スマホ・Wi-Fi・インターネット回線・テレビ電波状況の確認方法を解説:通信速度や受信の問題をアプリで測定し原因別に解決
「スマートフォンの動画が途中で止まってしまってイライラする」
「仕事のための大事な電話なのに通話が途切れてしまう」
「Wi-Fiのアンテナは立っているのに、なぜかネットの速度が遅い」
「楽しみにしているテレビ番組なのに、急に画面にモザイクのようなノイズが入る」
「テレビ画面に『E101』と表示されて、まったく映らなくなった」
このような、スマートフォンやWi-Fiの通信、またテレビの電波に関するストレスは、多くの方が日常的に経験している悩みではないでしょうか。
原因がご自分のスマホやWi-Fiルータ、テレビやアンテナにあるのか、それとも通信会社や放送局、受信環境の問題なのか判断することができず、どう対処すればよいか困ってしまうことも多いでしょう。
この記事では、スマホやWi-Fiからテレビまで、そんな「電波の困った」を全般的に解決するため、専門知識がない方でも簡単にできる電波状況の確認方法から、原因の特定、そして具体的な改善策までをワンストップで解説します。
本記事の執筆は、スマートフォンやWi-Fiなどインターネットの仕組みや通信システムに詳しいプロのライターが担当しています。
さらに地デジや衛星放送のテレビ放送やアンテナに関しては、アンテナ工事の専門業者「あさひアンテナ」所属の専門スタッフ(アンテナ職人)に取材を行い、専門知識と豊富な経験に基づく、受信不良の要因と解決方法をまとめました。
スマホやWi-Fiの通信、テレビの受信など、感覚的な「調子が悪い」を客観的なデータで把握して、原因に合わせた正しい対策を実行することで、あなたの通信環境、テレビ視聴環境は劇的に改善するでしょう。
この記事を最後までお読みいただければ、通信や受信の不具合を解消して、ストレスのない快適なテレビ視聴環境、インターネット環境を手に入れるための、具体的な第一歩を踏み出せます。
まずは現状把握から!電波の状況を客観的に確認する方法とは?
スマートフォンやWi-Fi、テレビなどの電波状態が悪いと感じたとき、まず大切になるのは「なんとなく遅い」「テレビの映りが悪い」という感覚的な状態から一歩進んで、現状を客観的に把握することです。
現在の電波状況を具体的な数値や公式情報で確認することで、問題の原因を突き止めやすくなります。
ここでは、携帯キャリア、スマートフォン、ネット回線、テレビ放送の別に、誰でも簡単に試せる電波状態や接続状況の確認方法をご紹介します。
まずはこれらの方法で、ご自身の通信環境をチェックしてみてください。
【キャリア公式】ドコモ・au・ソフトバンクの通信障害・サービスエリアを確認
お使いのスマートフォンやWi-Fiに不調が出たとき、それがご自分(ご自宅)だけの問題なのか、それとも広範囲で発生している通信障害なのかを切り分けることは非常に重要です。
まずは契約している通信キャリアの公式サイトで、最新の障害情報やメンテナンス情報を確認してください。
またスマートフォンなど携帯端末の場合、サービスエリアマップを見れば、現在地がそもそも電波の届きにくい場所でないかを確認できます。
以下、主要キャリア会社のメンテナンス情報やサービスエリアマップを一覧でご紹介します。
※上記は主要キャリア会社の情報サイトになります。
【スマホ本体】iPhone・Androidで電波強度を数値(dBm)で確認する方法
この項目では、スマートフォンなど個別の携帯端末で受信できている電波強度をを確認する方法になります。
スマートフォンの画面に表示されるアンテナの本数は、電波強度の大まかな目安にはなりますが、より正確な状況を知るには不十分な場合もあります。
そこで役立つのが「dBm(デシベルミリワット)」という単位で示される電波強度です。
この数値は0dBmに近いほど電波が強く、マイナスの値が大きくなるほど弱くなります。
以下、dbmで示される電波強度と、対応するスマートフォンなどの状態の目安を一覧でご紹介します。
※上記は一般的な目安の数値です。
以下、iPhone、Androidの別に、㏈mの確認方法をご紹介していきます。
iPhoneの場合(フィールドテストモード)
- 電話アプリを開き、「*3001#12345#*」と入力して発信ボタンをタップします。
- 「フィールドテスト」モードが起動します。
- LTEの場合、「Serving Cell Meas」などの項目から「rsrp(基準信号受信電力)」という値を探します。これがdBm値です。
Androidの場合
- 「設定」アプリを開きます。
- 「デバイス情報」や「端末情報」といった項目をタップします。
- 「ステータス」や「SIMのステータス」を選択します。
- 「電波強度」や「信号強度」の項目にdBm値が表示されます。
※端末の機種やOSのバージョンによって、メニューの名称や階層が異なる場合がありますのでご注意ください。
【ネット回線】通信速度(Mbps)を測定できるサイト・アプリ
この項目では、スマートフォンやインターネット回線の通信速度について解説します。
スマートフォンを含むネット回線では電波の強さと同様に重要なのが、実際にデータをやり取りする速さを示す「通信速度」です。
これは「Mbps(メガビーピーエス)」という単位で表され、数値が大きいほど高速です。
この数値は、Webサイトやアプリを使えば、誰でも簡単に測定できます。
主な測定項目
- ダウンロード(下り)速度:Webサイトの閲覧、動画視聴、アプリのダウンロードなどに関係します。
- アップロード(上り)速度:SNSへの写真投稿、メールの送信、ビデオ通話などに関係します。
- Ping値(レイテンシ):データの応答速度を示します。数値が小さいほどラグが少なく、オンラインゲームなどで重要になります。
これらの項目は、ご自分に必要となる数値を中心にご確認ください。
代表的なスピードテストサイト
上記のネット回線速度を測定できるサイトには、以下のような例が挙げられます。
- Fast.com (Netflix提供)
- みんなのネット回線速度(みんそく)
- Speedtest by Ookla
以下、一般的なインターネット用とで快適に使用できるダウンロード速度の目安について一覧でご紹介します。
※上記は一般的な通信速度の目安になります。
【テレビ】アンテナレベルを確認して受信状況をチェック
この項目では、テレビの画面が乱れる、エラーコードが表示されるなど、電波の受信に問題が出ているケースについて解説します。
「特定のチャンネルだけ映りが悪い」「映像にブロックノイズが入る」といったテレビの不調は、アンテナが受信している電波の強さ(電波レベル)が原因かもしれません。
ほとんどのテレビには、実際にテレビまで届いている電波の受信強度を「アンテナレベル」として確認する機能が搭載されています。
アンテナレベル画面の表示方法、適正な数値や表示スタイルはテレビのメーカーやモデルによっても異なりますが、一般的にはリモコンの操作で簡単に表示できて、最大値の60%以上であれば安定して視聴できるとされています。
逆にアンテナレベルが低い場合は、お住まいのテレビアンテナや配線部の不具合、または受信環境などの問題で、テレビまで電波が十分に届いていない可能性があります。
主要なテレビメーカー別の、アンテナレベル画面の表示方法は以下の通りになります。
※詳しい操作方法、アンテナレベルの確認方法はモデルによって異なる場合もあります。お使いのテレビの取扱説明書やメーカー公式サイトをご確認ください。
なぜ?電波状況が悪化する3つの主な原因を切り分ける
スマートフォンやWi-Fi、テレビの電波状況を客観的に確認できたら、次はその不具合がなぜ生じているかを探るためのステップです。
スマホの通信やテレビなどの電波状況が悪化する原因はひとつではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合っているケースがほとんどです。
いずれにせよ不具合の原因を正しく切り分けることが、効果的な対策への近道となります。
この項目では、主な電波状態悪化の原因を、3つのカテゴリーに分けて解説します。
ご自身の状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。
原因1:場所・建物・障害物(物理的な要因)
電波は、テレビの電波塔やスマートフォンの基地局、Wi-Fiルーターから遠ざかるほど弱くなります。
また、身の回りにあるさまざまな物理的な「モノ」が、見えない壁となって電波の行く手を阻むこともあります。
- 建物の構造:特に鉄筋コンクリートや金属製の壁、断熱材、二重ガラスなどは電波を通しにくく、室内や地下でスマートフォンやテレビなどの電波が弱くなる大きな原因となります。
- 地形や周辺環境:山間部や高層ビル群の谷間、トンネルの中なども、物理的にスマートフォンやテレビの電波が届きにくい場所です。
- 家具や家電:本棚やソファ、冷蔵庫などの大きな家具・家電も電波を遮ることがあります。
- 特殊なケース:金属は電波を反射する性質があり、外壁塗装工事で使われる金属製の足場や、ガルバリウム鋼板のような金属を含む建材が、Wi-Fiや携帯電話の電波を著しく遮蔽することがあります。
テレビ電波の場合、地デジで使われるUHF波は比較的、障害物に強い(ある程度は乗り越えて広がる)性質があります。ただビルなど大きな障害物の陰に当たる直近では、地デジ電波が届きにくくなる場合もあります。
衛星放送(BS放送、CS放送)で使われる12GHz帯の電波は非常に直進性が高い半面、障害物を乗り越える力が弱く、BS/CSアンテナを向けた方向に、少しでも障害物(木や建物、洗濯物など)があると、電波が遮られてまったく受信できなくなります。
原因2:電波干渉(他の電波との衝突)
人間の目には見えませんが、現在の空間にはテレビやスマートフォンの電波のほか、さまざまな電化製品が発する電波などが飛び交っています。
これらの電波がぶつかり合い、混ざり合って情報などが乱れてしまう「電波干渉」や「混信」も、通信を不安定にさせる大きな原因です。
電波干渉の実例には、主に以下のようなものが挙げられます。
- 近隣のWi-Fi:特にマンションなどの集合住宅では、多くのWi-Fiが同じ周波数帯(特に2.4GHz帯)を使用しているため、互いに干渉し合い、速度低下を引き起こす場合があります。
- 家電製品:電子レンジは、Wi-Fiと同じ2.4GHz帯の強力な電波を発生させるため、使用中にWi-Fiが途切れることや、テレビ画面が乱れ、映らなくなることがあります。その他、コードレス電話やBluetooth機器なども電波干渉の原因となり得ます。
- テレビの電波障害:テレビの地デジ電波は、エリアによって水平偏波、垂直偏波を使い分けるなど、混信が起こりにくい対策をしていますが、工場などの施設や機材が発する電磁波が電波障害の原因になることもあります。
またアナログ放送時代のUHFアンテナを地デジアンテナに転用している場合、受信できる周波数帯が地デジ用アンテナより広いことから、携帯電話などの余計な電波を受信してしまい、ブースターで増幅されてアンテナで再受信され、増幅を繰り返す、電波のハウリングのような状態で広範囲に電波障害を引き起こすことがあります。
これを「700MHz帯電波障害」といいます。この場合は、原因となる各携帯キャリア会社による一般社団法人「700MHz利用推進協会」所属の対策員による無償のアンテナ交換、余計な電波をカットするフィルターの設置などで改善できます。
原因3:機器やサービス側の問題
電波状態が悪い原因は、外部の環境だけでなく、お使いの機器(スマートフォン、Wi-Fiルータ、テレビ、アンテナなど)や契約しているサービス自体(キャリア会社や放送局など)にあるケースも考えられます。
以下では、その具体例をご紹介します。
機器側の問題
- 故障・老朽化:スマートフォンやWi-Fiルーター、テレビ、アンテナ本体やケーブルなどが長期の使用で老朽化したり故障したりすると、その性能が低下します。
- ソフトウェアの問題:上記した機器のOSやファームウェアが古いバージョンのままだと、不具合が解消されず通信が不安定になることがあります。
- 設定ミス:スマートフォンのAPN設定や、Wi-Fiルーターの接続設定などが間違っている可能性も考えられます。
サービス側の問題
- 通信障害・メンテナンス:契約しているキャリアやプロバイダー側、またテレビ局などで、通信障害やメンテナンスが発生している場合があります。
- 回線の混雑:通勤時間帯の駅周辺や大規模なイベント会場など、特定の時間や場所に利用者が集中すると、インターネット回線が混雑して通信速度が大幅に低下します。
- 速度制限:スマートフォンなどで契約しているデータ通信量の上限を超えると、通信速度が意図的に低速に制限されます。
【原因別】電波状況を今すぐ改善する具体的な対処法
テレビやスマートフォンなどの電波状況が悪化している原因の見当がついたら、いよいよ解決策の実践です。
原因によって有効な対策は異なります。
ここでは、誰でもすぐに試せる簡単な応急処置から、機器の導入や専門業者への相談といった本格的な対策まで、原因別に具体的な改善方法を紹介します。
【誰でもできる応急処置】まず試したい5つの基本対策
専門的な対策を行う前に、まずはご自宅でもできる、お金も時間もかからない簡単で基本的な対処法から試してみましょう。
これだけであっさり問題が解決することも少なくありません。
以下、その対処法を一覧で解説していきます。
※上記は基本的な対処方法になります。
【Wi-Fi環境を快適に】中継器の導入やルーターの見直し
住宅の構造が原因でWi-Fiの電波が届きにくい場所がある場合は、以下のような電波を拡張する機器の導入が効果的です。
- Wi-Fi中継器:ルーターの電波を受け取り、より遠くまで届くように増幅・中継してくれる機器です。電波の弱い部屋にピンポイントで設置すると効果があります。
- メッシュWi-Fi:親機と複数の子機が網目のように連携し、家全体を広範囲かつ安定したWi-Fiエリアでカバーするシステムです。途切れにくく、移動しても最適な電波に自動で接続してくれます。
以下、各機種のメリット・デメリットやおすすめの点をまとめた一覧になります。
※上記は各機器の主な特徴になります。
【テレビの映りが悪い】アンテナの調整・修理は専門業者への相談が確実
アンテナレベルの低下によってテレビの映りが悪い状態で、ケーブルやB-CASカードのチェック、テレビの再起動やチャンネル再スキャンなど、お住まいでできる初歩的な対処で解消されない場合は、例えばアンテナ角度のズレなど、お住まいのテレビアンテナや配線部のシステムに不具合が生じて、アンテナで十分な電波が受信できない、また電波をテレビまで送信できない可能性が高くなります。
ただ、特にテレビアンテナは屋根の上などの高所に設置されていることが多く、ご自身での調整は高所作業の危険が伴う上、原因の確認や適切な対処には、アンテナに関する専門的な知識が必要です。
正確な原因の特定から、アンテナの方向(向き・角度)調整や修理、また故障した機器(ブースターや分配器など)の交換は、無理せずプロのアンテナ工事業者に依頼することが、もっとも安全で確実な方法です。
信頼できる業者を選ぶ際は、価格の安さだけでなく、豊富な実績や長期保証の有無など、総合的なサービスの充実が重要な判断基準となります。
例えば、本記事の執筆にもご協力いただいたアンテナ工事のプロ集団で、関東・関西エリアで年間6,000件以上の施工実績を誇る「あさひアンテナ」では、完全自社施工で優れた自社スタッフによる高い技術力と、中間マージンのカットなどによる低価格、そして業界最長クラスの10年保証を提供しています。
あさひアンテナでは、工事前の電波調査や見積もりは無料で行ってくれます。
テレビ画面のトラブルの際は、まずは同社をはじめとする優良なアンテナ工事の専門業者へと、お気軽にご相談になることをおすすめします。
【自宅の電波が弱い】キャリア提供の電波改善装置(レピータ)を検討
ご自宅や職場など、特定の場所で契約キャリアの電波だけが極端に悪い場合は、「電波改善装置」の利用を検討してください。
これは、屋外の良好な電波をキャッチして増幅し、屋内に再放射することで電波状況を改善する小型の基地局のような装置です。
NTTドコモの「ドコモレピータ」をはじめ、各キャリアが提供しており、多くの場合、条件を満たせば無償で貸し出してもらえます。
ご利用を希望される場合は、各キャリアのWebサイトや電話窓口から電波状況について相談してみてください。
地デジ放送の電波状況に問題が出たときの確認ポイント
この項目では、地デジ放送(地上デジタル放送)の受信不良が起きた場合に、確認すべき主なポイントを解説します。
地デジ放送は「UHF(極超短波)」という電波のうち、470MHzから710MHzまでの周波数帯を使用しています。このUHFにデジタル信号を乗せて、日本各地に設置された電波塔から、周辺エリア一体に送信しています。
このUHFの地デジ電波は、40センチから60センチほどの波長の幅があり、やや広がりやすいという性質があります。
そのためビルなどの障害物にぶつかっても、ある程度は乗り越えて向こう側で広がる性質もあります。一方で、距離に応じて拡散していくため、電波塔から離れるほど電波レベルが弱まる、気候や天候にも影響を受けるといった特性があります。
これら電波の性質を含めて、地デジ放送の受信不良を引き起こす要因としては、主に以下の例が挙げられます。
- アンテナの方向:地デジアンテナには、アンテナ正面の方向のみで受信性能が強くなる「指向性(しこうせい)」という性質があるため、アンテナの真正面側を現場にもっとも近い電波塔の方向へと正確に向ける必要があります。
アンテナ本体の老朽化や台風などの影響で、アンテナの向きが少しでもずれると、電波の受信レベルが大幅に低下します。 - アンテナの性能:お住まいの地域が電波塔から近く障害物も少ないため、到達する電波が強いか十分である地域(強・中電界地域)か、電波塔から遠く電波レベルが弱い地域(弱電界地域)かによって、必要なアンテナの受信性能(素子数・素子数相当)や適した設置位置が異なってきます。電場の電波レベルに対して地デジアンテナの受信性能が不足していると、安定した受信ができなくなります。
- 周辺環境の変化:自宅の近く、電波塔の方向に高層建築物が建つして、電波塔との間に新たな障害物ができた場合、地デジ電波が遮られてしまい、障害物を乗り越える力も及ばず、受信状況が悪化することがあります。この場合には、アンテナの移設などが必要になります。
- 設備全体のチェック:テレビに十分な電波が届かない問題はアンテナ本体だけでなく、ケーブルの劣化、ブースター(増幅器)の故障、分配器の不具合など、ケーブル配線システム全体で発生する可能性があります。配線部のトラブルが生じた部分で電波の漏洩やノイズ混入などが生じます。
- 天候や気候の影響:地デジ電波レベルや一年の気候の影響を受けて同じ場所でも年間に若干(6㏈前後)の変動が生じるほか、雨や雪などの悪天候の場合には電波が吸収されてレベルが大きく低下します。
そのため悪天候や特定の季節だけ地デジ画面が乱れることがあります。通常は地デジアンテナ設置の際、悪天候などでも地デジ放送に乱れが生じないよう、余裕のある受信レベルが確保されます。
基本的に地デジアンテナは、屋根の上のマストなど高い位置に設置するほど、周辺の建物など障害物に影響されにくく、的確な方向への角度調整も行いやすくなるため、受信感度が安定しやすくなる傾向があります。
地デジ電波には、空間を伝わる地デジ電波と、地面に反射して上昇する地デジ電波が干渉することで、地上から高度が上がるにつれて、数メートル単位で波のように電波レベルが上下する「ハイトパターン」という性質があります。
このハイトパターンについても、屋根の上のマストであれば、アンテナ位置を受信感度が高まる最適な高さに設置しやすくなります。
ただ、住宅の壁などやや低い位置でも、電波塔の方向に高層マンションや隣家など大きな障害物がなければ、十分な受信感度を確保できることが多くなります。
そのため現在では、壁に設置する平面型のデザインアンテナなど、設置の見た目が整って風雨などにも強い地デジアンテナが選ばれることも多くなっています。
衛星放送(BS/CS)の電波状況に問題が出たときの確認ポイント
続いて、BS放送、CS放送などの衛星放送で受信トラブルが生じた場合に確認すべき、主なポイントを解説していきます。
衛星放送は、文字通りの地上から約36,000キロ上空の宇宙空間で地球の周りを周回している人工衛星(静止衛星)から、日本全域に衛星放送の電波を送信しています。
BS放送の放送衛星、CS放送の主要な通信衛星とも、東経110度(南西上空)に位置し、周波数帯が12GHz前後の「12GHz帯」と呼ばれる電波を地上に送っっています。
この12GHz帯の電波は波長の幅が25ミリ程度と短く、非常に直進性が高いため長距離を送信できますが、反面、わずかな障害物にも影響を受けやすくなります。
衛星放送を受信するBS/CSアンテナは、皿状のディッシュ(放物面反射器)をもつパラボラアンテナとして知られています。
このディッシュを静止衛星の方向に向け、12GHz帯をディッシュの内側に反射させ、前方の一次放射器の一点に集める形で衛星放送を受信します。
このような電波の性質やアンテナの仕組みから、受信トラブル時の確認ポイントも以下のように、地デジ放送とは大きく異なります。
- アンテナの角度:上記のような受信の仕組みから、BS/CSアンテナは、ディッシュを南南西の方角にある東経110度の静止衛星に向けて、仰角、方位角(上下、左右の角度)とも、1ミリの狂いもなく正確に向ける必要があります。
風雨などの影響でこの角度に少しのズレが生じても、12GHz帯の焦点が一次放射器から外れるため、まったく受信できなくなります。 - 障害物の有無:12GHz帯の電波は直進性が強い分、日光のように障害物に遮られやすくなります。そのため角度調整したBS/CSアンテナと静止衛星の間を結ぶ12GHz帯の間に、山や建物、または木々の枝葉、建物、洗濯物など、わずかな障害物があるだけでも、ディッシュに影が落ちるような形で電波が遮断され、受信が難しくなります。
- 給電設定:12GHz帯の電波は、周波数帯が高すぎるため、そのままでは同軸ケーブルでの減衰が多くなりすぎて正常に送信できません。そのためBS/CSアンテナに付属する「コンバーター」で12GHz帯をMHz帯の周波数帯に変換した後、ケーブルへと送信します。
このコンバーターは電子機器であるため、テレビやレコーダー、もしくはブースターの電源部から電気を供給されて動作します。
基本的にテレビなど受信機器の「BS電源設定」でアンテナへの電源供給を行う必要があり、この設定が「オフ」になっているとコンバーターが機能しないため、衛星放送は受信できません。 - 天候の影響:12GHz帯の電波はその波長の短さから、大粒の雨や雪が降ると、細かな障害物が降り注いているような状態になり、電波が吸収され、乱反射による散乱が生じて、受信レベルが大きく低下します。
したがって大雨や大雪の際には一時的に衛星放送の受信レベルが低下する「降雨減衰」「降雪減衰」が発生します。この現象への対策は、基本的に天候の回復を待つことになります。 - 4K8K放送への対応:2018年(平成30年)にスタートした4K8K放送の一部チャンネルでは、従来の12GHz帯である右旋円偏波ではなく、新しく追加された左旋円偏波が使用されています。
したがって右旋、左旋のすべての4K8Kチャンネルを視聴するには、BS/CSアンテナが2K4K8K(右旋左旋)対応型であるだけでなく、ブースターや分配器、ケーブル、アンテナコンセントのユニットなど、すべての機器が右旋・左旋双方の周波数帯に対応する4K8K(3224MHz)対応型である必要があります。
ただ現在では放送局の4K撤退や周波数帯の再編などにより左旋の放送は少なくなっているため、BS/CSアンテナなどの設備が左旋に対応できない住宅でも、左旋のチャンネルに観たい放送がなければ、すぐにアンテナ設備を交換する必要はありません。
総合して、BS/CSアンテナを設置する際、安定した受信のために必要なポイントは、
「静止衛星のある東経110度、南西方向に障害物がまったくない場所を選ぶ」
「ディッシュの仰角、方位角をミリ単位の正確さで東経110度に合わせる」
「住宅の設備やテレビの台数などに応じた適切なBS電源設定を行う」
の三点になります。
これらの点さえ守っていれば、設置位置の高低や設置エリアで衛星放送の受信レベルが極端に悪化することはありません。(激しい悪天候や障害物が発生した場合を除く)
ただ厳密には、日本の北部や南端部、離島部などでは、静止衛星からの距離が遠くなる分、減衰により12GHz帯の電波レベルがやや弱まり、中央エリアに比べるとやや大型のBS/CSアンテナが必要になるためご注意ください。
まとめ:電波状況を正しく確認し、ストレスのない快適な通信環境を手に入れよう
テレビ放送のデジタル化や、スマートフォン、光回線の普及など、2025年(令和7年)の現代社会は、もはやデジタル社会といっても過言ではありません。
そして現代のデジタルライフを支える「電波」は、目に見えないからこそ、何かの問題が起きると原因が分からなくなり、戸惑ってしまいがちです。
しかし、本記事で解説してきたように、正しい手順を踏めば、その状況を客観的に把握し、トラブルの原因を突き止め、効果的な対策を講じることも可能です。
この記事で解説したポイントを、あらためて3つのステップで振り返ってみましょう。
※詳細は記事本文の各項目をあらためてご確認ください
通信やテレビ受信の不調は、日々の生活におけるご不便から小さなストレスの積み重ねにもつながります。
まずはこの記事を参考に、ご自身の電波状況を確認することから始めてみてください。
ひとつずつ問題をクリアしていくことで、きっと快適な通信環境やテレビ受信環境を回復できるはずです。
もしお住まいのテレビアンテナ設備や配線部などに大きな問題があり、ご自宅での対処が難しい場合は、まずは「あさひアンテナ」のフリーダイヤルや、24時間受付のメールフォーム、LINEアカウントまでお問い合わせになることをおすすめします。
本記事の内容が、テレビ視聴やスマートフォン、Wi-Fiをストレスなく利用できる、快適なデジタルライフのお役に立てれば、筆者としても光栄に思います。




