起こしている、また安定した受信を実現するアンテナ設置を行おうとすると、どうしても越境してしまうといったケースでは、以下の解決方法が考えられます。
1:隣家に事情を説明し、承諾を得る。
前述のように不動産の越境問題は民法に属する問題であるため、もし発生したとしても、越境される側からの承諾が得られていれば、問題はございません。
そのため安定したテレビ電波受信のために、テレビアンテナの設置に越境が必要になる場合には、越境される側の隣家を訪問して、お住まいの方に事情を説明し、越境に関して許可を得るという方法がございます。
この場合は、こちらから隣家に頼みごとをするわけですから、菓子折りなどのお礼の品を用意した方がいいでしょう。
また隣家の方から承諾を得たとしても、口約束だけでは、何年か後に、隣家の方が約束の内容を忘れる。また約束した方とは別の人が隣家を受け継ぐなどして、トラブルが再燃するケースもございます。念のため、越境に関する同意書など、承諾を得た内容について明確な文書を作成し、隣家の世帯主の方から署名をいただき、保管しておくといいでしょう。
2:デザインアンテナ、ユニコーンアンテナなどを使用する。
いま現在、設置しているテレビアンテナが越境問題を起こしており、それを解消する方法としては、地デジアンテナであれば越境問題を起こしやすい八木式アンテナから、デザインアンテナ、ユニコーンアンテナに変更するという方法がございます。
デザインアンテナとは、2009年頃より普及しはじめた第2世代といえる地デジアンテナで、平面軽量、薄型が特徴で、主に住宅の壁面に設置できる地デジアンテナです。フラットアンテナ、壁面アンテナ、平面アンテナともいわれ、壁面に設置するため住宅のデザイン性を損なわない他、風雨などの影響も受けにくいため、老朽化や故障のリスクを軽減できる。比較的、低い位置に設置されるためメンテナンスも簡単になるなど、従来の八木式アンテナに比べてメリットが非常に多く、現在では人気ナンバー1の地デジアンテナになっております。
デザインアンテナのデメリットとしては、本体価格や工事費用が八木式アンテナに比べてやや高価なことですが、現在ではその価格差は5,000円から10,000円を切る程度になっており、差額分のメリットは十分にあるといえます。
ただその設置位置から八木式アンテナに比べるとやや感度が低くなる場合もあり、電波状態がやや悪いエリアや、電波の障害物となる建物が多い住宅密集地などでは、高所に設置できる八木式アンテナでの地デジ受信は可能であっても、壁面のデザインアンテナでは十分な電波受信ができず、使用できないケースもございます。
なお当あさひアンテナでは、デザインアンテナの機種として、国内の一流メーカー「DXアンテナ」社製で、受信性能は20素子相当、業界最小クラスとなる厚さ4.9cm、大きさ9cm×22cmの超薄型モデル「UAH201」をご用意しており、同アンテナ本体価格込みの設置工事を、基本価格20,000円(税込み)からで実施しております。アンテナ本体のカラーバリエーションも4種類ございますので、どのような外壁にも調和いたします。
ユニコーンアンテナは、近年になって登場した第3世代の地デジアンテナです。ポールの先に円柱状のアンテナがついた、棒状のアイスキャンディーのような形状をしており、360度どの方向から見ても同じ形状をしたスタイリッシュな地デジアンテナです。
八木式アンテナと同じく高所に設置できることから高い受信性能を誇りながらも、円柱状の形状から越境問題を起こす可能性が格段に低くなります。さらに屋根の上だけでなく、専用の固定具により壁面や屋根の破風(張り出し部分)などにも設置可能で、その省スペース性もあって、越境問題を避けられるさまざまな場所に設置することが可能です。
他にも、スタイリッシュな外観で住宅の外観を乱さない上、風を受け流しやすいデザインから風雨に強く、経年劣化が進みにくいことから高寿命を望める。太陽光発電システムがある住宅でも、太陽光パネルの邪魔にならないなど、デザインアンテナの長所も兼ね備えた地デジアンテナになっています。同じく越境問題を起こしやすいBS/CSアンテナも、ユニコーンアンテナのポール部分に設置することで、非常にシンブルかつ越境問題を避けられる施工も可能です。
当あさひアンテナでは、ユニコーンアンテナを開発した「マスプロアンテナ社」製の機種で、2018年度のグッドデザイン賞を受賞している他、有害物質使用規制(RpHS指令)にも適合しており環境に優しいモデル「U2CN(ユニコーン)」を、ブラックとホワイトのカラーバリエーションでご用意しております。
ただ現在のユニコーンアンテナは基本的に、地デジ電波が一定の強さを持つ「強・中電界地域用」であり、地デジの中継局から遠く離れて電波状態が悪い「弱電界地域」では使用できない場合もございます。
これら比較的、新しい機種にあたる地デジアンテナは、どちらもアンテナ工事費用では八木式アンテナよりやや高価になりますが、越境問題を解決できる点の他にもメリットが多く、コストパフォーマンスは非常に高い機種といえます。
3:アンテナの設置位置や工法を工夫する。
現場の電波状態などから使用できる地デジアンテナの機種が限られる現場や、またお客様のアンテナ機種に対するご要望によっては、アンテナの設置位置を工夫することで、境界問題を避けることも可能です。
衛星放送用のBS/CS110度アンテナは、その名の通り、東経110度の方向に位置する人工衛星の方向に向ける必要があり、自宅からその方向に障害物となる樹木や建物などがなければ、どの位置にも設置できます。ただ将来的な樹木の成長や高層建築などの建設に注意する必要もございます。また障害物がある場合には、ポールの先にBS/CSアンテナを設置するなどの方法で避けることができます。
なお当あさひアンテナでは、BS/CS110度アンテナについても、国内一流メーカー「DXアンテナ」社製で、従来の2Kフルハイビジョン放送に加え、4K8Kのスーパーハイビジョンに対応する最新モデル「BC45AS」をご用意しており、アンテナ本体価格込みの基本アンテナ設置工事を15,000円(税込み)からで施工いたしております。
他にもBS/CSアンテナでは、ディッシュ部に無数のパンチングホールを開けて風を通す構造。マスト(金属の支柱)を従来品より太くし、マスト押さえ金具も強力に改良。ディッシュの端とアームを樹脂ブラケットにより固定するなど数々の工夫により、受信可能風速50m/s、復元可能風速60m/sと、日本で想定できる最大級の台風でも受信性能を損なわず、滅多に破損も生じない最新鋭の機種「BC453SG」のご用意もございます。
さらに八木式アンテナ、BS/CSアンテナでは、電波が受信可能な方向であれば、隣家との境界から離れた壁面、ベランダの内外など、境界問題だけでなく、風雨などの影響も避けてアンテナの高寿命につながる位置への設置も可能です。ベランダ内部への設置では空間をやや消費してしまいますが、その分、メンテナンスやトラブル時の調整、修理が簡単になるメリットもございます。
デザインアンテナは基本的に境界問題が生じにくいアンテナ機種になりますが、さらにアンテナが外部に出ないことで、境界問題や住宅の外観への影響がまったく生じない他、自然環境からの影響もほぼ皆無となる、屋根裏(天井裏)空間へのアンテナ設置も可能です。
屋根裏空間への地デジアンテナ設置については、八木式アンテナやユニコーンアンテナの利用も不可能ではありませんが、特に八木式アンテナはその形状から狭い空間への設置が難しくなることもあり、基本的に屋根裏への設置はデザインアンテナが用いられます。
ただ屋根裏空間は屋根という外壁を隔てるため、屋外よりは確実に地デジ電波状態が悪くなります。そのためご自宅で使用している断熱材や、屋根裏の形状などの条件によっては、屋根裏での地デジ電波が受信できずデザインアンテナ設置が不可能なことや、確実な受信のために別料金で高性能アンテナや各種機器などの設置が必要となるケースもございます。
このようなさまざまな位置へのアンテナ設置工事については、通常は技術や機材に応じた追加工費が必要となります。しかし当あさひアンテナでは、必要な機材などがアンテナ設置の基本工事と大差ない場合は、八木式アンテナ、BS/CS110度アンテナとも、アンテナ本体価格込みの基本工事費15,000円(税込み)から。屋根裏へのデザインアンテナ設置も追加工費不要の基本工事費20,000円(税込み)からで施工しております。
(自宅側がテレビアンテナの越境を受けている場合には)
上記の説明は、自宅のアンテナが隣家に対して越境問題を起こしている場合の解決方法です。では逆に、自宅が隣家からテレビアンテナの越境を受けている場合には、どのように対処すればいいのでしょうか?
基本的には、前述した樹木の枝や根の場合と同じく、テレビアンテナの越境による明確な実害がない限り、隣人に越境問題の解決を強く求めることは難しくなります。
どうしても気になる場合には、やはり隣人の方と話し合って、受信のために越境が必要であるのかなどを確認して、互いに解決法を模索する。また今後、アンテナ交換の際になど越境を解消するといった協定書を取り交わすといった方法がございます。
テレビアンテナの場合も、越境問題の解決には、かえって余計なご近所トラブルを招かないよう、平和的な話し合いによる解決が重要だといえます。
【まとめ】
テレビアンテナに限らず、さまざまな形で隣家との間に発生しがちな「越境問題」について、法律上の規定から具体的な解決法まで、ご理解いただけたでしょうか。
越境問題は、住宅や敷地の権利上では非常に重要な問題だといえます。しかし実際に地域で暮らしていく上で、もっとも大切なことは、ご自宅と近隣の人々で良い人間関係を築き、話し合いで問題を解決して、互いに快適な暮らしを実現していくことです。越境問題の解決にこだわって無用のご近所トラブルを招くようでは、本末転倒と言えるでしょう。
もしご自宅が隣家に対して越境問題を起こしている場合は、自分からそれとなく隣人に話を持ち掛け、越境についての承諾を得つ、自身でも善処を測る。逆に自宅側が越境を受けている場合も、実害がない限りは寛大な心で受け止め、隣人と話し合って、今後の建て替えやアンテナ交換の際など、無理のない範疇で善処を求めるといった姿勢が必要です。
越境問題とは、末永いご近所との関係の、ほんの一部の問題にすぎません。一番の目的は、隣人との良好な関係を維持し続けることだと考えて、平和的な解決を模索することが、第一だといえるでしょう。